実りの秋の不思議な話
2016 OCT 17 5:05:03 am by 西 牟呂雄

喜寿庵のネイチャー・ファームの横に栗の木がある。ポトリと落ちていたコブシ大のイガグリがはじけてパックリと口を開けて、覗いてみるとピカピカの栗の実が押しくらまんじゅうをしていた。ほォ~。周りを良く見るといくつか散らばっていて、拾い集めるとちょっぴりの収穫になる。栗おこわにしてみよう。
いつもは台風で小さい内に落ちてしまい、今年も先月いくつも上陸したのであきらめていたが少しだけ実った。
その隣には柿の木があるのだが、こちらは渋柿で落ちるに任せている。
ネイチャー・ファームにポツンと残していたピーマンももうこれ以上は大きくならないので今年はオシマイ、ご苦労様でした。
耕運機もエンジン・オイルを替えて物置にしまう。
そういえば去年の今頃は〝秋大根″を蒔いて一生懸命水をやっていたっけ。あれは結果として実に無駄な作業であった。
柿落ちて 栗もはじける
鱗雲
いずれにせよ今年はもう土をかき回すことはしない。
それどころかヒーコラ言いながら落ち葉をファームに捨てなければ。本当は石灰を混ぜるといいらしいのだが、面倒なので紙ゴミを燃やした灰を一緒に埋める。
秋になると庭のアチコチにモグラが出没した形跡が見つかる。通せんぼではないが、芝生に侵入されてはかなわないので空き缶の切れ端なんかを切って埋めている。モグラごめんね、よそに行きなさい。
稲刈りの終わった光景にもお疲れ様。写真を撮る気にはなれない。
最近思うのだが『暮らす』という事自体は忙しかろうがぼんやりしていようがストレスはある、というか生活することは実は大変なことなのではないか。僕のように普段何も考えていなくても実際イヤになることは多い。
全く人と付き合わないで生活する事は不可能だから、誰かと何かをすることになる。仕事でもボランティアでも親戚付き合いでも何でもいいのだが、それは常に大変に理不尽を呼び込んでいるのではなかろうか。
理不尽に 俯き歩き 目に留まる
なぐさめてくれよ 落ちた 柿 栗
その晩は珍しく一緒に来ていたオヤジとしこたま飲んで寝てしまった(らしい)。
ここから実に不思議なことが起こる。
翌朝起きたらとんでもないことに。畳に転がって目が覚めたのだが、畳が血だらけになっているではないか。痛みは感じない。ハッとして起きてみるとトレーナーの首周りがドス赤く染まっている。なんだこれは。
先に起きていたオヤジが呑気な声を出した。
「オイ、何やったんだ。血溜まりができてたんで少し拭いたけど、死んだかと思って時々息をしてるかどうか心配になったぞ」
不思議な人で暴漢が入ってきたとかいう心配は全くせず、救急車を呼ぼうともしなかった。
念のため頭に手をやると3cmくらいの長い瘡蓋が・・・。
怪我をしたのは間違いないが原因が全く分からない。室内にはどこにも血痕などないのだ。考えられるのは夜中にフラフラと庭に出て行き転んで頭を打ったとか・・・。それにしても外に行く理由がない。ついに突発性の痴呆が始まったのか。それとも夢の中で誰かと格闘して(何かと戦っている夢はよく見る)それが現実の世界で起こったとでも言うのか。
私は『暮らし』ているのだろうか。ヒョッとしたら夢の中で泥酔し、この世が幻という荘子の世界でいきているのかもしれない。
(追記)さすがに心配になって後日頭のCTを撮ってもらった。
医者「今頃来てももう遅いよ。顔じゃないし縫う事もない」
私 「先生、後遺症とか出ませんか」
医者「物忘れとか急にひどくなった訳じゃないんだろう」
私 「昔からひどいです」
医者「じゃ別にいいよ。以前も酔っ払って眉間を切ってたろう。酒やめろ」
私 「・・・・」
本当の話です。
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Categories:春夏秋冬不思議譚
