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話芸の間 Ⅱ

2018 OCT 20 6:06:55 am by 西 牟呂雄

 肺がんの手術を成功させた圓楽さんの高座を聞きに、きょうは大トリです。
 枕はやっぱりそのネタで『いや歌丸さんの百箇日がおとといでして、丁度その日に退院です。最初にお医者様に宣告されたときは、あ~歌さんが呼んでやがるな、と思いました』でした。
 内視鏡で7つほど穴を開けた手術だったそうですが、喉をやられたわけではないので声はちゃんと出ていました。
 散々笑わせてくれて、出し物は人情物の”一文笛”。元々は上方のネタで米朝さんが復活させたのですが、お江戸が東京になった頃のスリの話しに仕上がってさすがです。

演目です

 ところで、聞いたのは某公会堂でしたが、こういうところでやる時は何をやるのかは楽屋で客のノリを窺いながらネタを絞り込んでいき、高座に上がる時にヨシッこれで行こうと決めます。ですからプログラムには名前しか案内がありません。そして終わって帰り際に演目が張り出されるのですね。

 小遊三さんには多少の御縁がありますので楽屋に御挨拶を。この日は中を取ったのでまだ1時間くらい時間があるから私服の師匠に果物をお届けに上がりました。師匠は『おっどうも。旦那によろしく』とニコニコ握手してくれます。
 で、こちらの枕でも歌丸さんの話が出ましたが、現在の大喜利の司会者は春風亭昇太さん以外初代の立川談志・前田武彦・三波伸介・三遊亭圓楽(先代)・桂歌丸と皆さん鬼籍に入られて。小遊三さん、ここで『次は誰かってーと、お分かりでしょ』どうやら暗に木久扇さんのことを指して言っていました。なぜかここでドッと受けます。
 小遊三さんは『金明竹(きんめいちく)』をやりました。終わりの方の関西弁がわかりづらく何べん聞いても分からないという仕掛けのお話。結局意味を間違えてしまうのですが、聞いている僕も分かりません。それもそのはずで、入門したての落語家が口を鍛える意味であの有名な『寿限無』の次に『金明竹』を教わることになっているのです。早速検索すると以下の台詞でしたね。
「わては、中橋の加賀屋佐吉方から使いに参じまして、先度、仲買の弥市が取り次ぎました、道具七品(ななしな)のうち、祐乗(ゆうじょ)・光乗(こうじょ)・宗乗(そうじょ)三作の三所物(みところもん)。ならび、備前長船の則光。四分一ごしらえ、横谷宗珉の小柄付きの脇差……柄前(つかまえ)な、旦那さんはタガヤサンや、と言うとりましたが、埋もれ木やそうで、木ィが違うとりましたさかい、ちゃんとお断り申し上げます。次はのんこの茶碗。黄檗山金明竹、遠州宗甫の銘がございます寸胴の花活け。織部の香合。『古池や蛙飛びこむ水の音』言います風羅坊正筆の掛物。沢庵・木庵・隠元禅師貼り混ぜの小屏風……この屏風なァ、わての旦那の檀那寺が兵庫におまして、兵庫の坊(ぼん)さんのえろう好みます屏風じゃによって、『表具にやって兵庫の坊主の屏風にいたします』と、こないお言づけを願いとう申します」
 分かりますか? 途中に金明竹が出てきますが、観賞用に栽培される竹の一種です。
 

話芸の間 圓楽と小遊三

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Categories:古典

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