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グローバルは終わりか 時代を追って

2018 DEC 10 20:20:06 pm by 西 牟呂雄

 世の中は変わっていく。団塊世代が『オレ達はヘルメットを被って戦いを挑んだんだぞ』と今更言ったところで余計なお世話でしかない。
 もっと上のお年寄りが少年時の戦争末期の体験をどんなに強調しても、そんな戦争を仕掛けたもっと上の世代を恨んでくれ、としか言いようがない。日本はあの手の戦争はやらないしもうできないのだ。
 保守派の保守派たる所以は、変わり行く世の中に対して『本当にそれでいいのか』とまず冷静に考察する姿勢と考える。単なる流行そのものは発生しては消えていくものだ。しかしながら、『主義』『主張』というものは、どうしても先鋭的になり、その最先端は右でも左でも必ず分裂する。現実の『政治』はどうしても妥協が必要な玄人の仕事と言える。
 一方、社会が自然・自立的に進化していくなどとは考えられない。そこには現状に対する強烈な不満と理論的な指導が欠かせない。特に殆ど戦争で負けたことの無い英米二カ国は、勝ち続けることで分裂しながら進化してきたと見立てられる。
 グローバリズムはそのメカニズムを世界中に広めようと言う動き、と言い切れば極論になろうか。
 日本において、格差について、福祉について、待機児童について、お年寄り問題について、憲法改正について、スレ違いの論争の結果がいかに空しいか。避けられないグローバル化に飲み込まれて、成長の鈍化した社会においてはゼロサム的に誰かが稼ぐ。厳しい競争は終わらないからどうしても格差が生ずる。すべてはそこが原点だと最近考えている。
 もし、完全なグローバル競争が何も起こらないまま安定的に進行したとしよう。するとポール・クルーグマンの言う均衡状態(各国が単一の産業のみに特化し社会変化が起きなくなる)にならざるを得ない。これはモデル・ケースを特定しにくいが、直近の例で言えばEUにおいてドイツのみが工業的に発展し南欧は観光・農業くらいしか産業が育たないケースだ。
 ネットによる通信コストはほぼかからないので放っておけば競争力の差は広がり、上記均衡状態はますます固定されてしまう。フランスの人工学者エマニュエル・トッドはそういった観点で早くからドイツ一人勝ち状態のEUの瓦解を予想した。
 そのグローバリズムの卸元の米・英二カ国が内向きに舵を切る。
 中国は覇権を打ち立てようとするが、内情はボロボロ。エリート幹部が膨大な資産を海外に移転させて子供達には国籍を変えさせているではないか。
 ただ、中国そのものは一人グローバルのようなもので、国内の格差問題の方がひどい。しかし伝統的に国内弱者が世論を形成できないので、政権はいくらでも弱者を苛め抜いて平気だ。従って〝崩壊”はしない。
 日本は多角的な経済連携協定TPPで一人勝ちとなれるのだろうか。

 一般不均衡理論 というブログを何年も前に書いたが、この時120¥/$・日経平均株価は2万円。
 株価は〝売り″と同時に〝買い″も入らなければ売買が成立しない。もし市場参加者が同じアルゴリズムのAIを使って未来予測をしたら、結果が全て同じになり売買が成立しない。
 目下の112¥/$・平均株価は2万1千円は米中貿易戦争が決着つかず、トランプ大統領の意向を計りかねてこれだ。日銀ができることは限られてきた。

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Categories:202X年の怪

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