Sonar Members Club No.36

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たまには足元見てごらんよ

2019 JAN 26 1:01:07 am by 西 牟呂雄

 子供の頃の話ですが。喜寿庵の近くに大昔小山田という殿様の砦があった「お城山」という小山があって15分位で登れます。息子が小さかった頃(学童前)酔っ払って(私が)夜テントをかついで登り二人でキャンプごっこをしたことがありました。野猿もいるようなところで、あれは危険はなかったのかな。
 その頂上から下界(というより町)を見た時『ああ、こんなに小さな町にたくさんの人が蠢いているなあ』と思いました。学校・病院・住宅・お寺・お店。この中で生まれ、学校に行き、働き、買い物をし、最後はお墓に入る、と腑に落ちたものです。
 
 だだっ広い海をながめて、フト足元の潮溜まりに視線を落とします。ジーッと見ていると、見過ごしているものが見えます。小魚・蟹・得体の知れない貝・イソギンチャク。潮が満ちるまではここも彼らだけの小さな小さな宇宙です。やがて大海に飲み込まれても、小魚の生活圏が無限に広がりはしません。水槽の中と同じ位の自由と考えてもいいでしょう。
 ヨット・ハーバーの浮桟橋から水中を除き込んでいて気が付いたのですが、小さな魚はせっかく水中にいるのに3次元的な動きをしません。大体居心地のいい深さを泳いでいます。ヒラメやカレイは海底から水面まであがるような運動はしないですしね。
 してみると。水中でG(重力加速度)の影響をあまり感じずにいるはずの水生動物は、地上の我々がうらやましくなるような3次元生活を送っていないことになります(大型水生動物。クジラやイルカは別にして)。 
 喜寿庵で芝生の雑草を抜いている横を蟻が虫の死骸を引き摺って行きます。蟻の世界は2次元的ではありますが、どんな所にでも行けるところは3次元の行動範囲ですね。飛びはしないが細い枝でも谷底へでも自在です。
 見上げれば刷毛で刷いたような高くて薄い雲。森羅万象ことごとくがこの小さな庭にあるようです。ヤキが回ると”小さいもの(盆栽とか箱庭)”が好みになるものでしょう・・・か。

 そういう時に伸びをすると・・こっ腰が痛い。腰痛は人類が二足歩行をするようになって以来、Gによる宿悪と言われます。あ~あ、そういう痛みは年のせいだよな。

 走っても寝ても跳ねても大地に縛り付けられる。
 逆らって高い山に登れば、疲れの代わりの満足感。
 ゲレンデでボードを滑らせれば走るより早い爽快感。
 地球よ お前は疲れないのかい。

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Categories:遠い光景

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