今日は式根か新島か(のはずだった)
2019 AUG 16 9:09:19 am by 西 牟呂雄
今年のクルーズは島伝いに新島まで。航海計画を立てて準備に勤しんだ。
それが8号・9号が行った思いきや、巨大10号台風のおかげでどうやらウネリは結構ある上に、計画日程には雨マーク。いつものことではあるが、夏のクルージングは天気との戦いだ。
8月10日22時。熱い日差しを避けてオーバー・ナイト・クルーズに出航するはずが、集合して天気図を見ながらアーダコーダと議論白熱。いつものことだが強行派と慎重派に分かれてスキッパーの判断を仰ぐ。冷静なスキッパーは帰りの天気まで読み込んで航海を中止した!何よりも30ノットの風予想を危険と判断したのだ。
その際、航海を「スキップ」する権利を擁しているから「スキッパー」と言うのだ、という説が出された。船と運命を共にする艇長である。実際に戦時中はともかく、近くはタンカーのアメリカ人船長が関門海峡で座礁し、ピストル自殺するという話が有名である。
でもって、この時点では油壺の風は微風。星は綺麗に見えていた。当然大宴会になった。
11日快晴。風微風。そろそろ油壷湾には漁船が入り出した。ここは避難港に指定されているので仕方がない。ただ入り江一杯に入られてしまうと出港も入港もできなくなる。
僚船はレースにエントリーしていて、決行の知らせがあったので出ていく。そうすると我々ものんびりしているのもナンだ、ということでレースを見に行くことにした。
油壷を出ると、相模湾に面した荒井浜の横が磯場になっていて、そこに打ち寄せる波の飛沫(しぶき)が結構な高さで驚いた。この微風にどうしたことか。
その謎は直ぐに解けた。いつもは見えている大島のあたりから千葉方面まで水平線上にビッシリと積乱雲がつながっていて、まるで前線ができているようだ。更に恐ろしいことに大島や湘南の江の島が水平線に溶け込んでしまう。台風のうねりが、本体はまだ小笠原の南にもかかわらず押し寄せているのだ。3m位の高さの大きなうねりが長い波長で来るために、ヨットの目線では波の間に入ると周りが見えなかったのだ。磯に打ち付けられた飛沫が高かった訳だ。
レースは風が無くて苦労していた。
港への帰りに疑似餌を流しているとシイラがかかった。カツオかと思ったが引いたらグリーンに光ってガッカリ。すぐにリリースしてやった、もう来るなよ。
ところで、港に帰ってきて天気図をみると台風はでかくなっている。やはりスキッパーの判断は正しく、南水平線上に沸き上がっていた雲は台風の最も外側の雲だったのである。
12日。やや曇り、のち通り雨、快晴。こういうときはどうすればいいのだろう。スキッパーは『好きにしろ』と匙を投げ、僕達クルーは朝からビールを始めた。
こうして夏は過ぎて行き、僕達は年をとり、この巨大台風をやり過ごすと風が変わってしまう、秋の風になってしまうのだ。
いつの間にかビールは焼酎になり、岡にいるのと変わらない酔っ払いができあがっていた。
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