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W-1(レッスル・ワン)を見て思うこと

2019 OCT 15 7:07:21 am by 西室 建

 場所は横浜文化体育館。T-HawkVS稲葉大樹、と言っても知らないでしょうな。プロレスですがね。この試合は今日のプロレスのある面を示していました。
「なめんな!」
「もっと来い、ノヤロウ」
 の声がマイクに入ります。エルボーの打ち合いから張り手まで、意地と根性がぶつかり合う展開に胸が躍る。
 W-1(レッスル・ワン)は武藤敬司が全日本から分離して設立した団体で、当初はまるっきりのアメリカン・スタイルでした。その後、他団体との離合集散をしながらも何とかしのいでいます。
 表題の横浜文化体育館は彼等がしばしばタイトルマッチを行う、言ってみればフランチャイズなので、両選手も力が入るのは当然です。
 T-Hawkは本名小野寺卓也、トマホークTTを名乗ってデビュー。駒大苫小牧の野球部で田中将大のボールを受けたこともあるそうです。
 その後なかなか伸び切れず、ひどいギミックで使われたりしましたが、今年W-1チャンピォンとなっての防衛戦でした。
 稲葉大樹の方は元全日本でペイントレスラーとしてカナダで修行。結構打たれ強いタイプの選手です。
 試合はT-Hawkがしばしばナックルで殴りかかるのに対し、稲葉の張り手でT-の目が一瞬泳ぐ、ツウには応えられない。
 稲葉のスリーパーホールドにT-の顔が真っ赤になります、そろそろ詰めだ。稲葉は卍固めの後にドラゴン・スープレックスを何発も打ち、結局、極反り卍固めでギブアップを取った!
 ところがそこからなんですがね、稲葉はマイクを取ると「T-Hawkさん、ありがとうございます」などとアピールしたのはプロレスっぽくない、よろしくありません。  

 別の日にノアのジュニアヘビー級の試合、原田大輔vs小峠篤司も観賞しました。共に大阪プロレス出身でプロレスを良く知っている好試合。ただこちらは、むしろ和田京平レフリーの裁きに見入ったものです。
 目下のトレンドとも言える試合を見てつくづく思うのですが、あのナイトライド、ガット・マスター、カタヤマ・ジャーマンもキル・スイッチも危険過ぎるのではないでしょうか。場外に至ってのパイル・ドライバー系の技も正直見るに耐えない部分が残ります。
 その割りにマットが柔らかくなったのか、選手が軽量なのか一発で決まらない、カウント2.9で跳ね返すのが当たり前です。
 ロープ・ワークも昔のようにドロップ・キックを合わせることはありません。というかドロップキックそのものがもはや滅多に見られない。筆者のようなオールドファンは、あのジャイアント馬場の重い32文ロケット砲の破壊力が懐かしくさえ思えてくるのです。グレート・カブキが高千穂明久だった頃のスクリュー・ドロップキックなんかはもう見られないのでしょうか。
 そして観客はその危険な技の応酬を煽りにあおっているのはいかがなものか。昔であれば一発必殺だった技が繰り返し繰り出されるのにも違和感があるのです。無論選手は体を十分に鍛え、かつ体は大変柔らかく、練習もしている。
 この違和感の正体は何か、その謎に迫ってみます。
 まず、これはいいことですが凶器攻撃も反則も流血もない、いいことなんですよ。
 ですが、かつてのブッチャーやタイガー・ジェット・シンの不気味さがないのは淋しいというか、何と言いますか。
 大仁田のデス・マッチ路線や、大日本プロレスのハード・コア・マッチが持て囃され『不気味さ』はそちらの方に行ってしまい、インディーズは『明るく、激しく』の方に行ったと。
 観客は若いファンや女性が多く、筆者の現役の時のようなオッサンと一部小学生という手合いはマイナーです。今のこれらのファンが『もっと。もっと見せてくれ』とやると、『あぁ、そこまでやらないで。もうやめてくれー』と言いながらリングを見ていたワタクシとは求めるものが違うことが分かります。
 
 そういう意味で去る8月に中継された女子プロレスOZアカデミーの「無差別級選手権並びに爆女王選手権ダブルタイトル 有刺鉄線電流爆破バットデスマッチ(長過ぎる)尾崎魔弓VS松本浩代」の迫力とオドロオドロしさは見応えがありました。尾崎ってもう50才ですよ(松本も34だけど)!

尾崎魔弓 50才

 先般、日経新聞の社会面にプロレスに関するコラムが連載されていました。何しろビンス・マクマホン・ジュニアのWWEがMBAの研究教材になる程だから日経が特集しても今更おかしくはありません。
 プロレスをまともなスポーツ扱いするのもどうかと思いますが、ビジネスとして奥の深い営みであることは確かなのです。
 あれだけの汗と鍛え抜かれた肉体のぶつかり合いに魅せられるインテリも多い。
 直近にもあの『京都ぎらい』というベスト・セラーを著した国際日本文化研究センター井上章一教授が『プロレスまみれ』という新書で、試合とテレビ・アングルの関係について、独自の見解を述べています。
 凡百の八百長論には『プロレスの見巧者はそこを見極める』。猪木の失神には『周りに借金取りがワッと来ていたのでわざと負けた。ハルク・ホーガンは突然のことに慌てた表情を撮られていた』との分析、いいですね。
 そして上記尾崎魔弓は、試合後にOZアカデミーを支えてくれたさる故人を讃えるメッセージを絶叫しました。
「作家の堺屋太一先生、長い間ありがとうございました」と。

 いずれにせよプロレスは進化するものなので、どういうチョイスをするかはファンの勝手でしょう。ですが選手の皆さん、くれぐれも怪我には気を付けてください。プロレス万歳!

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