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令和の新日本プロレス

2019 NOV 24 5:05:48 am by 西室 建

 プロレス・シーンのトップ・コンテンダーとしてのポジションを得ていた親日も、多くのインディーズ団体の乱立とその他格闘技の興隆を経てその姿を変えて今日に至っている。
 先般、さるプロレス識者から、ジェイ・ホワイトについてのコメントを即されてつくづく思う所があるので筆を取って自分の考えを整理してみたい。
 実は筆者はジェイについてはいささか苦々しい思いで見てきた。
 それは、日本における外人ヒールの立ち位置の変遷に大きく係っている。

ジェイ 結構ダイナミックだが

 言うまでもなく小生はかつてはゴリゴリの全日派で『馬場式プロレス』をこよなく愛してきた。ランニング・ネックブリーカー・ドロップやスピニング・トゥ・ホールドが好きで、ブッチャーの地獄突きや和田京平レフリーのアクションを好む、かなりの研究者を自称している。昭和の全日のヒールは凶器を使うという古典的な怪物的扱いだったのだ。
 平成時代には、以前のようにのめり込まず、三沢・武藤あたりに注目しつつ大日本やFMWと派生していくゲテモノ路線を楽しんでいた。即ち、アングルにせよヒールには独自のファイト・スタイルが不可欠で、その勢いでゲテモノ路線も支持していたのだ。
 たまに観る親日では、例外的に天山に声援を送った。あのモンゴリアン・チョップが好きだったからである。
 このあたりでヒールがややコスプレ化したと言うべきか。反則は減り、憎憎しげに振舞う演技力のみが求められるようになったのだろう。ここまではいい。
 平成中頃に新日はゲーム・ソフトのブシロードに買収された。僕はオカダ・カズチカ、棚橋あたりに注目したが、じきに離れる。社長がオランダ人のハロルド・ジョージ・メイに代わってエンタテイメント路線が目に余るようになったからだ。この人は子供の頃日本にもいたことがあり日本語もうまい。タカラトミーを立て直した辣腕事業家である。
 そのせいかどうか、観客の見方までが以前と変わって来たフシがある。
 上記プロレス識者はそこを鋭く指摘され、最近のジェイ・ホワイトの台頭には批判的な立場とお見受けした。
 確かに、ジェイの売り出し方は僕も大いに気に入らない。
 イギリスでデビューした後、新日の入門テストをパスしてきたニュージーランド人。いわば叩き上げだが、親日としてはあの『片翼の天使』ケニー・オメガの後として育成する営業戦略のようである。
 ところがヒール(悪役)で行こうということでバレット・クラブ軍団のリーダー格に押し上げ、邪道・外道を従えたアングルを作った。
 これはいかがなものか。少し安易に過ぎないか。
 何しろまだ30前の若者だ。本来ヒールはいいかげん年を喰ったオッサンがズル賢くやるか、本当に頭がおかしそうなアングルか、たとえ若くてもベラボーな不気味さを持て余しているくらいじゃなきゃ勤まらない。これは会社の方針だろうが、WWEスタイルのつもりだったらこのヒール路線はいささか甘い。そもそも周りのレスラーも、WWEのスーパースター達のようにキャラが立っていない。
 更に結構体が充実している割に組技とのコンビネーションが少なく全体がヘビー級の動きになっていない。
 やはりベビーフェイスの王道を歩ませるべきではないのか。このままでは伸び悩んでしまう。今のジェイは全日本に初めて来た時のブルーザー・ブロディのぎこちなさが被る。ブロディはその後キャリアを重ね、ハンセンとの超獣コンビをきっかけに大成した(性格は悪かったが)。
 上述プロレス識者が警鐘を鳴らすようにケニー・オメガの貫禄をこえられないであろう。第一ケニーはバレット・クラブではあったが、日本のファイト・スタイルに馴染むひたむきさが感じられたものだ。

青柳亮生 青柳優馬 

 一方の全日を見ると、後楽園ホールでの少ない観客にも拘らず、諏訪魔や石川修二のボテ腹ズブズブのラフ・ファイトや、若手の青柳兄弟の一途な試合展開をみていると、いつの間にかストロング・スタイルが甦っている(UTAMAROとヨシタツの試合はショボかったが)。たまたま見た試合では青柳弟が片海老固めでギブ・アップを取っていた。
 親日がWWE路線を目指しているうちにカラーが入れ代わったかのようだ。 WWEはテレビ観戦はそれなりに面白いのだが、それなりに分厚い役者が揃ってなければ成り立たない。かつて高田延彦の『ハッスル』がその路線を目指したが、チープな筋書きと選手層の薄さで失敗に終わっている。

 今からでも遅くない!もうちょっとタメをつくれば一皮剥けるはずだから王道を行け、ジェイ・ホワイトよ。新日本プロレスよ。

昭和プロレスの残像 (祝 馳浩文科大臣)

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