Sonar Members Club No.36

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光輝く彼方

2020 MAR 5 7:07:19 am by 西牟呂 憲

 昨年の大腸癌除去手術の際に『せん妄』状態に陥ったことは既に書いた。無論その間の記憶はない。ただ写真を見たことを思い出すような、一場面のことは頭の片隅に残っている。
 それは、点滴を引き抜いて床に血が飛散った場面で、血の赤さが点々とする床を確かに見た。血痕の赤さがやけに鮮やかで、不思議なことにそれ以外の床やベッドが強く湧き上がるような明るさ、それも照明を浴びたような強い光りの中だった。あれはどういった幻覚作用なのだろう。
 実はこれも何度か書いているが、あわや一巻の終わりという事故・病気を以前やっているが、事故の際にも一瞬明るくなった(大晦日の夜中だった!)気がしているが後の刷り込みかも知れない。
 既に送った亡母の臨終の時に、幻覚を見ていたようで何かを喋っていたのを聞いたが、その表情は明るかった。
 思うに肉体が滅びる最後の最後は、苦痛を和らげるというか苦痛ではなくなるべく作用するメカニズムか物質が人間、いや動物には備わっているのではなかろうか。それがあまりに甘味なものであるため、臨死体験者・蘇生者が語る『あの世』の概念が作られたのかも知れない。
 夢の中にいたらしい『せん妄』期間中、約6時間程の私は少しは喋って、どこかに行こうと言う意思をもって動こうとし、もう少しで拘束されるところだったという。この間生きてはいたが記憶すらないので私としては眠っていたのと同じである。
 
  話は飛ぶが、多重人格というものがあるそうだ。「24人のビリー・ミリガン」という本で有名になった精神障害の一種とか。検索するとトラウマとか鬱病とか統合失調症とかいった恐ろしい病名が並んでいて、それらのストレスから逃れるために別の人格を作ってしまうとか。そして別の人格になっていた時の記憶は残らない、と。
 要するに『せん妄』とか『泥酔』になって何も覚えていないのは、多重人格と同じ(見た目の)状態のことになる。

 孟子の胡蝶の夢の境地ではないが、どちらが本当の自分か。恐ろしいことに、稀に『せん妄』の状態から戻らなくなって記憶喪失扱いされる患者もいるのだそうだ。それは優れて肉体は生きていても元の自分は死んだも同然である。その場合は今までの自分の魂は、雲散霧消してしまうのか。そうであれば、肉体は滅んでも精神がリレーされる方を誰でも選ぶだろう。生き物は必ず死ぬ。

 懐かしい亡き友よ、お前の精神はオレ達が引き継いでいるぞ。そしてもうすぐそっちに行く。きっとあの光りの輝きをくぐって。

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Categories:アルツハルマゲドン

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