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喜寿庵紳士録 不思議な酔っ払い

2020 DEC 1 0:00:13 am by 西牟呂 憲

 先日ホーム・コースでゴルフをした。喜寿庵から車で10分だから、天気を見てから電話で『今日はやれますかね』と聞いてうまく空いていれば回らせてくれる。ラッキーなことに『ラウンドはちょっと混んでますけど午後ハーフなら入れますよ』とのことなので、ハーフだけやったのだ。
 そういう時はロッカーも使わず、そのまま近くの温泉(これはゴルフ場から5分)に浸かって帰る。
 気分よく温泉にも浸かってお惣菜を買いにスーパーに寄った。まだ3時半過ぎである。駐車場で一服していたら、見るからに怪しげなオッサンがフラフラ歩いて来る。手には日本酒のパック、定まらない視線、これはヤバい。ところがそのままこっちに向ってくるではないか。その時の僕のいでたちは、ゴルフ用にしているチノパンにポロシャツ、ジャケットを羽織っていた。オッサンは短く刈り上げた髪に真っ黒な顔、ジャンパーの背中には何やら不気味なデザイン、業界でいう極めて頭の悪いファッションである。そして『先輩(チンピラが話かける常套句)先輩』と距離を縮めた。なんだこいつは。
『レッド・ツェッペリン知ってるっしょ』
はぁ~~。目は完全に据わっている。
『まあ知ってるけど』
『あのね、ジミー・ペイジも腹が出たんだって。ケケケケケケ』
 いや、これは相当危ない。どうも年格好は似たところではないだろうか。さっさと切り上げよう。ところがオッサン、ニターっと笑いながら、
『いや~ハード・ロックやってたんでしょ~』
 等とヤケにうれしそうなのだ。

ディープ・パープル

『あぁ、ちょっとやってたよ。ディープ・パープルとかさ』
これがまずかったようで、オッサンは満面の笑みを湛え『ジャッ、ジャッ、ジャー、ジャジャ、ジャジャ-』とスモークオンザウォータのイントロをエア・ギターで口ずさむ。左手を見ると正しいコード進行を抑えているではないか。
 普通だったらここでベース・ランニングを僕が口ずさんで二人で共演するのだが、今は相手が悪い。しょうがなくて愛想笑いをしながら車へ逃げ出した。

 落ち着いたところで暫し考えた。こんな山の過疎地でもハードロックのファンはいるだろう、それはいい。昼から酔っ払いがいるのも良しとしよう。
 問題はそのイカレポンチがゴルフ帰りにジャケットを羽織っている紳士の私に何故寄ってきたか。そして昔バンド野郎だったことを見極めたように話しかけたのか、である。幾つかの理由を胸にてを当てて考えた。
➀ 私のたたずまいが、どんなアホでも受け入れてくれそうなほど慈愛に満ちていた。
➁ 一目で私がアート系の殺気を放っていた。
 どちらも違うだろう。考えたくもない第3の原因を出さざるを得まい。
➂ その昔バンド屋だったオーラが出ていた。
 仮に、仮にそうだとしても何十年も前の雰囲気がいまだに残っているとは思いたくもない。しかしながら目下のところ思い当たるとすれば、当時の仲間とは今もしばしば付き合い、ギター談義や矢沢永吉のモノマネに明け暮れているから、往年の悪癖が滲み出てしまうのかも知れない。
 であればこれは非常にマズい。なぜならこのコロナ禍でここのところそういう集まりが無いにもかかわらずバカなオーラが消えない、ということか。いかん。早くこの邪気を払わねば。
 早速、そういった仲間にメールした。各カクシカジカ云々だったのでキミ達との付き合いは改めたい、今後はもう少しアカデミックな話をするように、とね。
 すると奴ら(3人)の反応たるや反省のカケラもないふざけたものだった。英語でロックンロールの歌詞を寄越す奴、その話しかけたオッサンの素性を推測し現在の職業を予想する奴、それは酔っ払った私が姿見の鏡を見ていたのだろうと言った奴。私は深いため息とともにロクな仲間がいないことを悟った。
 前期高齢者を踏み出した今、心新たに第二の人格に昇華することを誓わざるを得ない。但し、今さらこの年で修復不能なものは除く、例えば酒癖とか。
 まずはブログから・・・。

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Categories:和の心 喜寿庵

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