卒業生のレポート
2021 APR 17 0:00:32 am by 西 牟呂雄
私が非常勤講師を務めている北富士総合大学も卒業生が巣立っていきました。昨年度に限っては対面のゼミは一度も行われず全てオンライン、遂に実際に会うこともなかった4年生が3人です。
私のゼミは半期2単位の選択制なので3年生・4年生が同じ講義を受けます。昨年度下期での受講者は7人。従って4年生3人3年生4人、女子学生が多く、男子は3年生の2人でした。この環境下で試験などはできませんから毎回課題図書を指定してレポート提出形式でした。一応講座名は「日本思想史」となっていますが、今どきの学生さんですから時事問題に絡めて毎回テーマを練ります。「キリスト教の普及」とか「仏教の変遷」とかゼミの回数分の課題と図書を選びました。それが12月に入るころ「権力と権威の分離」のテーマに移った時点で異変が起こりました。
鎌倉時代を背景にした武家政権と畿内の朝廷とのかかわりについて議論を始め、戦国期から江戸時代、そして明治維新を経て敗戦後までを網羅するつもりで3回分の2回目でした。ここで女性・女系天皇についての問題で紛糾してしまったのです。
7人中4人が賛成。3人が反対、不思議なことに3年生の男子は賛成でした。どうやらその前に発表された秋篠宮家の眞子様の「お気持ち」がきっかけだったようです。
ちなみに私は立場上中立で議論の進行を見守るしかなく、極端に事実を間違った認識を指摘しただけです。しかしながら単純に賛成=フェミニスト・反対=ネトウヨ、といった構図ではありませんでした。印象ではやや世論に傾いている学生が賛成し、考え抜いた学生が反対になったようで、それは提出させたレポートのクオリティではっきりしています。
それは今どきの学生さんですから未だに幼さが残っていることは否めませんが、本年卒票した一人のレポートが面白いものでした。本人は卒業後地方公務員に職を得て地元に帰っていきました。しっかりしたお嬢さんで、お父様は地方の商社勤めです。
レポート内容は反対派なので、SMCの趣旨としてはややバイアスのかかった不適切なものですが、各種アンケートではおおむね賛成の世論であると思われるので、、本人の了解を得た上で抜粋を公開し、広く読者のご意見を促したいと思います。尚、私がこの学生にいかなる評点を付けたかは守秘義務がありますのでご容赦願います。
『皇統問題が喫緊の問題となって既に何十年も無駄に過ぎてしまいました。私はその間にしばしば俎上に上る女性・女系天皇についてかねてより苦々しい思いを抱いておりました。
一度も例外のなかった男系天皇が途絶え、次の天皇の権威は保てるのでしょうか。国柄を失っていいはずはありません。壊してしまえば二度と戻すことのできないモノ、これらを文化・伝統として守るのは国民の矜持でありましょう。
日本の天皇陛下は目下のところ世界で唯一「エンペラー」と訳しうるポジションで(キングなどという野蛮な代物ではない)あり、その権威は神話から続く男系の伝統によって担保されている家系です。
先般亡くなられた佐々淳行氏が書いています。皇室こそ1世紀に一度あるかないかの国難に毅然として声を励まし国民を統合することができる唯一無二の存在であると。
3・11で苦しむ避難者を慰めることができたのは先帝のお言葉であったことは多くの国民が知っており、その後に避難所を訪れた某総理に被災者が罵声を浴びせたのと対照的であったと聞きました。
翻れば先の大戦を収めることができたのも昭和天皇の『堪え難きを耐え、忍び難きを忍び』の肉声で、300万将兵が一斉に武装解除に応ずるという奇跡が起きたからではないでしょうか。
その天皇陛下たるや、単に巡りあわせで帳尻の合うようなものではなく、将にひたすら国民を思う、と鍛えられた人が生み出す品格と威厳あればこそです。仮にその場にあの某青年の顔を想像すれば、女系天皇などあり得ません。そういうケースを排除するのが男系の維持という考え方で、女性排除とは違うのです。
私の父は前回のサッカー・ワールド・カップがロシアで開催された際にエカテリンブルグに滞在していました。その際、オリンピック誘致でも活躍された高円宮久子様が、故憲仁親王殿下が日本サッカー協会の名誉総裁だったご縁で訪ロされていて、その時の、つい四半世紀前まで共産主義者であったロシア人達のプリンセッサ(ロシア語)・ヒサコに対する熱狂的な歓迎ぶりに目を見張ったと言っていました。エカテリンブルグはロマノフ家が惨殺された町であり、その跡地には教会が建てられています。ロシア人達は自分たちが失ってしまったものに対する憧憬があったに違いありません。それはエンペラーの家系の権威であり、久子妃殿下が品格をお持ちだからこそと思います。久子様は民間からのお輿入れですが、ロシア人を熱狂させる品格と威厳をお持ちです。
ただ皇統には思い込んだら一途になる遺伝子があるようで、聞くところによるとそれこそ昭和の陛下も平成の先帝も令和天皇陛下に至るまで思いを遂げられています。それが悪いということではなく、そうであったとしたらなおのことお相手には相応しい振る舞いが求められるのではありませんか。皇太后陛下も現皇后陛下も悩み苦しみつつそれを身に着けられました。
皇嗣殿下の教育はいかなるものなのか、内親王殿下の振る舞いにはいささかの違和感を感じます。そういう結婚をしてはいいはずがない、となぜ初めからおっしゃらず「憲法が規定するので認めざるを得ない」と仰ったのでしょうか。
ひょっとすると〇〇さんは「あんなのが皇族入りしては大変なことになる」という意識を国民に植え付けるために男系堅持派が送り込んだダミーなのではないかとさえ思えます。
2000年の歴史を考えれば、100年や200年の時間軸なぞ知れたものであり、その血を引く正統性が確保される者に早めに帝王学を叩きこみ次世代に備えるのはもっとも理にかなっていましょう。
そもそも皇族の高みに上るにあたってはプライバシーなぞは無きものと心得なければならぬことを教えなければ、〇〇さんのような者が入り込むスキができてしまう。お言葉にあった、結婚することが必要な選択などという戯言を文書で発表するとは何たる不始末でしょう。
愛子内親王殿下には有無を言わせず旧皇族の男子と婚約していただき(候補者はいます)、万が一に備えて頂くのがよろしい。それがいやなら、皇嗣殿下の内親王様たちはすでに手遅れゆえ旧皇族男子の全員を速やかに復帰していただいてしかるべきと考えます。
いずれにせよ、あまりに根深い問題を世論で判断しよう、或いは多数決による機関決定する、などとは不届きであり、ましてや「外国では」と歴史も伝統も違う事例を持ち出すような意見を参考にする必要はさらさらなく、ここは何としても女系・女性天皇のみならず女性宮家の創設もやめなければなりません。これはジェンダーの問題でも女性の地位の問題でもないのです。日本の国柄を崩す蟻の一穴は塞いだ方がいいのではないでしょうか。
ところで憲法について、直近気が付いたことがあります。先帝退位の際に「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が発布されました。驚くべきことに、これに対して内閣法制局は「退位するという天皇の声明文は天皇の意思表明と見なされ」「天皇の地位は国民の総意に基づく、とした憲法1条、並びに天皇の国政関与を禁じた4条との整合性がとれない」という見解を発表しています。
崩御された際に行われる国事行為と同じことをするのに違憲の疑いありとは、いかにも責任逃れのためのお役人の発想で誠におかしいと思います。
事程左様にツッコミ所満載で、翻訳悪文の見本のような憲法をロクに変えられないで独立した国家と言えるのでしょうか。九条改定の議論を待つまでもありません。
膨大なエネルギーを使って自衛隊が違憲であるという判決が下るようなバカバカしさに「いいかげんにしろ」とは思わないのでしょうか。こういうことを続けていては違憲判決に罰則もないのをいいことに解釈でつぎはぎばかりになり、逆にリベラルを通り越した全体主義への逆バネが効いて保守勢力でさえ顔をしかめる国家になってしまいます。
話は変わりますが、余談を少々。私の知り合いに藤原家の血を引く方がいらっしゃいます。明治までは京都の山科にいたそうです。その人が声を潜めて言うには藤原家の始祖は鎌足ではなく不比等である、とのことです。即ち中大兄皇子の子を宿した采女を下げ渡され生まれたのが不比等、天智天皇の皇胤に当たると。このことは藤原家には伝わっているらしく、近衛文麿の弟の忠麿(水谷川家への養子)から今東光が聞かされて活字になっています。私の知り合いの説では他にもう一人天皇家から養子に入った者がいることになっていて、それがその後の藤原一族の出世の要因なのだとか。
もう一つ、先般高円宮絢子女王と結婚した青年がいます。現在日本郵船のサラリーマンをされていますが、NPO法人「国境なき子供たち」の理事も務めているそうです。どうもおばあ様の頃からこの活動に熱心だったお家と聞いています。そしてそこを通じて久子様との面識があったため、今回のご成婚にいたったのでしょう。
こういう気質、すなわち公の心を保つような伝統を持つ人の集う、あるいは家風として伝えているイエであれば安泰というもので、久子様の教育と慧眼に恐れ入るばかりです。
幸い、旧皇族方は菊栄親睦会なる集まりを通じて戦後も親戚づきあいをされています。ご指摘の光格天皇・継体天皇の例を持ち出すまでもなく、自然に溶け込めることは間違いありません。それを差し置いて女系だなどとは不見識も甚だしいと考えます。』
如何ですか?さて、このレポートは昨年提出されたものですが、昨今レポート中の〇〇氏の手記なるものが発表されました。全文を読んではいませんがネットで知る限りでは、法律家を目指しているとは思えない身勝手な理屈をコネまわし、猛烈な反発を受けると4日後に支払うことにしたという不可解な経緯をたどっています。しかも内親王殿下に相談してお墨付きを得ている、とするなど責任転嫁するのを怠らない。あまりの稚拙な戦略にあきれ返るしかありません。これでは・・・アッ、SMCの内規に触れますのでこの辺で。
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Categories:潮目が変わった
東 賢太郎
4/17/2021 | Permalink
う~んこの学生は賢いね。この子なら間違っても同じレポートを2度も書かないだろうね、しかもおかわりの2度目は6万字に大増量してね。ところでこっちの子は司法試験あるんだよね、ずいぶん余裕というかヒマだ、きっと合理的な勉強をしたうえに素晴らしく知能が高いんだ、じゃなきゃ物理的に無理だからね。6万字ね、これ、客観的に見て正気なら相当な馬鹿だと思われてしまうから不本意だろう。そこで、彼の名誉を尊重したいと考えるので、そうじゃないと仮定できる唯一の解釈によって弁護したい。それはレポートは1度目も2度目も「燻製ニシン」(レッド・へリング、ミスディレクション)であったという仮説だ。物凄く臭いニシンを嗅がせて犬を本当の獲物から遠ざけるあれだ。別に珍しいものではないが馬鹿ではできない、つまり賢いことになるわけだ。それってミステリーで真犯人を隠す常套手段だから皆さんおなじみだ、無実の登場人物に読者の疑いが向かうように、どうでもいいことにページを割いて偽りの強調をしたり、あたかも筆者が真剣になってすごく重要な手掛かりを与えているように挙動を見せかけるものだ。もしそうだったとすれば我々国民を犬並みに見ていたことになる一点においては許し難いが、弁護をしてるのでそんなことで怒るわけにはいかないぞと自らを戒めていた矢先に、文春記事で矛盾が出て4日であっさり6万字の結論を捨てられてしまった。つまりレポートは一つ目も二つ目も「まるまる捨てても構わない安物のニシンでした」ということを自らの行為で証明されてしまったのであり、こっちは「おいおい、ニシンを巧妙に組み立てる知性があるぞ、知能が素晴らしく高いんだぞという仮説でロジックを進めていたんだけど」という恥ずかしい事態に陥って「やっぱり馬鹿だったんだね」に論理的に戻るしかなくなったのである。サポートしたかったのに勘弁してよ。世の中、国民的に「不可解」と感じている根源の理由だろう。絶対に隠したい真犯人はそのうち週刊誌が書くだろうが、もうネットで流れてる。馬鹿でなくても危険ということはある。
西 牟呂雄
9/22/2021 | Permalink
〇〇氏が帰国する。
2週間隔離を経て、婚姻届けを出してセレモニーも挨拶もせずに渡米。
頼むから右翼の諸兄、騒いだり街宣車を繰り出したりしないで。
この話『国民の皆さん、私達のことは忘れてください』ということだろう。
マスコミも国民も無視して差し上げたらよかろう、もう遅い。
これで20年くらい帰国せずにご家庭を築くしかあるまい。
こうなったら、みんなに無視されてお互いのアラが見えたり、あの胡散臭い母親が同居したりして、まさかの結末に至らないことを祈るのみです。
国民のガン無視に耐えられなくなって、現地で怪しげな輩にチヤホヤされたり利用されたりしませんように。ワタシ、この件から足を洗います。