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アーロン・ロドリゲス・アレジャノの叙勲

2021 NOV 4 20:20:19 pm by 西 牟呂雄

 名誉の旭日双光章に叙せられた外国人の中に提題のアレジャノ氏の名前があった。
 社会の各分野で顕著な功績をあげた人を叙す旭日章の5番目で、かつては勲五等という格式である。
 アレジャノ氏といっても余程のツウでなければ分からないだろう。氏こそ「千の顔を持つ男」「仮面貴族」の異名で知られるミル・マスカラスその人である。

キャーッ

 我々長年のファンにとっては望外の喜びであり、プロレスというチトややこしい世界が脚光を浴びるのは誠に結構な話である。そもそも虚飾とフェイクの塊のようなオトナのメルヘンが、社会的に認知されるきっかけになればこんな嬉しいことはない。ファンでなくともミル・マスカラスの名前くらいはご存知のはずで、日本ではそれくらい人気が高かった。もっともスペイン語の『ミル』は『千』の意味で、「千の顔を持つ男」はそのまんまの直訳。『千』にしても試合用のマスクは知る限りでは3種類ぐらいだったと思う。スカイ・ハイのテーマに乗って入場の際は、マスクの上に更にセレモニー用のマスクをかぶって入場。コールされるとそれを脱ぎ捨てて会場に投げる、というパフォーマンスをしていたが、あれも別にプレゼントしてくれるわけではなく、若手レスラーが回収して使い回していた。一度会場でそのマスクを手にした子供から取り上げているのを見た。
 技の充実は申し分なく、高く飛ぶ『フライング』と呼ばれたクロス・チョップ、ボディ・プレス、ヘッド・バット等は破壊力も抜群だった。加えてメキシカン・ストレッチ系のロメロ・スペシャルのキレ味も素晴らしい。
 ボディ・ビル出身なので、その体型は素晴らしく維持されていたが、僕はドーピングの疑いが捨てきれなかった。筋肉のオバケ的なところがあって、通常はやりすぎるとハルク・ホーガン型のハゲになるはずだがマスクマンだから分からない。
 かつてはマニアックスを名乗るファン・クラブがあって、東京の大試合になるとそろいのマスクで騎馬を組んで入場したりリング・サイドで特別に応援したりして羨ましく、入りたかったのだが当時はネットなどもなくてどうしたら入会できるか分からなかった。
 印象深い試合としては、田園コロシアムで見た雨中のジャンボ鶴田戦が上げられる。そのころ凄いジャンプ力だった鶴田のドロップ・キックがスクリュー気味に決まったのに対し、フライング・クロスチョップで応酬。場外の鶴田にコーナーポスト最上段からボディ・アタックを浴びせた。もう一試合、

恐怖の4の字固め デストロイヤーの訃報

 でも書いた、デストロイヤーとの殺気に満ちた試合が懐かしい。

 もちろん母国では国民的英雄で、マスカラス主演の映画が何本も撮られた。ほとんどが探偵ミル・マスカラスが美女を助けるC級映画で、最後は2007年『ミル・マスカラス対アステカのミイラ』というそうだ。見たことはないが筋は想像がつく。
 ところで、いくら人気者だったとはいえなぜミル・マスカラスなのか。人気の面からでいえばドリー・テリーのファンク兄弟の方が上だったろうし、来日回数ならばスタン・ハンセンやブッチャーの方が多い。かのビル・ロビンソンなどは、UWFスネークピット・ジャパンのヘッドコーチとして1999年から約10年間高円寺に住んでいて、しばしば目撃されていた。
 叙勲は各省各庁の長から推薦されてくるのだが、選考過程において➀ 中米の枠が余った ➁ どこかの省庁に熱烈なファンがいた、のではないか。そして仮にプロレス好きなお役人がいても反則魔や流血大王だったらダメだったろう。一応テクニカ(ベビー・フェイスすなわちイイモノ)だからその点はクリア。
 叙勲され天皇陛下に拝謁する際にあのマスクをしていていいのだろうか。もしいいのなら、いっそ写真のようなコスチュームの方が盛り上がると思うのだが・・・・、ダメか。
 
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Categories:プロレス

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