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寒波来たる

2023 FEB 2 10:10:02 am by 西 牟呂雄

 10年に一度の寒波ときいて喜寿庵に飛んで行った。
 以前、大変な寒波の時には凍結防止のために台所と洗面所の蛇口はポタッ・・・・ポタッという感じで出していた。するとそれが全部氷ってしまい、つららが鍾乳石のような芸術品ができたことがある。その時がー15℃で今回の予想はー10℃。おまけに雪も少し降ったようなので慌てた。
 ところがついて見れば道路はもう渇き、芝生に淡雪が残っているだけで水も出た。だが寒い。庭で日がさしていると暖かく感じるが母屋に入るとゴッツく寒い、室温3℃である。
 とりあえず近所の温泉施設に行きヌクヌクし、床暖とストーブを総動員して酒を飲んで寝た。

 で、翌日見て回るとなんとこの寒波の中でも福寿草は咲いているではないか。
 黄色い花が二日酔いの目にチラチラした。
 10年に一度の寒波なのに日照時間のせいだろうか、ちゃんと1月の末には花を咲かせてしまう。花の方も『オイ、ちょっと話が違うんじゃないか』と驚いているんじゃないかな。

 あちこちで枝が折れたりしているのにつっかえ棒をしたりして裏門の梅の古木のところに行くと、ここにも見落としそうなかすかな花が散らばったように色づいていた。
 この梅はここに来た時から老木だったそうで、桂川の河原に自生していたのをヨイトマケで引き揚げて植えたと伝わる。もう幹もボロボロで3本の支柱がなければ倒れてしまう。それでもまだ必死に花を付けるのは可憐というか神々しいというか。

 その老木のたもとには椿があり、正月の頃には鮮やかに咲いていた椿はもう花を落としていた。ところが、良く見るとすっかり色褪せた一輪が残っている。これは・・・、10年に一度の寒さでドライ・フラワーになってしまったのか。触ってみるとガサガサしてポロッといってしまいそう。最後の最後まで命をつなごうとしている姿に敬意を。

 ここに一人で居れば孤独は確保される。誰も話しかけてこない。しみじみしようが夜空に嘆こうが自由だ。つくづく思うが自由とは孤独のことなのだ。そしてその二つが融合するのが究極のSDGsだと確信した。

ニンニ君

 と、ここまで書いてきて気が付いた。誰も話しかけて来ないのだが、話しかけはしたのである。これでは孤独の看板が泣く。その相手は誰か?この寒い冬を共に乗り越えようとしている同志だ。
 一度しおれかかったものの、霜よけに枯葉をかけてやったり土を寄せてやっている。
 そう、昨年11月に苗付けしたその名もニンニ君。『寒いけどもう少しだ。ガンバレ』などと口に出して励ましたのだ。
 完全なる孤独への修行はまだ道半ばなのである。

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PS 喜寿庵に雪が降ったのでニンニ君をレスキューに行った。

埋もれてた

Categories:和の心 喜寿庵

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