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喜寿庵歳時記 マンモス・フラワーⅡ

2025 OCT 24 21:21:45 pm by 西 牟呂雄

 朝起きてTシャツで庭に出るとヒヤリ、秋風にあたってニヤリ。ようやく季節が巡った感あり、ネイチャー・フィールドに栗を拾いに行った。まだ少ししか落ちていないが、半分くらいは虫にやられてしまうのでサッサと拾ってしまわないと。栗ご飯にしよう。
 っと、振り返ってまだ猛々しい雑草や木々を見ると、違和感がある。なんじゃこれは。

 緑に埋もれて見えにくいが、『マンモス・フラワー』と名付けた、推定リュウゼツランの樹が大きくなったように見える。

怪奇 マンモス・フラワー

昨年不気味な花を付けたヤツだ。
 何年かに一度花を咲かせて枯れてしまうとのことだったが、大きくなるとは何事だ。

 5年前にはぽつんと寂しげに立っていたはずで、そのころの姿はこれだ。

 どうでしょう、なにやらムックリ立ち上がったように確かに成長している。チョットこわい。

 おそるおそる近づいてシゲシゲと見入るとアッ!芽が伸びているではないか。何回も花が咲くなんて聞いてない。
 更によく見ると、前回は1本だけだった芽が二本ニョキニョキ出てきている。という事はこれは新種なのか突然変異か。待てよ、リュウゼツランではないのかな。よく見ると株分かれしているらしい。

 そういえば10月の下旬なのにまだピーマンが採れる。ただし皮が厚くておそろしくマズいが。ナズの花も咲いている。あまりの高温にネイチャー・ファームはミュータント植物工場になったのだろうか、まるでこの僕を取り残して置いていくように。

 話は変わって、かの『飛び地』にも何やら問題が起きているようだった。
 この辺りは以前から水が出て、ハザード・マップにも載っている。すなわち土砂崩れの恐れがあると。まぁ、ウチの飛び地なんかは崩れて真っ平にでもなってくれて構わないのだが、そうもいかないらしい。
 『砂防ダム建設のための土地境界線画定のためお集まり下さい』という案内がきたので行ってみた。
 県の職員・工事監理者・建設会社の人が大勢いて、他にマウントを取りに来るクソジジイと仲良しのオッチャンと僕。どうやら取り付け道路とダム建設予定地は取得済みで、その周りの土地所有者が集められたらしい。そしてそこで初めて分かったのだが、いつもツベコベ言ってくるクソジジイはウチの後背地にあたる山林の持ち主だったのだ。

昼なお暗い

 境界線を見に初めて山に分け入ったが、クマでも出そうな不気味さと足元の悪さに恐れ入った。クソジジイはおぼつかない足取りだが慣れた感じでヒョコヒョコ上り『それでコッチは誰のもんだ』とか『いつからやるんだ』『ウチには入らないのか』とゴチャゴチャグチャグチャ文句ばかり言う。
 目の前の山肌を削って取り付け道路を整備し、更にその奥に高さ10mの砂防ダムを5年がかりで建設するのだそうだ。今更ながら土木技術の高さに感心した。

中腹から見た飛び地

 僕は自分の境界線を確認すると、まだツベコベ言っているクソジジイをほったらかして一人で飛び地に降りてきた。そして突如思いついて工事の人が詰めているところに走り、言った。
『工事に使う重機の置き場に良かったらここを使ってくれて構いませんよ』
 責任者らしい人が、コイツ何を言ってるの、と言いたげな顔をしたので続けて口走ってしまった。
『タダでいいです』
 明らかに表情を変えた工事業者の社長が快諾してくれた。
 この疫病神みたいな土地がお役に立つ。とても清々しい気分になると同時にある妄想が沸いた。
 僕の孫かひ孫が『あの時爺様が、せめて年間いくらで貸与する、と言っておいてくれたら』と嘆く光景を想像して、ますますうれしくなった。この心境、分かるかな。なぜなら僕の爺様が多少違うがほぼ似たようなことをやらかして、随分とあきれ返ったから。

 ところで、近くにある馬頭観音の隣がきれいに整地されていたので覗いてみた。
 すると立派なワンちゃんのレリーフがあった。ペットのお墓だ。
 みんなに可愛がられてよかったね、と合掌。
 しかしこのワンちゃん、荼毘に付して骨壺に入っているのか、飛び地に埋められた馬みたいにそのままなのか、とても気になった。

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Categories:和の心 喜寿庵

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