渡航の際に推奨されるが
2026 SEP 18 23:23:18 pm by 西 牟呂雄
インドにいます。ここはスーラトというグジャラート州の街で、北西部の古い港町。
インドの歴史は実に複雑で、ここがどうなって、という具合に一筋縄ではいかないからブログなんかで追い切れるもんじゃない。現在は世界のダイヤモンドの加工の9割がここで行われ、巨大なスーラト・ダイヤモンド取引所があることで有名。そして建国の父、マハトマ・ガンジーや今日の指導者モディ首相もこの州の出身だ。
ただこの州の問題は、ダイヤモンドもモディ首相もどうでもよくて、ガンジーが「酒屋は社会に対する耐え難いのろい」という言葉を残したことである。
ガンジーの偉大な生涯はひとまず置く。筆者は英国で勉学中に神秘思想結社・神智学協会に被れ、創始者であるブラヴァツキー夫人にも会っていたことに注目している。その影響は南アで弁護士として活動するあたりから強く出て、極端に禁欲的になり、酒なんぞは以ての外。おかげでガンジーの残した言葉に忠実なここグジャラート州は禁酒、ドライ・ステートになってしまった。一般的にヒンディーもムスリムもシーク教も他のナントカ教も飲酒に関してはうるさいのだが、よその州では平気で飲んでいるが。
この田舎町にあるマリオットに投宿し、現地のエージェントが気を使ったつもりでナントカ・アジアという国籍不明の食事をした。するとウナギ・モドキやらスシ・モドキがでてきてビビッたが、親善の根性で食べた。
インドというと渡航の際に検索すれば、破傷風じゃ狂犬病じゃ挙句の果てに腸チフス・日本脳炎の予防接種が推奨されるが、僕はこれらを受けたことはない。気にする人はビュッフェのレタスやニンジンも現地の水で洗ったといって口にしないが、平気で食べる。それでもモドキを食べるのは些かねぇ、ノンアル・ビールで流し込んだが、今頃、日本にはない珍しい寄生虫が繁殖しているかも知れないなぁ。
外国人の場合、所定の手続きを踏めばビールでもウィスキィでも買えるそうだし、空路で入った際にも検査は全くなかった。だがレストラン等衆人環視の公の場では外国人も飲酒禁止だ。不名誉な日本人になるのも気が引けて飲まなかった。
田舎であっても『インドの矛盾』そのものの光景があり、スラム同然の街並みの中に忽然と怪しげなギリシャ彫刻を施した門構えの邸宅が普通に出現する。通りかかったときに住民らしいベンツが門の中に入っていったが運転していたのは若い女性だった。
郊外に出れば、勃興するインドの力強さを感じさせるトラックの渋滞が続き、道端には牛が歩き、働いているのか遊んでいるのか不明の人人人。トラックはことごとく過積載で横に広がっているのじゃなかろうか。マナーの悪さはとても我々では運転不可能の危険さで、胃が痛くなりそうだった。
そして街並みが切れて荒野のはるか先に、目下急成長を遂げている製鉄業のシンボル、高炉が視野に入った。今回の訪問先である。
長丁場の出張で、次の都市はハイテク・シティのハイデラバードに。ホテルについてまずやったことはバーに駆け込んでビール。
ここではイキのいい日本人の青年が迎えてくれた。詳しい話は割愛するが、AIブームはここインドでも当然盛り上がっていて、巨大データ・センター立ち上げのための準備に忙しい。食事の時に妙なる尺八のような音色が聞こえてきて不思議だったが、客室に戻ろうとしたらオッサンが民族楽器なんだろうが横笛を吹いていた。コブラはいませんけどね。
気持ちよくインド・ウィスキイに酔いしれてその日は安らかに眠れた。
翌朝、高級ホテルの窓から見下ろせば・・・やはりスラムが。この国は末恐ろしいよ。
僕はもう古希を過ぎているから若い日本青年と共に夢を見ることはかなわないだろう。が、しぶとく賢くこの地に根を張っていく過程の証人にはなってみたい。一筋縄ではいかないだろうが。
旅はまだ続く。
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