Sonar Members Club No.36

カテゴリー: 潮目が変わった

卒業生のレポート

2021 APR 17 0:00:32 am by 西牟呂 憲

 私が非常勤講師を務めている北富士総合大学も卒業生が巣立っていきました。昨年度に限っては対面のゼミは一度も行われず全てオンライン、遂に実際に会うこともなかった4年生が3人です。
 私のゼミは半期2単位の選択制なので3年生・4年生が同じ講義を受けます。昨年度下期での受講者は7人。従って4年生3人3年生4人、女子学生が多く、男子は3年生の2人でした。この環境下で試験などはできませんから毎回課題図書を指定してレポート提出形式でした。一応講座名は「日本思想史」となっていますが、今どきの学生さんですから時事問題に絡めて毎回テーマを練ります。「キリスト教の普及」とか「仏教の変遷」とかゼミの回数分の課題と図書を選びました。それが12月に入るころ「権力と権威の分離」のテーマに移った時点で異変が起こりました。
 鎌倉時代を背景にした武家政権と畿内の朝廷とのかかわりについて議論を始め、戦国期から江戸時代、そして明治維新を経て敗戦後までを網羅するつもりで3回分の2回目でした。ここで女性・女系天皇についての問題で紛糾してしまったのです。
 7人中4人が賛成。3人が反対、不思議なことに3年生の男子は賛成でした。どうやらその前に発表された秋篠宮家の眞子様の「お気持ち」がきっかけだったようです。
 ちなみに私は立場上中立で議論の進行を見守るしかなく、極端に事実を間違った認識を指摘しただけです。しかしながら単純に賛成=フェミニスト・反対=ネトウヨ、といった構図ではありませんでした。印象ではやや世論に傾いている学生が賛成し、考え抜いた学生が反対になったようで、それは提出させたレポートのクオリティではっきりしています。
 それは今どきの学生さんですから未だに幼さが残っていることは否めませんが、本年卒票した一人のレポートが面白いものでした。本人は卒業後地方公務員に職を得て地元に帰っていきました。しっかりしたお嬢さんで、お父様は地方の商社勤めです。
  レポート内容は反対派なので、SMCの趣旨としてはややバイアスのかかった不適切なものですが、各種アンケートではおおむね賛成の世論であると思われるので、、本人の了解を得た上で抜粋を公開し、広く読者のご意見を促したいと思います。尚、私がこの学生にいかなる評点を付けたかは守秘義務がありますのでご容赦願います。

 『皇統問題が喫緊の問題となって既に何十年も無駄に過ぎてしまいました。私はその間にしばしば俎上に上る女性・女系天皇についてかねてより苦々しい思いを抱いておりました。
 一度も例外のなかった男系天皇が途絶え、次の天皇の権威は保てるのでしょうか。国柄を失っていいはずはありません。壊してしまえば二度と戻すことのできないモノ、これらを文化・伝統として守るのは国民の矜持でありましょう。
 日本の天皇陛下は目下のところ世界で唯一「エンペラー」と訳しうるポジションで(キングなどという野蛮な代物ではない)あり、その権威は神話から続く男系の伝統によって担保されている家系です。
 先般亡くなられた佐々淳行氏が書いています。皇室こそ1世紀に一度あるかないかの国難に毅然として声を励まし国民を統合することができる唯一無二の存在であると。
 3・11で苦しむ避難者を慰めることができたのは先帝のお言葉であったことは多くの国民が知っており、その後に避難所を訪れた某総理に被災者が罵声を浴びせたのと対照的であったと聞きました。
 翻れば先の大戦を収めることができたのも昭和天皇の『堪え難きを耐え、忍び難きを忍び』の肉声で、300万将兵が一斉に武装解除に応ずるという奇跡が起きたからではないでしょうか。
 その天皇陛下たるや、単に巡りあわせで帳尻の合うようなものではなく、将にひたすら国民を思う、と鍛えられた人が生み出す品格と威厳あればこそです。仮にその場にあの某青年の顔を想像すれば、女系天皇などあり得ません。そういうケースを排除するのが男系の維持という考え方で、女性排除とは違うのです。
 私の父は前回のサッカー・ワールド・カップがロシアで開催された際にエカテリンブルグに滞在していました。その際、オリンピック誘致でも活躍された高円宮久子様が、故憲仁親王殿下が日本サッカー協会の名誉総裁だったご縁で訪ロされていて、その時の、つい四半世紀前まで共産主義者であったロシア人達のプリンセッサ(ロシア語)・ヒサコに対する熱狂的な歓迎ぶりに目を見張ったと言っていました。エカテリンブルグはロマノフ家が惨殺された町であり、その跡地には教会が建てられていました。ロシア人達は自分たちが失ってしまったものに対する憧憬があったに違いありません。それはエンペラーの家系の権威であり、久子妃殿下が品格をお持ちだからこそと思います。久子様は民間からのお輿入れですが、ロシア人を熱狂させる品格と威厳をお持ちです。
 ただ皇統には思い込んだら一途になる遺伝子があるようで、聞くところによるとそれこそ昭和の陛下も平成の先帝も令和天皇陛下に至るまで思いを遂げられています。それが悪いということではなく、そうであったとしたらなおのことお相手には相応しい振る舞いが求められるのではありませんか。皇太后陛下も現皇后陛下も悩み苦しみつつそれを身に着けられました。
 皇嗣殿下の教育はいかなるものなのか、内親王殿下の振る舞いにはいささかの違和感を感じます。そういう結婚をしてはいいはずがない、となぜ初めからおっしゃらず「憲法が規定するので認めざるを得ない」と仰ったのでしょうか。
 ひょっとすると〇〇さんは「あんなのが皇族入りしては大変なことになる」という意識を国民に植え付けるために男系堅持派が送り込んだダミーなのではないかとさえ思えます。
 2000年の歴史を考えれば、100年や200年の時間軸なぞ知れたものであり、その血を引く正統性が確保される者に早めに帝王学を叩きこみ次世代に備えるのはもっとも理にかなっていましょう。
 そもそも皇族の高みに上るにあたってはプライバシーなぞは無きものと心得なければならぬことを教えなければ、〇〇さんのような者が入り込むスキができてしまう。お言葉にあった、結婚することが必要な選択などという戯言を文書で発表するとは何たる不始末でしょう。
 愛子内親王殿下には有無を言わせず旧皇族の男子と婚約していただき(候補者はいます)、万が一に備えて頂くのがよろしい。それがいやなら、皇嗣殿下の内親王様たちはすでに手遅れゆえ旧皇族男子の全員を速やかに復帰してしかるべきと考えます。
 いずれにせよ、あまりに根深い問題を世論で判断しよう、或いは多数決による機関決定する、などとは不届きであり、ましてや「外国では」と歴史も伝統も違う事例を持ち出すような意見を参考にする必要はさらさらなく、ここは何としても女系・女性天皇のみならず女性宮家の創設もやめなければなりません。これはジェンダーの問題でも女性の地位の問題でもないのです。日本の国柄を崩す蟻の一穴は塞いだ方がいいのではないでしょうか。
 ところで憲法について、直近気が付いたことがあります。先帝退位の際に「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」が発布されました。驚くべきことに、これに対して内閣法制局は「退位するという天皇の声明文は天皇の意思表明と見なされ」「天皇の地位は国民の総意に基づく、とした憲法1条、並びに天皇の国政関与を禁じた4条との整合性がとれない」という見解を発表しています。
 崩御された際に行われる国事行為と同じことをするのに違憲の疑いありとは、いかにも責任逃れのためのお役人の発想で誠におかしいと思います。
 事程左様にツッコミ所満載で、翻訳悪文の見本のような憲法をロクに変えられないで独立した国家と言えるのでしょうか。九条改定の議論を待つまでもありません。
 膨大なエネルギーを使って自衛隊が違憲であるという判決が下るようなバカバカしさに「いいかげんにしろ」とは思わないのでしょうか。こういうことを続けていては違憲判決に罰則もないのをいいことに解釈でつぎはぎばかりになり、逆にリベラルを通り越した全体主義への逆バネが効いて保守勢力でさえ顔をしかめる国家になってしまいます。
 話は変わりますが、余談を少々。私の知り合いに藤原家の血を引く方がいらっしゃいます。明治までは京都の山科にいたそうです。その人が声を潜めて言うには藤原家の始祖は鎌足ではなく不比等である、とのことです。即ち中大兄皇子の子を宿した采女を下げ渡され生まれたのが不比等、天智天皇の皇胤に当たると。このことは藤原家には伝わっているらしく、近衛文麿の弟の忠麿(水谷川家への養子)から今東光が聞かされて活字になっています。私の知り合いの説では他にもう一人天皇家から養子に入った者がいることになっていて、それがその後の藤原一族の出世の要因なのだとか。
 もう一つ、先般高円宮絢子女王と結婚した青年がいます。現在日本郵船のサラリーマンをされていますが、NPO法人「国境なき子供たち」の理事も務めているそうです。どうもおばあ様の頃からこの活動に熱心だったお家と聞いています。そしてそこを通じて久子様との面識があったため、今回のご成婚にいたったのでしょう。
 こういう気質、すなわち公の心を保つような伝統を持つ人の集う、あるいは家風として伝えているイエであれば安泰というもので、久子様の教育と慧眼に恐れ入るばかりです。

 幸い、旧皇族方は菊栄親睦会なる集まりを通じて戦後も親戚づきあいをされています。ご指摘の光格天皇・継体天皇の例を持ち出すまでもなく、自然に溶け込めることは間違いありません。それを差し置いて女系だなどとは不見識も甚だしいと考えます。

 如何ですか?さて、このレポートは昨年提出されたものですが、昨今レポート中の〇〇氏の手記なるものが発表されました。全文を読んではいませんがネットで知る限りでは、法律家を目指しているとは思えない身勝手な理屈をコネまわし、猛烈な反発を受けると4日後に支払うことにしたという不可解な経緯をたどっています。しかも内親王殿下に相談してお墨付きを得ている、とするなど責任転嫁するのを怠らない。あまりの稚拙な戦略にあきれ返るしかありません。これでは・・・アッ、SMCの内規に触れますのでこの辺で。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

日本の分断

2021 MAR 8 0:00:26 am by 西牟呂 憲

 コロナ禍の元、はや1年が過ぎようやくワクチン接種が始まった。この1年というものほとんど山荘で暮らし、それでもヨットにも乗りスノボもやった。やらなかったのは飲み歩くことだけで、家飲みのコストが上がっても純粋にビール・焼酎だけでは大したことにはならないのが分かった。これでは個人消費が上がらないと実感した。
 一方では企業業績は回復しつつある。消費を抑えて所得があまり落ちなかった結構な人々は車の買い替えに走ったらしい。さらにジャブジャブの金融政策で株価は3万円に達した。ただ、株を買い越しているのは外人のようで、企業業績を反映していない、すなわちバブルなのだな。
 ここまではいいとして、さて長きに渡った厄災の後にパラダイムシフトが起きるかも知れないと警鐘を鳴らしてきたが、その姿が透けて見えてきた。
 いくつかの条件が不透明ではあるものの、消費の急回復が見込まれそうで、それも余程の外的要因がマイナスに働かなければ比較的長続きしそうである。更に脱炭素というグリーンエコノミーが新たな投資を呼び、様々なイノベーションも含めて大きな成長要因となるだろう。
 少し時間を戻して、昨年は日米の指導者が変わった。アメリカではバイデン大統領が誕生し、日本は菅政権がスタートした。しかしいずれも前政権の影を引きずっていると筆者は見ている。菅総理ははっきりと安倍政治を引き継ぐと公言して後継となった。その長期安部政治への支持率は辞任を表明した時点で共同通信の調査では30%台から20ポイントも跳ね上がった。トランプは敗れはしたが7100万票も獲得しアメリカの分断を一層明らかにした。7100万票はオバマ大統領の獲得票数よりも多いのだ。
 即ち、日本の場合は大方の民意はスムースに後継を選び、アメリカは改めて分断が浮彫になったと言える。いや、むしろアメリカの分断がトランプを生み出したのだ。ティー・パーティー運動やサラ・ペイリン副大統領候補の動きがあったではないか。おまけに民主党にバーニー・サンダースという対立候補がいた。
 日本はその時期にソフト右傾化を巧みに舵取りした安倍政権により安定していた。例えば悲願とまで表明した憲法改正には抑制的だった。
 大変面白い社会分析アンケートでボーター・サーベイという手法があり、読んで字のごとく投票行動に対する調査だ。国際政治学者の三浦瑠璃氏の著作で知った。設問に答えることで縦軸に社会的な保守ーリベラル、横軸に経済保守ーリベラルの4象限に分ける手法で、第一象限から反時計回りに保守・ポピュリズム・リベラル・リバタリアンと分析している。
 アメリカ人の投票行動をこの手法で分析すると保守とリベラルの二つの塊が出現し、それが共和党と民主党の支持者にピタリと重なる。ところが同じ調査を日本でやると投票者は全象限にバラけてしまって偏らない。
 著者が日本の政治家を採点してみたところ、第一象限=安倍晋三、第二象限=原口一博、第三象限=枝野幸雄・山口那津男・山本太郎・志位和夫、第四象限=橋下徹、ド真ん中に石破茂、となっている。因みに簡易テストを自分でやってみたところ第一象限の遥か上の方に行ってしまい統計的に管理外になってしまった。即ち私の意見は永遠に反映されないという事だ。
 ところで、自公連立というのは保守層にリベラルが従属する理想的な形であることがハッキリする、この構造を倒すには立憲・国民・共産の連立がなければ選挙で勝てない。安倍政権が安全運転に徹して改憲を大きな争点にしなかったため、連立政権はあらゆる層からの票を掘り起こして勝ち続けた。給付金を公明党に合わせて一律十万円に切り替えたのが典型的なケースだ。
 三浦氏はさらに分析を進め、日本人の本音と建前構造にまで掘り下げていくのだが、詳しくは著書の方を見ていただこう。
 実は日本に関する調査はコロナ禍の前に行われている。2020年の1年間でどれ程国民が痛めつけられて意識が変わったのかどうか。或いは全体にバラけていたものがどこかの象限に移動したのか。
 この調査には年代が付記されていて年代の分布が分かる。するとリベラルのゾーンは何故か年齢構成は高い。団塊世代が中心かとも見える。おそらくこの年代は全共闘運動にも重なっていて、いまさら保守とはいかない。コロナ禍の打撃は比較的少ない。
 一方の保守が意外と若い世代の支持が高いが、人数そのものが高齢者に比べて少ないので投票行動についてはいわゆる無党派層となっている。ここは学生も含まれていて、実質コロナの影響をもっとも被っている年代である。貧困の問題も深刻なケース(若いシングル・マザー、コロナ失業者、アルバイト学生等)も多く、流動する可能性が高い。
 ただしその場合でもいきなり保守⇒りベラルへの移動はないのではないか。昨今の不祥事(森失言・総務省接待)への野党の追及姿勢があまりにも礼を失したありさまに、かえって野党の支持率が下がったことを考えるとリベラル系の政治家への支持にはなり得ない。三浦氏の分析では菅総理は保守ゾーンではなくリバタリアンに位置しており、ど真ん中の位置にいるのは石破茂なのだ。保守からの流動はせいぜいそのレベルまでだろう。
 今のところ日本には移民による人種問題はない。すると上記仮説からもわが国には分断は起こり得ないという結論になる、いまのところは、だ。
 おそらく二つの理由による。一つはあれだけ持て囃された『新自由主義』であるが、調和を好む日本に本質的になじまず、その恩恵による富裕層という者が『層』として形成されなかったこと。一時ヒルズ族と呼ばれたIT長者がいいところまで行ったが、社会的に認知される前に統廃合されてしまった。もう一つは中産階級全体が20年以上も続いたデフレにより地盤沈下したため、多くの場合格差が拡大していると認識していない、と見ている。
 筆者は政治家ではないのだが、せっかく格差・分断に覚醒していないのなら、なるべくそのままの状況を維持する政策が望ましいと思う。そのためには少し前に大流行したトマ・ピケティが主張したように、累進性の高い税率で分配する仕組みに持っていかざるを得ない。その場合の線引きは・・・。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」
 

森失言は悪いに決まっているが

2021 FEB 12 0:00:39 am by 西牟呂 憲

 そりゃ、あれは悪いですよ。ああいう立場の人が言っていいことじゃないので、十分反省してもらって今後立派に勤め上げてほしい。
 だけど辞めなきゃならないほどとも思わないな。謝って撤回してるんだから『お爺ちゃんいい加減にしなよ』くらいで済む話。八十翁が口を滑らせただけでしょ。世界がどう言ってるかは関係ない(筆者はアンチ・グローバリストなんで外国がどうこう言ってくると反射的に開き直る癖がある)。時間の感覚が無いのではないか、と思うほどいつまでも自分の意見を主張したり、アーでもないコーでもないと同じ自慢話が長いのはオッサンも多いよ。
 おそらく直近に、時間が迫っているのに特定の女性がまくしたてて往生した経験がトラウマになってあのマヌケな発言になったと推察する。普段イエスマンに取り囲まれている典型的な老害である。だが、繰り返すが辞めなきゃならないほどの話か。
 森センセイは元々文教族でスポーツ関係では世界中の要人とパイプが太い。更にコスト切りのプロで、今回も知事の引っ掻き回しや延期にかかる予算の膨れ上がりに辣腕を奮っていることはクロウトの間では知る人ぞ知る。
 それに、もし本当に今年実施されるとすれば、もうあまり時間がないところに新しい頭を据えたら現場がどんなに大変か、組織を運営した者なら容易に想像がつく。辞任を言い立てるのはある種の意思(オリンピックを成功させたくない、といった)が働いているのか、ほかにネタがないからマスコミが飛びついたのか、と勘繰らざるを得ない。
 例えばあの森氏の逆ギレ発言を引き出した記者の下品な質問である。あのエラソーな物言い、煽り方、お前は何様でどこかの工作員か、と聞きたくなる煽りだった。あんなのを見ると(無論マヌケな失言はマズいが)森氏よ十分反省してガンバレと声をかけたい。  
 同じく、ガースーへの無礼極まりない質問をした野党参議院女性議員にも同じ下衆の志の低さを感じた。ここが名前の売り時とでも思ったか、必ずしも雄弁ではない総理に『国民に伝わらないんですよ』とまくし立てる。あれで共感を得る国民はいるのかも知れないが、それは違うのではないか。こんな質問で時間を費やすとあのマズイ森失言もありになってしまうではないか、女性議員さん。ここもやはり筆者としては、がんばれガースーと言わざるを得ない。
 ただ、その無礼な質問に対し目を据えて『失礼ではないか』とドスを効かせたガースーは迫力あった。近いうちにその議員周辺のスキャンダルが出る予感がする。あんまり調子にのるなよ、の警告だろう。
 そもそも組織委員長はボランタリーに勤めているのであって、政府ともJOCとも別建ての団体なのだ。国会で取り上げるような話かね。ミャンマー情勢とかワクチン搬送とか景気対策をやってくれよ。
 だいたいそういう役職に就いてくれるのは功成り名遂げてヒマな名誉欲だけが旺盛な人しかいない、あれ会議だらけで忙しいんですよ。辞めさせたところで後のなり手がいない。それなりの重みの人はなかなか探せないし今更受ける人なんかいない。どこかの皇族がいいかもしれないが適任なのは高円宮妃殿下久子様くらいだろう。海の王子?まさか。
 そうこうしている内に炎上騒ぎになって、朝から晩までワイド・ショーがこの話に明け暮れているそうじゃないか。そうなると寄ってたかって非難声明を出さないと、お前もそうか、の魔女狩りに巻き込まれる。一番辞めたがってるのは本人じゃないのかね。野党の女性議員の白装束は薄気味悪いし、とうとう某知事は嬉しさ丸出しで会議を欠席するパフォーマンス。ポピュリストは気楽でいいよね。
 改めて、森失言はダメですよ、ダメ!だが筆者は、あんなお爺ちゃんはそういう頭だからしょうがない、としか思わない。だけどこうガンガンやられているともはや手遅れというか勝負あったね。バスに乗り遅れるなの大合唱。しばらく選挙は打てないだろう。
 そして当然の事であるが辞任。後任は川淵三郎、この人は選手村の村長だから何とかはなるだろう。世の中はそんなもんですか、オレは群れるのが嫌いなだけのスネた年寄りなのだな・・・。
 実はこの森という人は座談の名手で、話せば大変面白いオッサンだ。さる縁で偶然話を聞いたことがあってファンになった。総理も同じように辞任したが、その経緯は抱腹絶倒モノの語り口だった。
 プーチンとの交流も巧みであったし、李登輝の訪日ビザ問題でも気骨を示した。ラグビー・ワールドカップの招致にも手腕を発揮。
 こういう所、誰も評価しないので念のため。もう少し脇を締めてくださいよ、遅いけど。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

勝負どころのこれから

2020 JUL 27 21:21:08 pm by 西牟呂 憲

 雑音を遠ざけてじっくり考える。浮かび上がってくる思いがやがて見えてくる。
 僕はポピュリストではないから世論を気にはしないし炎上するほどの読者もいないので、いくらでも暴論を書き連ねてもかまわない。この際ちょっと整理しておきたい。ただし右翼なのでリベラルの人は読まない方がいいですよ。
 安倍総理の果敢なところが発揮されたのは、予算を組み替えて『1人10万円支給』に舵を切ったところに凝縮される。その他、遅すぎる早すぎるとかまびすしいが『学校休止』『非常事態宣言』等打つべき手は的確だったと考えている。
 難を言えばあの新法の中身の薄さと評判の悪いマスクなんだが、パニックを起こしている国民にメッセージを送るつもりで滑った。マスクはたかだか数百億、一律10万円は12兆円だからマスクはやらなけりゃ良かったぐらいだ。
 手続きの問題はなしとしないが中小企業への繋ぎ融資も10兆円を越える枠であり、総理はまだまだ追加する気満々なのが頼もしい。
 締めて数十兆円は国債発行でまかない、その国債は全部日銀が購入する。流行のMMTによれば誰も困ることはない、人間の欲望には限りはないのだ。
 そこで改めて世界を見渡せば、先進国の中で最もダメージが少なかったのは日本だ。この際中国はあえて触れない。本当かどうか分からないことに加えて、今後まともに付き合う必要はないと思い至った。稼ぎたい人が覚悟を決めて稼ぎに行けば良い。そういう意味では韓国もそう。友好は目的ではなくて結果だ。先の結果はコメントなんかできない。
 EUの惨憺たる有様や、アメリカの凄まじい分断は日本にはない、あるけれど少なくとも移民問題からは解放されている。
 そこで少し前までのゾンビ国家からの脱却をひたすら志向すればいい。
 今回のテレワーク推奨で、取引先や同業者の動きを見ていて、いくつかのヒントがあった。
①『不要・不急の出張は止める』なにこれ。すると不要な出張を前提に仕事をしていたのか!
②『大人数の会議の中止』不思議不思議、見ていると何もすることがなくなる人がいた。こういう人は会議に出るだけなので、その人(シロウト)の理解のための資料が増える。ということはそのために負荷がかかる人が出てくる。
③『接待の自粛』自粛できる接待はしてもしなくても同じということが良く分かった。すると接待の(セットする)ために出社しているというオッサンがいる。
 要するに結構な給料を貰っていい気持ちになっているオヤジの大半が最もデジタル化によっていらない人達だったことが奇しくもコロナでバレたのだ。

 これから進むデジタル革命で上記の無駄がなくなる。それに加えて日本は何故か感染者数・死亡者数とも突出して少ない。自粛要請だけで済んだのは謎だろうが、この日本モデルを世界が見習おうとしてもできまい。なぜそうなのかはえらい学者センセイが分からないのだから僕にわかるはずがない。しかし中国のような監視社会でなくても充分に押さえられたことも事実だ。
 ぼんやりと思いついた仮説はこうだ。
 ベーシック・インカム或いはベーシック・アセット及びヘリ・マネは正しい。むしろ、放っておけば拡がる一方の格差解消の社会的コストは安くつくだろう。
 マスコミはそのうち書くだろう。財政規律の破戒だナンだ。要するにイチャモンの類なんだが、そういう話を載せれば溜飲が下がる人々は大勢いる。現在進行形の戦争の最中に有効な提言ならまだしも対案にもならない妄言を喜ぶのはいささかおかしいのではないかとさえ思う。
 リーマン・ショックの際に中国はなりふり構わず財政出動させ、立ちすくむ先進国にあっと言う間にキャッチアップした。勿論国内格差は拡がったが、そもそも自国民をいくら傷つけても押さえつけて構わない統制国家であり、それだけでは収まらずに他国への(自国内少数民族も)進行を隠そうともしないで切り抜けた。日本はどうか。
 政府がバブルを煽っているのだから足元の株価はご案内の通り。だがその恩恵に全くあずかれないゾーンがヘリ・マネによって救わればいいのではないか。
 その金で倹しく楽しみを味わいながらそこそこやってくれればハッピーなのだが、例えば全てパチンコでスッてしまうような輩は一定数いる。まさか上記中国のように統制はできまい。それでなくても既にAI・ロボットによってそのゾーンのできる仕事は恐ろしく手間のかかる生産性の低いものしか残っていないのだ。
 一見矛盾するが、煩雑で手間のかかる仕事をデジタル化するコストよりも人間にやらせたほうが安くつく、自動化されない。
 例えば凝った料理。材料の状況に合わせて仕上げるような仕事。或いは相手に合わせたサービス、即ち保育士、調停人、といった時間を掛けて双方が納得するまで丁寧に対応する仕事。そういう仕事の時間単価を上げる、または税率を極端に下げる、といった方策はとれないか。要するに職人を大事にする日本独特の文化にのっとればどうであろう。筆者としてはグローバル化ももうこの辺で先が見えた気がしている。
 すなわち、あんまりグローバル化が進むと国家を超えたある種の組織、例えばGAFAのようなオーガニゼーションが力を持ち過ぎて、それこそ陰謀論者が喜ぶような世界になってしまいそうな気がしている。
 余談であるが、ゼロ成長平和社会の一つの例として江戸期の都市における職人は大体月に十日も働かない。後は花見だ紅葉狩りだ夏祭りだ相撲だ正月だで遊んで暮らして無税だった(貧しかったが働きもしていない)。そういう巧の国になってもいいじゃないか。えっ、いやですか?もっと稼ぎたい?そうですか、すみません。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

ニュー・アブノーマルな日々

2020 JUN 25 10:10:55 am by 西牟呂 憲

 しばらく振りの都は少しづつ活気を取り戻そうと佇んでいるようだった。報道は盛り場がどうしたこうしたという映像を流しているが、お店は死活問題だろう。そして景気はそれどころじゃないことはみんな知ってる。こんな時は何をやっても早急な回復なんか絶対にない。当面消滅した消費は戻らない。
 政府ができるのは個人に行き渡るように金をバラまいて暫くジッとしていてもらうしか無い。そうやってサバイヴしてもらうのが精一杯で、そういう意味では補正予算を組んだ内容は割りによくできていると思った。
 考えても見てほしい。世界中でメチャクチャになった。
 本当に明日をも知れない人たちを助けてやれ、並みの連中は暮らしぶりをシフトダウンして我慢を重ね、我慢の果てに何とかなった日に飲みまくれ。
 それで僕が何をするかといえば、まあ仕事をするべく社会復帰したが今一つ手ごたえはない。
 緊急事態宣言中は罹らないことが世のため人のためと考えたのだが、このニュー・ノーマルの環境下では総退却後の反転攻勢が見えてこない。そもそも敵は見えない。

 我々保守派はもっぱら他国を批判したがるが、足元の国難に対して有効なスローガンを打ち出せていない。何か発言しようとすると『欲しがりません 勝つまでは』風になってしまい、これでは今日の世論を引き付けられない。3.11の時にあれだけの行動が取れたクレバーな国民だからそういった言葉は必要ない。しかしテキトーな英語じゃねぇ、ウィズ・コロナ?
 するとやはり足元を見据えて、底力を蓄えるべく雌伏。時を待ち気概を養う。そして・・・。
 山から上京してみたものの手探りが続く。通勤の地下鉄はそこそこ込み合ってきたが大したことにはなっていない。マスク装着率100%。喫煙所が混んでいて三密というより集・近・閉(しゅうきんぺい)。結局週の半分はまた山に戻ってしまった。

 僕は常に何かの生産活動に少しは触れていたいという意識が強い。そこでささやかなネイチャー・ファームの面倒をみている。テレ・ワークの傍らチョットだけ手を加えられるのが実に効率がいい。こういうのは半農半テレと言うのだろうか。

ピッコロ君

 ところで先般ヒョッコリ先生のペットだと判明したピッコロ君とマリリンちゃんが異常に農作業に興味を示している。

喜寿庵で植樹


 本当は国籍不明の子供だった気がするがまぁいいや。どうやって入って来るのか分からないのだが、今日も僕が土寄せをしたり水をやっているところに現れた。

マリリンちゃん

 『やあ、ピッコロ君おはよう』
と声をかけると嬉しそうに寄ってくる。一目で分かるアイリッシュセッターだ。そしてその後からマリリンちゃんが物凄いスピードで駆けて来た。そもそも放し飼いは禁止されているのだが、ヒョコリ先生が散歩の途中で面倒になって『ここで遊んで来なさい』と放つのだろうか。しばらく手伝っているのか遊んでいるのか、いつの間にか帰って行く。ピッコロ君は猟犬だから見ているだけだが、マリリンちゃんは僕が土寄せをしているとその横で猛烈な勢いで土を掘ってしまう。そしてそこに鼻先を突っ込んで匂いを嗅いではまた掘り進む。

スーパーにんに君

 写真から検索すると、この子はサルーキーという犬種のようだ。そして、最古の血筋だのエジプト王家のペットだのと大層なことが書いてあり、やんごとない犬なのか。しかし砂漠の犬だけあって掘るのは速くて上手い。
 僕が今年の目玉であるスーパーにんに君を収穫している横で、見よう見まねで野性化したジャガイモを掘ってしまい、できそこないが採れた。
 にんに君が立派に見えるが、一緒に写っているのは親指大のミニ・ポテトである。
 ともあれ今年の初収穫だ。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

去年失ったモノ

2020 JAN 13 4:04:33 am by 西牟呂 憲

 年が明けた。
 この年になると毎年毎年何かを失っていって、最後の時には何も残らない、と考えるようになり、それは素晴らしいことなのかな、等と思い始めている。
 その時にある言葉と出会った。
『失ったものを数えるな』
 これはギランバレー症候群と戦いながらパラリンピックを目指す、久保大樹さんをNEXTYLEの仲間が動画アップした際に教えてもらった言葉である、参った。
 そこでクヨクヨ失ったと嘆くより、失ってこそ輝きを増すような見方をしてみようと振り返ってみた。念のため、昨年あった深刻な自然災害や経済問題・国際問題は除く。

日本ハム ファイターズのCS進出
 出だしはまずまずだったのだが、他球団に比べて著しく手抜きの補強と、交流戦後の栗山監督のマヌケ采配によって一時は最下位にまでなってしまった。
 そうなると私のフォースも全然通じず、シーズンは終わった。更に来季への戦略的補強も大して聞こえてこない。年末の極秘オーナー会議では中島オーナーから高らかにホークスのリーグ優勝宣言がでる有様である。
 だが待てよ。昨シーズンは清宮と上沢を怪我で欠いていたではないか。そして来季には吉田輝星も仕上がってくるはずだ。台湾大王も2年目の期待は高まる。
 要するに中田を引っ込めてセットアッパーとストッパーを固定すればいいのではないのか。去年はショート・スターターなどという妙な戦術にこだわって金子と加藤の使い方を間違えたのだ。
 どうせリーグ優勝はホークスに決まっているから、ロッテと西武をマークして2位を狙えばいい。栗山監督によーく言っておこう。

喜寿庵の裏木戸
 固い栗の門柱に竹を巡らせた裏木戸が、門柱が腐ってきて台風で倒壊しかけた。その風でハナミズキの庭木も倒れる。
 あの裏木戸はもっぱら普段の出入り口だから感慨深いものがあったが、思い切ってコンクリート製の門に変えた(中は空洞)。そして『令和門』と名付け竣工式に御祓いの祈りを捧げた(私一人で)。
 すると関係者から『せっかくの景観が台無しだ』『風情も何も無い』と悪評サクサクであった。
 しかし砂利を敷いて、ついでに除草剤をタンマリふりかけると何と、あれほど苦痛だった雑草取りの必要がなくなった。

プジョー407
 すでにブログで明らかにしてあるが、愛車を手放した(廃車にした)。美しいエムブレムを見るたびに思わずニンマリとする車だったが実に足回りが悪かった。
 バカ高い車検。釘踏みによる珍しいパンク。△△△△違反2回。〇〇無視1回。以前の車の時の◎◎◎◎違反、といった不幸の連鎖による◇◇停止のため府中行。
 そして挙句の果てに白煙を上げながら私の元を去って行った、アーメン。
 しかし、そこにペガサスのように舞い降りてきたのが『石畳の鉄の馬』ことシトロエンC5だ。
 何とこの車、いくら飛ばしても絶対に捕まらない。おまけに夜中の信号も赤になるとちゃんと止まる。ひょっとして既にAIが搭載されているのではないだろうか。

大腸の一部
 大腸を10~15cm、数年寄生していた癌とともに切った。癌は確かに死に至る内臓の機能不全と壊死を呼ぶ。従って切除手術は仕方の無いことである。
 しかしながら『在る』ものが『無くなる』ことによるダメージは、特に消化器の末端の大腸ではその後の生活に様々な支障をきたす。単に腸が短くなるのではない。その他の内臓が心地よく配置されていた空間の位置関係が、ビミョーにずれるのである。恐らく指を詰めたヤーサンのグリップが全く違うようなものだろう。
 お医者様は『そのうち大腸の方も慣れてくるんですよ』等と余裕だが、切った大腸がまた伸びてくるわけがない。詰めた指が生えてこないのと一緒だ。
 すると私は大腸の一部の代わりに、命と不自由な体を手に入れたことになる。

意識
 これは上記手術の2日後に起きた。せん妄というヤツである。記憶は全く無い。恐ろしいことに体に入っていたチューヴと点滴針を引き抜き、血が飛び散った。床が血だらけになったシーンだけが写真のように記憶の片隅に残っている。
 せん妄、検索すると恐ろしいことが書いてある。「時間・場所・人に対する認識が低下。支離滅裂な言葉を発して・・。壁の絵が動き出すなどの幻覚や、点滴が蛇にみえるなどの錯覚・妄想が現れる」
「アルツハイマー病など脳疾患の存在もせん妄の発症に関わる」
 要するにボケ・モウロクの一種だ。
 私はそのボケ・モウロクはもっと楽しい桃源郷に遊ぶ心地かと思っていたが、あんなに面白くも何とも無いものならやはりなりたくない。だがなったのだ。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

関東軍特種演習

2019 APR 16 1:01:58 am by 西牟呂 憲

 悪名高き泣く子も黙る関東軍が、わずか6個大隊で満鉄警備の守備隊として産声を上げたのは大正八年。それから10年も待たずに数々の暴走をしでかして、ご案内の通りの結果を迎えた。
 提題の『特種演習(特殊ではない)』は、通称『関特演』として真珠湾攻撃の直前の昭和16年7月に大動員令が下り、満鮮派遣部隊に内地からの2個師団も加えた70万人という大兵力を展開したものである。
 これは、直前にソ連に雪崩れ込んだドイツの動きに対応し、当時の陸軍が北進の意思を表した示威行動(ノモンハンの後にもかかわらず)と解釈される。帝国陸軍の長年の仮想敵国であるソ連に対し、三国同盟を締結してしまったためにせざるを得ない、従ってその後の茨の道の第一歩であった、と。
 ところが、先日上梓された文春新書『なぜ必敗の戦争を始めたのか』での陸軍参謀本部のエリート達の話では、この関特演の動員について一部の上層部以外は終わってから知った、と驚くべき証言をしていた。それどころか、この時点で陸軍中枢では支那事変でこりごりしており、参謀本部ロシア課では「うっかりするとドイツもソ連で支那における日本のような目にあうぞ」と心配する向きもあったようだ。
 従って『関特演』は北進を焦る関東軍と参謀本部上層だけで突っ走った結果と言えよう。
 尚、関東軍参謀として『関特演』の作戦に携わったのが、財界人となる瀬島龍三である(後にソ連のスパイであったことが判明)。
 海軍は米内・山本・井上のトリオは三国同盟反対を唱えてはいたが、伝統的な仮想敵国はアメリカであり、中には石川信吾大佐のようなイケイケもいた。この石川大佐は海軍きっての政治将校で、筆者は以前から海軍に於ける辻政信だと思っている。どちらも内部では不規弾(規格外の方に飛び出す弾)と呼ばれ、それでいて前線の部下の評判はいい。「この戦争を始めたのはオレだよ」とうそぶいたと複数が聞いている。
 同書の後書きで、編者の半藤一利はその石川大佐が主役となった「海軍国防政策委員会」の取材に苦労させられたことを記しているが、それぐらい海軍関係者もヤバいと秘匿したがった組織だったことが伺える。
 そして海軍も開戦半年前には「出師準備第一着作業」の着手を発動して、事実上の動員をかけているのである。この狙いはいわゆる南進で、陸軍の関特演と一対をなす海軍版と言えなくもない。
 松岡外相が三国同盟を推進しドイツに付き合うような北進を言ってみたり、、返す刀で日ソ中立条約を結び突如シンガポール攻撃を示唆したりと変幻自在、という軽業師のような外交を展開していた。
 山本五十六が三国同盟締結に対し必死に食い下がり、資材調達の面から及川海軍大臣を詰問すると『もう、勘弁してくれ』と逃げを打たれる。そこで『勘弁ですむ話か』と怒鳴ったのは有名な話。
 スッタモンダの挙句に南部仏印進駐、と物凄く忙しい。
 その中で陸軍参謀本部の殆んどはアメリカとの戦争など考えなかったと『なぜ必敗の戦争を始めたのか』では証言している。アメリカとやるのは海軍の仕事だろう、とタカを括っていたのだ。また、戦争継続の国力比較でもまるで敵わないことは分かっていた。ましてや、ロクに地図もないようなインパールへ行くだの、南の島で米海兵隊と死闘を演ずるなど作戦俎上に乗っていなかった。
 ルーズベルトは大のナチ嫌いで、その反動のせいかソ連には甘い。それどころかコミンテルンの工作も相当受けていることが明らかになって来ている上、日本に対しては人種的偏見もある。
 アメリカは油を止めた。
 陸軍エリートは南部仏印進駐で石油が止められるとは思ってもいなかったらしい。驚くべき外交センスだが、それから南の物資を当てにした戦略を練り出して慌てる。
 ここに及んでも、途中にフィリピンがあるにも係わらず対米戦闘は考慮の外。それなりに長期の戦争に耐えられる作戦を立てようとはしたようだが、太平洋は海軍の縄張りだと島嶼戦略などハナからないのだ。これでは勝てないに決まっている。
 海軍は海軍で先程の「海軍国防政策委員会」は『油が止まったら即戦争』と吹聴していたフシがある。
 近衛首相が切望していたルーズベルトとの会談はいいようにあしらわれて(この時点でルーズベルトは開戦を決めていたというのが最近の研究)総辞職。東条内閣となる。東条内閣では最早ブレーキがかかるどころではない。ターニング・ポイントは第二次近衛内閣以前で、責任を東条一人に負わせるのはいささか・・。 
 開戦に至り、いきなり真珠湾とマレー上陸作戦になる。真珠湾は秘匿作戦だったから、『なぜ必敗の戦争を始めたのか』ではまさかやるとは思わなかった、との陸軍参謀部員の発言があるが、これは少々言い訳がましいふざけた話。
 これで提題の『関特演』で満洲に集められた膨大な兵力と資材は移動せざるを得ず、物凄い金と時間を無駄にしたことになる。資材に関しては南に送れなかった物が多かっただろう。
 私は学徒出陣で仏印に終戦まで進駐した陸軍大尉だった人の話を聞いたことがある。この人は北満洲に関特演で行った部隊が遥かベトナムを通り、更に南下させられたのに立ち会った。それによると、移動距離の長さも凄いが、途中いくつもの戦闘を經驗し更に移動するという過酷さから、指揮官も兵隊も実に殺伐とした雰囲気で、今にも抜刀しそうな殺気があったと。
 
 エネルギーは今でも自給できない。半島から大陸は当分反日だろう。地政学的に言って、対米同盟強化と台湾・フィリピン・マレーシア・インドに至る自由と繁栄のカーヴを堅持していくしか道はないように見える。

 山本五十六の嘆きやいかに。陸・海軍の双方の秘密主義たるや、必敗の連携の無さである。
 ところで対米交渉に失敗した『北』の国は、まさかミサイル実験を再開しないだろうな。もっとも、わざわざ会談をしに行って妥協しない気概を見せつけたトランプはますます締め付けをしてくるだろうが。

新春架空座談会 (帝國陸海軍編)

 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

残暑に背を向けて Ⅱ

2018 AUG 27 21:21:52 pm by 西牟呂 憲

盛大なバーベキュー

 
 この暑さはまだ続くのか。
 どうせ暑いなら海の方がましかと半ばヤケになって行ってみればやっぱり暑い。そこへ持って来てメチャクチャな風が吹いて白波がザバザバ立っていた。とてもじゃないが沖合まで行く気がしない。
 ダブル台風が去った後の熱い南風は、セールを小さくして当てても船体が傾いでしまって舵がとりにくい。大波に乗り上げるとクルッと向きが変わってしまうから波に当てるように操船したいのだが。ほうほうの体で入港すると、漁船がたくさん避難してきた。
 他の船も同じらしくハーバーではバーベキューが始まった。無論僕達も買い込んでいたビールを提供して混じり込む。うまい。
 朝早くこのドン吹きの中を僚船は西伊豆まで行く、と出て行ったが大丈夫なんだろうか。

 ところでこの暑い中に大量のビールを消費していると、やはり体には堪える。手足のだるい感が限界に達するようで、横になっても座っても疲労感が増す。
 一瞬さっぱりするのは熱いシャワーを段々と水にしていき、あっ冷たいとなった時にサッとタオルで拭く、そのあとは酒を口にせずに昼寝をする。

ペットのワンちゃん 暑い

 提題のようにへたに『残暑に背を向けて』いると背中がまる焼けになって因幡の白ウサギよりひどいことになる。
 写真のデッキのところには別のオーナーが可愛がっているワンちゃん。日陰で一緒にウトウトする。
 朝方出港した連中はビュンビュンの向かい風の中、良く健闘したもののやはり伊豆半島は交わせずに東に接岸したと後に聞いた。

 そうこうしている内にいやでも秋の風が吹いてくるのだが、その風を感じるとき(朝が多い)はとても物悲しく、同時に日暮れの時間がどんどん早まって寂しくなるのが常だ。何と言うか濃い酒が飲みたいような、それでいて誰にも会いたくないような。
 今年は西日本の水害がひどくて復旧に不自由されている方もいらっしゃるから、誠に不謹慎であるが、夏から秋への変り目はそれこそ嵐が吹き飛ばしてくれた方がいいと思う。

不気味な火の玉か

 ところが夜半、自宅の北東の方向に恐ろしく怪しい光が出現して青ざめた。
 夜になって厚い積乱雲が幾層にも重なった中で稲妻がビカビカ光り続けているのだ。気が付いたのは夜7時だが、8時になっても9時になっても収まらない。
 まるで花火のように静かになったかと思うと火の玉が弾け、続けて稲妻が走る。よほど遠くのようで雷鳴は聞こえないから更に不気味だ。
 シロートがスマホで撮るのはむずかしく、いつ光るのか分からないままシャッターを押し続けてやっとそれらしいのが移ったが、迫力はずいぶん落ちる。
 まるで203高地に向けての28サンチ砲一斉射撃か、絨毯爆撃を見るような閃光に怖れおののいた。あの真下には大雨が降っている。きっと、空と大地が余りの暑さに頭にきて怒り狂ったのだ。
 だがその怒りの矛先を矮小なる人間に向けるのは許してほしい。そりゃ化石燃料を燃やしてCO2を増やしたかもしれないが、人類に悪意なんか無いのだから。

 太陽の活動も地球の平均気温に関係があるそうで、過去の記録からも太陽黒点の少ない時期とヨーロッパの寒冷期(テムズ川やセーヌ河がガリガリに凍った)はほぼ一致するそうだ。
 まさかとは思うが、この異常気象は某国の気象兵器じゃないだろうな。気を付けろ!次の冬はメチャクチャ寒いかもしれない。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」
 

三島由紀夫の幻影

2017 OCT 29 14:14:34 pm by 西牟呂 憲

 

 僕は三島の小説は好きなことは好きなんだが”仰ぎ見る文学”という印象はない。
 華麗な文体に、時としてグロテスクなテーマで度胆を抜く、確かに天才ではありましょう。
 ただ高校時代に例の事件に遭遇し、そっちの衝撃は大きかった。
 最近世の中が右傾したと言われて、そんなもんなのかと思うものの三島事件は1970年だ。学生運動が起こり左派の街頭闘争は激しかったが、それに対抗するように右派も数は少ないものの盛んに闘っていた。
 三島は民間防衛組織としての楯の会を率いて、自衛隊に体験入隊したり居合や空手の稽古に打ち込んだ。左派の騒乱に自衛隊の治安出動がなされた時点でデモ隊排除の切り込み隊となる民兵を目指し、厳しいことで有名なレンジャー過程も実施した。
 しかし閉鎖的な組織というものは活動すればするほどエスカレートし、内部での議論が失われて分裂・先鋭化してしまう。三島自身もインタヴューに答えて言っている。
「隊員はオレに天皇論なんか吹っかけてこない。『わかっちょるわかっちょる』の世界なんだ」
 この勢いで決起によってクーデターを誘発し、おそらくは憲法改正までをその目標にするに至ったのではないか。
 エスカレートする所は右も左も同じで、革命をうたった連合赤軍事件で仲間を山岳ベースでリンチにしていた。時期も1971年、浅間山荘は翌年の1972年と三島事件とほぼ同時期なのだ。
 佐々淳之の著作に新宿騒乱事件の際、三島から治安維持協力の申し出があったとある。その際に『皇居の警備でもやってもらえ』という警察の対応に三島が激怒したことが記されている。
 結局自衛隊の治安出動はなく、お呼びでないとなったことであの三島事件というある意味の自殺になってしまったというのが一般の解釈だ。
 どうであろう。
 自分の年齢とともに才能が枯渇していくのを我慢できなかった、と言ったら三島ファンに怒られるかもしれない。
 どうでもいいことだが、1972年はかの矢沢永吉が率いるキャロルがバンド・デヴューした年でもある(~75年まで活動)。即ち事件の衝撃を受けつつも僕はキャロルに夢中になって、そっくりファッションで『ルシール』なるコピー・バンドをやっていたことになる。当時の忙しい世相の一端が覗けると言ったら大袈裟だろうか。一方でああいったのもワンサカいたのだ。
 ともかくあんなに頭のいい三島がその後のプログラムも何も無しに絶対成功しない行動を口実に割腹するのは、最初から死ぬ気だったのは間違いなかろう。
 改めて経緯を調べてみると、それに至る補助線となるキーパースンが二人いる。

 一人は陸上自衛隊幹部、山本舜勝一佐。陸士・陸大を出て終戦時には中野学校教官である。戦後は陸自で中野学校の後裔である陸上自衛隊調査学校(現小平学校)の創設に携わった諜報のスペシャリストである。
 三島が民兵の育成を考えている時に山本一佐と会って「都市ゲリラの専門家」と惚れ込み、事実上の指揮官とした。三島に強い影響を与え、没後の著作には多少煽っていた記述がある。
 首都騒乱に陥った場合『私の同志が率いる東部方面の特別班も呼応する。ここでついに、自衛隊主力が出動し、戒厳令状態下で首都の治安を回復する。万一、デモ隊が皇居へ侵入した場合、私が待機させた自衛隊のヘリコプターで「楯の会」会員を移動させ、機を失せず、断固阻止する』と著作にあるのだ。
 だが活動中も楯の会の行動を監視していたようで、僕はヤバいと思った防衛関係者(警察も含む)が三島に同志のフリをさせて近づけたのではないか、という仮説を持っている。

楯の会

 もう一人は楯の会を去った持丸博。
保守・民族派系の学生組織「日本学生同盟」(日学同)の理論的支柱であり、楯の会の初代学生長として選抜・指導をした。
 その理論は皇国史観の平泉澄に強く影響されており、水戸学の流れを組むものだった。持丸は水戸の進学校である水戸一高から早稲田に進んだが、高校時代に水戸学の名越時正の家に下宿しそこで学んだらしい。
 そして日学同の仲間に三島を介錯した森田必勝がいたのだ。
 持丸はその後雑誌『論争ジャーナル』の経営問題から楯の会を抜けることになったのだが、三島の落胆は非常に大きかった。そして前述の森田が学生長となって会の目指すところが変わって行ったのかもしれない。持丸は頭も切れ実務能力も高く、何よりも大人の風のある冷静な人物だったという。

 この二人は三島研究者の間では有名らしい。

 ちなみに三島自身は平泉系の皇国史観を嫌っていたとされる。というより昭和天皇に屈折した思いがあって、事件の四年前に書いた『英霊の聲』あたりから露骨におかしくなる。『天皇を殺したい』と口走ったことを聞いた証言が残されているのだ。
 それにしても作中に出てくる『などてすめろぎは人間となりたまひし』というフレーズは薄気味の悪い物で、発表時の評価も低かった。
 2・26事件の磯部浅一の獄中で書かれた呪いのような手記を読んだことが執筆の動機となったと言われているが、その手記もとても正気の人間が書いたものと思えない。更に三島はこの作品について、お筆先のように手が勝手に動いて一晩で書き上げた、と言っている。
 この磯部浅一は、事件の年の新年会でかの美輪明宏が三島に向かって『背中に何か憑いている』と言い、三島が『おお、誰の霊だ。西郷隆盛か』と応じ、違うとなると次々に人の名前を挙げていき『じゃあ磯部浅一か』と言った所で『それだ』となったと石原慎太郎が書いている。また、その十年前にも文芸評論家の奥野健男が三島とコックリさんをやって「磯部の霊が邪魔している」と呟いたのを聞いている。高名な作家がコックリさんに興じているのも面白いが、かなりアブナい話しではある。

 山本一佐の示唆、冷静な持丸の脱退、磯部の憑依、と繋ぎ合わせると何かとんでもない、あのような自殺ではなくもっと直接的なテロの狙いがあったのか、と思えてくるが書くのがはばかられる。
 楯の会は皇居内の道場で居合いの稽古をしており、日本刀をその道場に置いていた。

 来年には現天皇陛下は退位され、皇太子殿下が皇位に就かれる。退位の御意向を示されたタイミングからも憲法改正には消極的とお見受けする。
 三島だったら退位問題をどう考えただろうか。
 おそらく生前退位など絶対に認めなかったろう。その場合は・・・・。

昭和45年11月25日

昭和45年11月25日 (その後)

三島由紀夫の幻影 Ⅱ

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

怨霊 (今月のテーマ 列伝)

新春架空座談会 (文豪編)

2月26日に考えた事

不思議な空 ブルーという誘惑

2017 AUG 14 23:23:23 pm by 西牟呂 憲

クリックして下さい

 この写真を撮ったのは私じゃありません。
 クリックすると凄い迫力です。
 特に真上の空の群青色(紫っぽい)は見る者を吸い込んでしまいそうな錯覚に陥ります。波長の短い光が届き易い環境が整ったのでしょう。
 水平線のあたりで空と海が溶け合ったあたりに雲が湧いています。

 そして空は天頂に向かって、海は海岸に近づくにしたがって次第に色が濃くなって行き、特に空にはオーラのようなリングが見えています。これは一体何か。
 スマホで撮ったものだから、画素数が足らずに色の濃さを”序々に”変えていけずに階層のようになってしまったのでしょうか。
 まさか、秘かに発射された核搭載ミサイルが海上で爆発し、電磁パルスのエンゼル・リングが見えたのか・・・。

あれは・・・

 それとも何かの心霊現象かもしれません。
 ヨットに乗って長時間の航海をしていると、視線がほぼ海面ですから海の色が濃くて視界に入るのは圧倒的に空。
 すると陸ではなかなか見られない光景に出会います。
 右と左からカーテンが閉まるように雲が寄っていき、繋がった途端にスコールが降っているのが見えると、あぁ前線が繋がったなと分かります。
 伊豆の島に行く途中では通常の波とは違ってひどく細かい波が立ったり色が変わっている所があり、黒潮やその返り波だと分かります。
 夜の航海では波飛沫を浴びるとイカが飛び込んできたりしてビックリすることも。
 満天の星空が一瞬にして月まで見えなくなり、スコールの中で大きな波に叩かれると海坊主でも出たような気がします。
 SMCのトムさんの話では、夜のダイヴィングなんか空と海の区別がつかなくて、さぞ神秘的な光景でしょう(危なくもあるでしょうが)。

これは

 などと思いを巡らせていると、再び不気味な空の写真が送られてきました。
 またもやオーラというかリングというか。こうなると撮った人間の問題か。
 そういえばここだけの話、その人は実はエスパーだと噂されていますが。

 これから台風の季節です。
 すでに水害にあった地域もあるのに先が思いやられる。先日は喜寿庵のあるエリア一帯にも避難勧告が出ました。街中を巡らせている水路が局地豪雨であふれかえったようです。
 そういえば去年も一昨年も台風に追いかけられるように航海してました。
 今年は諸般の事情でロクに海に出られず。
 コウカイ先にたたず。
 あっ、わかったぞ!あの空は夏が終わったことを教えてるんだ。おとなしくしていろ、と。

神々が集った島 神津島航海記 前編

神々が集った島 神津島航海記 前編

八丈島航海記 前編 

八丈島航海記 観光編 

八丈島航海記 後編 

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

 

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

たむらあやこ
久保大樹
深田崇敬