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行く春や 昭和は遠く なりにけり Ⅱ

2015 APR 25 0:00:44 am by 西 牟呂雄

 山嗤う まだら模様の 甲州路
   散り残りたる 花吹雪舞う

 中央高速を飛ばしていると、冬枯れの山に新芽が噴きだして、雑木林なぞは樹木によって色合いが違っていてみどりのまだらが目に美しい。そしてそんな山の中に誰かが植えたのかそれとも自生したのか、綿帽子のように山桜がポンポンと咲き残っていた。恐らくソメイヨシノじゃないだろうが、標高が高いので今頃散っていて(4月18日)ハンドルを握るフロント・ガラスにサァーッと舞っていった。
 喜寿庵ではこの時期、芝生に小さな穴をポコポコ開けてエア・レーションをするのだがこれが一苦労。ゴルフ場ではトラクターのようなヤツでやってしまうが喜寿庵では手(足?)でやる。そして目土をセッセと入れる。本来芝面を平らにして養生するためなのだが、不思議なことにいつまでたってもデコボコが直らない。

 風強く せせらぎの音 なお騒ぐ
   山猛々しく  あおくなる前

 若葉は柔らかいが、ガーッと緑が濃くなるとむしろ猛々しいというか生臭いというか(嫌じゃないけど)チカラが漲ってくる感じがして、僕としては『海』の青さが恋しくなる時期だ。ただこの時期は相模湾は風が悪くてヨットはきつい。

 最近突然思い付いた、かの親鸞上人の歎異抄にある『善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや。』 について。
 この『悪人』は無慈悲で自分勝手で我儘で人を騙したり盗んだり苛めたり殺すような『悪人』ではないのだ。そういうワルではなく、一般人が色々苦しんでどうにもならなくなったギリギリの時にフッと手を染める悪事を指すのではないだろうか。そしてそのことを生涯悔やむような人。
 苦しまずに易々と犯罪に手を染めて涼しい顔をしているような輩は、いくら親鸞上人といえども救うことはできまい。年寄りの病的な万引きなんかどうしようない。
 僕はこの思いつきを誰かに言いたくてたまらなくなり、当ブログに書く前に友人に話した。すると、
「お前も、うといな。あの時代仏教なんかを有り難がっていたのは貴族だけで農民クラスは地元のカミサマを拝むのがせいぜいのところだ。だから親鸞クラスから見りゃ無教養且つ信仰心のカケラもない悪人って意味なんだよ。悪いことすりゃいい、なんて誰が諭すんだ。」
だってさ。信仰心のない馬の骨は現代もいくらでもいるだろうに。

 ところで最近『反知性主義』なる言葉を目にする。ワン・フレーズ・ポロティクスの小泉元首相や橋下大阪市長のように学者・文化人を『自称インテリ』と一括りにして、他人の意見を聞かずにウケを狙う原理主義者風の流れを指すようだ。本来はアメリカの福音原理主義者のように進化論も受け付けないような、要するに生真面目な人々とでも言おうか。だがこの気質は過激になりやすい。要するにイスラムだろうが共産主義だろうが右翼だろうが自分以外の意見は聞くのもイヤっといった具合だ。
 政治討論番組が視聴に耐えないのも、常に是々非々の話にはならず初めに賛成・反対ありきで主張を繰り返すだけでは面白みも発見もなし。見ることもないが朝生なんかで結論が出たのを知らない。
 そしてそういった過激発言に入れ込んでしまうのが橋下市長のいう「フワッとした民意」で、小泉劇場・民主党政権・大阪都構想と流れができる。
 大阪の人、本当の所を教えてくれ。

 それで恐ろしいことにそういう凝り固まっている人々の目というのは、どうも親鸞上人の言うところの悪人に見えて来る。本人一生懸命だから余計にマズい、というオチでした。

透き通る桜の開花

行く春や 昭和は遠くに なりにけり

夏本番 昭和は遠くなりにけり

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Categories:春夏秋冬不思議譚 四季編

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