Sonar Members Club No.36

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ハムレット観劇 

2014 MAR 10 0:00:20 am by 西 牟呂雄

昨日は劇団東演の公演『ハムレット』をSMCの仲間で見てきました。場所がまた演劇のメッカ、下北沢の本田劇場なのが郷愁を感じます。30年前には下北で遊ぶときは「シバイ」を見に行く、などと符丁を言ったものですが、街は以前のゴチャゴチャ感が少しおさまったようです。SMCメンバーの早野さんがハムレットの母親ガートルート役で出演していたので、四人で見てきました。前回の公演は地震のときでしたので、皆さん思い入れが強いのでしょう。ロシアからまた同じ演出家が来日して、俳優さんも二名出演されました。色を添えて「とうきょー」「だいじょぶ」くらいのせりふを入れて楽しませてくれました。ロシア語は分からないなりに異国の隠し味になっています。

これが、実に斬新な演出であって、従来の通しに比べると3時間ほどで済む様にまとめられテンポが速い。役者さんたちの動きも走るし回るし、奥行きを充分に使ったダイナミックな手法で、音楽も効果的。そして要所要所に役つくりのツボになる台詞があり、それをどうこなすかが鑑賞者の醍醐味なのですが、今回は2箇所に注目しました。一つは恋人を追い払うためにしつこく「尼寺に行け、尼寺に。」と繰り返すところ。これは主役の演技が引き締まっていてまず、Aランク。もう一つが、凄惨な殺し合いのクライマックスに向かうときに呟くあの「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ。」と坪内逍遥が訳したセリフ。これ原本では「To be ? or not to be ?. That is the question.」ですが、今回は「これから行こうか、帰ろうか。」とサラリと語らせます。映画でイギリスの名優サー・ローレンス・オリビエがやったハムレットは、城壁から夜の闇に向かって呟くアレです。ずいぶん粋な翻訳だと関心しました。驚くべきことに、隣のSMCのオッサン二人は、この部分のツボがまるで分かっておらず、猫に小判状態なのは情けない。それどころか、どんな筋かを阿曽さんに解説まで聞いていた。

しかしあれだけ走るのだから、早野さんお疲れ様でした。7月までのロング・ランですからお体ご自愛ください。帰りに皆で話したのですが、重臣のポローニャは本来イジラレ・キャラのはずなので、そこでもう少し嗤いを取った方が効果が出るような気がします。これから九州方面ですな。

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Categories:古典

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