出雲への誘惑 Ⅳ トミという謎
2014 JUL 24 12:12:11 pm by 西 牟呂雄
出雲関連に興味を持っていたら妙な記述に行き当たった。『富(トミ)』という家系が太古より続いていて、門外不出の口伝を伝えている、というのだ。この話、以前から気になっていた。出雲大社を司る千家・北島家は天孫族で、言ってみれば恭順を示した大国主命の一派が再び事を構えないようにお目付け役として神社を守っている立場、という話である。そして『富』家の伝承はその裏付で、尚且つアシナズチ・テナヅチ系も含めてオリジナル出雲の秘密の証拠となるのではないか、と興味が湧いた。
このたびのお目出度い話(千家国麿氏と高円宮典子様の御婚約)で一気にメジャーになった現役の国造千家氏であるが、実は明治になって起きた祭神論争(天照大御神の伊勢神宮と大国主命の出雲大社の論争)では第八十代千家尊福(たかとみ)氏が『同格』を主張し大モメする。出雲大社としては筋を通したと言える。
更にこの直接の系譜ではないが、アンチ伊勢神宮(=国家神道)の流れに大本教が出る。
しかしながら当の『富』家の実在は確認できたが、やはり関係者の口は堅く公表されたことはない。かなり取材を受けて、先々代あたりの方が漏らした僅かなコメント・伝聞が残されるのみだ。それが大国主命の直系で、秘かに記紀神話とは別の神話を持っているらしい(例えば天照大御神は出てこない)というところまでしか追えない。どうもスサノオの系譜は出雲オリジナルだったものを、記紀編纂の際に組み込まれてしまった可能性があるのではないか。スサノオも高天原をおっ放り出された後、新羅あたりをウロついたことになっていて、出雲・半島あたりのエリアに縁が深い。そしてその子孫が大国主命だとなると腑に落ちるのでは。
これを元ネタに前回ブログ(出雲Ⅲ)で神話パクリ仮説を思いついたのだが。要は都合が悪いので、天照大神の弟だったことにしちゃったのでは・・・・。しかし戦後で良かった、不敬罪にされてしまう。
残念ながらこれ以上は現地にでも行くしかあるまい。出雲大社のすぐ側に、その名も出雲井神社がある。確認できないがここが『富』家の信仰するクナト神を祀っているらしい。秋にでも行ってみよう。
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