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202X年の怪 Ⅳ(クーデター!)

2014 SEP 27 9:09:31 am by 西牟呂 憲

5日目
 朝の大本営発表に安全保障会議の四大臣と石原本部長、佐々議長、村中大佐が並んだ。野田総理大臣がしっかりした目線で始めた。
『お早う御座います。実は昨日ヒラリー・クリントン大統領と電話会談を致しました。我が国の冷静な対応を支持し、日米は全面的に協力することで合意しております。ロシアのコテルニコフ大統領とも電話で約10分会談しております。冷静な対応を高く評価する、とのお話でした。また、中国の劉建国家主席とは本日電話対談の予定です。我が国周辺は平成を保っており、国民の安全はひとまず確保出来ていることに変わりはありません。防衛・治安については大本営より発表です。』
 例によって石原本部長が目を瞬かせながら喋りだした。
『えー、ワタシの方からは二つ。周辺海域の防衛作戦は継続中。しかしながらどうも追加攻撃の可能性は限りなく低くなっております。政府と周辺国、即ち排他的経済水域を接している国家との対話は友好に継続されており、外交上の問題はない。次に、政府機能は既に通常状態に復帰しており、国民生活は平成を保っております。金融関連も昨日システム復帰し、決済・引き出しは正常に行われます。治安に関しては佐々議長から。』
この日は佐々議長は機動隊員の制服を着込んでいた。
『佐々です。まず昨日の一次的な電波ジャックについて、テロによるものと断定しました。その時点で都心部ローラー作戦を執行中ではありましたが、犯人逮捕には至っておりません。尚、捜索中の謎のゲリラ部隊についても同様に捗々しくありません。それから昨日都心部及び大阪で銃撃音が聞かれたという噂がネットを通じて広がっている模様ですが、そのような事実はなかった、と申し上げておきます。今後の展開については村中大佐から。』
驚いたことに村中大佐は第一種礼装に身を固めている。
『今後の方針についてお知らせする。昨日行われたローラー作戦を各地エリアを変えて実施する。エリアについては秘匿情報なので申し上げられないが、自衛隊車両を見ても決して慌てることなく粛々と行動されたし。公的機関は全て通常に戻るため、人通りは戻るので混乱することの無いように。自衛隊はあくまで治安のサポートだがこの国難に万が一のことが無いとも限らない。最高の緊張を持って国境を守る所存だ。総理の指揮の元、石原本部長、佐々議長の命令で一糸乱れず作戦を推進する。士気は極めて旺盛。以上。』
 自衛隊員が集団で街を闊歩していたり、特殊車両が行き交う事に国民は慣れてきているようだった。頭上には大型ヘリも飛び交う。
 心なしか村中大佐の発言が高揚しているのが多少危なげな・・・・。

10日目
 官邸地下に設置された大本営に安全保障会議並びに石原本部長・佐々議長・村中大佐が談笑していた。更に石原本部長付きの南大佐と諜報担当官の大室大佐が加わっていた。石原慎太郎がにこやかな表情で一同に語りかけた。
『いや総理はじめ各大臣、ご苦労様でした。計画通りに進みました。』
これまた満面の笑みをたたえた野田聖子総理が返す。
『石原本部長、佐々議長そして村中大佐、お疲れ様。いやはや名演技でしたね。』
『いやいや、役者がそろった今だから出来たんですよ。私が都知事になったのはこの計画のためでしたからね。』
『僕が言っただろう。いざとなったら日本は大丈夫なんだよ。このガバナビリティーを見ろよ。』
『石原さんと佐々知事や田母神さんが計画を打ち明けた時は正直冗談かと思いましたよ。』
『発案はこの村中君ですがね。大した男ですよ、実際。』
『小官は田母神閣下の部下時代に本作戦の根幹を着想しておりました。しかしチャンスが来ない。野田総理が安全保障会議担当大臣を全てしっかりした女性で固められ、田母神閣下が福島県知事に、佐々先生が都知事に当選されたのを見て今しかない、と思料いたしました。』
『まず地方をガッチリ固めてから首都を中心に警察と協力して制圧する。米軍の協力を仰ぐ。凄い着想ですね。』
『小渕先生、仰る通りであります。申し上げにくいのですが2・26の失敗に学びました。』
『いや、実際には犠牲者は一人もいないのですからね。初めの秘匿潜水艦隊からのミサイル発射も全く外さなかった。空砲とはいえ狙いの正確さはさすがに錬度世界一の海自だ。』
『オイ!村中!そう軽々しく口に出すもんじゃない!』
『総理、ローラー作戦中に威嚇射撃で多少のケガ人は出ました。何しろ右も左も過激派は根こそぎやりましたからね。暴力団もほぼ壊滅でしょう。現場は多少荒れたようですが、テレビを封鎖したり偽の画像をバラ撒いたり。戦車部隊の首都侵攻やF35まで飛ばして陽動作戦をやったのが効きました。第七艦隊を洋上に追っ払ったのも良かった。』
『現場で挙げた奴らは全部それをテロリスト対策として始末したんだから完璧ですよ。いずれ発表しますがね。心配の種だった岩国と沖縄の海兵隊が中東に行っていたのもいいタイミングだった。三沢の空軍は自衛隊とはズブズブの関係ですしね。』
『わたしと佐々は人生最後に夢を見られたので悔いはない。弟の歌ではないが、我が人生に悔いはない、だな。』
『慎太郎さん、じじいは引っ込みましょう。これで日本は一万年安泰だ。』
『いざ本当に我が国にどこかが侵攻してきたらもう一度これをやればいいのですから。何ならいつでもやってのけてご覧にいれます。』
『村中!そんなことお上が許すはずないだろ!研究するのはいいが2.26の時の先帝陛下のお怒りを忘れたか!バカ者め。』
『ところでチルドレンにしろ野党にしろアホ政治家は本当に何の役にも立たなかったわ。ため息が出るというか少しは知恵をめぐらせたり自分で情報を普段から取るなりしていればと・・。手応えないのねぇ。』
『ですが総理、残された大仕事が三つ残っておりますぞ。』
『わかっています。それこそまず陛下への上奏。そしてヒラリー・クリントンン大統領へのお礼と十分な安保条約堅持の説明。そして一か月後の参議院選挙に合わせて衆議院の解散をして衆参同時選挙に持ち込む。フゥ、大変だわ。断固やり抜かなければ。山谷大臣、早速アメリカに飛んで下さい。』
『かしこまりました。お任せ下さい。』
『それにしても上奏は気が重いわ。陛下はお厳しいから。まあ、私の内閣も総辞職でしょうね。後は・・。』
『イザという時はこの村中が皇居前で腹を切れば済むことです。』
『やめなさいよ、村中大佐!そんなことしたらバレちゃうでしょ。』
『村中君、そんなことしたらメディアの格好の餌食だぞ。アメリカだって気味悪がる。ここは先帝陛下に習い、耐え難きを耐え、忍び難きを忍んでこそだ。あくまで民主的にやらねば。』
 その時扉が開いて一人の男が姿を現した。皆が拍手を持って迎える中、にこやかに挨拶しソファに腰を降ろした。
『安倍先生、お待ちしておりました。』
『総理、お疲れ様でした。皆さんもご苦労様でした。』
『去年の禅譲・後継指名はこの為だったのですね。私達最初はすっかり体調を崩されたのかと思いました。』
『前回の内閣で、このままではどうにもならない、ということが良く分かったからね。綿密に計画し、一切洩れなかったのが良かった。外圧を演出するしかなかったんだよ。アハハハ。』
『選挙後のプログラクは大丈夫ですか。再登板で第5次安部内閣の発足ですよ。』
『石原先生の「ひまわりの党」と連立して組閣します。維新の会も期待空しく無くなっちゃったからね。石原先生は自主憲法を言いふらして選挙を戦って下さい。ズバっと連立しますから。』
『任せておけよ。だけど最近は聖徳太子の17条憲法と五箇条の御誓文だけでいいやって考えだからな。そんなに細かくいらないだろう。』
『ところで、侵入テロリスト部隊は民間軍事会社への委託だったんですか、村中さん。』
『エッ!違いますよ。私の方はブラック・ウォーター社を使おうとしたのですが東洋人の数が確保できずに断念しました。石原先生が手配されたのでは・・・。』
『何言ってんだ。僕の方はロイヤル・グルカをスカウトしそこなってアメリカから日本語の喋れない連中を一個小隊手配しただけだぞ。佐々さんだろう。』
『冗談じゃない、日本人を使ったらあとでペラペラ喋られて大変な事になる。私の方こそブラジルの日系人コンバット・ゲーム・マニアを一個小隊手配しただけですよ。』
『なんですって!それじゃあの大部隊は・・・・。』
『えっ。』
『まさか・・。』
『総理!』

おしまい

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