喜寿庵の秋 懺悔の値打ちもない
2014 OCT 29 7:07:21 am by 西 牟呂雄
久しぶりに喜寿庵に来て、庭を掃いたり芝生の雑草を抜いたりして過ごした。夕日はまだ冬至のポイントに落ちないが、楓は少し色付いた。朝・夕はもう冷えるので暖房を入れている。この冬も去年のような物凄い雪が降るのだろうか。
良く考えてみると、何年も前から次の事しかやっていない。酒・旅・ヨット・ゴルフ・スノボだ。えっ?仕事はどうした?そりゃまぁその~・・・。
そしてツラツラ思うに、どれもこれも絶対にこれ以上腕が上がらないだろう。もっとも『旅』の腕が上がるとは言わない。今までのような破れかぶれ、行き当たりばったりとはいかない、という意味なんだが。何しろこれから後の時間の方が確実に少ないからだ。酒・旅は少し違うが、その他は夢中になってセッセと打ち込んだ訳でもないから、そんなに上手くなるはずは無いのだ。
そして書いてきて気が付いたが、振り返って見ると人生全般に渡って集中して基礎から練り上げてモノになった物など何もない。これは大変にマズいのではないだろうか。放り出した事は正に死屍累々といった感じで、水泳・バスケ・ギター・麻雀・語学・ドラムと続く。いわんや勉学に於いておや。今までの人生を殆ど一発芸とアドリヴで生きてきてしまった。
行き当たりばったりとはこんな感じだ。学生時代。
大昔には、今ほど厳しくなかったから車でどこへでも行ってそこらじゅうに停めては、少し飲んだ後に世田谷通りのラーメン屋までジェームス・ブラウンをガンガン鳴らしながら何台も繋がって行き、そこでもビールをあおった。又、ある時は飲んでいる内に『踊りにいこう。』と盛り上がり、横浜は本牧の米軍御用達のディスコ(当時はクラブとは言わなかった)まで行った。ヘトヘトになって第三京浜を帰った明け方にクールス(舘ひろしがやっていたバンド)の紫のハイ・ウェイという曲を大合唱。こういうのをはっきり言ってバカという。もう二度とやりませんがね。第一酒に弱くなって電車でも帰り損なうのだから。そして信じ難いことにこの頃のメンバーはドサクサ紛れに全員が固いサラリーマンになっている。よく『もう一度若かった学生時代に戻りたい。』という立派な人もいるが、僕はゴメンだ。
遡って高校・中学・小学校と思い出したくもないことばかり。『会った途端に往時に帰る』といった感想を同級生交換なんかで見かけるが、僕が往時に帰ったらば恥のあまり途端に悶死するだろう。節目の年ということでこの秋同窓会が二つあったのだが、良くしたものでどちらも都合が悪かった、ゴメンなさい。
こんなことを書くのは因果応報を身に染みてこのごろ味わっているからで、現在のマヌケな状況は全て自分自身が原因だと分かっている。おまけに我慢・努力・反省といった美徳をかけらももっていない。だからその後も僕の新入社員時代や僕の駆け出しヒラ時代で詳述したようなアホ暮らしをしていた。ただ、大げさに言えば意識はしていなかったが『命懸け』の勢いはあった。
それが、冒頭の『これ以上は腕が上がらない』とか『ムチャはできない』となると話が違ってくるのではないか。懸ける命の時間が残り1/3になったと考えれば宜(むべ)なるかな。放っといたって時間は勝手に減るのだ、イマイマしい。
しかし不思議なもんで、そこで一段と元気になるのが僕のいい加減な所だ。少し前の初夏の頃、ついにここにいてすることが無くなったので、一人で渓谷まで降りて上流から流れた空き缶を拾った。ある時川に降りてみると、わざと捨てる人もいないと思うのだが物凄い数で、他にも発泡スチロールやカップ麺のゴミとかビックリするほど流れ着いていた。これを仕分けすることなんか到底できないので、思い立って空き缶専門に拾った。いずれ燃えるゴミもやらなければと張り切っている。
ついでに何も作る予定もないのに、猫の額ほどの畑を耕運機で掘り返したりもした。これは思ったより遥かに疲れたが、歌いながらセッセとやった。来年はジャガイモでも植えてみようか、そうでもしなけりゃ何のために掘り返したのか忘れてしまうかもしれない。
こういった感じで、人から見ればどうでもいいことに精を出す。傍から見れば少しアブナいおっさんに見えるかも知れないないが、いちいち説明するのも面倒だ。
右の木漏れ日が模様を作ったような芝生を見ていると、ついつい手が出る。
その先には植木屋さんがもう手を入れなくなって頭が爆発したようになってしまった庭木が隠れているのだが、その剪定も始めた。およそ20年は鋏が入っていないと思われる物で、いくらやっても丸くならない。上を思い切り刈り込んで見たら返って変なカタチになってしまい、慌てて裾を切っている始末。そのうち三角にでもなってしまわないか・・・・、まさかね。
今晩は学生さん達が大勢訪ねてくるらしい。
つづく
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