Sonar Members Club No.36

Since July 2013

日露ビジネス・ダイアローグより  

2014 NOV 6 18:18:03 pm by 西牟呂 憲

撮影 小野ともひで氏

撮影 小野ともひで氏

 
 皆様はじめまして。わたしの方からは日本の地方企業がロシアに、色々悩みながら合弁会社を設立した話を紹介します。クライアントは、この中の皆様は恐らく聞いたことの無い会社です。企業規模は大きくはありませんが、再来年に100周年を迎える中堅の会社であります。
 まず、時節柄政治的な話はさけたいと思います。主催者の趣旨もそうだ、と聞いております。
 一概に中小企業の進出、と括るのに幾つか定義したいのですが、まず銀行団の支援が得られるような規模ではないこと。更に様々な行政のサーヴィスが長期に渡って受けられるようなプロジェクトでないこと。正に民間と民間で、失敗すれば我々は逃げて来なければならない覚悟を持ってやる仕事、とご理解下さい。
 きっかけは、地方行政が地元産業振興のため地元企業保有技術の海外への事業展開を政策として推進しており、一方ロシアとの貿易促進の外郭団体様が日露ビジネス・マッチングを企画されていた、この二つの動きに乗っかって訪問ミッションに参加したことです。今から七年前のことでした。
 ただこの動きはその後のリーマンショックでいったん止まります。
 2009年に再度ミッションが訪露し、先方からも産業視察団が来日しました。その中で先方の我々と同程度の会社様が興味を持って頂き、互いに協議を重ねた訳です。
 随分と時間が掛かり、二回ほど双方譲らずデッドロックに乗り上げました。
 難しかったのは、やはり我々にロシアに関する知識が全くといってもいいほど無かった事で、やはり『寒い国』『怖い国』の印象のままやや腰が引けていた。しかし先方の、日本の技術を導入して事業を拡大する、といった熱い情熱が強いインセンティヴでありました。結果双方対等の50:50という合弁会社を昨年発足しました。
 50:50というのは、決定効率・後処理等を考えると止めたほうがいいと散々言われるものですが、現地の事情も考え(モスクワから1600km時差2時間)あえて踏み切ったものです。
 交渉に当たって経理概念が少し違っていることにも気が付きました。既に計画経済を脱して20年以上立っていて、グローバル標準の会計システムも整備されている訳ですが、ロシアの人々は非常に物持ちがいい。長く長く使うのです。そして償却後の評価はあまり重きを置いてない。『今で言えばいくらの資産』ということは若いロシア人でも飲み込めていなかったようです。同じように棚卸仕掛かりへのコスト参入も普段はやらないようでした。これからの問題でしょう。
 又、我々の使う日本語は形容詞とテニオハでいくらでも繋げることができます。一方のロシア語は個々の単語が長い。どんなに優秀な通訳を頼んでも、双方3分以上喋ってから通訳してもらうと微妙なところでズレていました。話は短く切らなければいけません。

撮影 小野ともひで氏

撮影 小野ともひで氏

 ところで、実際に始めてみて驚いたことが二つありました。一つは我々パートナーに恵まれたのでしょうが、ロシアの人は一度約束したことを身を切ってでも守ってくれました。具体的にはお客様の支払い条件がモメたのですが、彼らは契約通り払ってくれました。ロシアにも義理人情の世界があるのでしょうか。
 もう一つ、内陸部は大変に親日的です。様々な理由があるのでしょうが、その一つは日本のアニメかもしれません。
 お客様の工場に訪ねた際のエピソードです。商談が済むと先方のマネージャーがおもむろに、
「娘が日本語を勉強しているが、日本人と話したことがない。話してやってくれ。」
と言い出しました。日本語学校も無く日本人もいない所で英語版のインターネットで学習しているらしい。理由はアニメで、当地では(モスクワから200km)全て吹き替えですが、主題歌だけは日本語の字幕付きでそのまま流れます。その歌を日本語で歌いたくて一人で勉強しているのだそうです。独学ということで、どんなメチャクチャな日本語かと身構えたところ、
「ワタシノナマエハ アリョーナデス。」
ときれいな日本語が聞こえてきました。聞けばまだ15才とか。是非勉強を続けて、できれば日本で合いましょう、と約束しました。楽しみにしています。以上です。

ロシア東方シフトは本物か


「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
 をクリックして下さい。」

Categories:ロシア残照

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

たむらあやこ
久保大樹
深田崇敬