坂東三津五郎丈を偲ぶ
2015 FEB 27 12:12:57 pm by 西 牟呂雄

大変な踊りの名手。二回程見たことがありますが、実に鮮やかで華があった人でした。この人の踊りは良く腰が座っていてシルエットが美しい。そして顎のしゃくり方が巧みでしたね。屋号は大和屋で玉三郎さんと同じです。
三津五郎さんは現代劇に出ても上手いのですが、舞台ではカメラずれしたところが全く無い役者さん。基本がしっかりした安定感を感じさせました。
ご冥福をお祈りします。
膵臓ガンだったそうですが、これ切りにくいガンなんですよ。僕は25歳の時に急性膵臓炎というのをやっていて、40日くらい入院してます。物凄い痛みで入院した時はうずくまってました。自分では胃痙攣でも始まったのかと思っていましたが、お医者様も暫く原因が分からなかったらしく循環内科に入れられています。その内病名が決まった(決めるというか分かった)のですが、問診の時に『ストレスの溜まる仕事でして』とか『毎日遅くまで残業して土日も出ている』と訴える僕をせせら笑って「君、酒の飲みすぎだよ。ノ・ミ・ス・ギ!」と冷たく言われました。
膵臓から分泌されるスイ液は胃液よりも強い強酸なので、障害が出て逆流すると膵臓が溶けてしまいます。その際に激痛が走るらしい。従って消化活動を起こさせない為に食事は一切ダメ、管を付けられて胃液も汲み上げます。胃液は1日1リットルくらい出ていました。人間サイホンにされたようで、恐ろしく辛気臭い思いをしました。そして正確に1日1kgづつ体重が落ちて日に日に体が小さくなるのが分かりました。
痛みが引いた後に最初に聞いたのが『先生。いつから酒が飲めますか。』だったのですが、この時のお医者様の表情は、こんなバカは見たことない、といった滅多に見られない顔でしたね。
三津五郎さんは先に亡くなった勘三郎さんと年も近いので、二人で歌舞伎を盛り上げようとしていました。
関係ないですが、勘三郎さんが暁星中学校の時に九段中学に通っていたキャスターの安藤優子にラヴレターを渡したのは知る人ぞ知るエピソードです。
ー合掌ー
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Categories:古典

西室 建
3/5/2015 | Permalink
追記ですが。
「この人の踊りは良く腰が座っていてシルエットが美しい。」と書いたが、本日発売の週刊文春によると三津五郎さんは胴長だったとある。なーるほどそういうことか、知らんかった。