いいものはいい 悪いものもいい (今月のテーマ 無為自然)
2016 MAY 10 3:03:25 am by 西 牟呂雄
太極図をジッと見ていると落ち着きませんか。
SMCの道士こと神山先生の「道元流 鬼谷子の帝王学」を読んだ時に妙に心惹かれた覚えがあります。太極図は完全な調和を意味した図案なんですね。白と黒はどちらが良くてどちらが悪いということはない、どっちかが美しくてどっちかが醜いということもない、善悪もない。
この感覚、一神教の世界に住む人々には全くわかりづらいもののようです。
キリスト教徒は『人間は原罪を背負ってこの世に生まれてくる』と信じており、イスラム教徒はアラーの神は絶対に性善説でありこれを妨げる者は同じイスラム教徒でも激しく排除します。
それに対して、老荘学徒タオイストは『あるがままに』と無為自然を説きます。
現実の宗教としての道教はチョット置きます。
話は変わりますが、セッセと野菜作りに励んで自分では丹精込めたつもりだったのにキュウリは全滅し大根は出来損ないが4~5本採れただけ。さすがに『あるがままに』という心境には程遠かった。それでも大根に関してはヒョロっとした出来損ないをそのまま捨てる気にはなれず、水で洗ってかじったものです。このダメな大根にもピリッとしたところがあって捨てがたい。こいつがいるから出来のいい方の良さも際立つというものです。
無論経済的には大赤字を蒙った訳ですが、今年もポツポツ再挑戦を始めました。ガラにもなく種を蒔いたりしていれば十分”無為自然”の境地に浸れます。
もっとタオの修行にいいのはゴルフかもしれませんよ。自分のイメージ通りにはまず行かない私のようなゴルファーにとって、何処に飛んでしまおうが木に当たろうが”無為自然”に大地と戯れるのは誠に結構(しばしばそうでないが)。
ペットを飼うのもいいですね。芸も何にも仕込まれていないペットはそれこそ”無為自然”。
これはさる友人の飼っているワイルドな猫ですが、あまりのドヤ顔に記念に撮ってもらいました。しかしこの猫は何も欲しがっていないし、何も自慢をしている訳でもありません。
多少ブサイクとの声も聞かれますが、この子に罪はありません。恐らく機嫌が悪いのでもないでしょう(そう見えますが)。人間と一緒にいて居心地がいいか悪いかも良くわかりません。多少飢えなくてすむのは確かでしょうが。これでメスだというのだから見事な無為自然ぶり。
オマエは一体何かの役に立ってるのかい。
共存するノウハウを持っているのは人間だけです。そして人間になってしまうといくら”無為自然”でもただぐうたら何もしなければいい、ということにならなくなる。ましてや”悪いものもいい”といって犯罪に手を染める事を推奨するなどとんでもない、ということなんですが。
非常に優秀な人がいたとして、もし世の中にそういう人ばかりだったら個人は優秀でも何でもなくなるのです。
さてさて、俄かにタオイストを自称して何をどうするかというと、これが特に無い。目の前のことを淡々と丁寧にやりましょうというつまらないオチでして。残りの人生トコトコやりながら考えてみようっというお話にお付き合い下さい。
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Categories:春夏秋冬不思議譚 四季編