オリンピックの言葉 (今月のテーマ リオ・オリンピック)
2016 AUG 31 21:21:43 pm by 西 牟呂雄
「ありがとうございます。皆さんのお陰です。」
まぁ、型どおりで無難なセリフだが、思わず本音が出てしまうコメントの方が個性や努力を感じさせて好ましいと思う。
今回のリオ・オリンピックで印象に残ったコメントとかつての名言を並べてみると世相が見えないか。
明るい選手たち
「イヤー、疲れちゃいました」瀬戸 大也(せと だいや)400m個人メドレー
この子は僕の甥っ子にそっくりなので(そいつも水泳をやっていた)応援していた。銅メダルも立派だよ。子供の頃からのライバル萩野の金は悔しかったのだろうがケロッとして言ってのけた。明るいよなコイツ。まだまだ4年後もあるぜ。
この明るさの系譜を過去に遡るとこの二人に思い至った。
「オリンピックのプレッシャーなんて、こんなん言ったら失礼ですけど、斉藤先生のプレッシャーに比べたら、もう、屁の突っ張りにもなりません」石井 慧(いしい さとし)
北京の柔道100キロ超で金メダル。この明るさが実にいい。
「めっちゃ悔しぃ、金がいいですぅ~。」田島 寧子(たじま やすこ)
バロセロナ400m個人メドレーだったっけ。この人いい味出してたけどな。その後表彰台からコケて足を捻挫するオチまでやってくれたし。
涙を流して
「応援してくださった方に申し訳ないです。…ごめんなさい。」吉田 沙保里 (よしだ さおり)女子レスリング53kg級
マットに突っ伏している姿が痛々しい。本人にしか分からない後悔の念があるのだろう、表彰台でも泣きじゃくるとは。しかし四連覇って足掛け干支の一周り、33歳ですぞ!本当にお疲れ様。
ってことは伊調選手って凄いな。
「何も持たないで日本に帰れないと思って戦った」松本 薫 (まつもと かおる) 柔道女子57kg級
泣いちゃった。悔しさが滲み出ていた。『お父さんがサイフを失くしてそれどころじゃなくて』は競技の話じゃなくて、家族で会話するどころじゃない、ってこと。インタヴューで「腹の中は煮えくり返っていますよ」と言った時に笑顔だったのでホッとした。この子なら腹を切りかねないと心配だった。
「…みんなの足引っ張ってばっかりいて。(中略)本当に苦しいオリンピックでした。」福原 愛(ふくはら あい)卓球女子団体
あの愛ちゃんもキャプテンシーを発揮する年になったのか。チームを励まし引っ張った。これは他の競技もみんな同じで昔から、そしてこれからも続く。あんまり時代を感じさせないものだ。
「始めて自分で自分をほめたいと思います」有森 裕子(ありもり ゆうこ)
バルセロナで銀、アトランタで銅。このセリフはアトランタで出た。バロセロナの後に足底筋膜炎となり、恩師小出監督との軋轢もあって長いスランプに陥ったためだった。インタヴューの時は泣いているように見えた。
感極まった
「信じられない」金藤 理絵(かねとう りえ)女子200メートル平泳ぎ
この選手は北京にも出場した。長い競技生活でけっこう苦労もし、大輪の花を咲かせた。エラい。
同じ種目でかつて大穴に入ったこの言葉を思い出す。
「今まで生きてきた中で一番幸せです。」岩崎 恭子(いわさき きょうこ) シドニー女子200m平泳ぎ。
かわいらしかったなぁ、14歳だったと思う(中学生!)全くのノー・マークだったのに金メダルですぞ。
「チョーキモチイー」「ナンモイエネー」北島 康介(きたじま こうすけ)
アテネと北京だった。またロンドンでは400mメドレー・リレーで「康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかないぞ」とバタフライ松田丈志の発言があり、見事銀メダル。北島は金・銀・銅の全てを取ったことになる。
こうしてみると平成の世の中はあんまり変わっていないのが透けてみえる。思えば昭和は遠くなった。
最後に最もスポーツマン・シップに溢れていた、内村に惜しくも敗れたウクライナ体操選手の一言。
「審判も個人のフィーリングは持っているだろうが、スコアに対してはフェアで神聖なもの。航平さんはキャリアの中でいつも高い得点をとっている。それは無駄な質問だ」ベルニャエフ 男子体操個人総合
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Categories:スポーツを科学の目で見る
西室 建
10/11/2016 | Permalink
根がミーハーなので先日のメダリストのパレードに行ってみたので、吉田選手・萩野選手・松田選手を追記でアップしました。
メダリストのオーラは凄い。
実はもっと凄いオーラを出していたのは(写せませんでしたが)副団長を勤めた柔道の山下泰裕さんでしたね。