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喜寿庵の異変 Ⅳ

2022 OCT 1 0:00:27 am by 西 牟呂雄

 彼岸なら 寂しくもなし 一人酒

 お彼岸という事で喜寿庵に一人でいるのだが、雨ばかりでいささか参った。台風で小枝や木の葉が落ちて汚らしい。たまに日が差し込む間にセカセカと枝を掃き、落ち葉はファームに入れたり焚火にしたり。
 この写真のように芝生が陰に入るように太陽が傾くと、蒸し暑かったり汗ばんだりしても、やれやれ季節が廻ったな、となる。 
 と、このコントラストを撮った時に庭石をみてギョッとした。

 初めはついにヒビが入ったのかと思ったが、ごらんのとおりウネウネとキャタピラが這い回ったような不気味な幾何学模様が浮き上がっている。
 良く見ると細かいターンを繰り返しながら進んだようなのだが、一体何かは想像できない。
 昆虫?いや、もっと俊敏に動きそうだ。この感じはもっとスピードは遅い。
 この夏には大蛇が出たが、あのサイズにしてはカーブが小さい。
 台風や雨の時に新種のカタツムリとかナメクジが這って行ったのか。一頭がこんなにあちこちうろつくのか。大群だったらさぞ気持ち悪い光景だったろうに。 

 試しに爪で引っ搔いてみたが落ちない。
 待てよ、何にせよこのマークを付けたのが生物だとしたら、それはこのあたりにまだいるかもしれない。薄気味悪くなってその場を離れた。
 夜中にこの石に腰かけて星を見たいしていたが、そのなにがしかが夜行性かも知れないと思うと怖くてもうやめだ。
 どなたか心当たりのあるかたはご教示いただきだい。
 誰も御存じなければNHKの『ダーウィンが来た』にでも聞いてみようか。


 振り返ると、今度は未確認浮遊物体が浮いているではないか。
 遠近感が分からなかったので空に浮いているように見えたが、近寄ると欅の枝から下がっているのだった。一瞬、以前大発生したケムラーを思い出してゾッとしたが、これはただのミノムシだ。フーッ。

 そして、今年の収穫も最後だとファームに足を向ければなんじゃこれは。グリーン・ハートのブランドを(勝手に)付けていた自慢のピーマンに、真っ赤に変色したモノが混じってるではないか。

真ん中の赤

 まさか地球温暖化が突然変異を促進したのか、ただでさえ色弱の私の色覚がさらに悪化したのか。写メを送って確認したところやはり御覧の通りの赤ピーマンである。ピーマンをほったらかすと赤くなるなんて聞いたことがない。トウガラシじゃあるまいし。

 ともあれ、初秋を迎えてススキも背が伸びた。
 先日、オヤジの弟にあたる叔父が亡くなりしめやかに葬儀が行われた。90才、まあ大往生ではある。機械工学を専攻したエンジニアだったが、某社で長く社長を務めた。そしていつ身に着けたのかは知らないが英語・スペイン語に堪能で、一人で海外に出張していた。バスケの選手で大学・実業団で活躍したことになっている。もっとも当時は競技人口も少なかったし、日本のバスケのレベルも低かったからどの程度の活躍だったかはわからない(無論本人はレギュラーだったと言い張っていたが、これは後に実業団にはスポ薦で採用されたのではないかとの別の疑惑を呼んだ)。
 万事、エラソーな人で、我々甥・姪(子供達も含めると10人)はそのキャラを慕っていた。晩年、体調を崩した際に従兄弟の一人が『酒の席で叔父さんがふんぞり返ってないとどうもノリが悪くて困ります』と口を滑らすと、『何を言っとる、バカ者!』と一喝されていたことを思い出して、思わず淋しく笑った。
 オヤジは四人兄弟の長男だが、8才下の末の弟を5年前に亡くし、4才下の弟を送ったことになる。我が一族は、どうしようもない悲しみに対しては、開き直って笑い飛ばしてしまうような気質がある。生前、4人揃った時にはオヤジが『いいか、逝くのは年の順だぞ。お前達間違うなよ』といい、兄弟も『是非そうしよう』と応じていた。にもかかわらず逆になってしまい、さすがに笑い飛ばすどころではなくなった。もう一人いる叔母に頑張っていただくしか無かろう。
 この日はしたたかに酔った、一人で。

事故直後

 さらにとどめの一撃という感じで、渓谷に下っていく坂道で車がガードレールを突き破る転落事故が起きた。腰の骨を折る重傷で、ドクター・ヘリで運ばれたが、亡くなった。時刻は朝の10時。
  何時も通る落ちようのないカーブでの出来事だ。静かな渓谷に車が落ちる・・・。さすがにまぁ、温暖化による異変ではないだろうが、
 

車が落ちた後

 こんな静かな所で次々と起こる厄災。もしかして・・・。
 一人でいて、アルツハルマゲドンが進むのは恐いなぁ。

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Categories:アルツハルマゲドン, 和の心 喜寿庵

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