雪中行軍生還記
2024 FEB 13 5:05:53 am by 西 牟呂雄
スキーもスノボも楽しい、がドカドカ降り積もる雪はごめんだ。喜寿庵は寒冷地だが雪は少ない。それでも年に1度くらい積もった日には、芝生は荒れる庭木は折れるハマユウは凍える。ファームに栽培中のスーパー・ニンニ君も埋もれてしまう。それが大雪警報である。
雪に閉じ込められるのもマズい。十年前の大雪の時は全県交通マヒとなり食料も枯渇した経験がある。車はノーマル・タイヤだから脱出できなかった。
朝から霙が降っている。小雨の中を時々白い物が飛んでいる。車での移動を諦めて庭木の様子を。
こいつは去年の雪の際に重さに耐えかねて折れかけて、裂けた所を縄でグルグル巻きにして救った。ありあわせのつっかえ棒を何本か支えにしてやる。
そうこうしているうちに本格的な雪になった。
渓谷の奥の方まで真っ白い雪が空間を埋めていて、心なしかせせらぎの音も静かになった。
急いでネイチャー・ファームを見に行くと、ニンニ君が寒そうにしていた。
本降りになってまだ30分も経たないのにもうこんなに積もったのか。
とは言え今更覆ってやることもできない。
やむを得ず『雪中野営命令』を下し武運長久を祈りつつ踵を返した。
こちらものんびりはできないのだ。ニュースを見るたびに『交通の乱れに注意』とせかされる。
元々車はあきらめていたが、渋滞予防措置と称して中央道が通行止めになる。あまりいい気持ちはしない。
あっという間にこんな墨絵のような景観になってしまった。
音がしなくなったことは書いた(いや、かすかにせせらぎは聞こえるが)。
それに加えて色もなくなったのだ。
静寂・無色・限りなく落ちて来る雪、思わず立ちすくむ。
見とれる、というのではなくむしろ恐怖感、畏れ、英語のaweに当たる思いにかられた。
はっきり言えば逃げ出したくなった。
あたふたと支度をし、鍵をかけ、門をしめようとしてフト声がしたような。
目をやると、梅の老木にやっと咲いた小さな花達が真っ白に。
今朝見た時は薄いピンクだったのに、サムイといったのかツレテッテと言ったのか。
だがそれどころじゃない。埋まってしまったらかならず掘り出してやるからな、と声をかけで電車に飛び乗った。足元に落ちていた木蓮の枝を拾って持って帰る。
この一瞬が生死を分けた。
その後の報道によると高尾から運航停止になり、特急かいじ は塩山駅と大月駅 特急あずさ は甲府駅にて朝まで止まったのだった。
翌週に車の回収がてら戻るとこれが、40cmは積もったらしく悲惨なことになっていた。
いたるところで枝が折れていて、それもかなり重い松や杉の高い枝だ。
拾い集めたらこの有様でどうにも処分のメドが立たない。
つっかえ棒をした木は無事だったが、他にもツツジなどは埋もれてしまっておまけに凍っていた。
それを何とか掘り出して一服していると、雨樋が落ちている!
もうそれはほったらかしにしてネイチャー・ファームを見に行く。
するとさすがはニンニ君、風雪に耐えてサバイヴしていた。
アッ、そういえば梅の方はどうなった。
あの、寒さに縮こまっていた梅の花。
こちらも健気に咲き残っていた。ヤレヤレ。
ジタバタと忙しくして足元をみると。
何と咲きかけの福寿草がカワイイ。
季節は巡っているのだ。
持って帰った木蓮の枝。
産毛に覆われているのは蕾だろうか。
樹木も寒さ対策をするのかな。
せっかくなので花瓶にさしている。
花は咲くのかな。
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コブシだった!
Categories:和の心 喜寿庵
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西 牟呂雄
2/21/2024 | Permalink
拾ってきた枝の蕾はその後大半が命尽きたが、2輪が花を付けたのでブログに追記しました。
何だかいいことをしたように眺めたが、それにしても儚げでかつ健気。
そしてあてずっぽうで木蓮と言ったがコブシだったのだ。
次は挿し木でもしてみようか・・・。