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おぼろげに見えてきたシン・大東亜共栄圏

2025 AUG 7 19:19:32 pm by 西 牟呂雄

 トランプのゴリ押しに何とかスリ寄った交渉は賛否両論あるだろう。選挙結果についても色々と責任問題を問う議論が喧しい。だが僕には見えてきたモノがある。大げさに言ってしまえば『日本の行く末』の指針が。
 どうもトランプ大統領にやっていることは、本人の強烈な個性と相まって一見ムチャ振りと極端な思い付きに見えるが、アメリカが昔からやっていることを振り返ると腑に落ちなくもない。繊維交渉・鉄鋼輸出問題・半導体交渉と日本にイチャモンを言い続けてきていて、鉄鋼・半導体は仕事の上でも散々困らされた案件である。
 コロナ禍が過ぎてパラダイム・シフトが起きるかと身構えたが、戦争が長引き中東がメチャクチャになっただけ。日本の総理は菅・岸田の後石破総理となって自民党は選挙に大負けした。菅・岸田政権の政策の何が悪かったのか今はっきり提示できる人はいるだろうか。キッシー息子の宴会の写真はマズかったが、成果は出ていたではないか。裏金ねえ、ミミッチイ。
 そしてトランプ大統領登場。
 あの関税交渉はある意味アメリカがモノ作りで負けた結果なのだ、日本にもだがこの場合顕著なのは世界の工場にまで台頭した中国に、だ。逆に言えばアメリカが苦しんでいる証左である。あの世界一のGDPやGAFAMの収益には目を見張るものの、GAFAMは雇用には全く貢献しない。異常に高額な訴訟金額や医療費はゆがみを助長している。
 貿易収支が赤字なのは当たり前で、自分でモノは作らないで高額の消費をしていれば当然の結果。それでゴリゴリくるなら逆手に取れ。調子に乗せた中国がデカい面をするのが気に入らないので高額関税を掛ける、プーチンにも凄んでイランにはバンカー・バスターを使った。
 ともあれ日本は合意にこぎつけた。あれで正解だと解釈するのに補助線を引いてみる。あれはハル・ノートだと考えれば分かりやすい。最後通牒だと逆上して真珠湾をやってはいけない。丸呑みしたふりでのらりくらりやるに限る、文書もなければ期限もはっきりしないのだから。途中で気が付いてトランプが逆上したら次の手だ。こんなのはどうか。
トランプ『何にも投資してないじゃないか。関税を25%にする』
石破『えっ、そうでしたか。申し訳ない。ですが大統領、最近中国がスリ寄ってきて困ってるんですよ。ご存じでしょう。そこで我が国はGDPの5%まで防衛費を増やします。中古の中距離ミサイルの在庫が無くなるまで買いましょう。センカクに配備してもいい。そうすると沖縄の米軍を減らすことができて100億ドルは浮きますよ(根拠のない数字)ウィンウィンじゃないですか』
トランプ『オォ!そうか。それはいいな』
石破『任せてください。あなたは神に選ばれた大統領なんです』
 真面目そうな顔でネチネチ食い下がる石破芸にピッタリではないか。自民党は負けたが(そもそもあの負けだってフキサイのドタバタとツルホのバカ失言のせいにしてしまえば逃げ切れる)〇政党やら保〇党のような素人を、或いは維新や国民を抱き込めば何とかなる。石破総理でいけないことはないのだ。
 
 こうして何でも中国のせいにしていつの間にか高度防衛国家に化けてしまう。2~3年もすればアメリカだって苦しくなって言うことは変わる。
 その間、アメリカが入っていないTPPに英国を引きずり込んでこちらは関税なしの経済ブロックを強化し、台湾・インドに秋波を送る。それで我が国は益々ガラパゴス化を進め、米中対立の狭間をノラリクラリとサバイヴする。これだ!
 アンチ・グローバリストを自称し、非新自由主義者である右派の筆者がこういうと、一見矛盾するように見えるがこれこそシン・大東亜共栄圏なのである。これをいきなり高市早苗にやらせたら、意図がバレバレでアメリカも中国も警戒するだろう。だからそれまで石破総理ガンバレ。

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