Sonar Members Club No.36

カテゴリー: アルツハルマゲドン

喜寿庵の異変 Ⅳ

2022 OCT 1 0:00:27 am by 西 牟呂雄

 彼岸なら 寂しくもなし 一人酒

 お彼岸という事で喜寿庵に一人でいるのだが、雨ばかりでいささか参った。台風で小枝や木の葉が落ちて汚らしい。たまに日が差し込む間にセカセカと枝を掃き、落ち葉はファームに入れたり焚火にしたり。
 この写真のように芝生が陰に入るように太陽が傾くと、蒸し暑かったり汗ばんだりしても、やれやれ季節が廻ったな、となる。 
 と、このコントラストを撮った時に庭石をみてギョッとした。

 初めはついにヒビが入ったのかと思ったが、ごらんのとおりウネウネとキャタピラが這い回ったような不気味な幾何学模様が浮き上がっている。
 良く見ると細かいターンを繰り返しながら進んだようなのだが、一体何かは想像できない。
 昆虫?いや、もっと俊敏に動きそうだ。この感じはもっとスピードは遅い。
 この夏には大蛇が出たが、あのサイズにしてはカーブが小さい。
 台風や雨の時に新種のカタツムリとかナメクジが這って行ったのか。一頭がこんなにあちこちうろつくのか。大群だったらさぞ気持ち悪い光景だったろうに。 

 試しに爪で引っ搔いてみたが落ちない。
 待てよ、何にせよこのマークを付けたのが生物だとしたら、それはこのあたりにまだいるかもしれない。薄気味悪くなってその場を離れた。
 夜中にこの石に腰かけて星を見たいしていたが、そのなにがしかが夜行性かも知れないと思うと怖くてもうやめだ。
 どなたか心当たりのあるかたはご教示いただきだい。
 誰も御存じなければNHKの『ダーウィンが来た』にでも聞いてみようか。


 振り返ると、今度は未確認浮遊物体が浮いているではないか。
 遠近感が分からなかったので空に浮いているように見えたが、近寄ると欅の枝から下がっているのだった。一瞬、以前大発生したケムラーを思い出してゾッとしたが、これはただのミノムシだ。フーッ。

 そして、今年の収穫も最後だとファームに足を向ければなんじゃこれは。グリーン・ハートのブランドを(勝手に)付けていた自慢のピーマンに、真っ赤に変色したモノが混じってるではないか。

真ん中の赤

 まさか地球温暖化が突然変異を促進したのか、ただでさえ色弱の私の色覚がさらに悪化したのか。写メを送って確認したところやはり御覧の通りの赤ピーマンである。ピーマンをほったらかすと赤くなるなんて聞いたことがない。トウガラシじゃあるまいし。

 ともあれ、初秋を迎えてススキも背が伸びた。
 先日、オヤジの弟にあたる叔父が亡くなりしめやかに葬儀が行われた。90才、まあ大往生ではある。機械工学を専攻したエンジニアだったが、某社で長く社長を務めた。そしていつ身に着けたのかは知らないが英語・スペイン語に堪能で、一人で海外に出張していた。バスケの選手で大学・実業団で活躍したことになっている。もっとも当時は競技人口も少なかったし、日本のバスケのレベルも低かったからどの程度の活躍だったかはわからない(無論本人はレギュラーだったと言い張っていたが、これは後に実業団にはスポ薦で採用されたのではないかとの別の疑惑を呼んだ)。
 万事、エラソーな人で、我々甥・姪(子供達も含めると10人)はそのキャラを慕っていた。晩年、体調を崩した際に従兄弟の一人が『酒の席で叔父さんがふんぞり返ってないとどうもノリが悪くて困ります』と口を滑らすと、『何を言っとる、バカ者!』と一喝されていたことを思い出して、思わず淋しく笑った。
 オヤジは四人兄弟の長男だが、8才下の末の弟を5年前に亡くし、4才下の弟を送ったことになる。我が一族は、どうしようもない悲しみに対しては、開き直って笑い飛ばしてしまうような気質がある。生前、4人揃った時にはオヤジが『いいか、逝くのは年の順だぞ。お前達間違うなよ』といい、兄弟も『是非そうしよう』と応じていた。にもかかわらず逆になってしまい、さすがに笑い飛ばすどころではなくなった。もう一人いる叔母に頑張っていただくしか無かろう。
 この日はしたたかに酔った、一人で。

事故直後

 さらにとどめの一撃という感じで、渓谷に下っていく坂道で車がガードレールを突き破る転落事故が起きた。腰の骨を折る重傷で、ドクター・ヘリで運ばれたが、亡くなった。時刻は朝の10時。
  何時も通る落ちようのないカーブでの出来事だ。静かな渓谷に車が落ちる・・・。さすがにまぁ、温暖化による異変ではないだろうが、
 

車が落ちた後

 こんな静かな所で次々と起こる厄災。もしかして・・・。
 一人でいて、アルツハルマゲドンが進むのは恐いなぁ。

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少年とおっさんの錯覚

2022 JUL 24 22:22:39 pm by 西 牟呂雄

 僕は一人で歩いていて見付けた。ひどく厚い夏の日で、の背中に汗をかくもんだからランドセルがペタッという感じで気持ちが悪い。見つけて拾ったのは青い何かのカケラだった。丸い手触りなのでガラスではなく、ロウ石のようだ。試しにアスファルトにバツを書いてみたら青いバツがついた。いいぞいいそ。それから家への帰り道、まぶしい日差しの中をガードレールの柱の頭に一つづつバツを付けながら歩いた。
 しかしどうもおかしい。僕は確かに小学生のようだが、この道は僕が通っている道と違うのではないか。いつもは坂を下って帰っているが、そこにガードレールなどはないはずだ。今歩いているのは平坦な道路の歩道で、都電の線路も走っていない。ひょっとして間違えて別の駅でおりてしまったのだろうか。ちょっと怖くなってきた。
 いつもの坂を下って左に入ると公園がある。その公園は昔は開成校という今は大変な進学校が明治の初めの私塾でスタートした跡で、隣に小学校もある。僕は引っ越す予定があってそこには通っていない。公園の向いに清水湯というお風呂屋さんがありその隣はお寿司屋さん、その次が僕の家、反対側には山田屋という酒屋さんでそのとなりは八百屋さんのはずだ。
 だが今僕が歩いているのはそこと全く違う眺めで、このまま歩いていていいのかどうか。

 どういうことか頭がぼやけている感じで、とにかく熱い中をセッセと歩いている。するとオレの目の前を汗まみれになった小学生が歩いていた。白い帽子は学校指定だろう。開襟シャツの首のあたりが汗で濡れているほどで、大きめのランドセルが重いんだろうな、と同情したくらいだ。背格好から言って低学年だろうな、とそこまで思ったが待てよ。
 オレはこの暑い中を何で歩いているかと言うと、単に自宅に帰る所だったはずだ。ところが歩いているうちにおかしくなってしまったようだ。
家路がいつもと違う。泥酔してそういうことになったことは何度もあるが、今はまだ夕方だ。それに酒も飲んではいない。足だけが意識を持った生き物のようにトコトコと進むのだが、自宅はどこにあるのだろう。
オレは不思議な気分のままその子の横を通り過ぎて、その時にチラッと表情を見た。目が合ってしまった。

 横にいるおじさんを見上げるとこっちを見ていた。なんだか見たような顔の人だが知らない人だった。すぐに僕を追い抜いてスタスタ歩いていくので目で追った。この人は何をしている人で、何でここを歩いているのかなー、と想像してみた。スーツを着ていないから会社の人じゃないだろうけど、どんな仕事をしているのだろう。小説や詩を書いている人だろうか。だって普通のオトナはこんな時間は忙しいだろうから。それとも夜になってバーとかスナックのようなお店をやっているのかもしれないな。そうするとこの人も僕の父さんみたいに毎日お酒を飲んでケラケラ笑っているか暴れているのか。僕はときどき早くオトナになってああいうふうに楽しそうに騒げるようになってみたいと思うことがある。だって子供のうちは何をするにしてもアレはダメだのコレはするなといった余計なことが必ずくっついていてそれを守らないと叱られる。父さんと一緒にキャンプに行ったときは、周りのオトナは僕に注意をしたりするくせに、酔っ払うと自分達はひどく騒いでモノを失くしたりケガをしたりして、次の朝には何も覚えていない。
 そうしてみると、勉強が大嫌いで気が散りやすい僕もそうなってしまうかもしれない。アッ、いつの間にかいなくなった。

 しかし、オレが子供だったあの頃はいやいや学校に行っていたくせに毎日何をして遊ぶのか考えて忙しかった記憶がある。誰と誰が中が良くて誰と誰は対立していて、女子と男子はしょっちゅういがみ合って、子供なりにクラスの中には複雑な社会が構築されていた。その奇怪さは、東京のド真ん中のせいなのか今から考えると他の人の経験した小学生生活とは全く違う環境のようだった。とにかく人数が多くて、そのせいで個性の強い奴が多くなり、その相互作用で上記の複雑な社会を構築していた。各種の秘密結社や暗黙の法律、男女間の駆け引き、裏切りや寝返りが横行していた。要するに背伸びするだけ伸び切ったオトナの真似をするグロテスクな集団だ。それは伝統にもなっていたようだったが、どうやら団塊の世代が終わった頃からからオレ達の2年下くらいまでの10年の間の風潮だったらしい。
 更に、小学校のクラスは音楽以外は全部同じ先生が教えていたから担任の先生というビッグ・ファクターがあり、オレは女先生の時には色々と迷惑をかけ、大変な目にもあった。
 結局、どうにも居心地が悪かったということになるのだが、毎日毎日ありとあらゆる権謀術数に明け暮れながら、ふざけ散らしていたに過ぎない。
 おっとどうやらウチにたどりついたみたいだ。そうか、オレはあまりの二日酔いで寝過ごしたところ、土曜日だから息子は学校に行き、カミサンは実家に行くとか言ってたな。まだ酒が胃の中にたんまり残っているのでフラフラしているんだな。ビールでも飲むか。

 おじさんが見えなくなって僕は父さんのことを考えた。親と接するのにそれなりの遠慮があったに違いない。自分のことはあまり話さないが、わりと努力して僕を甘やかそうとしているのはわかる。それに自分がやっている遊びには、それはスキーとかヨットなんだけど、僕の友達も連れて行って一緒に遊んでくれる。
 あれはいったい僕のために付き合ってくれているのか、自分の遊びに子供を引きずり込んでいるのか。
 ウチに帰ると母さんは出掛けていなくて父さんだけが寝ぼけた目でビールを飲んでいる。休みの時はいつもそうだから別に気にもならない。
『ただいまー』
『おう、お帰り。随分早いな』
『だって今日は土曜日だぜ。父さんだってビール飲んでるじゃない』
『あぁ、そうか。そういえばそうだな。さっき新聞買いに行ったらちょうど君くらいの小学生が歩いてたな』
『へェ。オレも父さんみたいな人がブラブラしてるのを見たけど。あのさあー、オレが全然勉強しなかったらそういう人になっちゃうのかな』
『僕も子供の頃はそう考えて焦ったことがあったな。そうそう、それで恐くなってチョコッと勉強したりした覚えがある』
『それでもこんなになっちゃったの』
『まあそういう事なんだけど、これでも結構大変なんだぞ。世界平和とかウクライナ問題を考えていると』
『えっ父さんそんなこと考えてるの』
『そう見えないのが僕の偉大なところなんだが。どっちにしても中途半端が一番いけない』
『ふーん。じゃチョット勉強するより全然やんないほうがいいの』
『僕の理論ではそうならざるを得ないね。キミはどうする』
『オレわかんないや・・・・』
『そうだろうな。僕も未だによくわからない。僕みたいにならないようにね』
『オレもそう思う・・・』

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大統領のイラ立ち

2022 APR 22 5:05:53 am by 西 牟呂雄

 明らかに常軌を逸した表情と、氷のような不気味な目の色に居並ぶ閣僚達は声も出せなかった。
『バカボンスキー諜報省長官。ナチスト達に嫌気がさしている首都の住民が歓喜の声で我が精鋭部隊を迎えるという話はどうなった』
『ハッ、潜入工作員が自分の手柄を大げさに伝えていた模様で現在処分を検討しておりましたところ』
『そいつを死刑にしろ』
『それが・・・戦闘に巻き込まれすでに戦死した』
『それでは死刑にできずに市民として勝手に死んだのか』
『そのあたりの詳細について』
『ダー、か?ニエットか』
『・・・・ダー・・・』
『バカボンスキー、お前は収容所送りにする。刑期は1万年だ。連行しろ。次、オロカノフ北部方面参謀長。戦車が大量に破壊されて血税1兆ルーブをスクラップにしたそうだな』
『あれはフェイク・ニュースです。鉄血戦車部隊は健在です』
『ではなぜ首都を制圧したのちにオデッサに向けて進軍できていない』
『それはアメリカとNATOが密かに介入しているからです』
『オロカノフ。そういう報告がなぜ私に上がらない』
『今にも壊滅させ南に進軍が始まるからです』
『今にも、と言ったな。今なんだな』
『えー、2~3日うちには』
『私は3日後のことを今とは言わない。お前は今から北朝鮮に行け。今からだ。そこで思想改造してもらえ。次、キシダは何で調子に乗って制裁に乗っかってるんだ。バカボンスキー』
『大統領。先ほどバカボンスキー長官を大統領が収容所送りにしました』
『ナニッ、そうだった。FSBの連絡将校はいるのか』
『外で待機しているのはウソツキー中佐です』
『中佐?オレと同じか、大したことないな。すぐ呼べ』
『ウソツキー中佐、入ります』
『日本は制裁に乗らないという報告を上げたのは誰だ』
『日本に潜入している工作員です』
『ロシア人か』
『ニエット。日本人です』
『名前は』
『確かニシムロです』
『ナニ!あいつか。ジェット・ニシムロはエカテリンブルグにいた二重スパイだぞ』
『大統領はご存じですか』
『KGB時代に会っている。その後日本の総理だったシンゾーに嫌われてクビになったはずだが、そんなのを使ったのか。あいつはいい加減なローシだ。ローシのことを日本語で何というか知っているか』
『知りません。自分は中国担当であります』
『では教えてやる。うそつき、お前の名前と同じだ。ニシムロをポロニュウムで殺れ』
『現在日本にいる工作員はポロニュウムを持っておりませんが』
『お前が持ち込んで殺せ。今から行け。もうこうなったら最後の手段だ。グズコフ大将。核兵器特別体制は万全か』
『ダー』
『キエフとモスクワに一発づつ見舞え』
『・・・・モスクワは既に沈没しましたが』
『よほどのバカかこんな時につまらん冗談が言えるマヌケのどちらかだな。ここ、首都モスクワに打ち込んでアメリカの仕業に見せかけろ』
『大統領。いったいどうやって・・・』
『モスクワには北極海の原子力潜水艦から発射しろ。キエフは隠しようもないから地上からICBMでも何でもいい』
『あのっ、モスクワ市民はどうなりますか。避難命令は出さないのですか』
『そんなもの出せば自作自演がばれる。チェチェンの時と同じにやれ』
『我々はどうするのですか』
『グズコフ。モタモタするな。おお、そうだ!お前のような奴を日本語ではぐずと言うぞ。わーははははは』
『逃げろ』『逃げろー原爆が来る』『ワぁー』『大統領が狂ったぞー』

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魂が宇宙を漂う話 Ⅱ

2022 APR 10 1:01:32 am by 西 牟呂雄

『おい。おい』
『え、なんですか』
『オレだよ。しばらくだったな』
『あぁ、オマエか。いや、久しぶりだな』
『5年経ったんだよ。どうしてる』
『相変わらずだよ。ヤボな仕事したり船に乗ったり、そうそう野菜造り手掛けてるけど、忙しいんだかヒマなんだか。ちょっとオマエどこだよ。顔がよく見えない』
『バカ。オレは死んだだろ。顔はもうない』
『・・・そうだったな。もう5年か。お前からはオレが見えてるのか』
『見えるわけないだろ。視覚が無いんだぞ』
『それもそうか。待てよ、じゃなんでオレだって分かったんだ』
『こっちは真っ暗なんだよ。そこを歩いているような漂っているような感じだな。そしたら不思議なことに少し光を感じたんでそっちに行こうしてたらなぜか夢から覚めたように意識がはっきりしてあ~っあいつのことだな~という一種の覚醒があって今だな。オマエだってことはすぐ気が付いた』
『凄いな。死んでエスパーになったのか』
『いや、今オマエは寝てるんだよ。その夢の中に入ってこうして話をしてるのさ』
『夢か。どうりでハッキリしないと思った。するとオレが死んだらその真っ暗なところでオマエとまたこうして話せるのか』
『そうはいかない。だってオレは幽霊といえば幽霊なんだから夢なんか見ないし』
『なんだよ。それじゃオレも生きている奴の夢に入り込むしかないのか』
『どうもそうなっているらしい。死んでから5年経って初めてだ』
『ふーん。そんならそのうちまだ元気な息子さんや娘さんの夢でその後のことを聞きゃいいだろ。よりにもよってオレの夢じゃもったいない』
『無論オレもそう思うんだがうまくいかないもんだ』
『多分何かのワザとかコツみたいなものがあるかもしれないな。修行が必要か』
『さあな。こっちにきてからじゃ修行も何も、体もなけりゃ時間の感覚もない』
『苦痛もないんだろ』
『まあそうだ』
『だがオレの所にはうまく来れたな』
『腐れ縁だからな。別に来たくもなかった』
『待てよ。オレはまだ生きてるんだよな』
『そりゃそうだろ』
『するとオマエはオレの夢が勝手に作っている幻という事だよな』
『断じてそれはない。オレがお前の幻想などありえない。断じて認め難い』
『まあそうだろうな。オレだってやだよ、何が悲しうてお前の台詞を妄想しなきゃならんのだ』
『よし、オマエも死んで見りゃいいだろう』
『それは構わんが死んだ幽霊同士は会うことも話すこともできないんだろう』
『だからさ、二人で誰かの夢に忍び込むんだよ。そうすりゃ勝手に話せるだろ』
『ほう、それならいいかも知れんが、誰の夢に入るんだ』
『タカオでどうだ』
『おっ、そりゃいいな。あいつとは決着がついてないからな』
『ん?決着?』
『ほら、今から半世紀も前に大モメにモメたやつ』
『あー、あれか。明日のジョーは死んでたのか生きてたのか、のことか』
『そうだよ。オマエが息を引き取ってたんだ、って言い張ったあれ』
『それはあの時に論破したはずだが』
『バカ言え。一方的にオマエガ返事をしなかったのはすでに死んでいたからだ、と論争を打ち切ったんだよ』
『一方的とは何だ。タカオは答えられなかったじゃないか』
『アイツは一言、ジョーは白い灰になった、と言ったんだよ』
『それじゃオレが論破したことになる』
『ならない。白い灰が死んだことを表していない。死んでいるなら白い骨でなければならん』
『同じことである』
『いや、違う。骨は灰ではない。DNA鑑定ができる』
『バカなことを抜かすな。よし、それじゃ今からタカオの所に行くぞ』
『上等だ。早く行こうぜ』
『早く死ね』
『何だと』
『死ななきゃアイツの夢に忍び込めんだろう』
『そうか・・・。オレは生きてたんだ』

 ワッ! 危なかった。だけど死ぬのもこんなものかもしれんな。

魂が宇宙を漂う話

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可愛げというもの

2022 APR 1 7:07:18 am by 西 牟呂雄

正装のレイモンド君

 喜寿庵で地元の慶事があって正装して参加したところ、あのテキトーの塊であるヒョッコリ先生(推定95才)がレイモンド君を伴って現れた。先生は紋付き袴のいで立ちでさすがに浮いていたが、傍らのレイモンド君もご覧の正装でこれはなかなか可愛らしい、人気者になっていた。レイモンド君(推定2才)は友達になった僕をしっかり覚えていてニコニコ笑ってくれた。
 レイモンド君はなんでも一生懸命やる。
 トコトコ走って会場の端っこまで行くと、そこに小さな段差があるのに突進してベチャッという感じでつぶれる。しかし体が柔らかいのと体重が軽いのでダメージはないらしい。そして仰向けになると、起き上がろうとしているのかブリッジをするように反り返る。当然起きられないのでくるりと腹ばいになって頭を床につけてもがいているうちにデングリ返しになってしまった。
 そしてその間、保護者であるはずのヒョッコリ先生は全然面倒を見ないで、勝手に知り合いと挨拶したりビールを飲んだりしている。そうなると放っておけない、どこかに行ってしまわないようにレイモンド君を追い回すのはなぜか僕になってしまった。
 すると、司会者が先生を指名してスピーチになった。久しぶりのヒョッコリ先生節だ。例によって訥々と話し出したが、やはり何を言っているのかはよくわからない。元々支離滅裂な人だったのは知っていたが、今日のは特に『世界平和にとって』とか『我が国の将来は』と怪しげなことを喋っている。待てよ。いつもとチョット違うな。
 普段はものすごい早口なのだが今日はゆっくりと丁寧だ。さらに見ていると、実に一生懸命言葉を選んでいることが伝わって来た。つまり普段の口から出まかせではなく、考えながら話している。いや驚いた、そんな芸当もできるんだ(内容については最後まで聞いたがどうってことはなかった)。汗をぬぐっている姿に、不覚にも可愛らしさを感じたものだった。

 そこでハタと気が付いたのだが、前期高齢者の僕は体力・知力の衰え著しく、今まで何でも手抜き足抜きでやってきたというのに、今ではやることなすこと一生懸命感が満載。
 体力面ではゴルフ・クラブ(途中でメチャクチャになるのは前からだが)を振っても、ヨットで舵を取ってもスノボを滑っても、ハタから見れば『あのジイさん、一生懸命だけどよくやるぜ』と笑われているに違いない。フォームがなってない。そしてその姿は見ている側からはカワイくも何ともないことは容易に想像できる、はっきり言ってみっともないだろう。
 また、例えば英語を読むのにサッと読むことができない。単語を忘れ過ぎているからだ。もちろん英語を勉強していなかったせいもあるが、前は勢いで読めて喋れた。今では電子辞書なしではとてもとても。たまに知ったかぶりがバレた時のアタフタぶりはさぞ見苦しいことだろう。
 もっと言えば、歩き方、酔っぱらい方、笑い方、怒り方等、立ち居振る舞いの全てで可愛げのカケラも無いのが、なりたてのジジイというモノではなかろうか。もう少し枯れて動きが鈍くなった頃にやっと『あのオジイチャン、何かかわいいね』となると思う。実に面倒な年になったもんだ。
 逆に、今は何をやっても可愛いレイモンド君も少年になって生意気なことを言ったり考えたりするようになった日には一人前のクソガキになってしまうことは間違いない。その両者のカーブ(仮にカワイゲ曲線と呼ぶ)が交錯する年が将来訪れる日が来るだろう。それは3年後か5年後か(10年後ではこちらの脳がアヤシイ)。
 そうだ、その均衡時期が来たらレイモンド君を連れて旅に出てみよう。どこに行って何をするか今から計画を立てておこう。老後の楽しみができたぞ。

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モデルナ戦記

2022 FEB 19 0:00:17 am by 西 牟呂雄

 3回目のワクチンを打った。前2回はファイザーだった。諸説あってそのままファイザーで行くかモデルナにするか迷ったが、ファイザーの方は予約が一月先になりそうだったので思い切ってモデルナでハイブリッド型を選択した。
 前2回とも腕の痛みも熱も出ず、どうってことなかった。今回もどうせそうさ、とホイホイ打ったのだ。
 会場で問診を受ける。
「アレルギーはありますか」
「ありません」
「服用中の薬は」
「××〇◎▽を服用してます」
「アルコールは大丈夫ですか」
「毎晩やってます」
「そうじゃなくて、消毒用のアルコールに被れたりしたことはありますか」
「全然ありません」
「ハイハイ」
チクッ、イテっ、でおしまい。今日はお風呂と酒はダメらしい。
 夜になって少し腕が痛いような気がしたが、まあいいや。
 翌朝、何事もなく目覚める。二日酔いもないしきょうも元気だ、タバコがうまい。
 ところが昼過ぎ、突然異変が起こった。首筋を風で冷やされた感じ。ヤバい!
 大事を取ってテレワークをしていたので慌てて体温を測ると38度。しまった、ナメていた。急いでスキーのインナーに着替え、タートルのセーターを着込む。まだ寒い、ジャケットも羽織りまるでゲレンデに立つようないで立ちに身を固めた。
 そういえば昨日『水分を多目に取って』とアドバイスされたのを思い出し、お茶のペット・ボトルをガブ飲みする。食欲はない。
 夕方、日が落ちてくると寒さが厳しくなったような、体温は同じだ。
 ここで僕は気合を入れる。司令官の僕(すなわち脳)から体の各部部隊長に総攻撃態勢を伝達することにした。

脳「各部隊長集合せよ。訓示を達する」
 神経を通じて前線から部隊長たちがやってきた。
「これより我が軍は総攻撃をかける。目下の苦戦は敵ウィルスを撃退すべくm-RNA作戦を展開中であるが、ここが戦いの分岐点である。各隊、『抗体』の防衛線が構築されるまであと少しの辛抱だ。勝利を信じて全力を上げるべし」
「隊長」
「何だ。腕少佐」
「我が部隊は昨日の左翼からの攻撃により消耗著しく、目下痛みに耐えるのが精一杯であります」
「それは織り込み済みである。残存兵力を率いて右展開せよ」
「隊長」
「腎臓少佐か」
「揮下、膀胱小隊も隊長の『お茶がぶ飲み作戦』遂行中につき疲労著しく、戦闘継続不能ー」
「却下。引き続き戦闘に従事せよ。もういいか」
「隊長ー」
「何だお前達まで。肝臓・膵臓両少佐。何か不満か」
「わが部隊は連日のアルコール攻めに壊滅寸前であります」
「分かっておる。大腸隊を見てみろ。癌攻撃も癒えていないのに健闘しているではないか。最後まで戦ってくれ」
 戦闘はその後も続き、火ぶたが切られてから8時間を経過した。もはや限界と言えよう。私は決断した。
「参謀長。小脳参謀長」
「はっ」
「戦局我に利在らず。最後の突撃を命ずる」
「お待ちください。友軍は現在も奮闘中です」
「時間の無駄だ。最後の突撃を決行する」
「隊長。早まってはいけません。何をなさるおつもりですか」
「小官自ら禁断の『びいる弾』を使用し、特攻突撃をする。全軍に通達せよ」
 現場からは悲鳴が上がった。特に肝臓少佐は『一命に代えても踏み止まっていただきます』と意見具申してきたが無視した。
「食道・胃・十二指腸・小腸の部隊の損傷はなお一層苛烈なものとなることを覚悟せよ」
「隊長ー。おやめくださいー」
「すでに大命は下った。諸君、靖国で待つ。突撃にー、前へー」
 号令とともにプシュッという音がして缶式びいる弾が発射された。

 翌朝、我が部隊は何故か何事もなかったように配置についまま目覚めた。戦闘は終了し、我が軍はかろうじて戦線を維持、即ち勝利した。私の脳裏にはその喜びは湧かず、軽い頭痛が残った。待てよ、若干の吐き気もある。戦闘の後遺症か、そういえば缶式ビイル弾に加えて焼酎ナパームも投入したのだった。人、これを二日酔いと言う。

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いよいよ来たか

2021 DEC 11 0:00:53 am by 西 牟呂雄

 某日、地下鉄に乗ってみるとやはりそれなりの混み具合だった。ターミナル駅で乗客が降りて車内がすいたのでやれやれと腰掛けてスマホを見た。
『こわいよ~』
 ん?かすかな声が聞こえたようだが、別に社内に異変はない。最近は物騒なガイキチが危ない事件をやらかすものだから、のんびりうたた寝をするわけにはいかないので、多少気になった。
『ボクはどこにいるんだ』
 まただ!スマホの手を止めて気配を感じ取ろうとしてみた。遠くの車両で事件が起きていないか。駅に着いてドアが開く。ほとんど人の乗降はない。閉まる。動く。
『たすけて~~』
 聞こえた!意外と近いぞ。

東西線の床で

 そして、足元に目をやると、何と虫がゴソゴソしているではないか。不思議なことにこの困っているムシケラの声を聞いたようなのだ。ん?
 そうこうしているうちに次のターミナル駅に着いてしまう。しかしこのムシケラは踏んづけたり手に取るとイヤーな臭いを出すナントカ虫ではないのか、一瞬躊躇した。まだ乗客もいるのでまさか話しかける訳にもいかない。そこで、心の中で念じてみた。『次にこちらのドアが開くから早く飛ぶなり跳ねるなりして出ていかないと踏み殺されるぞ』と。
 駅に着いた。ドアが開く。すると驚いたことにモソモソしていたかと思うと飛んでいくではないか。そして人込みの中に消えていった。
 そもそもどうやって地下鉄に紛れ込んだのか知らないが、元々の生活圏から3駅も離れてしまったから、あいつの生態系は激変だろう。生きていけるのだろうか余計な心配をした。

 先日、言葉も話せない幼児(1才半)となぜかコミュニケーションできたので、その子のことをエスパーかと驚いたことを記した。

レイモンド君再び


 だがしかし、やはり私がエスパーなのではないのか。ついに虫ともコミュニケートしたのではないか。実は思い当たることがないではない。
 例の謎の老人ヒョッコリ先生が面倒をみているピッコロ君とマリリンちゃん兄妹とご飯を食べていた時の事だ。元々この二人は先生が飼っているペットと同じ呼び方なので紛らわしかった。おまけに正規の学校教育を受けていないようなので日本語はヤバい。だから少しづつ正しい日本語を教えながら仲良くやっていた。
 僕はもちろんビールを飲みながらである。マリリンちゃんがウトウトしている僕の膝を叩いて聞いた。
『ドーシテ、オトナハビールヲノミナガラゴハンタベルノ?』
『んー?それはねえ、オジさんのように昼間働くとビールが必要になるんだよ』
『ハタラクッテナーニ?』
 といった会話をしたような気がするが、そのうちヒョッコリ先生が迎えに来て帰って行った。

 ところが翌日先生からメールが来た。『キミがウトウトしているところを撮ったので送っておく。マリリンをかわいがってくれてありがとう』と書いてあったが、なんだこれ。映っているのは犬じゃないか。
 するとナニか。私は犬が人に見えるだけではなく、犬と日本語で会話したとでも言うのか。
 待てよ。これはもしかしてアルツハルマゲドンが接近して・・・こわい。

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僕のリベンジ

2021 SEP 12 14:14:40 pm by 西 牟呂雄

 SMCの読者の皆様、お久しぶりです。私はニシムロさんに騙され続け、相変わらずつらい人生を送っているバラベ・ユズルです。覚えていらっしゃいますか。僕に精神的な問題があることを見抜いた、あの悪魔のようなニシムロさんは、初めは親切そうに山荘での寝泊まりを許し、僕にブログのスペースを貸してやるから少し文章を書いてみては、と勧めました。
 今から考えると、僕を笑い者にするためだったのですが、僕のブログが多少読者の共感を得たことに嫉妬してパスワードを変えてイジワルをしました。でも僕のIT能力は高いので簡単に見破ってあの人の悪口を書きました。
 すると今度は何故か町での仕事を紹介してくれたのです。しかし、その仕事のためだと言いつつ僕をさんざん調子に乗せた後、いやがらせをして僕をひどく落ち込ませました。
 そして、遂にあの人はそのことをブログに書き、僕の社会的生命を抹殺しようとさえしました。

虚数人間だった


 そうです、僕はここに書かれたバラベ・ユズル本人です。ニシムロさんはこのブログによって私を引きずり出し、いいようにコキ使い、ピンハネまでしたことを明らかにしました。何という卑劣な人間でしょう。
 それだけではありません。手の込んだことに仲間と一緒になって僕に恥をかかせ、笑いものにするためだけに野球チームに引きずり込むようなことすらしたこともあります。

ブログ・スペースを借りました キャッチャー・イン・ザ・ライ


 僕は密かに復讐を誓い、山荘を飛び出し家出したのです。もっとも僕の家ではありませんから家出ではなく、退去したことになります。僕にしては珍しいことに(というか生まれて初めて?)計画というものを立てました。まず、誰にも気兼ねなく、ただで住める場所を確保するのです。それはこの喜寿庵からそう遠くもなく、人目にもつかず、雨風がしのげる所です。そのため物置の奥の方で捨てられていた簡易テントをかっぱらいました。あの人の今までの僕に対する仕打ちから見てこれくらいの対価は当然です。

僕の新居

 というのも、格好の避難先が見つかったからです。私は知らなかったのですが、やはりコロナ禍のせいでしょうか、最近『一人キャンプ』なるものが流行っているそうで、そのためのキャンプ場があったのです。そこは渓流のほとりの美しい景色で、ここ辺りは鮎釣りが盛んですからそういうお客さんも多いようです。
 受付という事務所があってそこに行くと美人のオバサンが暇そうにしていました。
『こんにちは』
 とあいさつすると、親切そうな返事があって少し世間話をしたのです。何とオバサンはここのオーナーで、土地が遊んでいるのがもったいないとそそのかされてキャンプ場を始めたそうですが、平日はヒマでしょうがない、この年では草刈りとか掃除もキツイ、とこぼすのです。で、結論からいうと僕はそこの住み込みの管理人になったのです。
 面白いことに、宣伝も看板も出さず、ネットで前払いのお客さんだけをお客さんにしているので現金は置いていないそうです。だから僕のような風来坊でも安心だ、とのことで、ただで住んで就職までできたわけです。
 あの悪魔ニシムロさんにこき使われピンハネされていた時よりも収入が増えました。ザマーミロ!
 そして、じっくりと作戦を練りました。
 あの人は土日にこちらに来ることが多い。従ってウィークデイの喜寿庵は無人です。でも僕は犯罪者ではないので(テントは報酬としてかっぱらいましたが)おカネを盗んだりはしません。しかし忍び込む込み、いやがらせくらいはできるはずです。ただ、大っぴらに門を乗り越えたり夜中にウロウロして不審者と疑われてはマズい。

崖の下から

 それがある日、キャンプ場から川沿いに下って行った時のことです。
 川の淵で魚を見つけて遊んでいて、フト崖の上を見上げると、そこは喜寿庵の真下でした。写真は小さくて分からないかも知れませんが、左右の樹木の切れ間に母屋の屋根が見えました。
 そこには道などありませんが、探検でもする気分でワクワクしながら登っていきました。
 するとやはり喜寿庵の畑、通称ネイチャー・ファームに上がれることがわかりました。ヨーシ、これで人目を気にせず真っ昼間に自由に出入りが可能です。但し、かなり険しい崖のために夜は無理でしょう。あの人は夜中に庭のチェアでお酒を飲みながら夜空を見上げていることが多いのでオバケのフリをして脅かす、とか花火を投げこむ、ということを考えました。しかし逃げられないので僕の正体がバレるおそれがあるのでダメです。
 何かアッと言わせられないか、あれこれ考えながら某日(金曜日)忍び込んでみました。
 すると、芝生に小枝が散らばっています。風で折れて飛んできたのでしょう。

 ある考えが浮かんだので、小枝を並べて写真のように置いてみます。
 オォ!明日の朝、喜寿庵にきて庭を見た時にこの不吉な配列。あの鈍感で傍若無人なあの人も、さぞびっくりし自然の怒りに触れたかと怯えるに違いありません。我ながら素晴らしいアイデアに満足しました。
 そして帰り際にはあの人が育てているナスとピーマンももぎ取って帰ったのです。
 しかし、テントに戻ってみると、僕は包丁もフライパンもお鍋も持っていない。ナマでかじってみても不味いだけです。結局持て余したので、受付にいるオーナーのオバサンにあげました。オバサンは喜んでくれたのですが、『あれまあ、こんな立派なナスやピーマンをくれるの。あんたどこから採って来たんだい』等と質問され、仕方なく買い過ぎて余ったので、としておきました。アブナイアブナイ、秘密のリベンジ作戦を知られる訳にはいきません。
  翌日散歩に行って喜寿庵を遠くから見ると、あの人の車がありました。今朝はどんな顔をしたかと思うと無性に嬉しくなり、来週はどんな文字を置いてやろうかとその晩から色々と考えました。『悲』とか『怒』とか『愚』といった漢字を、実際に枝をならべてみましたが、どうも画数の多いとダメです。さあ、一週間考えましょう。
 そして週末を迎えました。金曜日にセッセと崖を登っていきます。ネイチャー・ファームにはまた新しいピーマンができていました、ナスはまだ小さいか。庭を覗くとうまい具合にまた小枝が固まっているではないですか。近寄ってみると、アーッ!

アーッ!

 暫く固まってしまいました。というか怖くなったのです。慌てて逃げ出しました。
 あの人は、もしかしたら僕が侵入したことに気が付いているかも知れません。
 そして僕にまたひどいことをしようと企んでいるのではないか。
 なんて残酷で薄情で卑劣な悪魔でしょう。
 僕は再びあの人のブログに忍び込んであの人の悪事を告発します!

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不気味な夢の話 アルツハルマゲドン接近中

2020 DEC 19 0:00:50 am by 西 牟呂雄

 以下は妙に記憶に残っている夢です。おとといのことでした。

 スプリングのような形状ではあるが、1mくらいの長さのクネクネした生物が不気味に跳ね回っている。僕はそれを危険なモノだと分かっていて捕まえようとする。ところがそいつはピヨーンといった感じデジャンプして地面に潜り込もうとする。おっかなびっくり尻尾の部分を掴もうとしてもそのまま地中に入っていった。
 と、思った途端に別の方角からウネウネと出てきたので追いかける。するとまた少しジャンプして逃げていく。
 突然、天の声が聞こえてきた。
「我々は西暦2400年の未来から語っている。人類があまりに資源を消尽したので地球が疲弊してしまい文明が消滅しかかっている。そのため、ターニング・ポイントとなる時点に我々が開発した人工バクテリアをタイムスリップさせ、地球資源を宇宙に放出することにした」
 なんだ、この声は。僕の声ではないか。それはいいとして不思議な気がして聞き返した。
「人工バクテリアってあのウネウネしたミミズのオバケのことですか。バクテリアがあんなに大きいとは信じられません」
「あれは単体のバクテリアではなく集合体なのだ。単体バクテリアが常に細胞分裂を物凄いスピードで繰り返してあの大きさになっている。地球の化石燃料を光に変えて宇宙に放出する」
「しかし現時点での資源消費の状況がストップされたら人工バクテリアを生み出して、さらにタイムスリップさせることができるあなた方の文明にまで発展しないのではないか。するとあなたの存在そのものが消えると思うが」
 すると(視点がどこだかわからないものの、今をみているはずの)未来の僕が答える。
「西暦2400年時点での私は意識の上では存在しているが現実には質量も時間もないパラレル・ワールドから話しかけている。つまり今あなたのいる地球の380年後から話しているわけではない」
「そのけったいなパラレル・ワールドでも人工バクテリアを造れて、尚且つタイム・スリップをさせることができるんですか」
「いや、違う。我々のいる所には質量も時間もない。タイム・スリップしたのは我々の意思だけなのだ。概念といってもいい」
「意思とか概念だけでモノが生み出せるとは思えません」
「まだ気付かないのか。それらは君が無意識に作らされたモノなのだ。君が我々の概念によって発明したということだ」
「僕が?いつ?どこで?」
「そうだ。君は私である。君の記憶には残らないが、私が君になって合成した」
 これらは僕の夢の中、すなわち脳内で自分が自分と会話している状況だ。つまり喋っているのは全て単一の脳が想像した会話だということにこのあたりで気が付いた、さすがに変だと。普通ならこの辺で目が覚めて全部忘れる所なのだろうがこの日は違った。
 目の前から先程の人工バクテリアが無数に地面から湧いてくるように出て来た。恐ろしくなってそれらに火を付けようとしたら(どうやったのか不明だが)自分の部屋が燃え出した。それが、柱が燃えているのだが、炎が外にでるのではなく中が燃えているらしい。柱が燃えているのだから今のマンションではないし、山の家とも違う。そして今度は必死に消化活動を始める。何故かホースを持っている。

 ここでやっと目が覚めた。あー、恐かった。そして余りの奇天烈な内容に思わずメモに書き留めたので再現できた。尚、会話のディテイールについては大体こんな内容だったというメモから起こした。ちなみに火事になるパターンは割と頻繁にみることがある。
 改めて書いてみるとリアルさにゾッとする。明らかに常軌を逸しているからだ。そしてこの夢と現実の境目が無くなった時点が迫りくるアルツハルマゲドンと普通の人間の境目ではなかろうか。
 神様、お願いだからもう少し人間でいさせてください。

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ヒョッコリ先生 戦争を語る

2020 AUG 27 7:07:28 am by 西 牟呂雄

真夏のネイチャー・ファーム

からの続き

 とにかく母屋まで連れて行って冷たいお茶を出した。すると図々しいことに『せっかくならビールがいいなあ』などとほざくので、仕方なくビールの栓を抜いて結局僕も一緒に飲みだしてしまった。うまい!
「毎年毎年この時期になると戦争の反省ばかりだなあ」
「しょうがないですよね。つくづくやるべきじゃなかった戦争ですよ」
「キミに前にも言ったけどこの先に8月13日に爆撃されたところがあって、そこでは人も死んでいるんだ」
「本当に終戦直前ですね。しかし人口も大していない上に軍の施設も何もない所でしょう」
「あれはなぁ、東京で散々落として帰る途中に余った爆弾を捨てたんだよ。B-29は富士山をランドマークにしてたからね」
「えっ??」
「だって1発か2発だったよ。下にいたのは運が悪いとしか言いようがない。そのまま抱いて帰るのは燃料の無駄だと思ったんじゃないか」
「物量の違いがケタ外れですね。持って帰るくらいなら捨てるという。何でまた絶対負ける戦争をやっちゃったんでしょうか」
「ハル・ノートは知ってるよね」
「はい。日本が完全にプッツンする内容ですね」
「『こんなものを突き付けられたらモナコだろうがルクセンブルグだろうが銃を取って立ち上がる』とアメリカ人が言ったとされる内容だ。しかもそれをハルに焚きつけたハリー・ホワイトはコミンテルンのスパイだったことが今はわかっている」
「その頃はアメリカ人も知らなかったのでしょう」
「勿論そうさ。だがルーズベルトは既に始まっている欧州戦争には加わらない、と言って当選した大統領なんだ。ここは何とか先延ばしにしていっそ内容をすっぱ抜く手もあった。アメリカ人は今でもハル・ノートの存在を知っている奴なんか殆どいない」
「そうなんですか」
「仏印進駐で石油の禁輸を食らって挙句の果てにハル・ノートだからな。そこで散々モメてる中、山本五十六が真珠湾をやっちゃった」
「真珠湾は大成功でしたからね」
「キミも甘いな。ありゃヤケッパチに近い。あんなことやるのは止めて植民地解放とだけ言ってマレーとジャワに行けば良かったんだ」
「すると無傷の米太平洋艦隊がフィリピンに来ませんか」
「そりゃ来るけど2~3年はかかる。ABCD包囲陣のうちB・Dにだけ宣戦布告して戦争してればいい。何ならハル・ノートを丸飲みしてもいいぐらいだ」
「そんなことしたら陸軍が黙ってないでしょう。ハル・ノートには中国から即時撤兵が入ってるじゃないですか」
「その中国はチャイナだよな。すなわち当時の中華民国だ」
「はい」
「チャイナの国境は万里の長城になっていて外側は満洲国、マンチュリアは入らない」
「えっ?」
「帝国陸軍はチャイナから引き揚げて満州・朝鮮・台湾から南方だけ押さえていればアメリカも手が出せない。すると中国内で国民党と八路軍の内戦になるだけだ。ジャワ・マレーを抑えてインドにちょっかいを出すだけなら制海権は握れるからな。イギリス東洋艦隊なんてセイロン沖でほぼ全滅したんだから連合艦隊は今日の第七艦隊と同じポジションについたはずだよ」
「香港はどうなるんです」
「シンガポールと同じさ。史実の通りだね。イギリスは香港を要塞化していたが若林中尉の一個中隊の夜襲により6日で落ちた。チョロイ。ついでに肩透かしを食ったアメリカに防共ラインとしてアリューシャン・千島防衛ラインでも申し入れたら完璧だな。なんなら満州の共同経営もエサにしてもいい。その頃はドイツ軍がモスクワの手前で干上がってるからタイミングも最高だ」
「三国同盟はどうなります」
「知ったこっちゃない。ヨーロッパの情勢不可解で内閣が吹っ飛んだことを考えればその程度のバックレはかわいいもんさ。大体国際条約を一方的に破るのはドイツとロシアのお家芸だ」
「それでアメリカは黙ってますかね」
「無論フィリピンがあるからいつかはドンパチになるかも知れんがそれだって2~3年先になる。その間にどうにか時間を稼いで何とかなったんじゃないか。考えても見ろよ。仏印の進駐にガタガタ言ったってそのころのフランスなんかドイツに占領されて実態なんか無かったんだから。そうなるとフィリピンのアメリカ軍は孤立しかねない。一方インド洋の制海権を握った段階でB・Dと講和するというのはどうだ。シンガポールでパーシバル将軍に迫ったみたいに。実際、真珠湾のすぐ後にはアメリカ西海岸に浮上したイ号潜水艦が砲撃する一方でマダガスカルやシドニーにはイ号から発艦した特種潜航艇が攻撃している。インド洋は日本の海だった」
「(バカバカしくなってきた)講和ができるとそれで終わりますか」
「さすがにその後は分からんな。アメリカ次第なんだけどね。終戦直後から東西対立は始まるだろ」
「はい」
「アメリカは終戦直後から朝鮮・ベトナムと四半世紀戦争を続けた。その時の兵站の要を担ったのは日本だよ。日米で戦わず満州あたりをバッファーに持っていれば遥かに安くついただろうし共産中国への押さえも利いておたがいいい事尽くめだったろう。或いは蒋介石あたりを使って共産化を防げたやも知れない」
「日本はどうなっていたでしょう」
「我が国の場合は東亜の解放を謳っただけに東南アジアを植民地にはできない。君臨しても統治せずだったろうね。当然朝鮮・台湾には独立を勧める。日米同盟を結んでアメリカが払ってきたコストの半分位は持たされたかも知れない。岸信介あたりが絶妙な手腕を発揮して長期政権になっただろう。ただ高度経済成長ができたかどうか。あの戦争で勝ち太りしたのはアメリカだけなんだからねえ。すると我が国に分厚い中間層は形成されず格差は昭和の時点で社会問題化したろうな。華族制度の廃止やら農地解放は簡単にはできないだろうし国会改革なんかもっと無理。治安維持法とか統帥権の問題もそのままだ。キミみたいな怠け者は本土にいられなくなってインド浪人にでもなってたかもしれないよ」
「(笑えない。実質それに近いじゃないか)先生はどうなってたでしょうね」
「ワシか。そうだな、七族共和となった満州合衆国で教師になる、というのはどうだろう」
「七族って何ですか」
「満州国の五族は日・鮮・満・漢・蒙なんだがそれに革命を嫌ったロシア人とパートナーのアメリカだ。但しアメリカは民族の名前じゃないので白人・黒人とする。日・鮮・満・漢・蒙・白・黒」
「・・・・」
「おォ!もっといいのが浮かんだ。七だから虹の色に例えればもっといい。すると日本は日の丸の赤、鮮は少し明るい橙、満は黄、蒙は緑で漢は藍。後は白人を青にして黒人は紫。どうかねこれは、七族共和の虹の国だ」
「(どうでもいいや)いいんじゃないですか」
「うん。待てよ、クレームがついたらやだな。やっぱり白人は白、黒人は黒とするか。いや、それとも」
「(いいかげんにしてくれ)チョッちょっとすみません。あのー終戦の時は先生はどこにいたんですか」
「・・・・」

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