Sonar Members Club No.36

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アマチュアの粋 プロの通

2025 JUL 27 21:21:01 pm by 西 牟呂雄

 どういう巡り合わせか、今月立て続けに生のステージを3つばかり楽しみました。普段はビブラフォンのJAZZを月イチだから随分と厚みが増した気がします。
 一つ目は友人のバンドのライヴハウス。ミュージック・チャージ7千円+食事・ドリンク代で〇万円(ほとんどがドリンク=ピール)、メンバーはギャラを取るので、即ちプロですな。ソールド・アウトの入りで、ステージは盛り上がったのですが、集客には苦労するらしく同級生が塊になっています。バンマスは銀行マンだったこともあり、昔の同僚も駆けつけてきて身内感満載、従って年齢層はかなり高い。

 以前にも書いたことのあるカントリー調のサザン・テイストは明るく楽しいものでした。デイ・ドリーム・ビリーバーとかザ・ウェイトなどはツウ好みのアレンジでしたね。
 実は僕はこっそり選曲のアドバイスやらハコの紹介をして影のプロデューサーを気取っています。レパートリーにプレスリーを入れてアメリカ・ツアーを持ち掛けていますがさてどうかな。
 彼らはプロとは言えメジャーなヒット曲があるわけでもなく、各メンバーもこのバンド1本では食えないのでいろいろ掛け持ちをします。
 で、この日はゲストとして某キーボード・プレイヤーが参加しました(前回も来た有名人)。集客目的で引っ張り込んだのかと思っていたら、本当のところは普段スタジオ・ワークばかりなので入れてくれと言ったとか。それで花を持たせるために1曲ボーカルを取ったのですが、まっご愛敬。受けてはいました。

 次にSMC仲間の西村さんや吉田さんがやっているクラシックのライヴ・イマジン。こちらはアマチュアを堅持されて入場は申し込みハガキのみ。スナップでも載せたかったのですが、演奏中の撮影・録音は厳禁とのことで、シビック・ホールのバックステージが開いたところを。

 いや恐れ入りました、人気があるんですな。開演30分前に行ったら長蛇の列。熱心なファンの方やお身内でしょうか、常連さんらしくご挨拶をしたりしています。
 僕はクラシックは素人ですので論評はできませんが、演奏者の皆様の情熱はしっかり伝わりました。もっと言えばこのステージは結果であって、ここに至るまでのプロセス(例えば選曲・練習スケジュール・会場手配・舞台設営・衣装に至るまでの一つ一つ)を楽しんでおられる。この手作り感が演奏に表れているようです。
 今回のテーマは『ゴージャス』。中には僕も口ずさむメロディーもあって、いやはや詩情を掻き立てられましたねぇ。ツベコベいうほど聞き込んでない僕からすればもう十分。初めて聞いたブーランクの人を食ったような旋律は『本当のところは教えてやらないよ』と言われているような不気味さでした。
 そして何と打ち上げの席にまで声をかけて頂いたので、多少ビビりつつもノコノコついて行きますと暖かく受け入れていただけて楽しめました。皆さん方は原曲に忠実に、と暗譜するにしてもメロディではなく譜面を記憶する、とのお話。
おまけに仕事は仕事でこなしながら他のアンサンブルにも参加されるなど、およそ1年中ヒマなしで練習・発表に励んでおられるとか、物凄いエネルギーです。遊び歩いているだけで疲れるのが恥ずかしい(治らないけど)。それをひけらかさないところが何とも粋なんですね。手弁当で20年も続けるのは大変でしょう、と言うと『会場の費用だけでも入場料にしたらどうか、とも言われますが、そうなると自由度がなくなるようで』カッコイイ! 
 そしてお酒の召し上がり方の上品なこと。ワインを軽く嗜まれ、僕のような安焼酎のガブ飲みなどは以ての外。もっとも高価な楽器を運ぶために泥酔などはできないのでしょうね。

 最後はゴスペルです。ヨット・ハーバーの夏の出し物でこちらは入場料を取りますが、生ビール飲み放題なのでプロとは言い難い、16人編成、のっけから物凄いパワーに腰が抜けました。

サンセット・ゴスペル

 開演は5時なので夕日の当たる海を見ながらのオープニングは『天使にラブ・ソングを』の『オー・ハッピー・デイ』
 なかなかの迫力でした。ところがですな、ゴスペルは基本教会音楽であり、ソウル・ミュージックですからあんまり明るいオープン・スペースには向いていないのかもしれません。
 やはり休憩をはさんで日が暮れてくるとメリハリが増します。
 アレンジが巧みだったハレルヤ・コーラスは素晴らしかった。
 メンバー紹介でわかったのですが、元ジャズやR&Bのシンガーだった先生の指導しているサークルで、さすがに先生がソロを取るとうまい。

 このメンバーでもう25年続いているそうです。
 何より皆さん楽しそう。次第にこちらも体が動く。手拍子が鳴る。踊りだす(僕が)。
 神様の歌声が聞こえてきました。ハレルヤ!

先生と筆者

 ちなみに先生はなかなかカッコイイ立ち振る舞いですがポスターに載せていた写真は藤原紀香さんにそっくりでした(25年前の写真だとか)。こちらの皆さんも粋な方ばかりで、一緒になって(僕は)ガブ飲みしました。

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見えてきたディープ・ステートの正体

2024 SEP 28 17:17:48 pm by 西 牟呂雄

 これはある国における分断の真相に迫るレポートである。
 その国は豊かで民主的で常に世界の最先端を行く技術をも持つ。更に他の追随を許さない強大な軍事力も持っている。しかしながら大変若い多民族国家だ。生み出される多様な文化はそのまま世界に伝播して大きな影響を与え続けている。
 一方でこの国はいかにも拙速かつ独善的であり、しばしば洗練されていないむき出しの力の外交で世界を混乱に招く。重層的な異文化を理解しようともせずに、自分たちのデモクラシーを押し付けたがる単純さがある。
 そのくせ自国内にも複雑な分断と乖離を内包していて、人種・格差・宗教と対立のネタは枚挙に暇がない。そしてしばしば銃撃事件だのテロだの犯罪に見舞われている。この国はその成り立ちから矛盾の塊なのだ。
 切り口を政治的に分析すると、陰謀論的なダーク・サイドと一見単純なカウ・ボーイが常に緊張関係を孕んでいる。
 折しも太政大臣の選挙がある。
 軍産複合体と巨大官僚機構に押された針巣氏は、脳梅毒の症状が顕著になった梅田太政大臣の後任として名乗りを上げた。実は対抗馬の都乱府氏の陣営が銃撃事件をゴルゴ13に依頼し、見事に耳だけをかすめるという抜群の演出が大当たりしたせいで梅田では到底勝てないため、焦った軍産複合体を中心とした勢力が候補者を代えたのだった。勿論フェイク銃撃の犯人にはダミーを仕立てて殺させた。 
 この作戦は見事に当たり、針巣の支持は都乱府に肉薄してきた。そして両者が直接対峙する形での公開プロレスでは、もちろん引き分けのシナリオではあるものの、針巣の必殺技アイアン・コブラ・ヘッド(どんな技か不明)を数発喰らって都乱府の受け身の下手さが露呈してしまった。
 焦った都乱府側は、夢よもう一度とばかりに暗殺未遂を仕掛けたが、ゴルゴ13は今回のギャラに20億ドルを要望したので契約は成立せず、素人を使い未遂にもならないで失敗した。
 ついでながら、同盟国である大和国の企業である一本製鉄がこの国の優越製鉄を買収しようとしている。双方ウィンーウィンの買収内容だが、組合員の票欲しさに両候補とも反対のフリをして見せた。どうせ後で理屈をつけて賛成するのはミエミエで、最近のその国の政治判断の幼稚さを物語っている。
 この国のディープ・ステートは明らかにリベラル・グローバリストの仮面を被って身を潜めているつもりだが、他方で力の行使にはあまり躊躇しない。従ってネオコンとの親和性も高い。ネオコンはネオコンで党派には関係なく使いやすい太政大臣ならば分け隔てなくスリ寄る。例えばこの国の利害のための大義名分が立てば戦争に至る緊張感を煽ることでディープ・ステートのご機嫌を取るのはやぶさかでない。
 これに対抗するために都乱府陣営ではことさらに移民問題・貿易不均衡を言い立てる。特に中花国との貿易戦争を厭わない。結果は妥協するにせよ、当面は強硬極まりない姿勢で臨むだろう。それにしても最近の発言は度を越してきた。
 更にディープ・ステート狩りのプログラムを用意して、上院の承認を必要としない政治任用の高官(約4千人)をデータベースに登録して指名する構えである。

 さて、お互い先が短くなった大和国の現木志田総理は梅田太政大臣と最期の傷の嘗めあいなのか、サミットごっこに興じていた。
『お互いいいこともやったんだが最後は足をすくわれたな』
『全くだ。そっちは針巣といういい後継者がいたからよかったけど、オレの周りは裏切り者だらけだ』
『だけど勝てるかどうかははっきりしていない。いい勝負ではあるが』
『万が一都乱府が勝ったら相手をしなきゃならなかったからオレもトンズラして正解だった』
『あの公開プロレスではアイアン・コブラ・ヘッドが決まったからな。あせった奴はますます出鱈目を言い散らして自滅するかもしれん。この前も「移民の好物は犬ソーセージと猫のニャーニャー焼きだぞ」とやったからな』
『こっちも大変だよ。モゴモゴ喋りのヒキガエルが後任だぜ』
『どっちにしろやっかいな不沈や醜金平と渡り合わなくてよくなるからホッとはしたが』
『世界はどうなるんだ。ドンパチが終わる気配もない』
『知ったこっちゃない。勝手にしろ、だ。この国だってあんなメチャクチャなバカに投票する国民なんかどうでもいい』
『おいおい、まさか大和国もどうでもいい、なんて人前で口走しらないでくれよ』
『ん?オレ何か言ったか』
『・・・・』

 太政大臣投票まであとひと月。

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ビブラフォンの誘惑 Ⅱ

2023 SEP 24 6:06:28 am by 西 牟呂雄

 

 仲良しの大井貴司さんの演奏を聞きに行った。
 この人はお茶目なところがあって『さて、次の曲はなんでしょう』と言いながらソロをとり、バックが入って始まったら『ルビーの指輪』だった。
 アメリカではモダン・ジャズ・カルテットとも共演していて、同じビブラフォン・プレイヤーのミルト・ジャクソンのスティックを譲り受けたこともあり、よく演奏もしている。
 今回のレパートリーにピアノのジョン・ルイスが書いたヴァンドームをやったのだが、あれっこれってバッハじゃないの、と気になった。出だしのピアノとの輪唱のような掛け合いでハッとした。
 無論僕は熱心なバッハの聞き手ではないが,亡母が好きで1日中流れていた記憶があるので、刷り込まれたのかもしれない。それでジョン・ルイスを検索してみると、1980年代になってバッハの「平均律クラヴィーア曲集 前奏曲とフーガ」の全曲を、アドリヴも入れながら吹き込んでいる。やはり素養があったのだろう。聞いてみたかったが、TOUTUBEにはソースが見当たらなかった。バッハのコード進行はスタンダード・ジャズとは比べ物にならない程複雑だから、リズム・セクションはともかくどんなアレンジで編曲したのか興味は尽きない。

 それこそ大昔の話になるが、山中湖で大きなジャズ・フェスがあった時に大井さんやバンドのメンバーと一緒に聞きに行き、喜寿庵に泊って大騒ぎをしたことがあった。その時にこの業界の連中の物凄さを目の当たりにしてビビッた。時間は守らず行動計画もなく金銭感覚もない。十人程が雑魚寝をしたのだが、メンバー同士知らない人が混じり、アンプを持ち込みギターやらベースをかき鳴らし、見たこともない女性二人はただの飲み屋のオネーチャンだったことが後で分かった。当時のこととはいえ、運転した途端にビールを飲みだしたのには唖然とするしかなかった。この人達はあんなにテクニックがあるのに、クラシックの道に(一応音大を出ているにもかかわらず)進めなかった理由の一端が覗けた気がしたものだった。
 ヴァンドームの演奏シーンがアップされてたのでお楽しみください。

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ビブラフォンの誘惑

スマイル・ジャパン観戦記

2022 FEB 3 23:23:19 pm by 西 牟呂雄


 
 色々と問題を抱えつつも北京オリンピックが始まります。ここではその問題については触れないでおきましょう。  
 僕はオリンピック以外ではなかなか見ることのできない女子アイスホッケー、スマイル・ジャパンの大ファンなのです。
 この人は、その守護神であるゴール・キーパーの美しき女神こと藤本那菜選手。
 藤本選手はお父さんもアイスホッケーのキーパー、妹の奈千さんの元日本代表のディフェンダーというホッケー一家です。2015年には北米NHLニューヨーク・リベターズとも契約していた名選手で、オリンピックもソチ・ピョンチャンに続いて3回目。
 でもって、実はこの写真は別人で、本物の藤本選手はこちら。

 どうです、似てませんか。
 最初の写真は、白血病と闘いながら東京オリンピックで活躍した不屈の魂の池江璃花子さんであります。
 さて、3日のきょうには早くも予選リーグが始まります、初戦は強豪スウェーデン。過去のオリンピック2大会連続で1点差の負けを喫した因縁の相手なのです。何といっても体格がゴツい。プロテクターを付けてヘルメットをすればサイボーグさながら。
 中継は第2ピリオドからだった。なんと1-1ではないですか。腕周りなんか筆者の倍もありそうな北欧美女が、まさに肉弾戦のように可憐なヤマト・ナデシコに襲い掛かる。痛そう!
 だが、スマイルも守る守る。小柄な小山が体を張る、細山田はスティックを飛ばされると素手でディフェンスに付く。フォワードのベテラン米山と大ベテラン久保が再三いいポジションで攻める。ドスンドスンと当たられながらもなんとか凌いで見せていました。アイス・ホッケーは手でパックを弾いたりシューズで止めるのもアリなんです。
 ところで、スマイルには姉妹で参加している選手が3組もいます。DF葵・FW紅音(あかね)の志賀姉妹、FW光・DF栞(しおり)の山下姉妹、DF亜矢可とFW秦留可の床姉妹です。皆さん姉妹で攻守のユニットを組んで息の合ったプレイをしています。逆に言えばまだまだ選手層が薄い競技なのでしょう。
 最終第3ピリオド。スマイルは相手のパスを良く読んだカットが素晴らしい。と、揉み合っている中から浮田が飛燕の動きで敵陣に切り込みシュート!得点を上げました。この頃から双方エキサイトして小競り合い、スマイルにペナルティーが出て一人欠け、と目まぐるしく展開します。
 残り2分20秒。ついにスウェーデンは捨て身のパワー・プレイに出ました。ゴール・キーパーを下げてフォワードを入れた全員オフェンスです。
 すると米山がパックを掠め取って無人の敵陣に突進、鮮やかにゴール!
 予選リーグ初戦で勝ち点3をもぎ取ったのです。イケるぞ、スマイル・ジャパン。がんばれ、スマイル・ジャパン。次は強豪デンマークと5日に試合です。

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がんばれ!女子アイスホッケー スマイル・ジャパン

プラハ国立劇場オペラの『フィガロ』

2019 JAN 12 8:08:10 am by 西 牟呂雄

 SMCの書き手の皆さんはクラシックの造詣が深いので私が書くこともないのですが、モーツァルトの名作『フィガロの結婚』を見て来たので。楽曲・演奏・歌唱についてはシロート意見は控えますね。
 ご承知の通り、当時の貴族をオチョクリ倒した風刺的な脚本のため、ブルク劇場(宮廷劇場)でヨーゼフ二世隣席の初演こそ大成功だったにもかかわらず、ウィーンではさして当たらなかったそうです。ところが当時ハプスブルグ家領のボヘミアの首都プラハで大受けしたという。この辺りの事情は詳しくないのでどなたかご教示頂きたい所です。
 相性が良かったもかその後『ドン=ジョバンニ』や『皇帝ティートの慈悲』はプラハ国立劇場(当時のスタヴォフスケー劇場)で初演されました。
 そのプラハ国立劇場歌劇団が来日し全国の中型コンサートホールを公演して回る中に、家から歩いて行ける某文化会館が入っていたのでトコトコ見に行った次第です。
 マッ、オペラの筋は歌舞伎みたいにどうでもよろしい。せっかく楽しんだので記しておきます。
 マエストロはエンリコ・トヴィコという長年ドイツで振っていた人でした。彼のタクトでおなじみの序曲が軽やかに始まります。
 抑揚タップリに頭を揺らし、アクセントの半拍前に左手を上げてドンッという感じでステージを指す特徴があって、これなかなかカッコいい。見栄えがしました。

マリエ・ファイトヴァー

 ソプラノの伯爵夫人はマリエ・ファイトヴァーという大変な美人。美しいソプラノをあまり大きく口を開かない歌唱法で歌い、繊細な声でしたね。日本でもファンは多いのではないでしょうか。

 そしてスザンナ役はユキコ・キンジョウ、琉球大学卒業後イタリアに留学し、2012年からプラハ国立劇場の専属歌手をつとめている日本の方です。キンジョウという苗字と琉球大学の出身で沖縄の人と推察されますね、昔はカナグスクさんだったのでしょう。

 ところで公演は1月3日の大阪を振り出しに、九州・福岡から北は岩手まで毎日毎日移動するスケジュールで、まるでプロ野球のように凄まじい。フィガロとか伯爵夫人は3人でローテーションを組んでいます。そしてその伯爵夫人の一人がエヴァ・メイという知る人ぞ知るイタリアのソプラノ。日本では2007年に椿姫のヴィオレッタを歌って絶賛されたと聞きました。
 首都圏では1月18日に茅ヶ崎、20日に横須賀で上演されますよ。是非どうぞ。

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カツカレーはいつどこでできたか

2018 APR 21 10:10:34 am by 西 牟呂雄

 カツカレーを検索するとその発祥の有力な説に、戦後巨人の選手だった千葉茂が銀座の『グリルスイス』という洋食屋の常連で、トンカツとカレーを別々に食べるるのが面倒だと一緒にした、と出ている。
 しかし『ウチの店が最初にカツ・カレーを始めたんだ』と言い張っていた奴がいる。場所は築地だ。
 その店は地元ではおいしいので有名で、経営が変わった後に豊洲の移転を拒否して閉店してしまった。流れを組む人が高円寺で暖簾を継いでいると聞いたが、行ったことはない。『〇ちゃん』という店名(誰だか分かってしまうかもしれないので匿名ですみません)で月刊文芸春秋のグラビアにも出た名物おばあちゃんが切り盛りしていた。「あたしゃ豊洲なんざ行かないからね」と啖呵を切ったらしい。その孫が出所だ。
 ところが最近読んだ本にカツ・カレーのオリジナルは冒頭の『グリルスイス』でも『〇ちゃん』でもない、という論考を知った。
 戦前のアマチュア・スポーツの大パトロンでロサンゼルス・オリンピックとベルリン・オリンピックの選手団長を勤めた平沼亮三という人がふるまったのが最初だという説である。
 平沼亮三は横浜商工会議所の財界人で、広大な私有地に数々のスポーツ設備を建ててこれを開放した。そこで出された『スポーツ・ライス』というメニューがカツカレーだったと。
 『スポーツ・ライス』説を考証した人は教育者としてそれなりの功績があるのでデタラメでもなさそうだ。

 思うにトンカツごはんにカレーをかけて食べるというスタイルはそれなりに自然発生したものだろう。
 最初の『グリルライス』説はともかく『〇ちゃん』説と『スポーツ・ライス』説には面白いウラがある。『〇ちゃん』説を唱える奴は現在さる化学品メーカーの社長をやっている。後者は教育者。そしてこの二人はクラス・メイトなのだ。なぜそんなことを知っているかというと実は僕もそのクラスにいたからだ。今でもたまに会う。
 もっともらしい顔を今ではしているあいつらが、どんな学生だったかはまた別の話。しかしアブナ過ぎてブログには書けないだろう。
 教育者の実家でアルバイトをし、社長とは金が無くなるまでスキー宿で粘った。
 今度会う時にはカツカレー論争に決着を付けてもらおう。
 〇藤!長〇!証拠を持って来いよ!

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映画『HIROSHIMA』で鈴木貫太郎を観る Ⅱ

2018 MAR 1 20:20:28 pm by 西 牟呂雄

 SMCメンバーの野村さんが長年鈴木貫太郎の研究をし、そのコレクションの表記映画・ドキュメンタリーについてブログをアップされたが、実は私も同じ物を見ている。
 私も双方の立場を丹念になぞった重厚な作品だと高く評価している。
 そして終戦工作において鈴木総理が巷間言われる陸軍を抑えるための『腹芸』をしていたという説を野村さんは支持されているようだが、この点私は少し違った見方の立場だ。
 77才で多少耳が遠くなっての総理大臣である。懊悩し苦しみぬいて最期に昭和天皇の英知に頼ったのではないか、と思うのだ。なにしろ2・26の時に銃弾を浴びて一命をとりとめたお方だ。徹底抗戦を主張する陸軍を抑えることができるのか、その不安たるや尋常ではなかったはずだ。ただしこの人の見識と振る舞いに対する敬意はいささかも損なわれるものではない。
 一方ポツダム宣言への回答として『黙殺』と言ったかどうかについても考証を加えておられるが、私はこれは使ったと思う。米国はその翻訳に困ったことは確かで、単純に『ignore』とはしなかったらしい。確認していないが『silent kill』と翻訳したというヨタ話もあるくらいだ。
 ついでながら、私はハリー・トルーマンはレイシストであるとも考えている。

 さて、作品の中に「ホウッ」と唸らせられたシーンがあった。
 冒頭の大本営と思われる会議の席上で阿南陸軍大臣が配下の参謀に尋ねる。
「畑中少佐とやら」
 既に『日本でいちばん長い日』等で御存知と思うが、畑中健二少佐は実在の人物だ。終戦時の陸軍省軍務局課員だった。 
 終戦の詔が裁可されポツダム宣言を受諾することになり、陛下の玉音放送が録音された後、8月14日深夜鈴木総理があれほど心配していたクーデターが起きる。畑中少佐はその中心人物で、近衛師団参謀を巻き込み徹底抗戦のために無条件降伏を阻止しようとした。
 皇居を占領し、玉音放送の原版を奪取しようと考えたが、それをはねつけた近衛第一師団長森赳中将と参謀白石中佐を殺害してしまい、更には師団長命令を偽造した後に12日時点で完全武装して皇居の警護の当たっていた近衛歩兵第二連隊を展開する。
 電話は切断、皇宮警察は武装解除。あわやとなったのだが東部軍管区田中軍司令官の説得に失敗し結局鎮圧される。玉音盤は事前に徳川義寛侍従によって保管され無事だったが、宮内省を捜索する殺気立った雰囲気を後に証言している。
 畑中少佐と椎橋中佐は自決、田中司令官も責任を感じて自決。
 しかしながら帝国陸軍が消滅してしまい、その他の将校は当時の軍法・刑法違反にも拘らず責任を問われなかった。
 又、その騒ぎの最中に参謀肩章を吊った某宮様を皇居内で見た、という証言もあるのだが真偽の程は分からない。
 映画等では狂信的な人物として描かれたが、本人は至って物静かな人だったようだ。敗戦の衝撃が多くの人から冷静さを奪った極端な例だろう。最も冷静だったのは無論鈴木首相と天皇陛下。

 もう一つ。
 原爆を運んだインディアナポリスがテニヤンからの帰りに日本海軍の潜水艦イー58に撃沈されるシーンがある。それは事実だが、閑話休題。
 スピルバーグのジョーズという映画をご記憶だろうか。初作品で海洋学者が乗る「オルガ号」の船長クイントが夜のキャビンで戦争中の事を語るシーンがあった。日本の潜水艦にやられて海に放り出され同僚が鮫に食われる、という話だ。クイントはその時インディアナポリスに乗っていたと語るのだ。
 ジョーズでは原爆については触れられていなかったが、見たときにピンときたことを思い出した。

 やはり原爆の被害があまりに甚大なので、日本では大っぴらに放送はできなかったのだろう。天皇陛下の御言葉が入るのがヤバイというのも野村さんの考察通りと思われる。

戦争の終わり方

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シューベルトへの誘(いざな)い マルティーノ・ティリモさんコンサート

2018 JAN 26 21:21:19 pm by 西 牟呂雄

読者の方から魅力的なお話を頂きました。
ピアノコンサートのお誘いです。
ピアニスト、マルティーノティリモさんはまだ日本では名の知られていないようですが、シューベルトの大家として未完成のピアノソナタを完成し、ウィーン原典版から楽譜を出版されたそうです。
『一度は聞いて頂きたいピアノニストです』
とのことで案内が添えられていましたのでお知らせします。

マルティーノ・ティモリ

 クリックして下さい。




SMC サイト・リニューアルについて

2017 JUL 28 11:11:40 am by 西 牟呂雄

会員並びに読者の皆様
 時間がかかりましたが、サイト・リニューアルができました。
 引続きお楽しみ下さい。

 その際、ブラウザが保存していたキャッシュによって画面が乱れている場合があります。
 下記ブラウザの項目のいずれかを試して頂ければ、キャッシュが削除され正しく表示されます。
宜しくお願いします。

Windowsの場合
Internet Explorer
・Ctrlを押しながら更新ボタンをクリック
・Ctrlを押しながらF5 キー

Google Chrome
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・Ctrlを押しながらF5 キー

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Firefox
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・Ctrlを押しながらF5 キー

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Safari
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Macの場合

Safari
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Firefox
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Opera
・Commandを押しながらR キー

以上です。      SMC管理委員会

痩せ我慢なのか 英国EU離脱

2016 JUN 28 6:06:01 am by 西 牟呂雄

 僅差ではあるが英国民はEU離脱の決断をした。おかげで円は上がり株が下がった。ポンドもユーロもガタ下がり。短期的には混乱が生じるのはあたりまえだが、ここまでパニクるとは。
 その道のプロにはリスクを織り込んで(事前の調査でも僅差だった)カラ売りをかけてガッサリ儲けた機関もあったかもしれない。まさか僅かに残留という情報工作したとは言わないが、投機筋以外は時間的にも静観せざるを得なかったものと思われる。
 今後、過度のポンド安・ユーロ安を防衛するために各国の協調介入も在り得る。また、足元のドルの調達コストが上がる。

 ところで、経済活動にマイナスも多かろう選択をしたイギリス国民はどう考えたのだろう。
 高齢者は離脱を、若年層は残留を選択しがちだったと報道されている。又、独立の投票までしたスコットランドや反英感情の強い北アイルランドでは残留が多かったものと見られる(人口はケタ違いに少ないが)。これなぞ、離脱するなら独立してEUに加盟してやる、といういやがらせが始まってしまうような気もする。
 イングランド・高齢者・移民拒否・・・・。
 何やらトランプの主張と重ならないか。そういえば離脱派のジョンソン前ロンドン市長とトランプ氏は見た目が良く似ている。以前のブログで『世界は一斉に内向きになっているのか』と書いたが、将にその流れが止められなくなった感がある。そしてトランプ氏はタイミング良くスコットランドに姿を現した。

 数学者の藤原正彦さんは米英両国で研究生活をした経験から、英国人のエリートというものはやや控えめで、凝ったユーモアを好む冷静な人達で、アメリカのアングロサクソンとは違っている、と指摘している。それが、勝利が決まった時の離脱派のはしゃぎ方はまるでアメリカ人のようだった。
 EUの取り決めが不快に感じられる英国人が、ドイツ一人勝ちの現状に我慢ができなくなった部分はあるだろう。
 EU法は言ってみれば大陸法の系譜を引く体系で、成文憲法を持たない英国とは成り立ちが違う。日本も元々島国らしく英国型の統治スタイルだったが、法体系作成の段階でプロシャ型を選択したため、やたらと守りもしないことまで細々と法律で決めてある。
 この辺り、いちいちEUに指図されるのが気に入らない、伝統を重んじる高齢者の離脱マインドの本音かもしれない。
 であれば、多少の経済的困難を顧みずに離脱へ突き進む天晴れなジョンブル魂ではないか。ドイツの風下に立ってられるか、なんてね(私はドイツ人とも親しいが)。見事な痩せ我慢とでも言うのか。

 もっとも英国はしたたかだから離脱交渉でゴネにゴネて時間を引き延ばし、2~3年で内政を立て直して損得勘定の結果ヌケルノヤーメタ、もあるかもしれない。離婚にはエネルギーもコストもかかるのだ。
 今回の国民投票も当初はガス抜きくらいの感じでやったフシがある。
 タックス・ヘブンの荒稼ぎも怪しくなってきたからシティの凄腕たちは次の手を考えているに違いない。
 EUの方も衝撃は大きい。
 筆者が高く評価している仏人の歴史人口学者エマニュエル・トッドはこうなる前から瓦解を予想していたが、これが引き金になるとすると・・。

 ただし氏は分裂を予想はしたが、極右の台頭は時代の逆行、一種のヒステリーだと警鐘を鳴らしていることは強調しておきたい。

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『リーマン・ショック直前並み』雑感

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