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僕の野球地獄変

2014 JUL 30 20:20:27 pm by 西 牟呂雄

 SMCの野球観戦レベルは、やはり元高校球児の東 大兄の一連のブログのおかげで高い。しかし僕自身は野球をセッセとやったことはなく、テレビを熱心に見る方でもなかった。少年の頃に後楽園時代のファイターズを外野スタンドから応援したことがあるくらいだった。
 ところが一時期、試合の結果(結果のみですよ)に一喜一憂したことがある。正統なファンからはお叱りを受けるであろう理由からだ。

 僕は新入社員時代でバクチから卒業したと書いたが、古いメモを見て気が付いた。それは誤りで、もう少しかかった。話せば長い。
 ペイペイから末端管理職になった時は小さい所帯の長で、みんな仲が良くたまに飲みに行ったりしながらテキパキと営業をこなしていた。組織として実際は我々より偉い人の方が数が多いので、自分も「管理者」というよりはプレイヤーだった思いの方が強かったし、仕事はヒラよりもむしろ増えた。
 営業の人間の一人は、元々は技術屋が営業職になった実直な奴で、そしてオリックスの大変なファンだった。当時は某テレビ局が巨人戦をガンガン中継していたので、パ・リーグのほうは見向きもされないと言っては失礼だがマイナーな存在だ。僕は冒頭に紹介した成り行きで日ハムを応援していたので、彼と試合結果を見ては「勝った、負けた」と盛り上がった。この頃オリックスVS日ハムの試合に注目する人なんかいないので、何か秘密を共有するような楽しみがあった。
 暫くして盛り上がり過ぎてついに一試合ナンボの賭けが始まった。直接対決は毎日はない。プロ野球ニュースで力を込めて見ては多少の金額をやりとりするくらいでかわいいもんだった。
 すると、その彼が
「大阪支店には熱狂的な近鉄バッファローズのファンの Oというのがいます。」
と言ってきた。電話すると、早速オールスター後の後半戦から参入することになり、三つ巴になったのだ。俄然自分で戦っている気がして力が入り楽しいシーズンとなった。しかし優勝争いはいざ知らず、下位チームでの見入りはどんなもんかというと、一年も戦い続けて勝った方と負けたチームの差何千円にもならなかった(確か勝ったはずだ)。

 次の年は大阪の Oもやる気満々で初めから参加した。野茂がまだ近鉄で活躍していた頃である。日ハム対オリックスに限れば、大化けする前のイチローとダイエーからファイターズに来たアイアン・ホークこと下柳投手の対決(僕はこの下柳投手がその後も好きだったなァ)が話題になるくらい。他に「まいど!」とお立ち台に上がるガンちゃんこと岩本投手なんかもいたっけ。
 ところが面白いことに『それに入れて欲しい。』というバカな奴が出て来てダイエーだロッテだ西武だと6チーム総当りになってしまった。
 たまには西武球場や東京ドームに繰り出し奇怪なルールでも戦った。即ちゴルフの握りのように、三振・死四球・エラー等には罰金が科せられ、ホームラン・盗塁・ダブルプレーにはご祝儀が出る。その他忘れてしまったが様々な決め事が観戦のたびに加えられて、試合は負けても掛け金では稼げる、といったふざけた事も起きた。これは見るだけで疲れた。
 それで肝心の総当りの結果はというと、シーズンを通して総当りでやっても最終的には大きな金額は動かない。それは優勝が決まってしまうと優勝チームは日本シリーズ調整という手抜きを始め、他は年棒の帳尻合わせの個人記録のために有力選手が勝手なことをして、どの球団も勝ち負けを度外視するからだ。これは僕達のようにまだ戦っている者にとっては非常に迷惑だった。更にこういうのは中毒というか、エスカレートというか、最終戦の消化試合頃には連戦の賭け金に異常な高値がついたり、1点いくらのあからさまな賭博にまでなった(もう時効ですが)。

 だがこの戦い、猛烈な抗議を受けて翌年から一切できなくなる。さる女性社員が目を据えて怒った。『あたしはギャンブルが大嫌いなんです。毎日毎日職場で現金のやりとりしているのを見るのは耐えられません。訴えますよ。』
 いささか調子に乗りすぎたと反省した。不真面目な俄かファンなんて底の浅いもので野球への興味も薄くなった。
 しかもその後暫くサッカーでも何でも勝ち負けを賭けていないと全然見る気が涌かなくなって困った。一度だけ箱根駅伝の往路・復路・総合を当てるといった賭けに乗ったが、終わった後、心の底から選手に失礼だと思い二度とやっていない。

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悪戦苦闘物語 (今月のテーマ 振り返り)


 

Categories:僕の〇〇時代

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