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劇団俳小の「子供の時間」

2015 MAR 24 19:19:18 pm by 西 牟呂雄

 早野さんが出演した「子供の時間」を観劇してきました。リリアン・ヘルマンの原作で、オードリ・ヘップバーンの映画「噂の二人」にもなった作品です。
 病的な嘘つきの少女が他の生徒を支配して人間関係をメチャクチャにした挙句、女性の先生二人がレズビアン関係だとの噂を撒き散らし、一人を自殺にもう一人を婚約破棄に追い込んでいく。昨今もありそうなテーマのお芝居でした。
 見所は自殺してしまう女性は苦しんでいるうちに自分はそういった恋愛感情を持っていたのではないか、と思い詰めていく所でした。まるで冤罪の被害者が自白に至るような緊張したやりとりが続くのです、これ結構怖い。閉鎖された小社会のヒステリーが極限を越えてしまう。
 早野さんはちょっと小意地の悪い自殺してしまう先生のおばの役で(ご本人はやさしい方です、念の為)さすがに華がありました。黒テント出身の新井さんという方も凄い存在感。
 私は見ていて婚約破棄に追い込まれる女性の相手であるジョーという役が気の毒で気の毒で。

 ところでこの原作はスコットランドで実際に起きた裁判沙汰がベースとなっています。古い翻訳を元に台本ができているらしく、途中からは台詞の原稿の英文を想定しながら見ていました。後で一緒に観劇していた東 兄も全く同じ作業を頭の中でやっていたそうで笑えました。
 ふと思ったのですがせっかく現代に上演するのだから台詞廻しも今風に変えるとか、思い切って全部ネイティヴ京都弁でやるとかいったことはできないものでしょうか。冒険かもしれませんが、もともとメアリーとかジョーいった名前を使ってやっていることですし、女学生の狭い凝縮された環境にいる小道具として方言を使えないかアイデアを練っています。
 
 話はかわりますが、舞台業界の関係者のような私の隣りに座ったオヤジ、「腰が痛いので座布団寄越せ。」と偉そうに言っていたくせに始まった途端にいびきをかいて御就寝とはいい度胸だよな。どっかのOBか知らんが演劇鑑賞は殆どできなかっただろう、寝に来るんじゃねぇ!
 早野さんが楽屋から出てくる前から私・東兄・阿曽さん・ハリーさんで飲んだのですがテーマが重いだけに厳しい批評が飛んでいました(酒も飛んでいました)。あの女学生が使う「~~~しちまった。」という言葉が印象に残ったのですが、あれは翻訳の際に残った言い回しで舞台が想定している女子寄宿舎はもっと丁寧に喋ったはずでしょう。上述のように上品な京都弁を使ってみたいところです。

 そのあたりで焼酎2本を空け、東兄と私の言動がおかしくなり、経済予想の激論から歌舞伎の物真似にまでなって、観劇の夜は更けていくのでした。早野さんきれいでしたよ。

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Categories:古典

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