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大河ドラマで織田信長を演じた人達

2014 APR 15 11:11:51 am by 西 牟呂雄

僕は大河ドラマを良く見る方だが、ヒットするのは①幕末②戦国③忠臣蔵だそうだ。それに対して鎌倉モノの源平とか、室町モノの太平記、現代モノ等はダメらしい。しかし主人公に関わらず周辺人物の大物に関しては、同じ人物が何回も登場しているので、アクターごとにどう演じるか、中々面白いものがある。例えば戦国モノを見れば、織田信長をいろんな人がやっている。僕なりのベストを上げてみたい。

初めて見たのはまだ白黒時代の『太閤記』だが。高橋幸治がやっていた。豊臣秀吉役の緒形拳との主従で出ていたが、実に良くハマっていて、あまりのハマり様に後の呂村助左衛門を描いた『黄金の日々』でもコンビで出ていたくらいだ。この信長の良かったのは絶対に笑わなかったことだった。秀吉を叱りつける時の、あの苛めているような感じがよく出ていた。これを見て信長という人は笑わない人、という感覚が刷り込まれた。ちょっと残念なのは、後の狂気じみた色が薄かったような気がするところだが、こちらがまだ多くの文献を読む前だったからかも知れない。

最近になると、『利家とまつ』の信長、反町隆史が良かった。これは、高橋幸治は口癖の「デアルカ。」を棒読み式に短く発していたが、反町の方は「デ・アルカ。」冷たく言い放つ所に味があった。そして反町という俳優は精悍な表情とともに声がいい。信長を演ずるのは、その突然変異的なオリジナリティーが要求されるので、若いころのガラの悪さだけを強調されてもチト困る。この家系は信長と父親の信秀だけが優秀で、弟・息子・天童藩の家系と見ても、アレほどの人物は二度と出ていない。反町が突然変異という訳ではないが感じは出ていた。尤も僕自身が反町ファンだから、多少割り引かねばならないか。

南蛮人の信長

登場機会の少ないことが惜しかったのは、『功名が辻』で演じた館ひろし。アナーキーな信長にピッタリで、この人の信長は又見たいと思う。信長の肖像画は複数あるが、渡来した南蛮人の描いた絵をみると、正にクリソツ、そっくりなのだ。館ひろしは育ちのいい人なのだが、途中でグレて原宿クールス(当初は族、キャロルの親衛隊の後バンド)をやっていて芸能界入りした。その辺恐らく不良上がりと思われる信長の雰囲気が漂った。僕は信長役NO1と考えている。

同じバンド出身者では、『武田信玄』の時の石橋凌とか『天地人』の吉川晃司がいる。石橋の方はどちらかというと悪役として演じて顔がマッチしていたし、吉川晃司は顔はイマイチだったがうまかった。大河のプロヂューサーは時々キャストにこういった配置をするのがうまい。吉川は『八重の桜』の西郷隆盛でも良かったですね。他に『天と地と』の時の杉良太郎なんてのもいました。

逆に名優にも拘らず、あんまり信長っぽくなかった人達もいる。宣教師が舞台回しのナレーションをやったズバリ『信長』の緒方直人。当時まだ若かったせいもあってしっくりこない。一方貫禄が災いしたのが『秀吉』の渡哲也。秀吉が竹中直人だったが、二人のキャラが違いすぎて渡哲也が浮いてしまった。どうも信長という複雑な個性は、セリフを減らして不気味な感じを出す方がいいのではないだろうか。これは『江』の時の豊川悦治とか『国取り物語』の高橋秀樹を見ていて思った。『女太閤記』の藤岡弘は仮面ライダーが被ってしまったし、『徳川家康』の役所広治も目に力が入りすぎ。名優必ずしもハマらず、というところか。

今年放映されている『軍師官兵衛』の江口洋介は今のところいい線を行っているし、もう本能寺が近い。一言お願いしたいがせせら笑いも含めて、笑う顔は止めて欲しい。江口洋介は色男だが口が大きく、笑うとバタ臭すぎて信長っぽさが消える。それから、製作者殿、シナリオ全体が少しチープですぞ!

大河ドラマで織田信長を演じた人達  (麒麟がくる 編)

桶狭間 訪問記

大河ドラマで織田信長を演じた人達 Ⅱ

大河ドラマで織田信長を演じた人達 Ⅲ

映画 『花戦さ』


 
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本能寺の変 以後


 

 

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