潮目が変わったーヨーロッパがテロと戦う日ー
2015 JAN 13 22:22:45 pm by 西 牟呂雄
フランスでの恐ろしいテロ。そして利害の対立しがちな40以上の各国首脳が先頭に立っての大デモ。フランスの並々ならぬ姿勢。ヨーロッパが、ロシアが、イスラエルが、パレスチナが、そしてシーア派までもがいくら何でもあれはやりすぎで治安を立て直さないと平和は維持できないと感じたはずだ。
監視下にあったせいか音声が残された。イエメンと口走った、アルカイダとも。要するに9.11のショックが繰り返されたのだ。ただごとではない。
2015年の僕の見立て『ドイツが孤立しEUが瓦解する』はこのテロで全く外れた。地続きのヨーロッパは言うに及ばずキリスト教国にテロをしかけたに等しい。
読者は思い出さないか(生まれてない人は別、オジサン達)。1991年はかなり昔だが、筑波大学の五十嵐助教授がムスリムをおちょくった『悪魔の詩』を翻訳してキャンパス内で刺し殺され未解決。日本にも犠牲者はいるのだ。
2007年のロンドンでの同時多発テロに英国は敢然と対峙し、執念で犯人を追い詰めて全員を挙げアングロサクソンの根性を見せた。
アメリカは戦争まで仕掛けた。
誇り高いフランスがこのままデモだけやって引き下がるはずはない。
ところで今回4人のテロリストは単なる暴発だったのだろうか。イスラム国・アルカイダの指揮・命令はあったのか。ある組織的な意思決定が効いているのとないのとではまるで違う。インターネットの今は、何でも言ったもん勝ちで扇動効果も高い。日本からも行こうとした者がいたくらいなのだから。我が国もネット上の防諜を充実させなければ。これ、チョットした戦争並に金もかかるだろう。一言で言えば迷惑な話ではあるが。この場合の防諜って言論統制とは別の話ですからね、注意して見ておくこと。
ともあれこれからフランスをはじめヨーロッパは徹底的に追い込むだろう。フランスのアラブ諜報はアフリカで結構強い。イスラム国の周辺はそれこそ武器商人が暗躍するようなエリアになりはしないか。
十字軍じゃあるまいし、大ぴらな宗教対立や植民地戦争をやらかすわけにも行くまい。地上軍投入はともかく、封じ込めは厳しいものになるだろう。中東のアフガン化である。時計は100年以上戻ってしまう。国同士の利害とは別に強くまとまって当たるだろう。マッ見立てはもろくも外れましたけど。
そして圧力が加わると・・・。この恐ろしさは、地球儀でここを中心に見ればすぐ分かる。アフガンや過激派のいるパキスタンと新彊ウィグル自治区は国境を接しているのだ。フランスの事件ほど報道されないが、先週末にも5~6人が亡くなる騒ぎが起きた。あまり想像したくないが、追い込まれた過激派なイスラム国なりがこのルートで国境をこえると・・・。
アメリカ・オバマ大統領の動きはピリッとしない。まぁピリッと戦争しに行けという訳ではないが、もっと強い声明を出した方が良くはないか。安部総理も『日本も訴える。ジュ・スィ・シャリル。』とか。
本日は未だユーロが下がってはいない。
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Categories:潮目が変わった
西室 建
1/14/2015 | Permalink
フランスは早速風刺画を表紙にしてみせた。根性はアッパレだが相手が相手だけに・・・・。
東 賢太郎
1/14/2015 | Permalink
本格宗教対立になったら十字軍どころかウマイヤ朝vs西ゴート王国までさかのぼっちまうぞ。建前はテロリズム対国家権力、警察、言論の自由だが所詮はキリスト教国の仕組みだから相手にすりゃおんなじだ。宗教はいつの時代も火種だったが、いま欧州は日本化(デフレ)で土壌が非常に危険なのが心配。
西室 建
1/14/2015 | Permalink
うーん、100年どころか1300年戻る訳だな。
中村 順一
1/14/2015 | Permalink
そもそも今のイスラム世界の混乱を作ったのは、中東地域に関わる第一次大戦のイギリスとフランスの戦後処理である。この2国のインチキぶりにはあきれ返る。オスマン帝国の領土を自己都合で奪い取ったのだ。イスラムの部族の居住範囲は、意図的に分断されてしまった。アルカイダとイスラム国はスンニ派である。スンニ派はイスラム教徒の約85%を占めており、大半はシーア派より穏健なのだが、このアルカイダとイスラム国の属するワッハーブ派だけはいけない。原理主義そのものの危険な集団なのだ。やっかいなのはサウジアラビアの国教がこのワッハーブ派であることである。サウジはイスラム国の撃滅に本気ではないのは当然なのだ。そもそもサウジ王家など第一次大戦前は何の正当性もない、リヤドの部族に過ぎなかった。すべて英仏のインチキが尾を引いている。その意味ではこの混乱の歴史はちょうど100年である。
西室 建
1/15/2015 | Permalink
100年。まさか現代の『サラエボの一発』にならないよな。
サラセン
11/16/2015 | Permalink
西室さん初めまして。
パリのテロの影響を心配していたら、このブログを偶然読みました。
フランスは相当怒っているようですが、本当に戦争になるでしょうか。
日本も対岸の火事ではなくなる日がこないかと心配です。
西室 建
11/16/2015 | Permalink
サラセン様
お読み頂きありがとうございます。
このブログを書いたのは今年の初めでしたね。
テロの犠牲者には心から哀悼の意を表します。
フランスは怒り狂っています。ロシアも怒ってます。ヨーロッパは難民問題で右派が騒ぎます。空爆も続きます。
それでも私の見立てでは地上軍の投入はないでしょう、コストに合わない(特殊部隊はあるかもしれませんが)。
国際社会の連携によって周到に追い詰めていくしかありえない。仮に頭を潰しても10年かかるかもしれませんが・・。
G20でオバマ大統領とプーチン大統領が会談もしたそうです。
日本はテロについては右顧左眄せずに断固毅然と対応する、でもこれは治安の方ですね、脇を締めなければ。オリンピックやサミットがありますから。
西室 建
11/25/2015 | Permalink
ロシア軍機の撃墜は、当地の複雑な情勢と相俟って非常にマズい。
ここでプーチンに尖がられると、以前研究した『第一次世界大戦』的状況を飛び越えてしまう。
NATOが動くとロシアは引っ込みがつかなくなるぞ。
対テロという名目の仏・露・米の仮の枠組みを。
西室 建
11/29/2015 | Permalink
トルコは日本の友好国ではあるが、あの大統領少しヤバくないだろうか。
ちょっとイッちゃってる目付きが怖い。
まさか初めから露土戦争をやるつもりじゃないよな・・・。オスマン帝国VSプーチン帝国はシャレにならない。
西室 建
12/4/2015 | Permalink
カリフォルニアの乱射事件。
『容疑者の自宅からは12個のパイプ爆弾や約5000発の銃弾が見つかった。爆弾を作る道具や材料も多数発見された。犯行時には約1600発の銃弾を所持。ライフル銃で65~75発を乱射し、14人を殺害、21人を負傷させた。』
これがテロ認定されたらアメリカも黙っていられない。
ISとは無関係と思いたいが・・。
大変なことになる。