Sonar Members Club No.36

月別: 2015年10月

秋盛り 昭和は遠くなりにけり 

2015 OCT 5 6:06:55 am by 西 牟呂雄

風寒し 人笑顔なく 耐えがたし
   実りの秋の 日は短くて

 秋になって台風が幾つか過ぎた後、ときに日が落ちると喜寿庵あたりは物凄く寒い風が吹く。季節の変わり目は汗ばむかと思えば、意表をついた冷たい風に顔が強張る。堤防決壊被害に遭われた方は心細かろうに。
 さて、喜寿庵の庭に落ち葉がイヤと言うほど落ちて来る、風が無くとも落ちる。それも容赦なくといった感じ。大半を畑に捨て残りで焚火をすると白い煙が上がっていった。その行方を仰ぎ見ればまだ一杯木の葉が付いていて、これが全部落ちるのかとため息が出る。12月までですね。
 一人でやっている庭木の剪定も、実は一年中やっているのだ。プロでもない僕がチョキチョキやっているのだから能率が悪く、一向に丸くならない。
 もう紅葉も始まって楓は朱のように色を変えた。芝生はもう伸びないが雑草はいくらでも元気なので何とかムシっては目土を入れている。
 
 『〇〇の秋』という言い方に違和感がある。秋じゃなきゃできないことがそんなにあるはずがない。読書だスポーツだ食欲だ、に運動会か。
 もう少し寒くなってセーターを着るようになると、子供の頃『あっ、物事には終わりがあるんだな。』と思うような癖があったような。本当の記憶か後から刷り込まれた思い込みか自信がないのだが。

日が落ちて 漆黒の闇 なお深し
   夜長の秋に  虫の音騒ぐ

 9月の日照が少なく、更に大雨でとんでもない目に合った方々が大勢いらっしゃる。早朝にマグニチュード5の直下型地震。桜島どころか阿蘇山まで噴火する。御嶽山はいつだったか、そして本命富士山はいつだ。ヤバイよヤバイ!
 富士山の怒りを買ったらネイチャー・ファームと喜寿庵はひとたまりもない。墓所も溶岩に埋まってしまうぞ。

元気な野生の大根

元気な野生の大根

 そのネイチャー・ファームでは台風の雨に流されたか、大根が全滅した。あれ程気をつけて5粒くらいづつ穴を掘って撒いたにもかかわらず。水もやったし肥料もやった。
 諸説あって『深く埋め過ぎた説』や『肥料を大袈裟にやり過ぎた説』が囁かれている。それを裏付けるように余った種をバラ蒔いて捨てたあたりで自生した謎の野生の大根は5株程育っているのだ。こうなったらこいつらには水もやらず、雑草もほったらかしにしてどこまで育つか見守ってみようか。

 更に驚いたことに、先日は庭を猿の一家が横切った!母猿の背中にしがみついている子猿もいる5~6匹の大家族でノタノタ歩いて行った。餌付けされているわけでもないのに我が物顔で歩かれると面白くない。武器を片手に後を追う。すると比較的若い一頭が度胸がいいらしく止まってこっちを見るではないか。しばし睨み合っておもむろに『お前等どっから来てるんだ。ここはおれの家だぞ。』と言ったところ、理解したかどうか崖の下に飛び降りていった。
 この事実は巷間言われている「人間が野生の生活圏を侵食している」なる説は全く説得力がない。このエリアはここの100年人口は減り続け、町中は空き家だらけ。喜寿庵の近くの旅館は廃業した。開発なんか全然されていないのに勝手に桂川渓谷を越えて来たのだと考えている。冬場でエサがないならともかくまだ秋口だ。猿の図々しさが進化してしまったとしか思えない。

 嗚呼、今年も秋来る。猿まで来たけど。

今はもう秋 港で思ったこと


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喜寿庵の落葉・収穫

喜寿庵にて 晩秋

秋の一人大運動会 in 喜寿庵


  

真っ先駆けて 雑感

2015 OCT 1 20:20:22 pm by 西 牟呂雄

 亡母が口に出したことがありました。
「家の親子は正反対だね。人からも言われた。息子の方は軍の指揮を執らせると頭に血が上って自分で抜刀して『我に続け』と真っ先駆けて最初に戦死。オヤジの方は突撃命令には従うものの部隊全員を生還させる。」
 今、私と付き合っている方々には想像もつかないでしょうが、確かに以前はそういうところがあって、これを聞いたときは『うまいこと言う人がいるもんだ』と感心した次第です。
 
 この頃は大勢の人が集う席には滅多に行きませんが、先日ある会合に顔を出してさっそく主催された先輩にご挨拶しました。
「お招き頂き有難う御座います。」
 すると
「あーよかった。あのヒゲのまま来るかとハラハラさせられた。」
 等と本当に心配をしておられたようで恥ずかしい、私だって常識ありますよ・・・、今は。
 同じ会合で20年振りにお目にかかった方にも
「すっかり紳士になって。昔はギラついてたからな。」
 とも言われました。きっと褒められたのだろうと無理矢理解釈して恐縮したのですが。
 マッ、後先考えないところがありましたからね。記録に残るマズいことはないと思いますが、コンプライアンス違反とか踏み倒し等。
 
 閑話休題、太宰治が佐藤春夫に芥川賞を懇願する4メートルにも及ぶ手紙が発見されてニュースになりました。以前にも同様の手紙を川端康成に送ったことが知られています。川端はその手紙の存在を人に伝えつつも『太宰君の為にならないと思い捨てた。』と言っていたのですが、遺品の本の間から発見されています。
 私は太宰を読みませんが、そんな手紙を出したりするところがファンには堪らないらしいそうですね。それにしてもそんな手紙を出した段階で相当病んでいたはずです。度重なる心中癖といい、志賀直哉への悪口といい十分精神病理的な疾患だと思います。
 これ、若くして名を成した才能が枯渇したと受け取ったらファンに怒られるますか。
 同じことをあの三島由紀夫にも強く感じます。こちらは白状しますと読んでいました。
 三島もデヴューが戦後の混乱期だったせいもあり文壇登場の際に芥川賞は受賞しません。マスコミの寵児となって多くの短編を、当時勃興する女性週刊誌などの連載として発表しています。文庫本で沢山出ていますがここだけの話、半分は内容的に破綻しています。ですが筆の冴えは常人ではない。
 それが最終作品となった『豊饒の海』の(言い方が難しいのですが)衰え方はどうしたことでしょう。余計な政治活動に首を突っ込みすぎて才能が磨耗したかのようです。

 何が言いたいかと言うと、私もはっきり力が落ちています。おそらく色々な能力もガタ落ちでしょう。身体能力は言うに及ばず、カンとかキレといった物が失われつつあります(コレを業界用語でカンレキという)。そのせいで人格が丸くなってきているのなら、恐ろしいことかも知れません。文学者は才能の衰えを敏感に察知して自殺する、アホは何も考えずに丸くなる。ウーンちょっと違うような。
 困ったことに”酒量”は落ちず、ゴルフの”ハンデ”も減りません。

 「七十にして心の欲する所に従えども、矩(のり)を踰えず(こえず)」
 を前ブログで取り上げてみましたが、気力体力が衰えてどうあがいても周りがビックリするようなことにはならずに『あいつもヤキが回ったな。』で済まされてしまうことを言ったと解釈できます。
 例えばしばしば連載する『アグリカルチャー・デヴュー』にしてから、本人は悪戦苦闘しているつもりでもプロから見れば”バカ”の一言で終わりです。
 ギャンブルはとっくに卒業していますし、残されているのは真っ先駆けて姿を消して誰よりも長く隠遁生活を生きることなのでしょうか。

 いやその前にやることがあるはずです。まず、ビールでも飲んで考えましょう。

忘れがたいワル(サラリーマン編)


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