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ニイタカヤマノボレ

2016 MAR 8 0:00:32 am by 西 牟呂雄

 小倉にいたときに、吉野ヶ里遺跡を見に行ってます。

小倉記 秋・古代編


 この時に泊まった佐賀の『古湯温泉』という所は温めのかわいらしい感じの温泉。一画に旅館がそれぞれこじんまり立っていました。ここだけの話、泊まった旅館の晩御飯が大変に不味かった。名前は言いませんがね。
 温めの温泉というのはいくらでも入っていられる気がしたところ、さにあらず。僕は温泉に出たり入っったりしてジャブジャブ浸かりますが、居心地がよくて温湯に入り過ぎてしまい、まるでサウナに入った後のように汗が引かなくなって二度三度浸かることができなくなりました。
 翌日、旅館の廻りを散歩すると公園のようなスペースがあって、元庭園の趣です。観光案内の看板が立っていて、およそ次のような説明がありました。

ーこの地は森平太郎氏の別荘跡地です。氏は佐賀県大和町に生まれ、台湾に渡って後に四大製菓会社に数えられる「新高製菓(にいたかせいか)」を起こした人物です。ニイタカ・ドロップは子供達に大変人気のあったお菓子でした。ー

ニイタカ・ドロップ、覚えているぞ。そういえば最近見ないが五円玉みたいな環状のドロップで、缶に入っていた。台湾!新高!戦前の日本最高峰は標高3952新高山だったのです(富士山3776m)。現在は玉山(ぎょくざん・ユゥシャン)ですね。そういうことか。

 「ニイタカヤマノボレ・ヒトフタマルハチ」

 ご存じの方も多いだろうが、大本営から海軍南雲機動部隊に真珠湾奇襲攻撃を打電した暗号です。この『ニイタカヤマノボレ』は作戦発動。『ヒトフタマルハチ』が決行日の十二月八日ですね。ヒトフタマルハチなんてベタな電文はマズいのでは。
 もう一つ、あまり有名ではないですが同時に打たれた暗号があります。

 「ヒノデ・ハ・ヤマガタ・トス」

 これは南方に展開していた陸軍部隊に対して発せられた、南部タイおよび北部英領マレー方面に急襲上陸せよ、という暗号です。無論最終目的は英国軍の軍事要塞シンガポールです。『ヒノデ』がニイタカヤマノボレの作戦発令。『ヤマガタ』は八日未明を指しています。陸軍では1~10の数字を和言葉でヒー・フー・ミー・ヨーにして都市のなまえを当てていた。広島・福岡・宮崎・横浜・小倉・室蘭・名古屋・山形・久留米・東京で十。即ち、急襲上陸決行日は八日という内容です。こちらも海軍さんよりは捻ったつもりでもスマートさには欠けますね。二度目は使えない。
 マレー方面へは陸軍は山下中将、海軍は小沢治三郎中将が珍しくいい連携を保っていて強襲上陸に成功します。その後55日間で1100kmという驚異的スピードでシンガポールに突進しました。

 ニイタカヤマから話が飛んで行ってしまいましたが、その新高製菓の森平太郎氏の別荘は庭に巨石を配し池を掘り、源泉を引いた盛大な作りになっていました。

 そして案内板の最後に『この人のお孫さんがハード・ボイルド作家の北方謙三さんです。』とありました。へェー、知らなかった。北方謙三は僕達のヨットハーバーの隣の岬に自称”海の基地”を持っていて釣りの大型クルーザーを乗り回すカッコいいお爺です。

隼は征く 雲の果て 

名古屋だぎゃ (ゼロ戦と秋水)


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