Sonar Members Club No.36

カテゴリー: 陰謀

工作・陰謀はなかったか だって変だろ

2024 DEC 8 18:18:12 pm by 西 牟呂雄

 単に大統領のプッツンだったのだろうか。どうにも腑に落ちない。
 なかなか頭の切れそうな大統領だと思っていたが、気になる報道が聞こえてくる。
 何かある
 北の国は憲法を改正して韓国を「敵対国」と明記した上で、韓国につながる道路を爆破。今までとは明確に作法を変えてきた。例えば先般のドローン騒ぎに関しても、仮に民間有志の仕業だとしても敵対行為と見なすわけだ。大げさに言えば戦闘状態にあるということ。
 現に北はロシアに派兵し、実際に戦争に突入した。
 考えて見ればロシアが侵攻してからは3年弱だが、東部ウクライナのドンパチは始まってから10年に及ぶ。トランプが辣腕を発揮したとしても、よほどの妥協(すなわちウクライナの領土放棄)がなければまだまだ続く。すると北は足抜けどころではない。派兵は止められっこない。
 そんな環境では日米韓が親密なのは気が気でない、くさびを打ち込みたい。
 元から拉致も含めて工作に血道を上げてきた独裁国家でスパイなんかいくらでも潜入させているだろう(日本にもウジャウジャいる)。

 中央選挙管理庁舎に軍が入りサーバーを撮影している映像が流された。何のためにそんなところに軍が入ったのか。元々前回選挙で大負けしたため政権運営があやしくなった。
 民衆が十万人以上の規模で大統領を糾弾するデモは保守派といわれる大統領の時だ。クネクネ大統領しかり。

 一方投入された部隊の迫力のなさ加減も変だ。ヘリが飛んだだけで戦車のような重火器はなし、戒厳令だというのに一人の逮捕者もいない。軍の特殊部隊の50人が国会に突入したものの封鎖すらできない。あのユルさは初めからやる気がなかったのか申し合わせがあったのか。消火器噴射で阻止される特殊部隊なんてあるのかよ。どうやら命令が無視されたらしい。

 フランスは内閣不信任案可決。ドイツの連立崩壊。イギリスのスナーク首相退陣。アメリカのまたトラ。日本の与野党逆転。そして韓国大混乱。安定しているのは独裁国家ばかりという現実はどう解釈すればいいのだ。格差だ分断だといったレベルではG7総崩れの説明ができない。

 以下は私が考える大統領をプッツンさせたフェイク・ニュース工作ベスト5である。
➀ 大統領を暗殺する計画があり、ゴルゴ13が韓国に入った。
➁ 大統領夫人のスキャンダルの証拠が野党党首に伝わる寸前だった。
➂ トランプ次期大統領が個人的に親しい北の指導者に篭絡されたので米軍が引き上げる。同時に北が38度線を越える。
➃ 石破総理が気がふれて竹島を封鎖し、陸自の部隊が上陸する。
⓹ 大陸が台湾に侵攻を開始し。そのついでに済州島も奪いに来る。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

 

『ホワイト闇バイト』 というのはどうかな

2024 NOV 30 22:22:34 pm by 西 牟呂雄

 『トクリュウ』なる犯罪が後を絶たない。かなりの秘匿性と情報力を備え、尚且つ組織力を持った犯罪で、捕まるのは下っ端ばかり。なかなかホンボシに行きつかないのが実態だ。バックにいるのは裏社会で安全に過ごしていることは容易に想像がつく。ルフィーのように海外かもしれない。
 そこで思いついたのだが、潜入捜査ではないが公安調査庁の下部組織の人間に闇バイトに応募させ、犯行実施直前に『ここを襲え、という指令が来ました』と垂れ込んでかたっぱしから逮捕するという、専守防衛はできないのだろうか。
 警察の捜査が合法であることにこだわっていては防げないレベル、即ち『体感治安』がこうも下がってしまっては、我々市民が武装でもすることになったらマズいだろう。
 日本では基本的に裁判所の許可が必要だ。盗聴・通信傍受・隠しカメラ・潜入捜査などは裁判所の令状がいる。そういうものだろう。何も違法捜査なんか奨励しない。
 また、従来より以下のリスクは指摘されており、あまり一般的ではない。即ち捜査官の安全、潜入の際の犯罪加担、心理的負担、証拠固めの難しさ、といった観点からコスパが悪いとされている。
 警察は暴力団や麻薬密売組織、詐欺グループに対する潜入捜査が行われた事はあるらしいが、例えば破防法の監視対象組織に行うようなノウハウは別物ではないのか、オウムとか・・・。

 それでですな、トクリュウからの無作為の攻撃に晒される側としては、通報制度による摘発よりせめてもう一歩踏み込んでもらいたい。
 あらかじめGPS付きの使い捨てケータイと偽物の運転免許証を持たせ闇バイトに応募させる。ミョーにやる気は見せず、犯行指示を受ける。その犯行場所をタレ込ませ、先回りして張り込んでおく。犯行現場に着いて張り込みが確認出来たら『オーイこいつらだよ』と助けを呼んで裏切る。実行犯は初対面ばかりだからメンは割れないし捕まってしまうから指示役には誰が裏切ったかバレない。
 こういう『ホワイト闇バイト』を百人くらい用意しておいて、かたっぱしから応募していけばひどいときは殺人にまで至る犯罪は防げ、被害も無くならんかな。この『ホワイト闇バイト』の報酬は捜査費用のコスパぎりぎりに抑えられるから募集なんかしないで警察・公安調査庁のコネのつく奴を5万円くらいで雇えば、オレだったらやるね。

 そうだ!詐欺電話についてだったらもっと簡単だ。AIに勝手に答えさせるソフトをスマホにも固定電話にも仕込んどいて、詐欺と分かった途端に警察に会話内容が転送されるようにする。傍受したら次の指示にしたがい、個別に取りに来る場合は張り込み、ATMで振り込むについては振込先確認後シャットダウンさせる。これなんか『銀行ですがあなたのカードが』とか『市役所ですが還付金が』といったキー・ワードで判断できるだろう。ついでに逆探知もできれば完璧。
 或いは、AIが詐欺と判断したら自動的に『ちょっとお待ちください。主人に(あるいは家内に)代わります』という音声が流れて、所轄の生活安全課に転送する。するとそこには転送されてきた電話専門の受け手となる老人がいて、ボケたフリをしながら振込口座を聞き出す、或いはニセの銀行員・市役所職員・息子の代理人がカードや現ナマを取りに来るようおびき出す。
 どなたかこういうアルゴリズムのソーズを書いて特許を取りませんか。アイデア料は特許料の7%で結構ですから。それでボケ役の老人はやはり『ホワイト闇バイト』で1件5万円。無論オレは応募する。口は軽いが。

 ここまで書いてきてハッとさせられた。維新前には忍の者とか隠密とかそれなりにノウハウはあった。戦前も特高警察とか中野学校のような諜報・防諜はやっていた。だが一億総懺悔の後、スパイは卑しいものと歪められ貶められてその伝統は失われたのだ。確かに共産党に潜入したスパイMとか野坂参三のような後ろ暗いイメージは拭えない。
 だが本来のスパイとはもっと高貴な愛国心とか信念に忠誠を誓う貴族的なものでなければならない。諜報をインテリジェンスと言うではないか。そういった組織が無ければ私がやらざるを得ない。SMC、スパイ・マネジメント・センターで。 

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

 

民自党総裁選顛末

2024 AUG 14 14:14:32 pm by 西 牟呂雄

『不破ぁ!考えてもみろ。何度もオレの顔に泥を塗ったあいつが総理になって国際会議であのモッサリした喋りをしたらG7の連中が何と思う。トランプと対談が成り立つと思うか?』
 朝生副総理はまくし立てた。相手は立候補に意欲満々の甲野である。
 甲野は立候補に当たって派閥オーナーである朝生の腹を探ろうと面談に及んだが、いきなりまくしたてられて鼻白んだ。実は不破・甲野・大泉のトリオで連合しようと秘かに考えていたのだった。
『お前らの後ろから糸を引いているのは須賀だろう。あいつの口車に乗ってロクなことになった奴はいねえ』
 図星を突かれてさすがに怯んだ。
『金の勘定もできねえ、横断歩道の渡り方も知らねえ、お前に総理が務まるか』
 
 その頃、大泉新次郎は旧阿部派の大物である元総理、大森喜朗と相対していた。
『君を総裁候補と考えている。今の民自党は若返りが必要だ。私と同志は全面的に協力するからウンと言ってくれ。君の親父さんの了解も得ている』
『いや、しかしまだ要職もこなしていない私では短命に終わるでしょう。私もまだ若輩者ですし、以前は不破さんの推薦人になっていますから』
『君、こういう話は一度乗り損なうと次のチャンスは掴めなくなるよ』
『親父は3回挑戦して総理の座を掴みました』
『ふふふ。まさか須賀にそう言えと言われてるんじゃないだろうね。あの男はゴリ押し一本鎗であんまり中身はないんだよ』
『いや、そうではないですが、須賀さんにはお世話になってますから』

 その須賀元総理は不破に向って訴えていた。
『いつものセリフ。そう「国民がどう考えるか」なんて甘っちょろいことを言っていては天下は取れない。自分から取りに行かなければなれないのが総理というものだ。分かっているのか』
 不破は視線を宙に泳がせた。須賀は続けて言う。
『推薦人は何とかしてやる。甲野も大泉も決選投票になったら君を立てる。全て私が根回しした。これが最後のチャンスだ』
 絞りだすように言うのがやっとだった。
『この身を須賀先生にお任せします』
 不破が須賀の軍門に下った瞬間だった。

 一方、したたかな朝生は低支持率に悩む現木志田総理にはこう言った。
『まあ、派閥の解散だの上限5万円のスタンド・プレーは頂けねえが、政策全般に関しては良くやっていると評価できる。防衛費増額なんか阿部のときでもなかなかできなかったしな。賃金アップも何とかしのいだところで裏金問題に足をすくわれた感があるが、この支持率では普通に考えれば再選は難しい』
『何とかご協力願えないでしょうか』
『オレは基本的にはアンタでいいんだが、仲間を説得するには条件がある』
『何でも言ってください』
『アンタが勝手に解散した宏池会の若手には選挙が不安な奴が多い。助けてくれって話がオレんところに引っ切り無しに聞こえてくる。元々オレんところは宏池会の流れなんだからそいつらがウチに来ることを押してくれ。大宏池会の復活を認めろ』
『そんなことは・・・・』
 翌日、木志田は総裁選不出馬を表明した。

 そのニュースを笑いを噛み殺しながら聞いていたのは幹事長の持木である。これで『裏切者』とも『令和の明智光秀』とも言われず思いっきり総理を目指せる、と。
 しかしながらエラソーな物言いと木志田総理に対する露骨なサボタージュで全く人望がない。有力議員が次々に派閥から出て行ったことがそれを物語る。一人では立候補すらできないのだ。平成研の栄耀栄華は見る影もない。そこで持木は暗躍する長老、すなわち既出の朝生・大森・須賀に会食を持ち掛けるが相手にされない。惨敗覚悟で出馬するのか、眠れない夜が続く。

 数日後、正体不明の令和のフィクサーとも日本のディープ・スロートとも呼ばれた集団は密かに一人の政治家を呼び出した。
『目下の民自党の混乱は国益を損ない続けている。木志田に諦めさせたのは我々だが、次は決めていない。目下の総裁候補が小物過ぎて話にならないからだ。あれでは複数候補が立ったとしても戦国時代にはならない。せいぜいチンピラの縄張り争いだろう。そこで我々は次は以下の3条件から絞り込んだ。まず総理経験者の再登板。次に自衛隊容認の憲法改正に積極的である。最後に財務省の言う事を絶対に聞かない。するとあなたの名前が挙がった』
『光栄です』
『官房長官には加藤勝信を起用すること。幹事長は福田達夫にする。これが飲めれば我々が木志田・朝生・大森・須賀を説得してあなたを支持させる』
『しかし・・・』
『絶対に小沢一郎を近づけるな。公明党の連立をやめて国民民主党と手を結べ。維新の会は我々が潰しておく』
『なるほど・・・・』
『では離党届をすぐに出して二階派のあとを継いでくれ。スペシャル・ミニスター・クラブ、我々SMCが全て手はずを整える』
 男たちが席を立った後に盤面を紅潮させた男こそ、阿部元総理の国葬において格調高い弔辞を読み、また故人から捲土重来を即された元総理野田佳彦であった。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

ロシアは悪い!

2023 DEC 11 20:20:23 pm by 西 牟呂雄

 そりゃ攻め込んだロシアが悪いに決まってます。これを最初に書かないと、アイツは親露派だと思い込むバカがいるので悪しからず。
 いささか旧聞に属するが、ソ連が崩壊した時に旧ソ連が配置していた核はロシア以外にウクライナ・ベラルーシ・カザフスタンと別れていた。ベラルーシとカザフはソ連継承国家であるロシアに返還したのだが、その時点でウクライナはしなかった。
 手嶋龍一が2007年に上梓した『ウルトラ・ダラー』は、その混乱の中からウクライナの核技術が北朝鮮に流出し、その際に北朝鮮製の精巧な偽ドルが介在したというフィクションである。今から十数年前の作品だ。
 また、1995年時点で建造中だった空母『ヴァリャーグ』は同じようなドサクサの中ロシアからウクライナに引き渡された。ウクライナは引き継いだ途端に売却の方針を固める。すると海洋進出を目指した中国があの手この手で接近し、1998年マカオの怪しげなペーパー・カンパニーがカジノを含む五つ星ホテルにするという名目で落札した。この動力装置も未完成の空母はその後漂流・曳航を繰り返しながら3年後にマカオではなく大連に入港し、途端にペーパー・カンパニーは雲散霧消する。2005年から改造が始まり2012年に人民解放海軍に引き渡され空母『遼寧』となる。その間、ウクライナから多くの技術者が高給で雇われ、旨い汁を啜ったのだ。
 他にもロケット技術の北朝鮮への供与(無論有償)はかねてより指摘されていて、2000年代を通じて世界の混乱の要因となっていた。要するに迷惑な国だった。
 内政はその間混乱状態が続く。オレンジ革命やらその反動やら、選挙をやれば不正だなんだといつもモメ。出てくる政治指導者は親ロだろうが反露だろうが例外なく蓄財に励む有様で、そんな中ネオコンは露骨に手を突っ込んでいたに違いない。
 もちろんロシアも工作する。2004年の大統領選挙に親露派のヤヌコーヴィチと対立したユシチェンコは突如痘瘡だらけになったが、ダイオキシンによるロシア得意の暗殺未遂だと主張している。

 プーチンはしきりとキエフ大公国をロシアのルーツにしたがるが、ウクライナ・エリアがロシア・ロマノフ家に従属した歴史はそう古くなく、以前はポーランドの影響下にあった。その頃は、ほとんどのロシア人が貴族以外は農奴として売り買いされていた一方、軍事組織であるウクライナ・コサックが社会を構成していた(エカチェリーナ二世の強硬改革時に逃亡した農奴がウクライナに流れ込み農奴制が蔓延したが)。ウクライナ・コサックの矜持は自由と平等であり、意思決定はリーダーとして選出されたヘーチマンの元で全会一致が原則である。
 また、先の大戦時にはナチに協力しユダヤ人を迫害し、連合国側が勝利した際には大量の移民がカナダに渡った。マイダン革命時に根絶やしになったはずのネオ・ナチが突如現れたのはその根が残っていたことを物語る。かのアゾフ大隊のことだ。
 一方ではクリミア半島に根を張っていたタタール人という勢力もあり、黒海の対岸は強国トルコに代表されるようなイスラムの北上圧力に常に晒された。強国に挟まれた国の生き残りノウハウはいいとこどりの二枚舌外交と決まっている。
 そこにネオ・コンが目を付けたのだろう。
 
 しかし、そのネオ・コンも中東ハマスの暴発は読めなかったのだろうか。更にウルトラ強硬派のネタニヤフを抑えられると考えただろうか。実に致命的な読み違いに見える。
 一方で欧米の足腰を読み切ったプーチンが大陸と北の国をけしかけているのはミエミエ。アメリカは日韓に防衛の一翼を担わせようとするだろう。
 筆者はそれをチャンスだと思っている。憲法改正は難しい、解釈改憲には限界がある。台湾有事こそがチャンスなのだ。究極の防衛策は核武装だが、世論がそれを阻むであろうからシェアリング、それをアメリカに求めても承知してくれないだろう。本命は英国と見た。
 落ち目の大国同士で秘密条約を結び核シェアリングをする。膨大なコストのかかる核搭載型原子力潜水艦のメンテナンスを日本が負担し日本海に配置する。実は英国は原潜「オーディシャス」を修理できない状態なのだ。核戦力を担うヴァンガード級原子力潜水艦を一隻借りてくるだけ。しかも中国は日本海に面していないのがミソで、ロシア並びに北の国への牽制ができれば安いもの、核を使う訳はないから、これぞ非核2・5原則ではないか。
 英国はTPPにも入りたがっているからタイミングもいい。日英同盟復活でアメリカと天秤にかけるくらいのダイナミックな技を期待したい。

 で、ウクライナはどうなるかって?あと十年は続くんじゃないの。

 「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

 

陰謀論大好き Ⅲ アメリカの悪意

2023 AUG 1 0:00:40 am by 西 牟呂雄

 2022年5月での発言は以下の通りだった。
『チェック・アンド・バランスの欠如が生じて、一人の男が全く不当で残忍なイラク侵略を開始することになった』
 ジョージ・ブッシュ元大統領の発言である。ネオコンに操られてありもしない大量破壊兵器を口実に戦端を開いたことへの深い反省かと思ったら、さにあらず。一人の男はプーチンを指しており、特別軍事作戦が始まった後にこれを批判する演説だったとか。すぐに気が付いて『ウクライナというところをイラクと言ってしまった』と訂正したというオチがついている。
 いちいち説明するのも面倒だが、私はロシアがおっ始めたドンパチで多大な損害を被っており、プーチンの侵略は言語道断の立場だ。筆者のブログを読んで『こいつは親ロシアだ』と誤解するバカがあとを絶たない。
 だがディープ・ステートでも何でもいいが、その狡猾さはどっちもどっちとまではいかないものの、かなり怪しい。
 アメリカのシンク・タンクとしてしばしば報道に登場する『戦争研究所』の名前は記憶に新しいだろう。実はここはかのネオ・コンの巣窟なのだ。かつては共和党にベッタリだったネオ・コンは、今やバイデン大統領を担いで煽りにあおっている感が拭えない。
 更にEUを飛び出した英国は、007の伝統を受け継ぐ情報大国の冷静さを全く失ったかに見えるほど好戦的だ。このアングロサクソン系両国にとって、実は戦争がこのまま継続するのが都合が良い、とさえ見える。ロシアが国力をすり減らし、ともすればエネルギーを軸にロシアに接近しそうなドイツを苦しめることができているではないか。
 ところが、初期の首都奪還失敗により出鼻をくじかれルーブルが大暴落したロシアは、その後制裁を受けながらも目下のところ為替は盛り返し、後に安定した。世ゆ界の人口1位と2位の国が制裁も非難もしないでロシア産の石油をガバガバ買い戦争経済を支えてしまっているからだ。甚だしきはダントツの産油国であるサウジでさえ、その安さにひかれて輸入し始めている。
 因みに筆者は目下インドで食っているのだが、その設備投資意欲はバブルのようだ。鉄鋼生産の例でいえば各社倍増の計画でもうすぐ日本を抜く。
 但し、中国はコロナ対策の痛手はまだ残っており、不動産投資の低迷と地方政府の財政破綻は不気味なレベルになっている。

 反転攻勢の作戦開始から数ケ月経つが、ロシア軍はしぶとい。そうなると双方勝ち切れないまま戦争が続き、どちらかが疲れ果てていいかげんいやになるまで終らない。どちらか、とはロシアVS英米なのだ。
 更に筆者のシギントでは、ロシア嫌いのポーランドから数千名の義勇兵がウクライナ軍と共に戦っているとも聞く。ポーランドは1999年以来のNATO加盟国であり、万が一にもにもロシアのミサイルが着弾したら全面戦争の可能性すらある。
 ヤバいことに、ベラルーシ入りしたワグネルが北西部のスバウキ・コリドーに接近している。100km先がロシアの飛び地、カリーニングラードである。何を考えているのか。

 御年100才のキッシンジャーが何故か北京に飛んで習近平からオベンチャラを言われている。本当はアメリカは思い通りに戦争設計ができなくて困っているのか。当面の主敵とまで定めた中国に秋波を送っているのだとすれば、アメリカは疲れ始めたのか。
 一方ミサイルの発射を繰り返す北の国に戦時下の国防大臣が訪問する。日本はこれらの核保有3か国に取り囲まれている。
 大陸も半島も北方も力の行使にためらいがないとすれば、腹を据えなければなるまい。せっかく南の新大統領が親日派なのだから、ここは一つ、南・日本・台湾で強固な同盟を結んでおいた方が良くはないか。当面の対米従属は戦略的に正しいが、アメリカの手のひら返しはある程度想定していなければならないからだ。
 しかし、実はそれは政治家の仕事ではない。政治家は時に現実を見て妥協するのが持ち味なのだ。むしろ民間、もっと言えば情報機関やら秘密結社のような水面下でダイナミックに動けるオーガニゼーションの仕事だろう。いよいよSMC(シークレット・メソッド・センター)の出番かもしれない。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは蹴速 ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」
 

こんなこと言っておいて・・・

2023 JUL 1 0:00:48 am by 西 牟呂雄

『発展は、精神的、道徳的な価値に基づいた文明の対話の中で行われなければならない。文明によって人間やその本質に対する理解は異なるものだ。そしてすべての文明が人間の至高の尊厳と精神的本質を認めている』
『伝統的な価値観は、すべて守らなければならない固定的なものではないが、新自由主義といった価値観とは異なり特定の社会の伝統、文化歴史の経験に由来して、いずれもユニークなものである』
『ジェンダーやゲイ・パレードといったファッションを国民・社会に導入するのは構わない。ただし他人に同じことを要求する権利はない』
 成程と唸らせる発言だ。
 翻って、最近SMCの投稿で検証されているように、敗戦以来ペシャンコにするシステムを構築してもゾンビのように
蘇ってくるジャパンという化け物を、繊維交渉・鉄鋼貿易・半導体輸出にいちいちイチャモンをつけ、グローバル・スタンダードをゴリ押しして護送船団方式を潰し、新自由主義を導入させたアメリカに対する警句としては秀逸な論考と思う。最近のLGBT法案の茶番もまたしかり。
 ところで冒頭の発言は誰のものか。驚くべきことに日本人の右翼ではない。昨年の10月にモスクワで開催された通称『ヴァルダイ会議』でのプーチン大統領の講演なのだ。
 ウクライナ戦争下で、ブラジル・アフガニスタン・中国・エジプト・フランス・ドイツ・インド・インドネシア・イラン・カザフスタン・ウズベクスタン・南ア・トルコ、さらには米国の民間人も参加した会議だった。
 それなりの論理的な話をすることのできる指導者が、何の大義も見いだせないムチャな戦争をしかけるという国際関係の不可解さに唖然とせざるを得ない。自分は戦争を始めておいてどうかと思われる発言だ。
 私はあの侵攻を支持するものではないことを強調しておかねばなるまい。ロシアからの帰国者の話を元に一般的なロシア人の感じているところをブログに書いたところ、まるで筆者が戦争支持者のような誤解を受けて攻撃を受けたからだ。バカバカしい。
 開戦から15ヶ月。双方の思惑通りに行かない最中にワグネル騒ぎという不確定要素が勃発した。これに関するインテリジェンスは筆者の手元にまだない。
 2014年、クリミアを占領した頃にロシアの事業パートナは『何でそんなことをするんだ』と怒っていたが『だけど支持率は高いし選挙では圧勝するではないか。どうしてロシア人はプーチンに投票するのか』と聞いた。帰って来た答えは『オレ達はソ連崩壊の時にドン底に落ちた。それをここまで戻してくれたのがプーチンだ。それにあの程度の悪い奴に投票しておかなければもっと、物凄く悪い奴が出てくるに違いない』と開き直られた。なるほどワグネル騒動を見てこういう輩のことを言っていたのかと妙に納得した。
 しかしながら、1年以上の戦闘が続くと、ズーッと戦争が続くことが居心地のいい輩が透けて見えてくる。まずはアメリカ。自国の兵士は血を流さなくて対立軸であるロシアの国力を消耗させることが可能になり、面倒な中国問題に集中できる。ブリンケンはチャイナで何を話したのか。侵攻以前のウクライナにおけるネオコン一派の露骨な活動が既に明るみになって来ている。
 そして中国。この事態にアメリカがどこまでコミットするのかじっくりと見極めているだろう。そして虎視眈々と日本を取り込むべく触手を伸ばしてくるはずだ。ターゲットはハニー・トラップにかかったとの噂もある林外務大臣。一方でロシアをサポートするフリをしつつ一帯一路の構築にいそしんで稼ぐ。
 ただし、訪露して習近平が高らかに謳った『制限のない友好』について、肌感覚としていささか疑ってかかっている。他に頼りになる相手がいないからさすがのプーチンもヘーコラしてみせたが、アッチラ大王やジンギスカンの恐ろしさをロシア人は忘れない。黒竜江沿いの国境線に中国人は2億人、ロシア人は800万人。竹槍で来られてもロシアは防衛できっこない。ロシアは自ら中国の軍門には下らないはずだ。

 さてさて、この悲劇を一刻も早く終わらせたいと思っていないのはどこの誰だ。筆者の考えでは単純な一国の悪意ではなかろう。何かグローバルなオーガニゼーションなのか。陰謀だー!!

プーチン・プッツン

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは蹴速 ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

陰謀論大好き

2023 JUN 10 0:00:56 am by 西 牟呂雄

 巷に跋扈する陰謀論には手を焼くが、陰謀論は面白いと言えば面白い。困るのは本気で信じ込んで暴れたり元総理をテロにかけるような大バカが出てくることだ。更にフェイク・ニュースの害毒が廻ると投票行動を基本とする民主主義が成り立たなくなる。
 これは先進国も途上国も関係ない。民主主義の卸元アメリカでバカ共が国会に雪崩れ込んで暴れた。多くの勢力が大統領選に干渉したことも明らかになっているが、トランプ教信者達がああもヒート・アップするとは。まあ、アメリカ人でもあの程度の輩は履いて捨てる程いる。ましてや。
 僕のフィールドはかつてBRICSと言われていたエリアだが、あの無茶なドンパチを仕掛けたロシアですら選挙はやって見せているし、もうすぐ人口世界一の民主主義国となるインドに至っては腐敗しているなんてもんじゃない。昔は1票125CCのバイク1台というほど買収が横行し、下手にITが発達してしまったため与野党ともフェイク・ニュースを流す組織を持っていて、選挙ともなると何が本当で何が嘘かも分からなくなるらしい。そもそもモディ首相が率いるインド人民党はヒンドゥー至上主義の差別的政党で、イスラム教徒への弾圧を隠そうともしない。首都デリーの面積当たりの監視カメラ数は世界1で中国以上なのだ。
 大陸は台湾の選挙に介入しまくり、フィリピンはフェイクを流す会社が200社あるそうだ。タイは何回選挙しても中華系のタクシン派が勝ってしまい、頭にきた国軍がクーデターを起こした。
これに比べれば我が国の選挙違反なんかはカワイくさえ見える。いや、実際にはかなりやられているのかもしれない。途上国も先進国もなく、民主主義の健全さは大きく損なわれているのが現状であり、それに対する有効な処方箋を我々は持っていない。

 ところで、世銀の主任エコノミスだったブランコ・ミラノビッチが2012年に発表したエレファント・カーブをご存じだろうか。世界全体で1988年から2008年までの20年間に先進国の高所得者層と、途上国の中間層の所得は大きく伸びたが、先進国の中所得者層の所得はほとんど伸びなかったことを表した研究である。

 グローバル化が進んで(この時点では主として中国の)低所得層が中間層入りし、先進国の中産階級が没落して(あるいは所得が伸びなかった)いったことが分かる。
 アメリカにおいてはトランプ現象を生んだのはこれではないか。人口においては多かった中間層が一斉に反知性的になってしまったと読める。
 中国はいまだに選挙などやっていないし、アジアの選挙事情は上記の未熟さだから中間層が形成されても大して期待できない。
 日本は20年以上も失っているわけだから、実感ありありだ。日本の民主主義は大丈夫か・・・。

 こうなったらカウンター・インテリジェンスとして、普段から飛び切りのフェイクを垂れ流し、あまりのバカバカしさにネットニュースを誰も信じなくさせるのはどうか。
 例えば・・・。

 ロシアとウクライナは実は戦争はしておらず、破壊された町はすべてロシア国内にある秘密都市である。プーチンとゼレンスキーはグルになってとEUとアメリカが、支援でヘトヘトになるまで偽戦争を続けるつもりだ。
 公開されている画像・報道をみれば、避難する人も爆撃をされた建物にいた人達も着ているものがおよそきれいなことに気づくだろう。ボロボロの衣服を纏った避難民には見えない。戦闘の場面も全て演習の空砲である。
 こうして欧米を弱らせた後に、中国をけしかけて台湾と尖閣を攪乱させ、ついでに北方4島を軍事要塞にして日本を植民地にする大戦略なのだ。かくしてユーラシア大連邦を作り上げ、アメリカを潰し、ヨーロッパ・日本・東南アジア・アフリカを隷属させるつもりなのだ。 

 コロナは当初、ワクチンで荒稼ぎするつもりでアメリカが密かに開発したウィルスだったのだが、中国に盗まれてしまい、それが素人の管理で市場に漏洩した。中国は慌てて人のせいにしようと躍起になったが、実は既に2億人が死んでいる。たび重なるロック・ダウンで経済はメチャメチャ。表に出ない暴動は1日に500件も起こっていて制御不能になっている。
 習近平は経済の失速を一人っ子政策の失敗にして葬り去り、国内の統制に集中するためにひそかにアメリカにスリ寄ろうとして、まず最も邪魔な安倍元総理を排除しようと画策。結果は例の大事件なのだが、巧みに宗教を隠れ蓑にしたため疑われることはない。

 金正恩は餓死者も出かけている現状に一向に援助しない韓国新大統領を嫌っており、さらにチョロチョロするだけで全く役に立たない韓国の左派陣営にもうんざりしている。彼が個人的にも最も信頼しているのはトランプであり、大統領選挙には何とかトランプが復権できるべく大掛かりなサイバーテロを考えていた。
 一方で、さかんに日本海にミサイルを撃ち込んでいるが、実は着弾距離は北京への距離にピッタリなのである。実は自分を小僧扱いして上から目線でバカにした態度の習近平も大嫌い。
 情報機関を使い秘かに『北京は射程内で、いつでもミサイルの向きは変えられる』という噂をバラ撒いている。食糧支援が欲しいのだ。これすべてトランプ氏の入れ知恵。

 怒られそうだからこれぐらいで止めよう。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは蹴速 ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

 

怪人 辻政信

2019 OCT 21 1:01:41 am by 西 牟呂雄

 歴史探偵の異名を取る半藤一利氏は、現役時代に国会議員である辻を取材し、そのアクの強さと懸河の弁舌に気圧され「絶対悪というものが出現存在する気配にとらわれた」と感想を述べている。その後幾つかの新書等で、その取材の際に『オレの体には五カ国の弾が入っている』と上半身を脱ぎ、『これがノモンハンの時のソ連、これが・・』とやった、とも記している。

現役時代

 この五カ国とは察するに、ノモンハンのソ連、ガダルカナルの米、ビルマの英と、どこで喰ったか知らないが共産党の八路軍に国民党軍ということなのか。半藤氏は次に会った時は七カ国に増えていた、とも語っている。まあ、アジアでは日本が一人で戦っていたことは事実だ(現地ゲリラはともかく)。
 辻はノモンハンに於いては、作戦参謀としてこう言ったことも活字になっている。
「傍若無人なソ蒙軍の行動に対しては、初動の時期に痛撃を加える以外に良策はない。またかくすることは関東軍の伝統たる不言実行の決意を如実に示すもので云々・・・」
 物凄い気迫である。『不言実行』とは中央を無視した独断専行のことであり、石原莞爾以来の関東軍いつもの手だが、それを『伝統』とは恐れ入る。
 ところでそのノモンハンは最近発掘された旧ソ連の文書により、言われているようなコテンパンの負けではなく、引き分けに近い終わり方だった。
 彼我の戦力は比べようがないが、夜襲は相当な効果を上げており、第二次世界大戦のロシアの名将ジューコフ大将を散々悩ませている。夜襲で有名な第二師団(仙台)は、後にインパールで善戦した宮崎繁三郎大佐指揮の元、ドロト湖周辺からソ連軍を追い払った。翌日に大戦車部隊の反撃も食い止めている。
 日本ではあまり人口に膾炙しないが、ロシアでは『ノモンハンジーキン』の言い方で有名な戦闘である。筆者(ワタシ)はCIS貿易関係者のロシア人と話している時に、”ジーキン”が”事件”のことであることが分からず往生したことがある(知らないフリをしたと思われたかもしれないが、友好的な物言いだった)。
 陸士・陸大を通じて抜群の秀才であり、筋骨隆々たる強靭な体、不屈の闘志、といった部分は優れた軍人だったことを示している。
 任官後に上海事変に投入され、帰国して参謀本部で東条英樹の下、一課(編成)や三課(輜重・兵站)をやり、かの満洲関東軍の作戦参謀でノモンハン事件に邁進する。上司であろうと怒鳴り上げ、自説をゴリ押しする危険な過激派であったろう。
 ノモンハンでの中央指令無視等、独断指揮が問題になり左遷されるも、ゾンビのように大本営作戦課に舞い戻る。
 参謀なのに前線に出たがり、そこで自分の目で見た状況から即断する為、司令部の方針・裁可を仰がずに指揮してしまうらしい。事実被弾もする。
 赴任先の上官の伝票を調べ上げ、飲み食い・車の使用を掴んでは睨みを利かせるので、兵隊達からは慕われたようだ。実際本人は至って清廉潔癖だ。吝嗇もない。酒・女もない。
 かのノモンハンも、爆撃編隊には同乗した。更に前線で弾雨の中に飛び込み負傷者を背負って帰る。
 戦後に復活してから国政に立候補すると地元石川県で連続4回当選するが、彼の原隊でもある歩兵第七連隊(金沢)の票が磐石だったからだろう。戦犯も何もない。その後、岸信介と対立し辞職したが、参議院の全国区で簡単に返り咲いている。既に『潜行三千里』がベストセラーだったこともある。
 その『潜行三千里』によればバンコックで敗戦を迎えた。潜行してベトナムに渡り、更に中国本土の当時の国民党首都である重慶までたどり着いた後に帰国する、という内容を実に緻密な筆致で綴ってある。描写、分析、抑揚、日常の細かい部分等、作文能力は高く、参謀として作戦計画を資料に纏め上げるのはさぞ上手かったろう。
 蒋介石の有名な『以徳報怨』は大陸に居る百万人の日本軍をおとなしく武装解除させるための詭弁だと見抜いている。或いはその国民党の上から下までの悪習である汚職・腐敗に対しても嫌悪感を抱いていた。
 しかし日記でも持ち歩ける状況でもないのに実に正確に日付、人の名前等が記される。この内容は全て記憶に基づいて書かれたのだろうか。実際には南京に辿り付いた時点から緻密な日記を書いているので概ね正確だと言われているが、驚くべき記憶力である。
 潜行の理由については、英米の手に落ちるより国民党に協力しアジアのための闘争を継続する為、と読み取れる。対蒋介石政権への窓口として藍衣社(国民党情報機関)の華僑工作人脈に頼ったことにしているが、藍衣社と言えば工作・暗殺なんでもありの秘密警察だ。
 確かに、すぐに国共内戦が始まったため、押され気味の国民党軍は旧日本軍の協力を仰いだ例はある。山西省で「山西王」と呼ばれた閻錫山の配下に支那派遣軍北支那方面軍第1軍の一部が協力して残留した。共産党側にも万単位でいたことも確認されている。しかし直前までやり合っていた有名な参謀に気脈を通じることに疑いを待たないはずは無かろうに。
 そして中国語(北京語・広東語も含め)も喋れずに華僑相手にそんなことが通じるだろうか。無論タイ語もベトナム語もダメ。幼年学校は独語・仏語・露語だから多分英語にもうといはずである。中華圏では筆談をした、とあるがその場合は椅子に座って時間を掛けて漢文を書いて相手に推量してもらったのだろう。しかしいかに華僑が跋扈していたインドシナ半島とはいえ、あの終戦ドサクサで良く命永らえたものだ。
 更に坊主に化けた時点で資金を失っていたはずだが、延々重慶までたどり着く間にどう賄ったのか。いっそのこと最初から国民党のスパイだったと考えた方が合理的にさえ思える(まさか、だが)。
 潜行過程は後に公開されたCIA機密文書と国民党の報告の突合せで概ね事実とされているが、個別の記述には多少の疑問が残る。
 帰国してからはさすがに転々として身を隠した。小城炭鉱で鉱夫をしていたのは50近い年齢のはずだから、やはり超人的な体力の持ち主だ。

議員時代

 1950年に戦犯解除された時点で上記『潜行三千里』で復活し、二年後には衆議院議員となりおおせるのだ。何らかの軍人グループ、右翼団体の支援を受けたのであろう。この時点で反省とか後悔のカケラもないことを大っぴらにしている。
 当選すると自民党鳩山派に属し、なぜか外遊してエジプトのナセル、ユーゴのチトー、インドのネルー等大物と会っており、甚だしきは周恩来にまで面会した。何を話したのか寡聞にして知らないが、欧米の悪口を言いつのったに違いない。
 思想的なバック・ボーンは反米・反共程度だろう。
 人間には稀に自分の痛みに鈍感で、自分が負ける(色んな意味で)ということが分からないという人がいて、武闘派に多い。こういうのはやたらと戦闘能力が高く、闘っているうちに益々強くなってしまい、終いに止まらなくなる。ふやけたチンピラがヤキを入れられると途端に強くなるのもそれだ。
 辻は自分も何度も被弾したがどうってことなかったのだろう。嬉々として次の戦場に行く。躊躇なく戦場を求めたのだ。
 計見一雄の『戦争する脳』を読んでみるとよく分かる。ヤタラと優秀な頭脳の持ち主が戦争がしたかった、という一種の病に罹ってい続けたとも考えられる。
 最新刊の文庫に、秘かに親族に宛てて送られた6冊のノートの一部が『我等は何故敗けたか』としては収録されている。重慶~南京時代に秘かに書いたものだろう。息子に向けて『父は』という文体で構成されている。
 敗戦の要因を八項目挙げていて至極真っ当な批判をしている部分も多い。
 第三項で外交の失敗を挙げていて、ドイツと組んだことを批判している。ところが批判しているのは、当の本人がノモンハンの拡大の最中だったにも関わらず、同時期にソ連と不可侵条約を結んだヒトラーを批判しているのだ。
 それが第八項では、その後日本も不可侵条約を結んでいるにも拘らず、その条約をヒトラーと同じように無視し、共にソ連を攻めるべきだった、とも書く。ドイツと組んでインドに進出しスエズを目指せ、と。第八項は軍上層部の戦略の無さを嘆いているのだが、自分は大本営作戦課にいたではないか。陸軍大学の模範解答がそれだとは到底思えない。
『一個の軍人として戦い抜いた過去に悔いを残していない』
『日本を再建し、その上に中国と一体となり東亜連盟を結成することが後半生の父に与えられた使命と信じ』
 一読、純真で壮健な青年の熱意にも思える話だが、50を超える年季の入った元参謀が主張して良い見識ではないだろう。
 この人が参議院議員の身分のままビルマで消息を絶つのが、我々の年代が小学生になった頃であることを思うと、辻の遍歴は近現代における歴史であり、今日に於いては若くて優秀な議員先生が『戦争によって取り返す』などと軽々しくツィートしたら十分に警戒すべきなのである。
 実は辻が消えたこの時期、ベトナム戦争の導火線になる個別のドンパチは始まっており、一丁アメリカに一泡吹かせてやるか、と思わなかったか。
 もし、かの頭脳が今の平和ボケ時代だったら一体どうしただろうか。ユニコーン企業の創業者にでもなって一世を風靡したか、官僚から政治家に転身したか。防衛大学を出て、北の国と対峙したりしたらチョットこわい。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

関東軍特種演習

新春架空座談会 (帝國陸海軍編)

あの移民キャラバン・・・

2018 NOV 6 12:12:03 pm by 西 牟呂雄

 インタヴューには「犯罪から逃れて仕事を求めて来た」と答える。
 初めは160人(誰が数えたのだろう)くらいだったのが今や数千人になってメキシコ国内を移動中。パスポートも無さそうな集団が、ホンジュラスからメキシコにはどうやって入国したのか。
 あんな大集団では食料の確保も簡単ではなかろう。しかし何故か飢えた様子が見てとれない。金なんか持ってなさそうなのにメシはどう調達しているのか。
 子供もいる、乳母車を押している夫婦もいる。
 夜はどこで寝ているのか。雨は一度も降らないのか。 
 時にアメリカ中間選挙直前。この時期になぜ突如発生したのだろう。
 おまけにやけに統制が取れているのも不思議だ。整然と進むにあたっては誰かが『出発』の号令くらいかけているはずだ、ハーメルンの笛吹きみたいに。
 メキシコ政府が冷静なのもよく分からない。難民として受け入れるつもりなのかアメリカに追っ払うつもりなのか。直近の報道では首都のスタジアムを開放して食料を提供しているらしい。

 トランプ大統領は軍を出動させ、国境を固めるという。まるで戦争準備ではないか。これ、ある種のアメリカ人に受けないはずがない。「壁を作れ」で当選してしまったのだから、公約を忠実に実行することにもなる。
 そして中間選挙になってしまった。
 大統領は精力的にスピーチをこなすが、会場は典型的なレッド・ネック(白人のこと)ばかりで大歓声。なぜか大都市には行かない。
 対する民主党は嫌われヒラリーを出す訳にもいかず、オバマ元大統領が孤軍奮闘するが、迫るキャラバンを止めることなんかできない。

 これはどこかの陰謀ではなかろうか。
「お前ら、金をやるからアメリカに向かって進め。途中から幾つかの集団が合流スル手はずだが決して争うな。ナニちょっとしたピクニックだと思えばいいさ。食い物は何とかするからテキサスを目指すんだ。なんでこんなことをするのかとCNNのようなマスコミがインタヴューしたら『国は犯罪とテロばかりで仕事も無い。アメリカに移民したい』と言いふらせ。特にテレビカメラが取材に来たら大げさにやれ。11月6日までにメキシコシティーを出発したら後はもう好き勝手やっていい。帰りのヒッチハイクは手配する」
 と囁いて、あたかも大集団がテキサスに押し寄せる画像を写し、今頃はSNSを駆使して『実はあのキャラバンには凶悪な武装集団が混じって入国しようとしている』とフェイクを蔓延させる作戦だったりして。
 秘かに選挙に介入するロシアか、ナリを潜めていたあのバノン氏か。

 というのは冗談だとして、このタイミングでは共和党に有利に働く気がする。
 気の毒な人々の行く末を祈らずにはいられない。

「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

 

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

ライフLife Documentary_banner
加地卓
金巻芳俊