残暑に背を向けて
2018 AUG 19 15:15:31 pm by 西 牟呂雄
喜寿庵の夏は八月になると夕方にはカナカナ蝉が鳴く。暑いことは暑くても赤トンボまで飛ぶ。
お盆を過ぎても今年の異常な暑さはひどい、日中に蚊が飛んでいない(日陰では刺された)。だが秋の気配はわかる。日の出、日の入りは変わった。
夜半に、ビール片手に庭に出て星空を見ている。無論スプレー&蚊取り線香で完全武装。
川の流れが聞こえているが、人工の音ではないのでうるさくはない。たまに遠くに車の走る騒音、踏切の音。
何の気なしにコンビニで売っていた花火セットを買ったことを思い出してガサガサと持ってきた。
漆黒の 闇に 華やぐ 色添えて
一人灯した 花火はさびし
手慰み、と言った感じでいくつか火を点けてみた。
だが、見ているのが自分だけということは、恐ろしく孤独な寂寥感が沸きたって全然面白くない。特に線香花火はいけない。
こういうのはせめて三人以上でないと楽しくも美しくもないらしい。両手に持ってやってみたがダメだった。
芝生にゴザをしいて寝転がると(直に寝ると夜露で濡れる)Tシャツだけでは寒い。
何とも無駄なような気がしてもう母屋に入ろうとしたら、カサッと音がする。いささかドキッとして暗がりに見入ると白い生き物、猫ではないか。
以前時々姿を見せた黒ブチがいて、勝手に「シナシナ」と呼んでいたのが姿が見えなくなった。こいつはその縄張りを継承したのだろうか。
シナシナがいなくなった後も複数のノラが夜に目撃されたがそいつ等とも違う。しかもまだ子供のようだ。どうやら警戒心もまだ発達していないようで、遠巻きに寄って来た。
これは写メでも撮ろうか、エサでもやろうか。スルメを取ってきたら置いてあった缶ビールに見入っている。そーっと寄って行って「ほら」と投げてやると食べた。ところが以前の「シナシナ」は芝生の上に時々糞をしていき、その跡が円形脱毛症のように痛んでしまって苦労したからあんまりなつかれても困るのでほどほどに。あっ、もういなくなってしまった・・・。何か街灯も不気味に。
熱い日差しで目が覚めると顔も洗う前に庭に出る。モグラは芝生を掘り起こしてないな。
先日やけに家屋に近い藤棚にヤマバトが留まっていていて、しきりに小枝を咥えている。近寄ってもなかなか飛び立たないので二階から覗く。なんとつがいがセッセと巣を作ろうとしていた。力を合わせてやっているのは微笑ましい。
一般的には家の近くの営巣は「トリイレル」と言って縁起がいいとされるが、フンと羽で掃除が大変になってしまう。『おーい、そこは困るよ』などと声を掛けても全然動じない。よほど真剣なのだろうか。こっちもだんだん『シッ』とか『コラ』とか大声になるんだが無視された。しょうがないから竹竿で威嚇するとやっと飛んでいく。一生懸命作りかけていた巣を払うと、まだ大したものではない。どこかもっと家から遠い木の上の方が居心地がいいよ。そこでたくさん雛を育てなさい。それにしてもカワイかった。
夏野菜はもうシーズン・オフといったところか、茄子も胡瓜ももう成らない。収穫は例年に比べると伐採して日当たりが良くなった割には低調の大赤字だった。
そしてその日当たりのせいかもしれないが、いくら草取りをサボッたとしてもこれはないだろう。離れて見るとネイチャー・ファームが埋没してしまった。去年まではこんなにならなかったぞ。おまけに耕運機が故障して周りの土を掘り返すこともできゃしない。
草繁り 我が営みの 細ければ
ただ幾一筋の 汗したたるや
これは最近知ったのだが「八月十五日」さんという名字の人がいるそうだ。読めますか。「なかあき」さん、もしくは「あきなか」さんと読むらしい。
旧暦で言えばもう太陽暦で言う秋分の日に近いから「あきなか」の実感があり、風流な名前だがお目にかかったことは無い。
季節が変わってしまう。一人でいると、この残暑に背を向けて走り去って行きたい衝動に駆られるが、行く当ては無いのだ。
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桃・栗三年柿八年 喜寿庵紳士録
2018 JUN 16 10:10:54 am by 西 牟呂雄
伐採により原野となってしまったネイチャー・ファームの開墾は遅々として進まない。梅雨入りして早く何とかしないと物凄い勢いで雑草のジャングルになってしまう。
思案しながら試しに薔薇を植えてみた。
ようやく猫の額くらいの所にピーマン・ナス。やや遅れて3年越しのチャレンジになるキュウリの苗を買って来た。
ところが不思議な事に何もしていないのにジャガイモの芽が出てきたのだ。
今頃なぜ。
これは去年掘り出し損なったクズ芋が地中に埋もれていて、この日当たりの良さに野生化して芽吹いたのではないだろうか。あんな重機が入ったにもかかわらずに。もしそうだとすれば、この荒地は開墾しなくても自然にジャガイモが自生を繰り返すリサイクルが完成したスーパー・ネイチャー・ファームになったのかもしれない。
それでは景気よく切り倒した檜のあとはどうしようか。再びあんなに育たれてもチト困る。
そういえばこのあたりに多少の収穫を恵んでくれた栗の木と渋くて食べられなかった柿の木があった。
突如『桃栗三年柿八年』を思い出した。しかし桃は虫がついたり手がかかる。柿は収穫まで8年もかかると私が生きているかどうか。
ここはやはり栗ではないか。
『やあやあやあ』
ワッ、ヒョッコリ先生だ。また勝手に入ってきた。
しかも久しぶりにピッコロ君とマリリンちゃんを連れていた。
来るぞ来るぞあれが。
『いや、昔はね』
ほら始まった。きょうは何だ。
今ではこの先生とチビ達はこの世の人ではないと思って付き合うことにしている。普通の人だと思うと辻褄が会わない話が多すぎるから。
『…と言ってたんだ』
ヒョッコリ先生が何か喋っていたが、その隙にピッコロ君が根付きかけているキュウリを引っ張ろうとしているではないか。
過去2年、栽培に失敗しながら今年やっとできたものを。
『コラコラコラー、それはオジさんが育ててる野菜だよ』
ピッコロ君は、きゃあきゃあ笑いながら逃げて行って今度は薔薇の花をジーッとしゃがんで覗き込む。
『でもって栗の木を植えたんだね。栗の木は太くなると堅くて腐りにくいから。門柱に切り出したこともあったね』
ナニ?クリ?そういえばさっき・・・。
『はぁ、栗ですか』
何の話か適当に相槌をうつ。
『栗は種から3年ですかね』
3年ねぇ、僕の脳は3年後にまだかろうじてマトモに働いているかな。そもそも最近幻覚や独り言に悩まされているし、実際に物が無くなったり出てきたりするので困っているのだ。
と思いつつ我に返ると、いつものようにヒョッコリ先生とピッコロちゃん・マリリンちゃんはいなくなっていた。ヤレヤレ、子供たち今日も何も喋らなかったな。
翌朝、水をやりにスーパー・ネイチャー・ファームを往復していると、きのうまで見なかった苗木が目に入った。
これは何だ。ポツンと突っ立っている。
スマホで撮って色々と検索してみたのだが、どうもよく分からない。
ハッパの形が特徴があるように思えたので年のために画像を確認すると、アッ。
これは栗かもしれない。
だけど・・・まさか・・・。
ま、本当に栗かどうかはあと3年すれば分かるのだろう。それまで元気でいなくては。
で、栗の木なのは一向に構わないのだが、ヒョッコリ先生が植えたのか化けたのか。怖くなりつつ水をやった。
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季節外れの筍採れました
2018 MAY 13 19:19:00 pm by 西 牟呂雄
伐採後の開墾に疲れ切って昼メシがてら温泉に浸かったら全く労働意欲を失った。
裏木戸の周りは竹が沢山あったがこれもバッサリやった。
夕方にはチュンチュンチュンチュンと騒がしかったが、雀のお宿を奪ってしまったのだろう、夕方は静かだ。奴ら今頃どこにいるんだろう。
と足元を見やると筍がピッと頭を出している。
チョコッと顔を出したタイミングで地中30cm位を掘り出すのがコツで、旨い筍が採れる。
これを筍ご飯にでもしようかと思ったが、アクを抜いてワカメを買ってきて澄まし汁にした。
ワカタケ汁と言うそうだ。チョットいい。
ところでその筍を掘った時、ワッと足が止まった。
地面に黒い染みが出ているように見えた。
真上から写真を撮ったのだが、僕の影の上、石の下あたりに写っている黒い小動物が動かずにいる。
ドブ鼠?死んでる?
そうっと除き込むと図体に対して大きくてしっかりした爪がある。
モグラの子供がコロッと死んでいた。
モグラとは芝生にポコポコ穴を開けてしまうので、何年も戦って来た。
水責め、灰の流し込み、細い竹の打ち込み、と色々やった。一度は水責めの時に飛び出してきたこともあった。
目下のところ芝生での戦闘は我が軍優位に戦況が進んでいるが、敵は主に夜中のゲリラ戦だから作戦の全貌が読めないのだ。
突っついてみるともう小さな蟻にたかられて絶命している。このまま土に返してやった方がいいのか、或いはこの辺のノラがどうにかするのか判断できない。
結局戦い続けている相手に敬意を表して埋めてやろことに。『敵にはあれど亡骸に花をたむけてねんごろに(軍歌 討匪行)』の通りに弔った。
それで開墾はどうなったかというと、かの屯田兵や満蒙開拓団もかくや、というほどの苦労を重ねてこの花壇に毛が生えた程度の畑ができただけ。
これでは元に戻るのに2~3年かかりそうだ。
Jマートに行くと、季節外れのジャガイモの種芋が半額だったのでダメモトで買って植えた。
他にピーマン・ナス、3年続きで失敗したキュウリの苗。
申し訳程度に植えて水をやってはみたが・・。
思えば肥料も何にもやらずに放任しているのだからこいつらも野菜界の不良になってしかるべきだ。
1年おきに大きな実をつけた栗の木も切り倒してしまったし・・・。

スターダスト・フラワーが押しくらまんじゅうをしているように花を付ける。
この花が咲くと梅雨が近くなって、水仙、紫陽花が咲く季節になる。
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半年ぶりに戻って来た
2018 MAY 5 10:10:42 am by 西 牟呂雄
伐採のために重機をいれたために真っ平にされてしまった手作り農園、ネイチャー・ファームをどうにかしなくては只の空き地になってしまう。ほったらかしてナチュラル・フィールドにすることも考えたが、やはり少しは生産活動をしなければバチがあたる、と耕運機を入れてみた。
ところが何トンもするキャタピラ跡も凄まじく、踏み固められて掘り起こせない。これではまるで開墾だ。鍬なんか持ってないしスコップで試しに掘ってみた。
するとこれはとんでもない重労働で、今更ながら北海道開拓なんかは大変だったろうなとため息が出た。結局2m程でやめてしゃがみこんでしまった。
何気なくチョコッと引っ掻いた地面を触っていると、違和感がある。何かが突き刺さっているようだ。引っ張り出すと何と半年前に失くした鋏ではないか。その時悲しみのあまりこんなブログを書いている。

そしてSMCメンバーのトムさんの「失くしたモノは異次元の自分が使っている」とのコメントに癒されました。
雨風にさらされ重機に踏んづけられながらもよくぞ僕に見つかってくれた。元々錆は出ていたが、持ってみるとあの重さが甦って来て嬉しかった。
それにしても見失った場所から多少違うところにあったので、全然関係ない所を嘆きながら必死に探していたことになる。この偶然の邂逅は天文学的に低い確率だっただろう。土にまみれて動きは随分と鈍くなっていたが確かにあの鋏なのだ。
実はお気に入りのシャベルも似たようなことがあり、手作り花壇の隅っこから出て来て驚いたこともあった。
もしかするとここ喜寿庵はどこか空間が歪んでいて忽然とモノが消えたり出現したりする霊界のスポットなのか、僕がボケが徐々に進行してチョット置いた場所を直ぐ忘れてしまうレベルにまでなったのか、まぁ後者だろう。
数珠や携帯をコンビニに忘れ(それもこの半年の間にだ。携帯はきのうのことである)悲しみ嘆きつつも反省せずにモノを失くす(ただしコンビニに戻って事無きを得ている)。
すぐ近くにお不動様のお寺がある。ここは日光修験道の流れを組んでいて春の例大祭として「火渡り」をやる。
ここは一つ僕もやってみて、今までのウッカリ癖を叩きなおす必要があるのではないか。
行ってみるとホラ貝を吹きながら行者さんが入ってきて結界の周りに立った。
なにやら勧進帳のような問答をして、剣・弓で四方を清める。
いよいよだ。
あれ、般若心経をみんなで唱えている。
色々儀式があって(中略)「のうまくさんまんだ~~」の大合唱とともに積み上げられた檜の束に火が付けられた。
瞬く間に火炎が上がり、火の粉が飛んできた。
これ、ヤバイぞ、ヤバい。
周りの行者さん達は火が強くなりすぎると水をかけ、熱いので時々自分でも被り、弱くなると灯油をかけていた。
パチパチと燃えていた上段の方から次第に焼け落ちてくる。
すると一番下に太い梯子状に丸太が組んであるのが見えた。
そして一人の行者様が剣を抜いて何かを唱えると
『エーイ!』
の気合もろともサッサッサッと渡ってしまった。
他の行者様も檀家の人達も次々と行ってしまう。
僕はと言えば列の後ろに靴を脱いで並んでいたが、玉砂利が足の裏に突き刺さるようで痛い。そうこうするうちに順番が回ってきてしまったではないか。
『エイッ』と気合をかけられてもう後に引けない。
うわ~、と思いながら丸太に足をかけるとジタバタと進んだ。
アレッ熱さは感じなかったぞ・・・・。
これで忘れ物がなくなり、心の平安が取り戻せれば助かるのだが
のうまくさんまんだ~ のうまくさんまんだ~
ちなみに今年は炎が上がり過ぎて消防が来たそうである。
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喜寿庵の林を伐採する
2018 APR 30 13:13:24 pm by 西 牟呂雄
長年ほったらかしにしていたためケヤキやヒノキが育ちすぎて風通し・日当たりが悪い。ついに喜寿庵で伐採をしようとしたのだが、何十年もそういうことをしていない為に一部は切り倒さざるを得なくなった。
昔は植木屋のオッチャンが体を縛るようにして登って行って枝を落としていたのだが、オッチャンも齢70を越えてそんなことはできないのだ。ツテを頼って色々と頼み込み、お願いする。
木樵の与作みたいな人が来るのかと思ったらチェーン・ソウ片手の傭兵部隊のような集団がやってきて、アーデモナイコーデモナイと相談して重機を入れると言う。切り倒して崖から捨ててしまえばいいかと思っていたのだが今日ではそういう訳にはいかないそうだ。
「こっからここまでを壊してクレーンを入れます。そのためにソラシを手配しますので見積もりは・・」
ソラシ?ソラシと言っても音階の話じゃない、空師と書く高所作業のプロのことである。
だいたいこういった作業は冬場にやるものらしい。
芽吹いてしまうと木が水を吸い上げて枝が重くなって作業がしにくい。
「よーし、じゃあ手始めにこのあたりやっちゃうか」
と言うが早いかチェーンソウが唸りを上げて、あれよあれよと一部は午前中に切られてしまった。チョットこれは残してと訴えるも何もない。
突然開けた視界を眺めながら暫し呆然。
僕は50年以上同じ光景を見てきたつもりだが、剪定している庭木以外は好き放題伸びてきたはずだ。従って風景も変わったのだろう、全く同じではないにせよ今の目の前の光景の方が当時に近いのかもしれない。
その頃は祖母がネイチェー・ファームで苺を作っていた覚えが蘇った。
そしてハッとしたのだが、50年前の僕の身長は半分とは言わないがずっと低い、視線が違うのだ。すると庭はもっと広く感じられ遠くは木々に遮られて見にくかっただろう。もっとも今の身長になってから40年は経過しているから『昔はこうだった』も当てにはならない。
作業は天気にも左右され一ヶ月続いて、いよいよ終了となるので実地検分に来た。
終了して風通しの良くなったところをパチリと撮っていると、やあ、久しぶり、と声がかかった。わっ、何と数ヶ月ぶりに会うヒョッコリ先生ではないか。
この人は相当高齢で、昔話ばかりナガ~クするんのだが、僕は名前も知らないのだ。
「随分と切り倒したねぇ」
「ええ。どうも何十年もほったらかしてましたからね」
「うんうん。庭ってもんは生き物だからね。手を入れてないと5年もするといくら剪定だけやっても変わっちゃうから」
いやなことを言うな。手は50年どころか80年は入れてないぞ。
そろそろ来るぞ、と身構えていると始まった。
「いやー、その昔ね・・・」
今まで聞いてきた話を総合するとこの人は百歳くらいかも知れない。
どうやら僕の二代くらい前のことを思い出しているフシがあって、戦争の記憶も確かのようなのだ。
「このケヤキもねえ、細かったんだけどこんなに太くなっちゃって。これでも3本くらい切ってるんだよ。ホラ、このあたりは下が岩盤だからあんまり育つと倒れるしね」
ハイハイ、それで。
「ホラ、ここからだと富士山の右端がチョコっと見えるだろ」
そんなこと生まれた時から知ってますよ。
すると勝手に庭の奥に向かってスタスタと歩いて行くではないか。
しょうがないから後をついて行った。
「アッ」
「アッ」
二人同時に声を上げた。
外から見た時は気がつかなかったが、奥の林を切ってもらうのに重機が入って、ネイチャー・ファームがまっ平に整地されていたのだ!
隅っこにひっそりと植えていたニンニク5株も(当然だが)跡形も無い。
あの奥まではやらなくていい、と言っておけば良かったのか仕方ないのか。
しかも、そのキャタピラ跡も生々しい上を歩けばガッチリと踏み固められている。
「あー。これじゃユンボかなんかで一回掘らないと耕運機は入らんのじゃないの」
ヒョッコリ先生うるさい!
生ゴミや灰を埋めたりして丹精込めた完全自然栽培のネイチャー・ファームが唯の空き地になってしまった。
振り返れば風通しが良くなって母屋まで見えるようになった。
うっそうと繁るまでに随分長がかったと思うと、一瞬で変わった景色にため息をついた。
今まで僕が生きた時間は彼方に飛んでいって、現在ここに立っている。
新しくまた畑の造り直しか、それは来年にかけてやって行こう。
だけど暫くはこの景色を淋しくは感じるだろう、と思った。
で、気がついてみると例によってヒョッコリ先生はいつの間にか姿を消していて、僕は一人でたたずんでいるのだった。
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梅春(うめはる)どき
2018 MAR 12 0:00:42 am by 西 牟呂雄
喜寿庵の庭には芝生を張っていて、春先に新芽が青くなる前に枯れた芝生を焼きます。奈良の若草山の山焼きのようなものです。
山焼きの場合、多湿の我が国ではこれをやらないと森林になってしまうので若草山などでは景観を維持するために大規模に焼くそうです。
雑草の種や害虫の駆除に効果があるとされていますが、雑草はいくらでも生えて来るのでこれは嘘ですね。
風下に向かってサーッと焦げて行く様は幾何学的な模様が広がっていくようで面白い。
写真ではオレンジ色の炎が良く見えませんが、風の吹く時は火がほとばしるようで注意していないと庭木に燃え移ることも。
僕の二代前の爺様がつつじをまる焼けにして危うく火事になりかけた、と伝わっています。去年秋吉台で恒例の山焼きでは焼死者も出ました。竹箒・水・を用意し、スキーウェアに身を固め、あまりアチコチに燃え広がらないように注意しながら少しづつ一日がかりで焼きました。
来週には目土を蒔いてならします。こうして春がやって来ます。
年を取ると一年が早くなる、アッと言う間だ、とはよく聞きます。ところが去年は身内のトラブルが多発した挙句、冬がことの外寒く感じられて恐ろしく長い一年でした。
あのドカ雪に見舞われた福井県の方々は、さぞ春が恋しい事でしょう。
東京の梅は満開です。
喜寿庵の梅もチラホラとほころんでいます。
もう支えがなければ倒れてしまうと植木屋さんが言うほどの古木で、あとどれくらい保つのでしょう。せめて僕の生きている間は、と祈らざるを得ません。
今月中には伸びすぎた欅やヒマラヤ杉を伐採します。
クレーンを入れての大工事ですので庭が元通りになるのか、はたまた新しくなるのか。
ですが、いる人間が代替わりしていくように庭も相応に変化していくのも自然なことなのでしょう。僕の代が後何年続きますかね・・・。
老木の 花あわあわと 色付いて
我もたたずむ 枯れてくれるな
表を掃いていたところに外人観光客の一行が通りかかりました。
「セーラだよー!」
と手を振る人がいます。えっ。
旧知のオーストラリア女性ではないですか。
北富士総合大学で英語講師のアルバイトをしていたオバチャンです。
しばらく見かけなかったので帰国したと思ってました。
聞けばインバウンドの恩恵にあずかりたい街がセーラの手を借りて観光客を呼ぶことを企画したようです。
懐かしくてガッチリとハグ。
庭を案内してあげると大喜び、手を振って帰って行きました。
(写真が小さい)
毎月遊びにきている学生も今月4人が卒業します。
おめでとう、今晩はそのお祝いです。
うーん、長い一年だった。また来てくれるかなぁ。
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還暦(+3)ボーダーの晴姿
2018 MAR 5 18:18:35 pm by 西 牟呂雄
喜寿庵の冬は厳しいが、南向きなので思いっきり日を入れてやると・・・寒い。
することもなくゲレンデへ。
最初はソロリソロリ。おっかなびっくり。腰は引けて重心は山側に残ってしまう。
昔はこの程度のギャップは飛び越えた、こんなコブは踏み潰した、もっと細かくスラロームできた・・・。
そう思いながら柔らかい斜面をよっこらしょ、と滑ってくる。
年とともに筋力と反射神経が確実に落ちているのが分かる。これらとテクニックによって制御できるスピードが決まってくるのだ。
これを『限界速度』と呼んでいる。チョットした斜面の滑走跡や突然のバランスの崩れに素早く対応してこそ安定してボード(スキー)を操るのだが、速度の二乗くらいの速さで対応しないと”転倒”したりしてケガにいたる(S=aV2 僕の仮説)と考えられる。これに斜度が関数になるのだが、今の僕の腕では傾斜50度でS=0.03秒くらいが限界だろう。
やれやれ、今年もまだ何とかできそうだ、とコースを見上げる。
このダウン・ヒルのリフトは高速四人掛け。放っておくとグループで乗り合わせのタイミングが悪く、平均の乗車数が3人位になってしまうので一人乗り枠がある。そちらに並ぶと空いた時にどんどん入れてくれるから待ちがほとんどない。
例によってそこに並んでヒョイと乗り込むと白人の親子連れ3人、オトーサンとお兄ちゃん妹の三人組みに乗り合わせた。オトーサンは自撮りで一家を写そうと苦労していたのでスマホで撮ってあげると、喜んでくれた。一家は横須賀から日帰りで来たという。要するにネーヴィー・オフィサーだ。
「セヴンス・フリート(第七艦隊)?」
と聞くと、そうだとの答えにハイ・タッチ。このご時勢、第七艦隊は日本海側での米韓合同演習をひかえる。僕は今の状況におけるその抑止力を高く評価している。
年を尋ねるとお嬢ちゃんは五歳、お兄ちゃんは『キューサイデス』と答えてくれた。リフトを降りたところで一家をもう一枚「グッドラック」。
その後はゲレンデで出会うことも無い、一期一会だった。
そしてその夜半、僕は足がつった。年だな。
ところで、この日は富士山が傘を被っているような雲がまつわりついていた。珍しいので写メで撮ったのだが腕が悪いのか臨場感が伝わらない。
検索してみると、単独峰である富士山にかかる独特の雲で地元では「富士が笠をかぶると雨が降る」と言われているとか。
マズい、この季節では雪になる。ノーマル・タイヤだから遭難する。
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雪ニモマケズ
2018 FEB 24 12:12:41 pm by 西 牟呂雄
今年も雪は首都圏に大混乱を起こした。時に高速道路に閉じ込められた方々は大変だったろう。福井の方はもっと酷くてハラハラしたほどだ。
それに比べればではあるが喜寿庵も大変、週末に寒いのを覚悟して飛んで行った。
積雪はまぁ20cmくらいで、踏みしめながら屋内に入ると驚いたことになっていた。あらかじめポタポタと滴らせておいたのが蛇口からはつらら、洗面台は排水溝が凍ったようで氷溜まりになってしまった。トイレはヒーターで大丈夫だったがお風呂のお湯は直ぐに出なかい。
暖房をガンガンかけて外の雪でお湯を沸かし(ガスは無事)蛇口や洗面台にかけて溶かす。水が通った時は山荘が生き返った気がした。
平昌オリンピックをやっているが、4年前のソチの時にはこのあたりに1m以上も積もってしまい、全県交通がマヒして閉じ込められて遭難しかかったがこんなに凍ったりしていない。あの大寒波襲来でマイナス17度まで冷え込んだそうだ。北海道の人から見れば大したことは無いのだろうが、この辺りではライフラインに支障をきたすのだ。
それから2週間経って行くとようやく溶けて(この庭を雪掻きなんかしたら体に悪い)土が顔を出していた。
そして見回すとあんなに積もったのに早くも福寿草がピョンといった感じで咲いた。
季節が巡るとはこういうことか、と思った途端思い出して奥のネイチャーファームまで急いだ。
去年、冬を越せる作物だと知りニンニクを5株ほど植えたことをすっかり忘れていたのだ。埋もれてしまってヒョットしたら全滅しているかもしれない。
残雪を踏みながら行くと、午後からの日当たりの良いファームはすっかり溶けていた。
オーイ。
すみっこの方に駆け寄ってみると・・・・オォ!
さすがにスクスクとはいかないが、枯れずにヒョロッと生きているようだった。
思わずアングルは良くないが接写したのがこの写真である。
ほかの4株も同じように寒い風に吹かれていた。
僕はなんともうれしくなって語りかけた。
「お前たち、あの寒さを良く耐えてがんばった。春先に収穫できたら充分に味わってやるからな」
(念のため口に出して言ったのではない。それではアブナイおじさんになってしまうから)
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お宿 ぽっぽや
2018 FEB 19 19:19:23 pm by 西 牟呂雄
喜寿庵のご近所にかわいらしい素敵なお宿ができた。コンセプトは『子鉄』。子供さんも楽しめるよ鉄道マニアのファミリー向けに古民家をリフォームして民泊を始めた。オーナーさんはお若いご夫婦で、色々とアイデアを出しながらやっている。
実は昨年の夏頃から改築が始まっていて、一度ご近所だから挨拶に行くとお二人で”手作り”と言った感じが微笑ましかった。先日改めて再訪してその充実ぶりにびっくりした。
御夫婦共に鉄道好きなのに加えてもう一つ凝ったのは『レトロ』。
この入り口はわざと古めかしい感じを残してリフォームしたそうだ。
それだけではない。
お客様の入り口は裏に回ったところで、引き戸を開けると新幹線。
敷地内にはレールやポイントの道具が置いてあって、これは好きな人にはたまらないだろう。
お二人で集めたものらしいがレールなんか重いのにどうやって運んだのだろう。
レール留めの犬釘も沢山あった。

更に中を見せてもらうと、これまた色々な工夫が凝らしてあって楽しい。
寝台車のような寝室だったり、車両が室内に乗り入れたような迫力。
実際〇〇線の脇にあるのだが、この沿線では外国人観光客が激増してガラリと客層が変わった。
たまに乗ると着飾った中国系かバックパッカー風のリュックを背負った白人が目立つ。
大家族の旅行者にどこから来たのか聞いたらフランス人だった。その頃凝っていたフランス語で話したが全然通じなくてマイッたっけ。
マレーシアからの女の子のグループもいた。
2020年の東京オリンピックの頃は、大会を見た後に富士山観光をする外国人はもっと増えるだろう。
今でも河口湖のあたりの観光地だけでは客室が足りないくらいだ。
すると喜寿庵のあたりのこういったお宿にも大勢来るかもしれない。
喜寿庵に泊めてやってもいいのだが、僕は料理も何にもできないし、布団なんかも充分じゃない。
ウーン、その場合はこの『ポッポやさん』専属の通訳兼運転手にでもなってボランティアでもやろうかな。
幸い近所に温泉もあるし。
だが待てよ。
ここのコンセプトである鉄道マニアなんかは日本以外にもいるのだろうか。
オーナーご夫妻がせっかく集めたこれらの『お宝』が、ただのガラクタに見えてしまってはもったいない。
オーナーさんのコレクション。
レセプション・コンシェルジュの案内表示は「駅長」。
更にはどこの駅で使われていたのか分からないが、大昔の切符を買う所で駅員さんが客と相対して売っていた時の券売機!
これなんかは僕の子供の頃の記憶にウッスラ残っているレア物じゃなかろうか。
いずれにせよ解説をしてやれば鉄道発祥の地の英国人なんかは喜ぶかもしれない(中国人やロシア人はどうかな)。
先行宿泊したお客様の評判も上々。
2月23日(フジサンの日)にグランド・オープンです。
ご案内はこちらから。
ぽっぽやさん
プラ・レールのおもちゃも充実していてお子さんも喜びそうだ。
それにご主人はイケメン、女将さんは大変な美人。
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リゾート特急やまどり
年末年始に考えたこと
2018 JAN 4 22:22:23 pm by 西 牟呂雄
喜寿庵に行くときに中央高速の河口湖線を走るが、天気のいいときは惚れ惚れする様な富士山が見える。
ただ高速を降りるといいアングルが撮れないので、多少ヤバイが路肩に停めて映してみたが、見た目ほどの迫力が出ない。下手だ。
普段は山に籠ると庭の手入れや野菜のお守、落ち葉掃きと忙しい。
だが年末年始には何もすることがない。寒いだけ。
朝はグズグズしてからコンビニでコーヒーを飲んでから温泉(回数券を持ってる)に行き、ジャブジャブとぬる湯源泉から熱い露天に浸かり、鍋焼きうどんかカツ・カレーを食べて帰って来る。ありがたいことに年末年始はズーッとやっているので毎日行けるのだ。
そして持ち込んだ本を読んでいると四時半には日没。冬至の時にちょうど渓谷の切れ目に火が落ちる(因みに東側に山があって朝は明るくなるのが7時)。
やはりこの時期には花は少ない。
庭に色を添えるのはわずかにナンテンの真っ赤な実くらいか。
日が落ちると今度は家のお風呂を沸かして入る。
これは上がって冷えたビールをガブ飲みするため。
きょうも誰とも会話しなかったなぁ、などと思いながらガンガン飲んだ。中途から焼酎に。
大晦日は格闘技を見ているうちに泥酔して寝る。
時々このブログを書いたりして新年を迎えた。初詣はなし。年始の挨拶もなし。年賀状もこっちには来ない。メールもなし。念のためだが一人で過ごしている。
ズゥーッと同じ状況が続くので秘かに理論を巡らせた。
もしも地球の自転が公転に対して傾いておらずに全く季節がなかったとすると、人間は一年という時間の区切りを知らずに過ごしたのだろうか。寿命何年という単位がなければ(月はともかく)毎晩同じ星の流れを見て、星占いも十二支も何も無い。
そうなると人類(というか生物)の進化はもっとずっと遅く、特に産業の発達というものは恐ろしく陳腐なままで止まっていたかも知れない。
人口が増えるに従って、熱帯・温帯・寒帯へと移動して民族は形成されただろう。しかしそれぞれの文化は均一に緯度に従ったものだったのじゃなかろうか。何しろ動植物の分布が一様になるからだ(この際地形の話は脇に置く)。
今年は日本海側や北日本は雪が多くて大変だろう、事故も起こっている。降り過ぎは気の毒だが、温暖化で雪が無くなったらそれはそれで雪国の人は寂しいに違いない。
こんなにグータラやっているとお正月に申し訳ない気がして、年末から迷っていたスノボに行く。去年知り合いが靱帯断裂になったので恐るおそる行った。
ゲレンデには年末年始を日本で過ごした外人観光客(中国系)がワンサカいて、どうやら観光ツアーのコースに組み込まれているらしい。別にスキーをするでもなくウロウロして買い物をしていた。
その中の一人が実に怪しげだったので思わず撮ってしまった。
今年はじっくりと(ボケーッと)『保守とは何か』とか『日本人はどう考える人種か』あるいは『知性は人類を幸せにしたのか』といったテーマを模索したいと思っている。
きっかけは最近トンと耳にしなくなった『島国根性』という言葉である。
かつては「チマチマとケチくさいことを言って古い体質にしがみつく」という意味で使われていたと記憶する。
それが絶好調の安倍政権の元で、複雑な米中関係の間に北という撹乱要因を加えインチキめいた保守層が新しい『島国根性』のような気がした。
無論私は現政権を支持する保守オヤジなのだが、自称保守派としてはTPPや移民は気に入らない。憲法も改正したい。アメリカ主導グローバリズム・新自由主義は肌合いが違う。戦争反対。そういった懸念なしに何となく現政権を支持してしまっている層が心配だ。
安倍自民党の支持者は何故か若い層に多く、立憲民主党という明治時代のような名乗りを上げた政党は団塊組が支持する。ただ改革念仏を唱える保守派は希望の党(=都民ファースト)という鬼っ子まで生み出した、ありゃいったい何だ。民進党はどうせ無くなるくせに野党共闘とは何だ。
ここまでくるともうどこから手を付けていいか分からん。
明治150年、ヤバかったモダニズム(欧米帝国主義)を切り抜け、敗戦を糧とした日本人ならではの知恵はどこに行った(オマエは何だ、の声がするけど)。
平成の御世のドンづまりに核で威嚇をする指導者が出現するとは、何のために知性を磨いてきたんだ人類は。
そしてトランプを生み出したアメリカはどう出るだろう。トランプとは保守主義者なのかトリック・スターなのか。アメリカだってどでかい島国なんじゃないのか。
えーと、箱根駅伝でも見てから山を下りて考えよう。要するにヒマだったんだな、オレは。
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