ドキュメンタリー ギリシャがやっちゃった
2015 JUN 29 21:21:37 pm by 西 牟呂雄
このようなギリギリの調整というのは最後の一晩で決着がつくものだとは考えるのだが、銀行閉鎖とは。
ユーロ不安から円が高くなった分だけ日本の株価は下がるが、あまり慌てるほどではないだろう。2万円台ならば問題無い。為替というのは不思議なもので、経験則上では急激な変動の危機感が持続するのは3カ月程度なのだ。無論その後の調整には1年くらいはかかるのではあるが。円建て外債はダメだろうが900億だったか。
しかしどうだろう。EUの盟主になっているドイツは2月時点でこれを読んでいた気配がある。保有国債が紙屑になってしまうことを覚悟して人質のように他のEU諸国を揺さぶったのではないか。何しろ貿易黒字の多くをEU域内で稼ぎ出して、言って見れば食い散らかしているわけだ。
しかしユーロ圏南欧諸国の債務危機があった2012年に比べると、市場は動揺していない。100年前だったら戦争でも始まって植民地にされるところだったろうが、今更そうはならない。
デフォルトはするのだろうが、そのこと自体の影響は限定的。ヤバかった南欧諸国も2012年時点よりはマシになっている。予想されたデフォルトは急に起こるものではないから、あの程度の国が破綻したところで恐慌などにはならない。
問題は時間稼ぎのつもりでやる国民投票の結果、ユーロから(ギリシャ国民もEUも望まないにも関わらず)離脱する道筋がついてしまう場合だ。そもそも国民投票なんかに掛けるような問題ではないと思うが。EU(ドイツ)は弱い国をしゃぶって見捨てるという評価になってしまいう、そうなりゃ信用縮小だ。
英国もEU離脱に舵を切る。自国内でスコットランドの独立問題を抱え続けて大陸のイザコザに巻き込まれている余裕なんかない。
フランスはギリシャ国債もドイツよりも保有していてダメージは格段に大きいが、それでもドイツに擦り寄るしかあるまい。
しかし思いもよらない所に問題が発生するきっかけになるかもしれない。
例えば中国。株価の下落が始まっている上に、外交も上手く行っているとは言い難い。ヨーロッパは大きな輸出先だ。おまけに国境を接している北朝鮮は経済制裁を受けていて、全ての外貨決済はユーロなのだ。下落が起こってしまうとタダでさえ破綻している北がグシャグシャになってしまう。その場合38度線より中朝国境の方がヤバい。38度線では簡単に跳ね返されてしまうからだ。いや、何も戦争という意味だけではなく難民流出や治安崩壊ということも含めて。
当然韓国経済は中国のダウンの影響大、さすがに日本も無傷では済まなくなるか。
そう思ってヨーロッパのマーケットの開いた夜のニュースをチェックしたが、株価は2~3%の下落と円高後の東京マーケットの下落程度でしかない。そして思ったよりニュースの扱いが小さい。
少し他の地域に目を向けると、これまたなかなか難しい。
全く手が付けられないIS問題はアメリカが本気にならなければ絶対に無くならない。
テロも所構わずだから始末に悪い。
ウクライナも、実質ロシア軍がウクライナ軍に勝てていない。ロシアは、中国はギリシャにちょっかいを出すだろうか。
どうも日本のプレゼンスが上がる気がする。
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Categories:失われた20年とは何だったのか
西室 建
6/30/2015 | Permalink
「このままでは払えない。」
首相は開き直り、銀行はクローズ。年金支払日もお金は引き出せない。
延滞には延滞金が追加されて借金は更に増えるにも関わらず、5日にせまる国民投票で財政引き締めのEU勧告に反対するように呼びかける。
昨日のブログから24時間経って、地球を一周して株価はとどまった。
恐らく国民投票の前に、なんらかの歩み寄りの提案がなされてシブシブそれを飲むことでユーロに踏みとどまるのではないか。もっとも搾り取られる構図は変わらない。
国民投票で否決されたらユーロからおっ放り出されて貧国の仲間入り。
市場は織り込み済みだったのだ。真面目にやろうっと。
東 賢太郎
7/1/2015 | Permalink
払わない、というか、払えないだろう。EUは破綻でなく遅延とするだろうがドラクマの道へまっしぐらかな。そしたらちゃんと破綻するだろう。これはブログに書いた「2001年中国WTO加盟で始まった世界大貧民ゲーム」で初のハコテンが出たということにすぎない。中国人が日本で爆買いしてるカネはギリシャ人から巻き上げたカネなのだよ。めぐりめぐってだからニブイ人は気がつかないけどね。国民中ニブいんなら大貧民で仕方ないんじゃないの。もっと勉強して真面目に働くんだろうな。ソクラテスとパルテノン神殿で「昔の名前で出ています」歌ってみんな国家公務員じゃあね。クニ食いつぶして終わりだね。
西室 建
7/1/2015 | Permalink
きょうは年金支給の窓口が開いたそうだ。口々に不満を述べる市民。無論高齢者は気の毒だが、若年失業者はもっとかわいそうな。何しろ国をダメにしたのは年金世代ですからねぇ・・・。
そして『EU案に反対してほしい。その方がEUとの交渉が有利になる。』と言って、賛成が上回ったら辞任を仄めかす首相。
これ〇下市長にかぶって見えないか。
そんなこと言ってないで妥協案考えたらどうなんだ。
で二日目。市場は冷静。
西室 建
7/2/2015 | Permalink
水面下で条件付きで財政再建案を受け入れる書簡を送ったりする動きが伝わってくるが、チプラス首相のパフォーマンス呼びかけがEU側を相当怒らせたようだ。協議は暗礁にのりあげたまま。
本当に国民投票に任せるという愚挙をするつもりだろうか。
一方でバルファキス財務相が、国内の輪転機は全て処分されており今更通貨を発券できないという説明をした旨。情報戦も飛んでいる。
東京マーケットは平成に戻っている。もう市場はギリシャを見捨てているのか。
この項終わりにして、反対投票後むしろユーロが安定するか、を研究します。
西室 建
7/6/2015 | Permalink
ギリシャは勝利宣言を出したが、誰が誰に勝ったと言うのか。
なんだかキナ臭い。
東京マーケットさすがに下がったが2万円台で終われるか。
ユーロ135円 2万円を突き抜けると・・・・・。
東 賢太郎
7/6/2015 | Permalink
ボロ株は一般投資家は買わないが買収者はいる。国民(=社員)に用はないがBSにある土地はほしい。社員と資産(宗教と遺跡)を守りますよ(本当はそんなもんどうでもいいが)とスリよればなびく民度と思料。常識的にはロシアだが中国も登場。ワルの案としてはこの二者を競わせ中国をそそのかして新発国債を爆買いさせ、ロシア同盟をちらつかせつつEUをゆすって返済期限延長にもちこむ。AIIBが規約上使えるならばだが、もはやソマリア並の低開発国だと自己破産宣言しておいて、五輪発祥国がデビューディールというのはどうだと中国にアピールする。チプラスがそんなタマかどうかだ。
西室 建
7/6/2015 | Permalink
主要株価指数は軒並み下落でも2%以上はイタリアだけ。とんだトバッチリだが。
あすの日本時間の夜にかけて欧州委員会、ユーロ圏財務相会合、欧州中央銀行と調整を図るらしい。
ドイツなんか相当アタマに来たようだ。
バルファキス財務相の辞任くらいじゃオトシマエはつかないだろう。もう少しイビリ倒してドイツが値崩れしたギリシャ国債買い上げかな。
ユーロには残すだろう。
東兄の『ワル案』は魅力的だが中・ロも腰がひけるのでは。
東 賢太郎
7/7/2015 | Permalink
中国はたしかに自国がそれどころじゃない。辺境までカネつっこんでぱんぱんらしい。株が下がったぐらいであわてて犯人捜ししてるようじゃお里が知れるし。ローマ帝国は辺境から瓦解したがユーロ帝国は辺境が瓦解している。中華帝国もその道かもしれない。
西室 建
7/7/2015 | Permalink
気になって先日読み飛ばしていた文春新書『21世紀の日本最強論(文芸春秋編)』を再読すると、比較的ケミストリーの合う評論家(元官僚?)の中野剛志氏の一節に当たった。
新自由主義とグローバリズムは終わった、需要不足⇒物価停滞⇒金利の極限までの低下⇒流動性の罠に落ちる、とある。すると、『多民族・多宗教から構成され社会の統合力が弱い新興国や、移民を積極的に受け入れてきた欧米諸国では、民族対立が深刻化し、排外主義が蔓延し、国家分裂の危険性が高まるだろう(184ページ)。』と主張している(本年4月初版)。
これユーロ帝国を見事に予言している。
で、日本はある意味この状況に強い、と結んであるのだが。
東 賢太郎
7/8/2015 | Permalink
グローバリズム=アメリカイズム(米国システム化)であり、なにやら歴史的宿命論やら波動論やら金属疲労的な現象論としてやらの意味不明の原因でそれが「終わった」のではなく、そうなりうる最後で最大の中国がWTOに加盟してもはや原理的にそうはなり得ないイスラム圏しか地球上に残っていないというあっけらかんとした、子供でも分かる事実にすぎない。
オセロの黒と白しかないイデオロギーの二極分化であり、「2つ」というのはあらゆることにおいて必ずもめるのは人類史の基本定理である。だから宗教対立が起きるのは自明であり、これも民族対立にはちがいないが混同できない。
民族対立はイデオロギー(ほぼ宗教と同義)+経済格差(ほぼ収入格差と同義)によって発生しており、後者に物価停滞による生産調整が効いたことは間違いない。しかしそれは中国の米国システム参加が世界的2次産品の供給過剰をひきおこし、筆者のように反対側から見れば需要不足とみえる事態を生んだからである。需要そのものが自律的に減ったとは思わない(ie.リーマン以来世界の株は上昇)、いらない工業製品が安価で出回り過ぎたのが根源的発端である。
金利の極限までの低下⇒流動性の罠、はその結果として本来は望ましい物価低下が構造的疾病をひきおこす域に入ったことを事後的に示す金融現象であって、我々の知る限りいかなる経済においても金融が経済現象の先に立って国民を困らせたり貧乏させたりなどということはない。クルーグマンが好きな言葉だが流動性の罠がイデオロギーにも経済格差にも一次要因として影響することはない。よって民族対立の要因とは思わない。
一次要因は「中国のWTO加盟(その他の途上国含む)による米国システム参加」に尽きる。だから小生は「ビッグバン」と書いた。
ついでながら、「ユーロ帝国」は金融帝国(欧州が米国システム導入により築いた金融防波堤)である。上記のとおり、金融が経済活動の前面に立つことは原理的にないのであり、そこを勘違いしていること自体が欧州が米国化した見事な証拠である。経済破綻した国を金融で救済するなど邪道の極致であり、そういう国は本来はそうなる前に戦争で食われて消える。邪道の金融はいずれ正直に、金融現象として破綻するだろう。
東 賢太郎
7/8/2015 | Permalink
日本については「この状況に強い」わけではなく、比較的マイナスが少ないだけで相手のオウンゴール待ちにすぎない。攻めなければ有利であるとすらいえないのであって、そういうのを強いとは言わない。宗教対立は心配ないのが救いなだけであって、「イデオロギー+経済格差」(=民族問題)はいつもあるよ日本に(みんなそう思ってないだけで)。狭義の民族問題や右傾化のことではない、格差のことだがその定着傾向と言った方がより近い。日本は金融よりも階級の流動性トラップの方がよっぽど重大問題だが、この解消にぴたっと照準の合っている政党も政治家も不在である。
以上私見として
西室 建
7/8/2015 | Permalink
なるほど。
中野剛志氏の論調はグローナリズム・新自由主義は格差を拡げ続けると、いうもので歴史的宿命論やら波動論というものではないからご指摘の通り。
ユーロ帝国は「欧州が米国システム導入により築いた金融防波堤」というのも同感。僕はその帝国内で個別国家が比較劣位に置かれ破綻し対立する、という文脈で「民族問題」を読み下した。
「日本はその状況に強い」というのも15年以上前からそうなっていただけだね。
ギリシャは首相が提案無しの手ぶらで行ってあんな演説しちゃマズい。今週一杯現金が持つのか、いずれにせよ12日まで持越し。
と言ってる間に上海のガタガタで東京マーケットは2万を大きく割り込んでしまい、円も上がった。年度代わりの頃の数字で止まってくれりゃいいんだが・・・こっちの方がヤバい。
西室 建
7/10/2015 | Permalink
結局国民投票は何だったのか。
提案を詳しく見ていないが、丸飲みとは言えないものの言うこと聞くからもっと金貸せ、というところでは。投票結果をタテに凄んだだけか。
これは国内内政問題になってしまう。
一方中国は、上場の半分が取引停止とか大口売却はダメとか。ちゃんとした資本主義になっていない、来週が恐い。カラ売りで稼いだ奴はどこに消えた。
ニューヨークのマーケットも上がっている。
西室 建
7/13/2015 | Permalink
17時間もズーッと議論していたのだろうか。
密室でワイン飲んでたりして。
ギリシアはデモもストもやる気力は残ってないだろうな。ジャンジャン。
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