Sonar Members Club No.36

Since July 2013

漫画ばかり読んでいた

2017 JAN 28 23:23:29 pm by 西室 建

 今から40年近く前、クソ忙しいペイペイの頃だった。コキ使われておまけに酒ばかり飲んでいたが、その泥酔と二日酔いの狭間で何をしていたかというと恥ずかしいことに漫画ばかり読んでいた。
 マンガ〇〇ー・漫画〇ラ〇・〇〇〇コミック・オリジナル・スペリオール・モーニ〇グ・リイド〇〇ッ〇、たまに少年〇〇〇〇以下3冊とキリがない。少なくとも毎朝何かを買って読みながら通勤した。
 ある日、業界新聞のコラムを読んでいた同僚の女性が顔を上げてジッと僕を見る。何かをコクられるんじゃないだろうかと身構えると、軽蔑に満ちた表情で言うのだ。
「ニシムロさんのことじゃないんですか、このコラム」
 渡された新聞を読むと大体以下のことが書いてあった。『毎朝通勤の始発の電車で良く見かける青年が座る(これは中野駅の東西線の折り返し始発と思われる)。物をわきまえたようにスーツを着こなす若いサラリーマンだが(当時は若かった)手に必ず漫画本を持っていて(ギョッ)読みふけっている。隣に座った時にその内容を目にすると、実にナンセンスでびっくりした(バイオレンス&ギャンブルが中心だったはずだけど)。子供が読むようなバカバカしい物をいい年をした青年が読みふけっているのは見るに耐えない』
 要するにオトナがこれでは将来の日本が心配だ、と言いたいのだ。そりゃそうでしょう。今でも印象に残っている作品はそれは凄いものだったから。
 記憶の彼方に飛んでしまう前にチョット思い出しておきたいと思う。
 大雑把に言ってバイオレンス系とギャンブル系を並べてみると。

バイオレンス系

『人間凶器』
 梶原一騎原作のカラテ物。例によって大山倍達がモデルの大元烈山なる名人が率いる空心会の若き空手家、美影義人が主人公。美影は空手の才能はあるのだが、どうしようもなく卑劣で女好き。自分のことしか考えていない最低の男だ。どうも若い頃に梶原一騎の姿が投影されているようで、時代背景も昭和の30~40年代に設定してあったと思う。
 ストーリーはメチャクチャで美影はアメリカに行った後メキシコにまで逃げ出す。挙句の果てにプロレスのリングに上がり、かのミル・マスカラスと対決までしてみせる。面白かったなぁ。

『野望の王国』
 後に「美味しんぼ」でメジャーになった雁谷哲の実にグロテスクな話。暴力団の妾の子である東大生が自分の野望のために次々と人を、兄までも裏切っていく。
 敵は警察官僚・敵対ヤクザ・政治家・フィクサー・宗教教団と強大な力を持っているバケモノばかりが手を代え品を代え出てくる。身長3mの大男や剣山の上で寝る怪物が、製鉄所を爆破したり自衛隊の一部を動員したり。絵もまた不気味で薄気味悪かった。
 主人公はこれでもかこれでもかと危機に陥り次々と人が死ぬ。脇役も怪しげなのばかりで名前がまた強烈。赤寺・銅魔(間だったかな)・大神楽とか。
 どうオチをつけるのかハラハラしながら読んでいたが、主人公がドンになって東大を卒業するところで終わり。多少肩すかしだった。

『まるごし刑事』
 現在も警察OBとして作家活動をしている北芝健の刑事物。まさか実体験ではないだろうが刑事(デカ)がステゴロで暴れまわる一話完結のバイオレンス・アクション。原作者自身も現在は道場主なので臨場感満載。特に相手がヤクザの場合の隠語の使い方がホンモノっぽかった。
 いくら何でもこうはいかないだろう的な話だったが、愛読していた時に作者が警察OBだとは知らなかった。
 出てくる女性の絵が太目だったところがミョーに色っぽい。
 ところで原作者の経歴には疑問が出ていることも申し添えておく。警察学校時代は正義感の強い人だったのは事実らしい。

ギャンブル系

『麻雀新撰組』
 一話完結の麻雀漫画で、かの阿佐田哲也が主催し麻雀雑誌にコラムを載せた麻雀新撰組をベースに劇画作家の小池一夫が書いた。オリジナルの小説からのネタもあるにはあるが実際は全く別の作品である。
 阿佐田哲也を思わせる局長と一見堅気風オヤジに学生っぽい若手のトリオで、大勝負をしたりイカサマを見破ったりする。
 タグのつけ方が秀逸だった。覚えているのは「賭博船血風録」とか「牌帰る」「麻雀未亡人クラブ」だったかな。
 こういうのを読むと自分が強くなったような錯覚を起こし、実際に卓を囲んでは負けていたものだった。

『パチンカー人別帳』
 「釘師サブやん」や「包丁人味平」の原作者でパチンコメーカー西陣に勤務経験のある牛次郎の原作。流れのパチプロが秘打を引っ提げて全国を巡る一話完結型の漫画。
 内容は大体女性がイザコザに巻き込まれているところに出くわしてその女性を助け、何故かパチンコで勝負になるという荒唐無稽なストーリー。
 その主人公の名前と繰り出す秘打が(もちろんあり得ない技だったが)何といったか記憶にない。たしか巻枝?だったか、技の方は「ナントカ走り」とか「カントカ落し」だったか。

 他に少年誌系があって、これは・・・・イヤ、やめておこう。

 こんなものばかり読んでいれば人間はこんなになってしまうのですぞ、お若い方々。

『職業としての小説家』 読後感

酷な出題


「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」

Categories:遠い光景

▲TOPへ戻る

厳選動画のご紹介

SMCはこれからの人達を応援します。
様々な才能を動画にアップするNEXTYLEと提携して紹介しています。

松上一平
中川龍太郎
福井利佐