ザ・ウェイト 本歌取り
2020 NOV 1 7:07:42 am by 西 牟呂雄
あの『イージー・ライダ』でデニス・ホッパーとピーター・フォンダがアリゾナの雄大な自然の中、改造バイクで走り抜けているシーンに流れる美しい曲の題名は『重荷』。演奏しているザ・バンドがホークスだった頃からのメンバーであるロビー・ロバートソンの作品である。
このウェイトという題名を『重荷』としなければならないのは、この歌詞全体に聖書からの引用がちりばめられているからと言われていた。そしてこれは最近知ったのだが、その引用は「へブライ人への手紙12章1-2節」からだそうだ。
『凡ての重荷と纏へる罪とを除(の)け、忍耐をもて我らの前に置かれたる馳場をはしり、信仰の導師また之を全うする者なるイエスを仰ぎ見るべし。』
この原文の Weight が重荷とされた。
聖書の翻訳については明治以来それぞれの宗派のこともあって長い歴史があり、凝ったルールが存在する。the whine of locusts ときたらセミでもサバクトビバッタでもなく『蝗(いなご)』と訳さなければならない、とか(旧約聖書出エジプト記)。
ともあれ、乾いたサウンドがバイク・シーンに良く合って有名になった。
因みに作者のロビーは、カナダ人だが父親はユダヤ系のプロ・ギャンブラー、母親は先住民モホーク族で厳しい少年時代を過ごした天才ギタリストだ。モホーク族とは例のモヒカン刈りをしていたインディアンである。
検索していたら何とグレイトフル・デッドのバージョンがあった。
これを聞いていてフト思ったのだが、これはアメリカ人にとっての演歌なのではないか。
それでは日本の演歌の歌詞にしたらどうだろう。八代亜紀だったらこんな感じかな。
場末の酒場に フラリと入る
哀れな女と 視線が刺さった
どうして分かるのさ 捨てられたって
これから 誰を たよればいいのさ
*もう戻れない 居場所もない
行く当てもない
愛が 愛が 愛が 砕け散った夜(散った夜)
尽くしたつもりが 伝わってなくて
甘えたつもりが 疎まれたなんて
ついてく はずが 呼ばれずにいた
何が あたしを 遠ざけたの
*
酔って泣いても あの人は来ない
メールもラインも 既読にならない
そっと 呼んでも 返事は来ない
なんだ、簡単じゃないか。この調子でやれば何番でもいけそうだる。やってみてわかったが、どうも演歌にハマる単語がある。
例えば『涙』『別れ』『寂しい』『流れる』『北』『雪』『雨』『男』『道』『海』『風』といった言葉が入っているとできるのではないか。北島三郎でやってみると。
別れ 涙を 振り捨てて
北へ 北へと 流れて 来た
行き場を 失った 風の街に
男が わびしく たどり着く
* 雪の降る 暗い海
当てのない
道を 道を 道を求めて(求めて)
ハマりすぎて怖い。1番で止めます。
「ソナー・メンバーズ・クラブのHPは ソナー・メンバーズ・クラブ
をクリックして下さい。」
Categories:本歌取り