Sonar Members Club No.36

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15年振りの邂逅

2018 JAN 17 19:19:20 pm by 西室 建

 とある休日に銀座に出ることがあって、お気に入りのお弁当屋さんのショーウィンドウを覗いていた。ここのお赤飯弁当が好きで今日の晩飯にしようかな、と迷っていたのだ。
「ニシムーロ サン!(ム にアクセント)」
 何だ?誰かが呼んだのか。
 振り向いて驚いた。旧知のアメリカ人が立っていた、実に15年振りくらいだった。
「What are you doing here?」
 思わずハグしてしまった(相手もオッサンだけど)。
 隣には物凄い美人を連れていて奥さんだと紹介された。奥さんは初めての来日、日本はとても素晴らしいと目を輝かせていた。

 この男イランからアメリカへの移民なのだ。知り合ったのはシリコン・バレーでしばらく仕事の付き合いがあった。小柄だが物凄いゴツい体。それもそのはずレスリングの選手としての訪米がきっかけでアメリカの大学を卒業した。
 一応イスラムだとは言うものの、すでにアメリカ人として酒くらいは平気で飲む。あの頃はイラン系だということでの苦労もしていた。
 当時彼がやっていた事務所を訪ねた、共同経営しているのはインド人と韓国系の三人という、グローバルの塊のような職場だった。そして面白い事にインド人は日本留学経験者で日本語が達者。韓国系ロバートは三世で完全にアメリカ人になっていた。
 実は知り合った順番を正確にいうとインド人が最初で、フィリピンの国内空港のスモーキング・ルームで日本語で話しかけられた。彼にこのイラン人を紹介され、この後シンガポールで韓国系ローバートとバッタリ会うことになる。
 シリコン・バレー界隈は今でもこのような人の流れになっているのだろうが、僕はその後すっかりご無沙汰になってしまった。

 奥さんのことでビックリしたことがある。てっきりイスラムだと思ったら違う。何教となのか(ヅロスタリアンと聞えた)分からず聞き返すとファイア・レリジョンと解説してくれて分かった。ペルシャのゾロアスター教と教えられたやつだ。へぇ、まだいたのかと感心した。
 だから奥さんは目の大きな彫の深い顔立ちにチャドルもターバンも纏っていない。そういえばインドのタタ財閥を形成しているパールシー族もペルシャ系で、未だにゾロアスター教だと聞いた。遺骸を鳥に啄ばませているのだろうか。
「これからミキモトに行くのよ」
 と言ったから
「そりゃテリブルだ。いくらでも高いパールがおいてあるぞ」
「オー、ノウ」
 又、会おうと硬い握手をして別れた。
 お互いの行動パターンを考えると、彼と銀座の街角でバッタリ会うのは天文学的確率ではないだろうか。連絡先も交わさなかったし今更仕事で繋がる事もない。リユニオンの機会も無いだろうから残りの人生で再会することは無いと思うと、感慨深いモノがある。
 しかし僕はこういう経験を少なからずしていて、去年これまた何年も会っていない知り合い(日本人の旧友と元同僚)に海外の空港でバッタリ会った。これも相当偶然に近い出会いにも拘らず、ロクに連絡は取っていないし向こうからも来ない。

 一期一会とはそういうものさ。縁が有ったらまた会える、とタカをくくる。それも僕らしいか。

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Categories:遠い光景

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