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阿修羅像の内面

2023 NOV 19 21:21:50 pm by 西 牟呂雄

 奈良興福寺の国宝阿修羅像について、多くの識者が様々に論評している。僕も実際に見たが、虚空を見つめる少年の目に射すくめられるような思いがしたことを鮮明に覚えている。三面六臂の均整のとれた姿は繊細と力強さを同時に蓄えていて僕などの言語化能力では手に余る。

 ところで思うのだが、あれは正面から見る像なのだろうか。もちろんそれが最もポピュラーだろうが、せっかく顔も3つあるのだから、横からも後ろからも鑑賞に耐えられるのではなかろうか、部屋の真ん中に置いていろんな角度から見た方が面白いとも考える。
 そう思って画像を探してみるとあるにはあって、微妙に表情が違っているではないか。おそらく多くの解釈が為されているであろうが、読んでしまうと先入観に捕らわれるので一切見ないでじっと眺めまわしてみる。
 向かって左は『怒り』正面は『決意』右側は『懊悩』と見た、どうかな。
 ついでに言うと、一般的には少年の姿とされているようだが、むしろ美少女か両性具有者にも見えてくる。
 もともと古代インドでは生命生気の善神だったが、その後帝釈天と死闘を繰り返す悪鬼にされ、さらに仏教に取り込まれて仏法守護の八部衆に加えられた。
 筆者は最近インドが業務のフィールドであるが、南インドの性的放埓と一般のヒンドゥー教徒の性犯罪の多さにはあきれることが多い。形而上の縛りが多すぎるので、返って形而下のグチャグチャが増幅されているのではないかと思えるほどなのだ。LGBT法案などというドーデモいい話など吹っ飛んでしまう。
 そのインドの神様が善玉になったり悪玉になったりするのだからもう何でも来いの存在でいいのじゃないか。ついでに言えば大麻などは南東部では合法で、麻薬に関しても個人でやっている限りでは警察も取り締まらない。一応禁止はされているらしいが、宗教行事で大麻を使う習慣まで有るとか。大麻を混ぜ込んだお菓子もバング・ラッシーとして売られている(筆者はやってませんよ!)。

後ろから

 話が飛びすぎたが、探してみたらレプリカだが後ろからの写真を見つけた。やはりシルエットは女性的である。いずれにせよ阿修羅の様々なイメージ・チェンジは別にして、この像の制作者の意図は両性を飛び越えている。
 三面六臂の造形とその表情には作者の込めらえた思いがオーラのように放たれていて、見る者はそのオーラに照らされながら自分の内なるサムシングを昇華させる。
 今、この前期高齢者である僕を照らしているのは『自由』のオーラか。
 あんまりふざけてると阿修羅様に叩き直される!

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Categories:言葉

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