Sonar Members Club No.36

月別: 2015年1月

サンフランシスコ・ベイ・ブルースが聞こえる 月光の誓い (196X年 小学校編)

2015 JAN 12 16:16:17 pm by 西 牟呂雄

 年末は何かと気ぜわしい、というのはオトナの言うことで、僕達小学生には何の関係もない。
 ある日、元彦があわてて寄ってきた。
 「ちょっとこい。」
 「何だよ。」
 「ここじゃマズイ。いいから来い。」
 やけに深刻な顔をした元彦は、僕を屋上に引っ張ってきた。
「連絡に使っていた場所が撤去されるらしい。」
 「エーッ、どうしたんだ。」
 「きょう集会やろうと思って連絡の紙をはさもうと行ったら入れないんだ。」
 「エーッ、なんかの工事が始まるのかな。」
 「わかんない。。」
 「でさー。ともかく今日集会するからさ。オレは何とかCに伝えるからお前Dに言っといて。」
 「わかった。」
 教室に帰って授業中に、ノートの端っこに『秘密の場所に入れないらしい。今日集会がある。』と書いて、見えるように机の真ん中に押し出した。出井さんは特に反応をしなかったが、例によってニコニコしていた。
 授業が終わって帰りに電車に乗って次ぎの駅に行った。ところで国電で一駅行くのも小学生にとっては大冒険だから新しい隠れ家に集会場所が変わってから前のように毎日というわけにもいかなくなった。おかげで伊賀の影丸がどうなったか筋は分らなくなるし困ったもんだ。
 例のビルの屋上に行くと声がする。もうみんな来ていたみたいだ。『よう。』と声をかけながら扉をあけた。すると、元彦がウクレレを弾いて見せていた。
 「どうしたんだ。買ったのか?」
 「兄貴の友達がくれたんだよ。兄貴にギター教えてくれって頼んだら、お前は手が小さいから、小学生のうちはウクレレで練習しろって友達からもらってきてくれたんだ。」
 「へー。それでお前弾けるのかよ。」
 「できるわけないだろ。だから練習してんだ。」
 奴はギターの教本を持っていて、『コード』なるものを練習しているらしかった。
 「それってなんだ?」
 ポローンと弾いて見せて、「コードって言って、伴奏するときに鳴らす和音だな。」
 「あの、牧真二がやってるやつか。『あーーああやんなっちゃった』ってやつ。」
 「バカ、そんなんじゃない!」
 僕の悪ふざけに元幸は機嫌が悪くなってしまった。そしておもむろにズンチャカズンチャカとリズムを刻みながら歌いだした。英語だ!なにを言ってるのかさっぱり分らないが、明るく軽快な歌に思わず体が反応する。何だか知らないが最後の繰り返しのところで、『サンフラン・シスコ・ベイ』と言っているのが分った。
 「お前すげーなー。英語歌えるのか。」
 「兄貴に教えてもらったんだ。レコードの歌詞カードにふり仮名ふってもらって覚えた。」
 「ヘー。お前のにいちゃん英語喋れんの?」
 「お前はどうしてそう世間ばなれしてるんだ。聞いてて覚えたんだよ。」
 「ところでA。なんていう歌なの?」
 「うん。アメリカでヒットした『サンフランシスコ・ベイ・ブルース』ッていうんだ。」
 「ふーん。何かかっこいいな。」
 「オレにも教えてくれよ。そのサンスランシスコなんとか。」
 「ウクレレもやらせろよ。」
 「ところで連絡場所はもう入れない。どうも人が入り込んでいたのが分かって立ち入り禁止になったようだ。」
「これからどうする?」
「しょうがないな。BとDは隣同士だからそこを司令塔にして前みたいにメモを渡すことになるな。」
「バレるなよ。よし、誓いの言葉だ。」

 僕達は奴の言うフオーク・ソングなるものにすっかり夢中になった。
 帰ったあとから、僕はものすごくウクレレが欲しくてほしくて堪らなくなった。
 翌日も、その又次の日も欲しくて堪らず、とうとう母さんにねだった。勿論『ダメ』だの『すぐ飽きるくせに』だの散々言われたが、何が何でも引き下がらなかった。そしてついに日曜になって父さんに自分で言って、ヨシとなったら買っていいまでにこぎつけた。父さんに言うと『まぁいいだろう。大事にしろよ。』といい一緒に買いに来てくれた。バンザーイ!
 買ったらこんどは見せびらかしたくてどうしようもなくなった。早速集会をしようと思って、ハタと気がついた。どうやって連絡しよう。この前に決めておけば良いものを何にも決めてない。どうしよう。とりあえず出井さんに、前やったみたいにノートの端っこに『今日集会やろうと思うけど』と書いて机のあいだに置いてみた。出井さんは相変わらずマイペース。見たのか見ないのかわかんない。
 突如ヤマダンの大声!
 「コラー、原部ー。何ノートもとらずにキョロキョロしてる!」
 「・・・・。」
 あわててノートをたぐりよせた。まずい。
 イライラしながら3時間目が終わってしまった。あーあ、どうしよう、と思いながら給食を食べて、昼休みに3角ベースで遊んで、5時間目の理科の時間になった。教科書を広げると、何かが挟まってる。紙だ。そっと拡げると、丁寧な字で、『私はピアノ。Cもダメだって。Aと直接話して。』と書いてあった。いったいいつ連絡して、いつこの紙を入れたのだろう。全く得体の知れない人だ。
 ともあれ、僕はウクレレを誰かに見て欲しくてしょうがないので、元彦を放課後つかまえた。
 「オイオイ、今日行こうぜ。秘密基地に。」
 「エーッ、皆ダメだって言う話じゃないか。」
 「二人で行こうよ。」
 「だってまだマガジン、サンデー発売してないじゃないか。」
 「オレ見せたいものがあるんだよ。」
 「知ってるよ。ウクレレ買ったんだろ。」
 「エッ!何で知ってるの?」
 「お前もう、見れば分るよ。ニカニカして。最初に気がついたのCだぞ。」
 「へー。分るのか。」
 「ああ。それで見せて脅かそうと思ったろ?」
 「うん。」
 「バレてるのにわざわざ集会やってもしょうがないだろう。それで皆のらなかったんだよ。」
 「なーンダ。つまんねーの。」
 二人で寒い道を歩きながらしゃべった。今度弾き方を教えてくれ、と頼んで分かれた。
 一人になって、つくづく残念な気持ちと、一体どうしてバレたのか不思議だった。そういえば茂はこのごろ、オトナっぽくなった、と言うより子供っぽくなくなってきていた。まあ、立派になったとかしっかりした、というわけではないが僕達とバカらしいことでギャアギャア騒ぐことをしなくなってきていた。元彦にしたって、時々小難しいことを言ったりしている。この前ビックリしたのは、例のフオークソングを英語の歌詞を、かたっぱしから覚えているのだ。意味も少しづつ分るらしいくて『自由』とか『平和』とか口走る。世間ではやる歌謡曲をバカにしているようなのだ。そして二人とも半ズボンははかないで、ジーンズなるデニムの生地の長ズボンを愛用し出した。僕も欲しくなったのは言うまでもないが、まだ買ってもらってない。出井さんはもう僕達より背が高くなっていて、タダでさえ落ち着いているのに最近は、ニコニコはしてるが益々透き通ってくるみたいで忍法「木の葉隠れ」を使う女影丸、といった風情だ。
 冬の日は暮れるのが早い。ウチにつくころには夕日が落ち掛けていた。寒い。
 晩御飯を食べて、大好きなウルトラマンに夢中になって宿題をしたら、フト寂しくなった。今年が終わって三学期になって、その後は卒業しちゃうじゃないか。そうだ、僕達は来年になったら詰襟の制服を着て中学に通うのだ。皆少しオトナに近づく。それなのに僕ときた日には、相変わらずウルトラマンに夢中になって怪獣の名前を暗記していていいのだろうか。
 翌日、授業中に気がつくと国語の教科書に又、紙が挟まっていた。『きょうはみんな都合がいいので久しぶりに集会をします。』と書いてあった。きょうは大丈夫なのか、とOKと書いて出井さんにそっとわたした。しかし本当に女影丸だ。
 授業が終わると、、一目散に家に帰り、買っていた二週分の少年サンデーとウクレレを持って飛びだした。早くマガジンが読みたい。隣町の駅を降りて歩き出してハッとした。茂だ。見たこともない女の子と話をしている。僕は思わず身を隠してしまった。こっそり見ていると、何やら手渡しされている。茂は僕達に見せたこともないような優しい顔で、少し話して歩き出した。僕は後ろから追いすがって、声をかけた。
 「茂!みーたーぞー。」
 てっきりうろたえるものと思っていたら拍子抜けの反応だった。
 「ああ、Bか。見たってあの子のことか?」
 時々この駅で茂を見ていたF小の女の子が手紙をくれたのだそうだ。
 「まあ、あんまりかわいくもないからテキトーに話してやってるんだけどな。
 何なんだこの落ち着きは。そして隠れ家に着くと、隠し場所に鍵がない。屋上の扉をあけるとAとDがもういた。そしたらCはいきなり切り出した。
 「実は叔父さんの事務所がここを立ち退くんだ。だからここを使えるのは今年一杯だ。」
 「へー。」「ふーん。」「やっぱりね。」
 「それでもってトシが明けリャ3学期で、直ぐ卒業だろ。その後はG中学の新入生ってわけだ。中学に行きゃークラブ活動もするだろうし1年坊主は色々忙しい。だからこういった集まりもできなくなるだろ。この際『ランブル団』の集まりはひとまず解散ってことにしないか。」
 「それがね、この前分ったんだけどあたしの住所は学区が違っててG中じゃないらしいのよ。さっきAと話したんだけど山手側の林君とか飯田くんやあたしはJ中なのよ。」
 「あっそうか。オレ達浜側がG中か。別々になるんだな。」
 「Dはクラブに入るのか?」
 「新聞部があれば入りたいけど、ほんとはテニス部に入りたいな。」
 「そうなりゃ敵同士になるな。オレはサッカーやろうと思ってんだ。」
 僕は何も口が挟めなかった。皆オトナみたいな話ぶりじゃないか。『中学にいってバラバラになっても又集まろうよ。』と言いたかったんだけど、どうもそういうことを言う雰囲気じゃなさそうなのだ。クラブに入るなんて何も考えたことがなかった。運動部でしごかれるのもやだし、文化部で何かの研究なんかするガラじゃない。ランブル団は無くなってしまうとすることもないし、やっぱり地味な文化部にでもいれてもらうのかなー。
 「B,なにボーっとしてんだ。やるだろ?」
 「ヘッ?なに?」
 「やあね。聞いてなかったの?せっかくBもウクレレ買ったんだからフオークソング・グループつくって卒業式のあとの謝恩会で歌おうって言ったのよ。あたしアコーデオン弾くし、Cもウクレレ買うって。」
 「ああ。いいよ。・・・・うん、やろうよ。で、なにやるの。」
 「もちろん、サンフランシスコ・ベイ・ブルース!」
 もう秘密のランブル団ではなく、フオーク・グループ『アルフアベッツ』になった僕達は、誰にもはばからずに一緒に電車に乗って話しながら帰った。ヤマダンに頼んで音楽室で練習させてもらうことも決まった。
 そして、2学期が終わった。終業式があって教室にもどって、あしたから冬休みだ。ウチに持って帰らないとならない体操服とか、机に入れっぱなしの定規とか雑記帳をガサガサしまっているとランドセルが重くなった。
 「ねえ、B。練習行こうよ。今年最後だよ。」
 「アッ。今行く。・・・・そうか、来年は席替えだからとなりじゃなくなるね。」
 「そうね。Bの隣はおもしろかったな。」
 気がつくと教室に二人だった。ランブル団の秘密を守るためにロクにしゃべったこともなかったことにフと気がついて、思い切って聞いてみた。
 「そうだ。前から聞こうと思ってたけど、Dってどんな人が好きなの?」
 「アハハハ、なによいきなり。あたしはそういうの良くわかんないのよ。皆好きだよ。」
 「そうか。将来はどんなことになるんだろうな。」
 「分るわけないでしょ。Bこそ何になりたいのよ。」
 「エッ。考えたことないよ。海がすきだから、船に乗って外国にでもいきたいかなー。」
 「アハハハ、Bらしいね。じゃ、あたしは月にでも行くか。」
 「宇宙飛行士にでもなるの?」
 「何いってんの、そんなんじゃない。かぐや姫かな。」
 こいつ一体何者なんだ。
 「月に行って人から見えないところで人を観察して。人にも干渉しない。・・・・満月見たらあたしを思い出して。」
 ウーム。何を言ってるのか良くわからない。その時声がかかった、だ。
 「おーい。早くしろ。きょうは最終日だから音楽室使えるのあと30分だぞ。」
 
エピローグ 40年後のクラス会
 「それにしてもあの演奏はヒドかったなー。」
 「ワハハ。演奏より歌だろ。何たって英語なんかわかんないんだからな。カタカナで覚えたんだぞ。」
 「意味も何にもわかんなくて良く歌ったぜ。実際。」
 「あんときゃお前、ウクレレなんか買うのいやだって言って音楽室のウッド・ベースをやったんだよな。」
 「結局まともな音を出したのは出井のアコーデオンだけだもん。」
 「どうせならハワイアンバンドでもやりゃよかったんだな。業界でいうワイアンだな。」
 「でもねえ。楽しかったわよ。先生も喜んでくれたし。」
 「ヤマダンが死んでもう10年か。」
 「オレ達も50を超えるはずだよ。」
 「全くなあ。よくも死なないでここまで来たよ。」
 「ロクなガキじゃなかったのになあ。ヤマダンも苦労してたよ。」
 「そう言えば、今思い出した。出井は月にいくみたいなこと言ってたな。」
 「オレも何か聞いた覚えがある。狼女みたいに満月に甦るって言ったぞ。」
 「オレにはかぐや姫って言ったぞ。」
 「オホホホホホ。全部あたり。でその通りになった。」
 「エッ。」「エッ。」「エッ。」
 「今日は久ぶりに下界に来たの。又すぐ帰ろうか、と。」
 「また訳わからんことを・・・・。」
 「アハハ、女の正体はなかなか分らないのよ。皆奥様がどこの住人だと思ってるの?」
 「・・・・。」「・・・・。」「・・・・。」
 こっこいつ、何者なんだ。

サンフランシスコ・ベイ・ブルースが聞こえる 人呼んで「少年ランブル団」 (196X年 小学校編)

サンフランシスコ・ベイ・ブルースが聞こえる 僕らの秘密基地 (196X年 小学校編)

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サンフランシスコ・ベイ・ブルースが聞こえる 僕らの秘密基地 (196X年 小学校編)

2015 JAN 10 8:08:58 am by 西 牟呂雄

 秘密集会でマンガの廻し読みをし終わった頃、茂が聞いてきた。
 「おい、B。出井が好きなのは誰だか分かったのか。」
 「分るわけないだろ。聞きようがネー。」
 「だから教えたろ。名前出して顔色を伺うんだよ。」
 「ああ。やってみたけどだめだった。」
 「赤くなったりしなかったのか。一体誰を出した。」
 「AとC。お前ら。」「バカ!」「バカ!」
 「少しは物を考えろ。現実味ないじゃないか。野球の上手い佐藤とか、勉強のできる鈴木とか。」
 「だけど、違うと思うぜ。あいつ変わってるんだ。」
 「変わってる?クソ真面目じゃないの。」
 「あれはワザとやってんだよ。目立つことが大嫌いみたいだよ。」
 「オレわかる。だってこないだの国語の試験、何にも書いてないんだぜ。あんなにできるのに。」
 「できるけど逆を行った?不思議な人だな。」
 「それで職員室行きか。Bは何でだ?一緒に呼ばれてたじゃん。」
 「オレは出井さんをよく監視するようにヤマダンに頼まれたんだ。」
 「バカ!」「バカ!」
 それから誓いの言葉を3人で唱和して、帰ろうと講堂の裏手を回った。
 驚いたことに、下校する出井さんにバッタリ会ってしまった。
 「アラ、A、B、C、お揃いで集会の帰り?」
 僕達は引きつった。特に僕はあわてた。とたんに他の二人はくってかかった。
 「お前喋ったのか。」「この裏切り者。」「ちっちがう!オレは喋ってない。」
 「アハハ、原部君じゃないわよ。大体君達『これ、秘密文書』とか『今日集会』とか大声で喋ってもうバレバレよ。Aだってその文書とか落としてたし、Cだって『僕らは少年ランブル団』とか口ずさんでるし、アタシもうおかしくて。誓いの言葉だって気をつけないと講堂のなかで聞こえるよ。」
 「あのー、他の人にもバレてんの?。」
 茂が小さい声で言った。
 「大丈夫。今のところ、誰も知らないよ。」
 「あのー、今日の集会で何を喋ってたか、は知ってる?」
 元彦も消えるような声で聞いた。
 「知らないわよ。今日は生徒会だもの。」
 アー良かった。誰が好きなのか、なんて喋ってたのがバレたらコトだった。
 「あのー、秘密にしといてくれないかなー。」
 僕はかすれる声で聞いた。
 「あたしは誰にも言わないわよ。但し、条件がある。」
 「なんでしょう。条件とは。」
 出井さんはニコニコしながら、少し考えるように、小首を傾げていたが、悪戯っぽい目で言った。
 「そうね。あたしも入れて頂戴。」「エッ。」「エッ。」「エッ。」
 「そうしたらあたしは出井だから、D だね。」
 こっこいつ、一体何者なんだ。
 僕達はそのままゾロゾロと秘密の場所に出井さんを案内した。
 「ここかー。まあ、一般には分らないだろうけど、用務員のおじさんは知ってるだろうね。」
 「エッ。」「エッ。」「エッ。」
 何だか僕達はさっきから「エッ。」しか言っていないような気がするが。
 「そのうちこの漫画は根こそぎやられるから、持って帰ったほうがいいよ。それで、この場所は連絡の秘密文書を隠して置く場所に使うんだね。ほら、そこの隅っこに挟んでおくとかさ。そうすれば君達みたいに人前で『ほら、これ。』とか言いながら渡すようなことをしないですむわよ。それで集会をする場所は学校の外に又作るのよ。毎回変えるとかね。」
 ウーム。いちいちもっともなことだ。
 「ところで、ランブル団ってどういう意味なの?」
 「うん、それはだな。」
 やっと、出番が来たっ、といった感じで元彦が始めた。僕には何だかよく分らんが、彼女は『フーン。なるほどね。』等と相槌を打っていた。
 「それじゃ、オレ達がいつもやってる『誓いのことば』も覚えてもらおうか。」
 多少ペースを取り戻した茂も胸をそらせた。ところが、
 「ああ、それなら知ってるわよ。『ひとつ、ランブル団のことは、』ってやつでしょ。」
 「エッ。」「エッ。」「エッ。」また振り出しだ。
 「言ったじゃない。あんな大声でやってるんだもん。講堂できこえたわよ。」
 「・・・・他に誰か聞いたの?」
 「下級生がいて、『あれは何ですか?』って聞かれたから、ボーイ・スカウトだって言っといた。」
 どうにも僕達より上手のようだ。
 「いいこと。これからは秘密結社なんだから、普段はそう仲良く話さないの。秘密の場所にも一緒に来たりしない。連絡を取りたい人が、1時間目の休み時間に秘密文書をそこに挟んでおくの。で2時間目がA、3時間目がB、昼休みがC、5時間目が私。帰りがけに挟んだ人が持ってかえるのよ。それぞれ秘密の集会所を探してきて。それで完璧よ。」
 さあ大変だ。学校以外に秘密に集まれる場所なんて見当もつかない。つかないが、1週間以内に探してみることになってしまった。
 そして1週間後が来た。この1週間というもの、何しろ普段は仲良く話さないことにしたので休み時間に遊ぶ相手に困った。場所探しはもっと困った。同じ町の中にそんなに秘密の場所があるわけがないじゃないか。シケた公園も、パッとしない神社の境内も、地元の奴にとっては秘密でも何でもない。一度は川の土手をウロウロして、同じようにチョロチョロしていた元彦と会ってしまいお互い、困ってんだろうなー、という顔をしながら、『よう。』と言ってすれ違った。
 更に、僕の場合は出井さんが隣だ。まあ、仲良く話すこともないのだが、話さないようにするというのも実に難しいもんだ。いきおい、敬語調になって変なことおびただしい。『それを見せて頂けませんか。』『今、ヤマダンは何と言ったのですか。』と言った具合だ。

 ところで3時間目の休み時間が僕の番だったので、例の場所に行ってみた。すると秘密文書が挟んであった。開いてみると、『Cより全員に告ぐ。集会所の候補地が見つかった。本日4時半に駅改札口に集合。』とあった。なにやらワクワクするじゃないか。
 教室に帰ると、何食わぬ顔で出井さんの隣に座った。相変わらずニコニコしている。彼女は5時間目の休み時間に行くのだからまだ知らない。しかし言う訳にもいかず。
 そして、5時間目の休み時間から帰ってきたが、表情一つ変えずにすましていた。唯者じゃない。
 4時半きっかりに改札に行った。一度家に帰ると出にくいので、図書室で時間をつぶしたのだが、他の3人は一度ウチかえったみたいで、ランドセルを背負っているのは僕だけだった。
 もったいをつけた茂が黙ったままそっと元彦に紙を渡した。元彦は真剣な表情でそれを見ると僕にアゴをしゃくって渡した。『CからA、B、Dへ。切符を買って次のXX駅で降りろ。Aは3両目、Bは4両目、Dは5両目に乗れ。Dはこの秘密文書を捨てろ。』と書いてあった。僕も無言で出井さんに渡すと、彼女は小さく頷いて切符売り場に行った。僕達も無言のまま、買いに行き、無言のまま改札で切符を切ってもらい、無言のままホームに上がり、バラバラになって電車を待ち、そして別々の車両にのって、次ぎの駅で降りた。その後も無言のまま1列になって茂の後をついていった。何か大真面目でこんなことをやっているのがバカバカしいとは一瞬思ったが、誰かが一言でも言ったら笑い出してブチこわしになるに決まっているから黙っていた。
 とある、くすんだビルの中に入っていくではないか。あやしい!3階建ての屋上まで上ると、何と鍵を出して鉄の扉を開けた。屋上は日当たりの悪いビルの谷間で、シケた鉢植えがぞんざいにあって雨よけのシートが掛けてある一角があった。
 「どうだ。ここなら絶対に分らないだろう。」
 茂が胸をそらせて言った。本当にそうだ。よくこんな所を。さすがだが一体どうやって。
 「ここはこの下の事務所をおじさんが借りているんだけど、何かもうすぐ立ち退きなんだってよ。だから暫くこの屋上は勝手に使っていいらしいんだ。だから鍵もオレが持ってる。どこかに隠しておけば皆自由に使えるってわけだ。アッ、それから知ってると思うけどこの学区はF小の地域だ。あそこはやばいからくれぐれもウロウロしたりしてもめごとには気をつけろよ。特にD、お前目立つからな。F小は女子が凶暴なんで有名だから。」
 実際に暮らして見なければ分らないだろうが、下町ではよそ者を入れない。山の手のように駅のまわりの商店街を抜けると家ばかりならば人の集まる場所は限られるが、下町の方は人の住んでる所と人が働く所と変なおっさんやアンチャンがウロウロする所が一緒だ。とにかくゴチャゴチャしているし、その変なおっさんやアンチャンの中には見るからにヤバイのもたくさんいる。そういうのがよく他所から遊びに来ているのにインネンをつけて子供はそれをしょっちゅう見ているから小学生でも縄張り意識が強く仲も悪い。茂はそれを注意しているのだ。
 ともあれいつまであるのか分らないが秘密の隠れ家ができた。この日の誓いの言葉は一段と声がそろっていた。

サンフランシスコ・ベイ・ブルースが聞こえる 人呼んで「少年ランブル団」 (196X年 小学校編)

サンフランシスコ・ベイ・ブルースが聞こえる 月光の誓い (196X年 小学校編)


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サンフランシスコ・ベイ・ブルースが聞こえる 人呼んで「少年ランブル団」 (196X年 小学校編)

2015 JAN 9 20:20:02 pm by 西 牟呂雄

 『AからB,Cへ。本日の集会は例の場所で行う。Bはサンデーを、Cはマガジンを持参。』
 授業中に紙が回ってきた。なにやら怪しげだが、僕達は秘密組織「ミッドナイト・ランブラーズ」略して、少年ランブル団、を結成していてA,B,Cはそのコード・ネームだ。
 Aこと英(はなぶさ)元彦。Bは僕、原部譲(バラベゆずる)。Cが椎野茂(しいのしげる)の3人だ。
 名前は物知りの元彦がつけた。ウエスト・サイド・ストーリーとか言う映画に、アメリカのチンピラがグループにナントカズと名前をつけていて、それを字幕ではナントカ団、とかいてあるのだそうだ。元幸や茂にはアニキがいて、流行の音楽やら映画のことを良く知っていて教えてくれる。自分は見てなさそうだけど。
 ミッドナイト・ランブラーズ、少年ランブル団、どういう意味かは忘れた。そして何を今日するのか、というと3人で集まって僕達の間では欠かせない、少年サンデーと少年マガジンに少年キングを回し読みするのだ。ランブル団が結成されてから、それまでそれぞれ別に買っていたのがいかにももったいないので順番を決めて買い、回し読みをすることにしていた。教室は漫画禁止なのでどこかに隠しておく必要があり、それが ”例の場所” である。校内だが言うわけにはいかない、秘密の場所だ。6時間目が終わって集まった。
 「誰にも見られてないな。」
 「もちろんだ。」「抜かりない。」
 「よし。」
『伊賀の影丸』『おそ松くん』。暫く皆で読んでウチに帰る。帰り際に大将格のCが、
 「それじゃあ、誓いの言葉だ。(間を取って)ひとつ、ランブル団のことは決して口外しない。他人の前でコード・ネームで呼ばない。」
 「(僕)ふたつ。ランブル団は仲間を決して見捨てない。敵に当たるときは全員力をあわせる。」
 「(A)ランブル団は秘密をつくらない。互いにウソはつかない。」
 「(全員で)裏切ったら除名する。生涯裏切り者として地獄に堕ちよ。」
 「よし。」「よし。」「よし。」
 何がよし、だか分からないが、僕達は大変満足した。
 6年2組は、うるさいクラスだ。授業中もザワザワしていてよく先生が怒る。そして、一番うるさいのは実は僕だ。とにかくなぜか授業が退屈で退屈で窓の外を見たり、いたずら書きをしたり、それでもダメで隣をつついておしゃべりしてしまう。なにしろ二人机でくっついているんだから、初めはいやがっていてもしまいにひきずり込まれているうちに、どんな真面目な奴も僕の隣に座るとみんな成績がガタ落ちになってしまうらしい。一度は母さんがPTAの会合でこっぴどくやられたらしく、その分僕はこっぴどくが10個つくくらい怒られた。
 それはどうでもよいのだが、ある日突然席替えがあった。そして結果からいうととんでもないことに、クラスで一番美人でかつ秀才の女の子の隣にさせられてしまった。そしてランブル団は、元彦(A)は小柄なので前の方、茂(C)は左の後ろの方。僕は大好きな窓側から遠く離された廊下際の後ろ、と三角形のようにバラバラにされてしまった。もう授業中に秘密指令を廻すことができなくなった。何しろそれまではA・B・Cの順番で縦に並んでいて(それでコード・ネームを決めた)だからこそ誰にも知られずにランブル団のメモをやり取りできたのだ。
 その隣になった子、出井聡子さんは学級委員で先生の信頼厚く、運動神経抜群でかつクラスで一番かわいい。全く僕とは正反対のやつなのだ。今まであまりしゃべったこともない。まいったなあ。
 新しい席では僕は警戒していたのだが、出井さんの方は少しも変わらずニコニコしてくれたので安心した。『しゃべりかけないで。』なんて言われたらどうしよう、と思っていたのだ。それどころか、随分親切なので驚いた。僕は宿題を忘れるのもしょっちゅうだが、そんなもんじゃなくて定規やコンパスとか、もっとひどいときは教科書とか筆箱とか致命的な忘れ物もする。翌日に早速算数の教科書をやっちまった。しかも授業が始まってから気がついたので、どうにもならない。するとうろたえていたのに気がついた出井さんが、教科書をスッと机の真ん中に押し出してくれた。えっといった感じで目があったが、相変わらずニコニコしていて、僕はドキッとして、お礼も言わなかった。
 席が離れたので、秘密文書は授業中には廻せない。休み時間に3人で喋っている時に『おいこれ秘密文書。』といって渡すのだが、3人で喋りながら渡してその場で見るのはあんまり秘密っぽくない。口で言っても同じじゃないだろうか。
 秘密の場所で漫画を交換した後、突然元彦が
 「おい、B,新しいおとなりさんはどんなだ。」
 と切り出した。
 「どうって、出井のこと?」
 「そうだよ。」
 「よくわかんない。真面目な子だよ。」
 「そんなこと見りゃわかる。何か他にないのか。趣味のこととか。」
 「分かるわけないだろ。口きいてもらえないんだから。話なら、C、お前時々話してるじゃん。」
 「そりゃ話すけど、オレあいつ苦手だ。」
 「そうだろうな。相手は学級委員だもんな。」
 「オレ達のことなんかバカにしてるだろうな。」
 「だってされてもしょうがないよ。バカなことばかりしてるんだもん。お呼びでない。」
 「これまった失礼いたしました。」
 「そうだ!出井が誰のことが好きか、B、お前調べろよ。」
 「シエーッ。無理だよそんなこと。口もきいてないのに。」
 「だーかーらー、そこは頭を使え。何となく名前をだして表情を見るとか。」
 「オレ無理だよ。お前等のほうがいいよ。」
 「だーめ。」「だーめ。」
 結局調べるってことになったみたいだが、最後に3っつの誓いを斉唱して帰った。
 さて、頭を使えといわれてもどうすりゃいいのか分からない。わからないまま1週間が過ぎた。その間多少わかったことは、まず出井さんはピアノを習っていてものすごく上手い。実は僕も習っていたのだけれど、バイエル、ハノンを終えた時にやめた。出井さんはその上を更に行っていて、レッスンのあるらしい日にピースを広げたりしていた。曲名は知らないが音符の数のベラボーに多い曲だった。女子の間でも人気者というか、輪の中心的存在なのだけれど、あまり喋るわけじゃない。周りがケラケラしているときに、フッとニコニコ顔が消えていく時があって、何か本人が消えていってしまうような感じがした。
 ここ東京南部は区はでかいが、大きく分けて『浜』側と『山』側と言っている。高級住宅街と下町が隣合っていて、我等がE小学校はちょうどその真ん中だ。生徒は両方から来ていて、だからごった煮みたいに色んな奴がいる。僕達は言うまでもないが。
 ある日、抜き打ちの小テストがあった。ウチの担任の山田先生は自分で問題をつくって時々突然テストをする。この日は国語だった。漢字の書き取り、読み、その後文章題があった。教科書に出ていた物語が載っていて、主人公がどうしたこうした、を20字以内で書け、とか『それは』はなにを指すのか、といった問題があった。僕は鉛筆の持ち方が変なので、もちろん字はめちゃくちゃヘタだが、左手をこめかみに当てて肘をつき、かぶさるように字を書くクセがある。そうしているうちにその物語の続きがどんなもんか、が頭に浮かんできた。なにやら、面白いストーリーが浮かんでニタニタしているうち、フッと眠くなった、というか一瞬眠ってしまったか。
 「はい。お終い。鉛筆を置いて。後ろから前に出して。」
 同時に、キーンコーンーカーンコーン、とチャイムがなった。しまった!何にも書いてない!あー、全く!そしてテストが後ろから集められてきたので、ヤレヤレと自分の分を出した。その時、隣の出井さんの答案が見えた。さぞよくできてるんだろうな、と思ってチラと目をやると、何と!何にも書いてないじゃないか。息を飲んで目を上げると、ニコニコしている出井さんと目が合った。
 「よく寝てたみたいじゃない。」
 こっ、こいつ。一体何者なんだ。
 早速山田先生が、『原部と出井、放課後ちょっと職員室に。』とお達しがあった。事情を知らないみんなが囃し立てた。違うんだってば。六時間目が終わって、ノコノコ職員室に行った。いや、正確に言えば、出井さんについていった。山田先生、通称ヤマダンは怒っていた。
 「お前達、二人そろってどうしたんだ。何か理由があるなら言ってみろ。」
 先生がこっちを見るので、僕が口火を切らざるを得ない。
 「あのー、ですね。えー、文章を読んでいるうちに、フト、フトですよ、この主人公が5年後にどうな
るのかを考えたらですね、そのー、止まんなくなっちゃって、あのー時間がなくなりまして、」
 「バカモン!時間がない、じゃなくて寝てたじゃないか。」
 「エッ、先生見てたんですか。じゃどうして起こしてくれなかったんですか。」
 「バカ。試験だぞ、全く。集中しろ!出井はどうした。」
 「わたしはこの作家、ナントカカントカは認めてないんです。」
 「ホオー。どういうところがだい。」
 こっ、こいつ。一体何者なんだ。先生と出井さんは訳のわからない話をして、最後は先生が折れ『まあとにかく試験は真面目にやるもんだぞ。』といって終わった。出井さんは僕を見て、
 「原部君、おもしろいね。」
 とニコニコして言った。訳わかんないのはそっちの方だよ、と僕は心のなかでつぶやいた。      

つづく

サンフランシスコ・ベイ・ブルースが聞こえる 僕らの秘密基地 (196X年 小学校編)

サンフランシスコ・ベイ・ブルースが聞こえる 月光の誓い (196X年 小学校編)


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2015年には起こりそうもないこと (今年の予言 Ⅱ)

2015 JAN 7 19:19:54 pm by 西 牟呂雄

 学者の予想なんか当たりっこない。僕は学者でもないから、どうせ外れるのなら大きく外してみたい。

1.イスラム国に地上軍投入
  いくつかのテロ事件が起こり、イスラム国が犯行声明を出した。議会共和党の猛烈な突き上げを食ってオバマ大統領も重い腰を上げる。ただ一人でやる気は無く、NATOに捻じ込むがウクライナでそれどころではないと断られる。渋々海兵隊を派遣するが、イスラエルと日本にネチネチと派兵を要請する。安部総理は頑として拒否し、結局海兵隊を投入する。戦局好転せずヤケになった海兵隊はメチャクチャな戦闘を展開して国際問題になる。

2.北朝鮮瓦解はじまり中朝国境緊張
  アメリカのサイバー攻撃が効いてきてもうどうにもならなくなる。今更中国に泣きつく訳にもいかず38度線近くに部隊を展開し緊張感を醸し出そうとするが、これが逆効果で人民解放軍を鴨緑江北岸に集結させてしまう。しかし地元朝鮮族の反発を招きデモが頻発するようになる。イスラム教過激派が潜入したらしく、人民解放軍への自爆テロが頻発する。

3.EU分裂 ウクライナ分裂
  ギリシャ危機再燃。ドイツに食い尽くされたと周りが言い出してメルケルは孤立する。財政再建のできそうもないギリシャはEUから除名勧告され自主的に脱退する。これより全く有難味のなかったドイツ以外はバラバラになりイギリスは国民投票をやってオサラバ。ドイツでも『こんなもん何の役に立つのか』の声が上がり、メルケルは親露派のレッテルを貼られて支持率急落、EUは瓦解に向かう。その勢いでウクライナ東部は独立機運が高まるが、プーチン大統領は寸止めを選択。高度な自治権を得て事実上の連邦制となる。

4.自公連立解消 新与党連立
  長々と集団的自衛権を論じていて安倍総理はプッツンする。当面のネックであった公明党と大喧嘩になって、この点でだけでいいからと連立を維新の党、次世代の党に持ちかける。維新の党は江田が入閣をチラつかされあっさり陥落。次世代は復党扱いで決着。ドサクサまぎれに亀井静香も復党する。小沢には誰も声を掛けない。橋下は『裏切りだよ、オマエ。』と怒り狂うがそれだけ。一方出番のない石破・小渕の面々を中心に派閥対立は強くなってくる。野田佳彦・前原の動きとリンクする可能性が高まる。

5.中国デフォルト
  ついに始まった。前半は不動産・株式の暴落。投機マンションの値下がりで損を蒙った民衆が地方政府を占拠するまでの事態になる。とうとう香港の地下マーケットで秘かに米国債が売り出されて暴落を招く。国債の金利がハネあがって慌てたアメリカは猛烈な圧力をかけて米中関係は悪化。共産党幹部の資産海外移転が露骨になってきて、ついに香港に戒厳令が敷かれる。富豪の資産も凍結される。人民解放軍が随所に顔を出し始めて不穏な空気が全土を覆う。

6.朴大統領辞任
  上記中国の大コケで頼りきっていた韓国ダウン。失政続きの朴大統領に批判が集中してしまう。大統領は強烈な反日キャンペーンを始めアメリカをあきれ返られる。下位財閥に金融危機が起こり倒産してしまうと国内が騒然とし始める。こうなるとヒステリックな反大統領デモが頻発して収拾がつかなくなり朴大統領は国民の前に姿を現さなくなって支持は更に低下し、自分もヒステリーになってしまう。そして辞任するが記者会見にも姿を現さない。韓国自体が度を失って平昌オリンピックどころではない。親日派が公然と姿を現す。

7.日本・台湾・インド・インドネシア・トルコ経済同盟
  半島・大陸の大混乱をよそに、どこ吹く風の安部総理は口にこそ出さなかったが、通称『親日同盟』が結成される。日本では大東亜共栄圏の復活という無意味なキャンペーンをマスコミ・野党が張るが、安部総理の支持率は全く落ちない。無論日米同盟は堅持されるが、アメリカの不信は頂点に達する。オーストラリアがバスに乗り遅れるなとばかりに新同盟にアプローチする。特筆すべきはインドは核保有国だという点である。イスラム教ヒンドゥー教仏教神道を網羅しているところに注目。

8.北方領土返還
  来日したプーチン大統領が共同記者会見で北方4島の帰属が日本であることを高らかに宣言する。宣言はするが、在日ロシア人の特権は物凄く手厚くしてありほぼ無税。また毎年1000億円を20年間インフラ投資することになっていて、総連と民団が反発するが向かい風にはなりゃしない。暫定国境をエトロフ島内に設定する。又、このエリアは非武装地帯となる。西武その他日本資本、ロシアマフィアが大規模な観光開発の投資計画を発表。他にも密約があるらしいが表には出ない。

9.アメリカがゼロ金利をやめる
  某月某日イェレン議長が突如出口戦略を発表し、1$=180円までドル高が進む。先般の中国の米国債の投げ売りもあって金利を上げざるを得ないのが本当の所。ちなみにこの間も原油価格は下がり続けシェール・オイル業者の倒産が起きる。アメリカの好景気に急ブレーキがかかる。オバマ大統領は打つ手なし。暴動が頻発。イスラム国への海兵隊投入に抗議のテロが起こる。

10.日本有頂天になる
  好景気に沸き立つようになる。株価こそ1万8千円程度だが巷には好況間が出てくる。上記為替で中国から撤退してくる企業が目白押し、失業率は3%を切る。地方の景気は一気に上がる。今までリストラされ稼働の低かった現場は地方にあるからだ。原発は無論再開されエネルギー・コストは世界1安くなる。ついに原子力潜水艦を建造しはじめる。北方領土が解決した為、石垣島・隠岐の島に陸上自衛隊西部方面隊が大規模に増強され駐屯する。まさか核武装しないだろうな、とアメリカが猫なで声で寄ってくる。空母いずもからF35改が離発着できるようにする。

当たりっこないので、そこんとこヨロシク。

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本年振り返り (2014年末オレ編)

2015年も・・少し早いか (今月のテーマ 振り返り)

謹賀新年 松の内 (今年の予言)

2015 JAN 6 19:19:45 pm by 西 牟呂雄

 2015年である。元日は何故か4時頃に二日酔いで目覚めた。大晦日に親父・私・息子で飲み過ぎたからだ。この三代で年末に喜寿庵にいることが多いのだが、以前は総合格闘技だのアントニオ猪木だののイヴェントばかり見て飲んでいたので、息子は長い間紅白歌合戦を知らなかったそうだ、初めて聞いた。
 そして初日の出を見て思った、さあ今年はどんな年かなぁと。

 去年振り返りで書いた時は ① ウクライナ問題 ② イスラム国 ③ 韓国経済 がキーになると見立てた。これすべて日本に様々なファンクションを通じて効いてくるはずだ。
 ウクライナ問題によって制裁を受けたロシアは原油価格の下落とともに相当こたえている。すると必然的に中国に引き寄せられてしまい、これは極東エリアのバランスに影を落とす。両国は日本の抱える領土問題の当事者なのだ。G7の一員でもあり、制裁側に居る日本としてはスリ寄って行くわけにはいかないところで、楔を打ち込みたいのだが。

 そしてイスラム国。筆者の予測ではジャーナリストを殺された欧米は今年前半には地上軍による介入をせざるを得ないと睨んでいる。反対勢力への武器供与で失敗し続けるのではどうにもならず、サウジ(スンニ派)イラン(シーア派)そして何といってもイスラエルがそれぞれ思惑を振りかざす。何しろテロが国是のような傭兵集団のようなものを認めることなど有り得ない。このときアメリカが我が国に何を要望するのか。折しも集団的自衛権の閣議決定をした後である。

 一方先に日本との首脳会談を中国にやられてしまい、セウォル号事故、産経新聞記者起訴、ナッツリターンと続き、慰安婦外交ですでに国際的にもうんざりされてきた韓国が経済的にガタがきたらどうなる。SMCメンバーの記述にでてくるような良質のパートナーには妙な言いがかりをしてくるような輩はいないが、個人的に両国関係が今より良くなるとは考えにくい。
 それよりもおかしくなって中国に頼り切った頃、北の例の国が本当に暴発してしまわないか。その時弾けるのは38度線よりもむしろ鴨緑江あたりじゃないか。
 ところでヘイト・スピーチは『橋下・桜井』会談や、又反ヘイトスピーチ集団『レイシストしばき隊』などを見るにつけ一般人の賛同が得られているとも見えない。ただ韓国が毎日やっている反日デモ・スピーチに比べればどうってことは無いように思える。

 これら外交を我が安倍政権は巧みに、強かに、重層的にやらなければならない。国内的にも集団的自衛権の法整備をガンガンやっていくことになる。信念を温存しつつ微妙なシグナルをキャッチして欲しい。

 経済は好転すると考えている。10-12の数字は前回の足を引っ張る要因の一つ、在庫の返り(通常の在庫状況になること、前回は需要減を見込んで消費財を減産していて数字が下がった)が効いてそこそこになる。国債は下がらない。国債のマイナス金利というのは金を払ってでも安全な資産が欲しい、ということと解釈しているが、日銀が買いまくるので市場にあまり出なくなったからか。
 賃金も上がる。本気で設備投資するのも今年から。
 一方で格差なんか絶対に縮まらない。社会格差というのはアメリカや中国にあるもので、日本にはない。少し前はフリーターなどと言われていた層が開き直っているだけで、政治で解決出来る話では無い。資本主義を健全に運用すれば競争優位は常に内在するので理論的に常にあるに決まっている。『入れ替え』が可能かどうか、その自由度を確保することが『政治』のやることで、格差があるとか無いとか議論したって無駄だ。
 又、大企業ばかりに風が吹き中小企業は恩恵を受けていないとことさらに言われる。しかし中小企業はほとんどがオーナー企業でそもそも成長なんかする必要はない。細く・長く続けることが経営の目標だろう(革新的経営者は別にして)。従って意思決定や業績評価のスピードがどうしても上がらないので、恩恵を直ぐに受けられるわけがない。一人でやっていれば話は別だが。

 しかし祝日はもう少し減らしてはどうか。今年は春と秋に5連休が2回もある。ホワイト・カラーの生産性は落ちる一方だろう。そもそも祝日だらけになったのは、経済的に勝てなくなったアメリカが押し付けた陰謀だったりして。高度経済成長の時は5月もせいぜい飛び石連休だったし、土曜日も午前中まで働いていた(私は経験してないが)。休みだらけになってバブルが弾け、デフレとなったという相関はないだろうか。識者の見解を伺いたいものだ。

 念の為私はマジメに働きますよ(今年こそ)。

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山の魔神

2015 JAN 4 13:13:08 pm by 西 牟呂雄

 「山の神」と言われていた東洋大学時代の柏原選手は強烈な印象が残っている。毎年毎年襷を受けると鬼神の快走で先行ランナーが何人いようがヒタヒタと追いつき、チラリと一瞥するとサッと抜いてしまう。後は無人の境地を行くが如く記録と共に芦ノ湖に現れる。スゲー選手だと感心した。
 ところがやはり箱根駅伝は学生スポーツで、かの柏原選手も実業団入りした後はケガにも悩まされあのスーパースターの輝きには至らない。マラソンともなるとこれは更に難しい。あの角張った、その割にかわいげのある表情の彼にはもっと活躍してほしいものだ。
 と、一日の実業団駅伝を見た後の箱根で更に凄い選手が出現した。青山学院の5区を走った神野選手である。華奢な体に少年のような表情のランナーがアッと言う間に箱根路を駆け上がってしまった。コースは少し距離が変わっているが天晴れ堂々の新記録だ。
 名前も神野(かみの)だから、もう山の神どころではない。山の魔神とでもいうのだろうか。
 この箱根駅伝もなかなかドラマチックな競技で駆け引きあり、アクシデントあり。今回も小田原でトップの襷を受けた駒沢の馬場選手が低体温症で芦ノ湖に来た頃フラフラになり、手をついたり歩いたり、大声援でやっとゴールできた。この時後ろから監督の指示が飛んでいたが『よーし、大丈夫だ。立ち上がって。行けるぞ。そーだ。ゆーっくり行け。』と言ったような。降りて表情とか見なくていいんだろうか。あのまま泡でも吹いて死んでしまったら何かの過失致死で罪に問われないのか。
 駅伝は日本独特の競技だそうで、一説によると早飛脚の伝統があったため日本でのみ行われる。翻訳しようが無くて海外でもリレーでは通用せず『EKIDEN』。フォア・ザ・チームの精神とか襷をを繋ぐ名誉といった競技成績とはチョット関係ないような要素が要求されている。我々はそれを見て選手との一体感を感じているのかも知れない。競っている選手や大きく遅れた選手が中継所で次のランナーを見たりすると猛烈にスパートを掛けてほぼ例外なく倒れこんで歩けなくなる、そして観客はそれに大きく拍手する。話は変わるが帝国陸軍の用語に『最後の5分間』というのがあって、敵の攻撃に耐えに耐えて最後の5分に突貫突撃することを意味している。大陸の戦闘の初期には功を奏して連戦連勝だった頃に言われたそうだ。その『最後の5分』の語感はあの選手の倒れこみを連想させる(こういう話に不愉快になる人もいるだろうが)。ともあれ日本的な競技である、というオチです。来年ももう一度あの『山の大魔神』見たいものだ。

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還暦ボーダーが行く

2015 JAN 2 18:18:24 pm by 西 牟呂雄

 あけましておめでとう御座います。喜寿庵で正月を迎えました。
 ボーダーといっても国境のことじゃありません。冬場はゴルフなんぞやる気にもなれないので、もっぱらスノボーをやっているのです。
 しかし年末に還暦となり、今回ゲレンデに立った時は一瞬不安に成りました。ボードとスキーはまったく違う体重移動、スキーは左右にボードは前後にといった感じ。40代でボードに転向した僕はいつまでたっても初心者の域を出ません。気を抜くと後ろに倒れる、これ実際に危ない。脳震盪を起こします。一度ひどくやってその後30分くらい意識を失くしたことがあります。ところが不思議なことにその間も滑っていたらしい。一緒にいた息子の証言です。
 それで還暦初滑りはというと、まぁこんなもんでしょう、といった感じで何とかはなるもんですな。しかし斜面やスピードに対する恐怖感は去年よりも確実に増した。といっても去年は母親の入院騒ぎで一回だけですから一昨年よりも、ですね。
 ボードというのは僕程度の腕では直滑降が一番難しい。膝や足首が硬くなっていてどうしても左右にブレる。急斜面になるとヒョロヒョロという具合になってしまう。
 それでもゲレンデを何回か滑って、最後にもう一回とばかりにリフト(四人乗り)に腰かけると隣に来た若者が
「どこからですか?」
と聞いてくる。面倒だな、ナンパでもしてろよと思いましたが、そこはまぁまぁ。
「東京だけど(本当は喜寿庵から20分)。」
「あっそうなんですか。オレ始めたばっかなんスけど上手そうですね。」
サングラスをして怪しげな普段着みたいなスタジアム・コートだからヴェテランに見えたのでしょうか、それより年が分からないと誤解が生じるかも知れない、とサングラスを外して、
「オレ還暦だよ。」
と教えてあげました。さすがにビックリしていましたね。いい奴そうでした。

 ところでこのゲレンデは人工のスキー場です。鳴沢村という安倍総理の別荘のあるあたりで、冬は寒過ぎて来ないようですが夏に良くゴルフをしているのはこの辺です。又、夏にゲレンデを使って初めのころの富士ロックをやったのもここです。もう少し先に上九一色村があって、かつてはオウムのサティアンがあったところですね。余談ですがあのサリン事件があった日にもここでスキーをやっていて、帰りに近くでラーメンを食べた時にニュースで見たのです。思わず『こんなことやったのはオウムだオウム。』等と喋っていましたが、今から考えるとヤバい場所でした。
 又、鳴沢村には魔王天神社という不気味な名前の神社があって、今は寂れていますが戦前に大変参拝者が多かったそうです。実は徴兵除けに随分と御利益があったと言われていました。このあたりの若者はあまり甲種合格しなかったのです。その実態は地元に伝わる話ですと、この辺りは生産性が低く息子を兵隊に取られると労働力が無くなって困るため、子供が生まれると出生届を出し忘れていたフリをして4~5才多くサバ読みしてしまい、徴兵検査の時は体が小さくてハネられたからだ、と言うのですが・・・。しかしそれが噂になって徴兵除けの霊験あらたかと参拝者が大勢来た、本当かなあ。

 昨年『来年はもう少しマトモなモノを書きます。』などと宣言して新年早々又下らないことを書いてしまった。
 雪が舞いそうだったのでサッサと帰りましたが、富士山の綺麗だったこと。

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