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台湾旅情 Ⅳ

2019 SEP 12 5:05:27 am by 西室 建

 インドから帰ってきて直ぐに台湾行きとなった。我ながら忙しい話でヤレヤレとアタッシュケースの中身だけ入れ換えて羽田から飛んだ。だがツラツラ思うに、台湾は20年ぶりだ。時の経つのは早い。
 発展目覚しいと聞く懐かしい台北の街はどうなっているか。はたまた毎晩飲んだくれていた林森北路のネオンは相変わらず賑わっているか。
 僕の知り合いは民進党支持者ばかりなのだが、チョット前まで蔡英文総統の評判は主に経済政策への不満からずいぶん悪かった。
 台湾は各国の大陸への遠慮から国際的には孤立しており、海峡を挟んで振り子のように振れざるを得ない。また、大陸が大発展してしまったためその恩恵にも浴す面もあって舵取りの難しい立場だ。失礼かもしれないが、その苦闘ぶりはいじらしくさえ見えたものだった。
 足繁く通っていた20年前でもそうだったが、その後国民党の総裁馬英九の時代を経て、『ひまわり学生運動』が起こったりと一筋縄ではいかない。
 ちなみに馬英九自身は香港生まれの客家で、客家語も自在なうえ、ハーバード留学経験もあって英語もこなす。地元の連中に言わせると、台湾語(ミンナン語)は聞けたモンじゃないというが。
 その香港の騒乱は台湾人にとって人事ではない、香港が二制度の機能を失えば次はオレ達の番だ、と非常な関心を持って見ている。次の総統選挙はもう来年であるが、香港情勢が攪乱要因となって様相がガラリと変わったようだ。孫正義の盟友でシャープを買収したテリー・ゴーは予備選挙で負けた。
 今日ではかなり洗練されてきているが、かつてはかなり荒っぽい選挙で、あの李登輝さんがシャツの腹部をめくりあげて『鉄砲なんか恐くないぞ』とアジったり、陳水扁さんが銃撃されたこともあった(軽症だった)。
 そしてアメリカ型とでもいうのか、テレビで物凄いネガティヴ・キャンペーンの応酬が繰り広げられる。人懐っこい台湾の古い友人達も闘志を燃やしていた(民進党候補の応援に)。
 話の中で、冗談ともつかないさる悪口があった。某候補のバックについている財界人達は青幇(チンパン)の流れを組むグループで、大陸ともズブズブの関係であり、こんなのが当選したら我々(台湾人)はおろか日本まで食い荒らされてしまうぞ、と言うのだ。ホンマかいな。
 話はエスカレートして、報道される韓国の文大統領は北に取り込まれてどうしようもない、かつては反共の仲間だった台湾には目もくれない、そのうち高麗連邦になって韓国はなくなってしまうだろう、その時は日本はどうするのだ、更に、今更ホワイト国から外されたとジタバタするのはみっともない、我々(台湾)は初めからホワイト国でも何でもないのに日本との関係がおかしくなったことはない、と来た。これ答えようがない。
 いやこの辺で切り上げないとこっちの口も滑りそうでヒヤヒヤした。

三次会の屋台周辺

 閑話休題。
 僕は以前来ていた時には観光をまるでしていない。僅かにウライという町で温泉に入ったぐらいだろうか。
 今回の旅は偶然にもフライトまで半日何もない日が取れた。
 前日、街中の店で3次会までやってしまい、昼まで寝てもまだ時間が余ったので故宮博物館を訪ねた。実は過去2回来たのだが、一度目は陶器を時代順に駆け足で見てヘトヘトになり、二度目は書画でそれをやって力尽きた。
 なにしろ70万もの所蔵品があり、未だに展示されたこともない物も多いと聞いた。清朝の秘蔵品をかっぱらってきた際にドサクサと持ち去って来た訳だから正式な目録のない物が多く、整理できていないと言われている。紫禁城に秘蔵されていた宝物は100万件を超えるが、上海・南京と租界した後に台湾にたどり着いた分である。途中で盗まれたものが時々オークションに出て何十億円の値がつけられるらしい。
 事前に検索すると、青磁の逸品『汝窯青磁無紋水仙盆』が展示されているのでそいつを見に行った。
 あった!

汝窯青磁無紋水仙盆

 かの乾隆帝が愛し、「子犬のえさ入れ」「猫のえさ入れ」等と詩に書きつけたとか言われる美しい物がサッと置かれていて撮影自由、まさかレプリカではあるまいな。
 普通の青磁のように釉(うわぐすり)のヒビ(貫入・かんにゅう)が無く、温かさえ感じられる光沢を放っていた。
 歴代皇帝は優れて文化の保護者でもあったのだ。

快雪時晴帖

 もう一つ、書の展示に書聖、王義之の表示があったので覗いたが、こちらは拓本の写真だった。現物は全て失われており、残っているのは拓本や写しだけなのだ。だから遠慮なくこれもパチリ。
 2点見ただけで満足して帰る、これも贅沢ではないかな。オットそろそろフライトだ。

 外に出ると、何とも珍しい事に青空の下、大粒のスコールが降っている。写真で雨粒の大きさが分かるだろうか。
 暫く続き、しかし雷なぞは聞こえず、大きな水溜りが出来るほど降った。
 台北が別れを惜しんでくれたのだろうか。


 
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