Sonar Members Club No.36

カテゴリー: 潮目が変わった

ニュー・アブノーマルな日々

2020 JUN 25 10:10:55 am by 西 牟呂雄

 しばらく振りの都は少しづつ活気を取り戻そうと佇んでいるようだった。報道は盛り場がどうしたこうしたという映像を流しているが、お店は死活問題だろう。そして景気はそれどころじゃないことはみんな知ってる。こんな時は何をやっても早急な回復なんか絶対にない。当面消滅した消費は戻らない。
 政府ができるのは個人に行き渡るように金をバラまいて暫くジッとしていてもらうしか無い。そうやってサバイヴしてもらうのが精一杯で、そういう意味では補正予算を組んだ内容は割りによくできていると思った。
 考えても見てほしい。世界中でメチャクチャになった。
 本当に明日をも知れない人たちを助けてやれ、並みの連中は暮らしぶりをシフトダウンして我慢を重ね、我慢の果てに何とかなった日に飲みまくれ。
 それで僕が何をするかといえば、まあ仕事をするべく社会復帰したが今一つ手ごたえはない。
 緊急事態宣言中は罹らないことが世のため人のためと考えたのだが、このニュー・ノーマルの環境下では総退却後の反転攻勢が見えてこない。そもそも敵は見えない。

 我々保守派はもっぱら他国を批判したがるが、足元の国難に対して有効なスローガンを打ち出せていない。何か発言しようとすると『欲しがりません 勝つまでは』風になってしまい、これでは今日の世論を引き付けられない。3.11の時にあれだけの行動が取れたクレバーな国民だからそういった言葉は必要ない。しかしテキトーな英語じゃねぇ、ウィズ・コロナ?
 するとやはり足元を見据えて、底力を蓄えるべく雌伏。時を待ち気概を養う。そして・・・。
 山から上京してみたものの手探りが続く。通勤の地下鉄はそこそこ込み合ってきたが大したことにはなっていない。マスク装着率100%。喫煙所が混んでいて三密というより集・近・閉(しゅうきんぺい)。結局週の半分はまた山に戻ってしまった。

 僕は常に何かの生産活動に少しは触れていたいという意識が強い。そこでささやかなネイチャー・ファームの面倒をみている。テレ・ワークの傍らチョットだけ手を加えられるのが実に効率がいい。こういうのは半農半テレと言うのだろうか。

ピッコロ君

 ところで先般ヒョッコリ先生のペットだと判明したピッコロ君とマリリンちゃんが異常に農作業に興味を示している。

喜寿庵で植樹


 本当は国籍不明の子供だった気がするがまぁいいや。どうやって入って来るのか分からないのだが、今日も僕が土寄せをしたり水をやっているところに現れた。

マリリンちゃん

 『やあ、ピッコロ君おはよう』
と声をかけると嬉しそうに寄ってくる。一目で分かるアイリッシュセッターだ。そしてその後からマリリンちゃんが物凄いスピードで駆けて来た。そもそも放し飼いは禁止されているのだが、ヒョコリ先生が散歩の途中で面倒になって『ここで遊んで来なさい』と放つのだろうか。しばらく手伝っているのか遊んでいるのか、いつの間にか帰って行く。ピッコロ君は猟犬だから見ているだけだが、マリリンちゃんは僕が土寄せをしているとその横で猛烈な勢いで土を掘ってしまう。そしてそこに鼻先を突っ込んで匂いを嗅いではまた掘り進む。

スーパーにんに君

 写真から検索すると、この子はサルーキーという犬種のようだ。そして、最古の血筋だのエジプト王家のペットだのと大層なことが書いてあり、やんごとない犬なのか。しかし砂漠の犬だけあって掘るのは速くて上手い。
 僕が今年の目玉であるスーパーにんに君を収穫している横で、見よう見まねで野性化したジャガイモを掘ってしまい、できそこないが採れた。
 にんに君が立派に見えるが、一緒に写っているのは親指大のミニ・ポテトである。
 ともあれ今年の初収穫だ。

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去年失ったモノ

2020 JAN 13 4:04:33 am by 西 牟呂雄

 年が明けた。
 この年になると毎年毎年何かを失っていって、最後の時には何も残らない、と考えるようになり、それは素晴らしいことなのかな、等と思い始めている。
 その時にある言葉と出会った。
『失ったものを数えるな』
 これはギランバレー症候群と戦いながらパラリンピックを目指す、久保大樹さんをNEXTYLEの仲間が動画アップした際に教えてもらった言葉である、参った。
 そこでクヨクヨ失ったと嘆くより、失ってこそ輝きを増すような見方をしてみようと振り返ってみた。念のため、昨年あった深刻な自然災害や経済問題・国際問題は除く。

日本ハム ファイターズのCS進出
 出だしはまずまずだったのだが、他球団に比べて著しく手抜きの補強と、交流戦後の栗山監督のマヌケ采配によって一時は最下位にまでなってしまった。
 そうなると私のフォースも全然通じず、シーズンは終わった。更に来季への戦略的補強も大して聞こえてこない。年末の極秘オーナー会議では中島オーナーから高らかにホークスのリーグ優勝宣言がでる有様である。
 だが待てよ。昨シーズンは清宮と上沢を怪我で欠いていたではないか。そして来季には吉田輝星も仕上がってくるはずだ。台湾大王も2年目の期待は高まる。
 要するに中田を引っ込めてセットアッパーとストッパーを固定すればいいのではないのか。去年はショート・スターターなどという妙な戦術にこだわって金子と加藤の使い方を間違えたのだ。
 どうせリーグ優勝はホークスに決まっているから、ロッテと西武をマークして2位を狙えばいい。栗山監督によーく言っておこう。

喜寿庵の裏木戸
 固い栗の門柱に竹を巡らせた裏木戸が、門柱が腐ってきて台風で倒壊しかけた。その風でハナミズキの庭木も倒れる。
 あの裏木戸はもっぱら普段の出入り口だから感慨深いものがあったが、思い切ってコンクリート製の門に変えた(中は空洞)。そして『令和門』と名付け竣工式に御祓いの祈りを捧げた(私一人で)。
 すると関係者から『せっかくの景観が台無しだ』『風情も何も無い』と悪評サクサクであった。
 しかし砂利を敷いて、ついでに除草剤をタンマリふりかけると何と、あれほど苦痛だった雑草取りの必要がなくなった。

プジョー407
 すでにブログで明らかにしてあるが、愛車を手放した(廃車にした)。美しいエムブレムを見るたびに思わずニンマリとする車だったが実に足回りが悪かった。
 バカ高い車検。釘踏みによる珍しいパンク。△△△△違反2回。〇〇無視1回。以前の車の時の◎◎◎◎違反、といった不幸の連鎖による◇◇停止のため府中行。
 そして挙句の果てに白煙を上げながら私の元を去って行った、アーメン。
 しかし、そこにペガサスのように舞い降りてきたのが『石畳の鉄の馬』ことシトロエンC5だ。
 何とこの車、いくら飛ばしても絶対に捕まらない。おまけに夜中の信号も赤になるとちゃんと止まる。ひょっとして既にAIが搭載されているのではないだろうか。

大腸の一部
 大腸を10~15cm、数年寄生していた癌とともに切った。癌は確かに死に至る内臓の機能不全と壊死を呼ぶ。従って切除手術は仕方の無いことである。
 しかしながら『在る』ものが『無くなる』ことによるダメージは、特に消化器の末端の大腸ではその後の生活に様々な支障をきたす。単に腸が短くなるのではない。その他の内臓が心地よく配置されていた空間の位置関係が、ビミョーにずれるのである。恐らく指を詰めたヤーサンのグリップが全く違うようなものだろう。
 お医者様は『そのうち大腸の方も慣れてくるんですよ』等と余裕だが、切った大腸がまた伸びてくるわけがない。詰めた指が生えてこないのと一緒だ。
 すると私は大腸の一部の代わりに、命と不自由な体を手に入れたことになる。

意識
 これは上記手術の2日後に起きた。せん妄というヤツである。記憶は全く無い。恐ろしいことに体に入っていたチューヴと点滴針を引き抜き、血が飛び散った。床が血だらけになったシーンだけが写真のように記憶の片隅に残っている。
 せん妄、検索すると恐ろしいことが書いてある。「時間・場所・人に対する認識が低下。支離滅裂な言葉を発して・・。壁の絵が動き出すなどの幻覚や、点滴が蛇にみえるなどの錯覚・妄想が現れる」
「アルツハイマー病など脳疾患の存在もせん妄の発症に関わる」
 要するにボケ・モウロクの一種だ。
 私はそのボケ・モウロクはもっと楽しい桃源郷に遊ぶ心地かと思っていたが、あんなに面白くも何とも無いものならやはりなりたくない。だがなったのだ。

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関東軍特種演習

2019 APR 16 1:01:58 am by 西 牟呂雄

 悪名高き泣く子も黙る関東軍が、わずか6個大隊で満鉄警備の守備隊として産声を上げたのは大正八年。それから10年も待たずに数々の暴走をしでかして、ご案内の通りの結果を迎えた。
 提題の『特種演習(特殊ではない)』は、通称『関特演』として真珠湾攻撃の直前の昭和16年7月に大動員令が下り、満鮮派遣部隊に内地からの2個師団も加えた70万人という大兵力を展開したものである。
 これは、直前にソ連に雪崩れ込んだドイツの動きに対応し、当時の陸軍が北進の意思を表した示威行動(ノモンハンの後にもかかわらず)と解釈される。帝国陸軍の長年の仮想敵国であるソ連に対し、三国同盟を締結してしまったためにせざるを得ない、従ってその後の茨の道の第一歩であった、と。
 ところが、先日上梓された文春新書『なぜ必敗の戦争を始めたのか』での陸軍参謀本部のエリート達の話では、この関特演の動員について一部の上層部以外は終わってから知った、と驚くべき証言をしていた。それどころか、この時点で陸軍中枢では支那事変でこりごりしており、参謀本部ロシア課では「うっかりするとドイツもソ連で支那における日本のような目にあうぞ」と心配する向きもあったようだ。
 従って『関特演』は北進を焦る関東軍と参謀本部上層だけで突っ走った結果と言えよう。
 尚、関東軍参謀として『関特演』の作戦に携わったのが、財界人となる瀬島龍三である(後にソ連のスパイであったことが判明)。
 海軍は米内・山本・井上のトリオは三国同盟反対を唱えてはいたが、伝統的な仮想敵国はアメリカであり、中には石川信吾大佐のようなイケイケもいた。この石川大佐は海軍きっての政治将校で、筆者は以前から海軍に於ける辻政信だと思っている。どちらも内部では不規弾(規格外の方に飛び出す弾)と呼ばれ、それでいて前線の部下の評判はいい。「この戦争を始めたのはオレだよ」とうそぶいたと複数が聞いている。
 同書の後書きで、編者の半藤一利はその石川大佐が主役となった「海軍国防政策委員会」の取材に苦労させられたことを記しているが、それぐらい海軍関係者もヤバいと秘匿したがった組織だったことが伺える。
 そして海軍も開戦半年前には「出師準備第一着作業」の着手を発動して、事実上の動員をかけているのである。この狙いはいわゆる南進で、陸軍の関特演と一対をなす海軍版と言えなくもない。
 松岡外相が三国同盟を推進しドイツに付き合うような北進を言ってみたり、、返す刀で日ソ中立条約を結び突如シンガポール攻撃を示唆したりと変幻自在、という軽業師のような外交を展開していた。
 山本五十六が三国同盟締結に対し必死に食い下がり、資材調達の面から及川海軍大臣を詰問すると『もう、勘弁してくれ』と逃げを打たれる。そこで『勘弁ですむ話か』と怒鳴ったのは有名な話。
 スッタモンダの挙句に南部仏印進駐、と物凄く忙しい。
 その中で陸軍参謀本部の殆んどはアメリカとの戦争など考えなかったと『なぜ必敗の戦争を始めたのか』では証言している。アメリカとやるのは海軍の仕事だろう、とタカを括っていたのだ。また、戦争継続の国力比較でもまるで敵わないことは分かっていた。ましてや、ロクに地図もないようなインパールへ行くだの、南の島で米海兵隊と死闘を演ずるなど作戦俎上に乗っていなかった。
 ルーズベルトは大のナチ嫌いで、その反動のせいかソ連には甘い。それどころかコミンテルンの工作も相当受けていることが明らかになって来ている上、日本に対しては人種的偏見もある。
 アメリカは油を止めた。
 陸軍エリートは南部仏印進駐で石油が止められるとは思ってもいなかったらしい。驚くべき外交センスだが、それから南の物資を当てにした戦略を練り出して慌てる。
 ここに及んでも、途中にフィリピンがあるにも係わらず対米戦闘は考慮の外。それなりに長期の戦争に耐えられる作戦を立てようとはしたようだが、太平洋は海軍の縄張りだと島嶼戦略などハナからないのだ。これでは勝てないに決まっている。
 海軍は海軍で先程の「海軍国防政策委員会」は『油が止まったら即戦争』と吹聴していたフシがある。
 近衛首相が切望していたルーズベルトとの会談はいいようにあしらわれて(この時点でルーズベルトは開戦を決めていたというのが最近の研究)総辞職。東条内閣となる。東条内閣では最早ブレーキがかかるどころではない。ターニング・ポイントは第二次近衛内閣以前で、責任を東条一人に負わせるのはいささか・・。 
 開戦に至り、いきなり真珠湾とマレー上陸作戦になる。真珠湾は秘匿作戦だったから、『なぜ必敗の戦争を始めたのか』ではまさかやるとは思わなかった、との陸軍参謀部員の発言があるが、これは少々言い訳がましいふざけた話。
 これで提題の『関特演』で満洲に集められた膨大な兵力と資材は移動せざるを得ず、物凄い金と時間を無駄にしたことになる。資材に関しては南に送れなかった物が多かっただろう。
 私は学徒出陣で仏印に終戦まで進駐した陸軍大尉だった人の話を聞いたことがある。この人は北満洲に関特演で行った部隊が遥かベトナムを通り、更に南下させられたのに立ち会った。それによると、移動距離の長さも凄いが、途中いくつもの戦闘を經驗し更に移動するという過酷さから、指揮官も兵隊も実に殺伐とした雰囲気で、今にも抜刀しそうな殺気があったと。
 
 エネルギーは今でも自給できない。半島から大陸は当分反日だろう。地政学的に言って、対米同盟強化と台湾・フィリピン・マレーシア・インドに至る自由と繁栄のカーヴを堅持していくしか道はないように見える。

 山本五十六の嘆きやいかに。陸・海軍の双方の秘密主義たるや、必敗の連携の無さである。
 ところで対米交渉に失敗した『北』の国は、まさかミサイル実験を再開しないだろうな。もっとも、わざわざ会談をしに行って妥協しない気概を見せつけたトランプはますます締め付けをしてくるだろうが。

新春架空座談会 (帝國陸海軍編)

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残暑に背を向けて Ⅱ

2018 AUG 27 21:21:52 pm by 西 牟呂雄

盛大なバーベキュー

 
 この暑さはまだ続くのか。
 どうせ暑いなら海の方がましかと半ばヤケになって行ってみればやっぱり暑い。そこへ持って来てメチャクチャな風が吹いて白波がザバザバ立っていた。とてもじゃないが沖合まで行く気がしない。
 ダブル台風が去った後の熱い南風は、セールを小さくして当てても船体が傾いでしまって舵がとりにくい。大波に乗り上げるとクルッと向きが変わってしまうから波に当てるように操船したいのだが。ほうほうの体で入港すると、漁船がたくさん避難してきた。
 他の船も同じらしくハーバーではバーベキューが始まった。無論僕達も買い込んでいたビールを提供して混じり込む。うまい。
 朝早くこのドン吹きの中を僚船は西伊豆まで行く、と出て行ったが大丈夫なんだろうか。

 ところでこの暑い中に大量のビールを消費していると、やはり体には堪える。手足のだるい感が限界に達するようで、横になっても座っても疲労感が増す。
 一瞬さっぱりするのは熱いシャワーを段々と水にしていき、あっ冷たいとなった時にサッとタオルで拭く、そのあとは酒を口にせずに昼寝をする。

ペットのワンちゃん 暑い

 提題のようにへたに『残暑に背を向けて』いると背中がまる焼けになって因幡の白ウサギよりひどいことになる。
 写真のデッキのところには別のオーナーが可愛がっているワンちゃん。日陰で一緒にウトウトする。
 朝方出港した連中はビュンビュンの向かい風の中、良く健闘したもののやはり伊豆半島は交わせずに東に接岸したと後に聞いた。

 そうこうしている内にいやでも秋の風が吹いてくるのだが、その風を感じるとき(朝が多い)はとても物悲しく、同時に日暮れの時間がどんどん早まって寂しくなるのが常だ。何と言うか濃い酒が飲みたいような、それでいて誰にも会いたくないような。
 今年は西日本の水害がひどくて復旧に不自由されている方もいらっしゃるから、誠に不謹慎であるが、夏から秋への変り目はそれこそ嵐が吹き飛ばしてくれた方がいいと思う。

不気味な火の玉か

 ところが夜半、自宅の北東の方向に恐ろしく怪しい光が出現して青ざめた。
 夜になって厚い積乱雲が幾層にも重なった中で稲妻がビカビカ光り続けているのだ。気が付いたのは夜7時だが、8時になっても9時になっても収まらない。
 まるで花火のように静かになったかと思うと火の玉が弾け、続けて稲妻が走る。よほど遠くのようで雷鳴は聞こえないから更に不気味だ。
 シロートがスマホで撮るのはむずかしく、いつ光るのか分からないままシャッターを押し続けてやっとそれらしいのが移ったが、迫力はずいぶん落ちる。
 まるで203高地に向けての28サンチ砲一斉射撃か、絨毯爆撃を見るような閃光に怖れおののいた。あの真下には大雨が降っている。きっと、空と大地が余りの暑さに頭にきて怒り狂ったのだ。
 だがその怒りの矛先を矮小なる人間に向けるのは許してほしい。そりゃ化石燃料を燃やしてCO2を増やしたかもしれないが、人類に悪意なんか無いのだから。

 太陽の活動も地球の平均気温に関係があるそうで、過去の記録からも太陽黒点の少ない時期とヨーロッパの寒冷期(テムズ川やセーヌ河がガリガリに凍った)はほぼ一致するそうだ。
 まさかとは思うが、この異常気象は某国の気象兵器じゃないだろうな。気を付けろ!次の冬はメチャクチャ寒いかもしれない。

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三島由紀夫の幻影

2017 OCT 29 14:14:34 pm by 西 牟呂雄

 

 僕は三島の小説は好きなことは好きなんだが”仰ぎ見る文学”という印象はない。
 華麗な文体に、時としてグロテスクなテーマで度胆を抜く、確かに天才ではありましょう。
 ただ高校時代に例の事件に遭遇し、そっちの衝撃は大きかった。
 最近世の中が右傾したと言われて、そんなもんなのかと思うものの三島事件は1970年だ。学生運動が起こり左派の街頭闘争は激しかったが、それに対抗するように右派も数は少ないものの盛んに闘っていた。
 三島は民間防衛組織としての楯の会を率いて、自衛隊に体験入隊したり居合や空手の稽古に打ち込んだ。左派の騒乱に自衛隊の治安出動がなされた時点でデモ隊排除の切り込み隊となる民兵を目指し、厳しいことで有名なレンジャー過程も実施した。
 しかし閉鎖的な組織というものは活動すればするほどエスカレートし、内部での議論が失われて分裂・先鋭化してしまう。三島自身もインタヴューに答えて言っている。
「隊員はオレに天皇論なんか吹っかけてこない。『わかっちょるわかっちょる』の世界なんだ」
 この勢いで決起によってクーデターを誘発し、おそらくは憲法改正までをその目標にするに至ったのではないか。
 エスカレートする所は右も左も同じで、革命をうたった連合赤軍事件で仲間を山岳ベースでリンチにしていた。時期も1971年、浅間山荘は翌年の1972年と三島事件とほぼ同時期なのだ。
 佐々淳之の著作に新宿騒乱事件の際、三島から治安維持協力の申し出があったとある。その際に『皇居の警備でもやってもらえ』という警察の対応に三島が激怒したことが記されている。
 結局自衛隊の治安出動はなく、お呼びでないとなったことであの三島事件というある意味の自殺になってしまったというのが一般の解釈だ。
 どうであろう。
 自分の年齢とともに才能が枯渇していくのを我慢できなかった、と言ったら三島ファンに怒られるかもしれない。
 どうでもいいことだが、1972年はかの矢沢永吉が率いるキャロルがバンド・デヴューした年でもある(~75年まで活動)。即ち事件の衝撃を受けつつも僕はキャロルに夢中になって、そっくりファッションで『ルシール』なるコピー・バンドをやっていたことになる。当時の忙しい世相の一端が覗けると言ったら大袈裟だろうか。一方でああいったのもワンサカいたのだ。
 ともかくあんなに頭のいい三島がその後のプログラムも何も無しに絶対成功しない行動を口実に割腹するのは、最初から死ぬ気だったのは間違いなかろう。
 改めて経緯を調べてみると、それに至る補助線となるキーパースンが二人いる。

 一人は陸上自衛隊幹部、山本舜勝一佐。陸士・陸大を出て終戦時には中野学校教官である。戦後は陸自で中野学校の後裔である陸上自衛隊調査学校(現小平学校)の創設に携わった諜報のスペシャリストである。
 三島が民兵の育成を考えている時に山本一佐と会って「都市ゲリラの専門家」と惚れ込み、事実上の指揮官とした。三島に強い影響を与え、没後の著作には多少煽っていた記述がある。
 首都騒乱に陥った場合『私の同志が率いる東部方面の特別班も呼応する。ここでついに、自衛隊主力が出動し、戒厳令状態下で首都の治安を回復する。万一、デモ隊が皇居へ侵入した場合、私が待機させた自衛隊のヘリコプターで「楯の会」会員を移動させ、機を失せず、断固阻止する』と著作にあるのだ。
 だが活動中も楯の会の行動を監視していたようで、僕はヤバいと思った防衛関係者(警察も含む)が三島に同志のフリをさせて近づけたのではないか、という仮説を持っている。

楯の会

 もう一人は楯の会を去った持丸博。
保守・民族派系の学生組織「日本学生同盟」(日学同)の理論的支柱であり、楯の会の初代学生長として選抜・指導をした。
 その理論は皇国史観の平泉澄に強く影響されており、水戸学の流れを組むものだった。持丸は水戸の進学校である水戸一高から早稲田に進んだが、高校時代に水戸学の名越時正の家に下宿しそこで学んだらしい。
 そして日学同の仲間に三島を介錯した森田必勝がいたのだ。
 持丸はその後雑誌『論争ジャーナル』の経営問題から楯の会を抜けることになったのだが、三島の落胆は非常に大きかった。そして前述の森田が学生長となって会の目指すところが変わって行ったのかもしれない。持丸は頭も切れ実務能力も高く、何よりも大人の風のある冷静な人物だったという。

 この二人は三島研究者の間では有名らしい。

 ちなみに三島自身は平泉系の皇国史観を嫌っていたとされる。というより昭和天皇に屈折した思いがあって、事件の四年前に書いた『英霊の聲』あたりから露骨におかしくなる。『天皇を殺したい』と口走ったことを聞いた証言が残されているのだ。
 それにしても作中に出てくる『などてすめろぎは人間となりたまひし』というフレーズは薄気味の悪い物で、発表時の評価も低かった。
 2・26事件の磯部浅一の獄中で書かれた呪いのような手記を読んだことが執筆の動機となったと言われているが、その手記もとても正気の人間が書いたものと思えない。更に三島はこの作品について、お筆先のように手が勝手に動いて一晩で書き上げた、と言っている。
 この磯部浅一は、事件の年の新年会でかの美輪明宏が三島に向かって『背中に何か憑いている』と言い、三島が『おお、誰の霊だ。西郷隆盛か』と応じ、違うとなると次々に人の名前を挙げていき『じゃあ磯部浅一か』と言った所で『それだ』となったと石原慎太郎が書いている。また、その十年前にも文芸評論家の奥野健男が三島とコックリさんをやって「磯部の霊が邪魔している」と呟いたのを聞いている。高名な作家がコックリさんに興じているのも面白いが、かなりアブナい話しではある。

 山本一佐の示唆、冷静な持丸の脱退、磯部の憑依、と繋ぎ合わせると何かとんでもない、あのような自殺ではなくもっと直接的なテロの狙いがあったのか、と思えてくるが書くのがはばかられる。
 楯の会は皇居内の道場で居合いの稽古をしており、日本刀をその道場に置いていた。

 来年には現天皇陛下は退位され、皇太子殿下が皇位に就かれる。退位の御意向を示されたタイミングからも憲法改正には消極的とお見受けする。
 三島だったら退位問題をどう考えただろうか。
 おそらく生前退位など絶対に認めなかったろう。その場合は・・・・。

昭和45年11月25日

昭和45年11月25日 (その後)

三島由紀夫の幻影 Ⅱ

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怨霊 (今月のテーマ 列伝)

新春架空座談会 (文豪編)

2月26日に考えた事

不思議な空 ブルーという誘惑

2017 AUG 14 23:23:23 pm by 西 牟呂雄

クリックして下さい

 この写真を撮ったのは私じゃありません。
 クリックすると凄い迫力です。
 特に真上の空の群青色(紫っぽい)は見る者を吸い込んでしまいそうな錯覚に陥ります。波長の短い光が届き易い環境が整ったのでしょう。
 水平線のあたりで空と海が溶け合ったあたりに雲が湧いています。

 そして空は天頂に向かって、海は海岸に近づくにしたがって次第に色が濃くなって行き、特に空にはオーラのようなリングが見えています。これは一体何か。
 スマホで撮ったものだから、画素数が足らずに色の濃さを”序々に”変えていけずに階層のようになってしまったのでしょうか。
 まさか、秘かに発射された核搭載ミサイルが海上で爆発し、電磁パルスのエンゼル・リングが見えたのか・・・。

あれは・・・

 それとも何かの心霊現象かもしれません。
 ヨットに乗って長時間の航海をしていると、視線がほぼ海面ですから海の色が濃くて視界に入るのは圧倒的に空。
 すると陸ではなかなか見られない光景に出会います。
 右と左からカーテンが閉まるように雲が寄っていき、繋がった途端にスコールが降っているのが見えると、あぁ前線が繋がったなと分かります。
 伊豆の島に行く途中では通常の波とは違ってひどく細かい波が立ったり色が変わっている所があり、黒潮やその返り波だと分かります。
 夜の航海では波飛沫を浴びるとイカが飛び込んできたりしてビックリすることも。
 満天の星空が一瞬にして月まで見えなくなり、スコールの中で大きな波に叩かれると海坊主でも出たような気がします。
 SMCのトムさんの話では、夜のダイヴィングなんか空と海の区別がつかなくて、さぞ神秘的な光景でしょう(危なくもあるでしょうが)。

これは

 などと思いを巡らせていると、再び不気味な空の写真が送られてきました。
 またもやオーラというかリングというか。こうなると撮った人間の問題か。
 そういえばここだけの話、その人は実はエスパーだと噂されていますが。

 これから台風の季節です。
 すでに水害にあった地域もあるのに先が思いやられる。先日は喜寿庵のあるエリア一帯にも避難勧告が出ました。街中を巡らせている水路が局地豪雨であふれかえったようです。
 そういえば去年も一昨年も台風に追いかけられるように航海してました。
 今年は諸般の事情でロクに海に出られず。
 コウカイ先にたたず。
 あっ、わかったぞ!あの空は夏が終わったことを教えてるんだ。おとなしくしていろ、と。

神々が集った島 神津島航海記 前編

神々が集った島 神津島航海記 前編

八丈島航海記 前編 

八丈島航海記 観光編 

八丈島航海記 後編 

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何かが始まったのか(反安倍の動き)

2017 JUL 21 8:08:09 am by 西 牟呂雄

「安倍やめろ!安倍やめろ!」
 何らかの組織的な動きがなければ横断幕まで用意しての統制の取れたシュプレヒコールなどはできない。誰がどういう意図で都議選の演説に動員したのだろうか。

「このハゲ~!」
 一連の録音によって選挙に止めを刺した。
 だけど待てよ。確かに延べ百人もの秘書が辞めていった議員に問題があるが、うっかり『男の代議士では当たり前』といった発言があったようにそんなに珍しくも無かろう。秘書氏のボンクラぶりも伝わってきている。
 誰かが知恵を付けて録音させ、週刊新潮に小出しに流して被害届まで出させたとは・・・どうかな。

 稲田防衛大臣の選挙応援が録音されて余計なことを言ったことがテレビで流される。テレブ・クルーの入らなかった演説会でのことだ。音声が流れたのは録音してタレ込んだ者がいたのだ。偶然のはずはあるまい。稲田大臣もマヌケだが。
 南スーダンの日報の話が最近ガサガサ出てくるのも、内通者というかタレ込みなのはミエミエで変だよ。

 そして籠池・加計問題。前者は詐話師にカミさんが引っかけられ、後者は事務次官が何故か在任中はダンマリを決めていたのが突如正義面に変身したという構図。前者は産廃処理場だったので路線価から安くなるんは当たり前の上、補助金目当てがミエミエの嘘つき。後者は語り口はソフトだが座右の銘が『面従腹背』と言い放つとはいただけない。聞けば中曽根弘文と義兄弟だとか。
 ただ7月10日の閉会中審査を見ていると、さすがに優秀そうな官僚であることが答弁でうかがえた、タダ者ではない仕事熱心な人なのだろう。優秀なのは結構だが、こういう優秀さが一方で”岩盤規制”を支えていた。官僚の優秀さのモノサシに『それはダメだ』と言い切る能力というものがあることは有名だ。
 『初めから加計ありきで云々』と言うが、この人が次官になった時点では当然意思決定のプロセスは終えていて今更言う話ではなかろう。そしてにわかに名前の上がった謎の人物、和泉補佐官という御仁との確執を見立てたがどうだろう。
 自民党青山議員の質問に答えた、奇しくも文部省OBの加戸前愛媛県知事の答弁の方が誠に腑に落ちた。
 前川氏も出会い系バーになんぞ行かなければいいものを。カッとした菅官房長官が読売にそれをリークしたのもケンカの仕方を間違えた。今頃のリークの方が効果的だったろうに、問題が多すぎて用心棒官房長官も間違えたのだ。ところで『詳しくは読売新聞をお読み下さい』もマズかった。
 僕はこの前川氏をそそのかしている”組織”もあるとも思っている。官僚OBの秘密結社か憂国の士か。

 都議選での都民ファーストの大勝利にはこれらの要素と公明党の協力が大きい。だが都民ファーストとは一体何なのか。自民党からも民進党からも鞍替え者のいる吹き溜まりみたいな集団に見えなくもない。一体保守なのか。まあ、都民のためにいい仕事をしてくれればいいのだが、グラウンド・デザインはあるのだろうか。オリンピック関連や豊洲移転問題ではドタバタ感がぬぐえない。
 万が一国政に出てくるのなら、憲法改正についてくらい立場を鮮明にして欲しい。

 安倍総理の『加憲』発言あたりから、いわゆる『反安倍』の動きが顕著になってきた。選挙の一月前くらいは自民党もあんなに負けるはずではなかった。
 ところが一連の騒動で内閣支持率もガタ落ち。反安倍の勢力が動いているぞ。
 その実体は巷間言われる反日左派とは言えないだろう。この正体不明の組織は古くは小沢一郎にでも肩入れしていたコアな右翼かも知れない。右翼というのは例えば天皇制とか対米方針で近親憎悪のようにいがみ合うことが多く、自民党では頼りない、と過去も保守二大政党を作ろうと模索していた形跡がある。具体的には旧民社党の政策はいまから考えれば相当右だった。
 その謎の組織は自由党と民主党をくっつけて政権を取らせてみたが、あまりの稚拙さに呆れかえり、民進党となった後共産党と組むのを見て見限った可能性がある。蓮舫の二重国籍が引き金だったかもしれない。
 途中、石原慎太郎を煽ったり維新の会をやらせたりもしたが国民運動にならなかった。
 第二次安倍政権の滑り出しは暫くこれでよかろう、と見ていたのが何かのきっかけで反安倍に舵を切ったのではないか。そこで小池百合子に目を付けて都議選での安倍自民党潰しに動いたのだとすると・・。

 しかし都民ファーストが国民ファーストと進化する可能性は今のままではないだろう。豊洲もオリンピックも粛々とさせなかっただけ。今のタマでは到底通用しない。
 想像するに、民進系の前原一派、自民から石破派は言うに及ばず谷垣グループあたりが誰かにそそのかされて一発逆転の合従連合をしかけ、それに乗るしか小池百合子の目指すことはできまい(それが何かはわからないが)。
 現状手詰まりなのは他にも亀井静香でも江田賢司でも(小沢一郎や渡辺喜美はタマが悪すぎ)まだまだ大勢いる。声をかければそれなりの数になる。

後ろで糸を引いているのは誰だ!まさか外国勢力ではあるまいな!
 これ去年の今頃だったなぁ。

参院選 これは・・・

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楽にはなるが豊かにはならない

2017 JUL 12 19:19:58 pm by 西 牟呂雄

 人工知能・IPS細胞・ロボットといった技術革新で我々の生活は確実に便利になってきている。我々の若かった頃に比べても生活そのものははるかに便利になっている。それも凄いスピードでだ。
 数え上げれば、ネット・スマホ・スイカ・カーナビ・ドローンといったものは50年前には漫画の世界の話だった。自動運転も時間の問題で、もう直ぐ誰もが使いこなすだろう。
 本で読んだ話だが、宇宙ステーションを地上とエレベーターで繋ぐことも充分可能で、現段階では材料の選定や空気の圧送を検討するレヴェルに達しているとか。
 我々が生きている間にリニアも通り、コリア・チャイナ・サハリンくらいまでは海底チューヴの中を通って行けるようになっているかもしれない。
 人間は物凄く便利な生活を安いコストで享受できるだろう。

 しかし、現在でさえ”人間はバカになっている”といった言説がなされ、中には本当にそうだと思わせる書物もひっきりなしに出る。最近秀逸だったのは橋下治の『バブルでそれまでの”個人は社会の一部である”という”地動説”が自分の幸せのために社会がある”という天動説になった』という指摘で、ハタと膝を打った。その後に生まれた今の若者などは徹底的に自分主義になっていて、それは上の代がズブズブ転落しているのをソノ目で見ているからだ、社会は守ってくれない、と。
 そして天動説になってしまった連中は人の話に耳を傾けないから、早い話『言っても無駄』状態、議論など成り立たないのだ。
 そのアナーキーな感覚には父性の欠如を強烈に嗅ぎ取る。

 バブルが弾けた後も金融経済は様々に姿を変え、ITバブルを崩壊させリーマンショックに至る過程で中流が崩壊し、それっきりになってしまった。
 デフレ続きで巨大企業は合併するか立ち枯れるか。昨今の合併などは規模を拡大する意味ではなく、リストラのためにするようなものだから・・。
 格差が声高に言われるが、実態はプチ富裕層がいなくなったのだ(無論少数の超富裕層は存在しているが)。
 僕はこの中流崩壊は本質的にグローバリズムの波に飲まれた後遺症と考えている。
 上述の天動説型若者は、一般的に給料はロクに上がらず物価は安くなる物だと刷り込まれている。そして一方で生活は便利になり続けていることも自覚しているはずだ。

 ここでいきなり話が変わって、上記文脈での”地動説”時代にチンピラだった僕には記憶が蘇る。今の反知性主義的ポピュリズムとは逆向きの様相だった学園闘争とヒッピー・ムーヴメントだ。どちらも結構真面目な人が多かった。
 主人公の団塊世代には山ほど言い分があることは知っているからあえて論評はしないが、当時学生運動とヒッピーは同一カードの裏表で、今日の若い人からはわからないだろうが古い体制を変革する起爆剤的に見られていた。
 革命を主張する過激派がいて(今もおじいさん達がやっているが)、割と気軽と言っては語弊があろうがセクトに簡単に入り直ぐにヘルメットを被っていた人達を知っている。
 敢て苦労を選ぶ、便利さを追求はしない、社会に組み込まれたくない、自由に生きたい、等と主張して長野県の方でコミューンめいた集団生活をしていたグループもあった。無償で農作業を手伝うので有名な「赤カラス族」と言ったか。
 このテの輩は姿・形を変えて地下水脈のように続きしばしば地表に噴出す。時にオウムのような狂信集団も生む。
 気になるのはこういった集団は構成している連中に、既に述べた『父性の欠如』が見て取られ、変なのが上に立つとどこにでも転がる。

 その後一般サラリーマンはいわゆる保守的な方向よりも戦後左派のシンパとなって行きそれなりの生活を手にすることができた。マスとしての大衆社会を形成してきた訳だがこの層が直撃されたのだ、ドロップしてしまった。バブル以前はこの左派のマスがバランサーとして機能していたのだ。
 こういう輩がナントカ・チルドレン、カントカ・ガールズ、田中真紀子、ハトヤマ、に投票し、今では新自由主義だグローバリズムだ、の世論を構成していると見たてたが、どうであろう。
 不思議な事にアメリカのような排外主義的な運動にならないのは(無論極端なヘイト・スピーチ等は散見されるが)ダウンしたのが既に述べたプチ富裕層だからで、格差は無くならなかったが今の段階では階層を成すに至っていないからである。

 むしろこれから更に社会の少子化が進みその崖っぷちにいる我々より若い人達が『格差』とか『人口減少』といった問題に直面した時には、グローバル・スタンダードにノーを突きつけるかもしれない。
 そうすると近いうちに反文明主義、あえて便利さを追求しない知的集団が必ず現れて来るだろう。そしてその集団は今で言うポピュリズムとは一線を画すはずだ。
 ましてや今日のSNSの発達によって表には出てこない秘密結社のような集団が必ず、いや既に存在しているかもしれない。ネットにより地域を選ばずに簡単に結びつけるご時勢であるから。そういうネット・ワークがないか検索してみたがなかなか出てこない。
 おそらくクレバーな人達だろうから目立たず・騒がず・秘かに潜んでいることだろう。様々な職業をカヴァーにしてアンダーグラウンドで繋がっているに違いない。
 その新たな特徴は経済に重きを置かないものになる。現在こそ、特に今年になって随分景気はいいようで、工場稼働率や物流は回復したが。
 僕からすれば若い、バブルを知らないが故に、金融が飽和した後は必ず崩壊することを聞かされ続けた人達は、これからも中国ショック・円高ショック(となるかどうかは中国と日銀次第だが)が来る事に備えて考えをめぐらせているだろう。

 トランプ現象や英国EU離脱が表層を覆うようになって世界中が”天動説”化しているかに見える中で、シニカルでアナーキーな集団が深く潜行するようになっていく。

 そうすると中間のあたりのオッサンのオレはどうすればいいのか・・・。チョット海外にでも行って考えてみるか。 

辣腕アトム 対 哲人28号

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大統領がスパイだったら・・(今月のテーマ インテリジェンス)

2017 JAN 25 21:21:29 pm by 西 牟呂雄

 いよいよトランプ大統領が誕生した。

 今後様々な歴史的転換点に立っていると思うと感慨深いが、悪い方に転がらないように目を光らせたいとも思う。
 巷間トランプ大統領と情報機関が対立している報道は、さもありなん。
 ロシアのサイバー攻撃はあったかも知れないが、その前のヒラリー私用メールのバレ方だってリークじゃないのか。要するにFBIでもCIAでも国民を管理するのと同じく大統領も管理しているはずだ。
 大統領と情報機関の対立は何も初めてではない。フーバー長官は歴代大統領のスキャンダルを握っていた。民主主義で選ばれた大統領は完全じゃない。
 隣の国でもそうだ。あの女性シャーマンが廃棄しろと言ったパソコンから機密文書がウジャウジャ出て来たって?誰がそれを捨てずにパスワードまで知って読んで公表に至ったと言うのかね、そこは相当に怪しい。その後の盛り上がりはキタの煽動じゃないかと疑われている。
 それどころか自殺した元大統領もアメリカまで行って『アメリカに日本を共通の仮想敵国に規定しよう』と本当に提案してアメリカにバカにされたが、工作されてたんじゃないだろうな。
 
 先頃注目を集めていたヴェノナ文書では、第二次世界大戦直前にアメリカ政府内にコミンテルンのスパイ網が構築されていた事が明らかになっている。ルーズベルト大統領への工作がなされたかも知れない。事実ハル・ノートの元となるモーゲンソー私案は後にソ連のスパイだったことが発覚したハリー・ホワイトが作成した(不審死、自殺説も)。この奇怪な文書によれば盧溝橋事件もそれなりにコミンテルンの関与が示唆してあるとか。国民党右派の秘密組織CC団幹部、陳立夫は帝国陸軍内部にソ蓮のスパイがいたはずだと主張している。
 トランプがロシアを訪問した際にハニー・トラップにかかったという話もプーチンまでがムキになって否定するところが返って・・・。
 ハニトラに関してはこっちだって人のことなんか言えない。橋本龍太郎が中国の罠にコロッと引っかかったのは広く知られる話だし、療養中の谷垣禎一元幹事長もそのテの噂があった。谷垣禎一なんて汪兆銘政府の樹立工作をしていた梅機関・影佐大佐の孫のくせに脇が甘すぎる。
 まだあるぞ、未だに懲りていないようなハト!これが自衛隊の最高司令官だったと思うと、提題の『スパイだったら』も冗談じゃなくなりそうで今更ながら恐い。

 その点プーチンはスパイを使う方だったから工作を受けてはいないだろう。が一方で、メルケルなんかはヤバいから盗聴までしたのでは、習近平の紅を塗ったような口元もアヤシい、ブリグジットはフリーメーソンの陰謀だ、トランプはユダヤに操られている、バチカンだって黙ってないぞ、イスラム教ワッハーブ派のサウジはISILを作った、瀬島龍三はソ連のエージェントだった、ロックフェラー一族がキッシンジャーを操って世界を支配・・・・、民主主義で選んだ政治家がもし操られていたらどーすればいいんだ。もう何が何だかわからないから天皇陛下バンザーイ!

 ところでトランプ大統領がTPP離脱だ何だと大統領令にサインをしまくっているが日本がオタオタすることはない。TPPなんかは元々やらなくてもいいと私は考えている(二国間協定にはもっと反対)。
 トランプ大統領は矛盾に満ちている。
 あれだけ国内世論が割れていてマスコミとも不毛な戦いを続けるだろう。『対日カード(おそらく自動車)』を切る前にかなりエネルギーを使うはずだから、安倍総理も急いで会わなくてもいい。もう少し疲れてから会って安保の話だけするので十分いいじゃないか。 

諜報機関SMC (今月のテーマ インテリジェンス)

新春架空座談会 (今月のテーマ インテリジェンス)


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安倍総理 真珠湾へ

2016 DEC 8 6:06:32 am by 西 牟呂雄

 壮挙である。
 言いたいことは双方山のようにあるだろうが、謝罪ではなく互いの犠牲者を悼むのはいいことではないか。 この演説を聞け で総理は既に「これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう。熾烈に戦い合った敵は、心の紐帯が結ぶ友になりました。」とアメリカ国民に語りかけている。
 訪れて双方の英霊を慰めて頂きたい。
 おそらく右からも左からも様々な意見が飛び交うことだろうが、外交家安倍総理は臆することなく堂々とすればいい。
 そしてアメリカさんにも『あんまり日本をナメてるとよろしくない』と時々思ってもらうのも悪くはないと考える。
 誤解を生みたくないので念のため書き加えるが、日本はあのような戦争を仕掛ける事は二度とない。

 しかし当時の世相一般は末期のヒステリックな『鬼畜米英』的なノリではなかったようだ(軍部は別)。山本七平さんは臨時ニュースを聞いた家族から「戦争が始まった」と聞いて思わず『えっ、どことどこが?』と聞き返したことを書いている。臨時ニュースとは現在のNHKラジオで朝7時に流した「臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。大本営陸海軍部、十二月八日午前六時発表。帝国陸海軍は本八日未明、西太平洋においてアメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり」のことである。

 ところで真珠湾で思い出した、特殊潜航艇について。
 鉛蓄電池を動力とし、イ号潜水艦の甲板から水中発進する必死必殺の小型潜水艦の攻撃隊だ。甲標的と言われる。しかし当時の蓄電能力では魚雷発射後に母艦まで戻ることはほぼ不可能で、後の人間魚雷『回天』の原型となった兵器だった。
 真珠湾攻撃の際には単冠湾(ひとかっぷわん)から出撃した機動部隊とは別に、呉から5隻の艦隊でオアフ島沖まで侵攻し、12月8日には湾内に突入している。
戦艦ウェストバージニアと戦艦オクラホマへの雷撃が行われており、このうちオクラホマはこの攻撃で転覆したとされている。勿論全員戦死のはずだったが羅針儀が故障したまま出撃し座礁したり駆逐艦の砲撃を受け、自爆しようと脱出後漂流した酒巻少尉は捕虜第一号となってしまった。他の九人は軍神として祭られたが、捕虜となった酒巻少尉とそのご家族は大変な葛藤があったことだろう。
 作家の豊田穣とは海軍兵学校同期であるが、豊田もまた捕虜になりウィスコンシン州のマッコイ収容所で酒巻と再会している。
 この甲標的は犠牲を伴いつつオーストラリアのシドニー港、マダガスカル島のディエゴ・スアレス港、更にガダルカナルでも投入された。戦死者の冥福を祈るばかりである。

 尚、蛇足ではあるが山崎豊子さんの絶筆となった『約束の海』は前出の酒巻少尉がモデルと思しき人物のご子息が自衛隊潜水艦に勤務し「なだしお」の事故の渦中に巻き込まれる、という構想だった。
山崎豊子さんの取材力

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『リーマン・ショック直前並み』雑感

この演説を聞け

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