Sonar Members Club No.36

カテゴリー: 潮目が変わった

胡散臭いもの マ・ス・ゾ・エ

2016 JUN 14 2:02:30 am by 西 牟呂雄

 世の中に満ち溢れているアヤシ気な人・物・金を眺めていると、どうしてこんなのに騙されてしまうのかとため息が出る。オレオレ詐欺や迷惑勧誘、ヘイトスピーチやインチキ宗教、有象無象が日常のニュースに流れない日はない。
 昨今ではソノ手の話題を独占している感があるのはマ・ス・ゾ・エ!
 しかしついこの前までこの人を『総理になって欲しい人NO1』に祭り上げていたのも世論であります。東大時代に主席を争った鳩山弟が自民党を離党する時に「日本一頭のいい政治家〝与謝野馨″と日本一人気のある政治家〝舛添要一″をくっつける接着剤になります(どちらも自民党を出ていた)」と言った。因みに鳩山弟も受験業界では伝説的秀才で高校生の時に全国模擬試験でも枡添とトップを争ったことは有名な話。ツウの間ではそのころもう一人同じようにできた高校生がいて、その人はさる官庁にいるのだとか。

 世論なんか当てにならない、秀才なんて信用できない、の見本のようになってしまって不信感を煽ること夥しいですな。それを言ったら国民はハト・カンを選挙で勝たせたいわば前科もあるので、投票する方もエラソーなことは言えない訳だ。

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 お前はどうなのかと言われましても。そりゃマ・ス・ゾ・エはそっちのプロなんだろうから違法性はないだろうし、税金を使ってどうこうしたこうしたの道義性についても合計で440万円じゃねぇ。龍宮城スパホテル三日月や回転寿司が会議費って、セコ過ぎて。それをいいことに第三者ヤメ検の報告で乗り切ろうとするのは、実に表題の〝胡散臭さ”丸出しの感あり。
 13日の集中審議はニュースでみたところマ・ス・ゾ・エ!は余裕綽々。質問が週刊誌ネタ以上のものがなく『こりゃ逃げ切れる』と踏んだのが良く見えた。まずあやまってしまえ、今後は気を付けます、給与は全額カットします。全然辞める気なんかないですね。なかなか頭が切れる。
 マッ、アウトなんでしょうな。
 元のカミさんまでが露出して悪口言いふらしてるのも頂けないけど。
 印象を言うなら、この人が評論家として出てきた時「目を剥くとゲゲゲの鬼太郎にでてくるネズミ男に似ている」と思ったくらいですかね。yjimage[10]

 しかしネタ元はタレ込みだろうからよっぽど都職員に嫌われたのでしょう。都知事は2000年頃から青島⇒石原⇒猪瀬⇒舛添という流れだから、今までだって相当溜まっている都官僚のストレスが何故この時点で爆発しているのか。大阪の橋下徹・横山ノックも含めて都や府のお役人からの嫌われランキングはどんな物か。当然現時点のダントツ1位はねすみ男だとして。
 2位は猪瀬だろう。この人は典型的な全共闘世代と言うべきカテゴリーで、団塊の代表でもあります。この手のタイプは有能なんだけどトップになっちゃダメですね。グチャグチャ掻き回してまとまる話もまとまんない。政治的にシロートっぽかったのがいいといえばそうなんだが、妙な金を受け取ってオジャンに。でも使ってなかったことも後に判明して罰金のみでした。
 震災時や道路公団民営化とかオリンピックの東京招致はよかったですよ。でも上司にしたくない。
 意外や意外3位グループは石原・橋下の維新組。二人とも官僚嫌いは徹底していたから幹部たちはケチョンケチョンにやられていたが、その下の比較的若い職員には人気があったのだ。組織に属したことがないので匙加減がわからない、即ち側近政治になりやすい。欠点はついてくる人間に変なのが多いから国政レヴェルでは子分ができなくて大きな勢力にはなりにくい。田中康夫元長野県知事もこのタイプだった。
 最も嫌われなかったのは青島・ノック組でしょう。二人はタレント候補の走りとして参議院に全国区があった時に同時に当選した。知事になったのも同年、更に没したのも1年違い。
 青島幸男は多才な人で、議員をやりつつ小説で直木賞、絵画で二科展入選を果たしているが、議会で『ハロー・ワークとは何ですか』と聞かれて答えられなかった。ノックの方は終いにセクハラ事件を起こしたくらいしか覚えていない。どちらも知事としての実績もない。これ、何をするもクソも初めから何も無い。何も無いから都や府の官僚達は返ってやりたい放題できて、やる気のある人も怠け役人も居心地が良かっただろう。

 辞められて選挙になったら特に公明党が大変なのと、後釜候補が存在していないので与党の腰が引けてます。
 普通スキャンダルは後になるほど『実は』ということになって金額で言えば大きくなるのだが、このケースはどんどんセコくなる。マスコミは当分このネタで売れるから「新たに発覚」する〝きょうのマ・ス・ゾ・エ!“ネタも終いには2千円とか8百円になってしまわないか心配です。いくらでもあるでしょうからね。

 官邸筋もとうに見放していそうだし、選挙にかかりきりで誰も助けるどころじゃないで放置。あの程度の言い訳では到底通じないからこのまま次から次の暴露・タレコミ・告訴まみれになって秋口には選挙じゃないですか。

 ただ、ファースト・クラスやスィート・ルームはいいんじゃないの。都知事の格ってもんもある。まァ海外出張八回で二億はケタが違うけど。湯河原の往復も危機管理の観点から公人として公用車はセーフじゃないかな。毎週で年49回が節操なさ過ぎなんだよ。

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普通であるということ  (今月のテーマ 無為自然)

2016 JUN 2 0:00:58 am by 西 牟呂雄

 僕は動物ドキュメントが大好きで「アニマル・プラネット」をズーッと流していたり、NHKの「ダーウィンが来た」は欠かさず見ている。古くは「生き物バンザイ」なんてのもあったな。
 時に可愛らしかったり(ワニのようなものでも)いじらしかったり(ゴリラでも)。
 そして自然と言うものはよくできており、そのバランスを専ら人間が破戒・蹂躙しているという思いを深くする。
 ところで、サブ・タイトルでよく使われるフレーズに気が付いた。『過酷な自然の中で懸命に生きる』『極寒の環境を耐えて生きる』といったパターンが多用されている。
 画像は物凄い乾いた土地、極北の凍土、恐怖を感じる岩山、といった ”人間にとって” 厳しい場所を映している。そりゃ撮影している人は『過酷な』環境だろうが、被写体の動物はそれで死ぬわけではない。無論、不慮の事故・天敵によるアタックはあるだろうが、それは映していないときも普段から起きている事象にすぎない。それはそれで『過酷』ではあるが、自然現象として当然のことでもある。動物達はその環境に合うように進化し、独自にその環境で生き抜く術を身に付けていると言えよう。
 撮影者・視聴者には耐えられない寒さや渇きもその生き物にとっては『普通で』あると見立ててみる。

 いきなり話が飛ぶが、その感じで混迷を極める中東を俯瞰してみるとどうなるだろうか。残酷行為を我々は嫌悪するが、石打の刑罰を平気でやり銃刀法も何も無い武装勢力が入り乱れる砂漠の民。民主政権なんぞは頼まれても欲しくもない、とアラブの春を葬り去った。〇〇派と◎◎派がいがみあい、それとは別のイスラエルが実際には核武装して対峙している。サウジはイランと断交してロシアに原発を発注。アメリカがイラクを潰してしまったらゾンビのようにISが跋扈し出して、あれは元バース党だと見当がつく。ロシアはISたたきを口実にミサイルを撃ち込み戦闘機を飛ばしたところ、トルコが撃墜。
 かつていくつかの大帝国が誕生したこのエリアはもう一つにまとまれない。ここまできたらいくつかの勢力がISを潰した上でシリアを分割統治するまで殺し合いを止めないのではないだろうか。
 大国が手出しをして収まるポスト・モダンが冷戦終了により新秩序に脱皮する過程とでもいうのか。
 一般の人々があの戦乱の最中に傷つこうとも宗教間の差別に苦しみながらも戦線は瓦解しないのは、戦士は生きがいを感じ神の愛を自覚するからなのか。
 それで本当に食う事もできなくなった難民は大変な苦労を強いられながら移動せざるを得なくなる。
 好ましくないことであるが、現時点の戦乱はあのエリアの『普通の』状態なのかもしれない(これは上記、シリアを分割統治するまで殺し合いをやめない、の意)。強烈な専制政治の元でゆるやかな部族社会を営んでいた方が自然だったかも知れない。concept_img01-400x488[1]

 翻ってこの平和な日本の『普通の』状態とは何をすることなか。
 日本の凋落、失われた20年、この間は筆者の現役時代とまる被りする。バブルがはじけてジタバタした挙句、その多くを失敗した後の視点からみると良く分かる。その頃から日本中が大して働かなくなってきていることが。
 本当は必死に働くことではないのか。巷間言われている”ブラック企業”は大して働かないその皺寄せを弱い部分が受けている状態を現していないか。
 通信機器がこれだけ発達して且つコストも安くなり、更に日本人がいきなりバカになったとも考えられないのに、ホワイト・スタッフの生産性が上がっているようには見えない。このグラフは10年前のデータだが、その後アメリカとの差は開く一方なのだ。
 可処分所得が上がらないのに休日ばかりが増えて、生産性を落としていれば消費が上がるはずもない。
 これはどういうことか。筆者の仮説ではもっとも稼ぐポジションの企業がムダな会議ばかりやったり、インチキをやったりしては何度もバレているからじゃないかと疑っている。これでは『一億総活躍』どころではない。
 
 それでは何かを造らなければならんのか、と野菜を去年から育ててみた。しかしキュウリと大根は失敗したし、茄子・ピーマンも結果として買ったほうが安かった。

 無為自然とはどういうことか考えたくて書き始めたら、例によってバカなオチになってしまった。普通にセッセと働く事にしよう。

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南シナ海波高し

2015 NOV 4 22:22:12 pm by 西 牟呂雄

 アメリカがついに堪忍袋の緒を切ってイージスを人工島の(自称)領海内に派遣した。恐らく秘匿任務の潜水艦も潜航していることだろう。F22もスタンバイ。これはそう簡単なデモンストレーションではない。アメリカは待っていたに違いない。何を、一つは日本の安保法制の採決をだったと考えている。このヤバい事態が夏にでも起こったら廃案にされていたかもしれない。
 もう一つはTPPだ。冷戦時代にやっていた封じ込めのアウト・ラインがそれなりに出来た。私自身は多少の違和感があるものの賛成せざるを得ない、という立ち位置である。
 かなりの長期に渡ってこの作戦は実行されるだろう。中国はどうするか。
 あの胸クソの悪い中国外務省の報道官は「断固として」「あらゆる手段を」「無慈悲な(これは北の国か)」とガナリ立てるが、結局のところ手も足も出ない。それぐらい米中の海軍力は違う。訪米時に爆買いまでして見せたのに習近平の面子は丸潰れだ。国内からは突き上げられ国際社会では孤立する。
 アメリカにしても来年は大統領選挙があるので、クリントン候補を勝たせたい民主党オバマ陣営としても簡単に拳を振り下ろせない。戦争の始まる前はイケイケの候補が勝ち、始まって犠牲者が出ると止めた候補が勝つに決まっている。
 現在は水面下で米中の相当激しい外交戦が繰り広げられているはずだ。

 中国嫌いのヴェトナムは勿論、ロクな軍事力のないフィリピンは心から歓迎していることだろう。
 話はズレるがフィリピン国軍は建軍以来一度も対外戦闘をしたことのない軍隊で、ミンダナオのムスリム過激派との小競り合いはするがそれにも米軍の軍事顧問団の指導を受けている。要するに弱っちい国なので中国にイチャモンなんかつけられっこない。操業していた工業団地にフィリピン空軍のプロペラ機が落ちたこともあったくらいだ。
 北部高地のバギオという町にミリタリー・アカデミーがあって、そこは先の大戦時の最期に山下兵団がギブ・アップした場所。そこで山岳レンジャー訓練中の士官候補生達を見たことがあった。尋常な目付きではなかったが習志野の空挺団の方が精悍だとは思った。

  しかし地図を見れば一目瞭然、この海域でドンパチが始まるとASEANと日本は本当に困る。そして僕は愛する台湾に思いを馳せるのだ。多少遠いが領有権を主張しているのである。人工2千万。正式に国交のあるのは僅か23カ国で北朝鮮よりも少ない。なぜか北朝鮮は162カ国と国交があり国連でもデカい面をしている。
 巨大帝国と対峙するにきれいごとは言っていられない、国民皆兵で誰もが兵役に就く(徴兵逃れで留学する者も多い)。僕は1996年の総統選挙に合わせて大陸がミサイルを撃ち込んだ時台北にいたが、ネオンは消え人影も普段より少なく、まるで戒厳令のようだったことを肌で感じた。
 人工島の埋め立ては喉元に匕首を突きつけられた格好で、周りに頼りになる国はない。さぞ心細かっただろう。友邦日本は南シナ海に行くなどトンデモない。やっとアメリカが重い腰を上げてくれた格好だ。
 台湾経済は極めて特殊で、バランス・シート重視の分厚い中小企業が支える。2千万国民の中に70万人以上の社長がいると言われている。経営は真面目で堅実だ。 
 僕は大陸でも仕事をしたことがあるが、パートナーに恵まれてそれほどひどい目にもあっていない。もっともあまり大きく稼ぐピクチャーには敢てしなかったので嫌がらせも受けなかったのだろう。会ったのは皆いい人達で仲良くしていた。しかし国家の意思、集団の論理となると大陸の政治性・戦略性は別の生き物のような振る舞いになることは歴史が証明している。隣の国もそうである。
 言うまでも無く中国は一つであるが、台湾国民はソフトもハードも中国人ではない。僕はしばらく住んでいたから実感している。

 先の大戦ではアメリカは台湾を素通りして沖縄に上陸した。沖縄は地政学的な立地から直ぐに返還されず米軍基地は未だに多くの問題を孕んでモメている。台湾は国民党に占領された。一方で尖閣は沖縄県に所属しているにもかかわらず県は国と対立するばかり。複雑な沖縄事情を私ごときが語れないが、日台紐帯の橋頭堡になってくれないものか。個人的に台湾がいじらしくてしょうがないのだが。

 米中海軍同士のテレビ会議は非常にプロとしての会話で終わっているはずだ。詳細は表には出ないだろうが「ここまではやる。」「これはやらない。」といった内容が確認されたと睨んでいる。暫くは中国の尖閣への排他的経済水域航行のような頻度でアメリカは侵入する。
 見過ごしてならないのは『敵の敵は味方』『こっちも忘れるなよ』の国際関係だ。ロシアは演習中の米空母にスクランブルさせた。北のあの国も構って欲しくてしょうがない。

 千両役者、我らが安倍総理はこの面倒な時期に日中韓首脳会談を鮮やかにさばいた。
 ハナから得るものなど全くない首脳会談なんぞやる必要は無いと思っていたが、あの余裕。どちらも経済がヤバくなったので、一つ日本にネジを巻いてやろうとでも思ったのか。
 大陸は焦り丸出しで台湾にもトップ会談を持ちかけた。これで次の選挙は民進党に決まった。馬総統も終わり。
 半島は私のインテリジェンスには少しでも中国と差がつくように日韓の昼食会をしなかったことが伝わってきている。何しろ1000年恨むと宣言した大統領なのだから次に首脳会談をするのはどの国も指導者が代わってからじゃないか、島が帰ってくる訳でもないし。反日デモも相変わらず(但し、中国の官製反日デモは無くなったことを確認している)。
 両国とも国是としての反日はしばしば国内の権力闘争の格好のネタであり、イザとなったら法治国家とも思えない行動に出る。個人同士の信頼関係に頼るしかないことを我々は十分経験している(個人的に信頼が築ける人はいる)。
 それより中韓どちらも国境を接した、拉致を認めない核保有国をどうにかしてくれ。

 首脳会談がなくて困っているのは舞台が回ってこない外務官僚くらいだろう。ところで私は嫌韓でも反中でもありませんのでよろしく。

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ホンダのF1復帰は楽しみだ

2015 FEB 16 21:21:58 pm by 西 牟呂雄

 アイルトン・セナとアラン・プロストがワン・トゥー・フィニッシュを決めていたバブルの真っ最中から夢中で見ていたが、リーマン・ショックがとどめになってにホンダはF1から撤退してしまい、いつしか興味が薄れ年も取り暫くは観戦しなくなった。しかし今年は又楽しめそうだ。ホンダが久しぶりにマクラーレンと組んで参戦する。こうこなくっちゃ。F1カーのスペックが多少変わって、環境技術の先端応用という大義名分も絡んで出やすくなったのだろう。
 かつてホンダはウィリアムス、ロータス、ティレルにもエンジンを供給した人気ブランド。中島選手を初め日本人ドライバーも結構活躍した(僕は笑っていない中島選手はゴルゴ13に似ているな、と思ったが)。今回はアロンソとバトンという楽しみな二人で大いに活躍してもらいたい。
 工学的な最先端というものは優れて軍事関連がまず初めに牽引する。敵の2倍の性能が得られるなら、3倍のコストを掛けても勝利する、という原則があるからだ。従って上限もあるのだが、インセンテイヴとスピードは民間とはケタが違い実用化も早い。これらの技術は10年程度を経て陳腐化が進んだ頃、量産のプロセスも開発されてコストが下がり民間への転用もできるようになる。航空機なんかは特にそうだし、コンピューターも初めは暗号解読のための秘密計算機だった。F1は武器ではないが、先端技術を磨き続けるという意味は大いにある。副次的にはブランドの宣伝効果もバカにならない。ただし開発コスト・チーム維持に巨額な金がかかり、経営として判断の難しいところだったのは想像に難くない。
 いすれにせよチームを維持することやレースの開催も含めて実力がなければ無理。今年は某隣国でF1開催が中止になった。あの国の冬季オリンピックは大丈夫だろうか。
 
 ところで前から知りたかったのだがエンジンを供給するホンダの『総監督』というポジションの人がいる。あれはレースをやっている間何をしているのだろうか。それから一度ピット・クルーになってみたい。あのタイヤを替える係の手際の良さに感心するのだが、ああいう仕事は何か資格があるのだろうか。いかにもスペシャリストという見た目であこがれている。どなたか教えていただけないでしょうか。

 ソチ・オリンピックのボブスレーの選手たちが『マシンの性能が違いすぎる。勝負にならない。』とこぼしていた。競技の伝統や愛好者の数が違いすぎるので無理もない。相手のマシンはフェラーリやBMBが造っているのだ。氷のF1と言われる所以である。現在「下町ボブスレー」というプロジェクトで大田区の町工場がヴォランタリーにマシンを開発しているそうだが、いかんせん二人乗りまで。海のF1、アメリカズカップもスキッパーの腕よりも船のパフォーマンスが勝敗を分ける。所詮カネの問題と言ってしまえば身も蓋もないから、下町ボブスレーには大いに頑張って欲しいところだ。

 『景気』というのは気のものだから、贅沢な物が売れたり設備投資がしたくなってくると随分違う。人はケチのままで企業が貯めこむだけでは景気は上がらない。もっとも直近の各種数字では多少の実感が出てきたようで結構な事この上ないが、こういうことがもっとあれば効いてくる。第三の矢もガンガン放って、復興とお祭り騒ぎの両輪が我等の老後を盛り上げて頂きたいもんだ。

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潮目が変わった  ー日本人人質Ⅱー

2015 JAN 29 12:12:03 pm by 西 牟呂雄

 どうしろと言うのか、こういう時は。
 初めの画像投稿から1週間。(恐らく)一人は惨殺され、そして次の24時間もとっくに過ぎてしまい、死刑囚の開放とヨルダン軍のパイロットの交換を人質に読み上げさせた。
 色々あるが、気の毒な湯川さんのお父さんは搾り出すような声で『みなさまにはご心配、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。政府や関係者の方々のご尽力に深く感謝します。』と仰った。なかなか言えるもんじゃなかろう、中には『やりやがったな。このやろう。』となる人も多いだろうに。
 マスコミはもう解放して差し上げたらどうか。これから葬式だって出さなければ。恐らく彼の『民間軍事会社』のスポンサーかと思われるあの顧問にも取材しないほうがいい。カメラの前で喋る方も喋る方だよ。
 そりゃ『民間軍事会社』の荒唐無稽さや、いくらなんでも誰が(反シリア政府?シーア派?クルド人?)オファーするかも分からずに実績作りにフラフラ迷い込んだりすれば・・・。

 あの残酷な画面からは凶悪な犯罪のにおいが立ち上がってくるが、イデオロギーは感じられない。
 映像をインターネットで見たが、あんなものを手に持たされてお仕着せの原稿を読まされた後藤さんの心境はいかばかりか。
 もう一つ。今更だが表現の自由はその通りだが、偶像崇拝を硬く禁じているイスラム教のオチョクリ漫画ってあまり趣味のいいことではない。自粛なんてしなくていいんですよ。それはそうだが、傷ついている人もいたろう。
 だからといってテロをしていいわけがなく、そうはならないようにマナーを積み上げてきたはずだが、あの凶暴さの前には無力だった。
 
 後藤さんのお母さん。この人への取材も控えてはどうか。あの方の前歴は知らないが、やや拡散型のアガリ症のような。息子が大変な目に会っている渦中にいきなり外人記者クラブは荷が重かったのか、パニック・シンドロームになっていないか。『地球』とか『原発』とかねえ。もっとも自分で売り込んだとしたら背後関係含めて何かの意思があったのか、という話。
 そっとしておくべきだ。

 元外交官の宮家さんが解説に出ずっぱりで目の下にクマが出ていた。こういう問題に対応する冷静な解説・評論をするのは難しく、下手にシロウトを出しては国際問題にもなりかねない。外交評論家の岡本行夫氏・手塚龍一氏・佐藤優氏あたりが妥当なところかな。朝まで生テレビなんかで好き勝手雑音を入れるのは絶対にやめた方がいい。そろそろマスコミも焦れてきて報道が荒っぽくならないか心配ではある。こういう事件はマスコミがヒステリー状態になると突発的におかしなことを言い出す奴が必ず出る。
 日本は戦争当事者ではない。善意の第三国であり、日本人がテロリストとの人質交換に応ずる謂われは無い。ISISの振る舞いを『卑怯な振る舞い』と認識する人が多いだろうが、相手は日常的にしょっちゅうやっている。
 一方本件で政府を批判するのは更に当たらない。テロに屈しないのは政府だけの仕事じゃなく、我々一人一人に突きつけられているかもしれないのだ。これを下手に政権攻撃に使おうとすると、某政党の議員のツイッターの様に炎上するのがオチ。しかもこの手の交渉は絶対に水面下で秘密裏にしなければ失敗する。イスラム国がしばしばネットで流すのは、その時点での交渉妥結点が気に入らないから潰す意味合いがあるのかと睨んでいる。

 厳しく難しいほうに事態が進んでしまったので再びゲーム理論のモデルを立ててみた。だが結果は芳しくなく、あまり文章にしたくない。それでここからはバーチャル・ブログだが、いっそのことイラクにも行ったアントニオ猪木とピースボート出身の辻元先生にイランまで行って『理解』を表明したハトもつけて特使として送り込んではどうか、いや冗談です。
 あっこれ戦争しろ、という意味じゃないですからね。念のため。
 後藤さんの無事と速やかな開放を祈っている。

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潮目が変わったー欧米だけじゃない 日本人人質ー

2015 JAN 22 22:22:08 pm by 西 牟呂雄

 いかなる善意も正義感も今回の身代金要求の野蛮さには無力だ。テロとの戦いを何年もやっているアメリカは日常的にこういった危機感に苛まれているのだろうか。或いは現在のフランスは。自国民を殺された諸国は。
 聞くところによるとこのイスラム国とイエメンのアルカイダとは過激派の主導権争いにおいてライバルとか。
 しかし同時に『拉致』をさんざんやり公開処刑を日常的にやる国とも被らんでもない。
 従ってイスラム教だから、何派だから、ナニ教だからとはならない。しかしですよ、こう非日常的な映像を見せられるとそりゃイカンですよ。ナニナニ教でもナントカ主義でも歴史的に必ず過激派は現れ、その残虐行為は枚挙にいとまがない。キリスト教同士だってさんざんやった。こうなると思想・宗教というのはやはり一大虚構というか机上の空論というか、どうにもやり切れない。
 一番いいのは自衛隊特殊部隊が密かに侵入し誰も傷付けずに一人も殺されないで奪還することですかねぇ。自衛権も何も、相手は国境も法律もないクニ。最近よくある疑似国家・グローバル過激派なんだから(アルカイダ含む)。ハリウッドが目を付けてそんな娯楽映画なんか作られたらテロが来てしまうぞ。
 そうこうしている内にアルカイダの拠点の一つイエメンでクーデターが起こり、政府軍・ザイド派・アルカイダのいくつ巴か知らないがグチャグチャ状態に陥ってしまった。
 恐らくアラブ諸国ではどこも日常的にテロと戦争に麻痺していて日本の苦しい立場なんか知ったこっちゃない。国際社会全体で対処といっても自分で考えなければどうにもならない。

 この構図をゲーム理論のモデルを立てて均衡ゾーンがあるか計算しようとしてみたが、『日本ーイスラム国』の2国でやってみると複数の均衡は見出せなかった。
 僕のモデルの結果は『水面下で交渉し身代金を値切る』が突出していて他の均衡点がない。理由は二つ。イスラム国が中東を代表している訳ではないからと、もう一つ人命尊重の荷重が高すぎるからなのだ。イスラム国側をもう3プレイヤー(アルカイダ・シーア派・スンニ穏健派)日本側に3プレイヤー(イスラエル・EU・アメリカ)を加えられたら2つ以上の均衡点が見出せたかと思うが手に余った。ただ、上記特殊部隊の強襲・奪還条件は荒唐無稽なので初めから除外はしていた。
 このとんでもない事件も19世紀以来この地域で様々なヨソ者が手を突っ込み(サイクスーピコ秘密協定・バルフォア宣言)おまけに石油の一大産出エリアということでモミクチャにされた結果と言えなくもない(私はテロリストが起こした誘拐事件で犯人が悪い、という立場ですが)。イラク戦争をやったらイスラム国ができた・・・、違うか。

 改めて強調するが私はイスラム国支持じゃない。
 もう50年もすればアラブのことはアラブに任せる、という時代が来るだろうか。

 要するに日本は何もできない?タイム・リミットまで後16時間。
 
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潮目が変わったーヨーロッパがテロと戦う日ー

2015 JAN 13 22:22:45 pm by 西 牟呂雄

 フランスでの恐ろしいテロ。そして利害の対立しがちな40以上の各国首脳が先頭に立っての大デモ。フランスの並々ならぬ姿勢。ヨーロッパが、ロシアが、イスラエルが、パレスチナが、そしてシーア派までもがいくら何でもあれはやりすぎで治安を立て直さないと平和は維持できないと感じたはずだ。
 監視下にあったせいか音声が残された。イエメンと口走った、アルカイダとも。要するに9.11のショックが繰り返されたのだ。ただごとではない。

 2015年の僕の見立て『ドイツが孤立しEUが瓦解する』はこのテロで全く外れた。地続きのヨーロッパは言うに及ばずキリスト教国にテロをしかけたに等しい。
 読者は思い出さないか(生まれてない人は別、オジサン達)。1991年はかなり昔だが、筑波大学の五十嵐助教授がムスリムをおちょくった『悪魔の詩』を翻訳してキャンパス内で刺し殺され未解決。日本にも犠牲者はいるのだ。
 2007年のロンドンでの同時多発テロに英国は敢然と対峙し、執念で犯人を追い詰めて全員を挙げアングロサクソンの根性を見せた。
 アメリカは戦争まで仕掛けた。
 誇り高いフランスがこのままデモだけやって引き下がるはずはない。
 
 ところで今回4人のテロリストは単なる暴発だったのだろうか。イスラム国・アルカイダの指揮・命令はあったのか。ある組織的な意思決定が効いているのとないのとではまるで違う。インターネットの今は、何でも言ったもん勝ちで扇動効果も高い。日本からも行こうとした者がいたくらいなのだから。我が国もネット上の防諜を充実させなければ。これ、チョットした戦争並に金もかかるだろう。一言で言えば迷惑な話ではあるが。この場合の防諜って言論統制とは別の話ですからね、注意して見ておくこと。
 ともあれこれからフランスをはじめヨーロッパは徹底的に追い込むだろう。フランスのアラブ諜報はアフリカで結構強い。イスラム国の周辺はそれこそ武器商人が暗躍するようなエリアになりはしないか。
 十字軍じゃあるまいし、大ぴらな宗教対立や植民地戦争をやらかすわけにも行くまい。地上軍投入はともかく、封じ込めは厳しいものになるだろう。中東のアフガン化である。時計は100年以上戻ってしまう。国同士の利害とは別に強くまとまって当たるだろう。マッ見立てはもろくも外れましたけど。

 そして圧力が加わると・・・。この恐ろしさは、地球儀でここを中心に見ればすぐ分かる。アフガンや過激派のいるパキスタンと新彊ウィグル自治区は国境を接しているのだ。フランスの事件ほど報道されないが、先週末にも5~6人が亡くなる騒ぎが起きた。あまり想像したくないが、追い込まれた過激派なイスラム国なりがこのルートで国境をこえると・・・。

 アメリカ・オバマ大統領の動きはピリッとしない。まぁピリッと戦争しに行けという訳ではないが、もっと強い声明を出した方が良くはないか。安部総理も『日本も訴える。ジュ・スィ・シャリル。』とか。
 本日は未だユーロが下がってはいない。

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