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株式道場ー米中通貨主権戦争ー

2014 JUN 3 1:01:27 am by 東 賢太郎

米国金融現代史年表

1971年: ニクソンショック(米ドルの金交換停止、紙きれを信用させて食う国に)

80年代: 産業革命以来の「新発明」がけん引する成長の時代は終わった

93年:  BIS基準8%の強要で邦銀いじめ

97年: 日独スイスの銀行証券市場にくびきを与え支配下に置く(雅名は「金融ビッグ        バン」、日本は橋本龍太郎内閣)

2000年: Y2K問題を騒いで世界中で無意味かつ巨額のIT投資をあおり一息つく

01年: 中国WTOに加盟

00-07年: お札を刷りまくって不動産バブルをあおる(基軸通貨の役得を貪る)

06-07年: 中国が3兆ドルの米国債券を保有するに至る、中露が米住宅債券の売りを画策(米ドルの基軸通貨からの追い落としを図る)、橋龍氏逝去

07-08年: サブプライムが大暴落しリーマンが破たん

09年: G8後に中露印が「ドルによる国際貿易決済の停止」を主張、オバマ政権誕生、中川昭一氏呂律事件(翌年逝去)

 

以上、私見では現在の米中ヘゲモニー闘争の伏線上の出来事と解釈している。イ・イ戦争、9-11は出てこない。通貨主権戦争だからである。以下、今後につき私見を骨子のみストレートに書く。

オバマの大きな政府と低所得者ケア政策は失敗。強制的予算削減で財政赤字は減っているが軍事費まで削らざるを得なくなっており中国を喜ばせている。赤字削減はドルの価値下落を当面は防ぐがドルの価値は米の軍事覇権にもよっている。中国に完全につけいる隙を与えた。11月中間選挙でティーパーティーが上院で勝てばオバマは弾劾に追い込まれる可能性がある。

先のアジア歴訪は追い込まれたオバマが習近平と「通貨主権」につきディールするためのものである。共産党首脳の賄賂データでゆすってテーブルに着かせ、「中国が米国債に投資し続けること」と「人民元を現レートでドルペグしつつ国際決済通貨に格上げすること」を握ったと思われる。

これの意味は大変重要である。中国は安目の人民元のまま有利な輸出の継続を保障され、米は中国の成長力=安定した人民元にあやかった。為替レートをペグすることは「人民元本位制」をとるということで米ドルの信用補完を買った。香港ドルはドルペグで信用補完してきたが、今回は、ペグさせていただいたのはドルの方である。オバマはだから不利になる米輸出企業のために乗り気でなかったTPPで体を張るはめになった。

中国に3兆ドルの債券をたたき売られるのを防ぐためには戦争でも殺人でも何でもやるしかない。日本は脅せばビビって売らない。中国は軍事力がついてビビらなくなったのがこの10年。もう脅すネタは高官の賄賂の銀行口座データぐらいしかない。今回のディール成立はそのネタでもたたき売りを阻止するには弱いという米の判断を示した。つまり中国の持つ脅しネタに米が屈したということである。米国開闢以来の屈辱的ディールだが、米はカネがない。米ドルもオバマの政治生命もそこまで危なかった。

つまり米中は今や同盟国である。米ドル防衛で依存することになった中国が太平洋で少々暴れまくろうと本格的に手は出せない。だから今、南シナ海で中国はやりたい放題、ジャイアン状態なのである。尖閣の有事において日米安保条約は日本側の期待ほどには守られない可能性がある。セコムが鳴っても来るのはセコムの警備員だけで警察官は来ないかもしれない。我が国は自衛以外の道はない。

米中の軍事衝突はない。中国は勝てないし米国の通貨主権を奪えば勝ちだからそんなへまはしない。では西太平洋での軍事覇権が何のために必要かというと人民元の信用力をつけるために他ならない。それを米は止める資金も交渉力もない。通貨覇権を失った米は今の中国と同じただの大国か資源国にすぎない。そこでドルペグは中国の方が解除する。だから王手飛車取りである。将棋は詰んでいる可能性がある。米がそれを阻止するには「将棋盤をひっくり返す」しかない。それはあり得るし、それが何か?だ。

安倍内閣は靖国参拝(同盟国中国を刺激したため米は非難)、TPP難癖で議会を怒らせているが、安易にまつろうことなく今の路線で断固やるしかない。米国が異質なイデオロギーの中国をくわえこんだのは自民党が公明党をそうしたのと同じ。したたかにやるしかない。

日中の政治対立、軍事対立はさらに鮮明化する(そうしないと通貨覇権に及ばない)が、安倍路線の進展で「攻められない軍備レベル」に到達すると思料。株式市場はカントリーリスクには敏感である。有事には暴落の恐れ無きにしも非ずであるが、真の有事ではないので必ずリバウンドする。有事に強い金を保有し、有事の下落で株を買い増す資金余力さえあればよい。

 

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