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カテゴリー: 野球

「エースで4番」とはなにか?

2018 APR 9 23:23:20 pm by 東 賢太郎

子供はみんなプロ野球選手をみて「速いたまを投げたい」、「遠くまでかっ飛ばしたい」と憧れて野球を始めると思う。でも高校あたりまでくるとどっちか得意な方に落ち着くことになるのがふつうだ。そこでまだ両方がんばれるスーパーマンの子だけが「エースで4番」になれる。

甲子園でエースで4番がいるのは3,4校ぐらいか。強豪校になるとスーパーマンはたくさんいるから分業したほうが有利である。さらに上の大学・ノンプロではスーパーマンがふつうであり、分業が常識でエースで4番はもはやゼロだ。さらに上の野球エリート集団であるプロ野球は超スーパーマンしかおらず、完全分業制でそういう人はいないことになっている。

高校までは投手は打者でもあるから打席に立ってガンガン打つこともある。しかし野手がマウンドに立って10個も三振を取ることはない。それができるなら彼は最初から投手登録されるからだ。だから「エースで4番」になるにはまず投手であるのが条件ということになるだろう。

プロ野球でそれがいないのは超ウルトラスーパーマンはそうはいないからだが、職業野球ならではの理由もあると思う。打撃の良い投手を打線に加えるということは打者の職場をひとつ奪うことだ。打撃にプライドと人生をかけている男たちが一人の野球少年のわがままにつきあってくれるほどプロは甘い世界ではないだろう。

日本ハムで大谷翔平がそれをやったのは本拠地お別れ試合だけだった。この試合のビデオを僕は特別な感慨を持って眺めた。4番中田翔は大阪桐蔭高校のエースで4番だ。自分よりうまい者がいるなど辞書になかったろう。彼は投手を捨てて打者にかけた。その中田が昨年、二刀流大谷の2016年よりも5割多い打数を重ねながら打率、打点、本塁打どれも上回れなかった。大谷はNPBでエースで4番定着もありだったと認めていいだろう。

メジャーで大旋風となっている彼の映像は別世界の出来事だ。何の世界であれ力でこれほどアメリカ人をねじ伏せた日本人がいただろうか。7回1死まで完全試合で12奪三振の男が3試合連続ホームランを打ったら野球の世界ではベーブルースを持ち出すまでもなく天変地異だ。相手は土下座させられて文句もいえぬ、二の句もつけぬ完敗だ。

それを「すごい!異星人だ!」と認めるアメリカのファンもさすがだ。初本塁打のボールを拾った子が「どうするの?」ときかれて「大谷にあげるよ」とこともなげに答える。道行くおばあちゃんが「12三振は凄いわね」と熱く答える。イチローもダルビッシュもきっとそうだったろうが、本当に野球を知っているファンに観てもらいたいというのはわかる気がする。

大谷は国宝だ。お願いがある。ひとつ、メジャーで「エースで4番」、ぜひやってほしい。ふたつ、怪我だけはしないでほしい。

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彦根東 VS 花巻東(春の甲子園)

2018 MAR 31 16:16:49 pm by 東 賢太郎

仕事に忙殺され、今年の春の甲子園は見る間もない。ところが今日土曜日、すごいことがあった。

彦根東(滋賀)の左腕・増居翔太(3年)が第2試合の花巻東(岩手)戦で、九回まで無安打無失点に抑え、試合は0―0で延長に入った。

甲子園大会でのノーヒットノーランは春夏通じてこれまで37回達成されているが、その中でたった1度だけ、延長戦で記録されたノーヒットノーランがある。57年第39回大会でのこと。その記録保持者こそが、早稲田実(東京)の2年生エースだった王貞治(元・巨人)である。

 

十回裏の先頭打者に右前安打を浴び、さらに無死満塁からサヨナラの中犠飛を浴び、0―1で敗れた。九回までノーヒットノーランをしながらの敗退は、センバツでは2度目。夏は1度、プロでは過去に3例ある。

 

 

ソナー・メンバーズ・クラブ評議会は増居翔太に「惜しかったね賞」と「文武両道賞」を授与することを決定した。理由は下記のとおり。

1.体がでかい⇒速い、ではないこと(171㎝、64㎏)

2.九回無安打14奪三振、うち12がストレートであったこと

3.京大工学部志望であること(ぜひ入ってね)

4.夏も頑張れよ!!

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以上

東京ドームで最高の気晴らし

2018 MAR 25 2:02:39 am by 東 賢太郎

気晴らしに子供と東京ドームで巨人対楽天のオープン戦を観戦した。席はネット裏20列目で上々だ。久々の球場とグラウンドが目にまぶしい。3万3千人とほぼ満員である。まず書くべきは巨人の内野シートノックだ。ノッカーの井端がうまい。リズムがいい。無駄も遊びも皆無である。プロのうまさに敬意を表しながら見とれる。実に美しい光景で、ボリショイ・バレエ団の白鳥の湖の大団円を思い出した。

美馬と田口の先発。初めて実物を見る美馬はうれしい。身長169センチと僕より低いが、イーグルスで則本、岸と3本柱となる素晴らしい投手である。スライダー、ツーシームで内外角を攻めるコントロールを武器とするイメージが強いが、実はストレートに高いエネルギーがあって差し込む威力があり打者がみな振り遅れる。そう見えないが「凄い球」を投げるという印象を僕は持っている。軽く投げても球が「行く」。いいピッチャーだなあ、北別府の全盛期にちょっと近いなと思った。

140キロ台半ばだが実物はずっと速く見え、TVのイメージ以上だ。ミットをはじくパーンという音も最も強い。これがたまらない。6回投げて吉川尚の2ラン以外は当たり損ねの3安打だけで誰もまともに外野に飛んでいない。う~ん、見事だ。去年のカープとの交流戦であの好打者・丸が3三振を食ったが(見たことない)調子が良いと何もさせてもらえずノーヒッターもあり得るタイプの投手とみた。一番見たかった投手の球!仕事疲れに何よりの薬だ。

速いというなら澤村とカミネロ。澤村は2三振で何もさせず。完全復調したようだ。カミネロの157キロはすさまじかった。爆発的な威力。あれは打てそうもない。きのうの上原は138キロ、125キロの投げ分けで(球種はわからなかった)遅い、大したことなかったが、復調すればこの3人のリレーは手ごわい。

しかしこういう筋肉もりもりや、大谷のように身長2メートル近くありますとかいうと、うわっ速いねと驚きつつもそりゃそうでしょうとも思ってしまうのだ。超人を見に行くのが野球観戦の醍醐味だし非日常体験でもあるのだが、どこか動物園にライオンを見に行ってでっかかったね、怖かったねと言ってる感じもする。

田口は140キロが出ない、130代半ばで意外だった。しかしストレートはもっと速く見える。コントロールと投球術はさすがだが5安打1失点で3イニングと調子は今一つだった。2番手の日ハムからきた吉川光はよかった。球の切れがあり先発も行けると思う。となると今年の巨人は侮れない。打線の迫力がやや足りないが広い名古屋で35本打ったゲレーロは40は打つだろう。

楽天は強い。層も厚い。常総学院出の内田はいいなあ(サード)。昨日マシソンの150キロを打った一発(レフト)、今日は田口からライト中段へ一発(素晴らしい)。フリー打撃練習では習志野出の山下斐紹(捕手)だ。打てば中段に入れてる。投球の質も良い。なんだこれはと思ったらSBのドラ1だ。こんな人でも島、足立のサブか、プロはすごいなあとため息をつく。巨人は智弁学園出の岡本だ。でかい。振りもいい。これはホームラン打てる。美馬から粘って一発打った中京出の吉川 尚輝も右投手にはいいかもしれない。捕手で東海大相模出の大城。左だしスローイングの質も大変良い。

オープン戦は当てにならないが、見る限り中日も良さそうで、去年お客さんだったこの2チームが復活するとカープは場合によってはAクラスも危ない。今日SBに逆転負けして5連敗だが、投手がいない。僕は去年は岡田、薮田が出来過ぎだったと思っており、それは黒田効果の余熱だったと考えている。熱は残ってるのだろうか。大瀬良も打たれ九里もだめで先発はジョンソンと野村だけだ。中継ぎもジャクソンが危ないしカンポスはどうも中途半端だ、もっといいのがいなかったのか。抑えも中崎だけだがサファテ、カミネロのウルトラ・パワーに比べるとどうだろう。打線は鈴木誠也次第でそれなりに点は取るだろうでが、投手力は大いに不安があるのである。

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わくわくのプロ野球キャンプ雑感

2018 FEB 12 2:02:56 am by 東 賢太郎

プロ野球のキャンプもそろそろ第3クールに入り、紅白戦、オープン戦に突入いたします。いよいよ野球なしの寂しい季節の終わりで、球春といいますが、桜が咲く前に春が来て毎年わくわくさせてくれます。日ハムはアリゾナで韓国のチームと対戦していて、TVを見ていたら清宮選手がファーストの守備でプロ初登場してました。なかなかの風格でしたね。

大谷選手の特集番組もあって、エースで4番だったオリックス戦のハイライトを見ました。吉井コーチいわく本調子でないのに2安打完封です。ところが監督は打者としての方が天性のものがあると評価していて想像がつきません。プロでエースで4番なんて、アニメでも漫画的すぎてないでしょう。もうそれができる人は出ないかもしれないし、ひょっとしてメジャーでやったら快挙ですね。

カープは日南で紅白戦です。両高橋投手が合格点で、アドゥア投手の球の勢いも楽しみです。昔からハードなキャンプで有名で、元気の良さは12球団一番でしたが夏ごろに失速してました。今は選手層も厚くなってそれが続くので強くなったのでしょう。攻走守をバランスよく鍛えるのは野球の原点で、それ向きの選手を集めているのがいいですね。試合では3年目の捕手・坂倉の2安打が光りました。今年は彼に要注目です。

阪神はDeNAとオープン戦です。タイガースが8-0で勝ちましたが、2年目の才木投手はいいですねえ、150キロ出てスピンが効いて打者6人から5三振取りましたが4人は直球でした。決め球だけでなく、ほとんど直球は空振りが取れて、打っても誰もフェアゾーンに飛びませんでした。この時期とはいえ、大変なことです。神戸市立須磨翔風高校という公立出身なのもレアで楽しみです。

今年のセリーグは広島が引き続き強いでしょうが、4番に強打のロサリオが入った阪神が若々しく元気です。

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あなた変な人ですね

2018 FEB 10 1:01:06 am by 東 賢太郎

クラシック音楽ファンが働く業界ランキングは知らないが、証券業は最下位に近い方であることは間違いないだろう。企業オーケストラはメーカーに多いが商社にもあり、金融だと銀行にもある。しかし証券会社のはきいたことがない。僕のいた会社を思い浮かべても、100年たって富士山が噴火して消えていようと人工知能の総理大臣が誕生していようと、あそこに交響楽団が設立されているとだけは思えない。楽器演奏はおろか、本格的にクラシック好きという証券マンに出会った経験もない。40年近く業界にいるのだから恐るべきことだ。

忙しくて無理というのもあるだろうが、もともと静かに交響曲を聴いたり幼少から楽器を習って学生オケに入ったりという家庭環境の人は証券界のような粗暴な世界には縁遠いのだ。日本だけかと思ったが、米国でもモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスにオーケストラがあるとは聞かないから国際的にそうかもしれない。たしかに、世界の証券マンを見わたしても、バックオフィスはともかくフロント部門には強欲、野獣系が多く、高学歴ではあってもインテリヤクザの観がある。

お前もそうだといわれそうだがそうではない。もともとピアノを弾いたり交響曲をじっと聴いたり系の人間であって、ただ尋常でなく株が好きだ。これは星が好きなのと同系統の趣味で、お買い得の株を探すのが飯より好きである(だからソナー探知機の社名にした)。そこにお金が落ちているのにどうして拾わないんですか?あなた変な人ですねと他人を説得することに情熱が入ってしまう。別にそんなことが生き甲斐でも得意技でもないが、本能、本性なのだからそれで飯が食えるんなら楽でいいというのが僕のようなクラシック好きが証券界に棲息している唯一の理由だ。

一方、証券界に野球好きは多い。きのうは弁護士先生がやはりそうとわかり、都大会ベスト8で京華に負けましてなどときくと神々しく見えてくる。こっちはたいした戦績もないが、わかってくれるかなと話すとわかってくれる。これはキャッチボールしてちゃんと胸元にバシッと速球が返ってくるあの清冽な折り目正しさを伴った感触であって、こう書いてもわかる人しか全然わからないだろうが、わからない人や女子供に話しても「でも負けたんでしょ」で終わるあの馬鹿らしい淋しさの対極なのだ。無理に「へ~すごいですね」と確実に何もわかってないのに言われるとすきま風は倍加するのであって、先生との会話はまさしく一服の清涼剤であった。

硬式野球経験者でクラシック好きとなるとどうかというとやっぱり珍種であることは確実と思われる。野球好きからもクラシック好きからも証券インテリヤクザからも、いったん仲間かなと期待されるだけにそれがかえってあだとなり、えっそんなのも好きなの?あなた変な人ですねと引かれてしまうのだ。だから友達はそのどれでもない人しかいないと言って過言でない。彼らは元から別世界の人としてつきあってくれるし、こちらも無用にそのとんがった所を見せずに平穏につきあえるからだ。

要は「3種混合」であって自分でもそのどれがホンモノかよくわからないというコンプレックスな人間ということになる。既製品の鋳型にはまりようがないから日本で生きにくかったのはそれもあるかもしれない。あえて、どの同種と話すと楽しいかというと、それはもう圧倒的に野球ということがこのところの一連の経験で自覚した。僕は音楽家でも証券マンでもなく、野球人間オズマだったのだ。しかし、ないものねだりだが、色覚さえ普通なら絶対に宇宙物理をしたかった。

ディールの追い込みで3連休など存在しないが、気持ち的には小休止してマサチューセッツ工科大学物理学教授、マックス・テグマーク氏の著書「数学的な宇宙」(究極の実在の姿を求めて)にとりかかることにした。氏は51歳と若いが数学的宇宙仮説の提唱者として知られ、200以上の論文・著作を持ち、その内の、9つは500回以上引用されている傑物である。宇宙のことは誰もわからない。物理学といって哲学に思えるものもある。であれば、おそらく人間の知るワールドで万物の説明言語として最も解明力のあると思われる数学に頼ってみるのが筋じゃないかと素人なりに思うのだ。

中村先生の紫色LEDとレーザーをわかるのに高校の物理の教科書を読んでいるレベルだ、この本が平明に書かれているとはいえわかるとは思えないが、本能的に引きつけられるものがあるから仕方ない。毎日こういうことをする人生も楽しかったろうと思うし、こうして空の彼方を考えているとヘンツェの交響曲が聞こえてきて、やがて星の彼方に父はいるというシラーの詩から第九交響曲が聞こえてきたりする。そうして音楽愛好家の自分がたちあらわれてきて、ますます人間とは何かがわからなくなるのだ。

 

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野球ロスという憂鬱

2017 NOV 5 17:17:21 pm by 東 賢太郎

2012年というとSMCが始まった年だ。その年の9月にブログというものを初めて書き、11月4日に投稿したのがこれだった。

アメリカには季節は2つしかない

いまの気持ちそのものだ。毎年ここで精神がダウンしてきたんだと思うと、もう風物詩とでも考えるしかない。正月、桜、梅雨、花火大会、秋晴れ、台風のようなもので、「野球なし」は俳句の季語になるばかりかこの世の終わりに近い気もする。

僕は基本的に退屈を知らないが、ここ数日は確実に退屈するだろう。他のものがなくなるわけではないが、野球の喪失感を埋めるものは無い。つまり、日々の楽しみというならば飲・食・聴・読・書などいくつかあるが、これがおきるかどうかで判断するならば、僕の人生に最も大事なのは野球であるということになる。

ソフトバンクの松坂がとうとう戦力外通告となりコーチ契約のオファーをけって退団するそうだ。「もう一度マウンドに立ちたい」ときくと、とてもシンプルに、腹の底からわかる気がする。まだいけるぞ、やれやれと。僕ごときが松坂におこがましいが、野球少年だったのはいっしょ。そうじゃなきゃ、それがわかんなきゃ、あんなことやってないし。

ときどき夢に出てきてきてはっと目が覚めるのは、マウンドの投球プレートに白球がぽんとある景色だ。それが僕のマウンドの一番の記憶ということなんだろう。高校生は最後のアウトをとった球を、そうして置いてベンチにひきあげる。礼儀みたいなもんだ。だから、守りにつく側の投手がマウンドに登ってご対面するのはきまってその景色なのだ。

上の写真はちょっとちがう。こういうことはあり得ない。実際はスパイクが掘った穴ぼこが荒々しく野蛮にぽっかりあいていて、そこに球がはまっているのである。こんなに土がきれいな状態は初回だけだが、初回に置いてあることはない。ネットで探したがそういう写真は無かった。写真家の美のイメージと、そこで闘争している者の残す生々しい痕跡は似て非なるものだ。

梶井 基次郎の代表作「檸檬(れもん)」にこういうくだりがある。

「えたいの知れない不吉な塊」が「私」の心を始終圧えつけていた。それは肺尖カタルや神経衰弱や借金のせいばかりではなく、いけないのはその不吉な塊だと「私」は考える。好きな音楽や詩にも癒されず、よく通っていた文具書店の丸善も、借金取りに追われる「私」には重苦しい場所に変化していた。友人の下宿を転々とする焦燥の日々のある朝、「私」は京都の街から街、裏通りを当てもなくさまよい歩いた。

そこで、前から気に入っていた寺町通の果物屋でレモンを一つ買って、ひととき幸福な気分になった「私」はこういうことをする。

久しぶりに丸善に立ち寄ってみた。しかし憂鬱がまた立ちこめて来て、画本の棚から本を出すのにも力が要った。次から次へと画集を見ても憂鬱な気持は晴れず、積み上げた画集をぼんやり眺めた。「私」はレモンを思い出し、そこに置いてみた。「私」にまた先ほどの軽やかな昂奮が戻ってきた。

そしてこう書くのだ。

見わたすと、そのレモンイエローはガチャガチャした本の色の階調をひっそりと紡錘形の中へ吸収してしまい、カーンと冴えかえっていた

カーンと冴えかえっていた。穴ぼこの白いボールがまさにそうだった。夢に出るのは炎天下の7回ぐらいか。打たせたくない、がんばるぞ、でもしんどい、ものすごく暑い、もう握力がない、球はすこし泥でよごれてるぞ、汗ですべらないかな、ロージンバッグだ・・・。

しかし憂鬱がまた立ちこめて来て、画本の棚から本を出すのにも力が要った。次から次へと画集を見ても憂鬱な気持は晴れず、積み上げた画集をぼんやり眺めた。

いまはそんなものだ。

 

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(PS)

現在、東のブログがトップページからは開かない状態になっております。SEさんが調べたところ「wordpressのアクセスカウンタープラグイン”Count per Day”が原因で、東さんのサイトはアクセス数が非常に多いため、高性能な分たくさんの情報を内側にストックしてしまい、それが限界を超えたという形です」との連絡がありました。修復すべく作業をお願いしております。

 

ソフトバンク日本一おめでとうございます

2017 NOV 5 2:02:06 am by 東 賢太郎

中島さん、ソフトバンク日本一おめでとうございます。セリーグ3位に4勝2敗はパの王者としてご不満でしょうが、DeNAも雨中のCSを勝ち抜いて高校野球のチームみたいにどんどん強くなりましたし、最後の2試合は手に汗にぎる素晴らしいゲームになって全国の野球ファンを熱くしてくれました。

それにしてもこの試合、もしDeNAがあのまま3対2で勝ってたら両者とも崖っぷち。第7戦は濱口が出てきてSBはいやな展開になったかもしれません。そういう空気が漂いはじめていた9回裏、1点差で絶対の守護神・山崎が登板。デスパイネを遊ゴロに打ち取ってあとふたり。そこで同点ホームランを打ってしまう内川には見ていて鳥肌ものの衝撃をうけました。そこから3イニング投げたサファテの気迫の凄さが打線を鼓舞してのサヨナラだったでしょうか。

DeNAは8回と11回に痛いミスがあって無念の敗戦でしたが、しかし無敵の王者SBとここまで死闘を演じて互角に戦ったのはあっぱれの一言です。ラミレス監督の指揮は心から絶賛いたします。内川の一発で火がついたSB打線の風圧はすさまじいものを感じましたが、そのウルトラ強力打線に負ければ終わりの第4戦であわやノーヒットノーランを演じてしまった新人・濱口(!)。驚きました。しかも彼が7回で10奪三振なら、今日の今永は7回で11奪三振です。大谷みたいに速くはないけど、見ていて快感を覚えるストレートでした。しびれました。

プロ野球に入れる人達は全員が「天才」なので下々だった僕らは仰ぎ見るばかりなのですが、そのレベルの人達が死力を尽くして戦うシーンは壮絶であります。しかし天才の中でも、ここぞで結果を出せる人はさらに図抜けた人であり、そういう人を僕流にはスナイパーと呼ばせていただいております。本シリーズのMVPはサファテ投手になったそうですが、(場面の重み)×(出した成果)の巨大さから、SMCは「最優秀スナイパー賞」は内川選手と決定いたします。

両軍選手の皆さん、こんな素晴らしい野球はめったに見られるものではありません。最高にプロフェッショナルなプレーを有難うございました。

 

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日本シリーズに見るスナイパー指数

2017 NOV 3 1:01:29 am by 東 賢太郎

野球が一日でも多く見られるのがうれしい。海の向こうではドジャースがダルビッシュの5失点で終戦を迎え、日本の方も3連敗で崖っぷちのDeNAが先発バンデンハークに手も足も出ず、ああ今年の野球もおしまいかと観念した。そうしたら筒香の一発が出て、クローザー山崎が渾身の投球で強力なSB打線をなんとか抑え、九死に一生を得た。手に汗握る好ゲームだった。

14ゲームも差をつけられた3位のチームがシリーズに出ているのはおかしいのだろうか?見ていて思った。いや、そんなことはないと。

バンデンハークの立ち上がり、ストライクゾーンのストレートを誰も打てない。これはそのままいけば完全試合になるのであり、まずいと思った。しかし4回にロペスが筒香がそれを打った。こういう打者がいるのがつよい。

打率や勝率というものは確率だ。10回打って3安打すれば3割打者である。しかし彼が11打席目に安打するかどうかは、実は誰もわからない。10回打たせてもらうわけでない、「次の1回だけの打席」においての話である。彼が打つ確率は30%でしょうでは答えにならない。今日の降水確率は30%です、では傘を持って出るかどうか微妙なのと同じだ。

シーズン勝率で上だったのは広島、阪神だ。しかし「次の1回だけの試合」で強かったのはDeNAの方だった(CS)。であれば、「次のここ一番」である日本シリーズにおいて、そういう戦いにおいて一番強いセリーグのチームに出ていただくのは全然おかしくない。下克上というが、そうではなく、スナイパー能力の高低だろう。これは僕の仕事における定義だ:

スナイパー指数=(求められる結果)×(そこで出した結果)

である。僕はこれで人を評価している。野球でいうなら、どうでもいい所でホームランを打っても、満塁で三振に終わっても、指数は低いわけだ。3割打つが指数が低い人と、2割5分だが指数が高い人なら、断然後者のほうの給料を高くしたい。勝つにはそういう人が必要だからだ。広島というチームはDeNAよりもこの指数が低かった、だから負けたのである。

昨日のゲーム、筒香、山崎は高い指数を記録したし、そういう選手が増えてきた方が勝つだろう。それをシーズン通しての確率で論じるのは無意味である。DeNAは新人の濱口が負けたら終わりの瀬戸際で、あわやノーヒットノーランの快投をやってのけた。おわかりだろうか、指数は満点である。今永もゲームはせり負けはしたが、快速球で三振奪取して打者を威圧した効果は大きく、だから7回で10奪三振は大変な高得点だ。

SBは左投手に苦労しているように見える。1日置いてヤフオク決戦だが、まず間違いなく先発は今永、勝てば濱口だろう。SBは千賀、東浜だろうか。最後の最後に、最高レベルの野球が見られそうだ。

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広島カープ奇襲に敗れたり

2017 OCT 25 17:17:45 pm by 東 賢太郎

史上初の10ゲーム以上の差からの「ウルトラ下克上」だったというが、公式戦で勝ち越したほうがやっぱり勝ったということでもあった。まあ、プレーについてああだこうだ言うのもむなしい。どうしてこんな強いDeNAがペナントレースを制しなかったんだろうという疑問だけを残してセリーグの覇者カープは消え去った。

公式戦でのカープは僕も黄金期を予感したほど圧倒的に強かった。ポストシーズンもそれをやるだけという緒方監督の「いつものどおりの野球」は批判できない。それを自ら崩すリスクを取る理由はなかったと思うからだ。1位チームの宿命である対戦相手未定のままの10日のブランク。これが命運を握ったように感じる。その間、まじめなカープが準備を怠ったはずはない。ソフトバンクだって同じシチュエーションで最初の2つを落として冷や汗をかいた。カープのほうは本領が戻る前にあっけなく倒されてしまったという印象が強い。

 

戦い前のカープ関係者の心境というと察するにこんなものだったろう。

投手陣は休養充分、相手は疲れてる、真っ赤に染まるズムスタの大歓声、相手はずっとアウエーだ、台風で雨が降れば日程有利だ、社会人との練習試合で準備はしてる、去年も勝ってる。俺たちはリーグ王者だ、有利、有利、有利・・・。

えっDeNAか、巨人か阪神ならよかったのに、あそこには負け越してるし、あの歴史的屈辱の3試合連続サヨナラ負けがあったよな、鈴木誠也、安部、エルドレッドがいない、石井、河田コーチは辞める、嫌だ、嫌だ、嫌だ・・・。

誰にだってあるプラス思考とマイナス思考の葛藤だ。ただ、考える時間がけっこう長かったのと、マイナスの方にちょっとしたトラウマがあったのがやや特別だったかもしれない。みんなあれは忘れようぜと「なかったこと」にはなっていたろうが。

 

それはこれだ。8月22日のハマスタ、先発はカープがエース野村、DeNAは実績のない飯塚。終始楽勝ムードの中、3点差で勝っていた9回裏に筒香、ロペス、宮崎の3連発で信じ難い逆転サヨナラを喫した試合である。屈辱の3連敗はここから始まった。そのシーンをご覧いただきたい。

昨日の勝利シーンより盛り上がってるではないか。この試合、実はその3ホーマーには伏線となる号砲があった。8回裏、好投していた野村が代打・嶺井に打たれた本塁打である。夏場の連戦で疲れている救援陣を休ませたいから完投してあげよう。点差は4もある。嶺井はホームランはないだろう(今年はそれを入れて3本)。やさしい野村の気がゆるんだかもしれない一球だった。

しかしそれでも差はまだ3点あった。9回表そのまま捕手についた嶺井は、敗戦処理で出てきた投手・尾仲を強気にリードして菊池・丸・鈴木誠也を三振・三ゴロ・三振に切り捨てたのである。これでやや空気が変わった。その裏、2番柴田がヒット、そしてとうとう出た筒香のツーラン。空気は完全に変わった。野村にかわって急遽登板となった今村が2連発を食らって、あっという間にカープは撃沈されたのである。ちなみに尾仲はシーズンこの1勝のみだった。

ひとつだけ緒方に苦情をいうなら、このCSファイナル、2戦目は野村でなくジョンソンでいくべきだった。8月22日を覚えているならだ。9点取られて万事休した昨日の屈辱のゲーム、そのローテーションなら先発は野村ではなくジョンソンだったのである。第3戦でカープ投手陣で唯一好投したジョンソン。たら、ればを言っても仕方ないが彼をたてて第2戦を取ってればそこでもう王手だった。先行きは変わっていただろう。

8月22日の捕手・曾澤は野村をリードした昨日の2回、宮崎を内角シュートで攻めた。黒田流だこれはいい。しかし野村が頭を振って全力で投げたそのシュートを会心の一撃で左翼席に運ばれた。初回に2点先取してはいたものの、この1点でもう嫌な予感がしたカープファンは多かったのではないか。8月22日を覚えているならば・・・。そのシュートはさらに甘くなって今度は桑原に左翼ポールに当てられた。その瞬間に、僕のなかではそれはほぼ確信になってしまった。ラミレスなら野村を3回も引っ張らず、宮崎の一発を見てすぐ替えていただろう。

昨年10月のCSファイナルS。広島相手に1勝4敗で散ったマツダスタジアムのロッカーで、DeNAはほとんどの選手が涙を流していたそうだ。今回そのリベンジにかけて一丸になっていたのはあまりに当然で、シーズン勝ち越しや3連続だってそれがモチベーションの根底にあったろうし、あれをもういっちょうかましてやろうと燃えていただろう。かたや筒香に打ちのめされKOされてベンチでへらへら笑ってた大瀬良、こいつはなんだったんだろう。開幕前にラミレス監督は「優勝ラインは80勝。だから80勝つ野球をする」と言った。米国流の合理主義者で知将なのだ。だから彼にきいてみたい。「どうして戸柱でなく嶺井を使ったの、8月22日だよね?」と。そう、もうひとつかな、「孫子は読んでるよね?」なんて。

総力戦?ちがう。弱い方が総力つくすのは当たり前。ラミレスがしたのは奇襲、撹乱、瞬殺だ。孫子の兵法そのもの、桶狭間の信長もしたことだ。奇襲とは敵を混乱させて反撃の猶予を与えない攻撃方法である。自分から仕掛けないと撹乱、瞬殺できないから奇襲は受け身ではできない。野球でいうと打撃は受け身であり奇襲は代打起用や盗塁の程度だからどんなにやっても想定の範囲内にとどまる。本当にええっと相手を驚かす奇襲は投手起用でしかできないのである。

先発石田を1イニングで替える、優位な試合なのに前半からめまぐるしく7人も投手をつぎこむ。しかもエース級の濱口が4回に、今永が7回に出てくればもう何をしてくるかわからない、これぞ奇襲でなくてなんだ。そこでカープ打者は嫌なのが来たなと心が乱れて打ち損じる、これぞ攪乱でなくてなんだ。そして最後にパットン、山崎という絶対の2人による瞬殺が待っているのである。

この監督の兵法を現場でまかされたのが嶺井捕手だった。僕はこのCSは嶺井にやられたと思っている。阪神戦は嶺井、戸柱、嶺井の順だった。広島戦は戸柱、高城、嶺井、嶺井、嶺井だ。ラミレスが8月22日を意識したかどうかはともかくジョンソン先発の第3戦で完封した嶺井に賭けようと腹をくくったようで、どの時点だったかは知らないが「チームを日本シリーズに連れて行くのはお前だ」と嶺井に告げたときく。正捕手の戸柱でない人にである。捕手が変われば配球が変わる。これも投手起用の奇襲効果を増幅した。カープ打者は左右高低を派手に揺さぶられて徹底的に嶺井に攪乱された。

つまり、ラミレスは意図的に「いつもどおりでない野球」をしたのであり、緒方は「いつもどおり」にこだわった。公式戦で勝てたのは長丁場の戦いでは相手もいつも「いつもどおり」にやるしかなかったからだ。カープサイドの視点からすれば今回の負けはバッテリーの負けである。投手ウィーランドを3回も出塁させてあげる優しいお嬢さん配球。いやらしさ皆無。これじゃ抑えられんぞと見て取った打線が焦る。そこに相手の投手起用と嶺井の奇襲がドンピシャでハマって新井と田中以外おかしくなった。「いつもどおり」は「いつも」を忘れた人にはできない。ベンチとちぐはぐになり、さらに焦ってさらにおかしくなった。

そのいい例が5回の松山のファウルフライ失策だ。失策がついたがひとりボーンヘッドである。フェンスまで少しあるぜんぜん何でもない高いフライをさわれもせず、球はグラウンドでむなしくはね返った。直前、筒香にバックスクリーンにぶち込まれたツーランのショックがありありとしていた。アナウンサーまでなぜか失策に無言という野球放送でも稀に見る悪い空気がただよってしまった。それで打てと言われても誰だって無理だ。終戦後ベンチでどす黒い顔でうなだれて動けなくなっていた松山が気の毒でならない。松山気にすんな、僕はシーズン優勝のMVPは君だと思ってるよ。

すべては優勝、短期決戦の豊富な経験があるラミレス、ない緒方の差だった。経験してないことは人間はわからないのだがこうして大本営が戦略を間違えると兵が悲惨なことになる。前回の戦争みたいに。基本を大事に、努力はこつこつ他人より多く、やることやればできる、平常心、不動心で黙々とというカープ野球は日本人の精神構造に根強い農本思想によくマッチする。奇襲とは相いれない。このCS、カープのベンチや選手を驚かせたのは奇襲だが、心底おののかせたのはそうではない。焦って混乱してびびってしまった自分たちが眼前で目にしたDeNA選手たちの躍動する姿は、今年自分たちがやってきたカープ野球、いつもどおりの野球そのものだったからである。

木鶏のような強さは理想だが達成は難しい。2千年も前から群雄割拠があたりまえの欧州、中国で孫子やマキアベリが木鶏になれなどと言うはずもない。相手を欺け(奇襲、偽装、スパイetc)と説いている。木鶏であろうがなかろうが奇襲はされる、ではされたらどうするかも計略のうちなのだ。緒方はこの悔しい敗戦を農本主義の精神論で克服するのではなく、それを学ばなくてはと思う。ラミレスが奇襲するならどう来るだろう、それならあの8月22日に違いないぐらいは指揮官として読んでおくべきである。彼は「なかったことに」派の気がするのだ。ゼロ戦を恐れた米軍がそれを丸ごと捕獲して解体して調べあげた、そういうことが大本営には一番大事な仕事である。

 

(PS)

せっかく奇襲に成功したのに自分がすでに木鶏だと勘違いして兵をかわいそうなことにしてしまった小池百合子はこのCSをケーススタディにしたらいい。

 

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うちのスタイルに合わない

2017 OCT 2 23:23:32 pm by 東 賢太郎

カープが清宮のドラフト指名から撤退したらしい。理由は競争率でも契約金でもなく「うちのスタイルに合わない」だ。しかしホンネは「いらん」だろう。

清宮は好打者と思うがこの決定には大賛成である。素晴らしい。カープのスタイルはまず足と守備だ。ホームランじゃない。それが赤ヘルのイメージとして定着してるせいか彼はカープのユニフォームが似合わない感じがする。ということはスタイルに合わないということなのだ。カープに必要なのは先発と抑えの両方で強力な左腕投手である。それとサードがほしい。広陵の中村は適材だろう。

ファーストかレフトしかできない、でもホームラン40本打ちますよというのは外人の指定席なのだ。ドミニカのカープアカデミーからバティスタのような日本人が逆立ちしてもかなわない身体能力の巨体の若者が出てきている。コストも安い。しかもバティスタはライトができるから上玉で、指定席にもうひとり強打の外人をおけるから圧倒的に利点がある。野球というのはいくら強打を誇っても守る所がなければ試合には出られない。つまりカープに清宮の居場所はないし、他球団で無理に場所を作ってレギュラーで出てくれれば付け入るスキが万年できて有難いのである。

ちなみに巨人の得点力がないのは外人指定席のファーストに大事な「阿部様」を置かなくてはいけないからだ。そして空き家となったセンターラインかなめのキャッチャーに置いた小林がこれまた極めつけの超貧打である。ダブルパンチなのだ。主将としてそのツケが回った坂本のスイングがおかしくなってしまった。それを補ったマギーと村田は来年いるかどうかのよそ者だ。長野、亀井は生え抜きだがもう年齢的に斜陽族のイメージでチームの起爆剤とは程遠い。菅野、マイコ、田口に活きのいい畠も出てきて防御率1位の投手陣にしてこれでは4位は仕方ない。「代打・ヨシノブ」が使えない高橋監督は読売人事異動の被害者だ。

カープの強さは若手がリードするチームワークだが、野球というのは時間の半分は守備であり、守りがリズム良く快調にいくかどうかは精神面で士気に大きく関わる。打撃はひとりでやるが守備は連携が命だからだ。その守備の快調さを左右するかなめは「センターライン」だ。つまりキャッチャー、ショート、セカンド、センターだが、タナ・キク・マルに加えて捕手の曾澤が定着したのが大進化だ。4人は27~29歳でほぼ同期であり、カープ生え抜きの文化で育ったという「血の結束」がある。5年は黄金時代が続くと書いたのはそのためだ。

センターラインの守備の結束は打撃の相互信頼にもなり、それがいわゆる「打線のつながり」を生む。カープは1,2,3番が不動のタナ・キク・マルで、打線にも血の結束が根付いているから強いのである。それが巨人だと坂本、マギー、陽、小林の4人だ。高橋監督はタナ・キク・マル効果を意識したんだろう、陽、マギー、坂本を1,2,3番に並べてコピーしてきた。しかし問題は順番ではないのだ、他球団からFAで盗んできた寄せ集めに血の結束なんかできっこないことこそ問題の根源なのである。

センターラインという視点から広島目線で嫌だなと思うのは以下の通りだ。ソフトバンクの柳田、今宮は12球団最強でキャッチャーに強肩の甲斐が定着しそうだが、セカンドが本多、川島、明石、川崎とまだ見えないのが救いだ。しかしそれ以外のポジションの厚みは圧倒的で付け入るスキなしだ。西武の浅村、源田、秋山、炭谷、これは血の結束もあって強力だ、源田が入ったのが大きいし森が捕手に定着したら12球団最強になるかもしれない。楽天は茂木、島内、嶋だが二塁が銀次か藤田か未定着だ、ここも茂木の加入が絶大だ。ショートが下手なチームに強いのはないのである。去年彼に新人王をやらなかったのは、選んだ記者連中の素人ぶりを暴露した。

阪神は途上である。セカンド上本は当確だが残りはばらばらの起用だった。特に鳥谷が偉大過ぎて後釜のショートが大問題だが、大和になるのか(ともあれ大和の守備は凄い、しかもプロになってスイッチにしたなど天才の域だ)。糸井がいるうちは逆に安心だがセンターを俊介、中谷、高山のどれかで決め打ちしたらカープ並みの血の結束ができそうだ。そうなると一番いやだ。新人の大山は僕がキャンプで感じた通りだ、構えが不敵で見逃がし方も思い切りもいい。投手目線ですごく怖い。金本はなんと4番に据えてしまった。2,3年後に優勝を争うのは阪神だ。これは誰が監督してもだめだったチームに金本が導入したカープ・スタイルの威力だ。

しかし今年のCSはといえばカープはDeNAのほうが嫌だ。桑原、倉本、戸柱が固まって、唯一だめだったセカンドに柴田というのが出てきてしまった。これはまずいのである。レフトに筒香、ライトに梶谷内野はファーストにロペスがいてトップクラスの打撃力だ。ダメだったサードに初めて規定打席に達して首位打者となる宮崎なんて伏兵が現れた。こうなるとセンターラインに加えてサード、ファーストに松田、内川、外野両翼に中村、上林を配するソフトバンクに見劣りしないではないか。

以上が野手の戦力分析である。ここに投手力が乗っかる。これはソフトバンクが最強、次がカープと巨人だったが巨人は消えてくれた。しかし7,8,9回だと阪神、DeNAがあなどれない。今のカープより上だろう。となると、まだまだ道は険しい。CSファイナルまで時間もあくし安閑とは出来ない、なんとかシリーズまで行ってくれと願うのが本音である。

 

(ご参考にどうぞ、これを読めばよくわかります)

野球人類学

読売巨人軍のシビリアンコントロール

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