今年の野球は大谷サンに尽きる
2024 OCT 1 16:16:52 pm by 東 賢太郎
飛ばない球か何だか原因は知らないが、今年はNPBはホームランが激減し、ちんまりとしみったれた野球だった感は否めない。1-0、2-1の真の投手戦はあるにはあったが、そのスコアでも実は貧打戦というのも多く、それなら貧投の乱打戦のほうがよほどエキサイティングだ。4番打者がおらず目下のホームラン数が12球団最低の51である広島カープが8月までセリーグ首位でいられたのは、他チームもホームランが出ないためアラが目立たなかったメリットが大きい。9月に投手が力尽きるや20敗と歴史的大敗を喫してCS進出すら危うくなったいま、残り4試合あるにもかかわらず「大谷サンの54本を上回らない方に賭けたい」とファンに言わしむる非常事態だが、それが今年のカープの地力であって現場は本当によくやったとねぎらいたい。丸や鈴木誠也などホームランを打ち出すと引き抜かれてコスパが悪いせいかドラフトで有力な4番候補を採らず、ここ何年もコストをケチった外人のバッターたるや死屍累々の惨状のうえ今年は結果的にキズモノをつかまされる体たらくだった。これはフロントの大罪であり、米国のスカウトは問答無用で首だろう。
日米の差というと、日本人打者で唯一ホームランで注目された松井秀喜ですら日本で50ホーマーを打ったがメジャーでは最高31本に終わった。現役では鈴木誠也も日本で38本だがメジャーで今年21だ。ざっくりホームランは半減するようだ。ところが大谷は日本で22本だったのが54本と、あっさり法則を覆している。この人、体が強い。米国人と並んでもでかい。巨人なんて球団が名のるぐらい野球はでかい方が強い。しかしそれだけではメジャーでは人並みだ。この成績を出せるというのはそれだけではない、何かは知らねど強烈なメンタルというか生活態度というか人間性、いや哲学とでもいうべき「すさまじきもの」が内面にあると仮定しないと説明がつかないように思う。
一説によると日米の野球にぬぐいがたい彼我の差があったのは昔のこととされる。本当にそうかどうかは選手しかわからないが、大谷を見ているとそう思えてくる。現に3Aで30本塁打した打者が広島に2人来たが、どっちも日本の投手をからっきし打てなかった。日本で19本打った一人は韓国に行って今年50本近く打ったから、短期決戦はともかく長丁場のレースではレベルの違いはいまだ歴然とあると思う。3Aで30本塁打でもメジャーに上がれない。だから年俸がお安い日本にやって来たのだ。ということは3Aとメジャーはその平均年収の差と同じぐらいレベルが違うと思われ、プライシング(値付け=年俸)には市場原理がほぼ正常に働いている可能性が高い。ということは、「54-59」でメジャーを熱狂させた大谷サンのしたことはNPBの選手の年俸平均からして明らかに彼らの想像を絶するもの(要は全然無理)であるという結論になる。
愚生ごときにあってはあたかもUFOでも出たかの如き超常現象を眺める気分であって、メジャー球団のファンでもないから世間様が騒いでるような胸騒ぎを覚えたことも一度もなく、ロスに行ってナマを観ようかなんて欲求も覚えず、至ってクールな一年であった。逆張り型でひねくれているせいもあろうが、経験主義的人間であるので経験のないホームランも盗塁もあんまり実感がないことはある。やったことないサッカーでハットトリック何回といわれても一抹の感動もないが、自分の頭がそれと変わらないと思っている感じがある。
それでもこんな男がかつていたろうかと驚嘆している点がひとつある。とんでもないトレードマネーである。我が業界、カネは紙の上の数字にすぎない。扱うカネが何千億だろうと何の感情もないようにトレーニングされており、もらう賞与もン億円ぐらいは並であって感覚は世間ずれしていると思われる。業界は異なるもののその一点において、彼が1000億円もらった現実はホームラン、盗塁よりは実感のかけらぐらいはある。そんな金額が自分の通帳に載ってくれば、その裏腹の責任の巨大さからくるプレッシャーたるや地球上で最大級のものと想像され、我が身であれば発狂して不思議でないと身震いがするのである。
それを見てか知ってか、ちゃんと発狂したフツーの人がいた。通訳だ。この事件、検察がその気になれば危なかったかもしれぬ。嫉妬からくる悪意と法的なプレッシャーがあったと想像するし、それを振り切った大きな力が働いたにしても、未曽有の凶事がプレーに支障なかった事実は尋常でない。しかも、そのプレーということでいえば、今季はリハビリを行いながら打者オンリーで臨む初の一刀流のシーズンだった。ハンディを乗り越えたのであって、54ホーマー打ったのと同じほどそれも尋常でない。投手として育った彼が日本の風土で盗塁の名手だったはずはなく、新たに挑戦したのだ。そしてこの記録を出し、「大きく期待を上回ってくれた、クレイジーなことだ」とドジャースGMに言わしめた。超一流のスナイパーと評するしかない。
イチローの数字も超人的だが彼は人間も超人的に思えるオーラがあり、打席で集中すると投手に伝わる殺気のようなものがあった。大谷は体のサイズはともかく人となりは一見その辺にいる普通の好青年に見え、殺気などとはほど遠い感じがするのが不思議でならない。思わず親しみをこめて「サン」をつけたくなるほど普通感が半端でないのであって、そもそもこんな野球選手は日本にはいなかった。言動からしても賢そうで東大の教室にいても違和感なく見えるのも恐るべしだ。あの顔だから投手が油断して甘い球を投げてしまうのだろうかとさえ思ってしまうが、この実績なのだからそんなはずはない。
1994年生まれとなると超人類が出現しているのだろうか。このことをもって日本は大丈夫だ、元気を出そうといっても出るものではないぐらい図抜けた現象ではあるが、彼は片言の英語でなく今でも通訳を通して堂々と日本語でインタビューを受けており、発言もアメリカに媚びる様子は微塵もない。立派な日本男児だ。アメリカ人にとっては道を歩いてる普通の人にとってもたかが野球されど野球である。真の勝者は雄たけびを上げるのでなく、ああいう清々しい姿をしているのかもしれない。
思い出となった第100回夏の甲子園大会
2024 AUG 23 15:15:29 pm by 東 賢太郎
第100回の夏の甲子園大会が終わった。昨年の慶応旋風がつい先日のようだが、今年は京都国際高校と関東第一高校の息詰まる素晴らしい決勝戦となり、0-0でタイブレークとなり、2-1で京都国際が優勝した。
ネット裏のすぐ目の前で初戦を見た関東第一高校が接戦をどんどん勝ち抜いて決勝に進出したのも嬉しかったし、応援した北陸高校が強かったこともよくわかった。最高の思い出になった。
京都国際高校。おめでとう、強かった。僕はピッチャーしか興味ない。それもストレート。それも球速でなく球質である。毎年見てるが、あ、これはいいな、打てないなと思うのは大会で一人か二人しかいない。それがこの高校は二人いた。
どの試合だったか、背番号11番の西村投手を見た。9回になっても135キロにみんな差し込まれており、いつまでも見ていたいピッチャーだと思った。彼はチェンジアップばかりが評判だが、そもそも直球が速くないと通用しない。
ところが決勝で初めて見た1番の中崎の135キロはもっと凄かった。空振りを見て元巨人の杉内を思い出した。4番高橋を空振り三振に取ったインローのクロスファイヤーは球威も制球も鳥肌ものだ、あれはプロでも打てんと見た。
関東第一高校は先発・10番の畠中。走者を出して押されながらも断ち切って6回零封した胆力が見事。救援の1番・坂井の148キロは打たれなかった。タイブレークの押し出しで坂井を替えなくてもよかったかなと思うが、まあ結果論だ。
両校、プロがあり得る京都国際の両左腕、関東一高の坂井とサード高橋はいたがスターは他チームもいた。その中で両校は投打のバランスが良く、ここぞの場面の走塁、堅守で精神力も鍛え抜かれていた。いい野球を見せていただいた。
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甲子園に行けた、感動、感謝!
2024 AUG 13 17:17:48 pm by 東 賢太郎
このブログは8月6日。北陸高校と関東一高の組み合わせを縁だと書いた。
そうしたら10日に「チケット取れました」とメールが。
きのう、おっとり刀で新横浜を朝8時の新幹線に。12時について昼飯。今年から暑さ対策で前半、後半で開始時間の間をとる。皆さんと喫茶で時間調整して前の試合の5回あたりに球場に入る。なんとバックネット裏の一番前だ、ちょっと良すぎねえか。
すぐそこで野球やってる。というか、あっというまに自分もやってる感に没入。シューっとボールが空気を切り裂き、パーンとピストルみたいなミットの音が炸裂。ボールやバットの重さまで伝わる。蔵の奥に50年眠っていた宝ものが出てきた。
関東一はでかい。モモと尻がすごい。現場の人間はまずそういう処に目が行く。
この子が友人の子息、大地くん。
くるぶしの骨折で背番号が14になったが試合には出てたというから立派である。本番は4でよかった。レギュラーで甲子園だけでも全国100校で1校、関東一高のプロ注目のエース坂井投手から快心のヒットは一生ものの勲章である。野球センス抜群と見たが親父さんによると大学では野球やらない。金融界の大物を目指すか。
ずっと三塁ベンチにいたような錯覚に陥ってしまい、仕事が慌ただしいので日帰りしたが一晩寝ても心がざわついてる。親父さんと大地くんに感謝しかない。
PS
行きも帰りも南海トラフ地震のおそれとやらで新幹線が遅れ、帰宅は0時を回った。そういえば去年の今頃は岐阜に出張し、初めての名古屋バンテリンドームで広島対中日を見たっけと思い出して日記を見ると、この甲子園と同じ8月12日のことだった。
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広島カープついに阪神・大竹の牙城を崩す
2024 AUG 11 2:02:22 am by 東 賢太郎
去年から8連敗していた阪神の大竹。一人の投手にこんなにやられるのは珍しいが、とうとう5-1で勝った。普通の勝ちの10倍ぐらい嬉しく大層気分が良い。大竹の真骨頂はコントロールと緩急で、変化球は遅いが切れが良く、80キロの山なりまで操られるから130キロ台のストレートに長身からスピンがかかって手元で伸びるとほとんどの打者が差し込まれる。しかし彼の防御率は3なのだ。他チームには打たれてる。なぜ広島だけ打てないか謎だったが、ともあれ昨日はやっとこさで攻略した。これは今後の阪神戦に意味を持つ勝利だろう。
目下カープは巨人と阪神に2ゲーム差をつけて首位だ。いつまで続くかと思うが僅差を守り勝つパターンが板についてきたのは投手が頑張っているのが大きい。先発は大瀬良、森下、床田、九里の4枚が盤石で、残り2枠にアドゥワ(巨人を完封)、玉村(DNAに完投勝ち)がはまったと思ったら、野村、森が5回を零封して見せ、ハーンを加えてなんと先発は9枚になった。毎年、夏に息切れしたのが12球団でもトップクラスの贅沢な布陣だ。後ろも左が森浦、ハーン、塹江、黒原は盤石、右は島内、矢崎、河野、益田、コルニエルと左よりは落ちるが十分だろう。そしてクローザーに栗林だから強力だ。
セリーグで得点は5位、ホームランは6位と貧打は相変わらずで、外人2人が大外れだったフロントの責任は大きいが、新井は逆手にとってミート率の高い打線と機動力を鍛え上げ、取った少ない得点を守り勝つ野球に徹している。何事も極めれば武器になるのだ。投手陣のスペックで失点は1位(最小)、防御率も1位に現れているが、これは守備の充実が極めて大きい。キーマンはなんといってもショートに定着した矢野 雅哉だ。菊池、矢野の二遊間、これは文句なく12球団最高である。2021年にこう書いた。
新人の矢野にすごく期待している。今日も大道が2本打たれて1,2塁にして、代打デスパイネのショートゴロのさばき方が良かった。ちょっと嫌な所にぼてぼてが飛んだが、うまいというより二塁トスのあの手慣れた感じは投手目線で頼もしく感じた。野球頭が良くて足も速そうで、ああいうのが敵にいるだけで圧を感じるタイプと思う(新人の頃の菊池がまさにそうだった)。
矢野は打撃も進化している。きのうも大竹の遅球を流して2塁打にした。運動神経が半端でなく育英高-亜細亜大で鍛えまくられているが、おそらく大変な努力家であるのだろう。菊池と矢野、ここまで超絶的にうまいと守備だけでレギュラーが取れてしまう異次元の人達で、ノーヒットでも美技ひとつでピッチャーを鼓舞するから打点1ぐらいの価値があると思う。逆に、プロでもアマでも、守備の下手なチームで強いというのはあんまり見ない。球場に出かけてポカーンとホームランが出れば楽しいが、僕が金払ってきてよかったといつも思うのは守備だ。
菊池が出てきた2013年ごろに強いカープを予感した。16年から3連覇した。矢野にそう思ったのは3年前。ひょっとすると期待できるかもしれない。
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夏が来れば思い出す はるかで遠い高校野球
2024 AUG 6 23:23:17 pm by 東 賢太郎
週末にマッサージに行こうと外へ出たら太陽がとても熱い。真夏の香港のゴルフ場にもそれはあった。ティーグラウンドで頭がぼーっとして、空を見上げるといつもそれがあった。そういえば、先週に来社してくれたシンガポール在住のS氏が、「暑いですね、早く帰りたいです」と笑っていた。
その日も、「熱中症、危ないからね、ちゃんと水のむのよ」と家族が心配顔で送り出してくれる。それってなに、病気なの?そんなの昔なかったぞ、デング熱と同じぐらい縁がないなと思ってしまい、「俺、高校球児なんで」と毎度毎度の答えをする。もうトシなんだからねと返されるが、ぜんぜんトシな体感もない。これ、一度も死んでないから死なないと言ってるのだが。
そのたびに、自分の深層心理に突き刺さった棘はそれなんだと悟る。だからこの時期になると、性懲りもなく高校野球のブログになる。たいした戦績もないのに何故かというと、いきなり直球とカーブだけの “草野球のまんま” で通用したからだ。おっかない3年生に夏合宿で自己流が認められた。なんだ、たいしたことないな。以来、すべて独学自己流でやっていくきっかけになったし、大げさにいうなら自我の確立になったとは思うが、実は井の中の蛙で天狗になっていただけだった。
有頂天もつかの間、強豪には通用せず、無理がたたって高2で故障して投手を断念。野球はやむなく10年ご無沙汰となり、27才のときに会社で呼び出されて出たニューヨークの大会でMVPになった。でも高1の自分がそこにいたらMVPは持っていかれた、だってはるかに球は速かったんだから。そんな高1が天狗になったのは仕方ないが、1年であっという間に元の木阿弥だ。こんなみじめな不成功体験を弱冠16才で味わった人はそう多くないだろう。
1年生でエースというのは2年生以上ということで、飛び級なのだ。そんな才能は他には微塵もない。もし勉強で1番になれば、1年でいくら落ちても10番ぐらいだろう。ほかのスポーツだって習い事だって、物事はそう急激にうまくなったり下手になったりということがない。それが激痛で数メートルも投げられず、瞬時にビリになってしまった。鍼や電気治療でも回復しなかった。やむなく痛くない投げ方を見つけたが、何をしても球速は二度と戻らなかった。
そうするうち、恐れていた日がやってきた。背番号1は新エースのN君に渡された。僕は大降格の14である。2番手投手は10だがそれは意味がある。新人で1をもらったとき、それをユニホームの背中に縫いながら母親が喜んだのを思いだした。見せるのが嫌で帰宅がずいぶん遅くなって心配された。それを差し出して「カープの外木場投手の背番号だ」と強がったものだが、母は何も言わず縫ってくれた。14は二桁ならどれでもいいよと言われ自分で選んだのだった。
控え投手として投球練習はしていたが、先発は常にエースだ。嫌な記憶として消されたのだろうかあまり登板した覚えがない。かすかに残っているのは、センターからノーバンのストライクで二塁走者をホームで刺したのと、ライトを守っていてエースが不調であり、監督が肩を温めろとベンチ前でぐるぐる腕を回してリリーフに立たされたぐらいであり、その結果も相手校も忘れてる。快速球左腕に2安打完封された聖学院戦では代打でセンターオーバーの3塁打も打ったが、甲子園常連組の日大一高戦の代打では一ゴロ併殺打だった。
年が明けてだから3月あたりだったか、1年ぶりに長くマウンドに立つ試合があった。墨田工業戦だ。エースが乱調でいきなり3点取られ、1回無死満塁を残したところでリリーフのお呼びがかかった。冬に走りこんで復調の兆しはあり、ピンチは切り抜けて9回までゼロに封じたが、ついに相手がベンチ前で円陣を組み、監督の「いいか、あのピッチャー、コントロールいいからな云々」が聞こえた。確かにこの試合、新企画のセットポジションで投げ、外角低めがビタビタ決まりあまり打たれなかったが、こっちが審判を出しており外角はちょっと甘めだった気がしたから実力かどうかはわからなかった。
ということで試合はそのまんま何も起きずに3-0で負けたが、投手は投手の世界があってとても満足していた。試合終了後に水道で頭を冷やしていると相手チームがナイスピッチングと声をかけてくれた。彼らは打席で僕の球を見ている。物凄く嬉しかった。これがあって数日、何を考え何がどうだったかはすっかり忘れているが、僕はその後の人生にまで影響する重大な決断を下していた。部室で全員の前で「野球部を辞める」と宣言したのだ。東大に入りたいから勉強すると理由を述べたから誰も声はなかったが、1年下のH君だけが墨田工業戦は実質は完封だったという理由で反対した。いまもありがとうと思っている。有終の美にしたかったわけではないが、1年ぶりの好投だったあの試合がなければ高校野球とお別れするふんぎりがついたかどうかわからない。
二度あることは三度あるだ。ニューヨークでまたあった。軟式だが元プロや六大学もいる45チーム参加のトーナメントで全試合投げて準決勝まで行った。3位決定戦で元巨人、早実が主力のチームに完投し4-2で負けたが記録を見ると被安打2だった。3球勝負で早実の4番が見逃した球は米国人の主審が派手なストライクコールをくれ、打者が即ベンチに向かう人生最高の外角低めストレートだった。ああ終わったなとネット裏でひとりぼーっとしていたら、優勝チームの捕手の方がこられ「あの試合(準決勝)、肩痛かったよね?」ときかれ「ああ、はい」とうなづくと、「今日の出来だったらウチも危なかったよ」とだけ言ってたち去られ、涙が出るほど感動した。人生最後のマウンドだった。これができたのも、硬式野球最後の試合の残像が最高だったから自信が残っていたと思っている。みんなに迷惑をかけたが恩返しになったろうか。
墨田工業は今の校名は墨田工科高校だが、あれ以来、毎年夏は気にしている。するとどうだ、今年の東東京大会2回戦でなんと母校・九段中等と対戦になり、127校あるうちでの顔合わせには因縁を感じてしまった。惜しくも7-6で母校は敗退し、墨田工科も3回戦で日体大荏原に8-0で負けた。荏原は淑徳に3-1で負け、淑徳は帝京に10-0で負け、帝京は東京に13-3で勝ったが決勝で関東一に8-5で負けた。そしていよいよ明日から甲子園大会だが、その関東一は友人のご子息がセカンドを守る北陸高校と12日の第4試合で対戦が決まった。これも奇縁だ。
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野球が男の闘いであることを見た試合
2024 JUL 19 22:22:48 pm by 東 賢太郎
野球というのはスポーツであるが、いろんな人間ドラマがある。僕はガス欠気味のカープの打者がいい球をすんなり見逃したり悪球につられて凡フライだったりすると真面目に怒ってるし、キャッチャーのサインやコースがやばいと思った瞬間にホームランだったりするとこの馬鹿野郎と本気で怒鳴ってる。他人事なのだけど、ここぞは大事だ絶対勝てというのが体に染みついてる。だからパブロフの犬みたいに反射してしまうのだ。
先日7月17日、ハマスタでの横浜DeNA戦、相手は8連勝中のエース東であり、こっちは森下とはいえ左に激貧のカープ打線だからなんとなく分が悪そうだ。解説によると小園だけは東を8割も打っており(この日も2安打)、ならば他の奴は小園の爪の垢でも煎じて飲めと思うのだがやっぱり打てない。カープの貧打というのは伝統のお家芸で50年前から抗体ができてはいるが、丸、鈴木誠也、バティスタというOPS1.0の超絶クリーンアップ時代もあったからストレスがたまる。
0-0のまま投手戦で迎えた6回の表。9番会沢が三ゴロ、1番秋山が遊直であっさり二死。この軽いタッチが何とも頼りない。すると、そういわんばかりに森下が早々にベンチ前でキャッチボールを始めた。2,3番は矢野、上本。長打なしで点は入らんな。僕も思ったが彼も思ったんだろうね、3割打者だからね、野手といえど上から目線で見ていても失礼じゃない、結果ありきのプロだから。
その裏だ。森下の球がやや浮き始める。3安打され、二死満塁で渡会を迎えた。この新人、立派というか態度が微妙にでかい。開幕戦でホームランを打ってカープをなめてる感じでありどうもいけ好かない。森下もこの野郎、図に乗るんじゃねえぞと思ってるだろう。球速が上がる。高めストレートでファウルで粘られたが、最後はインローでなすすべなしの空振り三振にねじ伏せて格の差をみせつけた。いやあ痛快だ、森下君、狙ったね、男だね。
これは次なるドラマへの序章だった。チェンジで7回表だ。上本、小園のヒットとエラーで無死二三塁の大チャンス。ところが野間、菊池がタッチアップもできない外野フライであっさりツーアウト。がっくりだ。ここで開幕から欠場だった7番シャイナー君である。ちょっといい人すぎに見えるおとなし目の男だ。DeNAはコーチがマウンドに行く。8番は森下だ。代打の切り札・松山は左だ。であるのに東は敬遠せず勝負に出た。シャイナーはナメられたのである。森下の気迫の奪三振を一塁で見て気合も入っていただろう、二球目の高めストレートをバックスクリーン左に会心のホームランを叩きこんだ。
3-0でカープの完封勝ち。若者の皆さん、長い人生、こうやってここぞで負けちゃいけない時が誰でもある。そこで勝つかどうかはでかいですよ。
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祝 カープ大瀬良投手 No-Noを達成!
2024 JUN 8 6:06:20 am by 東 賢太郎
プロであれ草野球であれ投手はまず完全試合をやりたい。そんなことはない、大谷だってできないんだよ、勝てばいいのさという派閥もあろうが、1-0で負けても三振をたくさんとったから満足できてしまい、「おいなんでお前だけ悔しがらねえんだ」なんて主将に怒鳴られたりするポジションが投手なのだ。
野手の練習メニューは半分は連携でサッカーみたいな集団プレーだが、投手はブルペンでひとり黙々と投げてボール1個入ったの外れたのと微細なことに明け暮れるからゴルフ練習場のムードに近い。そういうことを何年もやってると、5点やっても6点とれば勝ちじゃないかなんて精神構造にはならない。結果論でそれはあるが、1回から5点オッケーなんて思ってる人はいない。
ということは無意識ではあってもまずは完全試合狙いなのだ。それが四死球を出してNo-No狙いになり、ヒットを打たれると完封狙いにグレードダウンする。とはいえ完封だって十分に難しいから投手の勲章ではあり、ましてそれより上のNo-Noはほとんど神の域の偉業ということは野球をやった人は承知だ。だからだんだん野手が緊張して記録が途切れたりするからますます達成は難しい。
僕などプロでNo-Noをおやりになる方々は大統領より偉く見え、巨人・戸郷クンなど年の差は関係なく戸郷サンとお呼びするしかない。そして、その偉人列伝に我が広島カープの大瀬良サンが加わられた瞬間は保有株がストップ高したのの百倍ぐらい歓喜を覚えたのである。しかも相手はこのところ絶好調のロッテ打線というのだから花を添える。三振は2つしかなくフライとゴロばかり。芯をはずしまくった練達の投球術だったからロッテが悪かったわけではない。
実のところ、ヒジをやってしまって3度もメスを入れた大瀬良はもう終わったと思っていた。現に以前の球威はない。そうなったらどうなるかはわかってるつもりだ。先日、やはり好調の日ハム打線を零封した森下も同じだ。ふたりとも力感なくひょうひょうと投げたようにすら見えたがプロの投手の並外れた精神力と凄みを見せていただき心から感動した。前進する人は美しい。
あっぱれだ、おめでとう!!
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どうしたんだ広島カープ!
2024 MAY 29 22:22:42 pm by 東 賢太郎
5月6日だった。アメリカから筒香がDeNAに帰って来ていきなりホームランを打った。他人の弁当はうまく見えるというが、それだけとも限らない。なんたって、我がカープ打線はホームランがないどころかDeNAの東投手、大貫投手にひねられて2試合も零封され、外野に球も飛ばないじゃないか。怒り心頭に発し、
こんなみっともない打線がプロを名乗るのはやめろ!
クリーンアップは森下投手と床田投手にしろ!
と強烈にぼろかすに書いたのである。
そして、唯一の希望として、
「期待は末包の復帰ぐらいだ」
と書いたわけだ。
そうしたら驚いた。なんとその翌日だ。二軍にいた末包が一軍に昇格した。そして阪神戦に5番スタメンで登場し、タイムリーを打って勝った。
そうか!新井監督、我がブログを読んでこのやろーと怒ったんだな。
そこから12勝4敗の快進撃である!とうとう今日はこうなった。
かねてより交流戦は駄目だ。特にオリックスとソフトバンクには赤子の手をひねるようにやられている。昨年のパの覇者に14-0?いったい何が起きたんだ?
この日も先発の森下投手は圧巻の3打数2安打。3塁打を打ってお立ち台にあがったショートの矢野は「森下さんに打率負けてますし」と笑った。よしよし、クリーンアップは森下投手と床田投手にしろ!のファンの声、きいてくれよな。
ありがとう。今日は酒がうまかった。
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帰ってきたDeNA筒香、なんてうらやましい
2024 MAY 7 0:00:12 am by 東 賢太郎
帰ってきた筒香。復帰初戦で逆転3ラン。鳥肌が立った。前稿にこう書いた。
人間、何事も才能というものがある。何かの技能がうまいなあと思う群れの中でも図抜けている者がほんの少しだけいて、その者はそれで飯が食えるようになるのだが、今度はその連中の群れの中でさらに図抜けた「すぐれ者」がいるという塩梅だ。
凄い一撃だった。今年はボールが飛ばないなんて言ってるが彼には関係ないそんなもの。5年アメリカにいて不本意ながら帰国し、いきなりこれだ。軽く3,40本は打ちそうなこの男がなぜメジャーで駄目だったんだろう?今日もドジャース大谷は9号を放っていたが何がそんなに違うんだろう?「すぐれ者」の世界は凡人には想像もつかない。
セリーグのクリーンアップを見よう。DeNAは佐野88・牧97・宮崎85・筒香97。阪神は森下89・大山94・佐藤96・ノイジー100。ヤクルトはオスナ106・村上97・サンタナ104。中日は石川100・細川98・中田107。巨人は吉川78・岡本100・坂本86。そして広島は野間85・秋山86・堂林96・小園91・坂倉89。
数字は体重だ。なぜかというと全員が鍛えぬいて体脂肪率が少ないので筋肉量であり、最高位の選手だから技量はあり、これがほぼ長打力と思うからだ。中日の躍進はこれ、巨人は丸94が落ちて入ったのが門脇76、佐々木80で90台は岡本だけと軽量化して低迷。阪神、ヤクルトは文句なしの重量級だ。それが目下の得点数の阪神102、DeNA100、巨人82、中日91、広島76、ヤクルト130に現れる。ヤクルトは投手が悪すぎで本来Aクラスとすると順位はほぼ得点順になる。
広島の一軍は代打要員の松山96、会沢95を除くと上本76、田中85、宇草84、菊池71、矢野71、羽月73とベンチはちびっ子ギャングみたいで、レギュラーの90越えは堂林と小園だけだが二人とも目下ホームランはゼロ。投手が失点を最小に抑えてなんとか5位という惨状だ。だからこそ田村97の覚醒が必須だがまだ青くさく、期待は末包112の復帰ぐらいだ。60年カープを応援してきた悲哀はとにかく長打がないことで、ヘビー級の巨人に吹っ飛ばされるフライ級ボクサーみたいな惨めな思いを何十年も耐えてきたのである。
この球団がちびっ子ギャングのコレクターなのは伝統だが、それは菊池、田中レベルならいい。そこを外人で補うのも伝統でホプキンス、ライトルなど当たり籤を引き強力な投手陣で守り勝って優勝した。2016~8の3連覇も打ちまくってOPS8割越えをキープしたバティスタ107がいて丸94、鈴木誠也106、エルドレッド126と並んだ超重量級の破壊力が大きく、東京ドームで巨人をホームラン攻勢で粉みじんに粉砕した試合は積年のうっ憤を一夜で吹き飛ばしてくれた。
ところがバティスタがドーピングで消えてから外人が超不作であり、何が起きたんだという異変すら感じる。去年はデビッドソンが19ホーマー打ったが、それを解雇して取った名前も忘れた二人がオープン戦からぼろぼろでおまけに肩まで故障と聞く。キズモノつかまされたのか、いい加減にせい。
先日のDeNA戦、森下が7回まで無安打で、打線は10安打だがそのうち森下が3打数3安打のていたらく。勝つには勝ったがこっぱずかしい試合を見せられた。初戦は東に苦もなくひねられて完封負け、もうひとつも大貫の変化球に翻弄されて完封負け。全員が崩されてるし、振ってないし、左は東出直伝のちょこんと流す「当て逃げ」ばっかりで、それをしくじってケツを引いて弱弱しい空振りと、こんなみっともない打線がプロを名乗るのはやめろ。
客観的に見てカープのクリーンアップ候補は森下投手と床田投手であるのは、カープファンの方ならご賛同いただけるだろう。
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今年のプロ野球予想
2024 MAR 30 15:15:48 pm by 東 賢太郎
東家は毎年これをしている。今年は家族が一人増えて6人のコンペ(賞金あり)。これが僕の予想。
寸評
セリーグは巨人はオープン戦(楽天)を見に行ったが投手陣が9回2死まで無安打に抑え出来がいい。グリフィンと大勢(157キロ出ていた)は安定だろう。この日は出なかったが戸郷は15は勝つし中継ぎの新人西館は使える。若手が伸びており二遊間とセンターが固まって強い。阪神も層が厚いが勢いで1位。DeNAは渡会がすごすぎ。中日は中田がケガしなければ3位もありか。広島はどうして外人にこんなヘボしか来ないのか。毎年毎年打席を浪費するカスばっかり。実にひどい。投手も森下、大瀬良が読めなくなって最下位もあり。
パリーグは山川、ウォーカーが入ったソフトバンクが強い。投手は4点やっても勝つ戦力。オリックスは山本の穴が埋まらないか。宮城はやるだろうが山下しだい。打線でソフトバンクが上回る。日ハムは外人で層が厚くなり若手が中心の勢いあり。西武は評価が難しいが打線がいまいちか。ロッテは外人が落ちるので日本人の得点力しだい。楽天は厳しいが巨人戦先発して4連続三振とった荘司は素晴らしい!彼は間違いなく一級品。
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