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カテゴリー: 野球

浜口投手の悔し涙は一服の清涼剤

2021 APR 3 0:00:16 am by 東 賢太郎

横浜DeNAベイスターズが広島カープに敗れて球団ワーストの開幕7戦勝ちなしとなった。先発の浜口は開幕投手だったが巨人に3回6失点でKOされ、今日は2度目の先発だったが2-0でリードされた6回で代打を送られた。左足に張りがあったせいだが、それでも踏んばって堂林から三振を奪っていた。

驚いたのは浜口投手がベンチで泣いていたことだ。6回で2-0など、まだ全然敗けてるわけでない。そうではないのだ、投手出身の三浦新監督の信頼にこたえられなかったからだろう。昨日のヤクルト戦は4回までに11点取りながら中継ぎが打たれて引き分け。エースとして期するものがあったに違いない。

思えば最近は甲子園で負けても泣かないチームがある。笑顔の子すらいる。別に泣けというのではない、ラグビー精神でノーサイド?美しいね、でも野球だよねと思うのだ。甲子園の土は持って帰るが、なんとメルカリで売っていたりする。おい、そーじゃねえだろう。そう嘆いてしまう僕は古いんだろうか?

浜口を見て解説者が「良く投げましたよ、クオリティスタートですし」なんていう。おい、そーじゃねえだろう。相手はゼロに抑えてるんだ、なにがクオリティだよそんなもん、日本語で言ってみろよ、浜口に無礼だろう。だから「今日は自分の仕事ができました」なんて奴が出てくるんだ。

思えば最近は乱闘もない。かねヤンみたいにぶん殴ったりスパイクで蹴ったりしたら今どきは傷害罪で告訴されかねない。ケンカしろとは言わないが塁上で走者と野手と談笑するなど応援してる客に背信行為だろう。なんだよ仲良しクラブの野球大会かよ、そんなんで金取るなよ、八百長ねえのかよと思ってしまうのだ。

野球は格闘技じゃなくなったのだ。そりゃそうだ。巨人を見たらわかる。投手(井納、野上、大竹、高梨)、捕手(炭谷)、一塁(石川)、二塁(中島)、三塁(ウィーラー)、遊撃(廣岡)、左翼(陽岱鋼)、中堅(丸)、右翼(梶谷)と他球団からの引っこぬき組でそこそこの一軍チームができちまう。

これで塁で話すなといっても無理だ。引っこ抜かれたのは広島、ヤクルト、DeNA、楽天、日ハム、オリックス、西武、ソフトバンク、ロッテの9球団だ。セリーグの3つは金欠トリオ。分が悪いと主力(丸、梶谷、井納、昔のラミレス、ペタジーニ)を抜くWパンチ戦略の餌食になってみな翌年凋落している。

巨人が球界の盟主だ、横綱だと「常勝巨人」を作る裏工作丸出し。フェイクの横綱であっても勝つと気持ちいい。そういうコアな巨人ファンは確かにいるが、もう多数派ではない。今年の開幕戦「巨人×DeNA」の視聴率は史上最低の8.8%だったらしいが、要は、もう8.8%しかいないということである。

そこで対応策のつもりなのか解説席に芸人を入れたりしてると聞く(僕はそんなものは1000%見ない)。コアな野球ファンが芸人の解説など聞きたいはずがないだろう。つまり、そんなことをすれば、野球観戦にリピーターとして金を払ってくれる一番信頼できる客は、断言するが、確実に逃げていくのである。

マスコミの質、それこそクオリティの問題以外の何物でもないが、ひいてはプロ野球界の問題になっていくのだから野球を心から愛する人間として看過し難い。浜口投手の悔し涙は一服の清涼剤であった。浜口くん、すばらしい、そういう男は伸びるぜ、これからも応援するぞ。

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広島カープの新人4人は当たりである

2021 MAR 21 18:18:05 pm by 東 賢太郎

広島2-1ソフトバンク(オープン戦、マツダスタジアム)

最終回は公式戦さながらに手に汗握った。新人栗林が初のセーブシチュエーションでクローザーで登場。相手は実戦モードの王者ソフトバンク。この場面は今年のカープを占う。栗林はここまで自責点ゼロと抑えで全部成功している。

明石にいきなりレフト線2塁打(いい打者だねえ)。2球ストレートは甘かったね(捕手坂倉くん、たのむよ)。しかし、そこから牧原、栗原をフォーク(たぶん)で空振り三振(スイングが腰砕けで打たれる気配なし)。上林の3-2から内角スライダーで三振と思ったがボールの判定(あれはストライクだろう、やや動揺あり)。次は外角に大きく外れて四球(1塁空いてるんでまあいいが、ちょっと弱点を見たかな)。ここで代打長谷川(なんと元首位打者がここで来るわけ?う~ん構えが良くて集中してるぜオーラが凄い)。初球ストレートを痛烈なライト前安打(なんでスタメンじゃないの?)。守備位置がやや後ろ目だった右翼手曽根がバント処理みたいにつっこんで(運動神経すばらしい!)、本塁に投手並みの伸びのあるストライク返球(曽根くん、見事だ)、やむなくコーチが止めて明石は三塁ストップ(さもなくば同点だ。これは実にデカい!)。周東に3-2となり、サインに首ふって投げた150キロ外角ストレートをカットされる(やや余裕あり気味に見え嫌な感じ、周東は守備も成長してるし)、最後は外角フォークを見逃し三振(やや高くて甘かったが、ここでフォーク投げてストライク取れるのは想定外だったろう、栗林くん、メンタル強いな)。試合終了。

広島は森浦(7回)、大道(8回)もゼロに抑えており、ドラフト1-3位の投手が全部使い物に今のところなってる。これはBクラス確実としていたカープの評価を上方修正するに足る材料である。先発野村は5回無四球2安打で、広陵時代に甲子園で負けた決勝戦の7回までを思い出させる変化球自在でコントロール抜群の、彼の最高の投球だった。柳田を空振り三振に取ったストレートに見える変化球はすばらしい(あれはなんだ??本当にいい、天性の才能を持ったピッチャーである。願わくば7回まで投げてくれ)。先発は大瀬良、森下、九里、野村、床田、遠藤というところか。ジョンソンが抜けて左がいないのと、もう一枚、中村祐太、矢崎がなあ、ここが弱いなあ。ほんとうは栗林を先発でいきたいがフランスアのケガが実に痛い。

今日は勝ったが2点打の田中が打ったのは背番号122の大関であてにならない。打線はいまいち迫力がない。堂林が出遅れてクロンは30打席ぐらいノーヒットでこれはまずい、外人がこれじゃあセイヤ以外はホームランが怖くない。エルドレッド並みにまじめでいい奴らしいがそんなのどうでもいいよ、この程度なら去年のあいつ(なんだっけ、ピレラだったかな)がガッツがあって良かった。外人はホームラン打たなきゃ終わりだよ。

去年より格段に良さそうなのが足だ。先日、甲斐から曽根、上本が2盗を決めるなど足でかき回す気配が出てきた。これはヘッドコーチの河田だろう。それをしなきゃあカープ野球にならない。タナ・キク・マルがやってたから強かった。でも彼らはその面ではもうそろそろトシだ。代わりが絶対に必要だ。新人の矢野にすごく期待している。今日も大道が2本打たれて1,2塁にして、代打デスパイネのショートゴロのさばき方が良かった。ちょっと嫌な所にぼてぼてが飛んだが、うまいというより二塁トスのあの手慣れた感じは投手目線で頼もしく感じた。野球頭が良くて足も速そうで、ああいうのが敵にいるだけで圧を感じるタイプと思う(新人の頃の菊池がまさにそうだった)。うまくつかってくれ。

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猫のケンカと野球の深い関係

2021 MAR 8 0:00:30 am by 東 賢太郎

猫を見ていると、知らない相手にいきなりケンカを売ったり尻尾を巻いて逃げたりはしない。じっと距離をとって目線を合わさないように相手の気配をうかがい、「おぬしできるな」となると無用な争いはせず、離れていく。ここまでけっこう時間がかかるがとても面白い。

野球をやっていて、それだなと感じたのは試合開始前の整列だ。日本のアマ野球にしかない儀式である。両軍がホームベース前に整列し、審判が「それでは九段高校対**高校の・・試合を始めます」なんて宣言する。

これ、チームのみんなはどう思ってたか知らないが、ピッチャーは相手の全員と一対一の対決をするから、ずらっと並ぶ相手の顔と図体を眺めてデカいなとかチョロそうだなとか、ケンカ前の値踏みをしていたのを思い出す。

そのときの心境はというと、こういう感じだ。

試合前はこういう感じ

これを何度もやってるから、ぱっと見で相手を計る力はとてもついたように思う。負けるケンカはしないに限るから良いことだ。しかし、猫はヤバいと思えば去ればいいが、野球はそうはいかない。怖いと思う時もあった。

後攻めだと列からそのままマウンドに登る。そこでゆっくりと足場をならして5,6球のウォームアップをする。うん、行ってるぞ。いい球を投げてるという自信と幸福感に包まれた自分がいる。これでOK。アドレナリンが出てしまうともう自分の世界だ、いつの間にか怖さは消えている。不思議なことだった。

なぜなら怖いのは相手だけではない、投手と打者は18メートルちょっとの距離だ。ヘルメットも防具もつけずそんな近くから硬球を思いっきりノックされたら殺されかねない。ところがアドレナリンが出てしまうと、俺の球が打たれるわけないさと根拠のない買いかぶりで平気になってしまうのだ。

もともと小心者なのに、やってるうちにそうなった。ただ試合が始まるといろいろある。マウンドでは誰も助けてくれないからすごく孤独だ。ピンチになると野手が集まってきて「守ってやるからな、打たしてけよ」なんて励ましてくれる。あのね、打たれてるからこうなってるわけよ・・・と孤独感は倍になる。

投手は練習も野手とは別メニューである。捕手と皇居一周してダッシュして柔軟して黙々と投げ込みだ。帰りがけに同期で飯田橋の甘味屋であんみつを食べる。野手どもは「Yさん(先輩)よぉ、走りながらぷっぷって屁こくんだぜ」でガハハと盛り上がる。僕はカーブの落ちが悪いなぁ、なぜかなあと一人考えてる。

こうして毎日の「おひとり様」生活を2年もしてると性格もそうなってくる。チームを背負ってる責任感はなかった。そんなので勝てるほど野球は甘くない。そのかわりカーブの握りは研究した。今でいうナックル・カーブという奴だったようだがあんまり打たれず、アメリカではこれのおかげでトロフィーをもらった。

その性格が私生活でプラスにもマイナスにもなったことはないが、ゴルフでは活きた。ゴルフがうまいと思ったことは一度もないが、ベット(賭け)の強さは自他ともに認める。スコアは負けてもそっちは勝つのがモットーである。野村ではあいつと握るのはカネをどぶに捨てるようなもんだといわれた。

理由は簡単だ。ゴルフも「おひとり様競技」だからピッチャーとよく似てる。マウンドと同じ境地なら負けるはずない、ここぞの寄せやパットが決まってベットは勝つという道理だ。プロはそれで食っているんだろう、だからナイッショーなんて言わないし、ラウンド中は笑顔もなければまったく口もきかない。

マウンドでおしゃべりする奴はいないから僕においてもラウンド中の無言は当然だった。すると変な奴だと噂される。もとより本性は飲み会を絶対断る男であり、そっちは妥協したがゴルフではしなかっただけだ。ベットをするモチベーションがなくなってゴルフはやめた。麻雀の代わりにやってたということだ。

 

 

思えば猫もすぐれておひとり様の動物だ。子供の時からずっと猫が家にいて一緒に遊んで育ってる。祖父が手相を見て一匹狼だといったからポテンシャルはあり、猫に同化したのだろうと思われる。それにしても猫のケンカは深い。

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球春到来2 《阪神は優勝候補である》

2021 MAR 6 22:22:07 pm by 東 賢太郎

黒田が戻って来て広島カープは3連覇の底力を得たが、もうひとつその威力を増幅する素地があった。それは菊池涼介というスーパープレーヤーの存在だと僕は思っている。菊池の守備は敵を驚かせ、意気消沈させる。野球はひとりじゃないというが、あそこまで図抜けると充分ひとり。黒田、菊池とその「図抜け」が2人もいた。

おととい阪神がソフトバンクに4-0で勝った。まだオープン戦だよ、しかも始まったばかりだ。そうも思ったが、内容はなんだこれは何がおきたんだ?というものがあった。西、藤浪、馬場、小野で完封。14点取って中日を粉砕したSB打線は5安打で外野にまともに飛んでない。

まず、藤浪が4回無失点である。内容はいろいろあったが、もうトラウマから完全復活したことは顔つきを見ていて確信した。甲子園を春夏連覇し、決勝戦は2安打完封した男だ、生き返ったらマー君に匹敵する。一人目の図抜けた男になる。

もうひとりいる、3番に座って石川からあっさりホームランを打った新人の佐藤だ。これはすごい、ホームラン20本ぐらい打つんじゃないか。おっさん顔でもう4,5年目の風格すら漂っているじゃないか!2年前、最下位予想が多かった阪神が3位と大健闘したのは近本がセ・リーグ新人安打記録、盗塁王を獲得していきなりブレークしたことが大きいが、佐藤のインパクトはもっと上になる気配がある。

そしたら今日も3対1で勝った。SBを2試合で1点に抑えた投手陣は侮れない。しかも新人ドラ2の伊藤が好投だった、左だしこれは使える。去年は先発がいまいちだったが、そこに藤浪とチェン・ウェインが加わる。とすると、西勇輝、秋山、髙橋遥人、青柳で6枚そろってしまう。去年は抑えにセーブ王のスアレスがいて救援防御率はたしかセリーグ1位だ。これは掛け値なしに12球団でもトップクラスの投手陣である。打撃はホームラン王を争った4番大山がいる。

唯一の問題は守備だ、去年は要所要所でポロポロやってとってもヘタクソだった。しかし本塁の挟殺などSB相手に位負け感がなかった。これも不気味である。梅野は見ていて甲斐より存在感があった。キャッチャーは強いチームに不可欠だ。センター近本は合格。あとは糸原、木浪の二遊間だけ。それさえ締まれば巨人を倒す力はある。パリーグがSBなら日本シリーズは巨人より勝つ見込みもある。

阪神以外には巨人は楽勝であり、田口を苦手左の練習相手にヤクルトにくれてやる余裕すらある。DeNAは主力二人を抜かれてまんまと弱体化された。丸を抜いて広島を潰した姑息な手だ。阪神がんばってくれ。

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球春到来、コロナに負けるな!

2021 MAR 1 19:19:27 pm by 東 賢太郎

いよいよ練習試合だ。毎年キャンプの第1クールからじっくり観たものだが、今年は時間がなくて出遅れた。カープの投手陣が大変気になっているがドラフトで5人もとったから2,3人は出てくるだろうか。

僕は1誉めて9は文句だから野球観戦は多大なエネルギーを消費する。なんにも考えてない奴が好機にポコーンと内野フライなんか打つと我が家では罵倒の嵐が吹き荒れる。ベンチワークもそうだ。去年はブルペンが壊滅したが三連覇で酷使したツケだ。気の毒に今村、一岡、中崎を潰しちまった。

野間くん、メヒアくん、知ってるか?君らは5,60回は我が家で即刻解雇が通告されている。堂林くんもそうだったが去年に奇跡のブレークがあり撤回された。鈴木誠也の指導が効いたと聞く。野間くん、メヒアくんも習ったらどうだ。さもなくば自分で考えろ。考えない奴はどこの業界でもただの馬鹿だ。

巨人戦、日ハム戦でいいなと思ったのは1番を打った新人の矢野だ。阪神・近本を思い出す。顔つきにガッツを感じる。球の見切りがいい。ねちっこくて投手はいやだ。足も三遊間にころがして2つセーフだ。サード守備もいけるだろう、他にロクなのがいない。ドラ6でいいのが残ってた、ラッキーだ。

中村奨成が宮西から打った右中間3塁打はGood!振れてる。甲子園の我が物顔が少し戻ったぞ、そろそろ出てこないとね。林晃汰は智辯和歌山の5番だったかな。当時から大物感があった。羽月は小さいが振りは思い切りがいい。正隨は去年出てくるかと思ったが甘くなかったね、でもホームランが出て良かった。

クロンはどうかなあ?年俸8,800万、えらい安いのとってきたなあ。当然メジャーでは大したことない。当たれば飛びそうだが、どことなく勝負師に無用のいい奴感が気になる。外角スライダーだけでオッケーの空振りは楽勝感もただようなあ。未知数だ。それにしてもバティスタが返す返すも痛い。

堂林くん、今年も頼むよ。日ハム戦、まずいよ腰が引っ張りに行ってるよ、ヤバいのがちょっと戻ってるよ、去年君が打ったのはセンターから右だよ、覚えてるよね。上本くん、ショートのエラー、あれ下手だね、ひどい一塁送球もあったね、なに練習してんの、菊池さんと釣り番組出てる身分じゃないだろ?

森下と塹江はいい球を投げてたと思う。ドラ1栗林は1イニングだけでよくわからなかった。ドラ3大道も、球威はありそうでまああんなもんだろう。薮田、岡田は悲惨だ。昔の狂い咲きは何だったんだ?矢崎もデビューは鮮烈で期待したが球威だけだなあ、慶応の割に何も考えてない感がなんともいえんなあ。

相手では巨人ドラ5の秋広だ。二松學舍。2mでデカいのもあるが、態度もデカい。ひょろっとデカいのはちょろいもんだが、振りが屈託なく思い切りがいいのがとても嫌だ。自信つけると大谷みたいになってやばい雰囲気がある。梶谷の1番は今年の鍵だ。なんせサブローが現役で一番いいバッターと言ってたし。

ところで田口君、なにがあったんだ?君の球質は好きなんだ、去年ドームで見た試合もそう悪くはなかったぞ。横川がまずかったか、それとも監督の物まねでもしたんか?それにしても廣岡はないよな。応援するぞ、リベンジしてやれ。

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野球は何といってもキャッチャーで決まる

2020 DEC 4 0:00:55 am by 東 賢太郎

日本シリーズを見ていて、甲斐は嫌だなあと思った。それは大昔に試合をして、ああいうタイプのキャッチャーが後ろにいる時のことを思い出したからだ。ウルトラ勝ち気のオーラをバリバリ出してペースに巻き込もうとする。基本的に嫌な奴で運動神経抜群で野球IQが高く、肩が良くてリードが攻撃的で、たとえば俊足巧打の日ハム・西川が言ってたが、打席に立つと甲斐は「お前には絶対に打たせんからな」なんて威圧もしてくるようなタイプだ。完封されて、ピッチャーよりもキャッチャーを覚えてる試合すらある。

見ていて劇的にそうだと膝を打ったゲームが、ヤディア・モリーナ捕手ひとりにかき回されてプエルトリコにやられた2013年のWBCだ。例の内川が刺された試合だ。ピッチャーなんか全然記憶にないが、モリーナは名前まで焼きついた。監督が試合に出てるようなもので、あんな奴がいたら盗塁はおろか打席でもややこしいだろう。NPBだとまず野村さんなんだろうが全盛期は知らないので、やっぱり古田か。でも性格も含めてスッポンみたいに嫌らしいなという感じは谷繁だと思う。その3人がいたころの南海もヤクルトも横浜も中日も優勝している。野球はキャッチャーが決めるのである。

キャッチャーは面とプロテクターとレガースを装着するからまるで剣道だ。くそ暑い夏はユニフォームだけでも気絶するほど暑くて地獄だろうが、1球ごとに屈伸し、内野ゴロは1塁まで全力疾走する。それだけでも2倍は疲れそうなのに、ベンチのサインを確認して、全球ピッチャーにサインを送り、盗塁を阻止するためピッチャー並みの速球とコントロールを要求され、本塁をブロックし、急所直撃の激痛に耐え、内外野への指示やサインプレーを一手に行う。そのうえでバッターを幻惑までしにくるんだから、スッポンというか、8本足のタコみたいなイメージすら僕は持っている。他のポジションと決定的に違うのは、アホでは絶対にできないことだ。

シリーズで甲斐は巨人をがっくりさせるホームランを放ち、これであいつますますノルなという無言の圧を相手ベンチに与えた。野球は流れがあるとよくいうが、キャッチャーがそれを作るとプレッシャーが倍加すると思う。巨人の打者の弱みを半端でなく見抜いていて、千賀、石川、ムーアの快投を引き出したなんて月並みなレベルじゃない。岡本など初日にバットをへし折られて4試合金縛りになってしまったし、坂本は強いといわれるインサイドを逆に責めまくって外角のスライダーを腰砕けにさせた。丸もほぼ同じ手でひねった。栗原、中村の与えた衝撃も大きかったが、やはりシリーズ通してグラウンドを支配したのは甲斐だ。彼は賞をもらえなかったが、個人的には堂々たるMVPだったと思う。

僕のへぼ野球の話で恐縮だが、なんだかんだ入れると10人ぐらいのキャッチャーと組んだ。アメリカで受けてもらったドン(ドナルド)はデカくて、カーブを彼の顔めがけて放ると外角低めに具合よく決まって楽だった。いい奴なのでいくら首を振ってもOK、あの大会はそこそこ自分で考えて投げて楽しかった。何といっても凄かったのは天下の広商の吉原さんだ。社内大会だったが野村証券は甲子園経験者もいてレベルが高かった。ぐいぐいリードしてくれ、サイン通り投げて何も考えることがなかった。しがない二流投手の球を使ってあれよあれよで1安打完封し、以来野球はキャッチャーだと確信してる。

パリーグで日ハム、オリックスが下位なのはキャッチャーがいま一つのせいだ。いい例は西武で、森が不調だから今期はだめだったのである。楽天が浅村まで取って勝てなかったのもそれだ。ロッテは田村の打力向上を期待したいが、新人の佐藤も期待できる。セリーグもヤクルト、DeNAが判で押したようにだめで、阪神は梅野の肩と勝負強さ、中日は木下の台頭で救われた。巨人は阿部の穴が埋まらず大城のリードは素直で嫌味がまったくない。それでも優勝したのは他が弱すぎただけだ。さて肝心の広島だが、石原が引退し、曾澤が安定し坂倉が伸びてきたので5,6年は安泰だ。それでなんぼなんでも5位はないだろう、いかに投手陣が勤続疲労で瓦解したか物語る。

こうしてみると、あと3年ぐらいは甲斐がダントツであり、ということはソフトバンクがもう3連覇はするだろう。球界の盟主はもう巨人ではない。

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交流戦やめるなら日本シリーズもやめろ

2020 NOV 23 23:23:43 pm by 東 賢太郎

(1)野球ファンとしての怒り

僕はカープ、マリーンズのファンですが、それ以前に、野球ファンです。だから最高レベルの野球がみたい。スポーツは万人がやって楽しむものですが、それでも年に何回かは、自分たちでは想像もできないハイレベルの人たちのプレーを見て楽しみたいものです。プロ・スポーツというのは、我々民衆のそんな願いをかなえるところで成り立っていると思います。

だから本当は、日本のプロ野球(NPB)の外人枠をなくしてほしい。全員アメリカ人でもOKです、野球がうまければ。しかしそうならないのは、日本の野球少年の夢舞台という役割もあるからで、甲子園大会には外国の高校も外国人もいれませんが、その国民的(国粋的)という部分と連続性がなくなるからでしょう。だからNPBは「ニッポンの最高峰の選手に少しのガイジンを加えた野球リーグ」であって結構と思います。

ところが、去年の8月に東京ドームでロッテ・日ハム戦をみて、こういう感想を持ったのです。セリーグは「ニッポンの最高峰の一翼」なんだろうか、ドラフトで機会均等なのになぜセ・パでレベルに格差が出てくるんだろう、それだと国際的に日本の野球は永遠に「最高峰」になれないのでは?ということです。

NPBの謎「パリーグの方が圧倒的にレベルが高い」 | Sonar Members Club No.1 (sonarmc.com)

パリーグの公式戦というと5年前にペイペイドームでみたのとこれと、10年で2つだけです。そこで、びっくりして書いたわけです。

ところが、すっかり忘れてましたが、2015年にこれがありました。考えるまでもなくびっくりの原因はここに全部書いてありました。

なぜ交流戦は毎年パリーグが圧勝なのか? (sonarmc.com)

さらに、そこのコメント欄に故・中村順一がいいことを書いてます。

まったくおっしゃるとおりで、セは全球団、巨人、阪神におんぶしているんですよ。ハングリー精神が出るわけがないのです。反骨精神を中日、広島あたりに期待したいが、全然だめですね。そもそも交流戦についてもセは大反対しているんですよ。訳が分からん。再来年には交流戦廃止という話すらあるのです。12球団の所属リーグの入れ替えをやるべき時に来ている気がする。そもそも巨人中心にすべてが回りすぎ、腹が立ちます。

僕と全く同じ視点で憤慨しておるのです。中村は阪急ブレーブス以来のオリックスファンでしたが野球を愛してもいた。何度か一緒に球場へ足をはこびましたがそう思いました。

 

(3)「花相撲」と「村の掟」

プロの野球がどういうものかは知りませんが、毎日体を張ってるのだからガチンコだと心身ともに疲れるしケガの危険も大きいでしょう。大相撲もそういうなれ合いの中で八百長が出たといわれます。あらゆるスポーツで八百長は絶対に許されませんが、ここで論じたいのは「花相撲」という概念なのです。若い人には耳慣れない言葉でしょう。こういう意味です。

花相撲とは大相撲における勝敗が番付や給金に反映されない興行のことであり、巡業、トーナメント相撲、親善相撲、奉納相撲、引退相撲などのことを言う。取り組みのほか初切、相撲甚句、横綱の綱締め、歌謡ショーなどのアトラクションが開催される。また、これから転じて他競技の類似のもの(プロ野球のオールスター戦など)を、通常の公式戦などより真剣度が薄い・優勝争いに関係しないという意味で花相撲ということもある。(wikipediaより)

勝敗が番付や給金に反映されない興行なのに相手をケガさせてでも勝つ気迫でガチンコ相撲を取る力士は少ないという意味では、花相撲は「手加減」ある取組です。しかし、そこはプロだからプライドがあるし、そう見えないぎりぎりで会場を沸かすことはできると思うのです。NPBのオールスター戦でも江夏の9連続三振など真剣勝負があったわけですから、花相撲はかならずしも「手抜き」とはいえず、もちろん八百長でもない。でも、断じてガチンコではないのです。その中間にあるふわふわしたゾーンで、プロの技術が無くてはできないが、それがあればたぶんできる、プレーヤーの暗黙のグレードダウンの了解です。

たとえばメジャーでも「大差がついたら盗塁しない」という暗黙の了解ゾーンがあり、何点差なら「大差」かは不明ですが、走っても記録員が盗塁にカウントしないから球界のルールでもあります。ふわふわしてるのです。一見すると「大人げないことするなよ」という紳士協定ですが、「投手にぶつけられたらぶつけかえしていい」という報復ルールもあって、そういうものぜんぶが「プレーヤーの暗黙のグレードダウンの了解」になっている。つまり、選手が了解して怪我せずに安心して食っていくための「村の掟(おきて)」のようなものです。

破ったら死球という「私刑」が認められ法律にもルールにもなりようがないから、やむを得ない場合はコミッショナーが「成文化」する。その例が「コリジョン・ルール」です。あれは危険だ、選手生命を脅かす、捕手がそう思って自分はブロックを辞めても相手がやれば試合に負けます。ビーンボールもそうで、内角をえぐらないと強打者は抑えられないが死球は凶器にもなる。お互いに使いたくはないが相手をびびらせる「抑止力」になるというのは、まさに、第2次大戦後の軍事力均衡における「核の抑止力」とそっくりです。

セ・パの問題で考えると、セリーグはどちらかというと核廃絶国で、パリーグは抑止力としての保有国という感じがします。もっと簡単にいえば、巨人戦利権で労せず食っていけるセリーグは「金持ち喧嘩せずの老舗企業」、それがない裸一貫からのパリーグは「上昇志向むき出しのベンチャー企業」というところです。「喧嘩せず」路線を行けば、勝負へのこだわりやアスリートとしてのモチベーションは鈍ります。だから本質は喧嘩である野球は弱くなります。選手は機会均等のドラフトで選ばれれるのだからセリーグに入った選手の資質の問題ではなく、リーグや球団経営者の考え方、文化、教育姿勢の問題のはずです。

 

(4)セリーグの「村の掟」

僕の結論です。2015年に書いた以下のことは、セリーグの「村の掟」なのではないかと思います。セリーグが花相撲をやっているとまでは申しませんが、交流戦でどんなにパリーグに負けようが何も実力をキャッチアップしてない現状を踏まえると、あくまで選手のマインドの中のことではありますが「番付や給金に反映されない興行」に近い精神で試合が行われる場合があるのではないかと勘ぐらざるを得ない。去年あんなにソフトバンクにボロ負けしても、「でも、俺達ジャイアンツだもんね」で終わってるのではないかと思わざるを得ないのです。

長距離砲は当たりはずれがあって育てにくいそうです。そういうリスクをとるなら堅実なアベレージヒッターをドラフトで取っておいて、大きいのは外人にまかそうとなる。

セリーグは打者も全力で振り回す人はあまりなくて、形を作ってきれいに打つタイプが多いです。ソフトバンクの柳田や日ハムの中田、西武の中村のような殺気、豪気を感じる若い人がいない。

セリーグの投手は外角の出し入れ主体、かわしの投球にすぐれているように見えます。パはずばずば本気で内角を突いてくる。打者が踏み込んでパワフルに振ってくるからそうしないと打たれるのです。だから「ケンカ」になってる。セリーグは内角は見せ球で勝負は外角、きれいに打ちとる感じです。

これ、ジャイアンツ人気で食っていける球団にはリスク回避的で合理的な戦略です。プレーヤーは、常に全力投球、マン振りのガチンコ・プレーより「形を作って」とか「かわしの投球」とかの方が楽だし、テレビを見ている素人にはプロっぽく見えるし、ケガのリスクが少なく選手寿命も延びそうだ。そういうことじゃないか?

つまり、掟は球団と選手の合意でできているから変わりようがないし、変えたくもないのです。そんなことをやっていれば素人は騙せても野球の神様はごまかせず、ガチンコをやってるパリーグとやればボロ負けするのは当然なのです。それでは経営も選手も困るので、

交流戦についてセは大反対している

という不可解なことが起きるのです。ファンは交流戦を楽しみにしている人の方が多いと聞きます。でも、セリーグの経営者はからくりがバレで批判されるのはまずい。そもそも、サラリーマンの球団社長に終戦直後からの長年の文化を変える勇気もないでしょう。

経営からすれば若手やスター選手は広告主や年間予約席オーナーへの営業マンとしても戦力ですから、北新地でこういうことになるのです。

「タニマチからの食事のお誘いや、OB会の接待など、阪神の選手は球場の外でも忙しい」(野村克也氏)

すると選手も他チームもこうなっていきます。

ちやほやされる若手は大なり小なり勘違いするそうです。こういう若手は才能があっても大して伸びないでしょう。ハングリーでないわけだから。するとその阪神と競って負けなければいい他チームだって、同じレベルの球団になっていくのです。

 

(5)セリーグに下る野球の神様の鉄槌

ここで今年の日本シリーズ、巨人対ソフトバンクの話になります。まだ2試合しか終わってませんがもう十分です。それほど、唖然とするほどひどいからです。

去年の10月、4連敗でシリーズを終えたあまりに不甲斐ない巨人に怒り心頭に発し、その怒りはセリーグにも及び、ここにぶちまけたのです。この2つはかなり読まれてますから、同じ意見の方が多いのではないかと想像します。

巨人弱すぎ、かんべんしてくれ | Sonar Members Club No.1 (sonarmc.com)

セリーグ弱すぎ、かんべんしてくれ | Sonar Members Club No.1 (sonarmc.com)

それが1年たって少しは解消したかと巨人に期待してました。ソフトバンクもケガや新旧交代で苦労しており、ロッテに並ばれてあわやうっちゃられる所まで行ったからです。

ところが、ふたをあけると差はもっと開いていた。第2戦の13対2です。こんなのがNPBの頂点を決める決戦といえるのか?

点差だけの話じゃありません。それはあくまで結果なんで。そうじゃなく、中身のプレーの話です。勝負事だから形勢というものがあります、その事です。

ずっとTVでみてましたが、いくつか、えっという場面があったのです。まず柳田のセンターライナーへの丸の反応です。距離も方向も大外れで無様に頭を越され、明らかにあんな打球は想定してない。そりゃセリーグの打球ならそうだね。

後半に守備固めで出てきた牧原の引っ張ったファウル。これが2つ目です。役回りは巨人なら吉川尚輝、田中俊太というところですが振りが完全に別物。牧原は(甲斐もですが)柳田なみに振ってます。体は吉川、田中のがでっかいのに。

3つ目。巨人の4番手、鍵谷投手です。唯一パリーグ並みの球威があり少しは抑えるかと思いました。しかし牧原に簡単にはじき返されると柳田に四球。上位打線の圧に負けて満塁となり、デスパイネに軽々と一発食らってしまったのです。

つまり、先発の今村があまりに球が遅く、タイミングでかわす投球はセリーグでは通用してたんですがなにせ全力のストレートが143㎞ですからね、そのあとだから鍵谷が速く見えた。でもパリーグではあっけなく「打ちごろ」なのでした。

試合は鍵谷が出た7回表で7対2です。巨人に5点差をはね返す気配は皆無。そこで出た満塁ホームラン。ボクシングならカウンターが入ってふらついた追い打ちにもう一発アッパーカットが決まったみたいで気の毒でさえありました。

高校野球では7回終了で7点差以上は実力差から逆転不能と認定しコールドゲームです。巨人は9点差の7回コールド負けだったのです。僕は高1の初先発で国学院久我山に9-0の7回コールドを食らいましたが、あの屈辱は一生ものです。

しかし、僕ら庶民レベルのことが野球界の頂点、日本シリーズであっていいのか?いいわけないでしょう。おそらく、みなその昔は高校球児だった選手、OBがいちばんわかってます、そんなの口が裂けても言えないってね。

あえて原監督の肩を持つとすると、今年の優勝は二流の戦力を使い回した監督力の賜物でした。同じマネジメントをする身として敬意を表します。しかしシリーズ1,2戦は何もできなかった。やる前に選手のボロが出ちゃったんでね。

 

6)交流戦やめるなら日本シリーズもやめろ

こんな試合を日本シリーズと称してやるだけで羊頭狗肉(羊の頭を看板にかけて犬の肉を売る)なわけです。交流戦は犬の肉がバレるからやめたい。それなら、国民的に注視される日本シリーズはもっとやめたいはずです。ということは1リーグ制です。弱い方であるセリーグはパリーグの二軍になるという結論しかありません。あるいは、セリーグで2年連続最下位のチームは潰して5球団とし、選手は現役ドラフトで5球団に移籍します。では6球団目はどうするか?もちろん、ソフトバンクの二軍を入れるのです。すぐAクラスになるでしょう。

花相撲でぬくぬく食えるという文化。巨人戦の視聴率の凋落で、地上波がなくなって久しい。もはや現実はそうではないのです。それでも遺産で食えてるうちはそれを改めようとしないのが大組織です。証券界もそうです。野村證券を出て16年になり現役はもう誰も知りませんが、それでも30才前後の若手に会うと野村だなと匂いでわかるのです。良くも悪くもいまだに文化は変わってないという証拠です。セリーグも、監督、コーチ、選手を入れ替えることはやる気にさえなればいくらでもできますが、球団に深く根付いている文化は当分変わらないでしょう。

セリーグの選手の皆さんは気の毒です。巨人がみじめに負ければもっと弱い球団というレッテルを張られるのだから。そこで二軍なんて全然尊敬されないし、現に巨人の二軍はプロ・アマ戦で中央大学に20点取られて歴史的大敗してる。そんなの悪いけどプロではないのです。であれば、球団の文化など無視して、ソフトバンクの育成選手並みに命がけで練習するしかないでしょう。女の子と遊んでる暇などないのですよ。それが嫌なら、若いうちにプロ野球選手は見限ってサラリーマンになることをお薦めします。いくらでも遊べるし65才まで働けるし、戦力外通告にびくびくすることもありません。年俸1億円はたぶんもらえないけど生活は安定しますよ。

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埋まってない巨人・ソフトバンクの実力差

2020 NOV 22 11:11:28 am by 東 賢太郎

甲子園に出たチームと対戦して感じたこと。はやい、でかい、うまい、だ。つまり、①投手も野手も球が速く②打者がでかくてスイングが速くて打球が飛び③守備は「わたし失敗しないので」でどこへ打っても捕られる感じがする。それ以外もいろいろあるが、その3つが「ヘビににらまれたカエル」になる3拍子であった。びびると相手は見透かしてきてのびのびモードになるからますます3拍子の差がついてきて、こっちはさらに押されて後半に四球とエラーが出てコールド負けになる。だいたいこんなパターンだった。

プロ同士でそんな差があるはずないが、ソフトバンク(SB)は①出てくるピッチャーみなパワーみなぎる150キロごえ②全員が危険水域のフルスイングで、3つの内の2つはもう満たしている。巨人は①タマふつう②ホームランの心配ない打者が複数いる、で既に威圧されている。これでのびのびモードに入られ、押された巨人にエラーやミスが出たりすると、3拍子が揃ってしまうわけである。そうなれば去年と同じことで、へたすると4-0のボロ負けコースだろう。

第1戦にもうその兆候を見てしまった。なにせ唯一頼みのエース菅野がCS無安打の栗原に2回早々の被弾でショック。さらに2本追い打ちのツーベースを打たれ2度のショック。岡本がバットをへし折られショック。丸が好機にごっつぁんのゲッツーでショック。中島が悲しい振り遅れ三振でショック。千賀を知ってるウィラーが速球にピクりとも動けぬ三球三振でショック。坂本がモイネロの奇怪なカーブに唖然の三振でショック。四球の周東が左腕高橋をコケにしたスタートで楽勝の2盗でショック、それを中村晃が技ありヒットで簡単に返してショック。

以上思い出しただけで10のショックだ。SBでつけこめそうなのはクローザー森のコントロールぐらいだが(ロッテ戦からそうだった)、ベンチにもショックが蔓延していたのだろう、最後の代打田中俊太は初球を当てただけで力ないピッチャーゴロ。ヘビ・カエルのこんなのはもうショックにすらならない。SBならレギュラーどころか二軍だろうというので戦っているということだ。菅野をおろした時点でベンチはショックをそれ以上受けさせないモードに切り替えた。戦線撤退だ。

なにせ4安打しか打てなかったのだからどうしようもない。まともに外野に飛んですらいない。悲しい力負けでまさしく①が焼きついたろう。省エネのセリーグにそんなピッチャーはいないし対策は当然練ったろうが、本番で千賀ー甲斐のバッテリーが予測を覆した。ロッテ戦を見ていて思ったがSBの強さは柳田のホームランではない、何より、数も質も圧倒的な投手力なのであり、8,9回はまず点が取れない。先発を6回までに崩して最低3点取るか、7回のセットアッパーを打つかしか勝つ道はない。それでも打線を3点に抑えないといけないが巨人に菅野以外でそれが期待できる先発はいない。その菅野が6回で4失点というのはもうシリーズ終わった感が満載である。

SBはバレンティンがかけらも通用せず内川が2軍だ。今宮も長谷川も上林も明石もスタメンから消えた。去年まで誰も打てねえと思ってたバンデンハーク、武田、甲斐野も消えた。それでこれだ。巨人は投手力のハンディを打線で挽回するしかない。今日の石川を崩せるかどうかがすべて。昨日のようにやられて2-0となれば3戦から3つは福岡だから電車道の4-0もある。丸は打っても相手を威圧する選手ではない、どうしても岡本、坂本が図抜けたことをやって威圧し返さないと嫌なムードが変わらない。

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藤川球児の「ウソのないストレート」

2020 NOV 14 2:02:57 am by 東 賢太郎

藤川球児の引退試合を見ていたら、阪神OBの掛布が「ウソのないストレートですね」と評していた。いいこというなあと思っていたらスクリーンに清原が出てきて「あの事件は球児は悪くないんです、サインを出したのは矢野監督だから」と笑いを取った。事件とは彼が巨人時代に藤川と真剣勝負の対戦となり、フォークで三振にとられたのを「男らしくない」と批判したらアウトはアウトだろと非難ごうごうとなったものだ。僕はこの非難を強く批判する者である。一流の打者である清原は二流の投手にそんな要求はしない。「ストレートを振っても当たらんかった」と評価した藤川だからこそである。

変化球はべつに「ウソ」ではない。誰だってなしにはマウンドで生きていけない。ただ昨今の風潮として野球は非格闘技の方向に向かっていて、コリジョンルールができて肉体の激突は消えたし乱闘もあまりない。投手は分業になって先発が6回を3点で抑えれば「いい仕事しましたね」なんてほめられる。これが気にくわない。仕事?なんだよそれ?「投手は完投」世代であり14回を完投したことある僕はアホかいなと思うのだ。「アウトはアウトだろ」は非格闘技時代の産物であるうえに、無駄なことはしないという合理主義のにおいがする。

村山対長嶋、江夏対王、清原対野茂、清原対伊良部、江川対山本浩、イチロー対松坂など思い出の名勝負はたくさんあるが、どれも格闘技だった。ピッチャーの本能としてはゴロやフライのアウトなど、そんなものは「邪道」であって、みな、ほんとうは三振に切って取って完膚なきまでに勝ちたい。なぜなら、野球少年はみんな速い球を投げたい。速いのでマウンドに立たせてもらった子はなおさらそう思い、でもできないのだ。

ところが、問題はここからなのである。

三振ならいいってもんじゃない。フォークやスライダーでも三振は気持ちいいが、そこで満足するかどうか2つに分かれる。変化球で取った三振はまだ「邪道」のうちで、ストレートで三振を取らないと王道でないと考えるかどうかだ。そこに何の合理性もないが、そもそも三振アウトを狙うことに合理性がないのだから、逆にそこで満足することに僕はもっと合理性を見出さない。王道でない三振を何個取ろうが、そういうピッチャーは中途半端なプライドで生きてるのであって全然評価しない。ケンカに勝ちたい男のプライドに合理性なんてものは微塵も存在しないのである。

藤川はトップのトップしか狙わないピッチャーだった。トップじゃないのである。えらい。偉大である。これがわからない人は「なんで2位じゃだめなんですか?」の蓮舫を批判するな。これを知ってるから清原はフォークに怒ったのである。残念な問題を起こしたが、いい男ぶりだ。こういう男が日本国から減った。野球だけでなく、世の中的に。

引退試合の1イニングは感無量だった。巨人の坂本勇人は最高の技術で軌道すれすれの下を強振して技ありの三振をした。条件反射で当てる本能を抑えてあれができるから2千本安打なのだ。四球になりそうだった中島裕之は顔の高さの球があたかも浮き上がって驚いたかのようなとっさの対応で豪快に空振り三振した。野球をやった者しかわからないかもしれないが、間違いなくそうだ。ちょっと安心した。まだ野球界にはこういう男はいたんだ。

彼らのスイングには「ウソのないストレート」で生きた藤川への「ウソのない敬意」がぎっしりと詰まっており、「いい奴らだなあ」と涙が出た。藤川投手、ピッチャーの中のピッチャーだ。たくさんのすばらしい三振をありがとう。

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今年のプロ野球、選手にも球団にもNPBにも深謝

2020 NOV 7 12:12:43 pm by 東 賢太郎

今年は開催すらどうなるかと思ったプロ野球。いよいよ大詰めですが、客も満足に入らないのによくぞここまでやってくれました。選手にも球団にもNPBにも深謝です。贔屓の勝ち負けもありますが、僕にとってはプロの野球を観られる喜びだけでも代えがたく、たくさん力をもらいました。

昨日は西武と楽天の試合です。まず岸投手のストレート。あれは誰だったかな、顔の高さを空振りさせたあの直球、一見美しいけれど、完全に崩れて無残に振らされた打者の姿ですさまじい威力があったとわかるあれを投げられる人がこの世に何人いるか。変な話ですが、150キロも出てないからこそいいんです。出てたらつまらない、僕は全然興味ない。これは美学の問題です。ぞくぞくします。その直球で押しまくって5回で9奪三振、CSがかかって気合十分の西武打線をねじ伏せてしまう(同じ立場にあるロッテも手も足も出なかった)。いなせで格好いいですねえ。

これはなかなか伝えにくいのですが、まあ眠狂四郎の円月殺法というところでしょう。チャンバラは勝てばいいじゃ面白くない。同じ1対1の勝負でも西部劇ならズドンでおしまいでしょ、あれアメリカですね、わかりやすいですね、でも日本人は円月なんてどうでもいいお作法を求めて感動する。美しく勝たないとだめなんでね。野球で円月殺法的に完全に自分のペースで「美しく」の余地があるのはピッチャーだけです。他はぜんぶ受動の瞬間芸で無理なんで、あえて野手がやったのは長嶋茂雄の送球の腕の見せ方だけですね、美しいというより珍しいから彼のトレードマークになりましたが。

美しく勝たないとなんてのはメジャーにない。岸みたいな投手はいないんです。なぜならいても馬鹿力で打たれるから不経済です。よってみんな100マイル出すか球を動かしたほうがいいとなる。従って、岸のような投手は打者との力関係であれが通用するぎりぎりの狭いゾーンにだけ生存します、つまり、あれで飯が食える「ハビタブルゾーン」はNPBにだけ存在します。これが僕の結論。だから、メジャーの方がレベルが高いのはわかってますが、そういう投手がいないのだからNPBしか見ないのです。ところが昨今はNPBでも賞味の対象が米国化していて、アマでも150キロ出たのフォークがお化けだと技とスペックを競う世界に変容。まるで体操かフィギュアスケートだ。僕はストレートが美しくないとピッチャーじゃないと思ってるんで難しい時代になってきました。

次に、引退試合となった楽天の渡辺直人。この人、どのプレーというのはないですが名前が強烈に焼きついてます。なぜかって、いい所で打つわ守備はうまいわ足は速いわクレバーだわで嫌だなあということで。野球がうまい人ってのはいるんです。プロだからもちろんうまいわけですが、彼は三拍子そろって全面的に格別にうまい。そういうものは記録には現れないし見た目にも地味なんですが、性格的なものも含めてショートにいるだけで安心だろうなという感じ。見送るナインの表情に現れてました。尊敬の念しかございません。CSがかかってる西武は手加減なしでそれで4打数2安打。今季初安打だったレフト線2塁打、あの見事な振りはなんだ!カープに来てやってくれとお願いしたい。

そして中日の吉見投手も引退試合。そうか・・とにかくカープは彼にやられましたね、谷繁とつるんで。とにかく嫌なところを絶妙に突かれてタナキクマルが手玉に取られてましたっけ。横で見ていてそう速さはないが打席で何もさせてもらえない投手。吉見はそれの全国最高峰、偏差値80の人という感じでしょうか。プロのように同じ人と何度も対戦という世界は想像がつきませんが、こういう投手にひねられて味をしめられると何度やってもヘビとカエルでやられる気がします。それを打って飯を食うって、投げる方も打つ方も実に凄い事であります。生まれつきの才能としか見えないコントロールとクレバーさで頂上レベルというと、僕の中では桑田と吉見ですね。

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