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カテゴリー: 野球

交流戦やめるなら日本シリーズもやめろ

2020 NOV 23 23:23:43 pm by 東 賢太郎

(1)野球ファンとしての怒り

僕はカープ、マリーンズのファンですが、それ以前に、野球ファンです。だから最高レベルの野球がみたい。スポーツは万人がやって楽しむものですが、それでも年に何回かは、自分たちでは想像もできないハイレベルの人たちのプレーを見て楽しみたいものです。プロ・スポーツというのは、我々民衆のそんな願いをかなえるところで成り立っていると思います。

だから本当は、日本のプロ野球(NPB)の外人枠をなくしてほしい。全員アメリカ人でもOKです、野球がうまければ。しかしそうならないのは、日本の野球少年の夢舞台という役割もあるからで、甲子園大会には外国の高校も外国人もいれませんが、その国民的(国粋的)という部分と連続性がなくなるからでしょう。だからNPBは「ニッポンの最高峰の選手に少しのガイジンを加えた野球リーグ」であって結構と思います。

ところが、去年の8月に東京ドームでロッテ・日ハム戦をみて、こういう感想を持ったのです。セリーグは「ニッポンの最高峰の一翼」なんだろうか、ドラフトで機会均等なのになぜセ・パでレベルに格差が出てくるんだろう、それだと国際的に日本の野球は永遠に「最高峰」になれないのでは?ということです。

NPBの謎「パリーグの方が圧倒的にレベルが高い」 | Sonar Members Club No.1 (sonarmc.com)

パリーグの公式戦というと5年前にペイペイドームでみたのとこれと、10年で2つだけです。そこで、びっくりして書いたわけです。

ところが、すっかり忘れてましたが、2015年にこれがありました。考えるまでもなくびっくりの原因はここに全部書いてありました。

なぜ交流戦は毎年パリーグが圧勝なのか? (sonarmc.com)

さらに、そこのコメント欄に故・中村順一がいいことを書いてます。

まったくおっしゃるとおりで、セは全球団、巨人、阪神におんぶしているんですよ。ハングリー精神が出るわけがないのです。反骨精神を中日、広島あたりに期待したいが、全然だめですね。そもそも交流戦についてもセは大反対しているんですよ。訳が分からん。再来年には交流戦廃止という話すらあるのです。12球団の所属リーグの入れ替えをやるべき時に来ている気がする。そもそも巨人中心にすべてが回りすぎ、腹が立ちます。

僕と全く同じ視点で憤慨しておるのです。中村は阪急ブレーブス以来のオリックスファンでしたが野球を愛してもいた。何度か一緒に球場へ足をはこびましたがそう思いました。

 

(3)「花相撲」と「村の掟」

プロの野球がどういうものかは知りませんが、毎日体を張ってるのだからガチンコだと心身ともに疲れるしケガの危険も大きいでしょう。大相撲もそういうなれ合いの中で八百長が出たといわれます。あらゆるスポーツで八百長は絶対に許されませんが、ここで論じたいのは「花相撲」という概念なのです。若い人には耳慣れない言葉でしょう。こういう意味です。

花相撲とは大相撲における勝敗が番付や給金に反映されない興行のことであり、巡業、トーナメント相撲、親善相撲、奉納相撲、引退相撲などのことを言う。取り組みのほか初切、相撲甚句、横綱の綱締め、歌謡ショーなどのアトラクションが開催される。また、これから転じて他競技の類似のもの(プロ野球のオールスター戦など)を、通常の公式戦などより真剣度が薄い・優勝争いに関係しないという意味で花相撲ということもある。(wikipediaより)

勝敗が番付や給金に反映されない興行なのに相手をケガさせてでも勝つ気迫でガチンコ相撲を取る力士は少ないという意味では、花相撲は「手加減」ある取組です。しかし、そこはプロだからプライドがあるし、そう見えないぎりぎりで会場を沸かすことはできると思うのです。NPBのオールスター戦でも江夏の9連続三振など真剣勝負があったわけですから、花相撲はかならずしも「手抜き」とはいえず、もちろん八百長でもない。でも、断じてガチンコではないのです。その中間にあるふわふわしたゾーンで、プロの技術が無くてはできないが、それがあればたぶんできる、プレーヤーの暗黙のグレードダウンの了解です。

たとえばメジャーでも「大差がついたら盗塁しない」という暗黙の了解ゾーンがあり、何点差なら「大差」かは不明ですが、走っても記録員が盗塁にカウントしないから球界のルールでもあります。ふわふわしてるのです。一見すると「大人げないことするなよ」という紳士協定ですが、「投手にぶつけられたらぶつけかえしていい」という報復ルールもあって、そういうものぜんぶが「プレーヤーの暗黙のグレードダウンの了解」になっている。つまり、選手が了解して怪我せずに安心して食っていくための「村の掟(おきて)」のようなものです。

破ったら死球という「私刑」が認められ法律にもルールにもなりようがないから、やむを得ない場合はコミッショナーが「成文化」する。その例が「コリジョン・ルール」です。あれは危険だ、選手生命を脅かす、捕手がそう思って自分はブロックを辞めても相手がやれば試合に負けます。ビーンボールもそうで、内角をえぐらないと強打者は抑えられないが死球は凶器にもなる。お互いに使いたくはないが相手をびびらせる「抑止力」になるというのは、まさに、第2次大戦後の軍事力均衡における「核の抑止力」とそっくりです。

セ・パの問題で考えると、セリーグはどちらかというと核廃絶国で、パリーグは抑止力としての保有国という感じがします。もっと簡単にいえば、巨人戦利権で労せず食っていけるセリーグは「金持ち喧嘩せずの老舗企業」、それがない裸一貫からのパリーグは「上昇志向むき出しのベンチャー企業」というところです。「喧嘩せず」路線を行けば、勝負へのこだわりやアスリートとしてのモチベーションは鈍ります。だから本質は喧嘩である野球は弱くなります。選手は機会均等のドラフトで選ばれれるのだからセリーグに入った選手の資質の問題ではなく、リーグや球団経営者の考え方、文化、教育姿勢の問題のはずです。

 

(4)セリーグの「村の掟」

僕の結論です。2015年に書いた以下のことは、セリーグの「村の掟」なのではないかと思います。セリーグが花相撲をやっているとまでは申しませんが、交流戦でどんなにパリーグに負けようが何も実力をキャッチアップしてない現状を踏まえると、あくまで選手のマインドの中のことではありますが「番付や給金に反映されない興行」に近い精神で試合が行われる場合があるのではないかと勘ぐらざるを得ない。去年あんなにソフトバンクにボロ負けしても、「でも、俺達ジャイアンツだもんね」で終わってるのではないかと思わざるを得ないのです。

長距離砲は当たりはずれがあって育てにくいそうです。そういうリスクをとるなら堅実なアベレージヒッターをドラフトで取っておいて、大きいのは外人にまかそうとなる。

セリーグは打者も全力で振り回す人はあまりなくて、形を作ってきれいに打つタイプが多いです。ソフトバンクの柳田や日ハムの中田、西武の中村のような殺気、豪気を感じる若い人がいない。

セリーグの投手は外角の出し入れ主体、かわしの投球にすぐれているように見えます。パはずばずば本気で内角を突いてくる。打者が踏み込んでパワフルに振ってくるからそうしないと打たれるのです。だから「ケンカ」になってる。セリーグは内角は見せ球で勝負は外角、きれいに打ちとる感じです。

これ、ジャイアンツ人気で食っていける球団にはリスク回避的で合理的な戦略です。プレーヤーは、常に全力投球、マン振りのガチンコ・プレーより「形を作って」とか「かわしの投球」とかの方が楽だし、テレビを見ている素人にはプロっぽく見えるし、ケガのリスクが少なく選手寿命も延びそうだ。そういうことじゃないか?

つまり、掟は球団と選手の合意でできているから変わりようがないし、変えたくもないのです。そんなことをやっていれば素人は騙せても野球の神様はごまかせず、ガチンコをやってるパリーグとやればボロ負けするのは当然なのです。それでは経営も選手も困るので、

交流戦についてセは大反対している

という不可解なことが起きるのです。ファンは交流戦を楽しみしている人の方が多い。でも、セリーグの経営者はからくりがバレで批判されるのはまずい。そもそも、サラリーマンの球団社長が終戦直後からの長年の文化を変える勇気もあるはずがないでしょう。

経営からすれば若手やスター選手は広告主や年間予約席オーナーへの営業マンとしても戦力ですから、北新地でこういうことになるのです。

「タニマチからの食事のお誘いや、OB会の接待など、阪神の選手は球場の外でも忙しい」(野村克也氏)

すると選手も他チームもこうなっていきます。

ちやほやされる若手は大なり小なり勘違いするそうです。こういう若手は才能があっても大して伸びないでしょう。ハングリーでないわけだから。するとその阪神と競って負けなければいい他チームだって、同じレベルの球団になっていくのです。

 

(5)セリーグに下る野球の神様の鉄槌

ここで今年の日本シリーズ、巨人対ソフトバンクの話になります。まだ2試合しか終わってませんがもう十分です。それほど、唖然とするほどひどいからです。

去年の10月、4連敗でシリーズを終えたあまりに不甲斐ない巨人に怒り心頭に発し、その怒りはセリーグにも及び、ここにぶちまけたのです。この2つはかなり読まれてますから、同じ意見の方が多いのではないかと想像します。

巨人弱すぎ、かんべんしてくれ | Sonar Members Club No.1 (sonarmc.com)

セリーグ弱すぎ、かんべんしてくれ | Sonar Members Club No.1 (sonarmc.com)

それが1年たって少しは解消したかと巨人に期待してました。ソフトバンクもケガや新旧交代で苦労しており、ロッテに並ばれてあわやうっちゃられる所まで行ったからです。

ところが、ふたをあけると差はもっと開いていた。第2戦の13対2です。こんなのがNPBの頂点を決める決戦といえるのか?

点差だけの話じゃありません。それはあくまで結果なんで。そうじゃなく、中身のプレーの話です。勝負事だから形勢というものがあります、その事です。

ずっとTVでみてましたが、いくつか、えっという場面があったのです。まず柳田のセンターライナーへの丸の反応です。距離も方向も大外れで無様に頭を越され、明らかにあんな打球は想定してない。そりゃセリーグの打球ならそうだね。

後半に守備固めで出てきた牧原の引っ張ったファウル。これが2つ目です。役回りは巨人なら吉川尚輝、田中俊太というところですが振りが完全に別物。牧原は(甲斐もですが)柳田なみに振ってます。体は吉川、田中のがでっかいのに。

3つ目。巨人の4番手、鍵谷投手です。唯一パリーグ並みの球威があり少しは抑えるかと思いました。しかし牧原に簡単にはじき返されると柳田に四球。上位打線の圧に負けて満塁となり、デスパイネに軽々と一発食らってしまったのです。

つまり、先発の今村があまりに球が遅く、タイミングでかわす投球はセリーグでは通用してたんですがなにせ全力のストレートが143㎞ですからね、そのあとだから鍵谷が速く見えた。でもパリーグではあっけなく「打ちごろ」なのでした。

試合は鍵谷が出た7回表で7対2です。巨人に5点差をはね返す気配は皆無。そこで出た満塁ホームラン。ボクシングならカウンターが入ってふらついた追い打ちにもう一発アッパーカットが決まったみたいで気の毒でさえありました。

高校野球では7回終了で7点差以上は実力差から逆転不能と認定しコールドゲームです。巨人は9点差の7回コールド負けだったのです。僕は高1の初先発で国学院久我山に9-0の7回コールドを食らいましたが、あの屈辱は一生ものです。

しかし、僕ら庶民レベルのことが野球界の頂点、日本シリーズであっていいのか?いいわけないでしょう。おそらく、みなその昔は高校球児だった選手、OBがいちばんわかってます、そんなの口が裂けても言えないってね。

あえて原監督の肩を持つとすると、今年の優勝は二流の戦力を使い回した監督力の賜物でした。同じマネジメントをする身として敬意を表します。しかしシリーズ1,2戦は何もできなかった。やる前に選手のボロが出ちゃったんでね。

 

6)交流戦やめるなら日本シリーズもやめろ

こんな試合を日本シリーズと称してやるだけで羊頭狗肉(羊の頭を看板にかけて犬の肉を売る)なわけです。交流戦は犬の肉がバレるからやめたい。それなら、国民的に注視される日本シリーズはもっとやめたいはずです。ということは1リーグ制です。弱い方であるセリーグはパリーグの二軍になるという結論しかありません。あるいは、セリーグで2年連続最下位のチームは潰して5球団とし、選手は現役ドラフトで5球団に移籍します。では6球団目はどうするか?もちろん、ソフトバンクの二軍を入れるのです。すぐAクラスになるでしょう。

花相撲でぬくぬく食えるという文化。巨人戦の視聴率の凋落で、地上波がなくなって久しい。もはや現実はそうではないのです。それでも遺産で食えてるうちはそれを改めようとしないのが大組織です。証券界もそうです。野村證券を出て16年になり現役はもう誰も知りませんが、それでも30才前後の若手に会うと野村だなと匂いでわかるのです。良くも悪くもいまだに文化は変わってないという証拠です。セリーグも、監督、コーチ、選手を入れ替えることはやる気にさえなればいくらでもできますが、球団に深く根付いている文化は当分変わらないでしょう。

セリーグの選手の皆さんは気の毒です。巨人がみじめに負ければもっと弱い球団というレッテルを張られるのだから。そこで二軍なんて全然尊敬されないし、現に巨人の二軍はプロ・アマ戦で中央大学に20点取られて歴史的大敗してる。そんなの悪いけどプロではないのです。であれば、球団の文化など無視して、ソフトバンクの育成選手並みに命がけで練習するしかないでしょう。女の子と遊んでる暇などないのですよ。それが嫌なら、若いうちにプロ野球選手は見限ってサラリーマンになることをお薦めします。いくらでも遊べるし65才まで働けるし、戦力外通告にびくびくすることもありません。年俸1億円はたぶんもらえないけど生活は安定しますよ。

埋まってない巨人・ソフトバンクの実力差

2020 NOV 22 11:11:28 am by 東 賢太郎

甲子園に出たチームと対戦して感じたこと。はやい、でかい、うまい、だ。つまり、①投手も野手も球が速く②打者がでかくてスイングが速くて打球が飛び③守備は「わたし失敗しないので」でどこへ打っても捕られる感じがする。それ以外もいろいろあるが、その3つが「ヘビににらまれたカエル」になる3拍子であった。びびると相手は見透かしてきてのびのびモードになるからますます3拍子の差がついてきて、こっちはさらに押されて後半に四球とエラーが出てコールド負けになる。だいたいこんなパターンだった。

プロ同士でそんな差があるはずないが、ソフトバンク(SB)は①出てくるピッチャーみなパワーみなぎる150キロごえ②全員が危険水域のフルスイングで、3つの内の2つはもう満たしている。巨人は①タマふつう②ホームランの心配ない打者が複数いる、で既に威圧されている。これでのびのびモードに入られ、押された巨人にエラーやミスが出たりすると、3拍子が揃ってしまうわけである。そうなれば去年と同じことで、へたすると4-0のボロ負けコースだろう。

第1戦にもうその兆候を見てしまった。なにせ唯一頼みのエース菅野がCS無安打の栗原に2回早々の被弾でショック。さらに2本追い打ちのツーベースを打たれ2度のショック。岡本がバットをへし折られショック。丸が好機にごっつぁんのゲッツーでショック。中島が悲しい振り遅れ三振でショック。千賀を知ってるウィラーが速球にピクりとも動けぬ三球三振でショック。坂本がモイネロの奇怪なカーブに唖然の三振でショック。四球の周東が左腕高橋をコケにしたスタートで楽勝の2盗でショック、それを中村晃が技ありヒットで簡単に返してショック。

以上思い出しただけで10のショックだ。SBでつけこめそうなのはクローザー森のコントロールぐらいだが(ロッテ戦からそうだった)、ベンチにもショックが蔓延していたのだろう、最後の代打田中俊太は初球を当てただけで力ないピッチャーゴロ。ヘビ・カエルのこんなのはもうショックにすらならない。SBならレギュラーどころか二軍だろうというので戦っているということだ。菅野をおろした時点でベンチはショックをそれ以上受けさせないモードに切り替えた。戦線撤退だ。

なにせ4安打しか打てなかったのだからどうしようもない。まともに外野に飛んですらいない。悲しい力負けでまさしく①が焼きついたろう。省エネのセリーグにそんなピッチャーはいないし対策は当然練ったろうが、本番で千賀ー甲斐のバッテリーが予測を覆した。ロッテ戦を見ていて思ったがSBの強さは柳田のホームランではない、何より、数も質も圧倒的な投手力なのであり、8,9回はまず点が取れない。先発を6回までに崩して最低3点取るか、7回のセットアッパーを打つかしか勝つ道はない。それでも打線を3点に抑えないといけないが巨人に菅野以外でそれが期待できる先発はいない。その菅野が6回で4失点というのはもうシリーズ終わった感が満載である。

SBはバレンティンがかけらも通用せず内川が2軍だ。今宮も長谷川も上林も明石もスタメンから消えた。去年まで誰も打てねえと思ってたバンデンハーク、武田、甲斐野も消えた。それでこれだ。巨人は投手力のハンディを打線で挽回するしかない。今日の石川を崩せるかどうかがすべて。昨日のようにやられて2-0となれば3戦から3つは福岡だから電車道の4-0もある。丸は打っても相手を威圧する選手ではない、どうしても岡本、坂本が図抜けたことをやって威圧し返さないと嫌なムードが変わらない。

 

 

 

 

 

 

藤川球児の「ウソのないストレート」

2020 NOV 14 2:02:57 am by 東 賢太郎

藤川球児の引退試合を見ていたら、阪神OBの掛布が「ウソのないストレートですね」と評していた。いいこというなあと思っていたらスクリーンに清原が出てきて「あの事件は球児は悪くないんです、サインを出したのは矢野監督だから」と笑いを取った。事件とは彼が巨人時代に藤川と真剣勝負の対戦となり、フォークで三振にとられたのを「男らしくない」と批判したらアウトはアウトだろと非難ごうごうとなったものだ。僕はこの非難を強く批判する者である。一流の打者である清原は二流の投手にそんな要求はしない。「ストレートを振っても当たらんかった」と評価した藤川だからこそである。

変化球はべつに「ウソ」ではない。誰だってなしにはマウンドで生きていけない。ただ昨今の風潮として野球は非格闘技の方向に向かっていて、コリジョンルールができて肉体の激突は消えたし乱闘もあまりない。投手は分業になって先発が6回を3点で抑えれば「いい仕事しましたね」なんてほめられる。これが気にくわない。仕事?なんだよそれ?「投手は完投」世代であり14回を完投したことある僕はアホかいなと思うのだ。「アウトはアウトだろ」は非格闘技時代の産物であるうえに、無駄なことはしないという合理主義のにおいがする。

村山対長嶋、江夏対王、清原対野茂、清原対伊良部、江川対山本浩、イチロー対松坂など思い出の名勝負はたくさんあるが、どれも格闘技だった。ピッチャーの本能としてはゴロやフライのアウトなど、そんなものは「邪道」であって、みな、ほんとうは三振に切って取って完膚なきまでに勝ちたい。なぜなら、野球少年はみんな速い球を投げたい。速いのでマウンドに立たせてもらった子はなおさらそう思い、でもできないのだ。

ところが、問題はここからなのである。

三振ならいいってもんじゃない。フォークやスライダーでも三振は気持ちいいが、そこで満足するかどうか2つに分かれる。変化球で取った三振はまだ「邪道」のうちで、ストレートで三振を取らないと王道でないと考えるかどうかだ。そこに何の合理性もないが、そもそも三振アウトを狙うことに合理性がないのだから、逆にそこで満足することに僕はもっと合理性を見出さない。王道でない三振を何個取ろうが、そういうピッチャーは中途半端なプライドで生きてるのであって全然評価しない。ケンカに勝ちたい男のプライドに合理性なんてものは微塵も存在しないのである。

藤川はトップのトップしか狙わないピッチャーだった。トップじゃないのである。えらい。偉大である。これがわからない人は「なんで2位じゃだめなんですか?」の蓮舫を批判するな。これを知ってるから清原はフォークに怒ったのである。残念な問題を起こしたが、いい男ぶりだ。こういう男が日本国から減った。野球だけでなく、世の中的に。

引退試合の1イニングは感無量だった。巨人の坂本勇人は最高の技術で軌道すれすれの下を強振して技ありの三振をした。条件反射で当てる本能を抑えてあれができるから2千本安打なのだ。四球になりそうだった中島裕之は顔の高さの球があたかも浮き上がって驚いたかのようなとっさの対応で豪快に空振り三振した。野球をやった者しかわからないかもしれないが、間違いなくそうだ。ちょっと安心した。まだ野球界にはこういう男はいたんだ。

彼らのスイングには「ウソのないストレート」で生きた藤川への「ウソのない敬意」がぎっしりと詰まっており、「いい奴らだなあ」と涙が出た。藤川投手、ピッチャーの中のピッチャーだ。たくさんのすばらしい三振をありがとう。

 

 

 

今年のプロ野球、選手にも球団にもNPBにも深謝

2020 NOV 7 12:12:43 pm by 東 賢太郎

今年は開催すらどうなるかと思ったプロ野球。いよいよ大詰めですが、客も満足に入らないのによくぞここまでやってくれました。選手にも球団にもNPBにも深謝です。贔屓の勝ち負けもありますが、僕にとってはプロの野球を観られる喜びだけでも代えがたく、たくさん力をもらいました。

昨日は西武と楽天の試合です。まず岸投手のストレート。あれは誰だったかな、顔の高さを空振りさせたあの直球、一見美しいけれど、完全に崩れて無残に振らされた打者の姿ですさまじい威力があったとわかるあれを投げられる人がこの世に何人いるか。変な話ですが、150キロも出てないからこそいいんです。出てたらつまらない、僕は全然興味ない。これは美学の問題です。ぞくぞくします。その直球で押しまくって5回で9奪三振、CSがかかって気合十分の西武打線をねじ伏せてしまう(同じ立場にあるロッテも手も足も出なかった)。いなせで格好いいですねえ。

これはなかなか伝えにくいのですが、まあ眠狂四郎の円月殺法というところでしょう。チャンバラは勝てばいいじゃ面白くない。同じ1対1の勝負でも西部劇ならズドンでおしまいでしょ、あれアメリカですね、わかりやすいですね、でも日本人は円月なんてどうでもいいお作法を求めて感動する。美しく勝たないとだめなんでね。野球で円月殺法的に完全に自分のペースで「美しく」の余地があるのはピッチャーだけです。他はぜんぶ受動の瞬間芸で無理なんで、あえて野手がやったのは長嶋茂雄の送球の腕の見せ方だけですね、美しいというより珍しいから彼のトレードマークになりましたが。

美しく勝たないとなんてのはメジャーにない。岸みたいな投手はいないんです。なぜならいても馬鹿力で打たれるから不経済です。よってみんな100マイル出すか球を動かしたほうがいいとなる。従って、岸のような投手は打者との力関係であれが通用するぎりぎりの狭いゾーンにだけ生存します、つまり、あれで飯が食える「ハビタブルゾーン」はNPBにだけ存在します。これが僕の結論。だから、メジャーの方がレベルが高いのはわかってますが、そういう投手がいないのだからNPBしか見ないのです。ところが昨今はNPBでも賞味の対象が米国化していて、アマでも150キロ出たのフォークがお化けだと技とスペックを競う世界に変容。まるで体操かフィギュアスケートだ。僕はストレートが美しくないとピッチャーじゃないと思ってるんで難しい時代になってきました。

次に、引退試合となった楽天の渡辺直人。この人、どのプレーというのはないですが名前が強烈に焼きついてます。なぜかって、いい所で打つわ守備はうまいわ足は速いわクレバーだわで嫌だなあということで。野球がうまい人ってのはいるんです。プロだからもちろんうまいわけですが、彼は三拍子そろって全面的に格別にうまい。そういうものは記録には現れないし見た目にも地味なんですが、性格的なものも含めてショートにいるだけで安心だろうなという感じ。見送るナインの表情に現れてました。尊敬の念しかございません。CSがかかってる西武は手加減なしでそれで4打数2安打。今季初安打だったレフト線2塁打、あの見事な振りはなんだ!カープに来てやってくれとお願いしたい。

そして中日の吉見投手も引退試合。そうか・・とにかくカープは彼にやられましたね、谷繁とつるんで。とにかく嫌なところを絶妙に突かれてタナキクマルが手玉に取られてましたっけ。横で見ていてそう速さはないが打席で何もさせてもらえない投手。吉見はそれの全国最高峰、偏差値80の人という感じでしょうか。プロのように同じ人と何度も対戦という世界は想像がつきませんが、こういう投手にひねられて味をしめられると何度やってもヘビとカエルでやられる気がします。それを打って飯を食うって、投げる方も打つ方も実に凄い事であります。生まれつきの才能としか見えないコントロールとクレバーさで頂上レベルというと、僕の中では桑田と吉見ですね。

 

安田、ひるんだら負けやぞ

2020 OCT 5 18:18:50 pm by 東 賢太郎

今年は野球観戦はもっぱらテレビですが、1度だけ東京ドームに行きました。阪神戦です。巨人は田口で、遠投を見ていて今日はいいなと予感しました。案の定、138キロぐらいの直球でぐいぐい差し込んで楽勝の完封かなという展開に。7回1失点で替わりましたが、唯一の先頭打者ヒットを打たれていた近本を見逃し三振に取った外角低め、これも138なんですが、観衆5千人のドームに響き渡ったミットの音は雷鳴の如き凄まじさで、プロの球はあんな音がするのかと絶句したのです。遠投はリアルに実感できますが、あの音は人生このかた聞いたことがない。グラウンドにいたら怯(ひる)んで凍ったでしょう。田口を速球投手という人はいません。138は素人でも出るし、後ろを守ってる野手の方がひょっとして速いでしょう。でも彼らが投げれば打たれます。ピッチャーしか投げられないストレートというものがあるのです。

ロッテに移籍した澤村がいい投球をしています。以前に東京ドームで何度か観た彼は150は軽く出ていましたが、一生忘れない田口の138に比べたら全然印象がありません。それが今は様変わりで鬼気迫るものがある。157出る上に、フォークかスプリットか、とにかく変化球が150(!)。あんなものを打てる人間がこの世にいるかと思っていたら、先日テレビで日ハムの渡邊との対戦があって、これが凄かった。全球150超え、全球ファール。フォークも当てる。渡邊は澤村に微塵も怯んでない。ファールが5、6球続いて、明らかに、澤村が追い込まれてる。そういうのはピッチャーの端くれだからわかります。結局、渾身の157を完璧な当たりで三遊間を割られました。ハブにマングース。記憶に残る稀代の名勝負でした。日ハムファンが「直球破壊王子」と書いた紙を振ってるではないか。なるほど、そうなのか。東海大甲府か。一皮むけたらどうしようもない打者になるなあ。でもあそこで120のカーブで三振だったな。澤村はないんだなあ。

ロッテは福田の復帰が大きいように思います。彼は182㎝ですが細身だからか打席でデカく見えます。インコースは引きつけて真芯に乗せて軽く右翼中段まで運ぶ懐が深いスイングで、ホークスにいた時に嫌だなあと思ってました。先日の10月2日、3-2で負けた日ハム戦のことです。21才の若さで4番を任されている安田が、二死満塁で宮西の真ん中低め直球を見逃し三振してゲームセットになった。「この馬鹿、振れよ」と怒鳴って僕もテレビを消したあれ、全ロッテファンがっかりのシーンだったのです。それが祟(たた)ったか翌日も西武のニールに抑え込まれ0-0で延長になだれ込み、10回に澤村がメヒアに一発打たれてロッテは1-0の完封負け。最悪のムードになりました。これはいかん、ホークスはしぶとく負けないしずるずる後退かと思ったのです。

しかし、この試合、一縷の望みがあって、わずか2安打だったロッテの9回、安田がクローザーの増田からセンターフェンス直撃、あわやサヨナラ本塁打という2ベースを打った。彼はこの試合、4の1で三振もありましたが、ぜんぶ振ってました。そしてその翌日の西武第2戦、劇的なことがおきます。安田は3回の二死満塁でまた凡退します。そのまま3-0の嫌なムードで負けていた6回、まず、福田がスリーランで同点。そして、7回。二死一二塁と再度の好機にまた安田。すると福田が近づいてきて二言三言。あとで報道で「怯(ひる)んだら負けやぞ」と檄を飛ばしたと知りました。そして、その安田がスリーランで逆転。漫画でも出来すぎのストーリーで逆転勝ちをおさめるのです。第3戦でも2ベースを打ってお立ち台の安田は、あの日ハム戦の見逃し三振でビビッて考えこんでたら打てなかったろうと思います。失敗はめげずに吹っ切ってやれば、若者は必ず成長できます。

先週たまたま野村の副社長だった大先輩が来社され、ひょんなことからあんまり思い出したくない若気の至りの昔話になりました。海外のディールで僕は本社の課長として国内の営業体に300億円の株の販売予約をさせました。これは営業への僕の信用でやったことです。ところが、あらんことか急にその株の引受がロンドンでキャンセルになってしまい、なんだこれはと大問題になったのです。夜も眠れず、完全にクビを覚悟しました。翌日がっくりしていると、常務が席に来られ「東、一緒に来い」と肩をたたかれます。向かったのは社長室でした。「社長、この件は東の責任ではありません。引受の判断として一切間違ってもおりません。おかしいと言われるなら、私は引受担当常務を辞めます」とおっしゃった。びっくりしました。僕が無罪放免だったのは言うまでもありません。「ひるんだら負けやぞ」は、僕はこうやって叩きこまれました。

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巨人・澤村投手のロッテ電撃移籍

2020 SEP 8 22:22:38 pm by 東 賢太郎

巨人・澤村投手のロッテ移籍が昨日7日(月)の午後に発表され、球界に衝撃が走った。詳しくは書けないが、5日(土)に息子とあるところでそれを聞いてびっくりしていた。そうしたら今日8日(火)に澤村が借り物のユニフォームで早くもマリンスタジアムの日ハム戦に登板してきて再度びっくりだ。しかも三者連続三振のおまけつきである。

ロッテがソフトバンクに強いのは去年もそうだが、ちょっとした理由がある。だから選手が気合が入っていて自信も持ってるのである。荻野がケガしたと思えば韋駄天の和田が出てくるし、お寿司のレアードが帰ったと思えばマーティンが出てくる。鈴木大地が楽天に行ってもサードに入れた安田が4番に成長している。誰といってスーパースターではないが、ちゃんと穴埋めする選手が現れて、相手が嫌がるしつこい野球をして接戦を勝っている。

井口監督は会ったことはないが、とてもプロフェッショナルな感じがするし勝ち運も持ってると思う。だから選手時代からファンであり、ロッテの監督になってから色紙に僕の名前と社名入りでサインをいただき、我が社の会議室に大切に飾ってある。勝負事は運が大事と思ってるので、運が強い人と付きあいたいのだ。澤村が首位争いが佳境に入るこの時期に取れたのも運じゃないかな。

澤村は三軍に落ちるなど何があったかは知らないが、まだ老け込むには早い。ロッテは8回を任せていたジャクソンが退団になり、いまは僕が好きな唐川が見事に穴を埋めてるが、澤村次第ではどっちか先発という線もある。ともあれ、人間、必要とされ乞われる時が人生の華である。大チャンスと思うので頑張ってほしい。

いま楽しみにしてるのは、昨年世間を沸かせた大船渡高の佐々木朗希投手である。ロッテ球団は某医大と提携して選手の筋肉の科学的コンディションチェックをしている。それが通れば、一軍デビューすると聞いている。オープン戦の中継で捕手の後ろからの映像を見たが、いよいよと思うとぞくぞくする。何をおいても球場で生で観たい。

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カープ森下、惜しかった準完全試合

2020 AUG 15 9:09:28 am by 東 賢太郎

久々に興奮するストレートを見た。広島カープの新人、森下投手である。阪神相手に2安打無四球12奪三振の完封。新人の完封は今季初、先発全員からの奪三振はセリーグ15年ぶり2人目、新人の2桁奪三振で無四死球完封はセリーグで中日・権藤以来59年ぶり(広島で初)であり、惜しかったが、9回2死で近本に安打を打たれなければプロ野球史上初の新人の準完全試合であった。

森下は明大時代から話題の投手であり去年のドラフトの目玉だった。カープに決まって嬉しかったし、開幕してからの投球もすでに新人王が射程圏内というハイレベルのものだ。ブログにしようと何度か思ったが、しなかったのはわけがある。彼の体つきだ。プロにしちゃあ細すぎる。顔も優しいしケツも小さい。活躍も今だけじゃないか、いずれポキッと折れるんじゃないか・・そう思って気が乗らなかった。

現に昨日の阪神戦も見てはいたが、淡々と投げるいつもの彼であり、冒頭に列挙したような歴史的なことが行われている風には見えず、むしろ相手の藤浪が復活するかどうかに注目していたのだ。藤浪が序盤に早々に失点して興味が失せ、やっと中盤になって、阪神がまだ1安打なのに気がついた。そこからだ。4番大山の右飛以外は森下に打たれそうな気配がない。3巡目でも振り遅れてる。1イニングだけ剛球を投げる投手はいくらでもいる。しかし、9回1死、福留を見逃し三振に取った伸びのある(!)内角低めのストレートを見て彼の資質がよくわかった。次の近本が唯一嫌な感じに見え2安打目を打たれたが(いいバッターだ)、最後の中谷は当たる気配もなく見逃し三振だった。

森下の何が凄いって、ストライクゾーンのストレートで空振りが取れてしまうことだ。ストレートはある意味、なんの芸もないボールであって、投手はいつでもストライクが取れる。ということは、それがバットに当たらないと打者は常に絶体絶命で為すすべもないのである。問答無用でねじ伏せられて三振。絶対の力の差を見せつけられ、残るのは屈辱と敗北感だけだった記憶が僕にもある。マウンドに君臨する相手が大王に見えてくる。投げたほうは男として最高の快感であり、このシーンは、実は野球がけっこう残酷だと感じる最たるシーンでもある。

だから僕は変化球で何個三振を取っても評価しない。邪道だなと思って見ているし、三振した方も、負けは負けだが屈服というよりどこかごまかされた感がある。次は見てろよと闘志もわく。しかし、速くて伸びるストレートは何度打席に立ってもどうしようもないのだ。スピードガンの数字ばかり騒がれるが、「伸び」(スピン量)も打てない要素である。速度も回転も球に与えられた運動エネルギーであり、総和が大きいほど「生きた球」になり、打者に意外感のある動きをする可能性が増える。目が慣れてないものは打てない。

伸びというのはある初速で投げられた球が普通の回転数で描く放物線軌道を何万も頭にインプットしている打者にとって、普通より多い回転数による過分の空気抵抗で球が引力に逆らうと記憶のイメージより「浮いて」見えるのを感覚的に表現したものだ。打席でそういう球に出会うと「速いな」と思う。それは速度では必ずしもなく、打者は速度の変化率に反応してバットを振っている。腕の振りで判断した初速が想定外に手元で落ちないというイメージだと初速が130kmでも「速い」のであり、ある1点での速度しか表示しないスピードガンの数字を見てもわからない。「伸びる」「生きた」「速い」球を空振りするとバットは球の下を通っている。

球場でプロの投手の球を見ているとスピードも伸びも「あれは当たらん」と思う。それをホームランするのを見ると、「あれは抑えようがない」と思う。そういう連中の巣窟である恐るべき世界で、森下くんは60年にひとりしかできないようなことをやった、それは、あのストレートがあるからだ。彼を初めて見たのはちょうど5年前のU-18野球ワールドカップのテレビ中継(対チェコ戦)だ。それに刺激されてこのブログを書いてるので、大分商業高校の彼のストレートに感じるものがよほど強かったのだろう。

高めのストレートは投手のプライドである

彼のフォームはさっぱり力感がない。鬼の形相で雄たけびをあげて投げ込んでくるマッチョ野郎でないから、打者はイメージギャップで差し込まれている感じがする。肩甲骨が柔らかそうで、球質は、たぶん、手元で相当伸びてる。それにタイミングを合わせないと当たらないから、緩急がつくとさらに当たらない(特に山なりのカーブ)。足腰に粘りがあって頭がぶれないから低めのコントロールが抜群で、カットもチェンジアップもスライダーでも三振が取れるが、150kmのストレートと100kmちょっとの遅いカーブの「両極端」が打者の体の軸をぶらせているのを見るとその2つでも飯が食えると思ってしまう。それは往年の大投手、金田正一や外木場義郎といった王道を行く本格派の系譜に属するということを意味している。

武器が2種類の投手など今は影も形もないし、生半可な人がやっても打たれるだけだ。だから今は変化球が百花繚乱である。メジャーの影響というが、日本だろうがアメリカだろうが、打たれるからそっちに逃げるという理由が先にあると僕は思う。2種類だけで金田が400勝、外木場が完全試合1回、ノーヒットノーラン2回を成し遂げたのは、2種類のどっちも半端なく凄かったとしか説明のしようがないわけだが、さらにつきつめれば、スローカーブが主役であったはずはなく、即ち、ど真ん中に投げて空振りの取れるストレートがあったからという必然の結論に至るのである。スライダーやらフォークやらの猪口才なごまかしが不要なほど速度も回転も並外れていた。これが僕的には正々堂々の保守本流で滅茶苦茶カッコよく(あんまりそういう人はいない、それが生まれつきの趣味だったんだろう)、それで投手がやりたくなり、当然、変化球はカーブしか覚えず、当然、強い高校には打たれた。スプリットぐらい投げればよかったと今になって思うが、妥協しなかったのには誇りもある。

僕はライフスタイルや人付き合いやビジネスや政治思想にはいたってリベラルだと自分で思うが、こと野球とクラシックと猫についてはなぜかはわからないが筋金入りの保守だ。だから投手は完投が当たり前であり、中継ぎやクローザーなんてのは当時はなかったが、もしそれにされたら野球は辞めた。森下はそんな僕のストライクゾーンに入る久々の大物だ。完封どころか完投すらできない軟弱な投手ばかりになった球界の宝である。しかし、人間のやることだ、そのうち打たれることも必ずある。彼の体つきの不安は消えたわけではない。肩・肘だけは気をつけて無理しないように、長い投手人生を送ってください。

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原監督の〝投手・増田大〟を支持する

2020 AUG 9 14:14:52 pm by 東 賢太郎

巨人、原監督が阪神戦で野手の増田大を登板させた。11-0で最終回あとふたりの場面であり、前の若手投手はストライクが入らずめろめろであったらしい(試合は見てなかった)。

ビデオがある。なんとアナウンサーも解説者も、近本の打席で3,4球投げてるのにピッチャーが何者か気がついてない。それほど想定外の事だったのだろう。増田は近本を二ゴロ、江越は四球、大山を右飛で終えた。マウンドさばきは落ち着いており、コントロールは良くスライダーも交え、江越の2球目、3球目は外角、内角ぎりぎりに136、138kmが散っており、これは素人では打てない。近本は強振し微妙に差し込まれたか芯を外れ、4番大山の初球外角低め138kmは見事であり結局いい当たりだが引っ張れていない。

調べたら小松島高校(徳島)で3年時の夏の県大会で準決勝まで全試合完投した投手だった。なるほど。

これに対して巨人OBなどが批判の声をあげている。試合を投げるとは何事か、巨人の伝統に反する、相手に失礼、投手に失礼、ファンに失礼、などだ。

プロからすればそうだろうが、巨人の伝統なんか広島ファンには関係ない。マウンドは投手の聖域だみたいな人もいるが、ならば打席は打者の聖域でないのか、そこに投手が入るのはいいのか。相手に失礼ってのは、ホームラン打ってから言ってほしい。投手に失礼って、前にボカスカ打たれて7失点もしたのは本業の投手だろう、こいつのがよっぽど失礼だ。

この投手交代は、打てない打者がピッチャーを代打に送られたに匹敵する屈辱で、その意図もあったかもしれない。しかし、11-0で出されたならその投手にとっても屈辱なのだ。残っていた中川、大竹ら4投手を使いたくなかったのは、疲労させたくないのはもちろんだが、11-0で出されると4人の内で最低順位だよという意志表示になるからではないか。ピッチャーはプライドで生きている。そうだとしたら原は大監督になったと思う。

僕は野球ファンとして増田の少年のような笑顔にとっても癒された。なんたって甲子園のマウンドだ、うれしくないはずがないではないか。きっと緊張しているが喜びが顔に出てしまう。野球が好きなんだ!それでも勝負は勝負である。打たれてへらへらとは違う。阪神の手強い中軸を見事に討ち取った。あっぱれとしか言いようがない。

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プロ野球開幕。来た、見た、うれしかった!

2020 JUN 20 12:12:26 pm by 東 賢太郎

3月はじめ、斉藤惇プロ野球コミッショナーと食事して「開幕だいじょうぶですか?」「いやオリンピックだって危ないぞ」なんてたぐいの話があり、その翌週あたりにNPBの延期が発表され、オリ・パラのほうも24日に延期の発表がありました。

絶対にしゃべれない話をきいてしまうと人間はストレスになるんです。ブログ履歴を調べたら、それを聞いてしまった日の夜中、眠れなくなってこれを書いていたようです。

ありがとうバティスタ(僕の永遠の4発)

彼の話が出たっけ?酔っ払っていて覚えてませんが、「いかん、こりゃしばらく野球がおあずけだ」のショックだったのでしょう。

あれから3か月。開幕にあたっての斉藤さんの「コロナ禍で疲弊した国民を元気づけ、社会に明るさを取り戻す一助となれれば、これ以上の喜びはありません」のご発声。まさしくコミッショナーのお言葉。心に響きました。

ロッテーソフトバンクは見ごたえありましたね、0-0で8回にカープでいまいちだったジャクソンが出てきて嫌な予感がしたら1点取られ、9回は森が出てきてツーアウト1塁。万事休すと思ったら育成上がりで初出場の代走和田が甲斐キャノンをものともせず二盗。これがいかに凄いことか、シリーズで6回走って全敗だったカープファンは知ってるのです。そこで中村がヒットを打って同点。

結局サヨナラ負けでしたがロッテいいなあ。ホークス、中島さん、めちゃくちゃ強いですね、内川、デスパイネ、グラシアルいなくてもわからんです。延長10回に高橋礼を出せてしまう。余裕というか、どうしてこんなチームに西武は勝ったんだろう。先発の石川、東浜。本当にすばらしいストレート!TVで充分です、これ見るだけで感動です、おかね払います。

オリックス山岡。あの体格であのきっぷのいい球。いいピッチャーです。しかしオリックス打線、則本相手とはいえ3回の送りバントが内野安打になって結局それ1本で終わりかあ。楽天はサブローがいったので応援します。さっきおめでとうメールしたらすぐ返信くれて今年は手ごたえあるようです。

西武-日ハムはあんまり見てないけど西武先発ニール。6回を1安打、18アウトを11個のゴロでというのは実にいやらしい、魔術の域ですね。スパンジェンバーグは打ちそうだ、秋山いなくなったけど。日ハムも2安打じゃ有原が気の毒。ということでパリーグは初日はホームランなし、投高打低。というか試合してなくてあの球なげられたら打てんというピッチャーのレベルの高さ。

セリーグは大瀬良でした。雨の中で4安打1失点で完投。ホームランも打って3打点の独り舞台でした。まあしかし、打線は迫力ないね。ピレラはいいかもしれないけどメヒアがね、当たりゃでかいけど外角に速いの曲げたらほぼ打てんですねあれは、堂林もそう、何年も前からおんなじ欠点がまだ治らない、まだいるのね信じられんですね。西武、ソフトバンクで二軍レベル未満です。

巨人は菅野が7回2失点。おととしの凄みはまったくなくなりましたね。なんたってピッチャーの西にツーベースとホームランだからね。西はパリーグでご無沙汰なのにあのバッティングはすごい。大谷みたいにでかいわけじゃなく、松坂、マエケンと三羽ガラスと称したい。3人ともショートができるだろうし打者なら坂本級もあり。こういう人はマウンドにいたら手玉に取られるオーラがあるんでしょうね。天才です。

ヤクルトー中日は最後までやってたので。8回で7-7。好ゲームと思ったらそうじゃなく平凡な犠牲フライがお立ち台。石川みたいなピッチャーは雨は気の毒。開幕戦勝利の記録、コールドだったらできてたね。石山のストレートは先発させたいなあ。延長10回二死満塁で期待の19才、4番村上。面構えは良かったけどね、空振り三振は持ってねえなあ。まあ岡田の高め145キロはすばらしかったですけどね、なめられてるね。

ということでセリーグはホームラン5本、うちピッチャーが2本。それはともかくです、ロッテーソフトバンク見ちゃいましたんでね、セリーグずっこけですね。誰がどのプレーがって次元じゃなく、もう直観的に野球のレベルが違う気がする。どうしてこういうことになるんだか選手の母集団は変わらないんでね、まったくわかりません。毎年交流戦もシリーズもコテンパンにやられてるわけで、なんらかの理由があるはずなんで、セリーグは屈辱と思って奮起してください。

120試合、どこが勝ってもいいです、今年は野球が見られるだけで幸せです。6試合、どれも、やっぱりプロだなあ、うまいなあというのがありました。選手の皆さん、きっと我々ファンよりこの日をずっと待ち焦がれていたでしょう。高校球児の分まで思いっきり野球をやってください。球団経営は大変でしょうが、おかげさまで球音を楽しみながら静かにウィスキーなんて最高の贅沢をさせていただけます。感謝します。

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2007年、佐賀北が勝った甲子園

2020 MAY 3 13:13:33 pm by 東 賢太郎

ロッテのサブローさんから体調を心配してメールをいただいた。今は楽天イーグルスだから仙台に缶詰め状態とのこと。「絶対に感染しないように気をつけてください!」。プロ野球界ってのはこうなんだな、なんともありがたい。

彼も1994年、PL学園の1番センターでセンバツに出てベスト4になっている。1学年上に松井稼頭央、1学年下に福留孝介がいた。

今年のセンバツの選手たち、本当に気の毒だ。夏はせめて無観客でやらせてあげられないだろうか。そして秋に春の出場校でもう一回なんてどうだろう。プロを無観客でやるなら考えてあげてほしいが・・無理なのかな。

2007年の夏の佐賀北と広陵の決勝戦をBSでやっていた。8回に逆転満塁ホームランで佐賀北が勝った試合だ。広陵はバッテリーがカープの野村と巨人の小林、ショートはカープの上本、サードも元カープの土生、控え投手にカープの中田廉がいた。対する佐賀北は大会前はノーマークの県立高校であった。

当時多忙であったとみえこの試合は見ていない。色々発見して面白い。打順は7番野村、8番小林だ。野村はこの大会20打数10安打でこの試合も左中間2塁打で2打点、PLの4番だったマエケンを思わせる打撃センスもある。

野村の球速は135だが質が良く、切れ抜群の変化球が4種類あり7回まで1安打10奪三振ですいすい、打たれる気配まるでなしだ。前日完投しててこれか、すばらしいピッチャーだ。なんでこれで打たれたの?そういう目線で見る魔の8回、スコアは4-0である。

まず三振(4者連続だったかな)。次ぎ、微妙に高めに抜ける感じあり。満を持した快心かつ細心の外角低め直球をボールと判定される。ここで野村、小林のがっくりが顔に出る。これだったのか・・・

13年も前のビデオだけど、結果も知っているのだけど、手に汗握る。こんなシーンは日常にそうはない。野村も小林も、その後プロで数々の活躍を見せてくれているが、やっぱりあの満塁ホームランはずっしり残る。

悔しいシーンをこうやって末代も見られてしまうけど、あのまま野村が完封してたらここまで人々の記憶に残ったろうか?公立校をプロ予備軍が潰して悪役として記憶されたんじゃないか?

佐賀北の選手はどうなったんだろう?

調べてみると打った副島は佐賀で指導者になっている。あの場面で打った、それだけでも球史に残る打者と思う。野村に投げ勝った優勝投手の久保は筑波大に進んだが、明大に進んだ野村を「すごい投手。僕とは全然レベルが違う。プロなんて実力的に考えていない」と言ったそうだ。その後やはり指導者になった。

http://「3人が甲子園に集まることはない」あの夏の佐賀北OBが語った …

プロに行く人はいなくても頂点に立った、これを見ると高校野球は技術論だけで語れない、選手、指導者の方々の入魂の、一個の完成した世界であることが見えてくる。

ひょっとして今年もこういうドラマがあったかと思うと、つくづくコロナが憎い。

 

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