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カテゴリー: 野球

書いておきたいプロ野球雑感➁

2025 APR 11 22:22:36 pm by 東 賢太郎

今日の巨人戦、広島カープの田村くん、第二打席で戸郷の4球目を見逃したボール判定。これで四球を選んだことがすごく自信になったと思う。今日は5打席入ってファーボール2つと2安打で4出塁。こうやってOPSは上がる。調子悪かったとはいえ、戸郷を打った。これは自信になったと思うし、第4打席は顔つきにそれが出ていた。こうやって一皮むけていくね。

カープの最後に出てきた岡本投手。甲南大学に野球部があるのは知りませんでした。しかも大学に入ってからピッチャーに転向。それで今日は巨人の重量級、岡本、キャベツ、ヘルナンデス三者凡退は素晴らしい。落ち着いてるしコントロールは良く、球はそう速くないけど打者をペースに引き込む度胸がいい。大学の監督さんもカープのスカウトもあっぱれ。ひょっとすると先発向きかも。

巨人の戸郷くん、球が遅くなってるね。どこか壊したんじゃないか。4回途中で10失点。コントロールより球威で押し込んでいくタイプだから遅いと変化球も打たれた。思い出したのは昨日の楽天の岸投手だ。好きなピッチャーのひとりで、伸びで差しこんで変化球で打ち取れる。誰でもできそうだけどそれで飯を食える人はほとんんどいない。昨日は伸びがなかった感じがする。それで130台だとやっぱりね。40才だけど頑張ってほしい。

そして今日は何より日本ハム対西武でした。先発は山崎福也と今井。山崎は抜群の変化球と緩急、ライオン丸の今井は手が出ない低めの剛球。両投手が圧巻の投げ合いで、両チーム6回まで完全試合、こんなのはかつて見たことなし。0対0のまま12回裏、ファーボールの万波の代走に中学時代400mで埼玉県1位だった松本剛。2球目に二盗成功。2死からのベンチの決断は見事。そこで代打で出てきた郡司が157キロの剛球を投げ込んでた甲斐野の外角フォークの失投をとらえてライトスタンドへさよならホームラン。エスコンに来てからの日ハムの勢い、きつねダンスが効いたのか男性ホルモン全開だ。やっぱり男はこうじゃなきゃね。

超常現象?カープ田村のサヨナラ本塁打

2025 APR 6 9:09:36 am by 東 賢太郎

あっ、ホームラン打ちそうだ!アップで映った打席の顔を見て、ウソのようだが本当に、ビビッと感じた。山崎康晃がゆっくり投球モーションに入る。初球。高めのストレート。バットが一閃。右中間に大飛球。ちょっとシュートしたから先っぽ気味だったかな・・・・はいった!田村俊介、プロ入り初ホームランでサヨナラ勝ちだ。

伏線があった。東と常田の先発で投手戦が予想されていた。ところがDeNAが4失策もやってくれて6対2の楽勝ムードで9回表をむかえる。セーブのつかない4点差なので普通は守護神は出てこない。ところが栗林だ。ブルペンが映ったが森浦もやっていた。う~んなぜかなあ、まさか4人右が続くからじゃないだろうな・・・。いやな予感があたる。球威も変化球の切れもコントロールもいまいちだ。何もいい所がない。四球、安打、安打、二塁打、三振、四球で6対4にされたあげくに一死満塁を残してKOである。こんなピッチャーの降板をやさしいカープファンは拍手で慰労?する。やめてくれんかな。かわってマウンドに立った塹江は球速、切れ、メンタルどれも文句なしで一番いやなバッターである梶原を三振にとって二死だ。なんとかなるか・・・。ところが、ここで満を持して出たかどうか知らないが、島内に交代だ。おいおい、牧が右だから右かよ。彼は剛球が良いときは無双だがメンタルが弱いのだ。やばい。これまた球威もコントロールもいまいちである。なんと押し出しで1点差。なおも満塁。ここでついに佐野にレフトの頭を超えてワンバウンドでスタンドに入る二塁打を食らう。6対7の逆転だ。新井の投手リレーは無様というしかない。広島市民球場だったらベンチの上まで酔っ払いのオッサンが出てきて罵声を浴びせとるぞ。

その裏。代打の野間がいきなり痛烈な右前安打を放つ。これが嫌なムードを押し戻した。内角を引っ張った野間の鋭い振りは数年前とは別人だ。進化に驚くしかない。そしてその代走・羽月が三球牽制させたあとの初球を二盗したのも効いた。羽月は強力な武器だ。そこで打者・会澤が体の真正面に死球をうける。DeNA入江投手もまさかの登板だったろうから仕方ない。会澤が退場だと守る捕手がいないピンチだったが根性で一塁へ。ここで、先日にバント自打球を顔面に受けて前歯を8本折っており、怪人二十面相の黒覆面みたいなのをかぶって根性で出場している二俣。しかし、あいにく、ここはまさしくバントの場面なのだ。嫌だろうなあ・・。あの時と似たような顔に近い難しい球!ビビらずに成功した二俣!男だねえ。そして作った 一死二三塁で矢野がしぶとく二塁にころがして7対7の同点に持ち込んだ。これぞカープ野球。執念でもぎ取った1点だ。

ここでマウンドに立ちはだかったのが森浦である。これが本当に凄かった。10回表をあっさり三者三振!11回も戸柱、京田を三振で五者連続!当たっている梶原も一ゴロであっさり零封した。森浦君、9回のブルペンで、栗林のむこう側でもう肩できてたよな。見てたよ。あそこで君の名が呼ばれていればこの試合は難なく6対2で勝ってたのである。お立ち台で「名前が呼ばれたら全力で投げるだけです」と淡々と語った気持ちはわかる気がする。君のメンタルは素晴らしい。最高にピッチャーに向いてる。去年のホークス戦で三者連続三球三振(イマキュレート)をやった男だ。打者を手玉にとることこそピッチャーやる快感と思ってる僕は君のマウンド姿を見るのが楽しみで仕方ない。

そこで迎えた11回裏。ここだったのだ。冒頭のシーンがやってきたのは。以上のドタバタ劇は、まるでオセロみたいに、みんな田村の鮮烈デビューへのお膳立てでしたねという話になってしまった。4点差で栗林をマウンドに送った新井の意味不明の采配あってこそ。まったくもってなんともいえない。大逆転を食らった直後のカープベンチはお通夜状態、我が家は激怒を通り越して絶句だったのである。

いやいや、それなくしてあのホームランはなかったのだから新井独特の華がある霊感だったというしかない。それにしても、「あっ、ホームラン打ちそうだ!」。打席に入ってアップされた田村の顔を見てビビッと感じた、あれはいったい何だったんだろう??

「谷深ければ山高し」。相場の格言だ。喜びは10倍だ。代打でのプロ初本塁打がサヨナラ本塁打となるのは広島カープ球団史上初の快挙らしい。田村が「持ってる男」であることが天下に知れた日だ。

 

失われた30年は財務省のせいばかりではない

2025 APR 5 11:11:39 am by 東 賢太郎

「ガキが泣く姿を映す時間はない。私の意見が気に入らないのなら、次はもっとうまく投げろ。彼は怒るべきだし、何であれ対戦打者を葬り去る準備をすべきだ」

ドジャース佐々木朗希の“涙目”降板にこう言い放ったのは2度MLBオールスターに選出され、ダルビッシュの女房役だったジョナサン・ルクロイだ。この記事を見て、そうだ、その通りだとうなづいている自分は昭和の男だなあとつくづく思った。本当に泣いたかどうかは知らないが、そう見られたならどっちでも同じだ。

あえて「男」と書かせていただいたが、「男は泣くな」でも「女なら結構」でもない。僕はガキの頃から「男は人前で泣くな」と厳しく躾けられた。だから何があろうと外で泣いたことがない。妹はいわれてない。昨今の親は男の子にもそういわないのではないかと思うから、僕はシンプルに「昭和の男」なのだ。

ルクロイが言いたいのは「大舞台に立つ者は立つなりの理由がある。やることやれよ。やれないなら怒れ。できなきゃ去れ。泣くのはガキだ。そんなものをテレビで放映なんかするな」ということだろう。そうか、アメリカでもそういう風潮があるんだ、僕が最も反応したのは最後の部分なのだが。

大舞台でなくとも、あらゆる軍隊の最前線で司令官が飛ばす檄に最もふさわしいのはルクロイの言葉みたいなものだろう。軍には女性もいるだろうが、敵軍に立ち向かう最前線を占めるのは圧倒的に男であるはずで、撃った銃弾が相手に命中しませんなんて泣く奴はのっけから失格なのである。

ところが、そういうことを口にしようものなら「パワハラだ!」と攻撃される時代だ。では敵軍に立ち向かう最前線を占めるのが圧倒的に男だとセクハラなんだろうか。戦いに負けても人権は守るべきか。もちろんだ。だから戦争はいかんのだ。そんな禅問答をしてるうちにミサイルぶちこまれるのが戦争というものだ。

昨日紹介された台湾系米国人CEOは語った。「ドローンを撃ちこむ10分前にサイバー攻撃を仕掛けて敵地の通信手段を遮断して迎撃を絶つ。ウクライナで起きてる事です。そのため中国は台湾の海底ケーブルを日々切断してます。だから遮断できない衛星通信が奪い合いなのです」。戦争の最前線は宇宙に至っている。

クラウゼヴィッツは『戦争論』で語っている。ただ善良な気持ちから戦争について語るのは最悪である。

牛殺しの熊でも殺すな、熊にだって子供がいる。暗殺犯だがやむにやまれぬ家庭の事情があったのだ。昨今は「何事も屁理屈はつけられる」という意味であるはずの「盗人にも三分の理」なる諺が、盗っ人は生活が苦しいのだから三割は減刑しろみたいに語られる。なんだか世論が無気味に曲がってきていないだろうか。

楽天の監督だった星野仙一が「ノックアウトされて戻ってくるピッチャーに拍手しないでくれ」と仙台の観衆に苦情を述べ、優勝させた。昨日のこと、作戦でなく真面目に打ってボテボテのセカンドゴロだった打者を、走者は三塁に進んだというのでベンチがタッチで迎えるチームがあった。星野なら怒鳴ったろう。

そういう指導を昭和だパワハラだというなら、敵に攻め込まれて皆殺しにされても人権とジェンダーとLGBTは守りますという国に移住することをおすすめしたい。野球は戦争ではないが、泣く新人を擁護していればいずれエンタメのショービジネスになり、「とんねるずのリアル野球盤」とあまりかわらなくなる。

日本の失われた30年は財務省のせいばかりではない。1980年代に欧米の最前線で真剣勝負で戦った僕の眼からすれば企業風土がリアル野球盤になったことはもっと大きい。要はバブル後遺症でユルフンになってIT戦争に大敗し、世界でカネが稼げなくなったから国民的に貧しくなったのである。

「ガキが泣く姿を映す時間はない」。MLBのプライド高い世界トップの野球選手たちでこんな番組を作るのはライオンにチンチンの芸を仕込むより難しいだろう。「そんなものをテレビで放映なんかするな」。誠にごもっとも。こういう国のテレビ局だから恥ずべき事件が起き、見てる国民もユルフンになっていく。

僕はある有能な若手ヴァイオリニストにテレビには出ない方がいいよと進言したことがある。そうしないと野球盤の道だ。厳しいことを言うようだが僕はパワハラ支持者でも軍国主義者でもない。英語でそれをディシプリン(discipline)という。何であれ一流になり一流であり続けるには心の修養が必要と言っている。

だから一流を目ざさない人にまであれこれ言おうという趣味も暇もモチベーションも僕には微塵もない。つまりユーチューバーになってご高説を垂れるような人たちとはまったくの別人種である。なぜなら僕は社会に出てから今日の今日までいちプレーヤーであり、この仕事で絶対に負けない自負があるからだ。

佐々木朗希が泣いたのだとしても彼への僕の期待はかわらない。一流の自負がないと涙は出ない。それなしでなれると思わないから有資格者の証明であり、あとは心の修養だ。周囲など一切無視するんだね。それを無礼という連中を気遣ってもいいことはない。何が一流かわかってない人たちは真の支援者でないからだ。

 

書いておきたいプロ野球雑感①

2025 MAR 31 10:10:25 am by 東 賢太郎

いただいたマエケンのメジャー球。初めて握った感じはそんなに違和感なし。ちょっと縫い目が存在感あるというか “粗雑” な感じかな。重さや大きさ、それからよくいわれる「すべる」というのは投げてみないとわからないですね。

さて、今日の開幕第3戦、カープは先発・森が7回2安打無失点の好投で、ハーン、栗林とつないで3-0の勝利。うれしいのは森ですね。去年まで力投してました今年はいい感じに脱力し、いいテンポで投げ、いい緩急をつけ、140キロちょっとで差し込んで球数がセーブできてました。夏にバテなければ10勝行けそうですね。野手は二俣と田村です。二俣は振れるしミートがうまい。センター守備もOK。だけどユーティリティなんて言われてるうちはだめだ。筋肉質でソフトバンクの秋山のイメージがある。もっと食って振ってパワーをつけてくれ。田村は振れる。逸材だがツボに来ないと打てないのは筒香の感じ。今日の2安打はラッキーなだけだがムード次第で化ける感じが出てきた。

阪神のドラ1新人・伊原。2回投げたがこれはいいね。球質、制球、たたずまい、170センチしかないが今永みたいになっちまうと困るなあ。ロッテのドラ1・西川(青学大)、振れるし見逃し方、パワーがあって思い切り抜群、これは新人王候補だ。岡 大海は日ハム時代からそうだが、こんなに勝負強いバッターはそうはいない。大柄でないがここぞでバックスクリーンにホームランが打てる。カープに欲しい。巨人の先発・石川。5回零封。横浜高校で藤平と二枚看板だろ、巨人の選手もリスペクトある感じがしたし、なんでこんなのDeNAはくびにしたんだ?大城が代打でタイムリー。187センチ,95キロででかい。他球団なら4番のキャッチャーがFAしなかったら甲斐が来ちゃったね。でも1億6千万もらえる巨人。まあいっかというところなんだろうか。キャベッジ。キャベツなんて変な名前の奴、打てないだろうと思ったら3Aでトリプル3やったらしく打ちそうだからまずい。マルティネス、193センチ!でかい。巨大だ。名古屋で観たがこんなにでかいとは。155キロぐらいだが力ばかりでなく精度もある、こんなの打てん。ヤクルトの荘司(セガサミー)は172センチ90キロでやや荒れた感じで打ちにくそう。結構やるかもしれない。

以上、本日の雑感でした。

 

PS 佐々木朗希

ストライクはいんねーでボテボテと押出しで2点。打たれてないし、どーってことなし。12/3で替えられたことないのはショック、自分に不満、たぶん。

 

新しい人と出会うのは楽しい

2025 MAR 29 16:16:44 pm by 東 賢太郎

昨日は某社のオーナーを紹介された。こうやってもう何百人か何千人か知らないが、会った。ディール以前にそれが商売みたいなもの。そういえば金曜は赤坂の料亭で別の経営者とやっていたら、たまたまひとりぶらっとカウンターについた自民党の大物先生が気づいて挨拶に来た。ため口きいてるこいつ誰だと思ったろう。大臣だろうが何だろうが選挙があるのは大変だ。

最近はオモチャにピクリともしなくなった老猫みたいなもんで、少々のではすぐ退屈しちまう。オーナーのプレゼンは理科の実験みたいで面白かったし、ポテンシャルが大と観た。「上場とかM&Aがどうとか、そんなのは些末な話なんです。もっとでかくしましょう。でかくなれば世間は勝手に来ます」ってことでお引き受けすることにしたが、きくと同期でありウマが合ったってのもあった。仲介者は「どっちも難しい人なんでダメもとのつもりでした」というが、こういうのがご縁ってもんだ。やんないとわかんないよ何事も。

「メジャーはあんまり興味ないんです、だってね、オータニもローキも身長2メートルもあるピッチャーが足開いたらググっと2メートルも前に来ちゃう。18メートルじゃなくて16メートルから投げるんですよ、そんなでっかい奴が。打てるわけないでしょそんなの。だから俺は現実味がなくってね、ニッポンの野球のがいいですね」なんてことまで話したかどうかは忘れたが、仲介者センセイが、「オーナー、東さんはカープファンなんです」と言ったのは確かだ。「そうなんですか、じゃこれ」と棚から出てきたのが写真だ。「18番?誰でしたっけ」「マエケン。ボク野球興味ないんであげます」。家宝が増えた。ご縁ってもんだ、こういうのも。

決勝に戦力を一点集中した台湾あっぱれ!

2024 NOV 25 21:21:13 pm by 東 賢太郎

野球の試合はずいぶんやったが、大事なゲーム以外の勝った負けたはあんまり覚えてない。覚えてるのはやったぜ!とかありゃ~!という場面場面のほうで、楽勝で忘れちまうよりホームランやサヨナラヒットを打たれて負けた試合の方が、いまになってみるとあって良かったなあという気がしたりする。見物も同じだ。プレミア12の決勝、日本・台湾戦、悔しさはあるがこれもそのうち忘れる。大会28連勝の相手だの敵地で不利だの、しのほの言うなら負ける理由はいくらもあるが、ぜんぶ吹っ飛ばして圧勝した必殺スナイパーの台湾が強かった。こういう男たちが大好きだ、心から讃えたい。

前の試合、勝つには勝ったが9回に右翼席の奥の奥にぶち込まれたホームラン、あれは衝撃だった。東京ドームであそこまで伸びていった強烈な打球は松井を思い出した。恐るべしのリン・アンクア選手は代打出場だったが決勝では4番DHにすわり、またまた右翼ポールのはるか上を通過するあわや3ラン(判定でファール)の度肝を抜く大飛球を放った。あれが入っていたら7-0の大敗で、グラウンドにいる人間はこいつやばいなと本能的な恐怖を懐いたろう。相手にそういうのがひとりでもいるとチームごとの威圧感になる。前の試合で休ませた二人、1発目ホームランのリン・ジャーチェン(捕手)、致命的3ランのチェン・ジェシェン(センター)はその空気の中で思いっきり振ってきた。

もう一人、いやな空気を作ったのが決勝先発投手のリン・ユーミンだ。彼を使ったのは韓国戦だけだ(2点取られてるが)。負けてもいい前の試合、決勝進出が決まりそうになって台湾が急に予告先発を変更してもめた。ということは温存したリンが押しも押されぬエースだということで、そういう先入観で打席にたつ日本の打者は気持ちで押される。兵は詭道なり。相手にはそのぐらいの計算もあったのではないか。

前の試合、日本も小園、坂倉を休ませ、急場の先発投手から村林が先頭打者ホームランを叩き込んでお返しはしているしベンチも選手もすることはしたのだが、初見で打ちにくそうなフォームの左腕リン・ユーミンで5回ぐらいまで押さえこんでいるうちに戸郷をパワーで粉砕して優位に立とうという台湾の作戦が見事に当たってしまったというのが感想だ。

相手はきのうのリン・アンクアの一発を見ている。初回、初球から全員がマン振りし、ホームラン狙いで出鼻から圧を思いっきりかけて押し倒しに来た。振るといってもマン振りはそうそうできるものではない。台湾選手が鍛え上げられていたということで、あれだけ振られるとピッチャーは怖い。戸郷も気力負けせずに自慢のストレートで押すが、完璧に押し込んだというより急場をフォークでかわしてゼロに押さえていたのであり、力対力を続けてるとどこかで出合い頭の一発を食らいかねないなという感じはあった。

先発変更で虚を突かれた日本は嫌なムードを払拭すべく先取点をとりたい空気だったと思われる。ところが、初回、絶好調の2番小園が外角に1メートルも外れるくそボールのスライダーを完全に崩された空振り三振。主軸打者があれだと後続もびびる。いや~な予感がした。案の定、球が上下に暴れると思うと左打者のインコースがビシっと決まるつかみどころのないリン・ユーミンに翻弄され凡打の山。4回を終わって内野安打1本に封じこまれ空気が悪い。守りの方が台湾打線の圧で決壊する予兆はあった。

それがおきたのが5回表だ。先頭打者はリン・ジャーチェン。8番打者にまさかの右中間ホームラン。9番は三振したが、次の1番からは打順3巡目にはいる場面だ。一般に、5回前後にくる3巡目は相手の目が慣れてきている。それを抑えられればこっちの球威が優位ということで、7回前後からの4巡目もけっこうなんとかなって完投できる。しかし戸郷の完投など元から考えてないラストゲームなのだから3巡目の1番(左打者)からタイプの違う左の隅田に代えてよかった。少なくとも、その1番にヒットを打たれ2番に四球を出したところでどう考えても交代だった。何をこだわったんだろう?まあ井端は野手だし吉見コーチが言うべきだったと思う。

そこで食らった3番チェン・ジェシェンの3ランホームラン。作戦が面白いように決まった台湾はあれで勝ったと思っただろう、重盗、ホームスチールまで仕掛けて攻めまくる。その勢いのまま西武、ロッテを退団した2投手に2安打に抑えこまれ、バットをへし折られ、6回からはわずか1安打で抵抗の兆しなしの完敗である。あんなに打ちまくってきた打線が何でこうなっちゃうんだろうと思うが、そこが野球の面白いところだ。

負けはしたが侍Jは見事な野球で勝ち抜いてきた。岡本、村上らの不参加で長打力が不足する打線を、勝負強い小園、森下、牧、佐野を2,4,6,8番に置いて見事につなげ、素晴らしい得点力を発揮したのは井端監督の人選、配置の冴えだ。もっと強いチームにしてくれる期待しかない。WBCが楽しみだ。

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侍ジャパンに巨人2軍戦ボロ勝ちメンバー4人

2024 NOV 23 0:00:22 am by 東 賢太郎

中央大学がプロ・アマ交流戦で読売巨人軍の2軍にボロ勝ちしたニュースは記憶に新しい。

巨人2軍 7―20 中大(2020年8月13日、ジャイアンツ球場)

この試合の中大の先発メンバーがこれだ。

1・三 中前祐也
2・中 五十幡亮汰
3・右 森下翔太
4・二 牧秀悟
5・一 内山京祐
6・捕 古賀悠斗
7・DH 倉石匠己
8・左 坂巻尚哉
9・遊 中川拓紀
0・投 皆川喬涼

太字4人がプロ入りし、4人ともがこの度のプレミア12で侍ジャパンのメンバーだ(井端監督がこのことを知らなかったとは思えない)。4人のドラフト指名順位は2020年に五十幡(日ハム2位)が15番目、牧(横浜DeNA2位)が18番目、2021年に古賀(西武3位)が33番目、2022年に森下(阪神1位、浅野翔吾の外れ)が7番目だ。

その時の巨人2軍のスタメンはこれ。監督は阿部慎之助だ。

1・遊 増田陸
2・中 加藤脩平
3・DH 加藤壮太
4・一 菊田拡和
5・右 伊藤海斗
6・捕 山瀬慎之助
7・左 モタ
8・二 湯浅大
9・三 黒田響生
0・投 桜井俊貴

太字の3人以外はすでにプロ野球から消えた。

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DeNAの下剋上優勝に見るリーダーの大切さ

2024 NOV 4 22:22:56 pm by 東 賢太郎

今年のNPBは3位球団の下剋上優勝で終わった。2010年のロッテに続く史上2度目の快挙である。大相撲なら平幕優勝だろうか。

DeNAはペナントレースで広島カープに対して11勝14敗であり、8月まで首位だったカープファンとしてはそう苦になる相手ではなかった。ところが9月最初のカードである横浜スタジアムで森下、アドゥア、床田が計15失点し、東、ジャクソン、ケイのトリオに押さえ込まれて3連敗した。ここから何かが狂い始める。次の中日戦も2つ落として迎えた巨人戦、あの信じられぬ最終回9失点という勝利の方程式瓦解へと至ったのである。あの3連敗がなければカープは悪くても3位には残ったろうと思うし、DeNAはCSにも出場できなかったことになる。

このトリオが日本シリーズでも活躍し、ペイペイドームでの3連戦を3連勝で乗りきる立役者になった。今永、バウアー、エスコバーがぬけた穴埋めがジャクソン、ケイだったわけだが、ジャクソンはパイレーツからの移籍で、全球団に当てそこそこの成績だがエース級の存在感はなく、メッツからのケイは主に巨人に当てて1勝5敗だった投手だ。DeNAは正捕手で3割近く打っていた山本祐大もケガで欠き、強打のソフトバンクに立ち向かえるバッテリーとは思わなかった。

第1戦は有原の落ちる球に凡打の山、投げては先発ジャクソンが敬遠の挙句に投手有原にタイムリーを浴びてしまう。しかし4回で9三振を奪う球威は次回を予見させるものはあった。第2戦は先発大貫が早々に5失点。初戦は無安打だった山川が初回に2ランの4打数3安打と爆発して完敗。この時点で我が家ではすでに「電車道」(なすすべなく押し出される)が予想であり、世間も多分そんなものだったろう。ここでソフトバンクのコーチの「東より宮城の方が断然いい」発言がネット記事にのり、桑原が「悔しくないのか!」と選手ミーティングで檄を飛ばしていた。

桑原は31才、キャプテンの牧は26才だ。年上だろうが何だろうが口だけの野郎になんか誰もついていかない。有言実行。桑原は第3戦で初回いきなり2ベースを放ち、5回に勝ち越しのホームランを打った。第4戦でオースティン、宮崎も打ち第5戦で牧も打った。DeNAは打力のチームだが本来の姿に戻った。守りではナメられた東が10安打されながら気迫のストレートで内角を突いて1点に封じた。第2戦でのってしまった山川を封じることに全力を挙げたのが捕手戸柱で、第3戦から1本もヒットを打たせずSB打線のつながりを切ったのは見事というしかない。打力は12球団トップレベルなのだから投手力が加われば強いのはカープ3連戦が証明している。潜在力が開花してなかったジャクソン、ケイに火をつけたのは桑原、戸柱であろう。できれば戸柱にもMVPをあげたかった。

さらに筒香だ。第6戦は2度目の有原だった。初回にオースティンが併殺で嫌な終わり方をした2回、初戦でことごとく凡打だった落ちる球をホームランにして自信をくじいたのは大きい。先発大貫は前回の借りを返し、速球派でないのに全力のストレートで山川、栗原、周東から三振を奪っていた。細かいことだが、ショートの森はいい選手なんだが守備が下手だねえと見ていた。それが第6戦では自信に満ちており有原から2ベースを放ち、四球と思った低めのくそボールをストライクコールされながら次の高めに釣られず押し出しをもぎとった。22才が数日の試合で成長してる。いいリーダーがいると若手も伸びるのである。

ペナントレースで42も勝ち越したチームが僅差で3位に滑り込んだチームに負けてしまう是非の議論はあるが、ソフトバンクのパリーグ優勝の栄誉が損なわれるわけではないのは劇的な負けを喫したヤンキースと同じだ。日米ともに、野球は9回2死まで何が起こるかわからないという言葉を象徴するようなポストシーズンだった。ああいよいよ野球が終わってしまった。

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