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カテゴリー: 野球

げにプロ野球は恐ろしき

2019 MAY 25 12:12:47 pm by 東 賢太郎

「苦手意識がある。不気味さ、構えとかオーラを感じるし、存在感を感じるものもある。気にしないというのは難しいので、意識した中で抑えていきたい」

これは阪神の大山三塁手に対する横浜DeNAの今永投手の昨日の敗戦コメントだ。今永は大山に試合前まで通算打率・500、2本塁打と相性が悪い。

新人の大山は僕がキャンプで感じた通りだ、構えが不敵で見逃がし方も思い切りもいい。投手目線ですごく怖い」

これはうちのスタイルに合わないに2年前に書いた僕のコメントだ。つい最近にも書いた。

サードが4番打者の大山というのもまたいい。大山は打席の構えがいいよ、なんともいえず、天性のもんだろうな、ピッチャー目線でね、打たれそうな雰囲気感じるよ僕が好きな若武者たち

僕は大山に絶対打たれる気がする。相手がプロだからというわけじゃない。この「気」というのはわかる人しかわかんない。サムライ同士だったら?僕はすぐ逃げるね。

今永くんに苦言。君のファンだから言うが、それを言わないほうがいいぞ。このライン嫌だなあと言ったらそのパット絶対にはずすよ。独りごとでも。まして人前でいうなど言語道断。その気真面目さが大好きだけどね。

昨日見たのはその試合じゃない、東京ドームで広島・巨人だ。カープ先発の床田。前回の巨人戦でこういうことがあり、かわいそうだった。野球だけはどうしても感情移入して見てしまう。やっぱりこのブログだ(僕が好きな若武者たち

完全ゲッツーのセカンドゴロを菊池がエラーでダブルセーフ。おまけにサード真正面のゴロを安部が鮮やかなトンネルで3失点。そこで踏ん張れなかった自分が・・」と言った床田くん、君は大物だ。

カープ野手陣がそれを忘れるはずない。絶対に床田を勝たせるという執念だったろう。初回、簡単に三者凡退。巨人先発ヤングマンの球威はまずまずである。その裏。床田が坂本に一発食らった。にわかに暗雲たちこめる。

その直後の二回表だった。先頭の鈴木誠也が初球を軽々と右中間にホームラン。これだ、これ。これぞ4番である。他の打者は相手投手の具合をそれで見ているんだ。4番が三振食うとやばいなと感じる。打つと俺もとなる。

東京ドームのムードががらりと変わった。もうひとつ。3番手の一岡が代打・中島の頭にあてた。故意には見えなかったが中島が怒ってマウンドに向かった。両軍が出てきて場内騒然となる。

見てほしい。真ん中の97番。なんと真っ先にブルペンからすっ飛んできたフランスアである。この野郎、一岡に手出ししてみろ、である。いい奴だなあ、オトコだなあ。

昨今のクソつまんない世の中、こんなものがどこにある?ああこわ、おれ関係ねーし巻き込まれてケガしちゃあね、クニのお母ちゃん悲しむし、ちょっとちょっと、暴力はいけませんよ、それって傷害罪になりますよ、民事訴訟ということもありえますからね。ああくだらねー

一岡が危険球退場となって、おそらくフランスアの肩を作るべくであったろう、急遽マウンドに立った九里をほめたい。投球練習のストレートの気迫が半端なく、難なく田中を討ち取った。オトコだな。そしてマウンドに立った怒れるフランスア。床田から2本塁打した坂本をストレートで押し込んで中飛、2安打で凄く振れている亀井を空振り三振に取った高めストレート156キロ。ほとんどストレート。これを打てる者は誰もいないという鬼神のごとき投球であった。

そして、なんといっても、原・巨人を粉砕したのは3番バティスタの2発であった。かつて人生で目撃した最も壮絶なホームランは2年前のヤクルト戦、七夕の大逆転でのバティスタの左中間弾丸ライナーであった。何度も申しわけないが、バティスタのそれもここに書いたんだ(僕が好きな若武者たち)。

それは更新された。一発目、神宮とほぼ同じ場所、同じ弾道。二発目、これは全英オープンで見た全盛期のタイガーウッズのドライバーショットとしか形容のしようがない。ライナーで左翼天井近くのビールの広告看板を直撃。あれに当てた打者はいるが、打球は放物線だった。”ライナー” なんである。ああいうのを打たれるとピッチャーはどうなるんだろう。心配になる。アダメス、がんばれよ。

二人のドミニカンと4番鈴木誠也。ブルドーザーのような超ど級のパワーで原・巨人は粉砕された。看板直撃の賞金100万円は「お母さんにあげます」のバティスタ。うれしいね。4タコだった3番・丸は話題にもならなかったが、丸が出て行ったおかげで3番バティスタが育った、ありがとうという声はきこえる。

 

こちらもショックだった菅野の10失点

2019 MAY 16 11:11:07 am by 東 賢太郎

久しぶりに東京ドームへ。今年は覇気があって若々しい阪神を見たいのと、対する巨人の先発がエース菅野というので出かけたのでした。結果は31安打(うち7本塁打)という壮絶な打ち合いになり、帰りの感想は「花火大会を見終わった感じだね」でした。いや、阪神応援団とファンの轟音は凄まじいものでした。去年からずっと巨人に連敗してたし、たまりにたまったものがあったのでしょう、こちらもカープが負けこんでからの8連勝でしたから気持ちがわかります。

しかしながら、カープは離れていち野球ファンとして大変ショックであったのは菅野投手が4被弾し、5回2死でKOされて10失点したことでした。去年の神の如きピッチングが目に焼きついていて、「あんな球はもはや誰も打てないだろう」と何回もブログで称賛したからです。

阪神打線が振れている印象はありましたが、菅野の球が「行ってない」。それに尽きます。去年よりちょっと手投げ感があるせいかストレートに凄みがなく、打たれたのは総じて高かったのですが、去年はそれで空振りが取れていた。だから本人も捕手の小林もそのつもりで投げたら軽々と芯で打ち返されてわけがわからなくなったというところではないでしょうか。故障でもあるのかと心配になるほどのメッタ打ちでした。

特に、1回に出合い頭の低め(スライダー?)を糸井が簡単に打った右翼へのライナー性ホームラン、2回の新人の近本に内寄りの高め速球を快心のジャストミートされた右中間2ベース。あの2本は菅野はショックだったんじゃないか。変化球を勝負球に立ち直りかけた5回にまた直球を福留に一発、そして6回にはまだ1本塁打しか打ってない新人の木浪に変化球を右翼席上段にぶちこまれ、追い打ちのように、ゲッツーと思った二塁手正面のゴロを山本がお手玉で一塁までセーフ。ここでプッツンしたんでしょうか、大山に左翼二階席へ問答無用の美しい「4番の一発」を叩きこまれてついに不沈空母撃沈。全く信じ難いものを見てしまいました。

打った阪神をほめるべきでしょうか。やはりセンター(近本)、ショート(木浪)の有力新人加入が絶対的に大きい。これでセカンド(糸原)キャッチャー(梅野)と生え抜き4人でセンターラインが固まった観があり、タナキクマルと曾澤の4人が台頭した2015年のカープと非常に似た雰囲気がある。阪神は昨年のドラフトで藤原、辰巳のクジ引きに敗れ、外れ外れ1位で近本を指名したが、あのドラフト会議では敗色濃厚なイメージでした。どうしてどうして、こうなるのだったら近本は1位競合の逸材でしたね。まあ巨人も根尾、辰巳をはずしての高橋優貴投手が当たりだったので似た者同士ですが。あと、きのう阪神が二番手で起用した守屋投手でしょう。14年のドラ4で実績はないですが、勝負度胸と気合が乗ったいいタマです。凄く印象に残った。どこのチームであれ伸び盛りの若手は応援したくなりますね。

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ピッチャーの指先感覚(ロージンバッグ)

2019 MAY 11 13:13:27 pm by 東 賢太郎

米大リーグ・マリナーズの菊池雄星投手に、禁じられている「松脂(ヤニ)」の使用疑惑が現地メディアで取りざたされていると報じられた。帽子のツバに塗っていたらしく真偽のほどはわからないが、しかし、禁じられているというとイメージが悪い。スピットボール(指にツバをつける)は唾液がだめということだが、松脂はだめというわけではない。

ピッチャーがマウンドの後ろで拾いあげてポンポンやってる白い物体、あれをロージンバッグといい、指先のすべり止めの白い粉が布の中に入ってる。小さいころテレビのプロ野球中継で「老人用なのか」と不思議に思っていたが、Rosin(松脂)だった。今の今までぜんぶ松脂と思っていたが、調べると炭酸マグネシウムが80%らしい。だが松脂も15%はいってるんだから禁止物質というわけではない。審判が認めたロージンバッグ以外は物質が何であろうと使用禁止ということである。

高校に入って最初に嬉しかった記憶はあのポンポンだ。やったと思ったがそれもつかの間、試合であれが置いてあるマウンドのホンモノ感、仕事場という圧迫感はただならぬものだった。その印象が尾を引いて、ホンモノしか興味がないオトナになってソナーの社是まで『本物主義』になってしまった気がする。

しかしあれがそんなに必要だったかというと、雨の日以外は覚えてない。プロは松脂を塗るほど必要なんだろうが、高校野球はフライアウトは勿論、内野ゴロでも同じボールが返ってくるのが半ば当然であり、一塁手が素手でコネコネして土を落としてきれいにして返してくれる。捕手はピンチで毎球コネコネ、ニューボールもコネコネだ。それでOKだったし、仲間の思いやり、期待がこもったボールのほうが好きだった。

ロージンは滑るリスクを少なくしてくれるだけでコントロールを良くしてくれるわけではない。ないものは出ないし、悪い投手はより精密に悪くなるだけだ。僕にとっては心を落ち着けるお守りだった。その意味では、ピンチではロージンもコネコネも伝令も内野全員マウンド集合もぜんぶお守りにすぎない。打たせないぞという動物的本能以外に頼りになるものはなかったように思う。

ちなみにこの感じはゴルフに役立った。パットが入らなくなって、やたらとパターを買い替えたがやっぱり入らない。要はヘタなんだと練習したらうまくなった。当たり前だろと思われるだろうが、クラブに頼るのは他力本願。皆さんきっと生きていくうえで他力本願がたくさんある。それがいかに自分を救ってくれないかは、自力本願で結果を出してみないとわからない。

野球は攻・走・守といわれるが僕の関心はどれでもなく「投」だった。投は指先感覚99%だから、野球の記憶は右手の中指、人差し指の先っぽに詰まってる。身体は脳の特定部位にリンクしているから、きっとその部位はシナプスが多く、僕は日々右手を使いながら野球回路が関与して生きている可能性がある。だから社是まで『本物主義』になってしまったということで話は丸く収まる。

 

ピッチャーの指先感覚とは

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僕が好きな若武者たち

2019 MAY 4 19:19:48 pm by 東 賢太郎

プロ野球編です。

オリックス・バッファローズの山本由伸投手(20才)

オリックス山本投手

逸材だ。ソフトバンク戦先発して8回1アウトまでノーヒットノーランの快投。で、味方もゼロで勝てなかった。前回3日の対戦でも七回までノーヒットの9回1安打でも白星は付かなかった。ソフトバンク相手にトータル17回被安打2というのは、もうお化けのレベルである。でも勝てず!仮にこれが20才の僕だったら?考えるも怖いが最低ベンチの扇風機の1、2個ぐらいは壊したろう。ところが山本くん、僕とは人間のモノが違う、「令和1戦目の目標はノーヒットノーランです」と目標を高く掲げた。応援するよ!

 

広島東洋カープの床田寛樹投手(24才)

昨日の巨人戦、完封ペースの好投をしてをいた。コントロールも右打者インサイドのスライダーもカットも一級品。三振が取れる。ところが、完全ゲッツーのセカンドゴロを菊池がエラーでダブルセーフ。おまけにサード真正面のゴロを安部が鮮やかなトンネルで3失点。ここで「エラーは仕方ない、そこで踏ん張れなかった自分が・・」と言った床田くん、君は大物だ。ほとんど動じてなかった。ちなみに僕もある。セカンドがショートのトスをポロリとやって楽勝のゲッツーがダブルセーフ。1年坊主の分際で僕はマウンドで怒ってたらしい。それから34年の歳月がたった。50才の高校クラス会で三菱地所の偉いさんになっていたセカンドの彼と卒業以来初めて会った。開口一番、「東、あの秋季大会のエラーごめんな」ときた。ぽかんとしてたら、「ほら、あんときよー・・・」と説明してくれて、それが34年間も気になってたんだとわかって、「おい、おれ覚えてねえぞ、認知症やばいのかな」と笑いでごまかしながら、涙がぽろぽろ出てきた。でもあの時はガキだった。床田、もう故障だけはするなよ、きっと大物投手になるよ。

 

東京ヤクルト・スワローズの村上宗隆内野手(19才)

止まらん令和の大砲!球団新10代でホームラン9発!!スイングに大物感漂うね。打撃のことはわからんけど岡本、筒香の路線で4番は射程圏にはいっただろう。なんたって19だ、19。しかもああ勘違いの生意気なクソガキじゃない、インタビューがしっかりしてるし先輩を立ててる。ああ俺の19のころなんて恥ずかしくて比べられない。この素直さはすくすく伸びるよ、先輩が引き立ててくれるからね、クソガキはだめだ、どんなに才能あっても可愛がられない、日本は怖いぜ、30こえたらつぶされるよ。村上くん、期待してるけど、カープ戦は打つなよ。

 

阪神タイガースの近本光司外野手(24才)

去年のドラフトで藤原、辰己のはずれはずれ1位だろ。しかも辰巳は同じ高校の2年後輩だ。こりゃ燃えたんだろうな。まず顔つきがいいね。敵も上司も飲んじまってるぜ。自信満々で明るいから叩かれないな。赤星を抜く新人連続試合ヒット記録を早や達成してるしね。盗塁もできるしセンターもうまい。しかもカープ戦、カモ状態で打ちまくって、野村のクセ盗んで楽勝の2盗3盗。あの3盗は相手にこたえたね。僕は2014年の菊池涼介の出現を思い出してる。彼の守備、打撃、足の超人ぶりが丸と田中を覚醒させてカープは強くなったんだ。おんなじものを阪神に感じるよ。なんと言っても大事なセンターラインだ。ショート木浪、セカンド糸原、キャッチャー梅野ときみでばっちりだ。サードが4番打者の大山というのもまたいい。大山は打席の構えがいいよ、なんともいえず、天性のもんだろうな、ピッチャー目線でね、打たれそうな雰囲気感じるよ。何よりみんな若い、はやく福留と糸井を追い出してレフト、ライトも若くなれば相当強くなるな、ピッチャーも青柳がいいし。でもカープ戦は負けろよ。

 

読売巨人軍の吉川尚輝内野手(24才)

セカンドの守備はカープ菊池のゴールデングラブ賞をおびやかす存在になるだろう。打撃も抜群のセンスでホームランも打て、左打ちで俊足である。ショートもできる。つまり運動神経が図抜けたお化け級のプレーヤで巨人の死角だったセカンドにそれがはまる意味はとてつもなくでかい。センター丸、ショート坂本、キャッチャー小林と彼でセンターラインが固まるなら巨人の野手陣は強い。弱点はケガが多いことだが練習方法を考えれば大丈夫ではないか。

 

広島東洋カープのサビエル・バティスタ内野手(27才)

飛距離というのはどうしようもない。練習して出せるものではない。この男、170メートル飛ばしたらしいが、ゴルフなら400ヤードものだろう。膠着した投手戦で、相手を一発で粉砕できるのはホームランしかない。バティスタの一軍デビューは2年前、2017年6月3日だ。忘れもしない、我が母のお葬式の日だったよ。初打席(代打)でいきなり一発。翌日も代打で一発。ありがとう、うれしかった。そして七夕の日、神宮で観戦したあの世紀の大逆転劇。狼煙となる君の一発は僕がかつて目撃した最も衝撃的な、バズーカ砲をぶちこんだみたいなまっすぐな当たりだった。50年もウルトラ弱小球団だったカープを応援してね、ひ弱な超貧打の選手たちを応援して期待を裏切られつづけると、打球が外野を超えただけでおおっとうれしいものなの。カープ女子にはこの辛酸、わからねえだろうなあ。カープにホームランなんてものはね、昭和30年代のビフテキみたいなもんなの(ビーフ・ステーキのことね)。庶民は食えなかったの。エルドレッドも何度も留飲を下げてくれたが、いまはバティスタだ。丸ショックでおかしくなったカープ打線の3番に座った。そして打った。好きな日本食は焼き肉らしい。そうか、店の肉ぜんぶ、いや牛一頭おごってあげたい。ホームラン50本頼んだぜ。

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投手の本分「完全試合、最低が完封でしょ」

2019 APR 13 9:09:52 am by 東 賢太郎

広島カープが5連敗。昨日はDeNAの今永投手に屈辱の1安打完封を食らった。手も足も出ず、ノーヒットノーランじゃなくてほんとによかったねというもの。これで1イニング12失点の究極の投壊に次いで打壊も極限に達していることが判明した。「どうも投打の歯車がかみ合いませんね」と解説者はいうが、氷河の彼方で見事にかみ合ってきた現状を良かったねという人は一人もいないだろう。昨年OPS2位である鈴木誠也まで20打席ノーヒット。統計値どおりに活躍しているOPS1位の丸に比べ、広島にはそれを崩すほどの強い外的要素があると考えるしかない。

DeNAは先日の浜口投手に続いて1安打完封である。これはやった人しか絶対わからない。やった者として書かせてもらうが男の快感、天上天下唯我独尊でありドラえもんでいえば完璧なジャイアン状態である。平時ではありえないことだがその時だけはそこにいる数十人がそんな思い上がりを許してくれる竜宮城だと言っていい。プロという頂点の野球で1週間にその境地の投手が2人も現れるDeNAも異常だ。ここに昨年の新人王・東投手が戻ってきたら、彼も巨人相手にあわやノーヒットノーランを演じた男だ、投手王国まちがいなく優勝があり得る。1安打やったら人生安泰というわけではないが、チーム内で見る目が変わるのはまちがいない。

メジャーで「オープナー」なんてのが出てきてアメリカかぶれのアホが褒めてる。先発が2回まで抑えて代わる(これがオープナーだ)。そこからブルペン陣が毎回ひとりづつ投げる。先発は名投手でも立ち上がりがふらつきやすいから、そこだけ全力で投げて抑える専門家がいてもいい。その先も毎イニング目先が変わるから打者は嫌がる。完投できるエース級一人の給料でブルペン級は5人雇えるから安上がりだ。この作戦は先発が一人しかいないタンパベイ・レイズがあみだしそこそこはうまくいったようだ。僕は「クローザー」には敬意を持つ。勝敗を一手に背負う激務だろう。三者三振がのぞましいから剛球投手である。しかしオープナーに三者三振は不要だし、そんな能力があればクローザーだろう。要は、投手としてのクオリフィケーションが訳が分からないの一言に尽き、そんなのを僕はとうてい尊敬などできない。

そもそも「先発だ。2回まででいいぞ」なんて言われたら前の日はどんな心構えで居たらいいんだろう。仮に2回を6人で抑えたら、「おお今日は完全試合できるかもしれない」と舌なめずりするのが投手の習性だ。プロだから、お仕事だからといって、ブルペンの彼らも高校時代はエースであってその習性だったはずだ。解説者・江本さんの「投手は完投でしょ」は当たり前、というか彼なりに抑えた表現であって、プロから少年野球に至るまで投手の本分は「完全試合、最低が完封でしょ」が鉄則なのである。そうじゃない奴はできないしさせてももらえない。勝利投手の権利なんてけち臭い話でない、「2回まででいいぞ」は「所詮おまえはその程度のピッチャーよ」にきこえる屈辱の響きなのである。

日ハムがやっているが、その程度のピッチャー未満であるハンカチ王子を使えと上に言われて困った国立大学卒の栗山があみだしたのが、メジャーというと黙る日本人を手玉に取る「オープナーの逆利用」だろう。先発がそこそこいるあの球団がそんなことをやる必要などない。投手の本分vs投手生命(=生涯所得)を賢く天秤にかけて移籍してくれた金子という名投手が「3回からロングでいいですよ」とたぶん大人の解決をしたので、5回までは絶対もたないハンカチ用のきれいな「ポスト」ができた。札幌空港限定販売品のパンダで客を呼んでおいて大量失点する前に堂々とひっこめて波風たたない。「名オープナー」などともてはやせば彼は将来は監督パンダもありだろう。広島のプリンス堂林やカープ女子戦略と同様に、経営の視点からはメーク・センスである。

しかし僕は選手の本分を曲げてまで芸能事務所まがいの選手や監督の人選で集客するのは嫌いだ。カープ女子で埋ずまった神宮球場内野席も勘弁してほしい。それなら札びら戦略の巨人のほうがよほど選手の本分からはすっきりしている。丸はカープでたぶん水が合わなかったろうが我慢して本分を磨き、それを時価で評価してくれた巨人で開花している風に見える。つまり、いきなり巨人に入って潰されるより、広島のような球団にドラフトされてレギュラーにのし上がって、オールスターチームを作ろうとしている原監督のお眼鏡にかなって30億円でFA採用してもらうのが今後の球界のエリートコースになるのではないか。それで結構。東京人である僕はドームで日本最高レベルの野球が見られるようになる。身内選手だけどへたくそ、でもかわいいなんて野球を金を払って見ようという趣味はない。

しかしここ数試合、負けるのは仕方ないが許せない。打つ気がまるでない投手を四球で歩かせた広島カープの島内、野村、岡田。おまえらなにやってんの?毎日野球しかやってねえんだろ?なに練習してんの?丸だ新井だ地元だ新人だ、そんなもの関係ねえよ。投手の本分「完全試合、最低が完封でしょ」の浜口、今永とはキミたちは別な人類だよ。オープナーにでもなれや。

 

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広島カープの1イニング12失点に思う

2019 APR 11 11:11:24 am by 東 賢太郎

プロ野球が始まると忙しい。BS、CSで全6試合を同時にチェックしながら見るからだ。きのうは3-2で原・巨人を倒した中日の又吉の中継ぎ1イニングが印象に残った。なにがというと、彼の顔だ。「おまえにゃ絶対打たせねえ」という気迫の形相。そしてもうひとり、阪神を1安打完封したDeNAの浜口投手だ。前夜に右翼手ソトが少年野球でもありえない落球、骨折中の捕手・梅野にサイクル安打まで決められて12-8の屈辱的な大逆転大敗を喫した阪神相手に「マウンドが楽しい。なで斬りにしてやるぜ」というあの顔。

打席で嫌だったのはああいう形相のピッチャーだ。投げる以前にこわい。鬼に見える。特に浜口だ。四球を7つもくれてほっとさせるが、1塁で2度もけん制で殺されてしまう。ああなるともう大王状態で手がつけられず、相手は蛇ににらまれたカエルで完全に試合は支配され、往々にしてノーヒットノーランなどやられる。前日12点と打ちまくった阪神もあわやだった。甲子園なのになんと阪神ファンから「すごいぞ。浜口」と声がかかったそうで、そりゃそうだ、野球をわかる人はわかるのだ。

野球というのは実に残酷なスポーツで、27人全員三振でねじ伏せてもいいし、27アウト取られるまで打ちまくって何百点とってもいい。やられた方は男として、去勢されたぐらいの屈辱とトラウマをもらう。ささやかな体験で申し訳ないが、1年生で高校初先発だった東京都秋季大会、運悪く当たってしまった強豪、国学院久我山打線の3巡目につかまり、ぼこぼこに打たれて9-0で7回コールド負け。あんなに打たれた経験はかつてなく頭が真っ白になった。

甲子園に出る高校と都立高校がやってもそんなもの。きのうの広島カープのヤクルト戦1イニング12失点というのはプロ同士の試合として明らかに異常なものだった。延長10回に中崎、中田2投手が血祭りにあがってしまったが、ふつうなら「お前ら何やっとんだ」とTVに向かって吠える。ところが、もうあまりに残酷で、バレンティンの代走のきいたことない奴に3塁打されたところで「おい、タオルを入れたれ」だ。史上初らしいがもう生きてるうちに見ることはないだろう。

カープについて大きな不安があることは開幕直前のブログ(OPSで見る今年のセリーグ予想)に詳しく書いた。ところが実態はその程度のことでなく、開幕10試合でこんな事件が起きるとは夢にも思わなかった。元はといえばオリックスからFA移籍してきた阪神・西投手に9-0で完封負けを食らった2試合前の甲子園から打者と守備がおかしくなった。この試合、先発は九里であり、期待もないので打たれてもショックはなかったが、打線は主審の判定も味方につけた西の妖術に翻弄されて手も足も出ず。これは残ったと思う。

そして前日のヤクルト・原投手。西とはタイプが違うが明らかにシュートに手こずっており後遺症と思う。これに幻惑されて10-1の大敗だが、最悪だったのが先発が期待のジョンソンだったことだ。これが3回でぼこぼこに打たれて6失点ノックアウト、頼みの綱がぶちっと切れ衝撃が走った。すでにおかしかった打線はさらに深みにはまって原投手の揺さぶりに凡打と三振を重ね、3巡目で疲れの出る7回になんと三者三振を食らう。これはもうねじ伏せのダメ押しであり精神的ダメージがある。案の定、次の守備でショート田中がエラー、投手中田の悪送球で10点目が入る。

きのうの惨劇の伏線はそうやってひかれていた。そこで先発の野村ユースケがDeNA浜口のごとく仁王立ちで閻魔大王のようになで斬りにしてほしかったが、あえなく4回3失点で沈没。前から思うのだが、顔がこわくない。やさしい体操のお兄さんみたいだ。球威がないなら懐にエグく投げろよ。ヤクルトは大下とかいう2年目が鈴木誠也の顔面あわやというのを投げて、あれは清原だったらマウンドまで殴りかかったなという険悪な一幕があった。そんな獰猛なのはカープにはいない。それでも5回からはアドゥア、一岡、フランスアと、その中ではいい面構えが出てきて押し返し気味だったが、中崎の10回の回またぎで万事休した。中崎は顔がこわくないのでヒゲを生やしたやさしい男だ。中田はあんなじゃない、いい投手だ。完全にビビった顔を見るのがつらかった。立ち直れよ。

投手コーチの佐々岡は緒方監督の1年上だが会話があるんだろうか?野村監督の後継は佐々岡だとある人から聞いていた。ところが黒田が帰ってくるかもしれないという事態になって相性の良くない野村を切って、そこに同業で格下の佐々岡じゃあ帰ってこないと踏んで、毒にも薬にもならない緒方という人事になったと推測する。現にその作戦がうまくはまって黒田が20億円捨てて来てくれたのだから広島カープはそんなに凄いのかと世の中が騒然となった。何が凄いのかは誰もわからなかったがそれは男気という昭和くさいワードで報じられた。株もそうだが、よくわからない方が仕手株は上がったりするものなのだ。それならと男気と護摩行の新井さんも加わって、その2人の「メジャー大権現+いじれるお兄ちゃんパワー」でタナキクマルセイヤら若手が伸び伸びと暴れまくる空気ができた。そこに「カープ女子観音パワー」が乗っかってマツダスタジアムに尋常ならざる妖気がたちこめ、他チームは戦う前からビビっていたのだ。

黒田、新井とともに妖気は去った。残ったのはマエケン、黒田とメジャーのエース級先発投手ふたりを擁していながらNPBセントラルリーグの堂々第4位だった監督、コーチだけだ。移動の新幹線でベートーベンの交響曲を聴いている丸佳浩の心中を察する者などフロントにもベンチにもいたはずもない。彼は提示条件も子供の教育も大事だが、野球人として、妖気が去るときが自分が去るときと思ったろう。そして彼とプライベートに情報交換していないはずがない、同じ関東人であるタナキクセイヤアイザワも時間の問題で全日本名誉監督サマである原タツノリ大権現のもとへ参集し六本木で遊ぼうぜとなっているのは想像にかたくない。菊池のメジャー宣言はそれ。4人はいなくなるよ、センターラインごっそり。みんな知っている。それじゃあ守備も呼吸合わなくなるさ。

カープファンの方は是非ともこのブログをじっくり読んでほしい。2014年4月25日、神宮球場3塁側スタンドにカープ女子などというものは未だ大発生しておらず、こうやって当日券で観戦できていたのが今は昔だ。まだ弱かった広島カープのこの「胎動」をご覧いただけば、かならずや共感いただけるはずだ、「我々はなんと幸せな時代に生まれ合わせたか」ということに。タナキクマルの出現、黒田・新井の出現という神に頂いた3年間の僥倖に手を合わせよう。スタンドのお祭りやベンチとは何ら関係ない所で奇跡は静かに起きていたのである。

広島vsヤクルト(神宮)観戦記(菊池のタッチアップに驚く)

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OPSで見る今年のセリーグ予想

2019 MAR 27 19:19:23 pm by 東 賢太郎

今年のセリーグ、もちろんカープ4連覇と書きたいところですがオープン戦で気になったのは、やっぱり丸の穴です。丸は2018年NPBのOPSランキングでパリーグを入れても1位の選手です。日本一ですから年俸5億はふつうと思いますし、金満選手でもなければ巨人が特に金まみれ球団とも思いません。しかし悔しいのは、この引き抜きはOPSなる統計数値を見ると効果があるのではということです。OPSになじみのない方もおられるのでwikipediaから引用しましょう。

「OPS=出塁率+長打率」であり、2004年のMLBのデータを基にすると、各指標の(チームの)得点との相関係数は打率が0.849、出塁率が0.910、長打率が0.913なのに対し、OPSは0.955にも達する。日本でも1980年から2010年のデータで(チームの)得点と打率との相関係数が0.776なのに対し、OPSとの相関係数は0.941に達している。

OPSは長打が打てれば高く(いわゆるスラッガー)、その選手は当然クリーンアップだから得点貢献が高いのはあたりまえであるなど万能のデータではないという批判もありますが、スラッガーだけど出塁率が高いのは選球眼が良い証ですから投手としては最も嫌な打者です。かつては王貞治がそうでした。1位(丸)と2位(鈴木)が3・4番で並んでいるということは全プロ野球選手で最も嫌な1,2位が連続して打席に入るということで、この連続という乗数効果が大きいのです。鈴木誠也は2度に1度は丸(出塁率約5割)が塁にいる状況で打席に入っており、しかも初回に必ずその可能性があるということです。長打を打たれても歩かせても、相手の先発投手は立ち上がりから窮地に追い込まれ、5番以下が打てば簡単に得点されてしまう。2番・菊池が2割3分の絶不調でも3・4番の並びの破壊力がそれをもみ消し、それがカープの打線のつながりとなり、逆転のカープのかなめでもあったということです。

丸が抜けたことでカープはそれを失います。「丸の穴を埋める」と簡単に言いますが、OPSの高い選手は即席で作ることはできませんから3番に少なくとも昨年のOPS上位選手を置くということです。ではそれは誰かということですが、カープにはいません。昨年のOPS3位以下10位までの選手をご覧下さい。

3・山田、4・ソト、5・筒香、6・ビシエド、7・坂本、8・岡本、9・バレンティン、10・糸井

カープの選手は松山が16位、田中が22位、野間が23位、菊池が30位で、規定打席に達しなかった候補者の昨年のランキングにあてはめると、安部は29位、西川は18位、バティスタが15位、期待の長野はNPB9年の平均値で21位(.783)、2011年のキャリアハイ(.847)でも15位です。唯一高いのは曾澤捕手の12位(.893)ですが、彼が8番にいたからあった打線の繋がりの減殺であいこです。つまり、長野を含め、「3番・丸」の穴をすぐ埋められる人はいないということです。ということは鈴木誠也の責任とプレッシャーが増しますし、相手はもちろん彼を徹底マークしてくるし、それで調子を落とせばさらに得点力は削がれます。穴を埋めようと皆でもがけばけが人が出やすく、厚みがなくなることもリスクです。

一方で、巨人は岡本(8位)が4番におり、今年は彼がOPSでもっと上位に行くとすると、カープの丸・鈴木とほぼ同じ得点力のある3,4番ができることになります。当初、原監督は「丸2番」構想でしたが、先日「丸3番」を発表し、その方針が確定したようでカープファンとしてはとてもまずい。しかも丸の前に2番坂本がいるとなると、(7位)×(1位)×(8位)の「3連ちゃん連鎖」ができて脅威となる。7と8のカンチャンに1がスッポリはまった効果は非常に大きいと思います。つまり得点力においてカープが落ち巨人が上がるプラマイ効果は統計値の裏づけから確度が高く、丸の引き抜きは悔しいがお見事な戦術であったと言うしかありません。

ではそれで巨人がカープに代わって優勝できるかどうか?ゲーム差が縮まる、あるいは逆転する可能性も投手力次第であるでしょう。ただ、カープの力を削ぐことには成功しても他チームに対してはどうか?台風の目になるのはDeNAベイスターズかもしれないと思います。なぜなら、丸が広島にいようが巨人にいようがDeNAは当事者でなく中立的であり、お客さんだった巨人に多少取りこぼしても得意としているハマスタでの広島戦をもっと有利に戦えれば浮上機会になります。OPS上位打者、ソト、宮崎、筒香、ロペスが2~5番に並ぶと

(4位)×(11位)×(5位)×(17位)

となり、4連続OPS上位の打線の得点力は12球団でもトップクラスである上に広島戦だと元気な捕手の嶺井などがいてカモ意識を持たれているように感じます。同時にヤクルトの青木、山田、バレンティンの、

(12位)×(3位)×(9位)

もあなどれない。広島は二大お客さんだった巨人、ヤクルトと拮抗して星を潰しあってしまうと漁夫の利で投手力もうしろが盤石なDeNAが有利です。DeNAは今永、浜口、東の左投手が復調してカープ戦で勝ち越すような事態になると、優勝してもおかしくないと思います。

最も気になるのはカープ先発投手陣です。打力が落ちる分は投手力でカバーするしかありませんが、大瀬良は良しとして野村は去年から読めないし、ジョンソンがどこか故障していたら暗雲がたちこめます。岡田、九里、アドゥアは安定感なし、結局、新戦力の床田と島内とローレンス次第となるとフランスアを回すしかなくなり、8回が不安になるのです。得点力が落ちますから先発投手のプレッシャーが増すのは確実であることを考えるとここが鬼門。

投手陣は「黒田効果」がすでにはげ落ちてます。野村、岡田の凋落、15勝もした薮田が消えてしまうなど尋常ではなく、いかに黒田が精神的支柱だったかということです。その意味で新井の引退も大きいですね、しかもそこで支柱役を期待された菊池があっさりメジャー宣言してしまう。守備はともかく彼の打撃はメジャー級ではなく、あれはFAの布石とみんな思ってます。男気はもう消えたわけで、丸を見て曾澤、田中もというムードがチームに出ているとしたら瓦解のシグナルかもしれず、とても心配です。

唯一明るい話題の小園ですが田中がいるのは痛しかゆしで、サードで使う手はないでしょうか。候補だった堂林ですがOPSが新人時代の.718がピークで年々着実に低下し、キープしているのは外角のくそボールを振って三振する姿だけ。昨年の.559は客観的にもう一軍選手の数字ではないですね。ということで結論としては、バティスタ、メヒアの大化け、新加入の外人投手の想定外の活躍でもないと4連覇は不安があります。

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世紀の対決「イチロー対クレメンス」

2019 MAR 22 22:22:17 pm by 東 賢太郎

昨日、彼の最後の打席を目に焼きつけました。そしてとうとうその時が来る。いったんついたライトの守備から呼び戻され、三塁ベンチの前で総出のハグが出迎える。球場みなが泣いていたのではないでしょうか。

彼を見たのはただ一度だけ、18年前、ヤンキースタジアムの三塁ベンチのすぐ上の席でした。そう、そのときも、彼は昨日の最後のようにライトから軽やかに小走りで戻ってきましたっけ。27才のイチローでした。

ロジャー・クレメンス

2001年、彼が渡米してまだ1か月の頃、開幕間もない4月24日のことでした。あの試合、イチローは僕の頭のなかでは1割ぐらい、関心の9割は1試合20奪三振を2回をやったロジャー・クレメンスにあったのです。その年の最終成績は20勝3敗、自身6度目のサイ・ヤング賞を受賞した伝説の大投手であり、今でも、彼を見られたことは野球の神様に感謝です。

クレメンスに対しイチローはショートゴロ、浅いレフトフライ、セカンドゴロ。打てる気配なし。前に飛ばすのがやっとに見え、体格でもはるかに見劣りするわけですから、「あっ、こりゃぜんぜん話にならないや、1年で終わりだな」と僕は隣の同僚につぶやいたのです。穴があったら入りたい。世紀のおおはずれでありました。

いまになってみて思うことがあります。あのクレメンスの高めのボールは、かつて見た中でも恐怖を覚えるほどの剛球でした。それを見てビビらない、打って手が痺れたに違いないが、どうしてここに来てしまったかなんて心が折れたりしない。それが彼だったのかなあと。いろんなことで何度もぽっきり折れてきた自分は、ああはなれないと思い知りました。

彼は天才だレジェンドだとポジティブな面ばかりが語られますが、ニューヨークでもフロリダでも、いつクビになるかと思ってプレーし、去年からは1年間、マリナーズで試合には出られない契約をして、それでも出る準備だけは怠らなかった。それはそれは孤独で辛かったろうと思います。でも折れない。好きだからできると言ってしまえば簡単ですが、午前零時から1時間半のインタビューを聞いてみて彼も人間なんだとほっとしましたけれど、でもそういうことが淡々とできる人なんだということに強い感銘も受けました。

それから解放されてみて、初めてできること、ひょっとして意外なことが出てくる人でしょう。本当に楽しみですね、それが何かということが。

 

イチローさん、1時間で帰っちゃいますね

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日ハム・金子の芸術的な快投

2019 MAR 19 20:20:06 pm by 東 賢太郎

アスレチックスの打撃練習風景

日曜日に東京ドームでアスレチックス対日本ハムのプレシーズンゲームを、試合開始2時間前に入場して打撃練習から見ました。メジャーがドームで打つとこうなるのかという凄いホームランの連発でしたが、2年前に神宮の七夕の奇跡で見たカープ・バティスタの左中間の弾丸ライナーの一発のほうが上だな、なんてことも思うのです。試合は5-1のスコアでメジャーの完勝、あんまり見るものがないゲームでしたが、唯一、金子の4イニング9奪三振は美しかった。

先発の有原は157キロでましたがカンカン打たれて4失点です。それより金子の140キロが速く見えた、これぞ野球の謎ですね。縦横に自在に曲がる変化球も速くて空振りがとれ、最後はコーナーぎりぎりのストレートに手がでず見逃しが何度かありました。メジャーを手玉にとったのは見事です。

金子はプロとしては体も細身でフォームに威圧感もなし。一見何でもないピッチャーで、腕の振りも速さを感じないのにキャッチャーミットの音が半端なく、たぶん打席ではすぐ球が手元に来てる感じでしょう。それでコントロールがいいのだから打てるイメージがないです。

選手百人いれば百種類の球があります。僕は常にそれを楽しみに野球場に行くのです。試合前のキャッチボールから真剣に見て、いいなと思った野手は背番号から名前を確認します(投手じゃない、野手です)。河原の草野球だって、中学ぐらいの投手が、遅いけど回転のいい球でミットがパーンと鳴ったりすると、ちょっと高めはいやだななんて思ったりして、バッターの反応が見たくて2イニング見物してしまったり。やってた人ならわかってくれると思うのですが。

バッターの反応。打席に立つのでなければ、それしか判断材料はございません。自分のだけは打席で見られないからマウンドからじっとそれを観察して、その日の調子を知りました。振り遅れてると「今日は行ってるな」と思う。行ってるは投手目線、来てるは打者目線の言葉です。だから反応(特に見逃し方)でいい打者かどうかもわかります。それがいいと、おぬしやるなとなって、胸元を攻めとくかなんて捕手と目くばせしてました。

金子の球は、打者がほとんど想定外という反応。芸術の域ですね、うまいなあとため息つくばかりです。打者は150キロに見えてるだろう。彼ぐらいになると前の球の反応でどこに投げるかが直観的にわかるのではないでしょうか。僕が当たった元プロの投手の、打席に立ってみた印象もそうでした。打てない所ばかりに来るのです。

ケガさえなければ金子は10勝はするでしょう。彼のピッチングはネット裏から初めてみましたが、それだけでも来た甲斐がありました。オリックスはどうしてだしちゃったのかな?もう一つ謎が残りました。

日ハム・金子の芸術的な快投

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カープの強さ=アスリート本能の2乗 

2019 MAR 7 1:01:18 am by 東 賢太郎

この時期に勝ち負けは関係ないですが、カープのオープン戦は今年を楽しみにさせてくれます。6か月の長丁場のシーズンです。ケガや不調などからレギュラーだけで年間を戦えない可能性がどの球団にもあって、そのダメージコントロールがどれだけできるかで順位が決まると僕は考えています。

とするといわゆる選手層の厚さの勝負になるのですが、今のカープの野手陣は田中、菊池、鈴木以外は誰を使うか迷うほど力量がハイレベルで拮抗しています。センター、レフトの2席は長野、野間、松山、バティスタ、西川、内野(ファーストとサード)は松山、バティスタに加えて安部、メヒア、小園、曽根が。

数の問題ではありません。カープのキャンプ風景を見ていると、見事に無駄がない。「早打ちトス」など1秒に2球のペースで全力で打ちまくる拷問のような練習です。スケジューリングもグラウンドの部分部分の使い方も合理的で隙がなく、あれを見て他球団を見ると無駄だらけでルーティーンを流してるだけに見えてしまいます。広島流のただごとでない練習量をこなせば、持って生まれた能力の頂点にあるという快感を覚えるだろう、というのは僕にもなんとなく経験的に想像がつくのです。

ランナーズハイ(runner’s high)とはマラソンやジョギングで苦しさを我慢し走り続けるとある時点から逆に快感・恍惚感を覚えることです。カープの選手はそれとおなじで「野球ハイ」の状態になるまで練習させられているのではないかと思うのです。この「ハイ」というのはスポーツだけでなく勉強でもあって、数学など練習しまくって何でも来い状態になると解くのが快感になります。うちのネコは猫じゃらしの捕獲がうまくなると恍惚として目がらんらんとして何度でもやるようになります。これって、人間というより、動物的本能じゃないかと思うのです。

そうなると、今度はその能力を確かめたくなる。野球は9人しか試合に出られないからそこで闘争本能という(これも根源的に、動物的です)ものに着火するのです。闘争本能はどの球団の選手にもあります、プロだからないはずはありません。しかし、カープの選手は「野球ハイ」で恍惚、目がらんらんなうえにそれが乗るのだから、本能✖本能(本能の2乗)の尋常でないモチベーションがあるのではないかと想像します。阪神でだめになった新井が帰ってきて覚醒したのも、そのマルチプル効果がきいたのではないでしょうか。こういう動物的モチベーションというものは、お金や虚栄心という頭脳のモチベーションより断然強いと思うのです。カープが強い道理はそれじゃないでしょうか。

丸選手は2年連続セリーグMVPでゴールデングラブ賞ですから、長野だろうが誰だろうがそれ以下の選手ということであって、つまり丸の抜けた穴を埋められる者はないということです。だから普通のチームなら負の効果しかないですが、カープの場合だけはそうではない可能性があって、「3番とセンターが空いた」という本能に火をつけるおいしい要素が二つも提供され、各々が「二乗のレバレッジ効果」でモチベーションを高めます。つまり丸の件はむしろトータルにはプラスに効くかもしれないと僕は思っています。

例えばホークスの育成選手だった曽根がひょっとして菊池の後釜かという成長ぶり。新人の小園は早や成績も体格も3年目ぐらいの風格に育ってますからすぐに田中を脅かすでしょう。邪推ですが、丸のFA移籍で菊池、田中もいなくなること前提でさらなる本能の火種が生まれている感じすらします。カープで育って試合で実績を出すと、やがて巨人さんが30億円くれる。巨人のドラフトにかかると30億円さんや名前だけのロートルさんが毎年天下ってきて出番が来ない。それならドラフトではまずカープに入りたいという有望株が増えるんじゃないでしょうか。

広島対巨人の戦いとは、「動物的モチベーション」対「お金や虚栄心という頭脳のモチベーション」の戦いと見るならば面白い。ここ2年連続で広島が2桁以上の差をつけてボロ勝ち、巨人はお得意さん状態です。才能はあるが「野球ハイ」未満の状態のチームが、恍惚、目がらんらんなチームと当たれば本能的に怖さを感じると思います。オープン戦初戦、先発の床田がいきなり4者連続三振(丸を含む)はそういうものを巨人選手に与えたと思います、今年もお得意さんなのかなと。監督は誰でも関係ないです。やるのは選手だから。もちろん巨人はそれを知っていて、だから丸をとったのです。

丸が2番打者の巨人打線は繋がりという点では強力ですが丸は近年は2番は打ったことがない。彼はまじめな積み上げ型の選手ですから3番で好きに打たせた方が怖いです。常勝巨人軍プロデュースの「原マジック・ショー」というやらせっぽい劇をドームで演じなくてはならない選手たちは大変と思います。あのムードの中で期待と注目を浴びてアドレナリンが出て「ハイ」になれる長嶋や堀内のようなタイプはショーの主役向きですが、丸は鍛錬を重ねていく王貞治タイプと思うので、あれこれ注文がついて気を遣う2番はどうなんでしょうか。巨人は「丸効果」をうたいますがそれは丸が去年並みに打ってのことです。ベルリン・フィルに君臨した帝王、ヘルベルト・フォン・カラヤンが呼んできてほぼ全滅だったソリストたちみたいにならなければいいのですが。

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