壮絶な戦い(ロッテ・阪神戦に感動!)
2023 JUN 6 1:01:28 am by 東 賢太郎

午後11時7分ゲームセット。5時間7分。昨日6回1安打の佐々木朗希に才木が完封で土をつけた壮絶な試合の余熱があったかプロとプロが死力をかけて甲子園決勝みたいなガチンコ。選手はアドレナリン出まくり。見る者はくぎづけ。
どっちもあまり見てないから知らない選手もちらほら。うまいなあ、プロだなあ、とため息の連続。こりゃ何時間でも見ていたい。こんなこと滅多にないからこうして書かざるを得ない、この試合をずっと覚えておきたい。
阪神先発は初めて見る左腕・桐敷、ロッテは小島。まあこんなもんかという感じが一変したのは5回。ロッテが4点取った裏に阪神4番大山が放ったスリーラン。言葉なし。6-4と逆転。すると7回にロッテ5番山口がこれまた激烈なスリーランで6-7にひっくり返す。そして8回に阪神が追いついて7-7だ。
こういう経過で緊迫したのはある。しかしそれだけでここまで感動はしない。
ここから両軍ギアが入ってロッテは中継ぎの東妻が三者三振、坂本が三者三振、横山が二者三振で8連続三振。凍りつくしかない。かたや阪神。岩崎、加治屋、ケラーが凄い球を投げて最後は湯浅が2三振取って終わりと思ったら岡が三振でシメに来た渾身の速球を中前に打ち返して、これはもう本当にプロ。言葉なし。
この試合、延長12回までやったのに阪神はフライがないなと思っていた。いま数えてみたら外野フライ3つ、内野フライはゼロである(ロッテは計9個、普通はこのぐらいある)。150キロ投げる投手オンパレードだからポップフライが多そうだがちょっと考えられない。16個と三振が多かったのはあるが、打者が振りきってコンタクトできてた印象がある。そんなロッテ投手陣から本塁打、二塁打を打った大山がいかに強力な打者かということである。阪神打線おそるべしだ。しかし、その打線をロッテ投手陣がねじ伏せたということでもあり、これまたそれに輪をかけたド迫力。興奮度は相撲にたとえるなら輪島・北の湖の全勝対決。細かいこと書き出したら無限にあるからやめ。こういうものを5時間も楽しませてもらって感動は「神々の黄昏」か「パルシファル」を観たに匹敵する。阪神OB狩野氏の解説は良かった、とても勉強になった。
今年はセリーグはぶっちぎりで阪神だろう。カープ打線、ときどき大量得点で大勝ちするが、それは弱いチームの特徴だ。揺さぶられて術中にはまって当てに行って力ない小飛球というのが目につく。実に情けない。阪神は近本、中野の1、2番からそんなバッティングしてない。新井監督、たのんだよ。
東妻 勇輔・・高速クイックで150。梅野、木浪、ミエセス三振
坂本 光士郎・・左で150。ヤクルト時代と別人。近本、中野、ノイジー三振
横山 陸人・・サイドで150。大山、佐藤三振。島田投ゴロ。
攻めまくり。こんなの誰も打てん。ロッテのブルペン強烈。
カープがホークス戦4年ぶりに辛勝!
2023 JUN 3 19:19:13 pm by 東 賢太郎

広島4-2ソフトバンク
いや危なかった。先発森下が7回2安打零点でやれやれ今日は楽勝かと思った。8回に出てきた救援ターリーは長身の左腕で150キロ半ばがでる。プロでもあんまりいないし大丈夫だろう。ところがだ。エラー、ヒット、ヒットであっさりと1死満塁にされる。ホークス打線恐るべし。迎えるは柳田、栗原だ。血圧があがる。ここはなんとか左飛2本で抑えて零点だ。
そして9回である。クローザー栗林が不在のあいだ抑えを任されてる矢崎の登場だ。数年前、新人で初先発のヤクルト戦。直球とフォークだけで9回までノーノー。あわやだった剛腕投手だ。今年は悪くない。前回登板のヤクルト戦は3者三振だった。まあ6番からの下位打線だし大丈夫だろう。
ところがだ。ぜんぜんストライクが入らない。3ボールから苦し紛れの球をヒット、ヒット、四球で無死満塁になってしまったではないか!
おい、矢崎、どうしたんだ?
またヒット。ついに1点とられる。4対1でまだ無死満塁、ここで1番・中村という最高に嫌な打者を迎えてしまう。
新井監督登場、「ピッチャー島内」のコール。そうか栗林はまだ使えないんだな、まあ島内もチェンジアップ覚えてちょっとは安定感出たし。しかし急遽登板となった島内もガチガチなんだろう、ストレートがみんな浮いてしまう。中村にセンター犠飛でもう1点を与えてしまうが、ああフライで良かったとしか思えない。4対2で1死1,2塁が残った。そして打席に2番・牧原である。
ホークスの打線は次から次から打ちそうなのが出てきて物凄い「圧」である。
やられた!牧原に1,2塁感を抜かれた。相手にビビり感がまったくない。ここが勝ち慣れしてるホークスだ。またまた1死満塁の大ピンチ。しかも、迎えるはWBCで打ちまくった3番・近藤健介である。心臓に悪い。なんとかストレートで左飛に打ち取る。いいぞ、球威はあるんだ。2死満塁。
そして、打席は4番・柳田である。
中島さんとペイペイドームで観たドでかいあのサヨナラ満塁ホームランが頭をよぎる。6対4で逆転負けか?島内のタマは速いがどこに行くかわからない。チェンジアップはぜんぜん無理だろう。150kmごえのストレートで押すしかない。打った。ショートフライ。試合終了。やれやれ。
何という恐ろしい打線だろう。
そういえば去年も3連敗だし、だいぶ前に広島市民球場の最前列で観せてもらったホークス戦も苦も無くひねられたし、カープがホークスに勝ったのを見た記憶がない。
終わってみてつくづく思う。この打線に7回投げて甲斐の2安打だけに抑えた森下くん。甲斐がいなきゃノーノ―か。君は宇宙人ぐらい次元が違うスーパー・アスリートである。まず凄いのはひじの手術の後遺症をぜんぜん感じさせない。そして、去年はたしかホークスに5、6回あたりで9点取られて撃沈されてるのにまったく苦手意識が残ってない。それどころかこの打線を攻めまくって飲んで投げてる。ピッチャーとしてこんなにカッコいい男はそうはいない。
投げるだけでない。今日の君の野手より俊敏なバント処理(素晴らしい)。二度とできないぐらい絶妙なセーフティ・スクイズの1点(実に素晴らしい)。前を打ってる8番・曽根が初安打が欲しいと頑張って4タコなのに君はあっさり2安打しちゃう(強烈に素晴らしい、曽根頑張れよ)。大分商高の同期だったホークス川瀬から「三振取りたい」と狙い、言葉通り取ったスナイパーぶり(勝敗に関係ないのに素晴らしすぎる、これぞピッチャー性格)。そうかその打線で川瀬は1番、君は3番だったんだ。そりゃ打つわな。明大の主将までやったんだ、性根も座ってる。矢崎くん、島内くん、凄い球もってるんだからあとはメンタルだけだ。森下の爪の垢でも煎じて飲んだらいい。
この日投げたカープの投手4人。ターリー、矢崎、島内は150キロ越えの、まあ球界でも上位の剛速球がある。森下はそこまではない、というか、出るけど先発なんで投げない。でも速球は伸びがあり(伸びる球は変化球だ)、制球、緩急、変化の大小・奥行きのバリエーションで打者を自分の術にかけられる。
森下をオーナーに直訴して1位指名したのは佐々岡だ。さすがの眼力である。佐々木朗希、奥川も候補だったが正解だった。それに合わせたんだろう、彼の今日の初解説は訥々として味があってよかった。カープに大貢献である。
オレンジバットと短尺ドライバー
2023 MAY 26 2:02:16 am by 東 賢太郎

どこかで「オレンジバット」という文字を見かけた気がする。つい最近だ。それをさっき思い出した。ググってみると、これしかない。これだったようだ。
【中日】現役引退した平田良介さんが異例のフリー打撃、18年のユニホーム姿&オレンジバットにファンは大歓声、試合後セレモニー:中日スポーツ・東京中日スポーツ (chunichi.co.jp)
2023年3月18日の記事だ。しかし中身は記憶にない。読んでないのだ。
そこで日記を調べると、無理もない。2日前の3月16日に身辺に某重大事件が起きていた。なるほど、アレか、パニクッてそれどころじゃなかったんだ。
と思いきや、である。ブログの「3月分」を検索すると、なんと同日18日に「ホルショフスキー」の記事を書いている。前後にも「WBC」やら「チャットGPT」やら「成城学園」を書いている・・・
これ、わずか2か月前のことだ。この前後は重大事件以外にも怒涛のように予期せぬ悪いことがおき、頭の中はぐしゃぐしゃだったことだけはまちがいない。
なぜこういうことになったかわからない。ブログ執筆を創作とはおこがましいが、自由に好きなことを書いている。何の縛りもないところから出てきた一種の創造ではある。
さらにおこがましいが、この事実をさっき知って思い出したのがモーツァルトだ。なんで子供が亡くなったり就活に失敗した絶望の時にこんな明るい曲が書けたんだろう?これは彼のバイオを詳細に調べてきた僕には長年の謎だったのだ。
なるほどそういうことか。わかったようなわかんないような、少なくとも自分の精神状態はトレースできた気もするが、それを文字にすると消えるようなふわふわしたものだ。だから書くのはやめとこう。
あれっと思った。Yahooの「オレンジバット」の1ページ目に
オレンジバット悲話 | Sonar Members Club No.1 (sonarmc.com)
が出てくる。打撃であんまり思い出がない。あるのはオレンジバットぐらいだからこれを書いたと思う。お袋が亡くなった年だ。
道具って大事だな。自分が投げた球で折れたとき動揺があって、いまでもくっそーと思ったのを覚えてる。先っぽで打つと折られると思って近めに投げたんだ。
グローブにはそこまで執着がなかった。いくつか替えた。でもあのバットは愛おしかった。あれで何本ヒットを打ったか・・・
そういえば、ゴルフでも「短尺」というドライバーがあった。野球打ちなので長尺がだめだ。逆をいってみたらいい当たり連発で曲がらない、ハンガリーでこれで優勝した。なのにそれっきりである。なぜ浮気したか覚えてない。
そう、クラブはアイアンもパターも総入れ替えが何度もあって、ライバルたちに「またかよ」と笑われる。本間のピカピカ真っ金金のウッドは取り出すたびに冷やかされたが3本で50万円だ、曲がるはずがない、えいっと打つとまっすぐだ。
つまり、持って構えた時に信頼できるかどうかなのだ。変な当たりが続くとそれがなくなって捨ててしまう。いや、捨てはしない、それで勝った大会を覚えてるので申しわけなくていまも倉庫にあるのだが・・・
野球もゴルフもいろんなことがあった。ゴルフのほうがずっと真剣に練習した。野球はたくさん練習をやらされたが真剣じゃないし、あんまりいい思い出もない。ゴルフはいいことずくめで優勝トロフィーがいっぱいある。
でも、それなのに、野球の方が好きなのだ。こればっかしは何があろうと変わらないだろう。人間って本当にわからない。
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サイヤング賞投手をカープが撃沈
2023 MAY 17 2:02:40 am by 東 賢太郎

DeNAの先発は鳴り物入りでやってきたバウアー。「海を越えて 僕らのためにやってきた~」って巨人の外人応援歌があるが、君らのためじゃない、お金のためにやってきたんだ。バウアーはメジャーもメジャー、3年前にドジャースと3年1億200万ドル(約137億円)の契約を結び、ダルビッシュと競ってサイヤング賞をとった超大物投手だ。
これに広島打線が初回いきなり襲いかかってボコボコにした。野間、秋山、マクブルームが3者連続2塁打、西川が快心のライナーで右翼中段に2ランをぶちこむと坂倉もヒットで5者連続のつるべ打ち。しかも高め157キロも変化球も軽々と芯でとらえており、投手目線の僕はカープ打線に本能的に恐怖を覚えた。2回で7得点KO。あっという間の粉砕、撃沈だ。酒がうまい。
おりゃおりゃピッチピッチ、おめえは通用しねえんだ、ケツまくってクニ帰れや。日本の野球なめんでねえぞ。大谷さん見てみい!
酔っ払ってテレビに向かって大声でがなっていた。こんな壮絶なものを見せられると興奮してしまい、居間が昔の野球部のベンチ(勝ってる時の)に戻ってる。負けてるとこっちもこれを浴びせられるからおあいこなんだが、三つ子の魂が体に染みついてる。そういやあスタンドだって、川崎球場のパリーグのガラ悪さもすごかったよ、新聞はいつも5千人だが2千人もいなくってね。広島市民球場もベンチの上まで進出して野次かましまくる名物のおっさんがいたし、神宮も通路をつかつか降りてきて敵軍の選手に話しかけて攪乱する知能派のカープおやじがいた。
いまや何たらガールズとかキツネダンスとか平和だ。敵軍巨人のヴィーナスはファンであるが、野球がアミューズメントパークの余興になってくのは悲しい。選手だって塁に出ると野手とへらへら談笑してる。今晩焼肉どうだなんて言ってるんじゃねえだろうな、そんなんだったらぶっ飛ばすぞ。乱闘なんて死語になってるがメジャーはやってる。基本がなあなあだと迫真のプレーなんて出ないしね、そんなユルイ空気だから腑抜けの政治家選んじまって国もなめられまくって、丸ごとどっかの属国になるのよ。星野さん、「ノックアウトされてベンチに戻って来るピッチャーなんか拍手しないでください」とファンに苦言を弄してた。立派だ、まったくの正論だ。そしたら楽天は俄然強くなって優勝した。打たれた奴にお疲れさんなんて、馬鹿も休み休みしろ、そんなことしたら若い奴は反省しない、てめえケツまくって二軍いけでいい。そういやあ先日逆転サヨナラ負け食らって僕がボロカスに書いたカープの松本くん、やっぱ登録抹消になっちまったね、でもね誰が見てもそれ当然なんよ。
昭和ですねなんて言われそうだが、そうではなくこれは遺伝だと思う。4人の祖父母で顔が似てるのは九州の婆ちゃんだ。グラバー邸の隣りの旅館の娘で小学校まで存命だったが、普通のお婆ちゃんらしい感じでなくものすごく腹が座ってて着物姿が凛としてちょっとこわかった。ミリタリーな家だから僕はその気質を引いているかもしれない。野球は刺すとか殺すとか物騒だが、内角をエグってのけぞらせてバットをへし折るのが好きだったし。
へなちょこな隷属政治の憂さを野球で晴らすのも空しい。
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プロ野球は本当にいろんなことがある
2023 MAY 13 20:20:12 pm by 東 賢太郎

広島が延長12回表に2点取って4対2。ここまではナイスゲームだった。病み上がりの森下が試合を作り戸根、ケムナ、島内、矢崎、塹江が無失点でつないだ。そこでまかされた12回裏のシメの松本。不調なのかビビったのか知らないが、いきなり丸に1球もストライクが入らない。そしてアップアップして坂本にヒット、重信にまたまた四球で無死満塁。秋広、ブリンソンに打たれて5対4のサヨナラ負けだ。
はじめから打たれたなら仕方ないが、松本くん、ストライクが入らない奴なんてのは170キロ出たってピッチャーと呼ばないのだよ。もちろん人間だからいろいろある。いや、そうだからこそ、戸根~塹江の5人の救援投手全員がテンション高く、まかされた1イニングを必死で零封したのは凄いことなのだ。凄いことの5乗である、超絶の偉業。それをぶち壊したということよ。当然そう思ってるだろうし栗林の仕事は大変なんだろう。大変なんだったら単に役不足でクローザーは降格。それだけのことだよ、理由が技術であれメンタルであれ、プロなんだから。だからできる奴は億円単位のカネをもらえるんだから。
ちなみに10回に投げた矢崎は当たってる秋広を全球ストレートで空振りの三振に仕留めた。振っても1度も当たらなかった。ガンがすべてじゃないが松本は147キロしか出ない。秋広から空振りをとれずレフトに運ばれた。僅差に見えるがレベルは段違いだ。矢崎はどこに投げてもそうは打たれない。松本は打たれるよ。なら少しは頭使ってまともなコントロールをつける練習でもしろ、プロなんだから。島内もそうだったがカーブかチェンジアップか知らんが球速をガクンと落した変化球で空振りをとれるように進化して安定感が出てきた。何も考えんで使われていると先輩たちの二の舞で中継ぎで潰されるぞ。
ところで場外乱闘の話ではあるが、西武のドスコイ男の事件はさまにならんね。WBCもこどもの日もぶち壊し。こいつは男としてもダメだ。メジャー級の本塁打生産能力は高く買っていただけに残念としか言いようがないが、こんなのが大谷を見てどうのなんて人間レベルで語る水準にないよ。野球選手はモテる。酒飲んで少々ふらついてもね、昔なら武勇伝だったかもしれないし息抜きも必要だろうし何もかもダメなんて言う気はないわけだが、それで図にのって甘ちゃんにやってたらひどい目にあうよこれからは。もう少し時事感覚というか、ニュースぐらいは見て世の中の空気考えてね、LGBTなんて野党かと思ったら与党が言いだす時代なんだから。
今回の被害者はお気の毒だしいろんな意味で厳正なさばきがあるだろうし、知りませんでした軽率でしたでは済まない。ただ、本件は別としても、だんだんそういう空気になってくるとこれからはわからない怖さも感じてしまう。男女間のことは基本的に法が介入できない。逆手に取って、法に触れないなら何やってもいいなんて世の中には悪いのもいるのであって、社内のセクハラだって騒ぎになれば(騒いだのが女でも男でも)人生終わってしまう。ならばトラップしてカネゆすってやろうなんて輩も出てくるかもしれない。野球選手は野球しかやってないからウブでもあって、苦もなく引っかかるだろう。ファンとしてそういうものに毒されてほしくないと願う。
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広島・巨人戦を堪能した日曜日の午後
2023 MAY 2 0:00:32 am by 東 賢太郎

久々の東京ドームだった。3塁側バルコニー席は初めてだ。1,2階席の中間にあって、食事・ドリンク付きでくつろげる。全体的にスペースの余裕があって同じ球場と思えぬほど雑踏感と無縁。4席ごとに通路があり出入りは楽なうえ椅子もクッション付きであり、座席は傾斜があるので前の人の頭で見にくいことが一切ない。眺望は好き好きだがこれだけ全貌を一望できるのは新鮮であり、プレミアム感があった。
肝心の試合は11-4でカープが大勝。自分ではこういうスコアで勝ったことはあっても負けたことはない。巨人は先日も阪神に0-15の歴史的大敗を喫しており、選手はどんな気持ちになるんだろうと敵方ではあるが些か心配になる。そこまで気持ちよく負けというのはやろうと思ってもできるものではない。少々ではへこまない強靭な精神力を涵養するメリットはあったろう。とにかくカープファンとしてハレの日を堪能させていただいたことに感謝感激であり、誘ってくださった柏崎さんには「いやあ今日で良かった、持ってますね」と申し上げた(前日は中田に衝撃の逆転サヨナラホームランを打たれて屈辱の惨敗)。
いつもバッテリーばかり見ていたが、ここからだと内外野の守備位置や連携が手に取るようにわかる。プロは後ろ目に守るがこんなに後ろなのか、場面ごとにこんなに変えるのかと勉強になった。最高だったのは、人生3本目の上本がレフトポール際(あそこしか入らんだろう)、秋山がバックスクリーン左まで飛ばし(意外にパワーがある)、ライトに流して入れたマクブルーム(そこに打てれば30本はいける)、控え捕手の磯村がレフト中段(僕は彼の打撃を高評価している、もっと試合に出せ)とホームランが4本も観られたこと。カープが4本はあんまり記憶にない。
もう何年か前になるが、柏崎さんがブログを読んで連絡を下さったのがご縁のきっかけだ。お会いしたのは数回だが、本人より内容を覚えておられて冷や汗なほどであり、つまり僕のことはすでによくご存じだ。だから話は気持ちがいいほど早い。僕は同じ速さで会話についてきて欲しいので大事なことだ。試合が終わってから水道橋のバーで遅くまでいろんな談話をさせていただいたが、なかなか外部の方とそういう機会がなく、ブログに書けないことも話せて充実の時だった。楽しい一日を感謝申し上げたい。
新しい出会いというのが大好きだ。かつてこのかた幾つの出会いというものがあったか想像もつかないが、同じものはなく貴重でないものもまたひとつもない。男性であれ女性であれそこに必ず洋々としたブルーオーシャンを見ており、それが相手の方にとって何であろうとプラスであれば問答無用で嬉しい。これは僕の生まれつきの性格であってどうしようもない。証券界という欲の皮のつっぱった集団に居心地悪く40余年も居てきたが、基本的に僕は利己的でなく他利的だ。いや正確には、食うために利己的な行動はたくさんしてきたが、それはファミリー、仲間、お客さんを守るためであって、映画ゴッドファーザー的だ。ちなみにソナーに証券会社育ちの人は長らく僕ひとりだったが、今年からO君が参画してくれた。同業育ちは話が早い。ストレスがない。これはこれで重要なことだ。
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菊池選手1500本安打おめでとう
2023 APR 27 23:23:06 pm by 東 賢太郎

本人は満足してないと思うが1500安打は重要な一区切りだ。しかも手がつけられない6打数5安打で達成というのが菊池らしい。2対2で迎えた延長12回、先頭打者で追い込まれてから高めのボール球を振り切ってセンター前ヒットというのも菊池らしい。これがきっかけとなった2死満塁から若手のホープ韮澤がストレートの四球で押し出しサヨナラ。お立ち台で菊池を見ながら「菊池さんを上回りたいです(笑)」。いいね!ほんとうに嬉しい1勝である。菊池の並外れた守備力はいうまでもない。打力のせいなのかメジャー挑戦の夢かなわずということもあったが、1番に定着した今年はその打棒に目を見張る。
カープの3連覇は菊池なくして語れない。投手より右にゴロが飛んだら全部アウト。こんな二塁手はかつてないしメジャーにもそうはいない。投手の安心感たるや計りしれない。僕のつたない経験からも、甘い球を投げてしまい抜かれたと思った打球を処理してもらうと意気に感じ勇気百倍になる。逆に敵方にそれをされると意気消沈。嫌な奴がいるなと意識して、どこか打席に立つと押されてる感じを持つ。
プロは同じ相手と何度も戦う。カープ戦というとその「押されてる感」を常に感じてしまうのはハンディだろう。そうした心理的アドバンテージを攻撃面で持っていて強かったのが昨年のヤクルトだ。1番塩見、3番山田、4番村上は見ているだけで本当に嫌だった。塩見の出塁率が高く、山田が足が速いからゲッツーもなく、そうすると高い確率で「走者を置いて4番村上」のシーンがやってくる。しかも先発投手がまだ不安定な初回立ち上がりに。村上の三冠王はそれが大きかったと思う。今年は目下のところ塩見、山田が不在、村上が不調だから苦戦している。それと同じことが3連覇中のタナキクマル誠也にも言えたのである。でもその中でも菊池だった。なぜならスターを超えたウルトラ超人であり、相手を唖然とさせてなんだあの曲芸はと戦意喪失に追い込む仰天プレーをしてしまうからだ。そうなった相手は意外にもろかったりする。
菊池選手、まだまだ一里塚だが偉大な記録だ。ほんとうにおめでとう。
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点と線(田中広輔と小園海斗の場合)
2023 APR 16 21:21:10 pm by 東 賢太郎

野球にも人間ドラマがある。広島カープのレジェンド、安仁屋宗八さんが「他球団のピッチャーは関係ないんです、気にしてたのは同僚ですよ」と語っている。ライバルは身内なのだ。
カープの二遊間は田中広輔と菊池涼介で盤石だった。丸を加えた6-4-8の鉄壁のセンターラインで2016~18年の3連覇が成し遂げられ、タナキクマルという愛称が一躍脚光を浴びた。菊池の超人的プレーに隠れて田中のうまさは騒がれなかったが、遊撃は二塁より難しい。学年同期で同じ171センチの二人が抜群の身体能力だったことで鉄の壁は成り立っていた。それが暗転したのは翌19年だ。田中がどうしたんだ?というほどの打撃不振に陥り、売り物の盗塁も激減したのだ。そして話題の新人小園海斗に1番ショートのスタメンを奪われてしまい、歴代5位をうかがっていたフルイニング連続出場記録までが途切れてしまうのである。右膝半月板の手術をしたと不振の理由が判明したのはたしか8月のことだった。「怪我だから仕方ない」で済まないのが男の世界である。この時の田中の気持ちはわかる。
今日の広島でのデーゲーム、開幕3連戦で全部負けたヤクルトに2つ勝ったが、3つめは初回に5点取られて中盤まで5-1だ。6回に秋山、西川のヒット、坂倉の四球で二死満塁。ここで8番打者の田中である。ヤクルトは好投していた新人の吉村投手を150キロ出る星に替えた。「球威で押しに来たな」と誰もが思った。しかし田中に代打は出ない。先日、2年ぶりの本塁打が出るには出たが右翼フェンスぎりぎりであり、お立ち台で「もう打てないと思ってました」と語ってもおり、たしかにこの4年、いい所で打席に立っては泳がされて弱弱しいポップフライの残像しかないのである。
「おい新井さん、4点負けてんだよ、松山か堂林じゃないの?」
と思ったカープファンは少なくないだろう。もうこのまま終わりだな。僕は田中の打席だけは見届けて、そこでテレビを消して仕事をしようとリモコンを持って待ち構えていた。
ここで彼が右翼中段に放った満塁ホームラン。これにはデジャヴがあった。9年前の2014年4月24日、神宮球場の三塁側内野席から目撃した彼のプロ初ホームランである。
時期はちょうど今頃だ。強打者の高々と滞空時間の長い当たりではなく、巧打者が絶妙のタイミングでミートした若々しいライナー性の当たりであり、これでショート田中の名前が鮮烈に焼きついたのを菊池の活躍と一緒にブログに書いたのである。この年のシーズン終了後に緒方孝市の監督就任、ヤンキースから黒田博樹、阪神から新井貴浩のカープ復帰が決まり、3連覇への布石が敷かれている。
だからかどうか、監督になった新井は田中に代打を送らなかった。満塁ホームランをたたき込んだ田中はヒーローインタビューで淡々と、しかし強いものを秘めた口調で「ここで打たなきゃ男じゃないと思いました」と語る。
ここで使われる「男」という言葉。アメリカの地でWBCのサムライたちが軽々しく口にはしなかったが、プレーでこれでもかというばかりに見せてくれた。それに日本だけでなく世界の女性も熱狂した。LGBT云々とは全然違う次元の高い所で、何千年も前から、どこの民族であれ人類が生存のために持っていて本能に訴えかけるものだからの感動だと僕は確信している。
新井が見せた男ぶりがこれだけなら僕は本稿を書いていない。凄いなと思ったのは5-5の同点で迎えたその次の7回、投手の代打に、開幕から15打数ノーヒットの小園を送ったことだ。そして小園はそれが信じられないぐらいの迷いのないスイングで右中間に快心の3塁打を放つのである。これが点になり、カープは7-5で勝利し、3連敗の借りを3連勝で返した。小園はオープン戦で悪くなかった。22才で日の出の勢いであり、我が家の年間予想で僕はセリーグ首位打者にノミネートした。昨年は田中が41試合の出場にとどまったのに対し小園は127試合にショートで出場し、レギュラーを奪取したと自他ともに認めたといっていい。
つまり、いまは田中でなく小園が試合に出られず悔しい思いをしている。田中は33才だが、今日35才になった秋山翔吾が昨日はサヨナラホームラン、今日も5打席連続ヒットを続けるなど気を吐いているのだからまだまだ若いという気概に燃えているだろう。真の男と男のガチンコの戦いだ。生物上は男だが薄っぺらのカスがくだらないポジショントークで金儲けを狙う世相を見せられる日々に、これが一服の清涼剤でなくて何だろう。
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今年のプロ野球予想
2023 APR 1 14:14:13 pm by 東 賢太郎

開幕してしまいましたが今年の予想です。
セリーグ
1・ ヤクルト
2・ 阪神
3・ 横浜DeNA
4・ 巨人
5・ 中日
6・ 広島
パリーグ
1・ ソフトバンク
2・ オリックス
3・ 楽天
4・ ロッテ
5・ 西武
6・ 日ハム
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WBCアメリカ戦(野球のことを少々)
2023 MAR 24 16:16:57 pm by 東 賢太郎

アメリカを完封しろと本気で願をかけていたが見事だった。出会い頭の本塁打2発だけに抑え込んだからだ。以前なら5点は覚悟という感じだったろう。大谷、佐々木だけじゃない、日本のエースと讃えられる山本がそう話題にならないぐらい投手陣は異次元のレベルに達してることがわかった。しかも若い。ハタチの髙橋宏斗がビビりのカケラもなく1回を2三振。余計なもの見せちゃったな、これからたくさんメジャーに持っていかれるんだろうなと心配になるほどだ。栗山監督、よくぞ大会運営側と交渉してこのメンバーを選び集めてくれた。
今回の米国打線はオールメジャーリーガーの**王、MVPだらけで本気モードだった。だから抑え込んだことの価値は計り知れない。ショートの6番ターナーが大会新の5号を左翼上段に打ち込んで1点先取され、重い空気が漂う。それを村上が強烈パンチで木っ端みじんに粉砕した。何という痛快!ただのホームランじゃない、相手をビビらせる一発である。満塁でインハイをどん詰まりだがゲッツーにせず2点目をもぎとったヌートバーも偉かった。そして何食わぬ顔でレフトに叩き込んだ岡本の平常心、あれもかつて日本になかった不気味な静けさだったろう。結局4回のあの3点目が勝負を決めたのだから値千金の1発だった。
先発・今永は本塁打以外は危なげなし。クールに投げ込む右打者のインハイはまったく打たれる気配なし。戸郷はコントロールがやや乱れ、2連続四球で本塁打を打っている絶好調のターナーを迎えてしまった。嫌だな。息詰まる決戦だった。そこでよくぞ投じたインローに曲がり落ちる球で空振り三振。これは球場の空気を変えたろう。山田が2回塁に出て2回二盗を決めたこと。あれも相手に圧をかけた。しかし2回目は危なかった。ワンバウンドの投球をすくって不利な体勢から投げ、楽勝セーフと思いきや絶妙のワンバウンドであわやアウトという信じ難いシーンを見せてくれた捕手リアルミュートが圧を押し戻した。
5~9回の5インニングで日本は1安打の零点。何か手を打ったかといえば何もない。守備固めで1人変えただけで、結局この試合の打席には9人の先発メンバーしか立たなかった。ホームランを放った村上、岡本の5,6番は後半2打席はどちらも三振。打線のムードは下り坂である。結局、この試合、彼ら以外にヒットを打ったのは源田と大谷だけ、期待の近藤、吉田は3タコに押さえ込まれ、たったの4人しか打てなかった。でもそういう印象があまりない。その間の5~7回にマウンドに立った高橋、伊藤、大勢の堂々たる快投があったからだ。
その停滞感のなかで8回、ダルビッシュが被弾して1点差に迫られた。空気が重くなる。彼は試合後インタビューで、口にこそしなかったが、この1発が心にひっかかっていただろう。勝てば自分がどうあれ喜べる野手と、そういうものではない投手は人種が違う。しかし、米国を完封できるレベルの投手陣をここまで仕上げたのは彼だ。早々にWBC参加を宣言してチームを勇気づけ、宮崎キャンプから合流して若手に自信を授けてくれたダルビッシュだ。その若手が後半押され気味の試合を堂々と支えて勝ったのだから、彼こそが功労者だと僕は思う。
そして、しかし、こればかりはどうにもならない、最後はどうしたって大谷さんになるわけだ。投げて打つだけでひと騒動になってるが、バントも盗塁も声出しでも何でもやるのだからそれで驚かれては彼も困るだろう。この男がミーティングで全選手に「今日は憧れるのはやめましょう」と声をかけた。試合前に何か叫ぶなら Let’s do! が普通であって Don’t do. は言いにくい。でもこれは効いたのではないか、憧れの人がそう戒めたのだから。
164キロの速球が引っかかってワンバウンドになる。フルカウント。この大会の掉尾を飾るクライマックスである。トラウトを絶対に歩かせたくない、いや、空振り三振でシメたい。そう考えたに違いない、大谷さんもピッチャーだから。そして捕手の中村もその気脈が通じた一流選手だった。空振りを取っていた164キロの高めストレートでなくスライダー。それもストライクゾーンの!この瞬間に僕は何か叫んだ気がするが忘れてしまった。
ほぼオールスターのアメリカを決勝で倒した掛値なしの「世界一」。それもスモールベースボールではなく力で。それだけではない、もっと素晴らしいことがある。勝利の雄叫びをあげるのでなく、負けた相手に整列して礼をし、ゴミを拾って去っていく。日本人には当たり前のことだが、世界は驚嘆し、なんとクールな!と讃えている。傲慢でない勝者。謙虚という新しくてカッコいい強者の姿。大谷現象が彼だけでなく、実は日本人の姿だと外国人の目に焼きつけることができたなら、この優勝の意味は計り知れないものがある。
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