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カテゴリー: 野球

うちのスタイルに合わない

2017 OCT 2 23:23:32 pm by 東 賢太郎

カープが清宮のドラフト指名から撤退したらしい。理由は競争率でも契約金でもなく「うちのスタイルに合わない」だ。しかしホンネは「いらん」だろう。

清宮は好打者と思うがこの決定には大賛成である。素晴らしい。カープのスタイルはまず足と守備だ。ホームランじゃない。それが赤ヘルのイメージとして定着してるせいか彼はカープのユニフォームが似合わない感じがする。ということはスタイルに合わないということなのだ。カープに必要なのは先発と抑えの両方で強力な左腕投手である。それとサードがほしい。広陵の中村は適材だろう。

ファーストかレフトしかできない、でもホームラン40本打ちますよというのは外人の指定席なのだ。ドミニカのカープアカデミーからバティスタのような日本人が逆立ちしてもかなわない身体能力の巨体の若者が出てきている。コストも安い。しかもバティスタはライトができるから上玉で、指定席にもうひとり強打の外人をおけるから圧倒的に利点がある。野球というのはいくら強打を誇っても守る所がなければ試合には出られない。つまりカープに清宮の居場所はないし、他球団で無理に場所を作ってレギュラーで出てくれれば付け入るスキが万年できて有難いのである。

ちなみに巨人の得点力がないのは外人指定席のファーストに大事な「阿部様」を置かなくてはいけないからだ。そして空き家となったセンターラインかなめのキャッチャーに置いた小林がこれまた極めつけの超貧打である。ダブルパンチなのだ。主将としてそのツケが回った坂本のスイングがおかしくなってしまった。それを補ったマギーと村田は来年いるかどうかのよそ者だ。長野、亀井は生え抜きだがもう年齢的に斜陽族のイメージでチームの起爆剤とは程遠い。菅野、マイコ、田口に活きのいい畠も出てきて防御率1位の投手陣にしてこれでは4位は仕方ない。「代打・ヨシノブ」が使えない高橋監督は読売人事異動の被害者だ。

カープの強さは若手がリードするチームワークだが、野球というのは時間の半分は守備であり、守りがリズム良く快調にいくかどうかは精神面で士気に大きく関わる。打撃はひとりでやるが守備は連携が命だからだ。その守備の快調さを左右するかなめは「センターライン」だ。つまりキャッチャー、ショート、セカンド、センターだが、タナ・キク・マルに加えて捕手の曾澤が定着したのが大進化だ。4人は27~29歳でほぼ同期であり、カープ生え抜きの文化で育ったという「血の結束」がある。5年は黄金時代が続くと書いたのはそのためだ。

センターラインの守備の結束は打撃の相互信頼にもなり、それがいわゆる「打線のつながり」を生む。カープは1,2,3番が不動のタナ・キク・マルで、打線にも血の結束が根付いているから強いのである。それが巨人だと坂本、マギー、陽、小林の4人だ。高橋監督はタナ・キク・マル効果を意識したんだろう、陽、マギー、坂本を1,2,3番に並べてコピーしてきた。しかし問題は順番ではないのだ、他球団からFAで盗んできた寄せ集めに血の結束なんかできっこないことこそ問題の根源なのである。

センターラインという視点から広島目線で嫌だなと思うのは以下の通りだ。ソフトバンクの柳田、今宮は12球団最強でキャッチャーに強肩の甲斐が定着しそうだが、セカンドが本多、川島、明石、川崎とまだ見えないのが救いだ。しかしそれ以外のポジションの厚みは圧倒的で付け入るスキなしだ。西武の浅村、源田、秋山、炭谷、これは血の結束もあって強力だ、源田が入ったのが大きいし森が捕手に定着したら12球団最強になるかもしれない。楽天は茂木、島内、嶋だが二塁が銀次か藤田か未定着だ、ここも茂木の加入が絶大だ。ショートが下手なチームに強いのはないのである。去年彼に新人王をやらなかったのは、選んだ記者連中の素人ぶりを暴露した。

阪神は途上である。セカンド上本は当確だが残りはばらばらの起用だった。特に鳥谷が偉大過ぎて後釜のショートが大問題だが、大和になるのか(ともあれ大和の守備は凄い、しかもプロになってスイッチにしたなど天才の域だ)。糸井がいるうちは逆に安心だがセンターを俊介、中谷、高山のどれかで決め打ちしたらカープ並みの血の結束ができそうだ。そうなると一番いやだ。新人の大山は僕がキャンプで感じた通りだ、構えが不敵で見逃がし方も思い切りもいい。投手目線ですごく怖い。金本はなんと4番に据えてしまった。2,3年後に優勝を争うのは阪神だ。これは誰が監督してもだめだったチームに金本が導入したカープ・スタイルの威力だ。

しかし今年のCSはといえばカープはDeNAのほうが嫌だ。桑原、倉本、戸柱が固まって、唯一だめだったセカンドに柴田というのが出てきてしまった。これはまずいのである。レフトに筒香、ライトに梶谷内野はファーストにロペスがいてトップクラスの打撃力だ。ダメだったサードに初めて規定打席に達して首位打者となる宮崎なんて伏兵が現れた。こうなるとセンターラインに加えてサード、ファーストに松田、内川、外野両翼に中村、上林を配するソフトバンクに見劣りしないではないか。

以上が野手の戦力分析である。ここに投手力が乗っかる。これはソフトバンクが最強、次がカープと巨人だったが巨人は消えてくれた。しかし7,8,9回だと阪神、DeNAがあなどれない。今のカープより上だろう。となると、まだまだ道は険しい。CSファイナルまで時間もあくし安閑とは出来ない、なんとかシリーズまで行ってくれと願うのが本音である。

 

(ご参考にどうぞ、これを読めばよくわかります)

野球人類学

読売巨人軍のシビリアンコントロール

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広島カープ、セリーグ連覇

2017 SEP 18 20:20:10 pm by 東 賢太郎

緒方監督の胴上げを見られてよかった。彼の万感こもったスピーチにもらい泣きしました。本当に強いチームを作ってくれてありがとう。

「ウチの選手たちは絶対にあきらめないんです、おまえたちはほんとうに頼りになる奴らだぞ」

なんていい言葉だろう!!こう言わせた選手たちも立派だが、それを作ったのは九州男児、緒方でしょう。

すべては一昨年、黒田の男気復帰から始まりました。その年こそ気負ってだめでしたが、必要だった世代の橋渡しを新井が見事にやりました。

野村前監督が育ててきた若手に黒田、新井の男気が乗り移って台風のような勢いとなりました。主力にケガ人が出ても止まらない勢いでした。

これがカープ野球の伝統です。50年もそれを観てきましたが、弱かったから積み上げてきた基本中の基本を鍛える姿勢です。教えられます。

金本阪神は手ごわかった、最も怖いチームになるでしょう。それに立ちふさがった最終回の中崎の気迫の熱投、魂がこもってました、感動でした。

カープファンというだけでなく、男子として胸のすく優勝。ほんとうに見られてよかったです。

 

(追記)

これを今年4月に書いたがほんとうにそうなりそうです。

 

カープは黄金時代へ向かう

 

 

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オレンジバット悲話

2017 SEP 12 0:00:26 am by 東 賢太郎

野球のU-18で、話題の清宮は高校111号を放ったが広陵の中村が打てなかった。これが木製バットに慣れてないせいだという記事があって、本当にそうかどうかはともかくさもありなんという気はした。

僕らの代か次あたりまで高校生もバットは木製だった。木のバットの快心の打球音はカシーンだが芯じゃない打球音はそれ以外のすべてだから外野手はでかいかどうか音で瞬時にわかる。しかし金属バットである甲子園大会の打球音はどれもこれもクィーンで、あれじゃあ音で初動を判断できないと思う。なお、軟式というのはゴムまりであって打感も音もぜんぜん別物だ、あれは別なスポーツだと思った方がいい。

大学に入って閑になり野球の虫が騒ぎだして、同期が監督だったものだからご厚意に甘えて九段高校硬式野球部の夏連に参加させてもらったことがある。フリーバッティングの順番が来て、人生初めて手にしたのが金属バットだった。

金属バット

打ったら感触がぜんぜん違う。芯を食った感じが鈍いが、外しても手が痺れない。テニスでいえば「デカラケ」の感じというのが近い。芯でなくても反発力があって、芯付近なら非力な僕でも軽く振り抜いてレフトを超える。なんだこれは?という感じであった。木製で芯を外すと悲惨だ。飛ばないし手が痺れて、気温が低い時は感覚がなくなるほど痛かったりする。しかもすぐ折れる。バットは高価なのだ。内角を攻めてバットをへし折るのは投手の快感だが、金属は折れるどころか詰まっても内野を越されるなと感じた。投手はたまったもんじゃない。甲子園大会でホームランが多いのも、振り回して当たれば飛ぶバットと筋トレの相乗効果だろう。でも木製は芯に当たるかどうかだ、それじゃあ通用しないと思う。

木製バット(アオダモ、硬式用)

高校時代、僕はずっと6番で打撃は好きだった。バットは木目が詰まって真っ直ぐなのを厳選して大事に使ったが、あるときOBのYさんが部に差し入れてくれたオレンジ色のバットがぴったりで快打を連発したものだからいつしかそれは僕専用になった。毎日手塩にかけて大事に磨き、乾燥に心がけ、折らないよう打席では一球ごとに入念にマークの位置を確認した。バットコントロールは我ながら非常に良くて、バントではずされてバットを投げて当てたこともある。だから打ち損じてバットを折ったのはたぶん1,2回ほどであり、このバットを生涯の伴侶としようとまで誓っていたのである。

練習試合の聖学院戦で相手の快速球左腕におさえこまれ3安打完封負けしたが、僕はセンターのフェンスまで三塁打を放った。ナイン推定の飛距離100mで両翼ならホームランだから人生一番の当たりだった。しかしなぜか、お前のあれはまぐれだ、Y先輩のバットが凄いんだということになってナインはそっちを称賛し「オレンジバット」と命名までしたものだ。確かに、あれはスイングのパワーでなく、トスバッティングの感じで当てたら高めのストレートが凄く速かったので遠くへ飛んだのだった。ホームランもそういうのがあるんだろう。ついでだが、こうやって芯を食うと手は何も感じない。「感触はいかがでしたか?」と知らないアナウンサーは聞くが、感触が残れば残るほど悪い当たりであって、その最悪が痺れなのだ。

とにかくその後も僕はよくタイムリーを打ったので、神であるオレンジバットを折ったらいかんという部内の空気になってきて誰も使わなかったが、練習の日にフリーバッティングでT先輩が「俺にも打たせろ」とそれを持って打席に入った。嫌な予感がしてわざと軽く投げたが、打ち気にはやったT先輩が思い切り振ると手には見事にグリップだけが残っていた。オレンジバットの最期である。動転してたんだろう、なぜか「すいません」と謝ってしまい「いいよ俺が悪いんだ」と気まずい会話があったが良くないのはこっちだった。以来、僕の打撃は絶不調に陥った。

思えば木のバットは工芸品というか、一本一本個性がある。形は規格でそろえられても、材質も重量も同じものはない。特に木目が大事で、反発がいいかどうか、折れやすいかどうかはそれで判断した。打席ではマークを正確に自分の体に向ける。そうしないと折れるのである。打撃というのは芯に正確に当てることだ。芯を食うかどうかで天国と地獄だから振り回すよりピンポイントでたたくスイングを僕はした。金属は少々アバウトでも当たれば飛ぶデカラケ、デカヘッドのドライバーだからスイングも振り回すだけでアバウトになるんじゃないか。

そういえば金属バットはどれもおんなじ規格工業品で味がない。僕は大事な試合前にバットを抱いて寝たが、金属だったらどうかなと思う。これはLPレコードとコンパクトディスクの関係に似ているかもしれない。レコードは同じものは二つとない。名演の美品は中古で何万円もの価値が出る。CDは何十万と同じものがあって、少々傷があっても問題なく鳴ってしまう味気ない物体である。鳴ることの有難味より味気なさの方が勝って、なんとなく僕など大事に手入れして保存しようという気が失せてしまう。

オレンジバットは僕にとって神品だった。プロ選手はだいたいそういうぴったりくる自分モデルを持っているようだ。カープの安部もそうときくが、去年からC28と刻印された新井モデルにしたらしい。二人はタイプは違うが、バットの好みは感覚的なものだ。昨年259打数73安打、打率・282の数字を残した安部だが、たくさん用意した新井モデルのバットはシーズンが終わるときには1本しか残ってなかったそうだ。戦友、散るだ。この感覚がどうにもいとおしい。

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この時代に間に合ってよかった

2017 AUG 23 1:01:21 am by 東 賢太郎

なんでも積極的にやってみるもんだと思ったのがyoutubeへのクラシック動画アップロードです。きっかけはブログに貼った動画が頻繁に消え、他人のを拝借するとそうなるなら自分で作ろうと思ったことです。5か月前にテンシュテットのブラームス4番をアップしたのがスタートで、気がついたら動画数56、チャンネル登録者79人・視聴回数14,780回になってました。ほとんど欧米人のようでイタリアのピアニストの方もおられ感慨深いものがあります。

動画を貼るような芸はなく音のみで、しかも独断と偏見でいいと思ったものだけであり言葉を交わすわけでもない、それでもサブスクライブしてくださるのはテーストが合うからでしょう。趣味が広いですねとよくいわれますが、実はニッチで狭いです。音楽に限らずそうです。この狭さを分かってくださる79人なのかなと想像しますし、音楽には人種も国籍も宗教も言語もなくて、わかる人同志は自然に集まるものなのかなと思いました。

ネットに発信する人の99%は「いいね」を求めています。だからどんな人にも受け入れられようと、実物よりいい人になって、あえてテーストは出さない傾向があると思います。数字が増えるのを見て誰かとつながっている充実感を求める人やバナー広告料が欲しい人はそれでいいと思いますが、僕は趣味を共有してくれる人にお会いしてみたいのです。

この時代に間に合って生まれてよかったと思います。いまの日本、これだけ物質的に豊かなのに老若男女問わず「人生孤独だ」「寂しい」と感じる人が増えているという統計があるそうですが、youtubeで発信をしてみたらそんなことはないとわかります。人の個性は誰のものであれ地球人口70億分の1のニッチでしかありません。しかしネットはそれでも気の合う誰かを無料で見つけてくれます。

ちなみに僕は長年、写真の仁丹ガムのおまけ、12球団メダルを探してます。小学校時代に集めてましたが12球団そろいませんでした。全部あればぜひ欲しいですが、右のように部分しか出ないしすぐ売れてしまいます。世の中、こういうニッチなことに懸命になってる人がいて、競争相手ではありますが友達になれそうな気もします。

 

 

クラシック徒然草-僕が聴いた名演奏家たち-

 

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野球人類学《キャッチャー》

2017 AUG 19 22:22:13 pm by 東 賢太郎

野球人間オズマなものだからそれ以外のスポーツは基本的に見ない。僕は選手の動きを自分の五感で感じたいタイプで、体育程度でまともにやったことないスポーツはそれが無理だから見てもつまらないのだ。

ゴルフはシングルだったこともあるが野球打ちを改良したインチキで、グリーン上で麻雀をしてただけ。野球選手だった余興でできただけだ。女子プロと回って飛距離さえ別物と知って、男子プロとは同じスポーツをしているという感覚がふっとんでしまった。

前回に30年前のゴメンの話を書いたが、見ているほうには大したこともないことが当人には一生の記憶、場合には心の傷にもなってしまうのはどんなスポーツでもあるだろう。高校生活というとほぼ野球しか覚えてない僕にとって、甘酸っぱい思い出など皆無であって「苦味」ばっかりみたいに感じる。

当時の我々は東京都3、4回戦ボーイで相手を選んでやる練習試合も5分5分ぐらいだ。負けが多い。ホームラン、サヨナラ打を打たれた球はコースも覚えてるし夢に出る。首にぶつけてしまって騒ぎになった死球は指先にひやっとする感覚が残ってる。

さて、捕手だ。投手は山の上で試合時間のほとんどを彼のサインとミットを凝視して過ごす。200回近く彼の返球を受けるが、そこに無言の「ナイスピッチ」や「このボケ!」がこもってる。例えば練習で200球投げて、最後の10球は連続ストライクでないと10球やり直しになる。サインを出してだ。これができなくて辛かった。終了のOK出すのは捕手であり、女房というより主人であった。

投手が試合を握るというが、投手を気持ちよく乗せるのも流れやムードを作るのも捕手だ。だからいい捕手がいると打席で磁力を感じて嫌だった。しかもその捕手に打たれるとチームを乗せてしまってだいたい負けたと思う。きのう巨人の宇佐美という2年目の左打ちの捕手がサヨナラホームランを打ったのを見た。嫌だなあ、なんか育つと阿部2世になりそうだ、雰囲気も弾道も。セリーグでは捕手ではないが阪神の大山と2人、要注意マークである。

捕手は重労働でそんなに打たなくてもいい。ところが今日の甲子園、広陵の捕手、中村くんには驚いた。4-4の9回に聖光学院の背番号1番が投じたウエストボール、できれば振って三振してくれという速球をレフトスタンドに突き刺した。渾身の高めストレート、あれを打たれると投手は身も心も打ち砕かれてしまう。彼は既に直後から顔に出ていた。6-4で負けると泣き崩れて監督に支えられて引き上げた。男は人前で泣いちゃいかんが、これは完璧に許される。

中村は肩もコントロールも抜群で、バントを拾ってゲッツーにした二塁送球は記憶に残る。投手でも行けるだろうが広陵は先輩の巨人・小林誠司が入部は投手だったが広島・野村祐輔にゆずって捕手になってる。広陵というと広島は古くは投手の佐伯、野手で金本、現役で捕手の白濱、投手で中田、野手で上本、土生がいる。中村はドラ1は間違いない。取れたらいいなあ。

 

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グラウンドで出る「男の器量」

2017 AUG 17 12:12:04 pm by 東 賢太郎

ネットに「カープ福井、インスタで炎上」とあって何かと思ったら、福井投手が巨人戦のきわどい判定に不満を示すような写真をインスタグラムに投稿して「女々しい」などと批判されたらしい。

久々の先発で満を持して臨んだその試合、4回までは素晴らしい投球だったが、たしか坂本へのナイスボールを「ボール」と判定されて次に打たれた。そこから一気に崩れだして大量失点してしまったのがよほど悔しかったのだろう。

でも勝負はキレた方が負けだ。僕は人に言う権利はない、「歯を見せるな」と先輩に厳命されたのはすぐ顔に出るからだ。30年ぶりの高校の同窓会で二塁手だったOくんに「東、あの時悪かったな」といきなり謝られたのがそれだった。

あの時といっても大昔だ。1年の秋季大会、背番号1で初の公式戦マウンド。ショートゴロで楽勝ゲッツーのトスを彼がぽろっとやって、その時僕ががっくりきてなんだよという顔をしたらしい。らしいというのは、覚えてないのだ。

相手は甲子園クラスの強豪校(国学院久我山)で、たしか3、4回まで0-0だったが結局打たれて9-0で負けた。あのエラーでと思っていたからOくん、30年も気になって「ゴメン」だったんだろう。

キレて打たれた僕の方が圧倒的に悪いじゃないか。しかもそこまで怒っておいて完全忘却してるとはなさけない。申しわけない。審判に怒った福井も反省だがチームメートにそうした僕は重罪だ。

そういえばきのうの広島・阪神で久々に先発した藤波がおかしかった。ええっ?というほど。春夏連覇で高校生は誰も打てなかったあれほどの投手がどうしちゃったんだろう。投球動作に入ってタマを落っことすし、右打者に2回も顔面に向けてデッドボールだ。イップスでもなったか?ハートは大丈夫か?心配だ。

2回の表。手元が定まらない藤波は143kmの直球を投手の大瀬良の左肩にぶつけてしまう。あやうく顔面の球だった。倒れこんだ大瀬良。投手に当てちゃいけないのは不文律である。両軍、スタンド、異様な雰囲気になり、乱闘の緊張が走った。ところが大瀬良は起きあがるとすぐに藤波に笑顔を見せた。呆然とする若い捕手・梅野まで大丈夫だよとねぎらって一塁へ行った。

2か月半も二軍調整だった期待の藤波を「選手生命をかけて投げろ」と送り出した金本監督は、5回の途中で彼を降ろした。被安打7、与四死球7だが失点はまだ3で、しかも次打者は9番大瀬良。あと1死でひと区切りの5回完投だ。それなのに、8番石原に顔のあたりの抜け球で四球を出した、その瞬間に見限った。「ああしてくれた大瀬良に当てたらいかん」の男の心遣いを感じた。

たかが野球というなかれ、人間の生き様はこういう真剣勝負の中で浮きぼりになる。福井は女々しいと言われてほしくないし、藤波はあそこで替えられた生涯の屈辱をばねに復活してほしい。そして、大瀬良、金本を「立派な男だ」と思ったその僕はというと、問答無用で、二人ほど器量のある男ではないということになるのだ。中学から一緒に戦ってきたOくんの美技で助けられたことが何度あったか。グラウンドとはそういう所だ。

 

「オズマ」に戻った九段高校同窓会

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広島カープにマジック33が点灯

2017 AUG 9 1:01:44 am by 東 賢太郎

早いものです。もう出てしまいました。マジックナンバーそのものはいいです、単にカープの勢いの象徴ですから。負けないですね、それが勝負強いということでしょうね。2年前まで勝負弱さの見本みたいだったチームがどうしてこんなことになるのか、謎です。僕の想像できる域を超えてる。ハーバード・ビジネススクールの教材にしたらどうかとまじめに思います。

思えば2年前の黒田、マエケン、新井を擁しての弱さも想像を絶するもので、あそこで落っこちた謎の要因が今年はプラスのベクトルに転じて倍返ししたということかもしれません。いずれにせよ、どっちも謎であります。

強打線といいますが今日の中日戦、先発の22才、鈴木翔太に7回1死までノーヒット・ノーランでした。今年はキャンプ中継をこまめに見てこの聖隷クリストファー高の鈴木は嫌だなと思ってた一人で危なかった。1点取ったはよかったがゲームは1-1で延長になって結局引き分けでした。でも結果はいいのです。

凄いと思ったのは8回の中崎から1イニングずつ投げた今村、中田、一岡、ジャクソンで5回を1安打完封9奪三振だったことです。延長に入っての3人は2,2,3三振(9アウト中7個が三振)、この3人のストレートは強烈だった。これで中日は負けてないのに「フォール負け」した感じになったでしょう。

猛暑で打高投低が定番の時期です。それも大島のような絶対三振取れなさそうな打者から2つ、こういうのを目撃してしまうともうどうしようもないとプロでも相手はビビるんだろうなあ。それが積もり積もって相手はカープ戦というと心理的に引いてしまいミスするから勝てる、好循環ですね。

夏の甲子園も開幕しました。今年は6,7月と仕事が山場で、暑くなってからここまでやけに長く感じました。例年ここに至ると高校球児の姿に元気をもらって暑気をはらうのですが、もうカープに十分もらってしまってお釣りがきそうであります。

追記

この試合、中日森監督が前日に娘さんを亡くしての指揮とは知りませんでした。同じ62歳。言葉がありません。

 

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山路塁審、退場はキミだ

2017 APR 19 21:21:41 pm by 東 賢太郎

こんなひどいジャッジは世にも珍しい。50年野球を見てて初めて、おそるべしだ。永久保存の殿堂入り、いやWBCの世紀の誤診に匹敵するワールドクラスものである。

緒方は現役時代も退場なんてないんだ、ちょっとやそっとで怒る男じゃない。当たり前だ。1回なら目をつぶるけどな、あれを2回つづけてアウトという人は126,932,772人いる日本人で間違いなくキミだけだ。そのうち証拠写真がネットにたくさん出てくるだろう。それ見て眼医者いけよ。

こんなのが2回もあって球場全体が怒りを通り越してシラけてしまった。TV放送なんかシラけムードをどうやってとりつくろうかアナウンサーも解説者も苦労してた。DeNAベンチですらそういう感じで、ラミレスもベイスターズファンも気の毒に後味悪かったろう。こんなアホらしいジャッジがまかり通れば野球なんて面白くも何ともないぜ。見る気も失せるよ。球界全体の不利益である。

人間だからで済む問題じゃない、プロで金取ってんだからな。世の中そんな甘いもんじゃないぜ。広島球団は日本野球機構に提訴すべきである。メジャーと同じくすべてのプレーにビデオ判定を入れるべきだ。

ごらんの通りの渾身のミス・ジャッジだ、もう笑うしかない。

(PS)

それとこれとは別、DeNA今永のピッチングはすばらしかった。山路塁審の応援で1安打完封だが3安打であってもすごい。カープ打線は巨人・高木に始まって昨日の濵口で弱みを握られたと思ったほうがいい。

 
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カープは黄金時代へ向かう

2017 APR 14 18:18:04 pm by 東 賢太郎

昨日の巨人戦はカープの強さをまざまざと見せました。初回にいきなり4点取ったはいいがすぐ逆転され、2番手の高木が全く打てず5回 2/3を19人がノーヒットと完全に火が消えます。最終回はカミネロという160km出る守護神が出てきて、1点差でしたが今日はさすがに負けたなと思ってました。先頭の代打で出てきた松山はまだ今シーズン無安打です。

それが初球を弾丸ライナーでライトスタンドにぶちこんでしまう。しびれました。それで我に返ったように打ちまくってこの回一気に怒涛の7点。去年1本も打ってない石原までホームランが出てしまう。神ってるとしか言いようなしです。これで2位巨人に3タテ食らわして開幕10連勝だ。

50年カープを見てますがこんなに強いのは初めて。V9の巨人なみだ。悪いけどもう巨人打線は阿部と坂本以外は役者の格が違う、6点差がついて最終回の締めの投手は今村なんか出すのもったいないのにとどめを差して岡本を三球三振。完膚なきまでにたたきのめしました。

チームの輪がありますね。「松山が打ってなくて苦労してたのを見てましたから。嬉しいです」と丸がインタビューで言ってましたが、人が打ったのあれだけ喜ぶ。全員が「つなぐ意識で打ちました」という。優勝の蜜の味を覚えたんでしょう、誰が打とうが点が入ればいい、投手は打って守って助ければいい。すると投手はのびのび投げて完封だ。そうすれば勝ってまた優勝だ。甲子園の強豪校のチーム状態ですね。

想像ですが、黒田というヤンキースのエースがいて投手は最高の技術を学んだ。菊池はメジャーのスカウトが世界一の2塁手と言ってる。そのチームでレギュラー張れるんだから俺もそうさとだんだんみんな思い込んできてますね。顔つきが敵を見おろしてますよ。巨人?あっそう、でっ、て感じね。これ、うれしいですねえ。3年前のドームなんて、エルドレッドのホームラン以外で点が入る気もしなかったからね。

ふつうそこまで肝が据わって見おろせるのは重鎮のベテランなんですね、まあ巨人の阿部とか阪神の福留とかですね、それならわかる。それがカープは新井以外は全部若僧ですから。しかもマエケンが出て行ってもうメジャーへ行くなんて言ってるのはいない。そりゃまとまるわけです。体がピークにある若手が技術があって上から目線なんだから、強いに決まってます。

カープのスカウティングは優秀です。日本人も外人も。主力の菊池、丸、田中、鈴木、阿部、松山、甲子園沸かせたのはひとりもいない。投手は今村、福井、堂林が優勝投手だけどカープではエースになってないですね。超高校級に飛びつかず伸びしろを見て育てる。成長株探しでこれは僕の本業そのものだ。すっ高値つかんで大損切なんて一番みっともないという感性がぴったりです。

4菊池、8丸、6田中、9鈴木、5安部、3松山はあと5年は盤石だろう。7に堂林?5は失格、3には弱い、まあ元ピッチャーだし7だろう、でも下水流もいるしね、それでだめなら終わりですな、かわいそうだが。問題は2ですが會澤がブレークしてくれれば5年は優勝できるでしょう。

投手は黒田ロスを全く感じない、これは驚きです。ジョンソン、野村、九里、大瀬良、岡田、加藤、床田で先発7枚(福井もいるがもう忘れた)。スペアの薮田、ヘーゲンスは唯一弱みの中継ぎに回す。中崎が去年より4,5km球が遅くて威力もないのが心配ながら今村がいいタマ投げてるんで、ジャクソンとブレイシアで回せるか。打線が5点とればほぼ勝てそうな布陣ですね。

最後に新井です。阪神へ出て行って、ぼろぼろでした。代打用員がいいとこで人生終わった人だった。黒田と一緒にカープに帰ってきたが若手になめられてました。それが若手よりきつい練習を粛々とこなして体いじめまくって大復活を遂げた。おじさんの星という悲愴感まったくなし。40なのにまだ二十代みたい。そのおじさん風の吹かなさがいいんですね。若手が自然になじんで新井さん目線で敵を見れてる、だからそういうことがおきるし、黒田が抜けても柱が折れた感じがないんだと思います。新井の功績は絶大、敬意を表します。

 

 

信じがたいものを見てしまった7月7日

 

 

 

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オーケストラと野球チームは似ている

2017 APR 10 11:11:33 am by 東 賢太郎

いまわが広島カープが7連勝ととてもいいわけですが、ヤクルト相手に新人の加藤が9回1死まで無安打無得点、翌日は2年目の岡田があわや完封、3戦目は九里が7回2点と、結果がどうのではなく何か異例なことが起きている感じがします。バックの守りが半端じゃなく、若い投手を必死に守ってやって絶対勝たせるぞというチーム一丸の気迫がびしびし伝わってくる。

ベンチもほめたい。岡田をぎりぎり替えなかったことです。若手に100球制限なんてアホなことやめてくれやと見ていたら、そぶりもなかった。完投したくないピッチャーなんて一人もいない。本能です。できれば完封したいし、完全試合したい。米国の真似で本能に掉さして「お仕事」感うえつけて、加藤、岡田みたいなワイルド感のある若手をつぶしてほしくない。そこはカープは見事です。

野球の守りというのはオーケストラに似ていて、全員パートが違うわけです。ひとりでも下手だとうまくいかない。カープは左翼以外は全員上等の部類。一塁の新井だけやや落ちますが今年は青年みたいに動きが良くて、逆に40歳の彼がいいプレーすると全員が乗ってくる。すると初先発の新人があわやノーヒッターなんて信じ難いことをやっちゃう。人の集団の連鎖反応ってのは不思議なんです。プロだからということもなくて、多摩川で子供の試合見ててもそうです。

オーケストラもそうで、世界レベルの楽団でも気が乗らない演奏はつまらないのです。野球でいえば「オレ100球」の投手がテレテレ投げて3点も取られると、バックは「よし4点取ってやるぞ!」なんて燃えないでしょうね。2年間きいたフィラデルフィア管弦楽団もときどきそうで、第2ヴァイオリンの主席のおじさん今日は気乗りしてないなあなんて感じるときは、そういう気分が全体に伝染してるんでしょうだいたいつまんなかったですね。

チェリビダッケが初来日して東京文化で読響を振った1曲目のメンデルスゾーンの「真夏」。遠い舞台がよく見えず、指揮者が棒を構えた(と思われる)異様な緊張感のなかシーンと静まって最初の音がなかなか出ない。1分も待たされた感じ。そこにあのフルート。虚空の闇に青白い人魂がポッと浮いた、本当にそういうイメージが見えて度肝を抜かれました。あんな音は後にも先にもなし。人間の集団が針の先みたいに神経を集中するといかに物凄いことが起きるか。

僕は広島カープは緒方の1年目があまりにボケでブログにボロクソに書き去年は見放しました。しかし優勝すると成長して指揮官らしくなってますね、加藤、岡田、九里をごくろうさんとねぎらっている顔が2年前と違う。新人が育つ顔ですね。指揮者に風格が出て全員に余裕が出てきて、オーケストラなら「ほかのパートを良く聴いている」感じでしょう。他チームは自分のプレーで一生懸命。これなら連覇間違いなしといったら早計でしょうか。

 
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