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カテゴリー: 若者に教えたいこと

自民党の「罪と罰」

2024 MAR 15 8:08:22 am by 東 賢太郎

「第2次世界大戦はなぜおきたの?」

小学生にきかれ、ちゃんと答えられる大人は何%いるだろう?

ドイツでナチ党が政権を獲得し、国際連盟を脱退した(1933年)。ベルサイユ体制打破の狼煙が上がり、日本は日独伊防共協定を結ぶ(1937年)。ところがドイツはポーランドとの不可侵条約を破棄し、8月23日に共産国ソ連と不可侵条約を締結して世界を驚愕させ、9月1日にポーランドに侵攻して第2次世界大戦がはじまる(1939年)。独ソにポーランド分割秘密議定書という裏契約があったからである。

日独伊防共協定は大義を喪失、日独外相はソ連を加えた4か国による対米同盟を望んでいたが失敗する。バルカン半島やフィンランドを巡って独ソ関係が悪化したからで、6月22日にドイツ軍は不可侵条約を破棄してソ連へ侵攻し、12月8日に日本は真珠湾攻撃によって米国から宣戦布告を受ける(1941年)。そしてソ連は日ソ中立条約(1941年)の破棄を通告して日本に対して宣戦布告を行うのである(1945年)。

以上は前稿のくりかえしになるが、このくだりは僕もあまり勉強しなかったし、人間を性善説で見るように教えられていたのでよく理解できてなかった。のちに三国志を読み、外国でディールに明け暮れているうちに腑に落ちたのが現実だ。

ワルぞろいの英米独露に比べれば計略に乗せられてブチ切れた日本軍は純真だった。それじゃだめなんだよ。中国は2千年も前からやってる。いまさらハニトラなんてきくと「貂蝉がいただろ、お前ら少しは勉強せいよ」と言いたくなる。

世の中には「罪と罰」のラスコーリニコフのように「1つの罪は100の善行によって償われる」「選ばれた非凡人は、新たな世の中の成長のためなら、社会道徳を踏み外す権利を持つ」と信じている者がいる。

国を救う善行のためには原爆で何十万人殺してもいいと考える人間が現実にいたのだから、条約の破棄など罪の意識すらない。まして国のために選ばれた自分は脱税しても許されると信じる国会議員がいても驚きでもなんでもないのである。

ラスコーリニコフが殺した老婆が金貸しに設定されたのはキリスト教の利息禁止を犯した悪人だからで、「1つの罪」の重さを減じている。「政治は金がかかるんです」という永田町の教えも資金使途記載漏れの罪を巧みに減じている。

法と証拠に基づいて適切にやっているので、ダンサーにお札を口移ししようと腰を触ろうと、法には触れていない。しかも当時の記憶の中では触ってないし、今の記憶の中では覚えてない。個別事案についてはお答えを差し控えます。

「赤ベンツで歌舞伎町のラブホに乗りつけ、一戦を交えたその足で国会議事堂に何食わぬ顔で出勤して居眠りすることを禁ず」なんて法律はない。ワタクシも法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として、適切に政務を執行している。

選ばれた我々なのだから少しぐらいは行政権が法を乗り越えてもいい。「泥棒に追い銭」はあっても「泥棒に立法権」という格言はない。罪であっても罰はないように巧妙に法を作ってあるから裏金作りだって安心安全なのだ。

昨年の9月に「岸田政権の支持率は0%まで下がる」と書き、11月に「次は上川陽子になる」と断言した。僕は政界情報など何もない。あるのは仮説だけ。それによると自動的にそうなる。ホントにそうなってきたぜ、恐いなといってる。

我が周辺は自民支持の右派ばかりだが、皆さん怒ってる。やっぱり確定申告だ。エッフェル姉さんで笑えた空気はもう皆無。議員はいったんアダ名がつくとネットで永遠に言われ、いずれ100%がネット社会になる。人生棒に振るよ。

「ラブホ出勤も口うつしも、どうでもいいけどさ、フケツだわな不潔、こいつカネにもケガレてるんだろうってなっちまうな」。もっぱら遊びには寛容なYがこう言う立場をとるのはけっこう稀なことだ。

 

株の儲けとブラームスのジレンマ

2024 MAR 5 7:07:58 am by 東 賢太郎

自分の行動と信条が合わないことがある。うまくいっていても、どこか心持ちが良くない。今がまさにそうで、前稿に書いたように現在の自民党政権には幻滅どころか亡国の危機感さえ持っているのだが、そんな政権なのに株式市場は新高値4万円をつけ、いっぽうで円が安くていよいよ150円台に定着しそうだ。僕はもう2年前から思いきって全財産を「日本株ロング」、「円ショート」のポジションにしているから当たりだ。しかし、これがその政治のおかげであるならジレンマがあってそう喜ぶ気持ちにならない。我が国は首相官邸ごとハイジャックされていて、自民も立憲もその軸で国会の裏でつるんでいて、何と証券市場までそうだったかと嘆かわしい気分すらある。

この利益は知恵をしぼり、体を張ってリスクを取った対価であり、誰でも市場で売買できるもので儲けているのだからどうこういわれる筋合いはない。ではお金と信条とどっちが大事かと問われればどうだろう。信条と答えたいが「武士は食わねど・・」の人種でないから自分を騙して生きるのはまったく無理だ。よって、どんなに唾棄したい政府、政策であろうと、それが存在する前提で投資戦略を練って勝ちに行く。そこに何らかの感情が入ってしまうと往々にして負ける。したがって信条は完全に無視である。つまり内面に矛盾が発生するのだ。株も為替も石ころの如く無機的な「対象物」でしかないという感性を持つことで信条優先の人間だという矜持を持ちこたえている。理が通った気はするがなんとも危ういものだ。

いま新事業というか協業の提案をいただいている。4つもあってどれも面白そうだ。モーツァルトなら作曲依頼は4つでも受けるだろうし、僕とて40歳なら迷わず全部受ける。69歳なのに気持ちがはやって簡単にできる気がしてしまうのが自分が自分たるゆえんではあるのだが、無理はいけないから部下たちの判断を尊重しようと考えていて、6時間も議論したりの日々だ。やればその分、余生の時間が減るという気持も出てくる。カネなんかのために早死にしたくないし、儲けて無理して使えば体に悪くてやっぱり早死にだ。つまり何も良いことはないのである。やがて「いつ辞めるか」考える日が来るだろう。江川は小早川のホームランで辞めた。貴乃花は千代の富士に負けて辞めた。トスカニーニはタンホイザー序曲でミスして辞めた。何になろうが、継ぐ人が現れての話になるが。

先だって、シンガポール在住の事業家で慶応ワグネルのフルーティストであるSくんとZOOM会議をして「仕事やめたら指揮してみたい」「何をですか?」「シューマンの3番とブラームスの4番かな」という会話があった。先週に渋谷で食事しながら「ブログにはモーツァルトが一番好きと書いてありますよ。どういうことですか?」と鋭い質問をいただいた。「モーツァルトは人間に興味があるんだ。なんか同類の気がしてならない、あんなに助平じゃないけどね」と答えた。君はと尋ねると「バッハのマタイとブラームスのドイツ・レクイエムです」ときた。「素晴らしい。マタイの最後、トニックの根音が半音低くて上がる。ブラームス4番はその軋みがたくさん出てくる。ドイツ・レクイエムは信教のジレンマがあったんだ。だから ”ドイツ” をつけたが、ドイツ人指揮者は意外に振ってないね、ベーム、コンヴィチュニー、クナッパーツブッシュはないんじゃないか」なんてことを話した。

ブラームスのジレンマ。比べてみりゃ僕のなんか卑小なもんだ。

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いまの政治家の誰がトランプを御せるか?

2024 MAR 3 7:07:50 am by 東 賢太郎

今年のダボス会議のテーマは「信頼の再構築」とされているが、それを脅かすものとしてAIフェーク動画の危険性をあげ「誤情報」(deep fake)の拡散が問題であることを含んでいる。嘘の画像をとっかえひっかえ見せて大衆を騙す手法は「どんぐり遊び」の進化系であるが、朝三暮四は古代の中国の話だから古典派の手法といえないこともない。最も大事なポイントは、何が「正」か「誤」かは歴史や社会通念が決めるのではなく権力者が決めるということだ。

目的はAIフェーク動画を潰すふりを装いながら「都合の悪い情報をどう消すか」である。では、誰の「都合」なんだろう。 Xやyoutubeのコンテンツは検閲者が消せる。前回の米国大統領選でそれが起きたのをご記憶だろう。そこでメディアが「トランプの言論の自由を封殺できるのか」とまっとうな議論が沸騰した。しかし鎮火された。誰がしたのか?実行したのは企業の検閲者でも命令したのは彼ではない。彼は米国の法律に縛られるからだ。では誰か?法律に縛られない者だ。なぜ縛られないか?どこの国民でもないからだ。

10年ほど前、E-コマース(電子商取引)のグローバル企業が日本人にモノを売りながら日本国に税金を払わないことが問題になった。それと根っこは同じ話だ。その国の国民が見るサイトで検閲・削除しようが言論統制しようが、それを外国から操作しようと思えばその国の法律で裁かれずにできてしまう。言葉で行う政治への干渉も外国から操作できてしまう。米国大統領選でロシア、中国が盛大にやったのは世界の常識だが、ラインが韓国企業であることを国会議員すら知らなかった恐るべき情報後進国に住む日本人はあまりこのことを実感していない。

リズ・トラス首相

「その者」のことをドナルド・トランプは国家の裏にいる「影の政府」(deep state)と呼んだ。インテリジェントでスマートな命名だ。実行部隊はその国の者だが、命令するのはマネー(通貨)を支配する者たちだ。マネーに色はない。支配者たちも様々な国籍はあるが意味はない。だからどこの国から見ても「影」の存在である。たった45日で辞任させられた英国のリズ・トラスはCPACで「国を動かすのは首相と思ったらイングランド銀行(BOE)だった」「影の政府にクビにされた」と演説した。「BOE=影の政府の手先」であることを暴露したことになるから大騒ぎになった。彼女はその単語を公の場で使った二人目の国家元首だが、日本ではあまり報道されなかった。世界元首に都合が悪いからだ。

高橋是清

「その者」は国家元首のように暗殺されかねないリスク・リターンの悪い地位にはつかない。目立ちたくもない。米国の元首に傀儡を据えて通貨と軍事のパワーで世界を支配すれば、それが自動的に世界元首であるからだ。G7諸国、U国、I国のトップは全部傀儡だ。そうならないR国のPをやっつける大義のもとに荒稼ぎの場に使われたU国は、百万人いたはずの兵士がいなくなって傭兵で戦っている。それなのにZ大統領の発表は「兵士3万人が死亡」だ。世界中が嘘と確信しているが、世界元首様がハンコをつけば情報は「正」になるのだ。犠牲になっている国民が気の毒でならないが何兆円もの義援金の大半はA国の兵器屋に回る。

100万を3万と嘘をついてバレても構わない。要はどうでもいい。そうやってJ国では300万人が死んだ。そういうことだ。U国は今年で幕引き、I国は暗礁に乗り上げてしまった。次を物色しなくては。勘違いのトラスは外したがJ国のKはEの完全支配下に置いたから大丈夫だ。何でも言うことを聞くぞ。「どうだい、Z大統領役をやってみないか、1兆円やるぞ、君と家族の身の安全は保障する」。危ないのは巷でいうC国でもTW有事でも半島でもない、そっちではないかと心配になる。まさか300万の人命を失うとは思わなかった、国賊とはいわないがあれを始めた者たちはそう言っただろう。

権力の傘の下にいると楽だ。すいすい出世もする。しかし怖くもある。これは自分の経験だ。周りはいざ傘が消えたら斬り殺そうと狙ってるからだ。J国K首相殿の心境は拝察しないでもない。左翼が莫迦だ無能だと騒ぎ、A国盲従に国民は怒って支持率は0%へまっしぐら。しかし地検特捜部も国税も味方につけてくれ、派閥まで一掃してもらって党内では向かうところ敵なしという「A国に守られている全能感」は麻薬であろう。それで自ら脳を麻痺させてしまい、恐怖を忘れてひた走る。しかしどうだろう。彼が本当に怖いのは傘のほうではないかと思えてならない。だとすれば・・・。

先日のこと、ある会合があって、同年配で地位も見識も情報もある一流ビジネスマンの皆様と円卓で会食した。「ところで皆さんWは打ちました?」ときくと8人中7人がイエスであり、6回ですという人もいた。これは些か驚きだ。J国ではすでに情報統制がほぼ完璧ということだ。だから世界で最も打ちまくった優等生の国になっている。ヘルスケアのグローバルな専制的組織化はダボスのテーマにちゃんと入れこまれているわけで、F社M社およびA国政府に治験データ付きで巨額のマネーを提供した日本国首相の評価が高いのはごもっともである。そのうえにA国人もびっくりのLGBT法まで通してくれているのだから国賓待遇ご招待は当然だ。

「出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ消滅するだろう」とイーロン・マスクに心配してもらわなくとも、緊縮財政と増税で日本人はもっと貧しくなり子供は減るだろう。少子化対策は異次元でなくても結構で、その2つをやめるのがベストだが絶対にしないだろう。それどころか日本人を減らしたいのが裏の本音かもしれない。ピークの昭和24年に270万だった新生児数が去年はなんと4分の1になって73万だ。内閣府の推計によると日本の人口は2060年に8700万人ほどになる。つまり3700万人減るわけだが、それは東京都、神奈川県、大阪府、福岡県が無人になるということだ。そこで「どんどん移民に来てもらおう」が「正」の情報となる。文化の障壁は取り壊そう、インクルージョン、ダイバーシティ、LGBTだ。E大使殿は建国の父だ、銅像を建てよう。

冗談に聞こえるだろう。しかし「冗談と思っていた」という日が来たときには日本はすでに消滅している。絵空事ではない。なぜなら、現実にそれが1868年に起きているからだ。

日本人は着物にちょんまげ姿で草履をはき、武士は刀をさして歩いていた。

それが、あっという間にスーツにネクタイ、革靴になった。

良くいえばフレキシブル、しかし、ある意味でまったく節操がない。我々はこんな軽薄な民族だったのだろうか?

日本人が外圧に弱いのは今に始まったことではない。まず白村江で大敗し唐軍に征服されている。渡来人を招いて文化を流入させたと美化されているが、朝廷皆殺しかの激震が走ったろう。唐が滅んで平安の世となるが強者崇拝で漢文、詩歌、仏教がセレブの教養、権威の象徴となる。その崇拝対象物が黒船来襲、英国の薩長砲撃でびびったことで、今度は西欧に移る。その挙句のクーデターが1868年に起き、後に美化され、明治維新と命名されたわけだ。

日本人は平時においては保守的であり、節操がない民族とは思われない。ということは白村江と黒船は為政者にとって人格が変わってしまうほど恐ろしい出来事だったと推察する。だから平安と明治の建国は火事場の馬鹿力とでもいう尋常ならぬ気合が入っており、武力はもちろんのこと、新たな文明文化が花開くほど精神の奥底まで変容が及んだのだろう。その2つに比べれば源平合戦も応仁の乱も戦国の合戦も関ケ原も、所詮は武士同士の内戦であって、異民族侵略で人民まで何をされるかわからない不気味な恐怖はなかっただろう。

さように明治維新の変革のマグニチュードは凄まじかったが、それは米国が南北戦争を終え外に目が向くという、時代が大転換する余波であった。いま、その米国は再度の南北戦争に発展しかねないといわれる分断に見舞われている。その余波が日本に来ているのであり、民主党政権による近来にはない強権的な外圧は白村江、黒船に匹敵するレベルになっているかもしれない。つまり、現政権による米国への見苦しい「面従腹従」をやめさせ、おためごかしの政権交代は打破し、先例を凌ぐ尋常ならぬ気合で戦後体制を革新するぐらいの政治改革が必要だ。

もしトランプになるならそのチャンスがあるがリスクもある。彼は利に敏いディール屋だ。好敵手なら四つに組むがヘボと見れば相手にしないストレートな男とみえる。安倍晋三なき後の政治家で誰がトランプを御せるだろう?その人間に日本の命運がかかっている。申しわけないが現首相ではバイデン以上にやりたいようにやられて**の毛まで抜かれ、日本はさらに凋落の途をたどる予感がする。

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これぞ絵に描いたような「どんぐり遊び」

2024 MAR 2 13:13:24 pm by 東 賢太郎

大谷さんのニュースは実にめでたい。おめでとう!今年は更にパワーアップしてメジャーリーガーどもをなぎ倒してくれ。しかし、この稀代のビッグニュースが政界のビッグニュースである自民の政治倫理審査会を直撃ってのは凄い確率だ。ホールインワンより凄すぎでしょっていう、これぞビッグニュースだ。

即座に「やったな」と思った。

「どんぐり遊び」の政治的効用について

大谷さんは「なぜ今日の発表ですか?」と記者にきかれ「マスコミがうるさいので(笑)」と純真に答えている。彼の景色はそうなんだろう。でも、災害の報道じゃないんだからぶつける意図がなきゃこれはないだろうと苦笑するばかりだ。

政倫審なんてもの自体が「どんぐり遊び」であることは猿でもわかる。3人だ4人だ、朝だ暮れだ、それでもだめか?ええい仕方ない、総理大臣様が出るぞ!!

どうでもいいわ。

野党も妙に詰めが甘い。完全に国会どんぐりショーである。そこで「やりました感」だけ残して総選挙では忘れてもらうため「でかいどんぐり」(大谷さん)にすり替える。全メディアの番犬ぶりは一昨年7月からもう国民におなじみだ。

記憶に残るのはこのイメージだけだな。しめしめ、うまくいったぜ。

「心より深くお詫び申し上げます」

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野村證券元社長の酒巻さんとランチした件

2024 FEB 23 18:18:32 pm by 東 賢太郎

山本陽子さんが亡くなった。もと野村證券のOLだったことは社内では有名で、ずっと年上の方だが勝手に親近感は抱いており、「黒革の手帳」の悪女役でファンでもあった。つい先日に出演しておられた「徹子の部屋」がyoutubeで見られるが、お元気な姿からは想像もできない。ご冥福をお祈りしたい。

野村といえば、先週に酒巻英雄元社長とランチをした。もう書いてもいいだろう、酒巻さんは僕が入社してすぐ配属になった梅田支店の「S支店長」である。

どうして証券会社に入ったの?(その3)

どうして証券会社に入ったの?(その6)

店が騒然となった「T社のU社長事件」。買っていただいた公募株のことを話すと「トヨタの公募か、あったよなあ」と覚えておられる。「レコード事件」の顛末はご自身から語られ、「いよいよウチもこういう新人が入ってくる時代になった」と訓示されたそうだ。ご自身がN響会員だったのだから異例の存在の先駆けだったわけで、社長に就任されると社内誌にまずクラシックの趣味のことを書こうとなった。しかしその時間がなく、秘書室から僕にゴーストライターのご下命があり「あれが評判になっちゃってさ、日生の社長から飯を誘われたんだ」と後日談をうかがった。ゴーストといえば、元旦の日経新聞に掲載される毎年恒例の「経営者が選ぶ有望銘柄」で、U社長の欄も僕が書いていた。おおらかな時代だった。

田淵さん

おのずと昨年亡くなられた田淵義久さんの話になった。社長になって車の免許を取ったが日本では運転させてくれないからとドイツに来られた。もう顧問になられていたがそれが本音だったかどうかはわからない。三日三晩、郊外の温泉地やゴルフ場でいろんな話をされたからだ。翌年に再度来独され、スイスに転勤したらそっちにも来られた。いつも同行は秘書の寺田さん1人だけだ。一見すると豪放磊落だが物凄く頭が切れる。田淵さんと水入らずで10日も旅行し教えていただいたことは後進に残すべき財産としか言いようがない。野村を退社して何年目だったか、ある所でばったりお会いした。「お前なんで辞めたんだ」と怒られて背筋がぴんとした、それがお目にかかった最後だった。

酒巻さんが来られたのはもっと以前のロンドンだ。まだ役員でありこちらは平社員の下っ端だったが、週末に一泊で湖水地方まで僕の車でドライブした。「あれ楽しかったなあ、ありがとう」「とんでもないです、女房までご迷惑おかけしました」。連れて行ったのは結婚式の主賓をつとめていただいたからだ。そのロンドン時代。6年間駐在した最後の年に日経平均が史上最高値の3万8957円を記録した。万感の想いでそれを見とどけて僕は東京に異動した。そして今週、35年の日本株低迷期があったが、酒巻さんと再会してすぐに記録は更新された。

最高値更新瞬間の野村證券トレーディングルーム

ドイツ、スイスは酒巻さんは社長で余裕がなかったのだろう、のちに東京証券取引所社長、プロ野球コミッショナーを歴任される斉藤惇副社長が代理で来てくださった。債券畑だった斉藤さんの下で働いたことはないが今でも仲良くして相談にのっていただいている。そうこうしているうち事件がおきた。スイス在任中、97年初めのことだ。

お断りするが以下はすべて私見である。あれは株式時価総額で抜くという歴史的屈辱をもって米国の威信を揺るがせた勢いの根源、その本丸だった野村證券を潰し、日本の金融行政を大蔵省ごと屈服させて弱体化し、我が国の銀行・証券界にゴールドマン、モルスタ、メリルが侵略できる風穴を開けて1200兆円の個人金融資産に手を突っ込むべく米国のネオコンが仕組んだ事件だった(郵政民営化はその結末のひとつだ)。1996年11月、橋本総理より三塚大蔵大臣及び松浦法務大臣に対し、2001年までに我が国金融市場がニューヨーク、ロンドン並みの国際金融市場として復権することを目標として金融システム改革(いわゆる日本版ビッグバン)に取り組むよう指示が出た。これが宣戦布告の狼煙となって金融機関の統廃合、とりわけ大手銀行の合従連衡という大地殻変動が起きるのだが、ここだけは私見ではなく「大蔵省から引き継いだ情報」として金融庁のホームページに書いてある。

まず1997年の年初に東京地検特捜部によって総会屋事件が、翌年に大蔵省接待汚職事件(通称「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」)が大々的に報道され、第一勧銀、証券大手4社に対する刑事事件へと展開し、大蔵大臣、日銀総裁が引責辞任し、財金分離と大蔵省解体の一要因となった。これが野村證券の内部告発で勃発したことで、同社だけに法人の処罰がなかったことは当時の僕は知らなかった。田淵さんがドイツ、スイスに来られたのは1994~96年だ。事件を予期させるような発言は何もなかったが大蔵省のユニバーサルバンキングへの転換画策についてだけは詳しく言及して危機感を述べられた。意見を求められたのでプロップ取引で自腹で儲けるゴールドマン型のインベストメントバンクはいわば銀証一体でグラス・スティーガル法は邪魔かもしれませんね、ドイツ銀もUBSもそれが競争力だし背後はハーバードで繋がる財務長官サマーズ、ルービンですね、でも日本は証取法の改正に手間取りますねという趣旨のことを述べたように記憶している。

ちなみに大蔵省接待汚職事件の一環として日本道路公団の外債発行幹事証券会社の選定に関わる野村の贈収賄が立件され、元副社長らの逮捕に至った。これが98年1月のことだ。大蔵OBの公団幹部は欧州にも来てチューリヒでのディナー主催の依頼が本社から舞い込んだが、それが前日に突然のことであった。僕は先約があり副社長が代行した。接待が賄賂に当たることの立件であるから社長の僕に東京地検への出頭要請が来たが、僕は20分間コーヒーを飲んだだけだったことを秘書と副社長が東京で供述してくれ、スイス拠点は債券引受業務はしないことから事なきを得たと聞いた。

酒巻さんのあと野村は東大法の鈴木さんを社長にしたが、たった48日で日テレ・氏家社長の従兄弟である氏家純一さんにかえた。読売に頼った。結果的に山一が犠牲になったが同社は社長が証券局長のクラスメートだから大丈夫と言っており、事はそんなレベルで片づく話でなかった。サマーズに円主導のアジア通貨バスケット構想を潰されたことはミスター円こと榊原英資大蔵省財務官(当時)から直接伺って、金融ビッグバンの美名のもとで法整備計略が着々と進行していることをうすうす知る立場にはあったがそれは香港にいた99年あたりのことだ。この大嵐の中で海外にいたことは運命だったとしかいいようがない。

氏家体制になり社内の空気が一変したのは当然だ。それが野村の生き残りの道だったからだ。「香港から日本に帰ってきたら僕の大好きだった野村じゃない感じがちょっとありました。本社で中途採用の面接官をしながら『いま学生だったら入社しないだろうな』という気がしたんです。もっというなら、受けても落ちるなと」。これは本音だ。そんな人間が新生野村で採用をするのはいかがなものか。笑って受けとめてくださった酒巻さんの懐の深さに救われた気分だが、日本にいてその「感じ」は日増しに強くなっており、結局僕は大蔵省のユニバーサルバンキングへの転換策にのって2004年にみずほ証券に移籍することになった。

田淵さんと酒巻さん

その重大な決断の是非はまだ自分の中では判明していない。是でもあり非でもあった。97年に通常の6月でなく12月にスイスから香港へ想定外の異動をしたことも含めてだ。僕は野村證券の幹部であったことはなく会社の内情を知っているわけでもあれこれ言える立場でもなかった。ただこの異動は自分はともかく家族にとってはあまりに過酷なことであり、日本を知らない長女は10才にして3つ目の外国の小学校に入ることとなった。僕自身、ストレス耐性はある方だが限界だったのだろうか、ある晩に初めてパニック障害を発症して自分が驚いた。500人の部下がいる立場で精神科の医者に行くわけにもいかず、それがまたストレスになって一時は最悪の事態になった。

過ぎたことはもういいが、何の因果で証券界に身を投じたのかいまになって自問している。鎖国か共産化でもしない限り証券業は日本人の幸福にとって不可欠な仕事であり、それなりに有能な人材が入ってきてはいるが大国に対する競争上のアドバンテージにするには程遠い。このままでは米国はおろかそのうち中国やインドにも劣後するようになるだろう。それを僕が目にすることはないだろうが、それで良しとするかどうかということだ。

別れ際に酒巻さんが「5月ごろ今度は僕が一席もうけるよ」といってくださり写真を撮った。45年前の梅田支店でこんなことになるなど誰が想像したろう。

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「どんぐり遊び」の政治的効用について

2024 FEB 17 15:15:05 pm by 東 賢太郎

国民はその程度に応じた政府しかもちえない(松下幸之助)

日本の国会議員は国民から選ばれるが総理大臣はサイボーグから選ばれる。

猿の尻笑い(ことわざ)

猿が自分のお尻が赤いことに気づかずに他の尻を笑うこと。選んだ議員が全国的に笑われて初めて選挙区民が自分の尻が赤いことを知るような場合に使われる。

おまいう(「お前がいうか」の省略語)

「派閥を解散した俺はセーフ。してない奴はアウト。特に “あ” で始まる奴はゲッツー」、のような場合に使われる。

朝三暮四(中国古典「列士」)

王様が猿に「どんぐりを朝に三つ、暮れに四つあげよう」と言うと猿が怒った。そこで「朝に四つ、暮れに三つにしよう」と言うと猿は喜んだ。

数だけでなく、どんぐりの形まで変えれば、猿は完全に気がつかない。しめしめ

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日本列島を包む「操作で歪んだドーム空間」

2024 FEB 6 9:09:28 am by 東 賢太郎

今から3カ月前、去年の11月12日に、とても強いブログを書いた。今はそれがもっとリアルになっているのでお読みいただきたい。一部を引用しよう。

かたや老舗のルーズヴェルトホテルが移民収容のため閉鎖されているというのも驚く。トランプが作った壁を壊したのでメキシコから毎日2、3万人流入し、手に負えないテキサス知事はトラックで移送してしまう。地方は白人が多く拒否されるので大都市に10万人も来る。マンハッタンは人口170万だから世田谷区と練馬区に中南米人10万人ということ。想像を絶する。移民はすぐ選挙権を持つ。入国に感謝して民主党に投票する。要は大統領選の対策だ。

現在、その顛末でアメリカの都市部はさらに酷いことになっている。大量に流入した移民が食うためにやんちゃする。警官はBLM事件の余波で無茶できない。つかまえても刑務所が満員で無法地帯になる。そこでサンフランシスコ市が「950ドル以下の万引きはオッケー」(逮捕しても収監しない)にした。14万円の窃盗だから日本ならそれだけでテレビのニュースになる事件が大量に「おめこぼし」なのである。さらに凄いことに、イリノイ州では不法移民が警察官に採用されている。毒食らわば皿までだ。一般市民がそんなのに逮捕されかねず、正義など吹っ飛んでしまっており、都市によっては銃で武装した自警団(私的警察)を作っているというから西部劇さながらだ。極左のBLM運動で黒人も平等に医者にしないといけないから医学部の入試がなくなっているというのも仰天で、問題は治安だけではない。

かように、3年のバイデン民主党政権下でアメリカは戦争屋、薬屋、不動産屋、ウォール街は大儲けしたが肝心のブルーステートの白人生活圏まで滅茶苦茶になっており、だから民主党支持者の一部までが共和党支持に乗り換えている。極左政策を仕掛けてきた連中をDS(ディープ・ステート)と呼ぶと、その手下で番犬をしている日本人が「陰謀論だ」と騒いだものだが、今、この連中は親方があぶなくなって「もしトラ」(もしもトランプ大統領になったら)と騒いでいる。滑稽なことだ。

以上の程度の情報はネット民には常識になっているが、全部が番犬である日本の大手メディアは報道しない。だからテレビと新聞しか見ない人は「情報難民」と化している。喩えるなら、巨大なドーム球場の中にいると外が大雨になっていてもわからず、野球が終わって外に出てから傘がないとひと騒動になるようなものだ。さように、日本列島は「操作されて歪んだドーム空間」に包まれているのであって、ワクワクのように自分や家族の生命に関わる重大事を野球が終わってから気がついても遅い。もっというなら「なぜ報道しないんだろう?」という健全な疑問をいだくことだ。そういうニュースを書きだして一覧してみればいい。一本の糸でつながることはもう賢明な人々は見抜いている。

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「若者に教えたいこと」を設けた理由

2024 FEB 3 11:11:12 am by 東 賢太郎

この数か月、たくさんの方々がソナーに関係して下さり多忙だ。折々、ブログというメディアに政治、経済、国際情勢、経営に関するinsightを書き連ねてきたが、僕は評論家でなく自説に従って億単位の金を動かし、結果としての実績を問われるビジネスマンである。だからその能力を買って下さる企業が現れれば、これまでは自由にブログにしてきた自説の根拠等は書けなくなる。それについて少々述べておこう。

「若者に教えたいこと」というカテゴリーは特別なものだ。設けた理由は、僕が若い芽を見つけ、その成長過程を見届けるのが大好きな人間だからだ。野球も二軍の有望株を見つけるマニアだし、芸術家もしかり。猫が少し賢くなっただけでも心が踊る。株式市場でまさしく “有望株” を見つけて投資するのを職業とし、その自分の姿を探知機になぞらえて「ソナー」と命名したのが最大の証拠である。だから向学心のある子、不断の努力を厭わない子は無条件に応援してしまう。直接ふれ合うことはないが読者にそういう人がいればという思いがあった。

自省するに、生涯いちプレーヤーの気持ちで社会人を44年やってきたことは偽りない事実だ。現に今でもそうしており、東賢太郎というビジネスマンの “エッジ” は “現場” にあることは間違いない。ただ、名刺の肩書のヒストリーを眺めると44年という期間の約7割は「部長 / 役員」、約5割は「社長」という経営職だ。だから、業種を問わず、若い経営者にアドバイスすることはたくさんある。つまり、若者が経営している会社、すなわち「ベンチャー企業」を育てる仕事は天性のものではないかと考えている。かく言う自分もソナーというベンチャーを創って14期目になり資産も作った。口だけの先生や評論家ではない。

若者に来歴を語る機会があるが、当時、東大法学部卒の者は国内にいるのが有利で海外など出ない。44年の4割近くも異国にいたのも異例だが、帰国して一部上場企業2社の役員になり、3度も自分から辞めた者は東大史上ひとりもいないだろう。そう伝えてへーで終わる大半の人とおつき合いする時間は僕にはない。しかし、一部だが、「半沢直樹超えですね」などと感動してくれる人もいる。ほとんど若者だ。だから「若者に教えたいこと」というカテゴリーを設けたのである。僕のしたことというより僕の存在自体がinspireing(刺激的)であるタイプの人達こそ貴重な原石、未来の星であり、探し出してでもこちらからお会いしたいと思うのだ。

ベンチャー界にはそうした若者が多くいると確信しており、業種を問わず何か教えてあげられる。講話、セミナーなんかのおざなりの場ではだめだ。がっぷり四つで向き合い、僕も相手にinspireされながらつき合う過程で学んでもらうしかない。ビジネスとは本来そういうものだ。

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「解散」というものの本質について

2024 JAN 25 18:18:12 pm by 東 賢太郎

【解散その1】キャンディーズ(1973~1978年)

ファンだったわけではないが、ランさんは自分と同期、ミキさん、スーさんは1つ下と親近感はあった。解散会見の「普通の女の子に戻りたい !!」は見事なキャッチコピーであり、いさぎよくてあっぱれだとおじさんまで感動させる国民的行事になった。日本人は何事も散り際が大切という教訓である。恋々と爺いが権力にしがみつく醜怪なシーンばかりの今日この頃、これは思い出しても一服の清涼剤である。昭和の「カイサン」といえばなんたってこれだろう。

 

【解散その2】ピンクレディー(1976~1981年)

キャンディーズの二番煎じと思ったが、「それではつまらない」とパンチの効いたペッパー警部で売り出して当たってああなったらしい。レコード会社がA面がいいと言った「乾杯お嬢さん」だったらどういう路線になったのだろうか。大学時代と重なって思い出深いが解散は就職後で記憶にない。意外に短命だったが、インパクトがあったゆえの賞味期限切れだったのだろう。

 

【解散その3】ザ・ガードマン(1965~1971年)

小学生のころ夢中だった。この正義の味方のおじさんたち、ついさっきまで刑事だと思っていたがwikipediaによるとセコムの人で会社公認というので驚いた。なるほど、それでガードマンで「ザ・」までついちゃったんだと納得だ。しかしどうして民間企業に銃撃戦ができたのかは永遠の謎である。まあ、とにかくカッコ良かったし、テーマ音楽もベンチャーズのシュッシュがちょっとダサ目に出たりして日本人のアメリカ崇拝の原点が感じられる。サラリーマンだから解散はしなかったのだろうが番組終了=解散なのだ。終わってしまったのはとても寂しかったが『キイハンター』や『プレイガール』などゾロ品がたくさん出た。

 

【解散その4】太陽にほえろ!(1972~1986年)

そのひとつがこれだ。ザ・ガードマン(TBS)が終わるとすぐ出てきた(日テレ)。こっちは刑事の設定でドンパチの疑問は解消されたがテーマ音楽はベンチャーズのシュッシュを真似。ただ日本人の勧善懲悪物好きはDNAであり、正義の味方はいつもカッコいいのだ。ジーパン刑事の殉職など国民的イベントとなり、あれで我々もジーパンをはくようになった。解散は86年らしいがもうイギリスにいて知らない。

 

【解散その5】ザ・ビートルズ(1970年)

そのイギリスだ。我が世代、「解散」といえばこれである。

バンドの解散ではなくジョンとポールのお別れだったが、どっちがぬけてもドラえもんはないという意味で藤子不二雄みたいなもんだったまたくっつけば確実に売れるのに二度となかった。だから彼らは永遠になった。

 

【解散その6】安倍派(2021~2022年)

前から森派だ町村派だとあった気はするが、まあどうでもいいというか、とにかく政治は浅学ゆえ細かいことは全然知らず、前任の細田氏については何者かも言えなかった。安倍氏が亡くなると、今度は分身の術のように5人衆になった。僕が持ったイメージはキメラとかキングギドラとか書いてきたが、全コマを記憶している伊賀の影丸ならこれである。まあいずれにせよ化け物だ。

安倍氏は目つきが只者でないのと、トランプ勝利の機先を制して本間の黄金ドライバーを携えトランプタワーに飛び込み外交した営業力を高く評価した。外交とはああいうもので、外務省がセットした飯食うだけのは外遊という。安倍派は5人に分身しても飛んでしまったのだから安倍氏は少なくとも小物議員の5倍以上の能力があったということだ。

 

【解散その7】岸田派(2012~2024年)

総理大臣つまり自民党総裁である岸田氏が岸田派領袖のままでもあったということで国民の注目を浴びた派閥である。会社なら社長兼○○部長である。その会社の××部で不祥事があった。そこで社長が裁いて××部長をクビにした。それはいい。ところが、まったく同じ不祥事が○○部でも起きていたことが検査部の調査によって発覚した。とすると、社長はその部長もクビにしないとつじつまが合わない。でもそれは社長自身なわけだ。「社長いないと会社はまずいよな、おい検査部長、キミだってサラリーマンだ、わかってるよな、だから○○部長のオレはセーフ!」。

「でも株主総会では追及されますよ」。「なるほど、秘書室長、じゃあどうすればいいんだ?」「いい案があります。思い切って○○部は解散宣言しちゃいましょう。キャンディーズ作戦です!株主はびっくりです。自ら身を切ったか、立派なもんだと総会は喝采の嵐です。そのうちみんな不祥事のことは忘れます」。「そうか、さすがは秘書室長だ。よしわかった、それはお手盛りじゃないって目くらましするために第三者機関が決めたことにするんだ。そうだな、名前は『刷新会議』がいいぞ。メンバーはキミも入れて不祥事やってバッテンついた面々にしてくれ、懐の深い社長という姿も見せりゃオレも一挙両得じゃないか。アメリカ本社も応援してるぞ。みんな刷新して『なかったことに』だ!」。

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投資で勝つために必須の考え方とは

2024 JAN 19 18:18:54 pm by 東 賢太郎

基本的に政治にベットすることはないが、米国だけは無視できない。そこで2020年に書いたとおりトランプ・ロング(彼の勝利にかける)のポジションを組んだ。政治としての是非ではなく、何をするか読めなかったバイデンにかけて万一負けた場合にストレス漬けになるリスクを避けた。ストレスは判断を狂わせる投資の敵であり、迷ったら忌避するのは鉄則だ。要は自分がわからないものには手を出さないことである。

そこでトランプが負けた。それでこの3年僕も負けたかというとそうでもない。NYダウは5割、日経平均は7割も上がった。岸田政権になってからでも2割上がっている。彼の政治は知性も行動力も日本史上最低レベルであまりに耐えがたく、思わぬストレスとなったため納税者として大いに文句はつけたが、それでも日本株への投資ビジネスをやめたわけではなく大成功だ。バイデン民主党にもああだこうだ苦情を述べた。そんな米国だが、それでも動かせる資産は100%米ドルにして3割上がり、今もそのままだ。といって全面的に米国派でもなく中国の友人たちとは仲良くやっているが、中国株は一切触らなかった。

「君子危うきに近寄らず」といえば聞こえはいいが僕は君子になりたいわけではない。ピッチングでいうなら、「歩かしてもいいや」とボールにした球を相手が三振してくれたみたいなものだ。今の関心事は僕が積極的に仕込んで3年我慢してきた “トランプ・ロングポジション” が今年11月にワークするかどうかだ。実に楽しみなことだ。自分が儲かることもあるが、僕を信じてついてきてくれた人たちにいい目を見せてあげられることが大きい。

投資というのは何が難しいかというと、人間は感情の動物である点だ。以上のように、僕は政治的主張と投資行動になんの関係もない。「坊主憎けりゃ袈裟まで」というが、憎い坊主の袈裟でも良い物なら買う。これは理屈でない。それでさくさん墓穴を掘った失敗体験のおかげだが、社会人のかけだしの時期、そういう考えの人が東京より格段に多い大阪という街で実務の洗礼を受けたことも大きい。簡単にできるわけではないからできなくてもあきらめる必要はない、感情をコントロールする訓練を積むことだ。

日本は①「なんにも考えてない人」+➁「考えてるが行動できない人」+③「行動するが好き嫌いで動く人」=95%ぐらいという国だ。投資は経済成長の範囲で有限な富の奪い合いだから、95%が儲かって5%が損するなんてことは物理的におこりようがないことはどなたも理屈で理解できるだろう。したがって、皆さんが①②③のどれかに属する人なら、投資をしてビギナーズラックで儲けることはあっても大きな成功は難しいだろうとしか言えない。

では5%はどういう人か。是々非々で、すぐ動き、最後までやる人だ。皆さんの会社や周囲を見渡してほしい。是々非々でない(是も非もなく長いものに巻かれる)、すぐ動かない(慎重に検討して百も理由を見つけてやらないか、やらない前提で長々と慎重に検討する)、最後までやらない(やってはみるがうまくいかないと他人のせいにしたりできない理由を迅速に探しだして言い訳する)が100人中95人と僕は言っている。いかがだろうか。個々人はただの「羊」だが95人もいるとなんとなく羊の群れになり、弱い羊はそれを「長いもの」と錯覚してついてくる。これが現代日本社会であり、話題の自民党の「派閥」もこれだ。

ナポレオンは「一頭の羊に率いられた百頭の狼の群は、一頭の狼に率いられた百頭の羊の群に敗れる」と名言を残したが「一頭の羊が率いる百頭の羊の群」は出てこない。そんなものは弱いに決まってるからだ。まして、「率いる羊は五頭です」なんてバージョンは世界で思いつくのは日本人ぐらいしかなく、「三頭の怪獣・キングギドラ」もびっくりだ。岸田総理、これを退治したのはいいが自分の群れにもブーメランで火事がせまり、これまた凄い面々がそろい踏みの「政治刷新本部」が立ち上がり、五頭どころかその会合に150人が出てきた。とうとう群れより率いる羊の方が多くなった歴史的瞬間だ。

5%の人はこういうドタバタには無縁だ。基本、やるべきことは自分ひとりでやる、というか、それはできない人にはできないし説明してもわからないから、だから5%しかいないという性質のものだからである。江戸時代までは藩校が武士階級のそうした男児をたくさん育て、彼らが明治になって近代日本の礎をつくったが、敗戦でその資質の者を筆頭に300万人近くを戦地で失ってしまった。ドイツ人にもそれを言う人がいたが、この人材損失は甚大だ。その断絶を経てまた増えた現日本人だが、率いるより率いられる方が楽でいいという人が増えてる気がする。そうでない遺伝子を国は大きく逸失し、そうである方が世代を経て拡散されたからだというのが私見だ。ダイハツの不祥事はいよいよ世界のトヨタが謝罪する事態になっているが、まじめが取り柄だった日本人がいよいよそこまで来たかという劣化の象徴でもある。

ここで一つの仮説が導かれる。日本においては率いる人はもはや資質がどうのなんて以前にレアなのだ。だから、群れの羊より率いる羊の方が多い自民党という組織はさらにレアであり、カネかけて落選リスク取って苦労して率いるより率いられる方が楽でいいという考えが蔓延しつつある日本人という母集団の中で維持が困難になってきている。だからどんなに馬鹿でもお手軽な人材供給源として政治家ファミリーが歓迎・優遇され、二世三世ばかりになる。とすると、ビジネスなのだからカネというインセンティブを与えなくてはとなるのは資本主義のセオリーだ。だから地位をカネで買うのに裏金が横行し、それを地元で支えてやる見返りに地方議員は国会議員にたかり、国会議員は税金キックバックを巨大にしようと五輪や万博などの国民的巨大案件が大好きになり、政治は金がかかるんですなんて国民を洗脳して太鼓持ちする「たかり屋」のメディアや評論家がそれをかつぐ。野党も万年野党稼業の方が楽だから共闘して政権奪取なんて兆しもない。岸田総理の「派閥がなくなればこの図式が変わる」という摩訶不思議な理屈はどうやって出てくるんだろう?そんなことはどうでもいい、政治資金規正法はわけわからん「規正」じゃなくて「規制」だろう。

たかが投資だが、これも財産をかけた闘いであるという意味で戦争だと僕は思っている。株が上がってもトリクルダウンはないだのなんなのディバイドを騒ぐ人がたくさんいるようだが群れの一員ならそれも仕方ないだろう。是々非々で、すぐ動き、最後までやる人になるのに財力は不要だ。

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