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経営者は指揮者であるとともに作曲家である

2016 AUG 6 3:03:30 am by 東 賢太郎

けっして格好をつける気はないが、僕のところに来る仕事というのは難易度の高いものだ。普通の人ではできないし、大企業、ブランド企業でもできない。だから来る。つてを通じて紹介されるお客さんは困っている。しかも彼らは誰もが知る企業のオーナーだったり外国の財閥だったりする。もちろん妙な性質の頼み事ではない。金融、証券の本筋に関わるものだし、僕にはそれしかできない。

それが「アドバイザー」なる職業の実態なのだが、こういう仕事はまず守秘義務契約を結びリテイナーといって着手料をもらう。そして、もしうまくいったら成功報酬をもらう。弁護士、会計士のように時間給でないので収入は読めないが、1時間がいくら高くても徹夜して24時間だ。かたや僕は不成功ならただ働きのリスクはあっても、成功したらずっと大きな報酬がもらえる。

しかもお金以前のものがある。はっきりいって、誰でもできるような案件をやるインセンティブはまったくない。難しい問題ほどチャレンジ意欲がわくという性格なので、その意味でもこれは向いている。場合によっては難攻不落案件だから「面白い、タダでいいから僕だけでやらせてください」というのもある。趣味性の高い仕事ということもできる。

「できません」とお断りしたのもけっこうある。難易度のせいでもお金のせいでもなく、食指が動かない。説明不能。直感的に不安を感じるというか、お金に関わる仕事はいろんなリスクがあるので、危うきに近寄らずという「嗅覚」は不可欠なのだ。おかげで訴訟沙汰は一度もない。コンプライアンスは弁護士にお任せしてるが、それ以前に、自分が近寄らないことが最良のコンプラ対策だ。

しかし偉そうなことは言えない。この仕事ができているのは、ひとえに人脈の力にすぎないからだ。何かしてくれと頼まれれば、これはこの人、あれはあの人と振り分ける。その組み合わせが予想外の発展を見せたりして、思いもよらない解決に至ったりする。そうすると新たに信用ができて人脈は倍加する。人脈マトリックスはweb(蜘蛛の巣)状になって広がる。すると問題解決力は順列組み合わせで増強されるのだ。

僕の会社はwebのど真ん中にいる。webは信用の輪であって、契約の輪ではない。雇用も契約であり、社員をたくさん雇うことが輪を広げる要件ではない。案件ごとに最適な人とパートナーシップを形成することが最も効率的でコストパフォーマンスも良く、得た収入を役割と貢献度によって不公平なく分配できるから構成メンバーのインセンティブも高い。従って競争に勝てる確率も高い。

社長である僕に要求される仕事はその折々で異なるメンバーを束ねて統率すること。いわばオーケストラの指揮者だ。これを法的に法人として組成するには株式会社でもいいが、合同会社、LLCはよりその経営目的とプロセスに合理的ではあるだろう。しかしフレームワークよりも問題はリーダーシップだ。どんな専門職の構成員でも束ねられる力が必要だ。

自分でやったことはないが、音楽に深入りしていろんな指揮者のガバナンス、リーダーシップのスタイルを学ばせてもらったのはビジネスに非常に役に立ってきたと思う。逆にビジネスリーダーとしての体験から指揮者をみるのも興味深い。彼らの最大の仕事も、たぶん、別々の楽器奏者(専門職)に気持ちよく存分の力を発揮してもらい、マスとして最適解を引き出すことに違いない。

ドラッカーが著書「現代の経営」でこういっている。

指揮者は作曲家の楽譜を手にする。指揮者は、いわば翻訳家である。だが経営者は、指揮者であるとともに作曲家である

 

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